大震災のとき健康を守る方法――2 血液透析

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心臓手術を受ける患者さんのなかには、もともと血液透析を受けておられた、いわゆる慢性血液透析の患者さんが少なくありません。

Ilm09_ag07002-sそうした患者さんは冠動脈狭窄や大動脈瘤や動脈閉そくをはじめ、心臓弁膜症などの病気にもなりやすいからです。

その心臓手術後、血液透析の患者さんが大震災に会われて、もし透析ができない状況になれば、これも大変です。

 

1日以内、遅くとも2-3日以内に透析病院を探す必要があります。
 

その間、せめてカリウムを含む食べ物は避けて下さい。

たとえばバナナやみかんなどですね。

近くに適切な病院が見つからない場合は、他府県でも構いませんから、早く透析病院を探して下さい。

カリウムが極端に高くならなければ、その間、心臓はちゃんと動きますし、いのちを守ることが可能です。

あわてず、落ち着いて、しかし油断なく、大切な透析の再開をはかりましょう。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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心臓手術を受けた患者さんが大震災のとき健康を守る方法――1 機械弁

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1.    人工弁(機械弁)をおもちの患者さん:

StJudeValveこれはとくに重要です。ワーファリンが1-2日切れてもただちに大問題になることは少ないですが、一日も早くワーファリンを再開することが生きるために必要です

そのために日頃からワーファリンを少し余裕持って温存しておくことと、普段の使用量を覚えておくことが役立ちます

 

もしプラザキサが入手可能なら安全に大変貢献します。

75㎎カプセルを2つ、それを一日2回服用できればかなり血栓は予防しやすいでしょう。

機械弁の抗凝固療法としてプラザキサが十分であるという確証はまだありませんが、理論的にはかなり良いことが予想されます。

このままではダメというときの緊急避難としては良いでしょう

一日も早く病院を探してワーファリンを再開する、それまではせめて脱水を防ぐ、バイアスピリンやパナルディン、プラビックス、アンプラーク、エパデールその他の抗血小板剤が手元にあれば、あるいはご家族や友人が持っておられたら、1錠でも飲んでおけば、約数日―1週間はある程度以上の効果があります。

病院へ電話やメールの問い合わせは通常できませんが、私の患者さんの場合はできる限り対応できます。それからツイッターやフェイスブックなら連絡がつくことがありますので、覚えておいて損はありません。

ともあれ大丈夫なうちに至急、病院へ行く手段を考えて下さい。

 

納豆

納豆は小さい容器1つ分でもワーファリンを完全に中和します。機械弁の患者さんは決して食べないように。

そしてくれぐれも納豆を食べないように。

 

食べたら1日以内に死亡のリスクが起こります。

 

機械弁ではなく、心房細動のためにワーファリンを飲んでおられる方も、上記よりは多少余裕はあるものの、できるだけ早くワーファリン再開への努力をお願いします。

この場合も上記の抗血小板剤の一粒でも役に立ちます。

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執筆:米田 正始
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元・京都大学医学部教授
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東海テレビのスタイルプラスで出演いたします

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緑が美しい季節になりました。みなさま如何お過ごしでしょうか。

名古屋ハートセンターは開設4年目、年々手術数も質も向上し、いまや北海道から沖縄まで、全国あちこちから患者さんが来て下さる心臓専門病院になりました。

大変光栄なことと、うれしく思うとともに、その責任の重さを感じています。

そうした中で地元では有名な番組、東海テレビのスタイルプラスから取材申し込みを戴きました。

東海仕事人列伝というコーナーで、6月3日日曜日正午から私、米田正始の仕事風景や患者さんとの協力場面などを通じて、心臓外科医療の実際をご紹介下さる予定です。

僧帽弁形成術などの心臓手術を小さい創で、骨をなるべく切らず、患者さんの体やこころの負担を軽くし、早い仕事復帰や社会復帰をはかる、ミックス手術ポートアクセス手術の現場や、難手術のひとつと言われる再手術を通じて、これまで何を求めて努力して来たか、あるいは医療のありかたはどうか、などが放送されそうです。

一部の大学病院などではなかなかできない、患者さん目線のキメの細かい、しかし足腰が強く迅速でベストタイミングで質の高い医療や心臓手術を提供するハートセンターの雰囲気も見て頂ければ幸いです。

