◾️虚血性心疾患とは?
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虚血性心疾患という病気は冠動脈(図)の動脈硬化により冠動脈がせまくなったり閉塞することで起こる病気です。
心臓の筋肉(心筋)に十分血液が届かなくなり胸が痛む狭心症や、心筋に血液が途絶して心筋が死んでしまう心筋梗塞などが起こります。
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虚血性心疾患はライフスタイルの欧米化とともに増加し、死亡原因のトップレベルを占めるようになりました。
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◾️虚血性心疾患の原因は
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リスクファクター(病気 の原因)として知られているのは、糖尿病や高血圧、喫煙、高脂血症 (脂質異常症)、家族歴です。さらに最近注目されているのはメタボリック症候群)やストレスです。
また慢性腎不全・血液透析も虚血性心疾患を引き起こしやすいのです。
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こどものころに川崎病(略称MCLS)で冠動脈の病気を患われた方も大人になってから冠動脈の病変が進むことがあります。
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◾️虚血性心疾患の治療は
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虚血性心疾患が進んでくると命にかかわるため治療が必要になります。
治療はできるだけ 内科治療(生活・食事・運動・リハビリやお薬、さらにカテーテルという「くだ」や「風船」「ステント」を使います) が行われます。
もし内科治療では助からない状態になりますと冠動脈バイパス手術が必要です。天皇陛下がこの手術を受け、お元気になられたのは記憶に新しいところです。
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慢性腎不全・血液透析の患者さんの場合は病気の進行が早い傾向がありますので注意が必要です。
糖尿病の患者さんや家族性高コレステロール血症の方も要注意です。
甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症、などの患者さん、あるいは仕事などでストレスの多い方も同様です。
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◾️虚血性心疾患の早期発見には
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虚血性心疾患 を早期診断するためには、MDCT検査が勧められます。
CTですので、横になっているだけで撮影は5分ほどで終わります。
造影剤を入れるために点滴は必要ですが、痛みはそれのみです。
検査後まもなく、造影剤は尿となって体外へでます。
このMDCTの性能が上がり、快適に冠動脈の検査ができるようになってから、患者さんの早期診断ができるようになり、大きな恩恵となっています。
なお、運動時や寒いときなどに胸が痛む、締め付けられる、不快感がある、などの症状は今も昔も重要なサインです。こうした症状があれば上記のMDCTを受けることをお勧めします。
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メモ: 虚血性心疾患を予防するために上記のリスクファクターの克服やコントロールは大切です。
それぞれ近年進展があります。
糖尿病は食事運動療法がさらに進化し、お薬も一層効果的になって来ています。
高脂血症も上記運動や食事療法、より効く薬と、善玉悪玉コレステロールや中性脂肪の定期検査に加えて、脂肪酸4分画の検査で体に良い脂肪酸の比率をコントロールすることでこれまで以上に体が守られるでしょう。
こうして虚血性心疾患を予防しやすくなります。さらに、
高血圧も良く効く薬が増え、それ以上に新しい科学的ダイエットで体重を無理なく減らせれば、メタボリック症候群そのものが改善できるでしょう。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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