お便り42 大動脈二尖弁に弁形成術を受けられた若者のご家族から

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大動脈二尖弁そのものは必ずしも病気とは限らないのですが、

弁が壊れやすく、年齢とともに弁膜症が発生します。

 

二尖弁は先天性心疾患のなかに入るため、若い患者さんが多いです。

そのためおなじ心臓手術といっても、人工弁を使う弁置換手術よりも

患者さんの弁を修復して活用する弁形成術が患者さんを助けます。

 

Ilm10_df01004-s というのは若い年齢たとえば20代や30代では人工弁不利だからです。

つまり機械弁を使えば、

弁自体の耐久性は100年ほどもありますが、

一生涯ワーファリンを服用する必要があり、

そのために毎月病院通いし薬を調整して行くことが求められます。

きちんと調整していても、ときたま、脳出血や脳梗塞が起こります。

これはワーファリンというお薬の宿命的な弱点なのです。

かといって生体弁はこの若い年齢では早く壊れやすいのです。

しかし弁形成ならばそうした問題は少ないです。

また弁があまり壊れていないときには、手術がきれいに決まれば長持ちしやすいのです。

そこで私たちは大動脈弁形成術に力を入れています。

以下のお便りは大動脈二尖弁の若者のお母さんからのメールです。

近くの病院では人工弁による弁置換しかないと言われ、

ネットで勉強して九州から私のいる名古屋ハートセンターまで来て下さいました。

手術は大動脈二尖弁が狭くなりかつ逆流(閉鎖不全症)も起こすという、

形成しづらいタイプでしたが、さまざまな工夫ののち大動脈弁形成術は無事成功し、

狭窄も逆流もほぼ取れました。

二枚の弁のかみ合わせも良いため、今後長持ちする期待ができます。

 

仕事熱心で前向きな患者さんですので、一層うれしく思っています

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米田正始先生

Sun, 7 Aug 2011 02:15:38 +0900 (JST)

お世話になっております。
私、6月初旬に手術をして頂いた**の母です。

お便り42実物 今回、先生に感謝の気持ちを伝えたくメールをさせて頂きました。
ご挨拶が遅くなりまして申し訳ありません。

先生に出会うまで、手術方法について非常に悩んでまいりましたが、先生に弁形成の手術をして頂けるという希望を頂き、本当に救われました。

そしてその通りの手術をして頂きまして本当に心からの御礼を申し上げます。

手術を終え、息子はまだ沢山の機械が繋がれておりましたがこれでもう大丈夫、と安心致しました。息子に少しでも早く伝えたくて《手術成功したよ、弁形成して頂いたよ》と紙に書いて見せました。それを見て息子が少し頷いた時のこと、忘れません。

今、息子は元気に会社へ行っております。先日も家族で旅行へ楽しく行ってきました。

これから息子には楽しい人生が待っていると思います。
今までずっといろんな方々に見守られ、支えられてきました。そして先生に出会えて夢のような手術をして頂き、本当にありがとうございました。
息子の幸せは家族みんなの幸せであり、大変嬉しく喜んでおります。

くれぐれも先生もお身体にお気をつけ下さい。そしてこれからも私たちのような患者、家族を少しでも多く救ってあげてください。

米田先生、先生方、スタッフの方々、この場をお借りして心からの御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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