セーブ手術、、患者さんの想い出1

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セーブ手術は多数の患者さんのいのちを救いました。想い出はたくさんありますが、つぎの患者さんAさんもその一人です。「心臓外科医の日記:10年」。

あの手術から10年たち、今もお元気です。ことしも年賀状で近況を教えて下さいました。

うまくやれば、セーブ手術はここまでいのちを助ける、それを教えてくれたケースでした。たまたま学会でこれをは発表したときも、友人から熱いメッセージを戴き感動しました。

Aさん、またお会いしましょう。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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左室形成術、、患者さんの想い出

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Aさんは60代後半の男性で、虚血性心筋症のため心不全になって来院されました。

駆出率23%というのは健康人の心臓の半分-3分の1程度のパワーしかない状態で、冠動脈バイパスだけでどれほど良くなるか、これまでの日本あるいは海外のデータを見ても心配な状態でした。それは以前の心筋梗塞のため生きて仕事ができる心筋(心臓の筋肉)があまり残っていないという恐れでもありました。

このままでは予後不良のため、バイパスに加えて左室形成を検討しました。

しかし左室全体が力を落としており、とくにここが悪いとか、ここを切除すれば良くなるという部位がない、そうした状態でした。

そこで近年私たちが試みている方法で左室の形を整え、一番悪いところを中心に正常のサイズと形にもどすという手術を行いました。

特に悪い部分はない(全体に悪い)ため、左室壁は切除しませんでした。

冠動脈バイパスは2本つけ(ca010a-s左前下降枝と回旋枝)、計測しますとバイパスグラフトに良く血液が流れており、まずバイパスとして成功でした。

手術を終えてみると心臓はかなり元気です。

リハビリもどんどん進み、まもなく普通の運動さえできるようになり、笑顔で退院して行かれました。

退院直前の心エコーでは駆出率は手術前の23%から48%まで増えていました。正常値は55-65%ですので、正常の近くまで回復したことになります。

循環器内科の先生方も驚かれ、左室形成術ってこんなに心臓を元気にしてくれるのですか!と言って下さいました。

長年左室形成術の開発・改良を続けて来た私にとっては、この程度の改善はそう驚くほどではないのですが、大切な仲間である循環器内科の先生方にこの新しい左室形成術の真価を認めて戴けたことは大変うれしいことでした。

患者さんはその後も回復を続けられ、外来では駆出率50%台をキープし、元気に普通の生活を楽しんでおられます。

この成果は学会でも発表し、評価を頂きました。

自分たちの経験だけでなく、全国の実績ある心臓外科医と協力して重症心不全研究会を立ち上げ、左室形成術の特徴や利点、有用性を証明すべく全国データを集めて発信する努力を続けています。実際、左室形成術のおかげで命拾いした方、移植が受けられない年齢でも左室形成で元気になられた、などうれしい知らせが結構あります。

昔、テレビで左室形成術を「奇跡の心臓手術」と形容されたことがあります。それほどではなくても、着実に、左室のどこがどう悪くてパワーダウンしているかを今後も研究し、より短時間で、より負担少なく、より効果的な左室形成術を開発して行きたく思います。

Aさん、また外来でお元気なお顔を見せてください。今年は山登りか海外旅行でも如何ですか。

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執筆:米田 正始
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心不全の手術、、患者さんの想い出

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Aさんは60代の男性です。長年のタバコのためもあって、肺が悪く、しかも心筋梗塞を起こして心臓とくに左室がうんと弱り、心不全のため来院されました。

このままでは永く生きられない、そういう状態でした。左室が壊れて大きくなり、かつ形がくずれたため虚血性僧帽弁閉鎖不全症という弁逆流まで合併し、心不全は一層重症化しておられました。

こうした問題を解決する心臓手術にこれまで取り組み、新しい手術法を開発して来ました。それをもちいてぜひAさんに元気になって頂こうと考えたのですが、肺が悪く、一秒率が40%と、手術できないレベルでした。

