セカンドオピニオンについて(日本マルファン協会での講演から)

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●質問:私は2回手術をしています。病院も今まで、学生時代や仕事の関係で、病院を転 Illust195 々としていました。

患者の立場で、第1 線で走っていらっしゃる先生にたどり着ける患者さんって、そうはいないと思うのです。

医者は選んでいかないといけないというお話でしたが、今、かかってい る先生から自分の希望する先生に診てもらいたい場合、セカンドオピニオンは、患者の立場では望んでいますが、医者の立場からすると、あまりされたくないのでしょうか?

その辺り、どのようにお考えでしょうか?

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お答え:確かに、古い先生ほど他の医師のところに行くと言うと嫌がることがあります。

自信をもってセカンドオピニオンを依頼しましよう。ただし依頼は丁重にお願いします。相手も人間ですから
が、今の新しい世代の 医者は、患者さんが勉強してきて、どこそこで意見を聞きたいという場合、それは嫌がらない人は増えました。

今むしろ認識としては、セカンドオピニオンをと言われて、それを怒るような医師は、よっぽど自信がないかやましい事があるのではないかということになります。

今は、セカンドオピニオンは気持ちよく 協力するという事が良い医者の常識になってきています。

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内科の先生の場合、セカンドオピニオンをと聞かれてもあまり気を悪くしないです。

しかし、外科 の先生の場合、ちょっとがっかりというのは、わからないでもないです。

自分が信用されていないと感じるからです。

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でも、要は患者さんが一番納得できるところがいいわけです。

患者さんは選ぶことができますので、希望を出して、とりあえずは、セカンドオピニオンをするのがいいです。

異なる意見を聞きに行くとい うのは当然の権利というのが、今の認識ですから。

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●質問:どこの患者さんでも診ていただけるのでしょうか?(註:米田正始はその後、大阪にある医誠会病院へ異動いたしました)

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お答え:そうで す。私の場合は、患者さんの半分は名古屋市ですが、それ以外の愛知県であるとか、岐阜県、三重県、大阪、京都、和歌山、関西あちこち、九州四国などですけど、最近は関東・東京や東日本、北海道もまれではなくなりました。結局何か問題があって来られます。

どんな問題かと申しますと、手術できないと言われたとか、高いリスクを言われたとか、説明がどうしても納得できないとか。

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その状態で我慢してそこにいるというのは、お薬くらいでしたら他のところでも出してもらうことができますけど、手術はその1回が勝負ですので、患者さんも今はネッ ト等である程度勉強できますので、よけいそうなって来ているのがわかります。

もちろん元の先生がなるべく気を悪くされないように、早目に紹介状を 書いていただいて、それに対して、経過や検査結果を書いて送ると、だいたいの人はわかっていただけます。

手術の後は通常、元のかかりつけの先生に日ごろの 身近な検査や投薬をしていただくように戻ってもらいます。

もちろん、患者さんがどうしても嫌だという場合は、別の先生を紹介します。

患者さんが、もっと元 気な姿になって戻ってくるわけですから、元の先生の気を悪くすることはありません。

こうしてなるべく、患者さんが後で困らないようにしています。

 

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日本マルファン協会での講演と質疑応答 2010年8月 にもどる

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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心臓手術を他病院で受けることは?―現代は患者さんが決めます【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月4日

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◾️よく戴くご質問

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心臓手術を他病院で受けることはできるのでしょうか
というご質問を頂くことはよくあります。多くの場合は

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心臓の手術は一生に一度あるかどうかのおおごとです。納得できる病院や医師を選ぶのは患者さんの権利です1.現在かかっている病院の循環器内科には満足しているが、

そこでの心臓血管外科があまり実績や例数がない

心臓手術で有名な先生もいない、

常勤の外科医がほとんどいない

 .

2.そこでの心臓血管外科も全般的には悪くはないが、

自分が受ける予定の手術の経験や実績が少ない

 .

3.その病院の医師や看護師らの対応や態度、あるいは説明が納得できない。
不親切であるなど。

 .

などが挙げられます。
いずれの場合も、現在の病院の心臓外科で手術を受けたくないが、

他病院で手術を受けると現在の循環器内科や外科の担当先生との人間関係にひびが入ることを恐れるわけです。ご自分でも調べ勉強されるのを勧めます。ネットの使い方はこどもさんやお孫さんに聞かれるのも一法です

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◾️昔と今の違いは

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昔は患者さんがあまり病院・医療情報を持っていなかったため、良いオペを求めて他院へ出向くこと自体が珍しかったのですが、

ネットやメディア情報が豊かな現代は患者さんがもつ情報も格段に充実しました。

活気bn1-24dそうするとよりよい心臓手術をもとめて患者さんが他院へ行くことは現代は権利の一つとして認められる方向にあります。

実際患者さんのお気持ちを尊重する内科医が大学病院も含めてずいぶん増えました。

古風な先生の中には学閥にこだわって自分の関係の病院での手術しか認めないような方もまだあるようですが、

こうした考えは医局がマンパワーを失うにつれ、急速に衰退しています。

心臓手術は他院で受けたいという患者さんは、

まず内科の担当先生に丁セカンドオピニオンをもらうため受け持ち医に依頼状、診療情報提供書を書いてもらうと良いでしょう寧に正直に考えと気持ちを伝えるのが良いでしょう。

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◾️担当医に言いづらいときは

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どうしても言いづらいときはセカンドオピニオンの依頼状を書いてもらうのも一つの方法かも知れません。

セカンドオピニオンは別の病院で意見を聞くという行為ですから、少しやわらいだ雰囲気で頼めるのです。

あるいは希望の心臓外科医に率直に相談するのも選択肢の一つです。

 .

