地域医療講演と、かんさいハートセンターが奈良新聞で報道されました

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奈良で病診連携の会にて講演を行いました。

奈良北部や京都南部エリアの開業医や病院関係の先生方、お忙しいなかを講演会にお越しいただき、深く感謝申し上げます。

地域医療を充実させるうえで、病診連携や病病連携がしっかりと行われていることは極めて重要です。

お互いが安心し信頼して自分の守備範囲以外の患者さんを紹介しあい、あるいは協力しあってベストの医療を行う、これが一番です。

とくに心臓手術、心臓大血管手術では専門的分野ですので、多方面での協力は必須です。まさに地域ぐるみのハートチームですね。

この講演を奈良新聞が取材して下さいました。

こうした交流や勉強会を通じて、高の原中央病院かんさいハートセンターが全国レベルでの貢献だけでなく、地域医療でもお役に立てれば望外の喜びです。

なお今回のような医師を対象とした講演だけでなく、一般の方々の啓蒙のための講演も予定されています。かんさいハートセンターのページなどをご参照ください。こうして心臓病の的確な治療だけでなく、その予防や二次予防(治療効果を長持ちさせることです)でもお役に立ちたいものです。

 

********奈良新聞 平成25年10月20日朝刊から******


IMG_1967b地域の診療所と、よりよい連携を図るため「登録医制度」を設けている奈良県右京1丁目の高の原中央病院(西村公男院長)は19日、奈良市三条本町のホテル日航奈良で、登録医らと親交を深める地域交流会「高の原会」を開催。同病院に今月オープンした「かんさいハートセンター心臓血管外科」の米田正始センター長の講演会と懇親会を催した。

 交流会は年1回の開催で今年で11回目。高の原中央病院から医師や事務職員ら約40人が参加し、登録している診療所や連携している病院から約30人の医師が参加した。

 心臓外科医の米田センター長は「心臓手術がお役にたつとき プライマリケアの立場から」と題して講演。さまざまな心臓手術を事例を示しながら解説し、「心臓血管外科は内科とともに着実に進歩をとげている」「手術は無理だろうと思う患者にも手術が有効な場合がある。無理だろうと見送ることなく(高の原中央病院に)相談してください」と登録医らに呼び掛けた。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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かんさいハートセンター

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情により先端的手術あるいはあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

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かんさいハートセンターとは聞きなれない名前かと存じます高の原中央病院2

今年2013年10月1日から奈良県奈良市にある高の原中央病院の中に立ち上げた新しい心臓専門病院です。

写真右は近鉄高の原駅から丘の上に見える病院の全景です。

 

ことの起こりは、私の両親が歳をとったためそろそろ面倒をみようと地元関西ににもどることになったのがきっかけです。

これまで名古屋ハートセンターで多くの方々のおかげで名古屋屈指の心臓外科施設と言って頂けるほど活発に、皆と楽しい汗を流して参りました。

その名古屋を去るのは残念だったのですが、親や故郷に恩返しをしておきたいという気持ちが強まり、同ハートセンターの鈴木孝彦先生や大川育秀先生の御厚情を頂いて奈良にもどることになりました。

 

奈良にも良い病院は多々ございますが、ご縁あって、奈良市にある高の原中央病院のなかに「かんさいハートセンター」を立ち上げることにいたしました。

これは斉藤守重理事長のご高配によるところが大きく感謝しています。

斉藤理事長は10数年以上昔、私がまだ京大病院に勤務していたころから細く長くご指導いただいている大先輩です。


このかんさいハートセンターでは、これまでのハートセンターつまり心臓専門病院の良さと、総合病院の良さを兼
ね備えた、しかも患者目線の運営がしっかりできる病院を目指しています。

この10か月間、高校の後輩でもある斉藤正幸副理事長とともに毎日楽しい汗を流して準備を進めて参りました。

まずは新しい医療への意欲に燃えた

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ポートアクセス法心臓手術後の胸の創です。創がどこにあるかおわかりになるでしょうか。痛みが少ないため仕事復帰も早いです。