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しかしこのままではダメという状態になったため手術に踏み切りました。

手術では壊れた左室を左室形成術で治すことも考えたのですが、まだ壊れた部分にもまだ生きている心筋が結構あり、これは切除したり左室形成術を行うのは不利と判断できました。

そこで僧帽弁を私たちが開発した乳頭筋適正化手術(PHO法)で手直しつまり僧帽弁形成術しました。それから冠動脈バイパスを3本つけ、まだ生きている心筋がもっとパワーを回復できるようにしました。

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手術はスムースに終わりましたが、肺が悪いため、人工呼吸器からなかなか外れず、苦労しました。

せっかく人工呼吸器からはずれても、すぐ痰がつまり肺がひしゃげて無気肺になるためマスクで陽圧をかけようとしたのですが、患者さんがそんなのは要らないと受け容れてくれないため困りました。結局、気管切開を行うことで合意に達し、それで安定化を図り結局元気になられました。

その間は、肺が急に悪くなって酸素が不足し、血圧が低下するというエピソードが何度かあり、苦労しました。肺が良くなってからは問題なく元気になられました。

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Aさんは元気に退院して行かれました。その後しばらくは外来に通院しておられました。

しかし外来に来られなくなりしばらく時間が経ちました。Aさんがどうしておられるか、心配になり電話してみたところ、ご本人さまが出られ、しらばくは近くの病院に通院していたが、その担当の先生が異動され、どうしようかと思っていましたとのことでした。

さっそく私の外来に来ていただきました。Aさんの心臓はその後も回復を続け、心機能もまずまず良好、僧帽弁も逆流なしで良い状態でした。

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Aさんのようにベストとは言えない環境で暮らしている方は少なくありません。そうした方々にも治療の恩恵が届くよう、これから努力して行きたく思いました。

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4. 虚血性心疾患

1.弁膜症

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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拡張型心筋症、、患者さんの想い出

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拡張型心筋症にもさまざまな状態や段階があります。

中には回復が期待を下回ることもありますが、多くはある一定の成果を出します。中に劇的と言ってよいほど改善することがあります。

Aさんは40代男性で拡張型心筋症 A307_111のため私の外来に来られました。そのとき、すでに左室のちからは正常の3分の1にまで低下し、左室の形がゆがむため僧帽弁までゆがみ、僧帽弁閉鎖不全症を合併しておられました。いわゆる機能性僧帽弁閉鎖不全症とよばれる状態でした。

心不全も高度になり始めていました。つまりいのちの危険が徐々に迫っていたわけです。

十分に検討した結果、Aさんの場合はバチスタ手術などの左室形成術は不向きで、僧帽弁形成術が妥当、そしてその場合、術後にある程度良くなった状態を受けて十分に薬で磨く、という方針を立てました。

拡張型心筋症というだけで世間的には危険性が高いのですが、そこは慣れたチームですので手術はスムースに行き、患者さんはお元気に退院して行かれました。

A301_075れから外来で入念に薬で心臓を磨くという作業に入りました。近隣の開業医の先生の全面的ご支援もいただき、きめ細かい治療ができました。奥様の全面的な協力も大きく貢献しました。

2年後には手術前とは別人のような心機能にまで改善しました。左室駆出率でいえば、手術前20%程度であったのが2年後には50%台にまで回復したのです。

拡張型心筋症はまだまだこれから治療法が進歩する領域と思います。決してあきらめず、できるところから着実に治していく、これがお勧めできる方針です。

 

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感染性心内膜炎、、患者さんの想い出

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感染性心内膜炎(IE)にもさまざまな重症度のものがあります。Aさんは60代女性で、クルマで40-50分ほどのやや遠方の病院から搬送されて来ました。