外科の観点からは、

そうした患者さんを、心臓手術の後で、もとの循環器内科の先生に気持ち良く受け容れてもらえるよう、配慮するのが当然と心得ています。

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◾️一つお願いが

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患者さんやご家族の中には、ギリギリまで我慢して、もう体がどうにもならなくなってから相談して来られるケースが今も少なくありません。

例えば拡張型心筋症で心不全が酷くなり、ICU(集中治療室)へ入ってからメールなどを送ってこられる事があります。ここまで悪くなると転院も大変ですし、手術を乗り越える全身の体力がすでに失われていることも多く、私たちもお役に立てません。

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一つの目安として、まだ歩けるうちにご相談をお願いしています。

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◆参考ページ

心臓手術とはどういうもの?

そのこれからの方向

心臓外科の名医とは

さあ心臓手術と言われたら?!

安全に必要な症例数は?

病院の立派さと心臓外科の立派さは別?

対象となる病気は?

医師の選び方

私のお勧めは?

術後の社会復帰について 

美容について

必要な検査

術前のオリエンテーション

米田正始が考案したオペは

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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8. 病院や医師の選び方 (セカンドオピニオンも含めて) 【2025年最新版】

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最終更新日 2025年1月6日

かつては医師や病院は信頼できるものとして患者さんが医師や病院を選ぶのは比較的まれでした。しかし時代は変わりました。
医療が他分野と比べて不均一である、つまり同 じ病気でもどの医師やどの病院にかかるかで結果が違うことは、すでに患者さんの間で常識となりました。

セカンドオピニオンを他病院でもらうのはごく普通のことになりました。

インターネットの発達はその流れをさらにうながし、とくに心臓手術のような一生に1度あるかどうかの大きな出来事では患者さんがご自分で納得できる医師や病院を探すのが普通のことになっています。

以下に心臓手術を目前に控えた患者さんたちがよく聞かれるご質問とそれへの参考回答を記します。

1. 安心して心臓手術を受けるためには、

1. どれくらいの症例数が必要でしょうか?

数はすべてではありませんが有力な指標です

詳細はこちら

  • 心臓外科の施設集約とは?

    患者さんの安全や若い医師の成長のために重要な問題です

    詳細はこちら

2. 心臓血管外科のデーターベースとは?

NCDという名のデータベースです。
これによって全国の状態が正確に把握でき、その施設の治療成績も客観的に評価できるようになりました

詳細はこちら

3. 病院全体の立派さと心臓外科の立派さは別?

建物の立派さと治療内容や職員の温かさは一致するのでしょうか?

病院の背景、仕組みや内容を考えると答えはでてきます

詳細はこちら

4. PCI (カテーテルという管を使う治療)と比べて

外科手術(冠動脈バイパス手術)の利点は?

皮膚に優しい治療と心臓に優しい治療と、それぞれの特長を活かすことが大切です。

詳細はこちら

5. 術前のインフォームドコンセントでは、どんなことを聞けばよいのでしょうか?

インフォームドコンセントとはその治療法などの十分な説明を聴き、他治療法のことも知り、十分に質問し納得したうえで行う同意のことです。

なので聞いていけないことはありませんが、聞きたいポイントを整理して聞くことがお互いの理解を深め無駄がなく、お互いに役立ちます。

詳細はこちら

6. セカンドオピニオンはどのようにすればもらえるのですか?

セカンドオピニオンは現在治療を受けている病院以外の病院でどんな治療が良いかを聴くことです。
これは患者さんの権利として広く認められています。

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7. 心臓手術の対象となる代表的な病気と現状を教えてください。

お薬などで治せれば一番ですが、病気によっては手術のほうが安全なものがいくつもあります。

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8. 安全な心臓手術を受けるために、どのような基準で医師を選べばよいでしょうか?

手術とくに心臓手術はどの病院のどの外科医が執刀するかで勝負が決まることがよくあります。
外科医を選ぶことは命を守ることですから患者さんも勉強されることが大切です。

詳細はこちら

9. ミックス手術は安全性に心配があるのでしょうか?それとも?

