お便り125 勇気を出して僧帽弁形成術を受ける決意を

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心臓手術は昔と比べて格段に進歩し安全性も上がりました。

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それでも死亡率はゼロにはならない。これは技術が進歩した分、より重症の、昔なら手がimg_2599出なかったような患者さんを助ける努力をしているからです。

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僧帽弁形成術を受ける患者さんでは30代―50代の比較的お若い患者さんも多々おられます。多くは元気な、いわゆる状態の良い患者さんたちです。こうした方々での死亡率は1%をゆうゆうと切っています。

しかしそれでも0%にするのはまだまだ努力が必要です。死亡率ゼロと自信を持って断言できる病院は世界にありません。何しろ全身のどこかに問題があっても心臓手術のときに足を引っ張る恐れがあるからです。

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そういう中で、患者さんから見ても、心臓手術はまだまだ怖いものと思います。

相談し、熟考し、悩み、また相談し、しかし最終的にみずから決意される、立派と思います。

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以下のお便りはそうした努力で健康や高いQOL(生活の質)を勝ち取られた若い患者さんから頂いたものです。中部地方からお越し下さいました。

これからは病気なしで楽しくお過ごしください。傷跡がみえにくい腋窩下部のMICSですので心の傷も小さくなるでしょう。

また時々にでも外来へ定期健診にお越しください。遠方からでも行く価値があると言って頂けるように努力いたします。

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米田 正始 先生

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おはようございます。

メールにて本当に失礼致します。

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先日は退院後の診察にてお邪魔を致しました。この度は、お世話になりました。ありがとうございました。

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地元の病院にて僧帽弁が逸脱していると診断された後、自覚症状も無く何年か過ごしておりました。途中、疲れやすくなってきまして投薬にて過ごしておりました。昨年10月の終わり頃から、息切れが辛くなり手術を覚悟するようになりましたが、地元の病院では肋骨の開胸術が主流で、想像するだけでも恐怖でした。

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小切開手術をされる先生がいらっしゃるということは以前からお聞きした事はございましたが、具体的な事が分から無い為迷っておりました。この度は自分の事だから自分で調べて動いてみようと決心致しました。

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そして、先生にメールを送らせて頂きました。私の中では、このような流れになるとは意外でした。もっと時間の掛かることだと諦めていましたので。驚きでした。迅速にご対応頂き感謝です。正直、手術は本当に怖い事ですが、先生でしたので安心しお任せする事が出来ました。終始ご丁寧なご対応、世の中にはこんなに優れた方がみえるのだと感激致しました。ありがとうございました。そして、コーディネーターの方、看護士さんも明るく大変機転の利く方で感謝しております。

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小切開術は視界の狭い中での手術でお時間お手間の掛かる大変なご作業だと思います。様々な動物の命にも感謝致します。そのように治して頂いたこの心臓を大切にしたいと思います。過度なストレスは避け、なるべく負荷を掛けない生活を心掛けたいと思います。

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この度は誠にありがとうございました。三寒四温の時節柄、どうかご自愛専一にて先生のますますのご活躍をお祈り申し上げます。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り124: 巨大左房と心房細動、血栓に向き合って

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心房細動はさまざまな弁膜症とくに僧帽弁膜症に合併することが多い病気です。

その他では狭心症・心筋梗塞に代表される虚血性心疾患や拡張型心筋症、閉塞型肥厚性心筋症にもよく合併します。

成人先天性心疾患の中では心房中隔欠損症(ASD)に合併することが結構多いです。これは右心室・右心房が拡張するために起こります。

 

下記の患者さんはそうした心房中隔欠損症 ASDのため右心房などが拡張し心房細動となり、永い間に左心房まで拡張し、そこへ血栓ができ手術が危険と言われて九州から私の外来へ来られました。長年の喫煙のためタバコ肺になっていIMG_2338て手術に難があることと、すでに心房が巨大となり普通のメイズ手術では治せないためです。

 

もし巨大左房や血栓がなければW-O法などの比較的侵襲の少ない方法が良いのですが、この方の場合は心臓の中から治すべき病気がいくつもあったため、開心術になりました。

 

患者さんが40代とお若いこととご希望もあり、肺を守りつつMICSにて治すことにしました。

右胸の小さい創で、心房中隔を閉じ、巨大左房の中の血栓を取り除き、左房を小さくし、そのうえでメイズ手術を行いました。心房縮小メイズです。

心房細動は無事正常リズムにもどりました。肺が弱いため時間をかけ、良くなったところで退院されました。

 

以下はその患者さんからのお便りです。HPへのコメントとして頂きました。

 

簡略でもジーンと伝わるものがありました。

 

また外来でお元気なお顔を見せてください。

 

********* 患者さんからのお便り **********

 

私は米田先生に左心房の血栓除去と
左心房縮小メイズ手術を受け生き返る事が出来ました

 

他の病院では治せないと言われ落ち込んでいる時に
ネットで断らない大丈夫だから相談をと言う米田先生のブログを発見し連絡をした所、

 

