重症心不全や心筋症などで「打つ手なし」と言われた患者さんたちへ【2025年最新版】

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最終更新日 2025年9月12日

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⬜️ 現状 ― 心不全パンデミックの時代に

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近年、重症心不全(拡張型心筋症・虚血性心筋症・機能性/虚血性僧帽弁閉鎖不全症など)で「もう薬や点滴では対応できない」「打つ手がない」と言われる患者さんが増えています。
これは社会的にも大きな課題で、「心不全パンデミック」という言葉が使われるほどです。

しかし、本当に打つ手はないのでしょうか?

私たちが長年この病気に取り組んできた経験から言えるのは――
**「治療できるケースは想像以上に多い」**ということです。

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⬜️ 手術で改善が期待できるケース

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次のような患者さんは、新しい外科治療で改善する可能性があります:

  • 左室が大きく拡大し、形がまん丸になっている

  • 心尖部(左室の先端)が膨らんでいる

  • その結果、僧帽弁が引き伸ばされて逆流(僧帽弁閉鎖不全症)が強い

  • 左室の収縮力が正常の3分の1以下に低下している

👉 このような場合、新しい左室形成術やデュアル形成術で心機能の回復や生活の質の改善が期待できます。→→もっと見る

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⬜️ 改善が難しいとされるケース

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一方で、次のような状態では治療が難しいこともあります:

  • すでに寝たきりになっている

  • 認知症が高度に進行している

  • 左室はあまり拡大していないが硬くなっている

  • 僧帽弁逆流が少ない

  • 肺高血圧が強い

ただし、完全に不可能とは限りません。たとえば、肺高血圧があっても僧帽弁逆流が強い方では術後に改善した例もあります。

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⬜️ 実際のエピソード

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ある患者さんは、有名病院で「末期心不全・看取り」と診断されました。しかし当院に転院後、新しい左室形成術を受けて元気になり、職場復帰まで果たしました。

このように、「打つ手なし」と言われても実際には治療可能なことがあるのです。

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⬜️ 治療選択を狭めないために

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  • 内科の先生でも、日進月歩の外科治療の進歩をご存知ない場合があります。

  • 過去の大規模臨床試験(STICHトライアル)が「左室形成術に効果がない」と誤解された影響で、手術の価値が正しく伝わっていないこともあります。

しかし、実際の臨床現場では改善例が多数存在します。重要なのは、内科と外科が協力する「ハートチーム」で総合的に判断することです。→→新しい手術・デュアル形成はこちら

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⬜️ メッセージ ― 諦める前にご相談を

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  • 「もうダメ」と言われた方

  • 入退院を繰り返している方

  • 心移植を検討中の方

こうした患者さんでも、新しい外科治療で元気を取り戻せる可能性があります。→→心移植を検討中の方々へ

👉 特に心不全で繰り返し入院している方は、次の入院が最後になるリスクもあります。諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。

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⬜️ まとめ

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  • 重症心不全=「打つ手なし」ではありません

  • 左室形成術やデュアル形成術で改善可能なケースが多く存在します

  • 内科と外科が連携し、ケースごとに最適な治療を見極めることが大切です

希望を失わず、一歩踏み出すことが大切です。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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