心臓外科医の参集を得て、心臓血管外科部門がスタートし、スタッフの充実を待って循環器内科部門もスタートします。

 

心臓血管外科では僧帽弁形成術大動脈弁形成術デービッド手術自己心膜弁(尾崎弁)、

とくに創が小さく骨も切らないポートアクセス法(写真右)などのミックス手術心不全や心筋症への手術、

成人先天性心疾患(右室二腔症IHSS(HOCM)、バルサルバ洞瘤心房中隔欠損症心室中隔欠損症修正大血管転位、等)、大動脈瘤や大動脈解離などにちからを入れて行きます。

名古屋で年間300例近い心臓大血管手術をこなした実績と、これまでの3400例以上の心臓大血管手術経験の蓄積、そして国内外との情報交換・交流を活かしてお役に立ちたく思います。

循環器内科の弁膜症や心不全の専門家による外来などは心臓外科と同時期にスタートし、さらに各部を順次整えて参ります。

ハートセンターは単に心臓部門が協力して病気の治療にあたるだけではありません。


Illust1447bたとえばコオディネーターと呼ばれる専門職をおいて、患者さんの外来が一回
で方針が立つようにして負担を減らします。

多くの病院とくに大型の総合病院では初診の患者さんが来院されると、まず診察、そしてたとえば2週間後にエコー検査においで、さらに4週間後にCTにおいで、そして5週間後に説明を聞きにおいで、となりがちです。

それでなくても苦しい心臓病の患者さんに、何往復もさせることの負担にいつのまにか慣れてしまって、あるいは「しゃーない(仕方がない)」と割り切ってしまっているのです。

私たちは医療の原点からこの現状を変えたく思います。

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一般に病院の手術室は中央手術部として、多数の科が協力して分担して手術室を使わせて戴く形がほとんどです。

ところがこの形では、今日心臓手術すべき患者さんが来られても、心臓外科の「手術枠」は明日だから、今日はダメ、などといった、患者さん本位とは言えない事態がよく起こります。

この現象は公的病院・大病院とくに大学病院で顕著です。


本来は良い医療をするための中央手術部なのに、患者さんよりも院内労働者目線になっているのです。

そこで私たちはいわゆる中央手術室を克服して、心臓血管手術が365日いつでもできるようにして、患者さんの状態に合わせて予定も緊急も入れられるようにします。

安全第一の観点から、開設当初は無理をせず、順次態勢を整えて、断らない医療を実現して参ります。

そしてそれは長期的には心臓血管外科にとどまらず、さまざまな科や領域でも同じポリシーの医療を提供することにつながるでしょう。

Ilm09_aj06015-sまた循環器内科部門もこれまでの専門病院の看板である冠動脈カテーテル治療PCIはもちろんのこと、

今後の疾病構造を考えて弁膜症や心不全、心エコー、心臓リハビリ、科学的栄養指導といった現代の心臓循環器診療の重要課題を専門とする医師・コメディカルを含めた構成を整備中です。

そうしてこそ、社会のニーズにお応えし、かつ患者さんを「ひと」として、治せると思います。

幸い志の高い、若い先生方が参加表明して下さる方向にあり、開院時は年度途中で転勤も制約があるため、来春から順次整う見込みです。

ナース、臨床工学士MEさんらをはじめとしたコメディカルも心臓専門のチームに入っていただき、技術と経験の蓄積が着実にできるような仕組みになります。

これもかつて大学病院で勤務した経験を活かし、プロフェッショナルナースやプロフェッショナルMEさん、プロの検査技師さんなどを育成する態勢を組みつつあります。

 

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毎日まいにち、同じメンバーで鍛え上げる、これがプロの養成法です。スポーツも心臓手術も医療全般も同じです


