お便り115: MICSの僧帽弁形成術で健康を回復し

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僧帽弁閉鎖不全症つまり弁がきちんと閉じずに血液が逆流する病気は残念ながら進行性です。

その程度が軽いあいだは良いのですが、重くなると左心室や左心房への負担も増加していきます。

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下記の患者さんはこの僧帽弁閉鎖不全症で半年以上前に神戸から私の外来へ来られました

歯の治療の際に感染性心内膜炎、略称IEを発症してからこの病気になられたそうです。

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当初は逆流は強くても心臓はがんばって持ちこたえていたため、お薬で経過を見ていました。

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ところが次第に左室、左房が拡張し症状も強くなって来たため心臓手術を決意されました

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もとの病院では弁が壊れているため胸の真ん中を大きく切って、しかも人工弁を入れる手術しかないと言われておられましたが、

私が拝見したところ、MICSで傷跡の目立たない、しかも僧帽弁形成術で行けると判断したため、

患者さんも前向きになって下さったようです。

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手術は弁の悪いところを取るだけでなく、壊れた部位が広かったためゴアテックスの人工腱索つまりきれいな糸をもちいて弁形成を完遂しました。

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お元気に退院して行かれました。

以下のお手紙はその患者さんからのものです。

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これから前向きに、楽しく活発にお過ごしください!

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****** 患者さんからのお便り *****

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米田先生へ

先生、この度はひとかたならぬお世話になりましてありがとうございました。

ミックス手術による自己弁形成をしていただき、私は今、もったいないくらい幸せです。

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ICUで術後初めて先生にお目にかかれました時の喜びは、心に深く刻まれています。

一口めのアイスクリームも甘くて冷たくておいしかったです。

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私は、先生に治していただいた心臓を大事にして、

充実した日々を過ごせますよう体調管理に努めてまいります。

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先生も大変お忙しいおからだと存じますが、どうぞ御大切になさって下さいませ。

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そして、先生をお慕い申し上げますたくさんの患者さんのひとりとしてこれからもずっとご指導下さいませ。

よろしくお願いいたします。

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先生、本当にありがとうございました。

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       ❤

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り114: 92歳でも大動脈弁狭窄症を克服し

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大動脈弁狭窄症(略称AS 、エーエスと呼びます)は80歳前後から急速に増える病気です。

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かつてはリウマチ性の弁膜症として起こることが多かったのですが、近年は高齢化社会とあいまって、動脈硬化が弁尖(ひらひらと動き開閉する部分です)に起こり、弁が硬くなって起こることが増えました。193510016

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この大動脈弁狭窄症 ASになると、左心室の出口をなかば閉ざされたようになり、次第に無理が起こります。

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とくにこれが重症となり、息切れやふらつき、あるいは胸痛などが起こってくると1年以内に大半の方がいのちを落としてしまうというデータさえあります。

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そのため日本循環器学会のガイドラインでも症状のある重症ASには手術が必要ということが明記されています。

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この患者さんの場合は1年前から心不全が悪化し下肢のむくみなども起こっていました。心臓手術、具体的には大動脈弁置換術(AVR)が比較的安全にできる見込みが立ったことと、大動脈にも硬化がありカテーテルで入れるTAVIは当時まだ発展途上ということもあり心配があったため十分な検討ののち前者を選びました。

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術後経過は良好で十分な心臓リハビリののち退院して行かれました。

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外来でいつも最高の笑顔を見せていただき、うれしく思っています。

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ご高齢とはいえ、広い庭で草引きをしたり、買い物に行ったり、お元気な生活を楽しんでおられるご様子で、治療をお任せ頂いた者としてジーンとなってしまいます。

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以下はこの患者さんが退院されるときのご家族からのお手紙です。

毛筆の素敵なお手紙でした

短くても実感のこもったものでした。

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これからも外来でお元気な笑顔を見せてください。
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********患者さんからのお便り*******

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この度は先生のお陰により又、

生命を継ぐことが出来、

本当に有難うございました

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生かされた命を大切に日々送ってもらいたいと思って居ります

心より感謝申し上げます

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       ❤

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お便り113: 5回目の心臓手術と2つのハンディを乗り越えて

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弁膜症を長年お持ちの患者さんの場合、何十年という間には何度も心臓手術が必要になることがあります。

とくに感染性心内膜炎や組織が弱くて切れる場合などに、見られます。

私の病院へは3度目、4度目、5度目などの再手術を求めて患者さんがよく来られます。

地元の病院で危険、ダメと断られてこられるのです。

沖縄、九州や北海道、東京などからも来 184741739られます。できるだけご期待に沿えるよう、頑張っています。

つぎの患者さんは三重県から来られました。

それまで4回手術をうけて取り付けた人工弁がまた外れて逆流しているというのです。5回目の手術が必要となり、心臓のちからも肺のちからも正常の半分にまで低下し、極めて危険な状態でした。大学病院でもこれは無理と匙を投げられた状態でした。

高の原中央病院かんさいハートセンターの私の外来へ来られ、確かに危険性が高く、また薬などで当面は持ちそうなため経過を見ていました。

その間、心不全が次第に進み、苦しくなって、患者さんは何度もお手紙を下さいました。

もとの大学病院の先生方とも協力し、苦しさの原因が心臓にあるのか、肺にあるのかを含めて何度も検討し、やはり弁を治すしか生きる道はない、という結論になりました。

入念に準備を進め、MICSの方法を駆使して小さい切開でほとんど剥離が要らない形で弁の裂けたところをピンポイントで直しました。

患者さんは順調に回復され、元気に退院して行かれました。

是非とも生きたい、そのために何としても病気を克服する、5回目の手術でも頑張る、自分と自分の主治医を信じて頑張る、そうした覚悟と決意の賜物だったと思います。

まさに命を預けて戴いた、心臓外科医としてこれほど光栄なことはありません。そしてご期待に応えることができ、これほどうれしいことはありません。

また外来でお元気なお姿を拝見させてください!