また番組内容に対するご意見やご指導を頂けましたら、ぜひ参考にさせて頂きたく思います。

それではみなさん、6月3日にはよろしくお願い申し上げます。(追記:その放映録画はこちら

 

名古屋ハートセンター

心臓血管外科統括部長(豊橋ハートセンター副院長兼任)

米田正始 拝

 

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お便り59: 被災地支援へ!ポートアクセス法の僧帽弁形成術を受けられた患者さん

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東日本大震災やそれに続く福島の原発事故では大変な被害がでて皆ilm22_aa01062-sができる協力をしながらもまだまだ不十分と申し訳なく思っています。

そうした中で、その被災地へ転居し、みずから全身で被災地のために貢献しようと言うかたが、私の知人の中に何人かおられます。

せちがらい世の中で勇気を頂いた、心が温まると言う以上に熱くなることです。

自分自身は被災地へ転居するだけのパワーはなくても、せめてそうした方々の応援はしたいと強く念じています。

以下の患者さんもそのひとりで、被災地福島へ行こう、しかしその前に心臓弁膜症僧帽弁閉鎖不全症)を弁形成で治 Ilm09_ak02020-sしてから、ということで私のいる名古屋ハートセンター心臓血管外科外来へ来られました。

患者さんはエホバの証人の信者さんのため、輸血ができないという制約下での手術でした。

しかし皆で高い志をもって頑張り、患者さんは心臓手術も大成功で、しかもポートアクセス法というミックス手術(低侵襲手術)つまり体に優しい手術ということもあり、すぐ元気に回復され社会復帰されました。

少ない痛み、早い回復と社会復帰がこのポートアクセス法心臓手術の特長ですが、無輸血手術の達成にも一役買っています。Ilm17_da05016-s

以下はその患者さんからのお便りです。

頑張ってげんきになって頂いたことをうれしく思うとともに、これから福島で素晴らしい仲間たちとすばらしい人生を送って頂きたく念じています。

 

**********患者さんからのお便り**********

 

米田先生へ

土曜日に無事退院を迎えるにあたり、先生に感謝の気持ちをお伝えしたく、お手紙を書かせて頂きました。

心臓に疾患があるとわかった当初、私がエホバの証人であり無輸血で手術を受けたいとの希望があった為、当時診て頂いていた病院で「協力的な医療機関を見つけるのは難しいだろう」と言われました。

主人がネットでこちらの病院を探し、失礼を承知で米田先生に直接メールをさせて頂いた所・・・先生は本当に御多忙であるにも関わらず10分もしない内に「是非診察させて下さい」との温かい御返事を下さり、心底ホッとしたのを今でも覚えています。

(実は先生からのリターンが想定外に早過ぎた為、返信にしばらく気づけず、こちらの返事が遅くなった事は、大変失礼致しました。)

 

実際、初めてこちらのセンターに伺い、先生とお会いし、明瞭なデータ分析と説明と力強い言葉の数々を頂き、私は心臓疾患に関して無知であったのに、非常な安心感と自分の身体への明確な理解を得、先生に是非手術をお願いしたいと素直に思えました。

 
入院してからも本当に丁寧なインフォームドコンセントにより、本来は難解であろう医療用語や手術方法が先生の巧みな言葉の分解により、患者側が受け入れ易い情報に変換されて、私自身が受け入れたい製剤や代替案を本当に決定し易く感じ、有り難く思いました。

 

先生は人の命を救う事に心を砕いて、全ての労力を傾けておられる方ですから、私がエホバの証人であり、自分の良心上、受け入れたくなかったFFPに関しての決定をお伝えした時も困惑されと思います。

それでもワガママな患者として邪険に扱うのではなく、信念を持った一個人としての尊厳を尊重しつつ接して下さり、その点は感謝をどれだけお伝えしても、伝えきれません・・・。

 

私のお願いの為に、手術の止血の時にもかなりのお時間を取らせてしまったにも関わらず、その後も変わらず温かい態度と優しい笑顔で接して下さった事は、私とって本当に嬉しい事でした。

 