優しく丁寧に相談などに対応して頂き、

力になれますよ、と言う先生の言葉に喜びで涙が止まりませんでした

 

手術をして頂き今日に至ります。
米田先生には感謝しかありません

 

本当に米田先生に出会えて良かったと思います。

 

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お便り123 熟慮の末、決心して複雑僧帽弁形成術へ

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心臓内科(循環器内科)の先生方は私たち心臓外科医から見ても大切なパートナーです。しかし病院によっては内科と外科の心の距離感はかなり大きいものがあります。この傾向は冠動脈のカテーテル治療(いわゆるステントですね)を主に行うタイプの病院で大きくなりがちです。

 

下記の患者さんもそうした病院で僧帽弁閉鎖不全症の診断を受け、僧帽弁の2箇所で血液が逆流している、今の日本でそんな弁を治せる外科医はいないと言われ、このままでは弁置換つまり人工弁の手術になりかねず、まだ40代の若さでは大変な危険性と苦労を背負い込むことになるため、遠方から私の外来へ来られました。

 

心エコーを詳しく拝見すると確かに僧帽弁の二か所から血液が逆流していIMG_2121ますが、この程度の逆流を治すのはいつものことで、三か所以上でも問題ないためお引き受けしました。

 

仕事に早く復帰したいとのご希望もあり、MICSで骨も切らずすぐ回復できる方法で僧帽弁形成術をおこないました。2箇所修復し、逆流が完全に止まりました。やや遠方(中部地方)からお越しのため、あえてやや長い目の入院で、十二分にリハビリをこなし、体力と自信をつけてから退院して頂きました。まもなく仕事復帰されたようです。

 

以下はその患者さんからのお便りメールと、それをこのHPに掲載しても良いですかという許可をお願いしたところさらに加筆して下さった内容です。

また外来の定期検診でお会いしましょう。しっかり仕事や登山を楽しんでください。

 

**************患者さんからのお便り*********

 

 

米田先生へ

 

お久しぶりになります。

**県在住の****です。メールにて失礼いたします。

 

先生に手術していただき、2か月が過ぎました。お蔭様で、体調は良く、仕事に復帰

して順調に毎日を過ごしております。

こうして日常の日々に戻れた喜びを感じ度に、先生への感謝の気持ちが増大いたしま

す。

 

趣味の登山も、近くの1000m級の山ですと、問題なく登れるようになりました。

少しずつ高度を上げて行きたいと考えております。

 

あと、周囲の方々に言われるのは、「肌の色が良くなったね。」です。

手術前は、黄色っぽい色で、肝臓疾患を疑われていました。原因が心臓疾患にあった

とは、予想もしませんでした。またまた、感謝です!

 

以上、私勝手の近況報告でした。9月にお伺いいたしますので、よろしくお願いい

たします。

 

*****************************

 

 

上記のメールの掲載許可をお願いしたところ、次のメッセージを戴きました。

 

 

*****************************

 

米田先生へ

 

私のメールが、他の患者さんのお役に立つならば、どうぞ先生のHPに掲載してくだ

さい。

 

他の患者さんへのメッセージについては、以下に記載しましたが、もしもこれが何

かのお役に立つならば掲載してください。

 

執刀していただく先生の能力により、術式そのものや手術の危険度が変わってしま

います。

そして、患者である私たちの安心感も変わります。

 

弁形成する技術(心臓を開いて行う手術)というのは、

数多くの経験や凄まじい努力の積み重ねが必要であることはもちろんのこと、

持って生まれた器用さや土壇場でのひらめきも重要であり、

そして形成された弁には執刀された先生の人間性が出るものと私は思っています。

 

この先生なら、と自分が納得できる先生に執刀してもらうべきです。

患者である私たちにとっては、ワンチャンスです。

患者はとことん調べて、先生や病院を選ぶべきだと考えています。

私の場合は、本やインターネットで調べ、心臓病の方に実際に相談した結果、米田先

生に決めました。

私は、安心と納得をして、手術に臨むことができました。

 

*******************************

 

心臓手術から7ヶ月経って、この患者さんからまたお便りが届きました。

お元気に過ごしておられるようで何よりです。

また外来でお会いしましょう!

 

**************患者さんからのお便り*****************

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米田 正始 先生

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大変お世話になっております。**県在住の**です。

手術をしていただき、早いもので7ヶ月過ぎました。おかげさまで、何らトラブル等なく過ごさせてもらっています。

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先月の健康診断では、医師の方が何とかして心雑音を聴診器で聴き取ろうと何度も試みていましたが、「**さん、安心して下さい。僧帽弁のあたりを集中して聴いてみたけど、全く聴き取れない!すごい!」と、大変驚き感心しておられました。

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米田先生の手術を受けられたことは、私にとって本当にありがたいことだと改めて思いました。

(以下略)

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お便り122 急ぎの冠動脈バイパス術で

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狭心症の中にはあまり待てないタイプのものがよくあります。

