お便り62: ミックスの僧帽弁形成術と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん

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患者さんは医師に向かってまだまだ意見を言えないものです。

そのため不本意な病院の不本意な状況で心臓手術を受けてから後悔しておられるケースも少なくありません。

Ilm10_df01001-s下記の患者さんは勇気を出してご自分が納得する病院でご自分の希望する医師に相談して健康を勝ち取られました。

もともと入院していた病院では僧帽弁形成術そのものができないかも知れない、しかもバーロー症候群に対する複雑弁形成で、心房細動のためメイズ手術もひつようですから余計に難しい。ましてミックスつまり小さい創できれいに治す手術などありえない、しかも冠動脈バイパス手術というおまけまでついた大きな手術など、という状態でした。

しかし一本のメールですぐ緊密な相談がはじまり、まもなく一回の外来で精密検査ののち方針決定しました。

大きな悩み・複雑な手術もまずは相談からです。あたって砕けろの精神で、一生にたぶん1度かそこらしかない大きな手術には十分聴き調べ考えて、ご自身で最終決定することが勧められます。

そこで遠慮は要りません。何でも聴いて真剣に考えることが一番です。

そのお手伝いをしっかりやるのが私たちの仕事です。

 

******** 患者さんからのお便り ********

前略

米田先生はじめ、名古屋ハートセンター心臓血管外科の先生方には大変お世話になりました。おけがさまで手術後は順調に回復しています。

 

お手紙封筒

頂いたお手紙はワープロ印刷でしたので、手書きの封筒宛名をお示しします

事の起こりは昨年の10月、不整脈で脳貧血状態になったことからでした。

 

救急車で***病院に運ばれ検査を受けた折、心臓の弁に異常があり、血液が逆流していると診断されました。

 

昔から不整脈があり、10年前にカテーテル治療を受けた経験がありましたが、その後の検査や健康診断でも弁や他の血管に異常があるとは診断されたことがなく、まさに寝耳に水でした。

その後3ヵ月間経過観察があり今年の1月に診察を受けると、弁の閉鎖不全が特殊な状態で、手術をする場合弁形成ではなく弁置換になるかもと診断されました。

あわててインターネットで色々調べた結果、米田先生のホームページにたどり着き、名古屋ハートセンターに連絡をとりました。

紹介状など何もない状態の全く飛び込みの電話だったのですが、すぐにコーディネーターの方が対応して下さり、米田先生の診察日に予約が取れました。

 

診察をしていただくと、すぐに血液検査、心エコー、心電図、レントゲン、CTの検査をしてもらい、その日のうちに結果と状態を説明していただきました。

先生の診断は「あなたの弁の状態はバーロー症候群と呼ばれる病気で弁形成は難しいですが大丈夫、できますよ。」と力強くおっしゃっていただけました。

その場で私と同じような症例の患者さんの術前と術後の心エコーを見せていただき、術式を丁寧に説明していただきました。

先生の言葉と、数々の症例や手術の回数などからここで先生にお任せしようと思い、手術日まで決めて自宅に帰りました。

 

3月2日に入院し、手術前のカテーテル検査で冠動脈が1本完全に詰まっていることが判明し、弁形成の手術に冠動脈バイパス手術が追加されました。

ちょうど天皇陛下のバイパス手術のニュースが流れていた時期でもあり、自分もそんな大変な手術をするのと少し不安になりましたが、逆に早く見つかって良かったと思いなおし、この際心臓の悪いところはすべて治してもらおうと腹を決め、手術の説明を聞きました。

入院後は手術日の5日まで毎日、米田先生はじめ北村先生、深谷先生、小山先生が回診以外にも病室に来て下さって色々話していただけたので患者にとっては心強く感じました。

病気の内容が心臓なので、命を預ける患者にとって、医師との信頼関係はとても大切だと思います。

その点先生方はこちらが納得いくまで、色々詳しく説明していただけたので安心してお任せすることができました。

 