患者の側が、素晴らしい人柄と高度な医療技術を兼ね備えた医師に出会い、治療を受けられるのは非常に恵まれたケースだと感じます。

私の様にエホバの証人である場合には特にそう言えます。

今回、私は高い技術を持っておられるにも関わらず、患者の目線で温かく対応して下さる米田先生に出会い、治療して頂く事が出来、これからも身も心も平安に過ごせる様にして頂いた事を、心より感謝しています。

きっと今後も私の仲間の者達が先生を頼ってこちらに来させて頂くと思いますが何卒宜しくお願い致します。

 

米田先生・・・本当に毎日御多忙だと存じますが、くれぐれもお身体に気を付けて下さいね。

お世話になりました。

敬愛と心からの感謝を込めて・・・

** **

 

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お便り58: 弁膜症の再手術を乗り越えた血液透析の患者さん

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Ilm09_ag07002-s慢性腎不全・血液透析の患者さんは動脈や心臓の弁が壊れやすいことが知られています。

患者さんは以前に大動脈弁置換術を受けられた80歳近い透析患者さんですが、しだいに僧帽弁も壊れ、狭くなり僧帽弁狭窄症を合併されました。

心不全が悪化し透析もやりづらいという困った状況になりました。

 

ご家族が米田正始のホームページを探し当て、連絡を取ってこられました。

岐阜県の山間部からはるばる来院されました。

担当の先生も、患者さんが生きる最後のチャンスと全面的に支援くださり、大変良いチームワークで入院までの連携作業ができました。

 

Ilm17_da05006-sしかし調べてみますと上行大動脈に石灰化があり、しかも肺機能もかなり悪く、年齢も比較的ご高齢のため、あまり本格的な心臓手術にも難があるという厳しい状況でした。

僧帽弁じたいも血液透析の患者さんによく見られる石灰化が高度な病変で、単純には人工弁を取り付けにくい状態でした。

さまざまな工夫をこらして脳梗塞を予防しつつ、僧帽弁にアプローチし、十分な視野を確保してから、超音波破砕法(CUSA、キューサ)などを駆使して石灰化を十分にとり、人工弁を縫い付けました。

石灰を取り去ったあとの組織が大変弱いため、十分な補強をかけてまとめました。

三尖弁も形成術を行い、良い形になりました。

大変ハイリスクな患者さんでしたが、よく頑張って下さり、順調に回復され、翌日には一般病室で運動を始めるほどでした。

以下はその患者さんのご家族からのお礼状です。

 

**********ご家族からのお便り***********

 

米田先生
 

いつもより遅い春の訪れでしたが、飛騨でも山桜が満開になりました。

今年は名古屋と飛騨高山で二度の桜を楽しみ、喜びひとしおの春を迎えさせていただきました。

お便り58この度は父****の入院、手術に関しましてひとかたならぬお世話になりましてお礼の申し上げようもございません。

先生のホームページにメールをさせていただけた事に大変感謝しております。

 

透析患者で二度目、高齢の父の手術は大変なものになりましたが、本人の意志の強さと希望と共に、先生の丁寧なご説明と的確なご判断とご処置のおかげで一命をとどめることができました。

こちらの**病院にて今迄の様に透析治療の為に通院しておりますが、病院のスタッフの方も回復ぶりに驚かれております。

さほど傷の痛みもなく、これからも生かしていただいた命を大切にしてもらいたいと、私達家族も出来る限り協力していくつもりです。

入院中も、廊下でよく声をかけていただき、付添いの母のことも励まして下さって、ありがとうございました。

 

今後も何かの際にはご指導をお願い致します。

お忙しい毎日のことと思われますが、お身体にお気をつけ下さい。

北村先生、深谷先生、佐藤先生、病棟の看護師の皆様にも大変お世話になりました。よろしくお伝え下さい。

書中にて失礼でございますがお礼の言葉とさせていただきます。
かしこ

岐阜県**市**町
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お便り57: 上行大動脈置換術後の大動脈弁置換術の患者さん

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大動脈二尖弁大動脈弁膜症を発生しやすいだけでなく、上行大動脈瘤などを合併しやすいことでも知られています。

患者さんは関西在住の69歳の男性で数年前に京都で上行大動脈瘤に対して人工血管置換術を受けておられます。

もとの術者にお聞きしますとその時点では大動脈二尖弁はそう悪くなく、そのままになっていました。

IMG_5500bこれは正しい判断だったと思います。

 