Aさんの心臓は感染性心内膜炎(IE)それも大動脈弁と僧帽弁の両方がばい菌にやられ、その2つの弁のつなぎ目も壊れる、もっとも難しいタイプのものでした。

感染も心不全も進行し、このままでは危険な状態でした。ぜひとも救命すべく、緊急手術になりました。

手術ではまず大動脈弁と僧帽弁をまとめて切除し、左室の入口と出口がつながった大穴があく状態になりました。

ここでばい菌がついている場所、つまり膿(うみ)や組織破壊のある場所を徹底して取り去り、きれいな状態にしました。

そのうえでまず僧帽弁を再建し、僧帽弁と大動脈をつなぐ組織をパッチで創り、大動脈弁を再建してから大動脈をそのパッチで修復しました。左房の天井は別のパッチで再建しました。

大きな手術でしたが、Aさんはお元気に回復され、ばい菌も心不全もすっかり消えて、元気に退院して行かれました。

いまでも外来でお元気なお顔を拝見するたびによく頑張られましたねという気持ちになります。最重症の感染性心内膜炎(IE)を見事に乗り越えられたAさん、お元気で楽しくお暮しください。

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参考: 治療ガイドライン

③人工弁に起こったら? へ進む

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執筆:米田 正始
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三尖弁置換術、、患者さんの想い出

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Aさんは20代後半の男性です。こどものころ、感染性心内膜炎(IE)のため他病院で三尖弁置換術を受けておられます。その後その生体弁が壊れたため再手術で三尖弁置換術を受けられました。

その後また弁は壊れたのですが、Aさんはもう心臓手術は嫌だとお薬で無理をして何とかだましだましで生活して来られました。

しかしいよいよそれも限界に達し、肝臓も弱りだしたころに私の外来へ来られました。
さすがに20年も経っているため人工弁(生体弁)はもう全然作動せず、思い切り逆流していました。

手術では古い人工弁を切除し、新型の生体弁を縫い付けました。

せっかく生体弁を入れる、しかも20代の若い患者さんですから、ぜひ心房細動は取ってあげたいと考えました。そこで左房も開けて右房ともども完全メイズ手術を行いました。

巨大化していた右房は私たちの心房縮小メイズ手術の方法でうんと小さく形成しました。

3度目の三尖弁置換術でしたが、術後経過は順調で、正常リズムで元気に退院して行かれました。

外来でご家族とともにお話しする機会が何度かあり、ここまでの患者さんへのサポートに感謝するとともに、明るさを取り戻された患者さんの笑顔を大変うれしく思います。

Aさん、次のオペはたぶんTAVIのカテーテルで入れて、切らずにできるようになるでしょう。乞うご期待です。

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③ペースメーカーケーブルによる三尖弁膜症とは?へ行く

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ペースメーカー三尖弁閉鎖不全症、、患者さんの想い出

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Aさんは80代の男性です。三尖弁閉鎖不全症のため大学病院から紹介されて私の外来へ来られました。

以前に除脈のためペースメーカーを入れ、それから上記の三尖弁閉鎖不全症が発生し、肝臓のうっ血のため肝機能障害にいたり、このままでは肝硬変になって命にかかわる状態でした。

ペースメーカーのケーブルは三尖弁を通過して右室に到達するのですが、ときに三尖弁を圧迫し、弁が閉じなくなって逆流(閉鎖不全)が発生するのです。その場合、逆流は通常高度です。この場合の弁形成は難しく、かといって人工弁は良くないため難題と考えられています。そのため大学病院から紹介されたわけです。

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肝臓と三尖弁・右房は目と鼻の先で影響を受けすいのです

私たちは良い方法を持っているため手術を行いました。私たちのルーチン通り、人工心肺を用いて、心臓は動かしたまま、弁をケーブルからはがしてからそのケーブルを弁輪に埋め込み、弁がきれいに作動するのを確認してからリングで弁輪を形成しました。