心筋梗塞になってからでも助ける手はあるのですが、やはりそうなるまでに治してしまうのが一番です。

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その患者さんの状況によってお迎えに行き、こちらへ転院し直ちに手術ということもありますし、少し待てる場合は1-2日状態を整えてから手術ということもあります。たとえば血栓予防の強いお薬を飲まれている状況のとき、少し待てる余裕があるなら、その間に薬の効きが落ち、出血もそれだけ減ることがあります。

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その患者さんの状態に合わせたオーダーメイドな治療をモットーIMG_1683にしています。

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病院によっては、というより立派な病院ほどこうした柔軟な対応ができないことがよくあります。今日は手術日ではないからダメとか、緊急だから受け付けるが今、長い時間のかかる手術をやってるからそれが終わってからね(つまり翌日になる)など、つらい想い出が昔ありました。

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いつでも必要な手術や治療ができる、こうした当然のことが今後も当然できるように努力したく思います。ちなみに北米や豪州の大学病院ではこれがきちんとできていました。さすが先進国と今でも思います。

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下記は準緊急で冠動脈バイパス手術オフポンプで行い、まもなくお元気になられた患者さんのご家族からのお手紙です。

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もともと九州の患者さんのご友人で、その方からのご紹介で緊急連絡して来られました。

ただちにその方がおられる病院へお迎えに行き、まもなく手術で一命をとりとめました。

これから元気に楽しい毎日を送って頂ければ幸いです。

また外来で元気なお顔を見せてください。

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**********患者さんのご家族からのお手紙**********

米田正始先生

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拝啓

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薄暑の候、先生におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。図1お便り122の図

さて、この度は私の母の人生・生活をお助け頂き本当に有り難うございました。

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日頃は別々に暮らしており気付かなかったのですが、胸の苦しさが一週間前から時おりあったようです。

救急車で搬送後、即手術が必要と言われた時、**様から聞いていた米田先生のことがすぐに頭をよぎりました。

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ご連絡の翌日には、病院のスタッフの方を連れて母の入院先まで迎えに来てくださったこと、又その翌日には朝から手術をして頂き、無事に終わりましたとのお言葉に安堵と感謝の気持ちでいっぱいになりました。

本当になんと御礼を申し上げて良いのやら、只々「命をお助け頂き有り難うございました」と繰り返さずにいられません。

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米田先生への恩返しは何も出来ませんが、感謝の気持ちをお伝え致したく心の底より御礼を申し上げます。

退院後は自宅近くのスーパーまで休憩しながら一人で買い物に行けるようになりました。

まだ体力は以前まで戻りませんが息苦しさもなく心臓の調子は良いようです。

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退院当日は米田先生渡米にて、ご挨拶も致しませず申し訳ございませんでした。ご無礼何卒お許し下さいませ。

*月*日検診にお伺い致しますのでどうぞよろしくお願い致します。

末筆ながら先生のご多幸と益々のご発展をお祈り申し上げます。

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敬具

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お便り121 決意して二尖大動脈弁を弁形成で克服した中学生の患者さん

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大動脈弁二尖弁の患者さんは中学時代や高校時代にすでに弁逆流などが悪化して手術が必要となることがあります。

お若いだけに何としても弁形成で治したい病気です。というのはもしも弁置換になればそれが機械弁(金属の弁)であっても生体弁(ブタやウシの組織で造った弁)であってもさまざまな苦労が長期間つきまとうからです。203424913

そしてもうひとつ、心臓手術で弁が良くなっても、胸の真ん中に大きな傷跡が残るというのはやはり心が痛むものです。

これから何十年もこの傷跡と向き合うストレスを何とかしたいと思うのです。

下記は大動脈二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症に対してMICSで傷跡が小さく見えにくい形で弁形成を行った患者さんのお父様からのお手紙です。

患者さんはまだ中学生なのにみずから手術を決意し、頑張ってくれました。その間の苦悩は大変だったと思います。私は心臓外科医として、患者さんやご家族のご期待に沿うことができ、うれしく思います。これから楽しい青春や人生を歩んでください。私たちも及ばすながらサポートいたします。

 

**********患者さんのお父様からのお便り********

桜の開花で心浮き立つものがあります。

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12月の手術から3ヶ月。すっかり元の生活を取り戻しております。
いえ、むしろ大きな手術を乗り越えて、自信がついたのか、学校行事にも積極的に取り組んでいるように感じます。
本当に、米田先生に巡り会え、手術をしていただきよかったと感謝に絶えません。

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昨年、念願の中学校に入学でき当初、新しい環境に本人も不安があった中、ようやく慣れたと思った6月、学校の心臓検診で心雑音を指摘され近くの循環器を受診しました。すると、大動脈弁形成不全症、二尖弁症と診断され、将来的に手術の必要があると言われました。

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13歳の娘にとってこれから結婚や出産を考えたとき弁形成手術が最も有効な方法と言われたものの、九州では実績を積まれた先生はいないようで、診断を受けた循環器の先生は、「ネットでさがしてみてはどうでしょうか」とアドバイスを受けました。すぐに、調べ、東京の専門医を探しあて、受診。手術方法の説明は受けたもののご両親の納得するまで他の専門医の意見を聞かれてください。とのお話で、再度、ネットで探しておりました。