それから時間が経ち、大動脈弁が狭くなって(大動脈弁狭窄症)危険な状態となったため、名古屋ハートセンターの私の外来へ来られました。

再手術は私の得意種目のひとつであり、患者さんたちもそれをよく御存じのようで、全国から再手術の患者さんが名古屋まで来て下さいます。

 

ところがこの患者さんの場合は診察と検査で、以前の手術で植え込まれた人工血管が胸骨という骨にびったりと癒着し、一部は骨に食い込んでいることがわかりました。

Illust191こうしたケースでは骨をのこぎりで切る際に人工血管が破れやすいため、一般には極めてハイリスクと言われます。

「安全管理」と称してこうした患者さんを断る公的病院も少なくありません。

しかしこの患者さんは生きるために大動脈弁置換術が絶対必要なのです。

そこでさまざまな安全対策を立ててのぞみました。

 

結局、強い癒着の剥離には長い時間を要しましたが、手術はスムースに進み、病気で壊れた二尖弁はきれいな生体弁に取り換えられました。

さらにまだ比較的お若いご年齢を考慮し、将来はカテーテルで人工弁が入る(略称TAVIあるいはTAVR)ことができるような工夫も行いました。

同時に、もし将来何らかの心臓手術が必要となったときにも困らないように、今回は人工血管などをがっちりと守り、骨に癒着しないようにしました。

 

患者さんは術後経過順調でまもなく関西にもどられました。

まさにいのちを預けて下さる、死んでも悔いはないとまで言って下さる厚い信頼にお応えできてこんなにうれしいことはありません。

医療はやはり患者さんあってのものと改めて痛感いたしました。

 

**********患者さんからのお便り*********

 

米田先生
手術に携わっていただいた諸先生
看護師の皆様

 

お便り57大変ご無沙汰いたしております。私の大動脈弁置換手術に際しましては大変お世話様になりました。

お陰様で経過もよく順調に回復しています。

 

思えば、今年の2月上旬に京都の病院で定期検査を受け、

大動脈弁閉鎖不全症でこのままでいると心臓が送り出している血液が逆流し心不全等で突然倒れて死に至る恐れがあり、倒れた時の緊急手術もリスクが高いと聞き愕然としました。

それまでシニアー野球で投打走と又、ジムにも通い鍛えて身体的には何もなく安心していたのですが、それから一週間は悩みました。

 

しかし、同じ倒れて手遅れになるより手術をして元の生活へ戻れるのであれば早くやろうと決心しました。

その時、家内がテレビでスーパードクターの番組をよく見ていて、気にかかる病気の名医のお名前と病院を記録していましてその中で米田先生を知る事になりました。

弁置換術においては沢山の手術を手がけられいろんな修羅場を潜ってこられた先生とお聞きし、同じ手術を行うのであればGod Handと言われている米田先生にお願いしようとお探ししました。

 

前京都大学病院に勤められていたと聴いていたのですが、代わられていて名古屋のハートセンターへ勤務されている事を聞き早速電話をして受診をお願しました。

当日はエコー検査、CT検査等を行い映像やデーターを基に米田先生から私の現在の心臓の状態と手術の方法やリスク等懇切丁寧に解りやすく説明して頂きました。

「手術は任して下さい。後はあなたのリハビリ次第で回復も早くなりますよ」と自信に満ちたお言葉を頂きお願いしようと決心しました。

 

又、私が4年前別な病院で大動脈瘤の手術を行いかなりの癒着もあり、米田先生が前の手術を行った先生をご存知で情報をとって頂きより安全な方法で手術を行うことにしました。

そして、2月27日に入院いたしました。

病院の前の学校のグランドに集う学生の元気な姿を見るにつけ「もう一度元気になってスポーツをやりたい。ガンバルぞ!」という気持になり勇気が湧いてきました。

 

そして3月2日手術の日を迎えました。当日は、意外と落ち着いて手術室へ行き2~3分の内に全身麻酔がかかり、家族の心配をよそに眠ってしましました。

 
翌朝に目を覚ましましたが、先生や看護師さんの優しいお顔が目に入り、再生さして頂いた実感がこみ上げてきました。

丁度、浦島太郎の感覚でした。

 