逆流はほぼ消え、肝臓の腫れも急速に治りました。肝機能障害も徐々に正常化し、患者さんはお元気に退院して行かれました。

日本ペースメーカー友の会には同じような三尖弁閉鎖不全症で困っている仲間がいる、先生ぜひそういう人たちを助けてやって下さいとのことでした。

今後も啓蒙活動を地道に行って、ペースメーカー三尖弁閉鎖不全症は治せる病気であることをお知らせしながら患者さんの治療に努めたく思います。Aさん、また外来で雑談しましょう。

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MICSの三尖弁形成術、、患者さんの想い出

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Aさんは70代男性で遠方の紀伊半島から来られました。

心房中隔欠損症のため三尖弁閉鎖不全症、肺高血圧症、心房細動を合併し心不全になって私の外来へ来られました。

術後の痛みを減らし、早く回復していただけるよう、ミックス手術を選びました。

胸骨を下半分切り、心房中隔を再建し、三尖弁形成術とメイズ手術を行いました。この方法なら胸骨の上半分がもとの状態のまま残るため、安定度が良く、痛みも少なく、切った部分の治りも早いのです。

術後経過は良好で痛みも少なく、まもなく元気に退院されました。

三尖弁形成術は有効で、三尖弁の逆流は解消しました。

ミックス手術は応用範囲がひろがり、より多くの患者さんに役立つようになりました。

なおAさんの場合、現在ならポートアクセス法でもできるかも知れません。より低侵襲な方法が使えるように努力しています。

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執筆:米田 正始
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大動脈炎症候群、、患者さんの想い出

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Aさんは40代の女性で、大動脈弁閉鎖不全症と上行大動脈瘤のため来院されIMG_1623bました。近所に米田正始の心臓手術を受けた知人がおられ、その創があまりにきれいだったので、自分もそのようにしてほしいと相談して来られました。

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診察と検査の結果、頸動脈の状態から大動脈炎症候群の疑いが上記の診断に加わりました。検査上、炎症はごく軽度であったためまず手術を先行させることになりました。

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手術では大動脈炎症候群の所見が著明で、上行大動脈の壁が内膜でうんと肥厚し、周囲組織にまで炎症(刺激状態)がおよんでいました。

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上行大動脈を周囲の組織からはがし、切除しました。これを人工血管で置き換えました。大動脈弁はもしもの炎症再燃時にも人工弁がはずれないような工夫をしてから生体弁を縫い付けました。手術は簡単ではなかったのですが、再手術のノウハウで問題なく完了しました。これらを小さい創で行いました。

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術後経過は順調でまもなくお元気に退院されました。膠原病内科の専門家がおられる大学病院へご紹介し、現在は大動脈炎症候群のコントロールに力を入れて頂いています。

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その後私の外来にも定期健診に来ておられますが、創の長さを測ったら長さ58mmで感心しましたとのことでした。喜んで戴いて何よりです。早く大動脈炎を鎮めて安定させましょう。それからのびのびとやって頂けるでしょう。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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マルファン症候群、、患者さんの想い出

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Aさんはマルファン症候群をもつ50代の女性です。かつて私が京大病院にいたころ、定期健診をお願いしますと来院されました。

聞けば、下行大動脈瘤のためすでに下行大動脈置換術を他院で受けておられました。

sick_29しかしマルファン症候群のため、大動脈の他の部分が解離や瘤になればまた手術が必要なためこれから注意し、いざと言う時の備えを造りました。

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それから1年ほど経ったある日、Aさんから電話が入りました。

朝から急に胸や背中が痛むので、打ち合わせどおり近くのB病院へ行きました。そこでCTを取ってもらったら、上行大動脈が解離していると言われました、と。A309_095

そこで私もただちにそのB病院に急行し、そこで緊急手術を行いました。

解離した上行大動脈を人工血管で置換してAさんは一命を取り留めました。

まもなく元気に退院して行かれました。

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このお話しはマルファン症候群の患者さんが、日頃からいざと言う時の準備、備えをしておけばこれほどスムースに安全に救命できることを示すものと思います。Aさん、ご理解とご協力ありがとうございました。

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