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すると、米田先生が、大東市で仁泉会病院でハートセンターを開設されたとの情報を目にし、受診したのは8月12日。診察後、すぐに米田先生に手術をしていただく決断をしました。

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大きな手術であったので決断をするのには思いっきりが必要だったかもしれません。しかし、ネットで、米田先生の実績や活動と常に新しい情報を学びつつ今なお前に進んでおられるという姿勢を知ったこともあったのですが、それ以上に診察でお話していただいたときの、丁寧なご説明とお人柄に私ども親も娘も命をお預けできると確信したのでした。

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もともと、学校の心臓検診で指摘される程度で、日常生活は普通に学校に行き、運動も学業も本人の頑張りで上位をいっていました。ただ、大きな行事があると、風邪をひきやすかったり、疲労感が強く学校を休んだりとかはあったものの特に生活に支障なく暮らしていました。

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診察時の心エコーでは二尖弁の逆流が激しいのはわかったのですが、周囲から本当に手術が必要なのと言われもしました。本人、普段はきついという事がないのです。しかし、これから娘の心臓で起こりうる心不全を考えた時、本人が元気なときだからこそ手術を受けよう。と思ったのでした。

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13歳で多くの状況がわかる年齢になった娘にとって米田先生の偽りのない、診察時のご説明や看護師さんの親切な対応に手術まで2回の受診でしたがいつも安心感を得て大分に帰宅できたものです。

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手術は野崎徳洲会病院でしていただいたのですが、米田先生ともゆっくりお話ができ、また、病院スタッフの方々もとても丁寧にせっしていいただきました。、手術後の環境も娘にとっては最高のもので栄養指導や心臓リハビリ等も受けることができました。これが、大学病院などの公的病院だったら娘にとって余計な不安があったかもしれないと思うこともあります。

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手術後、3ヶ月経ちすっかり元の生活にもどった娘ですが、以前よりも積極的にお友達とも楽しく遊ぶことができるようになり手術前以上に明るくなりました。手術という経験と米田先生という素晴らしい先生に巡り逢え、命を繋いでいただいたことが娘の何かを変えたような気がします。

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これは、まだ、娘の心臓のお付き合いの始まりです。作っていいただいた娘の心臓をこれから大事に大事に使っていき、時々メンテナンスをしていただかなければと思っています。長いお付き合いになりますが、素晴らしいスタッフの方々とまたお会いできる次の診察を楽しみに待っています。

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お便り120: マレーシアから僧帽弁形成術のためお越し下さったエホバ証人の患者さん

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僧帽弁形成術は患者さんにとって弁置換術とくらべてメリット・利点があります。

このメリットはお若い患者さんの場合、とくに大きいものがあります。

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なかでもこの僧帽弁形成術をMICSつまり骨を切らない、傷跡が小さく見えにくIMG_1884い形で行うのは美容の向上や痛みの軽減に加えて心の傷まで小さくする利点があります。

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私たちのLSH(Less Satellite Hole)法はMICSの中でも創の数が最少で傷跡の面積が格段に小さく、海外からも引き合いがある方法です。世界一きれいとよく言われます。

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それらに加えて、意外に知られていないことですが、MICSの手術は無輸血が達成しやすい傾向があります。ただしうまくやればの話です。

というのは胸骨を切らないため骨髄からじわじわと出血し続けるという不確定要素がないからです。とくにLSHの場合、胸壁に開ける穴が最少のため、そこからの出血も少ないのです。そういう前向きの観点から、無輸血を達成するためのMICSとLSHを行うことがよくあります。

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以下の患者さんはエホバの証人の信者さんで、遠くマレーシアから私の外来へお越し下さいました。

まだ奈良の病院にいたころでした。

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私がその病院では重症やLSHなどの手術、あるいは絶対無輸血という過酷な条件のエホバの証人の信者さんなどの手術ができなくなり、これでは患者さんたちのご期待に沿えないと、大阪の病院へ異動した際に、一緒に移動して下さったばかりか、野崎徳洲会病院での私の心臓手術体制が整うまでの数か月間を我慢して待って下さったのでした。

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私にとっては恩人と言っても過言でないほど絆の強い患者さんたちのお一人でした。

その患者さんのご期待に沿う手術、つまり傷跡が見えにくいMICSでの僧帽弁形成術を絶対無輸血で行うことが安全に完遂できました。結果的には楽勝でしたが、注意に注意を重ねての慎重手術でした。

結果は何重にもうれしいことでした。

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以下はその患者さんが、心臓リハビリの病院を退院される日に、私の外来が長引いてご挨拶ができなかったことへのお詫びメールに対して送って下さったお返事です。

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**********患者さんからのお返事メール*********

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米田先生

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ご丁寧にメールをくださり、ありがとうございました。
こちらこそ、退院の日に何のご挨拶もしないまま帰ってしまい、申し訳ありませんでした。