3月5日の手術日は弁形成とバイパス手術に不整脈のメイズ手術もお願いしたので合計9時間も手術室にいました。

待っている家族には大変心配をかけましたが、術後すぐに米田先生が手術の状況と結果を詳しく説明していただけたのでみんな安心していました。

 

術後は順調で傷が痛むくらいで、心臓以外は全く元気だったので、10日後の15日に退院するまで看護師の方々に色々わがままを言って困らせてしまい申し訳ありませんでした。

退院後は心房細動で2度ほど点滴を打ってもらいに行きましたが、今は薬をもらって不整脈もだいぶ落ち着いてきました。

 

まだまだ傷の痛みはありますが3月末から職場に復帰し、普通に仕事をしています。

あまりに前と変わらないので、心臓の手術をしたことをまわりの人たちが忘れてしまっているようで、何の配慮もないのがちょっと残念です。

それだけ医学の進歩がすごいのと、手術が素晴らしかったのだと思っています。

 

正直なところ、手術前は、たまに不整脈があったり、動悸がするくらいで特別苦しい症状があるわけでは無かったので、****病院では症状が出て苦しくなるまで薬で抑える方法も提案されましたが、思い切って名古屋ハートセンターに電話して相談して良かったと思います。

米田先生はじめ、北村先生、深谷先生、小山先生、看護師のみなさんには本当にお世話になりました。

ありがとうございました。

 

最後になりましたが、先生方、看護師のみなさん、これからも体に気をつけて多くの患者さんのために頑張ってください。

名古屋ハートセンターがあるというだけで我々患者はとても心強く感じます。

これからも何かあったら、いや、無くても顔を出そうかと思います。

その時はよろしくお願いします。

草々

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん

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デービッド手術は現在も大きな心臓手術のひとつで、心臓外科の豊かな経験を必要とする領域のひとつです。

Mie ilm23_ea01001-sこの手術は患者さんご自身の大動脈弁を温存し、必要に応じて手直しつまり弁形成して、その外側を人工血管で守るという、繊細なデザインと手技を必要とします。

そのため豊富な経験が必要で、手慣れている施設が少ないのです。

とくにこのデービッド手術をミックス(MICS)つまり小切開低侵襲手術で小さい創で行うにはさらに経験や技術が求められます。

以下の患者さんは、こうした手術をもとめてやや遠方からお越し下さいました。

もとの病院ではセカンドオピニオンの依頼状さえ当初は拒否されるという厳しい状況の中を勇気を出してご自分の信念を貫かれました。

なんとなくその場の流れに負けてしまうと、機械弁をもちいたベントール手術になりかねない、それもあまり熟練しないチームで、実績のない中での手術という現実を見抜いてのことでした。

現代は、医師や病院を選ぶのは患者さんの権利です。

じっくり考え、多角的に意見をもとめたり情報を集めてから心臓手術を受けるというのはごく普通のことなのです。

それを否定するような医師や病院は考え方の根本から間違っていると申せましょう。

 

お手紙は当院のご意見箱に記名入りで入れて下さいました。

 

**********患者さんのご家族からのお便り********

PtLetter61他の病院でセカンドオピニオンを拒否され、家族は途方にくれ頭の中は真っ白になり、ネットで調べていた名古屋ハートセンターにメールをしました。

メールの返事もすぐに頂き、早い対応をして頂き、大手術となり、術後も回復よく元気にして頂きました。

ハートセンター心臓血管外科は国内、世界にもない最高の医療だと思います。

全国でも心臓疾患に悩みの方、ぜひハートセンター心臓血管外科にご相談され検査される事をお勧めします。

私たち家族に命を頂き、感動と感謝でいっぱいです。

米田先生、北村先生、深谷先生、小山先生、お世話になった全スタッフの皆様ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

平成24年5月7日

三重県********

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お便り60: ベントール手術後10年の患者さんから

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患者さんとの信頼関係、人間関係は時間が経っても、というより時間とともに深まるような気がします。