以下はその患者さんが他の患者さんたちのお役に立てるようにと書いて下さったお便りです。

 

****** 患者さんからのお便り ******

米田先生へ IMG_0806b

病との戦い

私は69歳の男性です。

私の今までの病歴を紹介しますと、

子供の時、リュウマチ熱から心内膜炎を併発して、

31歳の時、1回目の僧帽弁開腹術を受け、その時血栓肝炎(ノンA・ノンB型)になり、(この時はまだC型ウイルスが見つかっていなかった)

その後、慢性化して40歳になった頃、ウイルスが活動し出して、大動脈閉鎖不全症とあわせてものすごいしんどい日が続きました。

当時は、C型肝炎は不治の病と言われていたので、大動脈閉鎖不全をとりあえず良くなりたい気持ちから2回目の心臓手術を受けました。

少し楽になったが、C型肝炎がますます悪くなり、仕事に耐え切れず44歳に大型スーパーを退職しました。

45歳の時、インターフェロンが保険適用になり、治療して快復しました。

それから10年間コンビニを経営して、その後56歳から子供の時からの夢であったラーメン店を経営しました。ラーメン店が軌道に乗りだした59歳の時に31歳の手術をした僧帽弁がまた狭くなり、人工弁を移植しました。(3回目の心臓手術)

ところが、術後10カ月頃、人工僧帽弁に黄色ブドウ球菌がついて6か月入院して治しました。しかし、かなり息苦しくなったが我慢してラーメン店を続けました。また、同時期、ワーファリンの飲む量を調整するために減らしていた時、脳梗塞になり救急車で病院に運ばれました。気付くのが早かったため少し障害は残りましたがまた仕事を続けました。

63歳頃から顔色が土色になり、浮腫みがひどくなり、64歳にギブアップして仕事を辞め、治療に専念しましたが、徐々に悪くなり、不整脈の治療のためペースメーカーを入れてもらったりしたが、59歳の時の人工弁の縫目からの逆流(人工弁感○○症の影響)がひどくなって、67歳の時4回目の手術を受けましたが、私はどうも体質がくっつきにくいためか、だんだん心不全が進行して色々病院にあたり、断られました。

そんな時、3年前にテレビで放映されていた心臓手術の様子を思い出し、名古屋のハートセンターの米田先生を尋ねましたが、1年前にかんさいハートセンターを高の原中央病院内に設置されたとのことで、半年位通院して5回目の手術を23日前に受けました。

おかげで、縫目の逆流を治すことができました。心臓の機能がしっかりして、腎機能も利尿剤を飲まなくても済むようになりました。

術前は心臓が普通の人の50%、肺の機能も50%でしたが、心臓機能はもっと良くなると思っています。肺の機能も時間はかかると思いますが、それにつれて良くなるよう呼吸を訓練したり、リハビリを積極的に行っています。

人生は一度限りです。良くなりたいという強い気持ちが大切です。

それには、なんとか良くしてやろうと事前検査の徹底、丁寧で心臓手術の豊富な医師を探して手助けをしてもらい、良くならないと損だという強い意志が必要です。

なんとかなりますので、最後まで頑張りましょう。

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お便り112: ポートMICSの僧帽弁形成術でゴルフ復帰へ

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僧帽弁閉鎖不全症の治療として僧帽弁形成術がベスト!というのはかなりの患者さんたちの間で常識になりつつあるようです。

近くの病院で弁置換を勧められてからこれはおかしい P1120179bとご自分で調べ、形成を確実にやってくれる病院を訪ねる患者さんも増えました。

同様におなじ弁形成なら早く仕事やスポーツに復帰したい、そのためにミックス手術ポートアクセス手術だ!と考える方々が増えました。

そして自分が納得できる治療や方針を立ててくれる医師を求めて飛行機ででも移動するという方が増えました。

下記の患者さんもそのひとりで、みずからしっかりと病気に立ち向かい、勉強し、そして連絡を取って来られました。

手術では僧帽弁前尖の広範囲が逸脱し、形成術としてはやや複雑でしたが、これをポートのMICSできれいに仕上げることができました。

せっかく九州・宮崎からお越し下さっただけに、十分な治療と、遠方がハンディにならないような配慮をし、余裕ができるまで院内で心臓リハビリもこなして頂くようにしました。

まもなく春がやってきます。ゴルフやスポーツなども楽しんでいただければうれしいことです。

東京オリンピックの観戦は余裕でお楽しみ頂けるものと存じます。

以下はその患者さんからのお便りです。

 

****** 患者さんからのお便り **********


特任院長 米田正始 様
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いつも医療に献身的に取り組んでおられる米田正始先生をはじめ、増山慎二先生、
小澤達也先生、村西菜苗先生そして麻酔科の先生、看護師の方々等改めて敬意を
表します。

入院から退院まで約29日間、不快な気持ちもなく治療に専念できたこと心より感
謝申し上げます。

ありがとうございました。

神の手に委ねたこの体、お陰様で東京オリンピックまではしっかりと見届けられ
るのではないかと密かに喜んでいます。

また、諦めかけていたゴルフも来年いや今秋にも本格的にできるのではないかと期待をふくらませています。

お会いできそうもありませんのでお手紙でお礼申し上げます。

本当にありがとうございました。

医療充実・発展のため、益々ご活躍されることでしょう。

どうか体だけはご自愛ください

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お便り111: 珍しい心臓腫瘍からMICSで完全復帰

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心臓腫瘍にもさまざまなタイプがあります。

いちばん多いのは粘液腫(ねんえきしゅ、英語でミキソーマ myxoma) 165395249で、その多くは心房中隔という左右心房の間仕切りの左側に発生するタイプです。

私のトロント大学での100例以上の検討(当時世界のベスト3の数と言われました)ではその他の部位にできる粘液腫は悪性の恐れがあり要注意という結果でした。


完全に切除することが大切なのですが、それが普通の方法では難しいこともあります。

場合によっては僧帽弁大動脈基部の一部まで切除して再建、もちろん患者さんご自身の弁を温存して、という弁膜症手術の中でも難易度の高い技術と経験を要するものもあります。

お便り43の患者さんもそのタイプでした。

 

下記の患者さんは心房中隔の表面ではなく中に腫瘍があるという珍しいタイプで、しかも大動脈基部に迫るという危険な形のものでした。

関東在住で現地の大学病院で診断を受けられました。そこの放射線科と内科の先生方も、このタイプは特殊で大動脈弁に腫瘍が及んでいる恐れがあり、心臓手術の際にはくれぐれもご注意をというありがたいコメントも頂いておりました。