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先生のおかげでこのような元気な身体で無事に退院の日を迎えることができ、感無量でした。
退院後も毎日リハビリを意識してできるだけ身体を動かしたり歩いたりと、元気に毎日を送っています。

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ところで、先生のホームページ上にメッセージを載せていただけるようで、大変光栄です。また後日改めて先日のメールへの追記の形でお便りを送らせていただいてよろしいでしょうか?少しお時間を頂けると助かります。

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退院して外の世界が随分と寒くなっているのに驚きました。先生もどうぞお大事になさってください。
またメールさせていただきます。

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******************************

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それからしばらくして追記を頂きました。

マレーシアに戻られたら病気のことは忘れて仕事や遊びを楽しんでください。

また外来でお元気なお顔を見せてください。

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********患者さんからのお便り、その2**********

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米田先生

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先生に手術して頂いた日から約一ヶ月が経ちました。

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振り返ってみると、自分がほんの一ヶ月前に心臓の大手術に直面していたことが信じられないくらい元気で、友人たちにも びっくりされています。

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手術自体もMICS手術で、脇の下の部分をたった7センチほどの切開で手術していただきましたので、正面からはほとんど傷が見えず、また手術時より傷の色も目立たなくなってきています。

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心臓の手術なのだから傷跡が残るのは仕方ない、と覚悟していましたが、想像をはるかに超える小さな、そしてきれいな傷跡で本当にホッとしました。

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今後、今よりもさらに傷跡が小さくなるとのことで、半年後、一年後を楽しみにしています。

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さらに、MICS手術のおかげで骨を切らずに済んだので、術後すぐからほとんど運動制限がなくリハビリに専念できたことも早い回復につながったのでは、と思います。

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術後三日目には集中治療室の中で歩き回れるようになり、一週間ほどでエアロバイクをこいでのリハビリができるようになりました。

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そして一ヶ月経った今では遠くまで歩いたり、ショッピングセンターに買い物に出かけたり、階段を自由に上り下りできる位元気になりました。

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弁膜症と診断を受けた時や、手術が必要な時期にきているとお話があった時には、不安な気持ちや何とか手術を回避したい気持ちがありましたが、先生のじっくり時間をかけた丁寧なインフォームドコンセントを受け、徐々に不安は薄らいで、どちらかというと心臓が悪くなりすぎない段階で早めに治したい、という気持ちになっていきました。

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先生の的確な診断、そして手術のタイミングに関するアドバイスを信頼してお任せして大正解だったと思います。

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最後になりましたが、米田先生には、私の宗教上の信条を尊重した方法で手術や治療を施してくださったことに特に感謝しています。

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米田先生という素晴らしい外科医の先生に出会うことができ、また温かく親切な看護師や病院スタッフの方々に支えられて、本当に恵まれた環境の中で治療に専念することができました。

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これからもリハビリをがんばって、先生にきれいに治していただいた心臓を大切に使っていきたいと思います。

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定期検診の際には、より元気になった姿で先生にお会いできることを楽しみにしています。

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お便り119  心臓手術から10年が経ちました

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永いお付き合いのある患者さんとは絆が強くなるものです。

とくに手術前の危険な状態や大きな手術を乗り切った患者さんのばあいは絆も格別なものがあります。

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下記の患者さんはちょうど10年前、私がまだ京大病院で勤務しIMG_0212ていたころ、連合弁膜症それも巨大な脳梗塞を患われたあとで、しかも過去に心臓手術を受けられたあとの再手術でした。

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リウマチ性僧帽弁狭窄症のため弁形成術を受けられ長年経ってすっかり壊れた僧帽弁を人工弁で置換し、大動脈弁も同様に置換し、心房細動に対してメイズ手術を行いました。脳の保護には万全を期しました。

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リスク(危険性)はあっても是非元気になりたいという患者さんの想いをくんで、当時のチーム諸君は皆よく頑張り、患者さんもすっかりお元気に退院して行かれました。あまりリスクの高い手術はやらないようにという当時の一部の先生方のご意見はありがたかったのですが、こうした患者さんを見るたびに努力は報われるという想いを新たにしてしまいます。

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その後患者さんの会などにもご出席くださり、旧交を温めていました。

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つい最近、手術から10周年ということでお便りを頂きました。

そうか、もう10年も経つんだなあという感慨とお元気で楽しく暮らしておられることで皆の努力が報われたという喜びを頂きました。

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以下はその患者さんからお便りです。

またお元気なお顔を拝見する機会があればうれしいです。

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******** 患者さんからのお便り ************

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弁置換十年後の感謝状

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拝啓

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「庭先やノスタルジック石蕗黄なり」
お礼状を出したくて高の原ハートセンターにお聞き致しましたら御退官されたとおっしゃいました。
米田先生長い間おつかれさまでした。

お便り119.