Bentall surgery京大病院にいたころに手術させて頂いた患者さんたちとの交流もそうした雰囲気のなかで大切にしています。(患者さんの会のページをご参照ください)

下記のお手紙は、10年まえに、ベントール手術(右図)というやや大きな心臓手術のために四国からお越し下さった患者さんのご家族からの礼状です。

当時としては比較的新しい、ステントレス弁という高性能の弁をもちいてミニルート法という方法で手術を行いました。そうしておけば、将来弁が壊れてもしもの再手術になったとしても、その手術がより簡単により安全になるという考えによるものです。

Hana_5その患者さんのご主人様も、その後、同じ病気のためベントール手術を受けられ、元気になられました。

後年、この患者さんが黄斑部病変という眼の難病にかかられたときにも、私に相談くださり、その道のエキスパートである京大病院眼科教授の吉村先生にご紹介し、視力を回復されました。お役に立ててうれしく思った次第です。

いつも思うことですが、心臓手術を受けられた患者さんが、身の上相談や、そのご家族を紹介して下さることはこのうえない喜びです。信用して下さったことを光栄に思うからです。

 

********患者さんのご家族からのお便り*******

 

謹啓 吹き抜ける風がなんとも心地良く感じるころとなりました。
 

米田先生にはご壮健にてお過ごしのこととお喜び申し上げます。

先日は、母がお世話になりまして誠にありがとうございました。
 

PtLetter60久しぶりに米田先生にお会いすることが出来母と共に本当に嬉しく思っております。

今回の検診はちょうど術後10年の節目だっただけに、米田先生にお会い出来た喜びはひとしおでした。

 

10年前、米田先生にお会いした時のことは今でもはっきりと覚えています。

突然の医師からの宣告で“母を失うかもしれない”というとめどなく押し寄せてくる不安に押しつぶされそうになりながら診察室のドアを開けました。

初めてお会いする米田先生は威圧感のようなものを全く感じさせることなく、家族にも実にわかりやすく説明して下さいました。

その時、患者とその家族にそっと寄りそって下さる先生だと直感いたしました。

そして、お話をして下さる時のまっすぐで誠実な米田先生の目を拝見した時「米田先生に母の命をゆだねよう」とその場で確信したことを今でもはっきりと覚えています。

また、不安がる術前の母に対しても何度も向き合ってお話しして下さり、最終的には母の意志を尊重して、最善の方法を選択して下さった米田先生のお医者様としてのお姿には、いつも本当に頭の下がる思いでした。

ありがとうございました。

さらに、患者の家族に対してもいつも温かく見守って下さる米田先生のお人柄にもどれだけ心が救われたかわかりません。

米田先生が新たな命を母に吹き込んで私どもの元へ戻して下さったこと、日々感謝致しております。

 

先生から渡された命のバトンを一日でも良い形でつなげていきたいとの思いでこの10年無我夢中で駆けぬけてきましたが、先日、先生に、「弁の状態が手術した時のままだ」と教えていただき、私もまた救われたような気持ちでした。

私にとっては最高に嬉しいお言葉でした。

少しずつ老いてきておりますのでこれからは今まで以上に私の課題も増えてくるかとは思いますが、これから先も引き続き良い状態のままでさらなる未来へとつなげていきたいと思っております。

 

本日は当地の初夏の味覚である小夏を一箱別送させていただきましたので、お召し上がりいただければ幸いです。

食べる前に少し冷蔵庫に入れると、さらにおいしくいただけると思います。

名古屋の方のご住所がわかりませんでしたので大変失礼かとは存じましたが、病院の方へお届けさせていただきました。

 

今後も何かとお世話になることと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

両親からも米田先生にくれぐれもよろしくと申しております。

末筆ながら、米田先生のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

謹白

平成24年5月28日

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第9回患者さんの会のご報告と御礼

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本日6月3日に、第9回患者さんの会が開催され、50数名を超える多数の患者さんたちがご出席くださいました。(写真は準備中です)