その患者さんがかんさいハートセンターまでお越し下さいました。

精密検査ののち、確かに大動脈基部を含めた大きな手術になるかも知れないという見立てで、もともとはポートアクセスによるMICS手術(右胸を小さく切るだけです)を考えていましたが、もしもの場合を考え、正中からアプローチすることにしました。

ただしMICSご希望のため、小さい創で、40歳代の若いご年齢から夏服が楽しめるように配慮しつつ、安全重視の布陣で臨みました。

 

結果的には心房中隔の中でうずら卵状の腫瘍がコロッときれいにとれて、周囲への浸潤つまりしみこむような広がりもなく、良性腫瘍の形でしたので大動脈基部は触らずに完全切除できました。

術後経過も順調で、手術前に不整脈発作がよく出ていたのも次第に影をひそめ、お元気に退院されました。

 

手術のあとで顕微鏡検査の結果が送られてきました。神経鞘腫という世にも珍しい、おそらくこの部位では世界にこれまで1-2例報告あるかないかのタイプでした。

患者さんと娘さんたちの前向きの姿勢が良い結果をもたらしたと言えましょう。

これから元気な健康生活をお楽しみください。

 

ちょっと遠方ですが、お役に立つ外来を心がけていますので、また健診のため関西までお越しください。

 

******** 最初に頂いたお問い合わせメールです *******

初め PL111Aまして。

私の母は四年前に子宮けいがんで子宮全摘しています。

それで抗がん剤などの治療は受けていなくて再発もなく、

でも3ヶ月毎に受けてるCT検査で心臓に腫瘍がある事がわかりました。

再発ではなく原発みたいででも心臓腫瘍も珍しいが

もっと珍しいタイプみたいで粘液を疑っていたんですが

粘液なら左心房にちょこんと出来るみたいだけど、左右真ん中にあり

明後日カテーテル受けるですがリスク高いと言われていて…

カテーテル受けないと手術は出来ないのでしょうか?

よろしくお願いします

********* 術直後に頂いたメールです *********

こんにちは。**です。 PL111B

昨日は手術どうもありがとうございました…。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
米田先生に母をみてもらえて本当に本当に良かったです。米田先生に出会えて良かったです。

昨日のICUでの母との対面は、手術終わったんだなってゆう気持ちと当たり前だけど子宮癌手術よりも昨日受けた心臓の手術のほうが何倍も大変?
な手術で前の手術よりも沢山沢山器材がついていて怖くなってしまいましたが…

私も口唇口蓋裂とゆう病気で全身麻酔の手術沢山受けてるから術後の辛さもよくわかります…。
私の場合は病室戻る時には人工呼吸器も取れているから、実際呼吸器つけてる母をみて怖くて…でも無事に手術終わったって事で安心と恐怖?で涙出てきました…。

今日午前中、母に会ったら会話も出来たし、リハビリで座ってたし本当に良かったです。

米田先生…

母はずっと傷跡の事も気にしていて地元病院だったら沢山切っていたと思うのに
先生に執刀して頂いたお陰で傷跡も母は気にしないでいけると思います。

言葉では上手く言えないけど本当に本当にありがとうございます。

 

********* 退院のころ頂いたメールです *********

 こんにちは。**です。 PL111C

約1ヶ月間母の入院、手術、色々本当にどうもありがとうございました。

米田先生に執刀していただいて本当に嬉しく思います。

米田先生をはじめ、グループの先生、母と関わっていただいた全ての人に感謝します。
本当にありがとうございます。

退院の日、米田先生にお礼の言葉を直接言えなくて残念ですが、米田先生に出会えて本当に良かったです。

ありがとうございます。

外来の日、母と一緒に行きますのでまた先生に会えるのを楽しみにしています。

ありがとうございました。

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執筆:米田 正始
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お便り110: ポートアクセスで心房中隔欠損症や心房細動などを完治された患者さん

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心房中隔欠損症(略称ASD)は先天性心疾患のなかでは一番多いもののひとつです。

多くはこどものころに検診などで発見され、こどものうちに手術を受けていただくのですが、検診でわかりにくいときなどにはそのままとなり、成人になってから心臓が大きくなったり心房細動などの不整脈がでたり三尖弁閉鎖不全症171107243を併発して心不全になってから病院に来られることも少なくありません。

以下の患者さんは岐阜県からかんさいハートセンターまでお越し下さいました。

長年の無理が影響してすでに慢性心房細動となり、心房中隔欠損症の血液の漏れのため右心室が巨大化し三尖弁の逆流も強くなっておられました。軽い運動でも息切れが出るほど心不全になっておられました。

手術ではミックス法・ポートアクセス法で骨も切らず、小さい創で上記の3つの病気をすべて一回で治しました。

お元気なお顔を外来で拝見するのが楽しみになっています。

157563164以下はその患者さんのブログからの引用です。ブログそのものも

さわさわ と・・・
 心臓手術をポートアクセスでしました 
   手術のこと・・日常の思いなど記します

というタイトルでさわやかで親しみやすいものです。心臓手術をご検討中の患者さんには参考になれば幸いです。❤こちらをご覧ください

なおここでは手術前日、当日、退院日、半年後、一年後の記事をUpさせて戴きました。それ以外はブログのほうをご覧ください。

***********患者さんのブログから**************

こんにちは!

このブログに来ていただきましてありがとうございます。
心臓手術のことだけではなく日常の事も織り交ぜて更新しています。

2014年1月 かんさいハートセンターで心房中隔欠損症、三尖弁形成、メイズ手術をしました。
その時私が感じたことを残しておきたいと思いブログを始めました。

心臓の手術はどうして怖いのでしょう?

