最終更新日 2020年3月2日
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心臓手術が必要と言われたとき、糖尿病を持病としてお持ちの方で気にされるかたがけっこうおられます。
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たしかに糖尿病の存在は注意しないと手術のときにさまざまなリスクを伴います。
たとえば創の治りが遅いとか、ばい菌にやられやすいとか、腎臓が弱いとか、動脈硬化が強くなっておれば脳や足の血管に注意とか、ですね。
しかしそもそも心臓手術とくに冠動脈バイパス手術を受ける患者さんのかなりの部分は糖尿病をもっておられるのです。
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そこで経験豊かな心臓外科医やそのチームは糖尿病のコントロールのベテランなのです。
そして糖尿病なのに心臓手術をするの?というのも理解できますが、「糖尿病だからこそ手術する」ということもあるのです。
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たとえば冠動脈病変が複雑なケースではバイパス手術が威力を発揮します。
糖尿病の人ではそうでない人よりオペの長期効果があり、カテーテル治療PCIとの差はより歴然とします。
バイパス手術が糖尿病の患者さんで光る理由は、バイパスに使う内胸動脈が心臓の冠動脈よりずっと動脈硬化を起こさない優秀血管だからです。
このメリットは糖尿病が慢性腎不全・血液透析にまで進んでしまった患者さんでは一層光ります。
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心臓が良くなると、毎日散歩やジョギングなどの運動がしやすくなり、糖尿病やコレステロールなどにも良い影響が出ます。心臓手術そのものは心臓しか治せませんが、結局全身を良くすることで糖尿病そのものの改善にさえ役立つのです。
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こうした内容を手術うんぬんの前に、まずしっかり相談し、吟味して、患者さんがもっとも長生きできる方法やもっとも元気になれる方法を考えるのが勧められます。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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