手術した翌朝の朝までが本当に短い時間に感じました。

それから3日にはベッドに座れる様になり、5日目から歩行が出来る様に成りました。

8日を過ぎると食事もすすみ、痛みは有るものの院内の階段を1F~5Fまで上り下りするまでになりました。

院内散歩が唯一の楽しみになりました。

そして3月14日に無事退院する事が出来ました。

米田先生のオペの技術は勿論の事、手術に携って頂いた諸先生方、看護師の方々のチームワークは最高と思われます。

それは手術後のケアについてもよく分かりました。

回診時に手術を担当された先生方が優しく丁寧に術後の状態を診て頂き私達の不安を取り除いていただきました。

 

又、ベテランの看護師さん・若い看護師さん方のテキパキとした対応や気配りや笑顔はどんなに私達患者の心を癒して頂いた事でしょう。

その他、美味しい食事を造って頂いた栄養士さん・調理師さん、お茶や食事の準備をして頂いた方々、部屋を清掃して頂いた方々、その他、たくさんのスタッフの皆様へ支えられ 無事に退院する事が出来ました。

 

現在は、胸に違和感は少し残っていますが痛みもとれて、毎日散歩に花見や自身の野球のチーム練習の球拾いをやりながらリハビリに務めています。

本当に有難う御座いました。米田先生他、手術に携って頂いた諸先生方、看護師の皆様、その他スタッフの皆様方のご健康とご活躍、そして名古屋ハートセンターのご発展を心よりお祈り申し上げます。

 

2012年4月19日

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お便り56: 心室中隔欠損症VSDと肺動脈弁狭窄症の手術を受けられた若者

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心室中隔欠損症(略称VSD)はこどものころに検診で診断され、穴の大きな方はこどもの時期に手術で治すのが一般的です。

しかしさまざまな理由で診断がつかなかったり、あるいは手術の決心がつかなかったりで大人になって手術を受ける患者さんも少なくありません。

この病気の場合は血液が左室から右室へ漏れるため、その量が多いケースでは次第に心臓の負担が蓄積して長期的にはさまざまな問題が起こります。

逆に穴が小さいときには自然に閉鎖して治るため、心臓手術が不要です。

Hana_9そこで心臓手術をすべきかどうかの判断や、患者さんがその判断に納得され、決心できる状況・環境が重要になるわけです。

まして患者さんがエホバの証人の信者さん場合、輸血は信仰上の理由からできませんので、リスクが上がり、手術の判断・決断はいっそう微妙となります。

つぎのお手紙はこうした状況の20代の患者さんが、長い間悩みに悩み、またご自身で勉強もされ、縁あって私の外来に来られてじっくり相談し、そののち手術で見事に健康を回復されたあとの礼状です。

この患者さんの場合は、穴が大きく、肺に流れる血液量が全身に流れる血液量のなんと5倍に達し、そのため肺動脈弁も狭くなって(肺動脈弁狭窄症)いましたのでどちらも直し、手術の効果は大きかったです。

「寒さに震えたものほど太陽の温かさがよくわかる」という諺がありますが、それを想い出させてくれるような、つらい日々から脱却された喜びが伝わってきます。

 

************患者さんからのお手紙*********

 

米田 正始先生

今年の4月4日に心室中隔欠損症の手術をして頂きました。****です。

 

先日11月22日に検査して頂き、とても良い結果だったこと、米田先生の方からわざわざ会いに来て下さったことはとても嬉しく、感謝しております。

「もう普通の健康体と同じ」と言って頂けた事は、今でも信じられないほど嬉しい言葉でした。

4月4日と11月22日は自分の人生の中でとても重要な日になりました。

せっかく健康になったのだから何か新しい事に挑戦してみたいと思いパソコン教室に通い始め、つい先日ワードの資格を取ることができました。

これからもっともっと色んなことに挑戦していきたい思います。

手術をして頂いてから本当に自分の世界が変わりました。

今年は本当に良い年だったと心から思えます。

毎年寒い時期は調子が悪く年末になれば仕事も忙しいため、気分も沈みがちですが、今年はとても穏やかで前向きな気持ちで過ごすことができそうです。

両親も健康になった自分を見てとても喜んでいます。

 
これらは米田先生や北村先生、深谷先生、小山先生、そして名古屋ハートセンターの皆様のおかげだと思っております。

心から感謝しております。

本当にありがとうございました。

 