世話人の松岡さんが今回、キャンパスプラザ京都という新しい良い会場を見つけて下さり、新しくきれいでしかも格安で大いに助かりました。厚く御礼申し上げます。

諸般の事情で前回の会からしばらく時間が経っていたため、その分より力を入れてお役立ち情報を提供しようと努力しました。

Tsunami20111年あまり前の東日本大震災の教訓から、震災のときに心臓手術後の患者さんがどうやって健康を守れるか、私なりに考えるコツをご紹介しました。

私自身、軟弱で、被災地へ支援には行けず、せいぜい東北や福島の患者さんを何名か受け容れて治療させて頂くということしかできなく、申し訳ないという気持ちのなかから、この企画を考えました。ちなみに私の後輩で被災地気仙沼の、それも医師が逃げてしまった病院へ震災後入り、院長として地元のために大活躍している川島君や、これまた震災後、福島へ入って婦人科や麻酔科で貢献している河村君、あるいは福島の大学で研究して村おこしの一助にと最近福島入りした小柴君、さらには福島で貢献するため名古屋で私の心臓手術を受けて下さったOさんなどとの交流のおかげで問題意識だけはいつも持っていました。立派な友人をもつことは人生の喜びです。

講演内容は今回参加できなかった方々にもお役に立てればと、患者さんへのお知らせのページにまとめましたので、ご参照ください。

DSCF0007(1)b第九回患者さんの会では、さまざまな方々の近況報告やご挨拶も戴きました。

 

鹿児島から私の僧帽弁手術を求めて名古屋までお越しいただき、元気になっていただいたSさんにその決断のところをお話しいただきジーンとなりました。

また6年以上前に左室形成術その他の心臓手術を京大病院にて受けていただき、その後お元気になられたものの、大動脈弁閉鎖不全症を合併していから心不全がまた悪化し、昨年、心移植を受けて元気になられたWさんにもお話しいただきました。長期的に見れば、心移植までの時間を左室形成術で持たせる、その協力をさせて頂いたことをうれしく思いました。ちなみにこのWさんは当時、テレビ「世界のスーパードクター」で米田正始が左室形成術を行いそれを放映させていただいた患者さんです。

10年以上まえに、京大病院で大動脈弁置換術を受けていただき、そのときに感染のために長期間の入院を余儀なくされたSさんが、昨年名古屋にて2度目の大動脈弁置換術を受けられました。大変リスクの高い状態でしたが、スイスイとすぐ元気になられ、その後ますますお元気に活発にくらしておられるお姿をうれしく思いました。

さらに大動脈弁閉鎖不全症への手術のあと、どんどん回復し、1か月後にはオーストラリアへ旅行されたOさんの頑張りにはあらためて頭が下がりました。

また名古屋の他病院での僧帽弁形成術のあとの経過が思わしくなく、私のところへ相談に来られて、高度の心不全が判明し、その後再手術ですっかり元気になられたKさんの、あのつらい中での決断とそれによって健康を取り戻されたことをうれしく思いました。

メキシコへ留学ののち、名古屋で心室中隔欠損症の手術を受けていただきお元気に社会復帰されたYさんや、地方自治体議会の重鎮として重病を押して仕事をしておられる中、これは危険と緊急の大動脈弁手術をお勧めし、みごとその期待に応えて元気になって下さったOさんにもご挨拶戴きました。

その他さまざまな方々と再会でき、お元気なお姿を拝見でき、うれしいひと時でした。

ひとりひとりの患者さんに人生があり、苦悩と決断、そして光と意義があります。その中でひとつの重い役割を与えて頂いたこと、光栄に思います。

この会はもともと私の手術を受けて下さったかたへのお礼の会からのスタートでしたが、それ以外の患者さんも歓迎しようということで、今回からそうした方も若干名ご参加いただきました。幅広く世の中のお役に立つ会になれば最高ですので、今後もどうぞお越し下さい。

