3) 大動脈の動脈硬化症にはどういうものが?―予防したいつらい病気です

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Q: 大動脈の動脈硬化症にはどういうものがあるのですか?

A: 大動脈の動脈硬化症は本ホームページの大動脈疾患のところをご覧下さい。右側が瘤です。直径50mmを超えると破れやすいため手術等が勧められています

大動脈がこぶのように膨れる大動脈瘤や、大動脈がある範囲にわたって膨らむタイプの瘤などがあります(胸部腹部)。

大動脈が動脈硬化のために狭くなりついには閉塞する病気(ルーリッシュ症候群)もあります。

また大動脈の壁が裂けて血液が体にうまく流れなくなったり大動脈が破裂する大動脈解離も広い意味ではこのグループに入ります。

図は腹部大動脈瘤です。

 

大動脈瘤はある程度以上大きくなると破裂するため注意が必要です。

瘤が小さい間は薬などで安定を図り、瘤が大きくなれば手術で治すことで解決します。

手術はお腹や胸をあけて人工血管で置き換える方法と、折りたたんだ人工血管をカテーテルで瘤まで運びそこで広げて治す、ステントグラフトがあります。

それぞれ長所短所があり、患者さんの状態に応じて使い分けたり併用します。

 

大動脈解離のうち、心臓に近い上行大動脈がやられる場合は緊急手術が必要です。

そうしないとまもなく大半の方が亡くなってしまうからで、手術でほとんどの方は助かります。

ただし熟練したチームで治療する場合です。

 

背中側の大動脈解離は点滴やお薬で安定化を図ります。

そのまま落ち着けば良いのですが、もし次第にふくらんで破れそうになれば、手術で治します。

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5.動脈硬化症 4) 下肢の動脈硬化症では? へ進む

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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2) 心臓の動脈硬化症は―よくある病気ですが怖い病気でもあります

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Q: 心臓の動脈硬化症はどうなるのですか?

冠動脈バイパス手術のできあがりの一例。内胸動脈は動脈硬化を防ぐホルモンを作るため心臓の冠動脈よりも硬化しにくいためバイパス手術のあとは長持ちしやすくなります 

A: それは主に冠状動脈の硬化になりますので、本ホームページの虚血性心疾患のページをごらん下さい。


冠動脈が硬化して狭くなると狭心症が起こり、詰まってしまうと心筋梗塞となり、命にかかわる危険な状態となります。

そのため、そこまでに、カテーテルによってステントで狭いところを広げたり(PCIと呼びます)、それでは不安定・不十分なときにはバイパスを付けて冠動脈や心臓を守る冠動脈バイパス手術を行います。天皇陛下がこれを受けられてからすっかりおなじみになった手術です。

 

図は冠動脈バイパス手術の典型的な形を示します。

その患者さんの冠動脈の状態や体力年齢その他のさまざまな条件を考えて、いちばんぴったりした方法を選びます。

 

内胸動脈などはさまざまなホルモンを作る力があり、冠動脈よりも動脈硬化が起こりにくいという特長があるため、心臓(狭心症)の治療に有利です。

いわば冠動脈が若返るわけです。

手術後も強い薬(抗血小板剤)などを飲まずに済みますのでカテーテルPCI(ステント治療)より有利な場合もあります。

そこで患者さんの冠動脈や全身の状態をよく考え、その患者さんに有利なものを選ぶようにしています。

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1) 動脈硬化症とは

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動脈硬化症は動脈が文字通り硬くなり機能を失う病気で、全身のさまざまな動脈に起こります。

動脈硬化症が心臓の血管に起これば冠動脈疾患、たとえば狭心症や心筋梗塞になってしまいます。

動脈硬化症が脳の血管に起これば脳こうそくその他の困った状態になります。

下肢の血管に起これば閉塞性動脈硬化症ASOとなって歩くと下肢が痛んだり、悪化すれば腐ったりします。

 

動脈硬化症の原因としてはさまざまなものが知られています。たとえば:

食べ過ぎや、食べ物のバランスにご注意を糖尿病(血液の中の糖分が増えすぎて 腎臓・眼・心臓・血管・神経などがやられます)、

高脂血症(血液の中のコレステロールや中性脂肪が増えすぎる状態あるいは血液のE/A比が低いつまり良い脂肪酸が少ないとき)、

高血圧、たばこ、肥満、ストレス、

慢性腎不全・透析メタボリックシンドローム高齢


その他さまざまな原因で動脈硬化は発生します。

 

毎日の生活、食事や運動、規則正しい生活をはじめとした毎日の生活習慣を健康的にすることが大切です。

それらの心配がある方はかかりつけの内科の先生方と相談され、また定期健診を受けて確実を期されるのがよろしいかと思います。

 

私は心臓と血管の外科を専門としておりますので、その観点から次ページで少しご説明します。

 

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