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お便り55: 冠動静脈ろうのエホバの証人の患者さん

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冠動静脈ろうはときに見られる冠動脈の異常です。

冠動脈から冠静脈を経由して右房や肺動脈その他の比較的圧Ilm09_ad07002-sが低いところへ血液が漏れるため、大切な心筋へは十分に血液が届かず、狭心症が発生します。

胸が痛くなったり、からだを動かすと息切れがするなどですね。

この冠動静脈ろうへ冠動脈の狭窄(狭くなること)が合併すれば、その部位によっては血液の漏れがさらに増えて危険なこともあります。

またそうした「漏れる」状態が続くと、そこでの血流量が増えすぎて冠動脈がこぶのように膨らみ(冠動脈瘤と呼びます)それが破裂すれば即死するなどの問題も起こります。

次のお手紙は、このかん動静脈ろうの手術を受けられた患者さんからのものです。

エホバの証人という宗教の信者さんでしたので、輸血はできないため、さまざまな工夫をこらして手術・治療を行い、うまく行きました。

 

冠動静脈をまず高速エコーとドップラーで正確に同定し、これを入口、出口を含む数か所で閉鎖しました。

どこにも異常血流が残っていないことを確認しました。

止血を徹底的に行ったのはいうまでもありません。

 

輸血を拒否する患者さんを治療しない病院が多いなかで、信仰の自由を守りつつ、医療安全とくに心臓手術の安全を確保する努力を私たちは続けています。

皆様のご意見やご指導を頂けましたら幸いです。

 

***********患者さんからのお手紙*******

 

Ilm10_de02014-s米田 正始先生へ

この度は、先生の技術を活かして父の手術を行って下さったことに心より御礼申し上げます。

とりわけ私達エホバの証人の信条に多大なる理解を示し手術をして下さったことに深く感謝しております。

私どもの信条ゆえに多くのお願いを致しましたが、先生が寛大に、辛抱強く聞き入れて下さり、大変嬉しく又心強く思いました。

先生のご理解と素晴らしい技術がなければ元気に回復した父の姿はなかったと思います。

これからもご多忙な毎日を送られると思いますが、お身体には十分お気をつけ下さい。
 

先生の益々のご活躍を心より願っております。

引き続きお世話になりますが、何とぞよろしくお願いいたします。

心からの感謝とともに  *****(実娘)

 

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お便り54: ポートアクセス法で僧帽弁形成術を受けた若者患者さん

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心臓病は今も昔もおおごとです。少なくとも患者さん目線からは。

弁膜症の場合も同様で心臓手術をすれば治りますといっても、会社や学校からしばらくは離れる必要がありますし、創が残るとあとあとつらいのではないかとか、そもそも手術の危険性はどうなのか、普通の生活に戻れるのか、長期的に大丈夫なのかなど、患者さんの悩みや不安は尽きません。

Ilm10_df01003-sそうした不安や期待に応えるのが弁形成手術でありミックス手術(ポートアクセス法などの創が小さい手術)なのです。

僧帽弁形成術を例にとれば、いったんきれいに決まれば、長期間の安定性が良く、ワーファリンなどの強いお薬を飲ますにすむことが多く、自然な普通の健康生活が送りやすくなります。

ポートアクセス法に代表されるミックス手術では、おなじ僧帽弁形成術でも、骨を切らずにすむため、より痛みも少なく、より早い社会復帰ができ、創も目立たないため心の傷もつきにくいというメリットがあります。

しかし僧帽弁形成術は一般的には必ずしも簡単な手術ではありませんし、ましてミックス手術でのそれとなると一段と難易度が上がります。

私たちはその安全で確実な手術に取り組んで来ました。それが患者さんのお役に立てることを大きな喜びと感じています。

以下はこの手術を受けられた20代若者のお母様からの感謝状です。

そのあとに続編のお手紙もあります。

お役に立てた喜びと、責任の重さに身が引き締まり、また光栄と思います。

 

****************************

 