たとえば手術室ナースを例にとりますと、来る日も来る日も同じメンバーで心臓手術を経験し、毎日まいにち勉強し議論し反省して貴重な経験を積んでいくのです。

名古屋ハートセンターでの経験では新人ナースでも半年たてばかなりのレベルに達します。1年も経てば立派なものになります。

もちろんそこで完成したわけでなく、さらに後輩の指導などもやりながら、一段と自分とチームを磨いていきます。これが患者さんに益しないはずはありません。

これが大学病院などの総合病院では、夜中の全科の緊急手術に対応しなければとさまざまな科をローテートします。

いつまでたっても熟練せず、プロにはなれません。

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たとえばプロのナースは手術中、黙って手を伸ばすだけで
手術器械を的確に渡してくれますが、ローテートのナースではその都度考えて手術器械を探すありさまです。

この「停滞」が1回の手術中に何百回何千回とあるわけですから時間の無駄は大きいです。

それは質とスピードを求められる心臓手術ではそのまま患者さんの身体の負担、危険性の増大につながってしまいます。

こうしたプロフェッショナルナースの重要性は欧米先進国の手術室では常識なのですが、日本の大病院では未だに実現できていないところが多いのです。

ハートセンターではこの点でも世界水準に後れを取っていないとよく言われます。

徹底した品質管理と教育、それが真の安全管理の第一歩なのです。

皆で毎日反省と勉強を重ねるなかでいわゆる安全管理にもベストを尽くします。

日本地図交通の便も比較的便利な場所を選びました。

新幹線京都駅から目の前に改札がある近鉄に乗れば乗り換えなしで30分あまりですし、関西空港や伊丹空港からも直行バスが近くまで出ています。

かんさいハートのアクセスはこちらをご覧ください。

そもそも「かんさいハートセンター」という名前も、これまでの名古屋ハートセンター時代と同様に、全国から患者さんに来て頂きやすいようにとつけた名前です。

一応奈良県にあるため、「ならハートセンター」という名称も考えたのですが、ある患者さんから「奈良って日本地図のどのへんにあるのですか?」と聞かれ、ショックを受けました。

そこでもう少し判りやすく、「かんさいハートセンター」としたのです。偉そうな名前で申し訳ございません。

名前負けしないよう、職員一丸となって日々精進努力いたします。

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私の外来は当面月曜日と金曜日ですが、手術相談については火曜日・水曜日・木曜日の午前9-11までにお越し頂ければ対応しております

急ぎの状態の場合は随時です。他の医師の外来でも何か問題や心配があれば私と一緒に検討し方針を立てて行きます。

ハートセンター方式で、手術日でも手術室に行く前の2時間ほどと、手術室から出たあとの3時間ほどを使って患者さんのニーズにお答えするようにします。病気は待ってくれないからです。

かんさいハートセンターの外来の詳細はこちらをご覧ください。電話番号は 0742-71-1030 (代表)です。ここからコオディネーターのいさみもとさんにご相談下さい。

このホームページのトップページの冒頭にもお書きしましたように、医療は患者さんが幸せに健康になるためにあるものです。

Ilm17_bc01002-s患者さん本位の医療とはどういうものかを常に考え努力して来た仲間たちと造って来たものの凝集がハートセンターです。

もちろん現在の保険制度の枠組みの中での医療ですから、理想とは言えないこともあります。

たとえばコメディカルや事務員を山ほど雇って医療をすれば余裕ができ手厚い医療に近づくかも知れません。

しかしそれでは今の保険制度では病院経営が成り立たず、破綻して結局患者さんのお役に立てなくなります。

たとえば通常の外来受診の際には予約を取っていただくなど、患者さんの側からのご協力もひつようです。

そうしたお互いの協力によって緊急入院や緊急手術などにも対応しやすくなるでしょう。

このことは名古屋ハートセンターでの運営努力の中で実感をもって学びました。

 