次回は今回ほど間をあけず、なるべく11月にスケジュール調整をする予定です。

またいつも大変お世話になっている世話人の松岡さん、中村さん、全さんにくわえて山田さんにも世話人に入っていただき、心強いことです。今回は東京で慶事があり、急きょ欠席になりましたが、次回を楽しみにしております。全さんには今回もおいしいお菓子を作って頂きました。京大時代からの元秘書である旧姓中村さん(現在石丸さん)には今回も応援に来ていただき、感謝しています。

それではみなさん、また11月にお会いしましょう。

ただ何か心配な折にはいつでもご連絡下さい

 

平成24年6月3日

米田正始 拝

追記:今回の患者さんの中にも、米田正始が豊橋へ異動したものと思っておられる方がおられました。心配ご無用です。米田は名前こそ豊橋ハートセンター(本店にあたります)の副院長ですが、活動拠点は名古屋で、3センター心臓外科統括部長としてほぼこれまでどおり外来も手術も名古屋ハートセンターにて行っております。

 

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執筆:米田 正始
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大震災のとき健康を守る方法――8 総じて

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Kusuri_02それぞれの病気に応じて、平素から主治医の先生に簡略でも対応を相談しておくと良いでしょう。

 

心臓手術のあとでも、何らかのお薬が必要なことはありますし、心以外の臓器のお薬は必須のことも多々ありますから。

平素から、少なくとも1-2週間分のお薬は確保しておきましょう。

それと薬はいつも持ち出せるように、所定の入れ物に保管し、枕元などにおくようにしましょう。できればいつものお薬の名前と飲む量を覚えておくと役立ちます。とりあえず小さいメモを書いて財布などに入れておくなども良いでしょう。

くすりは病気の内容によっては命綱ですから。とくに血栓予防のためのワーファリンや不整脈のお薬などですね。

震災時には電話やファックスは使えないおそれがあります

ツイッターやフェイスブックなら連絡がつきます

こうしたものも平素から親しんでおくと、楽しく一石二鳥かも知れません

 
ご自身で使わない場合でも、お子さんやお孫さんに聞いておかれると良いでしょう

最後に、このマニュアルにもまだまだ不備なところはあるでしょうし、今後さらに充実させたく思っています。

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大震災のとき健康を守る方法――7 こころのケア

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Cbrb020-s震災などの重大事こそこころのケアが必要です。

しかしショックや悲しみに打ちひしがれている状況ではなかなか大変です。

しかしせめて、皆で少しでも語らい、たとえ時々でも笑うことが生きる力につながります。

またリラックスできるときにはリラックスするように、心掛けて下さい。震災時にはつらいことではありますが、体あっての復興ですから。

私はこの領域の専門家ではなくあまりコメントできないのですが、少なくともこころのケアが大切であることは間違いありません。

こころの問題が心臓や血圧その他のからだの内蔵に次第に大きな影響を与えるものです。

心臓手術のあとの患者さんの場合は、心臓は大丈夫なことも多々ありますが、相応の注意が安全上たいせつです。

大震災のときにはまずケガの手当、ついで内蔵の病気やそれまでの持病の鎮静化・安定化、そしてなるべく早くこころのケアでしょうか。

できるだけ早く、専門家にご相談下さい。

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大震災のとき健康を守る方法――6 ケガ

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大けがの場合は何としても病院へ行く手立てを考える必要があります。

Ilm21_ba03040-sそれほど大きくないケガで、かつ交通手段も寸断され、移動できないときはどうでしょうか。

手元にイソジン、アルコールその他消毒薬があれば良いですが、それらがない場合でも、ケガはまずなるべくきれいな水で洗いましょう。

土や砂を落とすことが大切なのです。

ばい菌による被害を大きく減らすことが可能です。とくに感染性心内膜炎(略称IE)を予防することはいのちを救うことにつながります。

水道や井戸水が使えればそれで大いに役立ちますが、それらがないときにはたとえ川の水ででも土を落とし、最後に(可能なら)少量のミネラルウォーターで流すと細菌感染の恐れが減ります。

