事例 ベントール手術

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1011.弁の逸脱と破壊、基部の拡張が認められます。

 

弁の破壊が強いときは、それを修復・形成しても長持ちするという根拠が不十分なため、ベントール手術の適応と判断しました。

この患者さんのように弁の破壊が強い場合、50歳代の年齢であれば機械弁ベントール、

65歳以上の患者さんであれば生体弁ベントールまたはステントレス生体弁をもちいたミニルート法(入れ子の形で弁を入れる、インクルージョンとも呼びます)が患者さんにとって長期予後の観点から有利と考えます。

 

10代20代などとくに若い患者さんの場合は

性別、妊娠希望の有無、激しいスポーツや職業の有無などを勘案して、上記や基部再建(デービッド手術、他)などの方法を十分な相談の上、選ぶのが良いと考えます

 

1022.弁付き人工血管を大動脈基部に縫い付け、左冠動脈入口部吻合中です。

自然な形(根本に膨らみをもつ)のバルサルバ人工血管を使用するようにしています。

従来のまっすぐなタイプの人工血管よりもむしろ吻合しやすく、冠動脈口に人工血管のほうから近づくことができる分だけ吻合部が守られやすく良い選択と考えています。

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10313.右冠動脈入口部吻合中。

かつては冠動脈のみ別の小さい人工血管で再建してから大動脈基部の大きな人工血管と連結するキャブロール手術を行ったこともありますが、

冠動脈への血栓が報告されてからこの方法はできる限り使わないようにしています。

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1044.出来上がり。

より自然な形のバルサルバ洞をもつこの人工血管が長期的にどのような利点をもたらすか、

今後が期待されています。


さらに近年はこうした手術が私たちの施設ではミックス法で行えるようになりました。これなら創が見えにくく、夏服などのおしゃれもしやすいため喜ばれています。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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