米田 先生

****の母、*****です。
 

北村先生方々からの退院の許可が下りましたので、3月24日(土)に、退院いたしました。

患者さんのお母様からのメールです本来なら、米田先生に直接、お礼を申し上げてから退院させて頂こうと思っていましたが、

韓国へのご出張を伺っていましたので、メールで失礼させて頂きます。
 

入院中は、米田先生だけでなく、北村先生、深谷先生、小山先生にも、また、看護士の方々にも、優しく、丁寧に、心温まる対応をしていただき、本当に、ありがとうご
ざいました。

 

大学の検診で「心雑音あり」と言われ、その後「心臓弁膜症」と診断されてから、名
古屋ハートセンターで最初の先生の診察をして頂く迄の、とてもつらい、暗い毎日か
ら比べると、

親子ともに、「笑顔」で退院を迎える事ができ、あの日々がうそのような、平穏な明るい日を送り始めています。

MICSなので、今後、「ライブ」で、何も気にせずに、胸の大きく開いた服を着ること
もできるし、弁形成なので、今後、「ワーファリン」の煩わしい(?)注意もしなくてす
むので、心から感謝しています。

本当にありがとうございました。

今後も検診等でお世話になりますので、また、よろしくお願い申し上げます。

 

*******************************

Ilm2007_01_0800-s上記の心温まるメールを戴きましたので、お礼かたがたこのメールをHPに掲載させて下さいとお願いしました。するとそれなら他の迷える患者さんたちのためにと、掲載承諾だけでなく加筆して下さいました。

それがつぎのメールです。

実によく勉強し、考えられたことが判ります。これからの患者さんの進むべき道を示して頂いたような気がいたします。

またこれほど過分なお言葉と信頼をいただき、手術させて頂き、良い結果を出せたことをあらためて光栄に思います。

 ******************************

 

息子が循環器内科の先生に「弁膜症」と診断された時、息子には、全く自覚症状が有
りませんでした。

それどころか、1日、目一杯、学校、スポーツ、バイト、遊びと青春
を謳歌していました。

(また、家族も心臓に問題を抱えているとは、どうしても、信じ
られませんでした。)

内科の先生は、手術の可能性は5分5分と言われましたが、手術部分が「心臓」だけに、

親子ともに、絶対に、したく有りませんでした。

その手術判断は、外科の先生にしていただくようでした。

もし、手術しないといけないなら、途中で先生を変えるのも、色々と大変なので、

初から、お願いする先生の所に息子を連れて行きたいと思いました。

大きな総合病院では途中で、先生が変わる時もあるそうです。

よって、色々と調べてみました。わかった事は、

※「弁膜症」は逆流の度合いで
・経過のみ定期的にチェックする。
・内科で薬等で悪化しないようにする。
・外科で根本から、又は今より良い状態に手術する。
 

※ 手術のタイミングの判断は内科と外科の先生で分かれる事がある。
 

※ 手術の判断の医学的なガイドラインがある。

※ 手術の種類として自分の弁を修復する弁形成と、弁自体を取り替える弁置換手術がある。
※ 術後を考えると弁形成の方が良い。

※ 弁置換には機械弁と生体弁が有り、機械弁は生涯ワーファリンという薬がいる。

※ 弁形成のできる先生は、まだ日本にも少なく、その上、先生の手術の「うで」に大
きく術後が左右される。

※ 手術方法として骨を切らないMICSがあるが、できる先生はさらに限られる。しかし
術後の見た目もよく、社会復帰も早くできる。

※ 弁形成として手術をしても開胸後の状態で弁置換にかわる場合がある。

これらの事より外科の先生を捜す条件を出してみました。

(1) 弁形成をして下さる先生

(2) MICSをして下さる先生

(3) 医学的根拠に基ずいて、手術の有無を判断してくださる先生

(4) できればGoodやbetterではなくBestの先生

(5) 手術中、弁形成→弁置換の可能性が出てきた時に、医学的な切り替え判断ぎりぎ
り迄弁形成にこだわってくださる先生

(6) 手術が保険でできる事

(7) 自宅近くの病院

これらの条件を考えて捜していた時に、開業医の先生から、名古屋に良い先生がいらっしゃって、紹介状を書いた方から「感謝された」事と、

総合病院より、心臓専門の病院に行った方が検査やアフターケアーも含め、時間的な事等、色々と良い場合が多いと伺いました。

その名古屋の先生が米田先生で、弁形成、MICSもされ、手術のガイドラインを作られ
た先生方のお一人でした。

米田先生は「神の手」「スーパードクター」「世界的権威」
の形容詞がついておられる先生で、先生のHPの手術例から(5)の条件も頑張って下さっているのがわかります。

私たちが、探し当てたBESTの先生でした。

MICSも弁形成も保険適用です。

 