素敵な奥様と素晴らしい時間をお過ごしになっていらっしゃる時に申し訳ありませんが感謝を申し上げたくてペンをとりました。

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2005年12月12日二つの弁置換、心房細動予防の処置をしていただき十年が経ちました。
この十年間、最も充実し安心して過ごせてまいりました。人生悲喜こもごもですが、毎朝めざめさせていただいていることが一番の大きなよろこびで、しあわせです。

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この間に、死にそこないの私にも初孫を授けて下さいました。今までしたくてもできなかった事、海外留学ニュージーランド、そして国内海外旅行もできました。国内はかつて私が倒れた時、五時間も見守ってくれていた柴犬キャロットと犬の泊まれるペンションでの旅も致しました。心臓手術前、倒れて死にたい死にたいと思っていた頃、娘の海外ホームステイで海外の素晴らしさを知りました。おかげさまにて手術の後は主要七カ国プラス五カ国を訪れることができました。

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忘れられない悲しみは私が病に倒れた時、見守ってくれていた犬のキャロットが十七才で永遠の旅立ちをした事です。

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2008年頃から不整脈が出てしまいこれまで体を酷使して来たからと反省致しました。四十九年前の手術の後十七才で体育会の百メートル走で十四秒四、一位を取ったのが人生最後の百メートル走でしたが、その後も走る練習は好きでした。料理の勉強もしたくて昼間近所の外科にて仕事をして育英会の返金をしつつ、月二回夜間の料理専門学校も通いました。

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こうして酷使したため残念ながら倒れてしまったのです。でもありがたい事に弁置換していただいた後は熊野古道中辺路も楽しみ歩かせていただきました。
不整脈のほうは本年八月二十四日京大病院にてカテーテルアブレーションをしていただきました。

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今は早朝里山の散歩より一日が始まります。筆舌に尽くし切れない感謝でございます。
夢と希望を持ち十一年目を父の分まで生きさせていただきたいと思います。

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「山眠る父の命日はるかなり」 二十才時死亡

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米田先生くれぐれも御自愛なさり素敵な時間をおすごし下さいませ。

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大変お世話になり助けていただいた**先生、**先生の住所がわからなくてとても残念です。
お礼を申し上げたかったのですが。
お元気でいらっしゃったらいいなと祈っています。

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2015年 12月12日         米田先生

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お便り118 東日本大震災と弁膜症を乗り越えて

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東日本大震災が発生したとき、私(米田正始)は新幹IMG_1535b線名古屋駅のホームの上に立っていました。

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ショルダーバッグが飛び跳ねて体に当たるので変だなと思い、周囲を見るといろんなものが揺れているのでこれは地震だとわかりました。

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まもなくそれは大震災とわかり、そしてあの津波をテレビで見て眼を疑いました。

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こんな恐ろしいことが起こるのかと。

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何かできることをしようと義援金を何度も送ったり、友人の中には支援のために現地に行ってくれた方もありました。

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病院は東北地方の方々を積極的に受け入れていました。遠方のためその人数は少なかったのですが、できるだけお役に立ちたく思ってのことでした。

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東北支援に行くまえに持病の弁膜症を治してからと、急ぎ心臓手術を受けられた方もありましたが、震災のために予定の手術ができないとのことで来院くださったかたもありました。

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下記はそうした患者さんのおひとりです。

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手術では僧帽弁のPCと呼ばれる部分が瘤化し逸脱していました。これを修復し弁の逆流は消えました。これを傷跡が小さく見えにくいMICSにて行いました。

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手術のあとまもなくお元気に帰郷され、仕事に復帰されたのを私たちもうれしく思っていました。

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あれから4年、まだまだ復興は進行中のようですが、お便りを下さいました。

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お元気でご活躍ください。ハーフマラソン楽しみですね。また時間ができましたら元気なお顔を見せてください。

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**********患者さんからのお便り**********

10月に診察予約を入れております、宮城の****です。
ご無沙汰をしております。

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(中略)

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最近は、手術後から始めたジョギングやスポーツジムで運動の成果で、お便り118
毎日体調良く過ごしており、11月には妻とハーフマラソンに出場予定です。

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 (体重は71kg前後を維持しております。)

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手術後のリハビリの時は、病院のフロアを100メートル歩くのにも息切れしてい
たのですが、嘘のようです。
次はフルマラソンの完走を目指しております。

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早いもので名古屋ハートセンターでの手術から9月で4年になりました。
あの節は本当にお世話になりました。

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2011年は東日本大震災が発生し、私の周りでは津波で甚大な被害があり、ライフラインが遮断され、

普通に生活が出来ない状態が続き混乱していた中での病気の発覚でした。

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震災のこともあり、この病気とどのように向き合えば良いのか分からずにいた時に、

インターネットで 先生のこちらのサイトを見つける事ができ、

心臓手術や病気について何度もサイ トを拝見して思い切って先生に病気の相談させていただいたのを覚えています。

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正直なところ名古屋と宮城と距離は遠くて大丈夫なのか不安だらけでの診察でしたが、

本当に不安でいる私や家族が安心できるようなアドバイスをいただき、

すぐに手術の日程を決めていただきました。

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先生の診察を受ける前は手術への不安が大きかったのですが、