安全で患者さんの役に立つMICS手術やポートアクセス法があります。
右図がその模式図で、右下写真が実例です。

経験豊かな外科医がやってこそ意味のあるオペになります。
経験の乏しい医師がミックス手術を批判してもそれは的外れのことがよくあるのです。またこれはミックス手術してはいけない、と判断できるちからも大切です。

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10. 私のお勧めは

私見ですが、ガイドラインはもとより、実際のケース、それも何千例という経験や優れた先輩・仲間たちの意見を加味したもので、参考になれば幸いです

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
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心臓血管外科のセカンドオピニオンはどのようにすればもらえるの?【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月2日

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◾️まずセカンドオピニオンとは?

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セカンドオピニオンは患者さんの権利です。それを認めない医師は良くない医師と言えます心臓血管外科の患者さんやご家族にとって、今受けている治療が本当に 納得できるかどうかわからないことはよくあります。

そこで他の病院の、意見をぜひ聞きたい先生のところへ行って直接戴くご意見をセカンドオピニオンと言います。

現代の医療ではこれは患者さんの権利として広く認められています。

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◾️とくに心臓血管外科では

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とくに心臓血管外科の手術ではどこの誰にオペ193237727をしてもらうかで結果に大きな差が出ることがあるため、セカンドオピニオンは広く普及する方向にあります。

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たとえば手術実績があまりない、年間開心術100例未満とか、常勤の心臓血管外科医が1-2名しかいないなどの病院から不安を抱えて相談に来られる患者さんが増えましたし、理解できることです。

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あるいは傷跡が見えにくいMICS(ミックス)での手術をやっていますと書いてあってもごく一部の患者さんにしかそれができない、弁形成できますとうたってあっても簡単な形成しかできない、などの事例が後を絶ちません。

なのでセカンドオピニオンが必要なのです。

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◾️セカンドオピニオンをもらうために

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病院によってはセカンドオピニオン外来と診療情報提供書や診療サマリーは役立ちますして受けているところもありますが、通常の外来でそれをお受けしているところもあります。

内容がセカンドオピニオンであればそれで良いわけです。

 .

それを円滑に行うために、現在の主治医の先生からのサマリーが役立ちます。

いわゆるどこにでもある診療情報提供書です。

主治医先生に依頼しづらいときは何もなくてもなり立ちますが、その場合、最初からお話をお聞きし、最初から検査を行うというむだや負担が生じますので、サマリーはあるほうが好ましいわけです。

IP08_F07サマ リーを依頼するときに、セカンドオピニオンをもらうためですということで主治医も書きやすくなり、患者さんももらいやすくなるというメリットがあります。

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◾️セカンドオピニオンをもらいづらい時

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しかし診療情報提供書がもらいづらい、頼みづらい雰囲気だからこそ、それが欲しいということもよくあります。

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セカンドオピニオンを他の病院でもらうことを嫌がる医師は時代遅れで良くない医師であるというのは、現代では常識です。

自分の治療に自信がなく、他人に見られては困る、つまり良くない医療をやっているからです。

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セカンドオピニperson_0388オンの情報書がもらいにくい時はまず外来や(私たちの場合)メールなどでご相談していただくのが良いでしょう。

突破口ができればそこから順次、形をつくるということもできますから。

心臓血管外科の手術は一生に一度あるかどうかのおおごとです。そこで遠慮は無用です。

 .

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7. 病院や医師の選び方 (セカンドオピニオンも含めて)にもどる

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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どの病院へ行ったら良いかわからない場合は―情報あつめが大切

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かかりつけの先生に心臓が悪いと言われたとき、あるいは心臓の手術が必要と言われたとき、 どの病院へ行ったら良いかわからない場合は

疑問が晴れないときは他の病院でセカンドオピニオンをもらうことが良いでしょう

7.病院や医師の選び方 の項をごらんください。

医者選び・病院選びも寿命のうちという患者さんのお言葉は実感があります。

この領域でもインターネット情報あるいは心臓外科名医 紹介やランキング本などの情報は有用ですが、やはり内容を吟味して考えることが大切です。

今通っている病院での手術に心配があるときは他の専門医の意見をもらう(セカンドオピニオン)のが安全です。

 

医療とくに心臓手術は不均一な世界です。

つまり同じ手術でもどこで受けるかでそのあとの結果に大きな差がでます。

それは電気屋さんでテレビを買う感覚とはずいぶん違います。

テレビならどこで買っても大損はないぐらい、どこでも品質は一定ですが、医療はばらつきが多いのです。

 

医者は自分が病気になれば病院も医師も選びます。

とくに手術や特殊な検査や治療などの場合は良い先生をもとめてどこへでも行きます。

それは医者が経験的に医者を選ぶことの大切さを知っているからです。

一方、普段のお薬をもらうとか風邪などの小さい病気の場合は近くの医院や病院、いわゆるかかりつけの先生が良いでしょう。

 

現代はセカンドオピニオンが使える時代ですので、主治医の先生にセカンドオピニオンのための紹介状を書いて戴くのが良いでしょう。

気持よく書いてくれる先生なら良い先生であると言えますし、書くのを渋る先生では何か問題があるかも知れません。

 

一生に一度あるかないかの大きな治療の場合はこうして万全を期して悔いが残らないようにしたいものです。

病院や医師を選ぶのは患者さんの権利ですから。


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