特別な場所・・・
よくわからない事・・・

得体のしれないものは怖いです。
だったら「知ること」から始めましょう。
自分の事、心臓の事を知ることで、きっと恐怖は少なくなります。
手術や治療に前向きになれると思います。

心臓はほっておいてもよくなることはありません・・・

 

******* 手術前日の記事です ******

2014年07月**日(*)

手術日前日は麻酔科の先生やICUの看護師さん、

リハビリの担当者などが次々と来て説明を聞きました。

手術室やICUも見せていただきました。

(やっぱり明日手術なんだ・・・)

まだピンと来ていないのか、

特に不安もなく落ち着いていました。

夕方18時頃から先生のお話(インフォームド・コンセント)があるということで主人と娘が少し早めにやってきました。


手術に対する不安はありませんでした。

長年不安を抱えてきて、

やっと手術が受けられるのだから、安心していました。

それも米田先生の手術です。

心房をゴアテックスで塞ぎ、

三尖弁の形成をする。

僧房弁の状態が悪いようなら治すが、

問題なければそのまま。

心房細動はメイズ手術で治す。

これをポートアクセスで、

右の胸を少し切って行うということでした。


「右胸から心臓までの距離が遠いですが、見づらくありませんか?」
という私のばかげた質問に

「今ここで見ている20センチくらいの距離を見るのと変わりません」

と説明いただきました。

手術は15時頃に終わると言われ、

3時間前後かと思っていた私は、少しびっくりしました。

危険性なども説明いただきサインをして終わりました。


明日の手術の時間を確認して、主人と娘は帰っていきました。


******* 手術当日の記事です ******

2014年07月**日(*)
いつもと何も変わらない朝

起きると排便があったので
浣腸はしませんでした。(よかった!!)

7時頃にはシャワーを使いました。
ぜ~んぶきれいに洗って、
まな板の上のコイ?の心境でしょうか。
前日におへそのゴマもチェックされましたし・・

特に手術前に特別なことがあるわけではなかったので
落ち着いていられました。

他の病院では、剃毛をするという話を聞きましたが、
何も言われませんでした。
実際は麻酔が効いてから、

鼠蹊部近くを少しカットされていました。

家族も到着し後は時間が来るのを待つだけ。

午前9時半
みんなで歩いて6階の手術室へ。

そこで家族とはお別れ、
二度と会えなくなるというような思いは一切ありません。
身内のほうが、私よりも心配していたと思います。
ちらっと見た主人の姿が、心細げに見えたのでした。

扉を入ると、キャップ(白いふわふわのやつ)をかぶせられ

狭い手術台に自分で乗りました。
自分でもわからないのですが、わくわくするような気分もあり

少しも怖くはありませんでした。

すぐに麻酔が効いてあとは全く覚えていません。

手術は17時になっても終わらないと

娘が気をもんでいたというので、結構長引いたようでした。
その後主人は、先生から図を描いてもらい詳しい手術の説明があったということです。

ICUに運ばれた後で家族が面会したというのですが、
これも全く覚えていません。

のちにリハビリの泉さんに聞いた話ですが、

寝かされている私を見て主人が一言

「お前、サイボーグみたいだなぁ」と言ったそうです。

そういえば手術前に

「術後はたくさんの管が10本くらい体につながっているので、驚かないでください。」

と言われました。

私はまだ意識が戻っていませんから何も知らなかったことですが。

(写真を頼んでおけばよかった~)

 
気が付いたのはICU

誰かの呼ぶ声が聞こえてふわふわとぐるぐるとした感じで
それでも返事が出来ないのがもどかしかった。

一生懸命目を開けようとしていた気がします。

先生の腕が目に入りました。

やっと目が覚めた。

「終わったんだ!」

でも喉の奥がヘン

人工呼吸器?

何かが喉の奥にあたって吐きそう・・

すぐに外してもらえたのですが

今度は喉が渇いて仕方ありません。


看護師さんに頂いた水が「おっいっしい~!!」

お水ってこんなにおいしかったんだ!

その後も氷をいただき喉の渇きを潤しました。

 

******* 退院時の記事です *******


2014年07月**日(*) Bara

2日後

元の4人部屋に戻りました。

手術中に部屋の人数は私の他1人になっていました。

私より10歳ほど年上のその方は

手術は終わって人工透析が必要になり、

いまだ退院のめどが立たないようでした。

 

私はリハビリをがんばって早く回復するしかありません。
まだ足元がふらついていました。

少しふらつきながら点滴をぶら下げて、
両側から支えられて病室の廊下を歩きます。

 

廊下をどこまで歩いたかで

歩行距離を計算します。

この後毎日何メートル歩いたか記録するようになりました。

 

夜中に痰が絡むので「クッ!カッ!」と言って

うるさいんだろうな~(ごめんなさい^_^;)

ポータブルトイレの音もごめんなさい!

そのたびに心の中で謝っていました。

それが大部屋のつらいところですね~

反面、いろいろな話ができるのがいいところ。

気分も明るくいられます。

 

毎朝採血と体重測定があります。
血液検査によって薬の種類や量を決めていたようです。

体重は体に水が溜まっていないかむくみを知るためです。

前日より1キロ多く数字が出たことがあって

測り直したことがありました。

結局機械が狂っていただけでしたが・・

 

切ってあるのは右胸の下と右足の付け根。
回診に来た増山先生に胸は何センチ切ってあるかと尋ねると
「6センチ」との事
ちゃんと測って切ったと言われました。

 

足の付け根は人工心肺のために4~5センチ切ってありました。

その他に左首にやや大き目なドレンの穴、

右胸の上部脇の下あたりに穴が一つ、

右の鎖骨あたりに跡があります。

 

手術直後から創はほとんど痛みません。
手術後に痛かったのは、
手術の創ではなく右肩から背中にかけてでした。
ポートアクセスの際、

右手を挙げる体勢で手術するからだそうです。

しばらくの間、看護師さんに背中に湿布を張ってもらいました。

 

この頃には腰痛もずいぶんよくなっていました。

背中の痛みのほうが気になって仕方ありませんでした。

 

また、深呼吸をすると、胸が(肺が)痛い。
これは手術でしぼんだ肺が元通りになるまでは仕方ないそうです。
「早く肺を元に戻すために深呼吸をしてください。」と言われました。

5日後には自転車のマシンをこいで汗だくになり、
それから毎日負荷を掛けながら20分。

リハビリのマシンに心電図のモニターがついているのですが、

規則正しいリズムで、どんなに息がはずんでも乱れることがない。

・・・感激でした。


この頃にはシャワーも使えるようになっていました。

気持ちがいいと思えるのは幸せなことです。

 

術後米田先生が病室を訪ねてきて

「肋間神経ブロックをしてあるから痛みはないはずですが、

どうですか?心臓の下の方もしっかりメイズ手術しておきましたから」
と言って下さいました。

本当に痛みがないのです。

神経の麻痺は2~3か月で戻ってくるようです。

しびれているような感覚があるだけです。

この後ず~~っとぴりぴりとした感覚は半年ほど続きました。

 

暇なときはリハビリを兼ねて、院内を散歩していました。
この病院は院内にローソンがあり病衣のままで買い物に行けます。
文庫本も少しあり、2冊ほど買って読みました。
浅田次郎「鉄道員・ぽっぽや」良かったです。

ヨーグルトが食べたくなって買いに行きました。

コインランドリーの洗剤も買ってきました。

 

このころ退院したら
絶対に食べたかったもの「激辛のラーメン」!!