もちろんケガですから、なるべく早めに病院へ行く手立てを。

心臓病の患者さんとくに弁膜症や人工血管の患者さんは普通よりややばい菌に弱いと考え、上記のような慎重な対応をお願いします。

弁膜症の場合は感染性心内膜炎への注意が、人工血管の場合はその感染への注意が大切です。

もしそうしたことが起こればそれはしばしばいのちにかかわるからです。

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大震災のとき健康を守る方法――5 不整脈

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Cgex032-s元々危険性のある不整脈をお持ちの患者さんにとって、震災で薬を失うことは急を要する危険な事態です。

心臓手術を受ける患者さんのなかには弁膜症や心筋梗塞などのためオペを受けたかたが少なくありません。

その弁膜症や心筋梗塞などが不整脈を誘発しやすいのです。

震災後、できるだけ早く、病院に行きましょう。

それまでにせめてできること、それはなるべく十分な睡眠をとることです。

震災時にはそれさえままならぬものですが、睡眠不足と思えば、さまざまな工夫を凝らして少しでも睡眠時間を確保するようにして下さい。

腎臓が悪くなければ、バナナやみかんなども不整脈を減らすのに役立ちます。

カリウムが多く含まれているからです。

また心の安静も大切です。なにしろ震災の後という状況ですから、大変な精神的ショックやストレスが不整脈を増幅しがちです。

できるだけ語りあい、できればときには笑うことも体を不整脈から守ることがあります。

 

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大震災のとき健康を守る方法――4 糖尿病

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Ilm03_bd03018-s心臓手術の患者さんのなかに、糖尿病の方は多数おられます。

糖尿病の場合、血管がやられやすく、狭心症・心筋梗塞や動脈閉そくその他の病気になりやすいからです。

また糖尿病から慢性腎不全・血液透析となりそこから心臓や血管が病気になるということも多くあります。

 

糖尿病のお薬やインシュリンはできれば余裕をもって手元におくようにして下さい。

個々の患者さんに応じて治療メニューになっているため、その人にベストの内容は他の人にはベストではないことが多いからです。

しかし避難するためにそれらを放棄せざるを得ないこともあります。

その場合、まず糖分の摂り過ぎに注意し、余った分は保存食なら翌日以後に計画的に食べると良いでしょう。

その間に薬や病院を探して下さい。

機会があれば主治医の先生にこうした震災時の対策を相談しておくのも良いでしょう。

 

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大震災のとき健康を守る方法――3 高血圧症

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Ilm16_cd05007-s大きなストレスがかかると高血圧は悪化します。

そうした患者さんも薬は多少の余裕をもって所持しておかれると良いでしょう。

せめて数日間でも。

緊急事態で薬もすべて失ったという状況でしたら、せめてラジオ体操で体を温めたり、こんなときこそ皆で少しの笑顔でもだしてリラックスすることは血圧を下げるために有意義です。

これは心臓手術のあとの方でも、それを受けたことのない方でも同じです。

大震災の直後にリラックスも笑顔も難しいのは当然予測されるのですが、まずいのちを守るためにそうしましょう。

周囲にお薬の予備を持っている方があれば、近くの医師や看護師さんらの意見をもらいながら、同じ薬または同じタイプの薬をわけてもらえれば、その間に病院へ行く方法を考える時間が稼げます。

 

くすりが十分入手できない状況では、塩分はいつも以上に制限してほしいのですが、食べ物自体が極度に不足しているときにはぜいたくは言えないということもあるでしょう。

せめて塩辛い部分だけでも残すようにして、かつ水分確保につとめて下さい。

こうして病院へ行き、もとのお薬を再入手するまでの間、できるだけ体を守りましょう。

 

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