Ilm22_ba01054-s地元や近隣の病院・医院の先生方、医療者の皆様には、これから先生方のお役に立てるよう、頑張ります。

地域医療は医療の原点・根幹であり、もっとも大切にしたいものだからです。

心臓や血管のことで何かありましたら、いつでもご連絡・ご相談下さい。

ご多忙のおりには電話やメールでも結構です。

 

かんさいハートセンターが心臓病や血管病でお悩みの患者さんやご家族、そして地域医療やそれを支える先生方にとって、役に立つ、良い病院になるよう全力を尽くします。

皆様方のご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

 

平成25年10月3日

高の原中央病院かんさいハートセンター

特任院長・センター長・心臓血管外科部長

米田正始 拝

 

追記: 平成26年5月1日から循環器内科に新たに4名の医師が加わり、かんさいハートセンター循環器内科としてスタートいたしました。いよいよ本格的始動です。患者さんのために頑張れる、バランスの良い、オールラウンドなチームを目指して努力しています。冠動脈やカテーテルはもちろん、弁膜症・心筋症やエコーそして心臓+腎臓などの複眼の視点でも優れたチームです。

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心臓手術のお問い合わせはこちら

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患者さんからのお便りのページへ

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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【第五十号】かんさいハートセンター

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 【第五十号】かんさいハートセンター
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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猛暑が続きますが皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

外来でも腎臓の機能が春ごろより若干低下した方が少なくないのは、皆さん脱

水傾向にあるのも一因かと思い、そのつどお話しをしています。

以前にも熱中症や脱水の解説をしたことがあります。

こちらをご参照ください。油断して熱中症でいのちの危険にさらされることのな

いように、お願いします。

人間、誰でもある程度の年齢になりますと、渇きのセンサーが弱り、脱水にな

ってもそうと感じにくくなるのです。そのためいのちにかかわるほどの脱水に

なっていても、水を飲む気になれず、毎日多数の方々が倒れ、少なからぬ数の

方々がいのちを落とされています。まことに残念なことです。私はいろんな場

を借りて、きちんと水を飲もうというキャンペーンをしています。皆さんもぜ

ひご協力ください。

さて私、両親が歳をとって地元関西ににもどることになりました。その機会に

ご縁あって、奈良市にある高の原中央病院のなかに「かんさいハートセンター

」を立ち上げることにいたしました。

これまでのハートセンターつまり心臓専門病院の良さと、総合病院の良さを兼

ね備えた、患者目線の運営がしっかりできる病院を目指しています。もちろん

地元の病院や大学、医院、そして名古屋ハートセンター、豊橋ハートセンター

はじめ各地の病院と連携を取りながら進めて参ります。

10月1日開設へ向けて、鋭意準備中です。

まずは心臓血管外科部門がスタートし、スタッフの充実を待って循環器内科部

門もスタートします。循環器内科の弁膜症や心不全の専門家による外来などは

心臓外科と同時期にスタートし、順次整えて参ります。

ハートセンターは単に心臓部門が協力して病気の治療にあたるだけではありま

せん。

たとえばコオディネーターと呼ばれる専門職をおいて、患者さんの外来が一回

で方針が立つようにして負担を減らしたり、

また心臓血管手術が365日いつでもできるようにして、患者さんの状態に合

わせて予定も緊急も入れられるようにします。

さらに循環器内科部門も冠動脈カテーテル治療PCIだけでなく、弁膜症や心不全

、心エコー、心臓リハビリといった現代の重要課題を専門とする医師を含めた

バランス良いチームを造りつつあります。。

ナース、MEさんらをはじめとしたコメディカルも心臓専門のチームをつくり、

技術と経験の蓄積が着実にできるような仕組みになります。

そして何より、目的意識とプロ根性をもった一枚岩のチームワークです。

交通の便も比較的便利な場所を選びました。

新幹線京都駅から近鉄に乗れば乗り換えなしで30分あまりですし、関西空港

や伊丹空港からも直行バスが近くまで出ています。三重県からは高速道路と近

鉄も使えますし、大阪・和歌山や岐阜・愛知からはJR・近鉄や高速道路も

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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