今から思うとあっという間でした。

いつも優しく接していただいた看護師さんたち

その仕事の大変さを改めて知り本当にありがたく思いました。


******* 術後半年のブログ記事です ********


2014年07月**日(*) Hana_1

 

地元の循環器の先生が米田先生のお知り合いということで、

逆に紹介をいただき最近は地元で薬をもらっています。

 5月に奈良に行ったときは、
旅行気分でひとり電車に乗りました。
あの1月の入院の時とは全く違った気持ちで奈良へ行くのが楽しみでした。

後は1年後に来て下さいと言われ、
帰り際「気を付けてお帰り下さい」
との先生のやさしい言葉に感激して帰ってきました。

 順調に回復しているようです。

 しっかりとメイズ手術をしていただいたせいか、
不整脈も起きていません。

 規則正しい脈拍に安心する毎日です。

 頭痛も以前と比べると随分減ってきました。

 毎日のウォーキングもなるべく欠かさないように、

 姿勢と呼吸を意識して速歩だったり、

 少し走ってみたりしながら行っています。


田舎なので、周りの景色の美しさに改めて感動しています。

 筋力がつくようなストレッチも時間があればするようにしました。

 ただ、私の性格からいって
なにごともほどほどに出来ないこともあり、

 それがストレスにならないようにしなくては

 ・・と思っています。


最近、地元の循環器の先生に言われたことは

 「せっかく米田先生に手術してもらったのだから・・」

 という言葉でした。

 少しの動悸にも「心房細動?」と不安になり

 体のことばかり心配していた私に

 そのとき先生がおっしゃったのです。


以前よりも確実によくなっているのに心配ばかりして、

 毎日を楽しめないようでは手術をした意味がないのではないか

 ・・というようなニュアンスでした。


何のために手術をしたのか。
これからの人生を楽しむためにしたのではなかったか。・・・

 体をいたわりながらも充実した楽しい毎日を送ることに意味があると思います。

 半年にしてあらためて気づきました。

「せっかく米田先生に手術してもらったのだから・・・」

 ・・ですね!

 
自分の体に起きていることが不安だったり
信じたくないと思うのは仕方のないことだと思います。

 
それでも自分で行動を起こすことが
少しでも良くなる方向に向かうとしたら、
いろいろな方法を試してみるべきだと思います。

 私は迷った末に米田先生にメールを送ったことですべてが始まりました。
こんなに穏やかな気持ちで心臓の手術を受けられるとは思ってもいませんでした。
そして今、本当にありがたく毎日が幸せです。

 皆様に感謝です。
この手術で、一旦は自分の心臓が止まってしまったにもかかわらず、こうして生きていける。

 そのために尽力される医療の立場の方々には
本当に頭の下がる思いです。

 今まで気にしなかった自分の心臓が、とても気になります。

 私は、この先もきっと心臓に関しては、

 興味を持たないではいられないでしょう。

 ただ、心配はしないで暮らしていきたいと思います。

 最善を尽くしていただいたのだから、
これから先は何か起きた時に考えればいいのではないかと。

 30年も待ち続けた手術がやっと終わったのです。

 
****** 術後1年弱の記事です *******


2014年10月**日(*) Hamanasu
昨年の今頃は悩んでいた。


手術が必要なのか

本当に手術をした方がいいのか
このままではいけないのか
どこに相談するか
どこの病院にするか

わからないことだらけで・・・

それでも、30年来の答えを出さなければいけないのだろうとは思っていた。

「手術」という選択

確かに苦しい胸をそのままにしておくのはよくないだろうという気持ちはあったが、

自分が心臓手術を受けるという実感がわかなかった。

思いっきり脅かされて「長嶋さんみたいになりますよ~!」

今でもその言葉はドキッとする。

ありがたいと言えばありがたい
その言葉で踏ん切りがついたのだから・・・

そして、たった一つ

「ハートセンター」の心臓血管外科医を頼りに
少しづつ気持ちを固めていく。

心房中隔欠損症はポートアクセスで手術出来る。

心房細動はメイズ手術で治る。

名古屋で手術を受けたかったという気持ち

新しい「かんさいハートセンター」への不安

 

「心臓」という場所を切り開くことへの「安心」を手に入れたいと思っていた。

祈るような気持ちで米田先生にメールを送ったのを覚えている。

先生の返事をいただいてからはすべてが早く回りだしたような気がする。
気持ちが固まった以上、自分がどこまで納得して手術に挑めるかだけだった。
ただひたすら、「安心」を手に入れたかった。

そして今

確実に一年前とは違う「私」がいる。

胸が楽になっただけではない。
大きく変わった気持ちも感じている。

今までの人生への反省もあり
感謝もあり
今後の希望も大きくなった。
いい人生だったと最後に思いたい。

手術に対する「安心」は手に入れたものの

今後に対する「安心」は誰も手に入れられないもの・だと知った。

 

**********************

その後、手術から1年あまりたって、以下の記事がUpされました。

振り返って総括する内容ですのでここに転載させて頂きます。さらに詳しくはこのブログを直接見られると良いでしょう。

 

********1年あまり経っての記事******

 


2015年01月08日(木)
Haibisu

 

ちょうど1年

 

新しく心臓が動き始めてから・・・

 

 

あっという間の1年でした。

 

 

体だけではなく、気持ちまで大きく私を変えてくれた心臓手術でした。

 

 

手術をして本当によかったと思っています。

 

 