診察後は不安を解消する事ができて安心した気持ちで手術に臨むことが出来ました。

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先生が仁泉会病院に移られるとは知らず、6月末頃高の原中央病院に診察予約の電話をしたところ、本日で退職されると伺いました。

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昨年診察にお伺いした時に先生から「非常に優秀なスタッフを集めた医療体制を構築しています。」とお伺いしていたので、退職される伺った時は驚いたのですが、その後こちらのサイト等を拝見し事情を理解することができました。

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私は入院中、米田先生の患者さんを第一に考えていただく姿勢には、本当に安心する事が出来ました。

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正直な気持ち、はじめ心臓手術と聞いた時は不安な気持ちしかありませんでした。

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しかし先生から手術の説明を伺った後は、私も家族も「米田先生なら安心してお願い出来る」としか思えませんでした。

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今も家族も含めて本当に感謝しております。

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名古屋ハートセンターで入院中も私も含めて全国から多くの患者さんが先生の手術を受けに来られていたのを覚えています。

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これからも米田先生が目指される医療体制の実現と、心臓の病気で苦しんでいる皆さんが、

少しでも体調が回復できますようにご尽力されてください。

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米田先生の益々のご活躍を祈念いたします。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り117 HCMと好酸球増多症で絶体絶命と言われてから社会復帰まで

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世の中には難しい心臓病が今なお多数残されています

この患者さんも山口県からお越しいただいた時には、一瞬どうしようかと不安になったほどでした

 

というのはHCMつまり肥大型心筋症の重症で左心室の心尖部側半分が異常心筋で充満し、動きも悪く、血圧を上回るほどの肺高血圧症があり、僧帽弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全症とも高度になっていたからです。

 

加えて大動脈がお腹の部分でほぼ閉塞しており、下肢の血流の流れも危険レベルに近づいているというおまけまでついていました。以前に受けられた下肢バイパス(大腿動脈ー膝窩動脈バイパス)も十分には作動できない状態でした。

 

その背後には好酸球増多症というまだまだ詳細不明な病気がありました。IMG_0441

 

中でも肺高血圧はSuper-systemicと呼ばれる危険な状態で、無理すれば突然心臓が止まる、つまり突然死も起こり得る状態でした。

 

まずは状況をしっかり把握し、手術前に調整できるものは調整し、できるだけ勝てる要素を増やそうということでさっそく入院していただき、治療を開始しました。

 

抗凝固療法や心不全に対する治療そして好酸球への対策を積極的に行い、予想以上に反応がありました。

大動脈内の血栓が溶け、おそらく肺動脈の眼に見えないレベルの血栓も溶けたのでしょうか、肺高血圧も突然死のレベルよりは改善し、手術ができる状態になりました。

 

といっても日本ではこのタイプの肥大型心筋症HCMに対する手術の経験を持つチームはほとんどありません。

 

幸い私たちは左室緻密化障害の患者さんで同様の形をもつ左室の形成術をこれまで数例経験していたこと、そして拡張型心筋症に対する左室形成術は100例以上の経験があること、さらに左室の内部に狭窄を伴うHOCMへの手術経験も多いため、この心尖部肥大型HCMの手術を行いました。

 

結果は上々で左室はほぼ正常の形とパワーを取り戻し、患者さんはまもなくお元気に退院して行かれました。

 

手術前に数週間もかけて治療しましたが、術後は早かったです。退院の時にはご本人さまおよび奥様と一緒に、あの頃は絶望的だったけどうまく行って本当に良かったと喜び合いました。

 

外来でお元気なお顔を拝見するたびに苦しかった頃を想い出します。

 

以下はその患者さんからのメールです。頑張って下さりありがとうございました。

 

*******患者さんからのメール******

 

この度の手術では、大変お世話になり有難うございました。

 

手術を含め73日間の入院期間中、医師・看護師・スタッフの皆様方の温かい対応で
入院生活はとても快適でした。

 

昨年に心臓の病気が見つかり他病院で入院・治療中でしたが、妻が「心臓手術なら米田先生しか
いない」と言うことでお世話になることにしました。

 

手術に向けての血液状態調整や各種検査
状況もその都度説明を頂き不安な気持ちはありませんでした。

 

そして手術前の先生からの親切丁寧な説明を受け家族を含め安心して先生に託することができ手術に対する不安は全くなく前夜も不思議なほど眠れました。

 

術後の経過も順調で看護師の方がびっくりするほどの回復で先生に大変感謝しております。
退院後は自宅周辺を毎日、妻と一緒にウォーキングをしています。

 

以前は長い坂道等では息苦しくなり心臓に負担がかかっていましたが術後は見違える程体調もよく順調に推移しております。
今後も外来でお世話になりますので宜しくお願い致します。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り116: MICSの複雑三尖弁形成術で人工弁を免れ、、

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三尖弁閉鎖不全症はそれ単独では心臓手術が必要になることは比較的まれです。

 