名古屋は関西からはちょっと遠いですが、診察時間や、診察と色々な検査が一度に済
むように配慮していただいたので、実際は「距離は遠いが、先生、病院と患者の距離
は近い病院」でした。

米田先生はどんな質問にも、やさしく、くわしく、丁寧に答えて下さいました。

先生が、かなり多くの患者さんから、色々質問された事がわかるお答えでした。

先生のお話は、本当にわかりやすく、いつの間にか、手術に対する不安はなくなりま
した。

名古屋ハートセンターに行く迄、「手術はしない」と言ってた息子が、先生の
最初の診察で、その場で「手術をしていただく」と決断し、一度もぶれることもあり
ませんでした。

入院中は、他の先生方にも優しく接していただきましたし、また、看護士さん同士の
連携の良さには驚かされました。

退院後にわかった事は、私たちの知らない間に、名古屋ハートセンターに行く迄にか
かわった開業医の先生、地元の循環器内科の先生に、米田先生が、何度となく電話、
FAX等を入れて下さっていた事です。

心から感謝しています。

本当に、名古屋ハートセンターに行って良かったと思っていますし、
米田先生には、息子の「明るい未来」を頂いたと確信しています。

色々ありがとうございました。

そして、今後もよろしくお願いします。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り53: 修正大血管転位症と三尖弁閉鎖不全症の患者さん

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修正大血管転位症は医学が進歩した現在も油断ならない病気です。

右心室という小さいポンプが左心室という大きなポンプの役割を果たさねばならない病気で、そのために長期的には無理が生じてしまうからです。

医学教科書では、心室中隔欠損症や肺動脈弁狭窄症などを合併しなければ予後は良いとされていますが、修正大血管転位症で60歳以上まで生存するひとは少ないのです。

 

しかしその死亡原因をみると、解決策がある程度以上は見えてくるのです。

たとえば心不全、三尖弁閉鎖不全症(通常の心臓でいう僧帽弁閉鎖不全症に相当します)、房室ブロック、不整脈などなどがあります。

逆に、それらを一つひとつ入念に治療あるいは予防して行けば、予後はもっと良くなるはずです。

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そこで、私たちは拡張型心筋症の手術や治療の経験を活かし、かつ先天性心疾患の治療経験を活かして、この修正大血管転位症の患者さんの治療にあたっています。

元気に長生きする記録を更新しましょうと頑張っています。

 

下記はその修正大血管転位症に三尖弁閉鎖不全症を併発し、最近三尖弁の手術を受けられた患者さんのご主人さまからのお手紙です。

まだ30代というお若いご年齢から、将来を見据えた心臓手術だけでなく、その後の薬の使い方で、さらに予後を良くしましょうと患者さんや地元の先生方と相談して、チームワークで治療をしています。

 

********患者さんのご家族からのお便り*******

 

名古屋ハートセンター 心臓血管外科 御中 米田先生様

このたび、3月1日手術で大変お世話になりました、*****の夫です。

丹後もやっと桜が満開になり春らしくなってきました。

 
術後の経過も、順調で末っ子の入学式に無事出席できました。
患者さんのご主人様からの礼状メールです

手術前、入学式には出たいとの希望が叶いましたのも、
名古屋ハートーセンター・先生方看護師スタッフの皆々様のおかげで感謝申し上げます。

 

****病院・**先生様の連携にも
ご尽力いただき安心して暮らしております。

ネットで名古屋ハートーセンターのHPを見つけて
手術室の笑顔の集合写真を見たときに
この病院ならなんとかしてくれると直感しました。
 

1月11日のメールにすぐにご返信いただいてから
1月19日検査入院・3月1日手術とレスポンスの速さに
名古屋ハートーセンターでよかったと感謝感謝です。

米田先生、ありがとうございます。

今後とも、妻の経過診察よろしくお願い申し上げます。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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