現在の状態はずいぶん良くなっていると思います。
手術をしたことを忘れるくらいに・・・

 

走っても苦しいことはありませんし、体力に自信もついてきました。

 

時々感じる「ドキドキ」感はあります。
咳も相変わらず出ますが、
横になった時というわけではないので少しあきらめています。

 

 

 

 

現在の創の状態です。

 

わきに一つの丸い傷

 

斜めに乳房の下
・・・とてもきれいです。

 

・・・痛みもありません。
創自体の痛みはないのですが、胸がチクン、ズキン、ということはあります

 

 

 

私の受けたポートアクセスについてまとめてみました。

 


 

心臓手術の一つの方法としてポートアクセスがあります。

 

MICS(ミックス:minimally invasive cardiac surgery)手術です。
以前からおこなわれていた胸の真ん中で縦に大きく切開し胸骨を切る胸骨正中切開に対して、切開が小さく低侵襲(体への負担が低い)という利点があります。

 


私が20代で心臓手術を考えた時に気になるのは胸の傷でした。
当時の手術は(30年ほど前)胸の真ん中を大きく切る正中切開が当たり前でした。

 

その後、心房中隔欠損症ではアンプラッツァーというカテーテルでの治療が出来るようになりましたから、胸を切らないでも済むわけです。
但し、心臓の欠損(穴)の状態にもよるようですし
私には若干の金属アレルギーがあることも心配でした。

 

 


そこで、ロボット手術に関心を持ちました。
金沢大学の渡辺剛先生(現:ニューハート・ワタナベ国際病院)が行っていらっしゃる「ダヴィンチ手術」

 

創がないということは魅力でした。
(創はないが穴の痕がいくつか残るということです)

 

 


しかし一番問題なのはお金がかかる事です。
保険がきかないなんて・・・
実費ということですよね。「○百万」
とてもダヴィンチ手術には踏み切れませんでした。

 

 


それと、私の場合心房細動がありました。
心房中隔欠損症の手術だけなら割と簡単なもののようですが、
心房細動があるということであれば、
メイズ手術をやっていただきたいと思っていました。

 

 

それもポートアクセスで・・・
そこで、メイズ手術もお願いするのであれば米田先生かと思いました。

 

 


実際に検査をしたら三尖弁閉鎖不全もありました。
心房中隔欠損症で穴をふさぐだけでは済まされない状態です。
メイズ手術と三尖弁形成も同時に施術していただきました。

 

 


それらを含めての手術という点では、
ポートアクセスは条件を満たしていたと思います。
6センチの創と1個の穴が残りましたが、

 

結果的によかったと思っています。
今見ても大変きれいで目立ちません。

 

 


胸に傷が残ることで心臓の手術を躊躇している人がいるかもしれません。
そうであれば、ぜひポートアクセスがいいと思います。
「創は勲章」とは思うものの、小さいに越したことはありません。

 

 

痛みの面でも、術後の回復の面でも、
本当に心臓の手術をしたのかと思うこともあります。

 


ポートアクセスも、もしかしたらいろいろなやり方があるのかもしれませんが、私にしていただいたものは全く痛みがありません。

右肋骨の間(乳房の下)を6センチほど斜めに骨に沿って切ってあります。
その際に肋間神経ブロックがしてあるということで痛みがないようです。
これはほんとにうれしいことです。
術後の痛みは随分なストレスになると思うからです。

 

 


病気の状態によってはポートアクセスが出来ない場合もあるようですが、
心房中隔欠損症、僧房弁置換術、僧房弁形成術 大動脈弁置換術、大動脈弁形成術、三尖弁形成術、メイズ手術などで行われるようです。

 


ポートアクセスは視野が狭いこともあり技術がいるようです
この手術を多くこなしているベテランの医師を選んでください
たくさんの経験が手術の質を上げるものだと信じています。

 

 

 

利点
①傷が小さい
②痛みがない
③社会復帰が早い
④保険適用

 

①については傷が右胸乳房に沿って下部を斜めに6センチ
胸骨正中切開と比べて傷は目立たず、温泉などでも気になりません。
正面から見ても傷痕は見えません。
この手術は右胸から心臓へ直接アプローチします。
あくまでも開胸手術で、胸腔鏡手術ではありませんでした。
小さい切開で長めの特殊な器具を使っての手術になります。

 

 


②痛みは全く気になりません。「痛みなし」と言ってもいいくらいです。
通常の心臓手術は胸骨を切りますが、

 

ポートアクセスは骨を切りません。肋骨の間からの手術です。
肋間神経ブロックをしているので、術後創そのものの痛みはありません。

 

 ピリピリした神経の感覚が残ります。

 

 


③骨を切らないので術後の治りが早いです。
私の場合術後10日で退院

 

 退院後10日目には自動車を運転して会社へ行きました。

 

 


④保険が適用されるので3割負担で済みます。
なおかつ高額医療制度がありますので、私は450万ほどの手術が13万強で済みました。

 

注意点


①ポートアクセスはどの病院でもやっているというわけではない。
狭い視野からのアプローチになりますから技術が必要です。

②人工心肺を右下肢の付け根にある大腿動脈につなぎます。
そのため、大腿動脈や大動脈に動脈硬化がないひとに限定される。

 

 


**********おわりに***********

素晴らしい体験談ブログをありがとうございました。  150464174

心臓手術を受ける患者さんの中でも、強い痛み症状のない病気の患者さんは将来の健康といのちをかけて、病気を勉強し理解し、克服する決心をされ実行された方々です。

私も含めて、手術は誰でもいやなものです。(私、20歳のころ、お腹の手術を受けるはめになって落ち込みと八つ当たり状態だったのを想いだします) 

それに敢然と挑戦し健康を勝ち取られたことに、あらためて敬意を表したく思います。

またその大切な手術をお任せ頂いたことを光栄に思います。

また外来でお元気なお顔を拝見するのを楽しみにしております。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り108: ポートアクセスで僧帽弁と大動脈弁の同時手術を

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弁膜症の手術・治療は他の心臓手術と同様、日々進化を遂げています。