しかしあまり高度な逆流で心不全が強まり、症状が強く肝臓などの内臓にまで影響が及ぶようになれば手術が必要となることがあります。

IMG_1532B

実際、タイミングを逃して外科に紹介されたときにはすでにDICという末期状態のため手術ができず、そのまま失ったという経験が昔あります。

 

高度な三尖弁閉鎖不全症は油断できないわけです。

 

下記の患者さんは昔の交通事故が遠因となり胸部大動脈が傷ついて手術を受けられました。その後重症の三尖弁閉鎖不全症が発生し遠方からはるばるお越し下さいました。

 

弁尖つまり弁のひらひら部分がほとんど作動しない、ぶらぶらになって全然閉じることができない状態でした。おそらくは昔の交通事故のため弁を支える糸が多数切れてしまったのでしょう。

 

こうした場合、通常のリングをもちいた三尖弁形成術は効果がありません。

 

人工腱索が必要なのですが、三尖弁でこの方法を使える病院は数少ないのです。

 

私たちはこれまでペースメーカーによる三尖弁閉鎖不全症の手術経験を積むなかで、人工腱索を使うノウハウを蓄積して来たため、これは得意種目のひとつです。

 

下記の患者さんも、前尖、中隔尖、後尖とも逸脱していましたが、ゴアテックス糸による人工腱索を合計12本立ててきれいに治りました。つまり人工弁を回避できたわけです。

 

この操作を傷跡の小さい、骨も切らないMICSで行いました。患者さんには大変よろこんで頂けました。

 

以下はその患者さんからのお便りです。

 

 

これから楽しく活発な生活を楽しんで下さい!

 

 

******** 患者さんからのお便り *********

米田正始先生へ

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先だってお世話になりました石川県**市の**です。

お便り116.
あれほど苦しかった症状がなくなり、今は衰えた体力を取り戻そうと少しずつ活動を増やしているところです。

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思えば、4年前の大動脈瘤発症から急激に心機能が衰え、まだまだ働き盛りの年齢にも関わらず、仕事も続けられないほど病状が悪化し、米田先生に出会う頃には、息苦しさや動悸で自宅の階段がまともに登れなくなり、ほんの少しの距離でさえ休みながらでないと歩けなくなっていました。

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それまで、定期的に地元の病院で診察を受けており、「まだ手術の適用には至ってない」とのことで投薬治療を続けていましたが、自分の感覚では医師の言葉とは裏腹に、あまりのしんどさから、このまま薬の治療で本当のいいのだろうかと疑心暗鬼になっており、気持の落込みも酷くなる一方でした。

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そんな時、ネットで米田先生のサイトを見つけ、その中の“患者さんの声”を読ませていただき、自分よりももっと重症の患者さんが、米田先生の手術を受けて健康を取り戻した例を沢山拝見し、この先生ならきっと今の自分の状態を的確に判断してもらえると確信しました。

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しかしながら、調べれば調べる程大変有名な先生であるが故、何のつてもない自分が診察を受けることができるのだろうかと思ったり、又、自宅からも遠いので、先生のメアドを登録したものの発信する勇気がなかなか出ませんでした。

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そんな迷いに迷っていた時、間違えて発信ボタンを押してしまいました。本文の無い空メールに対して、驚くほど速く返信していただき、恐縮するやら感激するやらで、迷いに迷っていた自分の背中を押していただいた気がしました。

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すぐに自分の症状を伝えたところ、一度診察に来てくださいとのことで、コーディネーターと打ち合わせをして診察の予約をしていただきました。

 

診察の結果は、三尖弁閉鎖不全症と心房細動で、手術適用の時期とのことでした。

 

詳しい状況を分かりやすく説明していただき、自分の心臓の状態を確認することができ、手術を受けるしかないという一大決心もつき、その日のうちに手術を受けようと前向きな気持ちになれたのは、先生の的確な診断と手術の方法をお聞きできたからです。

 

又、遠方からということで、必要な検査も一日でしていただき、たいへんなご配慮をいただきました。これまでいくつもの病院にお世話にますましたが、ここまで気配りしていただいたのは初めてです。

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手術は、レアケースだったらしく、三尖弁の傷みが相当酷く、ほぼ人工弁にせざるを得ないだろうとの説明を受けていましたが、「弁形成」を希望していた自分の気持ちを汲んでくださり、相当な工夫や技術で弁形成をしていただきました。米田先生だからこそできたとありがたく思います。

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術後に肺気腫や、除脈等の合併症(?)発症というオマケがつきましたが、その都度、適切な処置をしていただき、無事退院までこぎつけました。

 

家までの帰り道、高の原駅まで歩いている時、入院の時に歩いたこの道がこんなにも近かったのかと驚きました。

 

手術前はやっとの思いで病院までたどり着いていたので、凄く遠かった気がしていたからです。本当に良くなったんだと実感できた瞬間でした。

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入院中は、米田先生はじめチーム米田のスタッフの気配りやサポートをいただき、遠方ゆえの寂しさも紛らわせていただき、深く感謝しております。

 

本当にありがとうございました。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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