心臓外科医である私自身がその速さに驚いているほどです。

僧帽弁置換術を上 IMG_0330 (2)回る治療としての僧帽弁形成術

大動脈弁形成術が不適当な場合にそれを上回る大動脈弁置換術プラス将来のTAVI(折りたたんだ生体弁をカテーテルでもとの弁の中に入れることで再手術を回避)、

そしてそれらを小さい創で骨も切らずに行うミックス(MICS)なかでもポートアクセス手術

10年前にできなかったことがすでに自分の中で実現していることに驚きと喜びを感じます。

国内外の仲間たちと切磋琢磨して日々勉強し検討し確認していることのおかげです。

下記の患者さんはそうした新しい弁膜症の手術を受けられた方々のお一人です。60歳前後の患者さんで関東からお越し下さいました。

少ない痛み、早い回復と仕事復帰、社会復帰、きれいな創でこころに傷をつけない、こうしたことを実現でき、かつワーファリン(血栓を予防するお薬です)の不要な手術、しかも将来の再手術が回避しやすい、長期プランを考慮した手術ができ、患者さんとともに喜べることを心臓外科医冥利と感謝しています。

以下はその患者さんからのメッセージです。

また外来で再会できるのを楽しみにしております。

 

****** 患者さんからのメッセージ******

心臓弁膜症で手術が必要と言われた方々へ

私の場合は、地元の病院で人間ドックを受けた際に、
最後の問診の時に聴診器を当てられ、「心雑音があるので、
内科で精密検査を受けてください」と言われたのが、
最初でした。

その後、半年の経過観察の後で、症状の進行が見られ
担当医の先生から、「僧帽弁の逆流が激しいので、
このまま放置しておくよりも、今の段階で手術をした方が
心不全などのリスクも解消し、術後の経過も良いですよ」
と言われました。

自覚症状も言われてみれば少し息が切れるかな、程度であったため、
「なんでそんな。しかも心臓の手術?」と愕然としたことを覚えています。
その後、「これも神様がくれた試練」と思い直し、心臓弁膜症の手術とは何か
の情報をできる限り集めました。

その結果、一般的な正中切開に加えて、MICSというダメージの少ない方法があり、
中でもロボットやポートアクセスという方法があることを知りました。

私の場合、できる限り早く社会復帰したいし、家族とのハイキングや
スポーツも楽しみたいとの願望があったため、余程の困難な手術でない限り
MICSでやっていただけるところを探しました。

最初は、自宅近くの病院に狙いを定め、受診したところ、心エコーにて
大動脈弁の方の逆流のジェットも激しいことが指摘され、その場合、
僧帽弁に加えて大動脈弁の方も手当てしなければならないくなるので、
正中切開となる可能性がありますと言われました。

その時は、「仕方がないか」と諦めかけましたが、色々と調べた中で
最も参考になった米田先生のホームページに戻り、
メールでご相談したところ、すぐに
「外来の予約を入れてください。遠方なので一日で必要な検査が済むようにしましよ
う」
との返事をいただきました。

実はドキドキしながら返事を待っていたのですが、大変丁寧で分かりやすい返事を、
しかも米田先生ご本人からいただけたことに感激し、やっと探し求めていた先生に
巡り会えたと思いました。

外来受診の日を迎え、色々な術前検査をした結果、やはり僧帽弁に加えて
大動脈弁の方も手当てが必要で、こちらは弁置換となる可能性があるとの説明を受け
ました。

一か月後には入院し、いよいよ手術となりました。

前日には、家族も含めて、米田先生からインフォームド・コンセントの説明として、
僧帽弁形成術と大動脈弁置換術をポートアクセスで行うことや、
手術に伴う合併症等のリスクについて、詳細な説明をしていただきました。

さて、もうこうなったら「俎板の鯉」です。
自分がこれだと思った方法と、先生と、病院なので、後はすべてお任せです。

ですので、手術前夜はぐっすり眠れ、普段通りに起きてトイレに行き、そうこうして
いるうちに
点滴が始まり、家族に見守られながら手術室に入りました。

手術室の印象は、最新の機器や設備、モニター群や照明、
緊張感とやさしさが感じられるスタッフやドクターの先生方です。
深い眠りだったようで、手術中のことは一切覚えていないですが、
目が覚めたらICUでした。

手術後に、米田先生から家族に対して手術が成功したことの説明があったようです。

手術から二日後には、ICUから一般病棟に移りましたが、ICUに居る時からリハビリが
始まり、
喉の管や頸の点滴も取れ、次々と身軽になっていきました。

手術の時は肺を萎ませていた影響で、最初は少し息苦しさを感じましたが、
日毎に回復するのが分かりました。

一般病棟に移ってからも、赤褐色の痰を出したり、寝返りを打った時に右胸に痛みを
感じたり
しましたが、痛み止めや睡眠導入薬を使うことで、乗り切りました。

手術後3日目にはドレインと尿管が取れ、5日目にはすべての管が取れました。

6日目のリハビリから自転車漕ぎが始まり、病院一階のローソンまでアイスを買いに
行きました。

自分でもこんなに順調でいいのかと思えるほどの回復でしたが、
日毎に気力も充実し、同室の方や看護師の方と冗談を言えるまでになりました。

自宅が遠方とのことで、少し余裕を見て、手術後13日目となる日に退院しました。

高の原中央病院の印象は、病院らしい病院で、清潔さや衛生管理も行き届いており、
スタッフの方々もプロ意識や患者目線でのホスピタリティーに溢れています。

中でもかんさいハートセンターのスタッフの方々はとても活気がありました。
また、私には病院食も大変おいしく感じられ、快適な入院生活を過ごすことができま
した。

この手記を書いている今日は、手術後25日目ですが、昨日は仕事で外出までこなせ
るまでになりました。

この手記が、これから心臓手術を受けられようとされている方々にエールを送ること
ができれば幸いです。

 

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お便り107: 収縮性心膜炎を合併した慢性血液透析の患者さん

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収縮性心膜炎(略称CP)の原因はいくつも知られていますが、慢性腎不全・血液透析もそのひとつです。

IMG_2111bおそらく心膜炎を繰り返しているうちに心膜が変化を起こすものと考えています。

いずれにせよ、心不全が重くなれば心臓手術が必要となります。

下記の患者さんはお若くして血液透析が必要となり、

その後上記の収縮性心膜炎を合併された40代後半の関東在住の女性です。

***** 患者さんからのお便り 1*****

はじめまして。
突然のメールにて失礼します。

当方、**県在住の****と申します。

私は199*年にIgA腎症となり、200*年に腎不全へ進み人工透析導入、200*年に生体腎移植するも、20**年に人工透析再導入となりました。

1年程前に心外膜の石灰化が見られ、経過観察となってましたが、症状が進み、一昨日はカテーテル検査もしました。収縮性心膜炎と診断が確定され、それもかなり良くない状態で手術の話も出ております。

血圧が上50 台、下が20台ということも頻繁にあり、アベレージでも上が60台で、特に透析した日は息苦しさと立ちくらみが続きます。

アベレージ血圧が確実に下がってきていることもあり、自身の希望では症例の多い病院、先生に一日も早く手術をしていただけたらと思います。

(担当の循環器内科の先生は私自身が納得のいく先生に手術してもらうのが一番良いと、おっしゃってくださってます。)

現在、**県在住で東京都内の**大学病院にかかっておりますが、貴院で手術をお願いすることは可能でしょうか?

また、可能でしたら、どれくらいのタイミングで手術可能なものでしょうか?
おおまかでも構いませんので、ご教示頂きましたら幸いに存じます。

どうぞよろしくお願い致します。

*******************

血圧が低下し、透析ができなくなりつつある、危険な状態ですし、熟練した心臓外科医が手術する意義は大きいため、さっそくお返事を出しました。

まもなく米田正始の外来へ来られました。

予想どおりの重症の収縮性心膜炎でした。

まだ比較的お若いご年齢と、今後もし心臓や血管に新たな病気が起こった際に手術がやりやすく安全なようにと、ミックスMICSとくにポートアクセス法で心膜切除をすることにしました。

私自身、トロント時代に左開胸でこのオペをしたこともあり、現在は僧帽弁形成術などでポートアクセスを多用していて熟練の強みもあり、そうすることになりました。

心膜切除手術はうまく行き、取るべき肥厚・石灰化心膜はほぼすべて取れました。左室の裏側や右室とくに根本の部分から右房や主肺動脈まできれいになりました。

右房圧や右室圧その他血行動態も正常化しました。

お元気に退院されてから下記のお便りを頂きました。

***** 患者さんからのお便り2 *****
 

拝啓  米田先生におかれましては、ますますご壮健のこととお慶び申し上げます。

 過日の入院、手術に際しましては、大変良くしていただき、ありがとうございました。

 先生にはメールでのご相談の段階から迅速なご対応をいただき、また、術式などいろいろとご検討いただいたおかげをもちまして、回復も早く、心より感謝しております。

手術の傷跡も思ったより小さく、痛みも無く、米田先生にお願いして本当に良かったと主人と日々話しております。

また、心臓血管外科の先生方、看護師の皆様、リハビリを担当していただいた皆様などにも、心のこもったご対応をいただきました。

よろしくお伝えくださいませ。

 来月初めには受診で伺いますので、今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。

 書面にて失礼いたしますが、取り急ぎご報告と御礼申し上げます。

平成二十六年*月*日

*******************

それから1か月あまり経ってからまた患者さんからご連絡があり、発熱してどうやら手術部位が感染したようだ、再手術が必要かもしれないと主治医に言われたとのことでした。

術後1か月半も経っ
てからの感染は稀であり、かつMICS手術の経験のないチームで再手術は危険なためかんさいハートセンターに再入院して頂きました。

幸い手術部位の感染ではなく、お薬でまもなく全快し、元気に退院されました。

患者さんを真に守ることができるのは熟練チームならではのこととあらためて思いました。

患者さんにはこれから元気で楽しく過ごしていただければ幸いです。また奈良のほうへお立ち寄りください。

 

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お便り106: 人工弁感染性心内膜炎PVEの患者さん

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感染性心内膜炎(IE)の中でも人工弁のそれ(PVE)は重篤です。

IMG_1636b人工弁には抵抗力がなく、抗生物質をしっかり使ってもバイ菌を消しづらいからです。

日米のガイドラインでも人工弁のIEは基本的に手術適応となっています。

しかしばい菌が少しでもいるところに新たな人工弁を入れることは新たなPVEを発生させる恐れが高く、入念な治療戦略が必要です。

下記の患者さんは北海道在住で、この人工弁感染性心内膜炎で厳しい状況におかれていました。

見るに見かねた娘さんが米田正始のところへメールを送って来られました。
ポイントをしっかりと押さえられ状況が良く分かるお便りでした。

***** 患者さんのご家族からのお便り1 *****

父は73歳で、2年前に人工弁に取り替える手術をしました。

私は娘で東京都在住、父は北海道在住です。

昨年末に高熱を出し、結果、つい数日前に人工弁感染性心内膜炎PVEと診断されました。

今は白血球の数も減り、食欲も戻りましたが、

今後、大きな合併症(菌体の塞栓による脳梗塞や動脈瘤など)が起こる可能性があり、手術も体力が持たないから2回目は無理と言われ、

それがどういう意味なのかすぐわかりましたが、そんなはずはないと思い調べたところすぐこちらのサイトを見つけることができました。

出来るだけ早い方が良いのはわかったので、まずは何をすれば良いか教えてください。

父を助けたいです。

よろしくお願いします。

********************

お便りを拝見し、これは何とか救命しなければ、そして救命できる!と思い、ただちにお返事をお出ししました。

地元の先生とも直接間接にご相談し、患者さんのご希望にて奈良にあるかんさいハートセンターまでお越しいただくことになりました。

もちろん重症の患者さんをご家族とだけで移動していただくわけには行きません。

私の方から医師を派遣し、護送する形で来院していただく準備を整えていました。

しかし次のメールが届きました。予断を許さぬ状況となり予定を繰り上げての転院へと進みました。

 

***** 患者さんのご家族からのお便り2 *****

米田先生、ますやま先生、おざわ先生
いさみもと様

父の容体が急変し、出発は明日に

こちらでも無事になんとかすべて変更できました。

ますやま先生から16:30すぎにお電話頂いてかなり気も動転してびっくりしましたが

そのあとは行くしかないと思い、

すべてを変更するので大変な状態でしたが

結果、父に意思を確認した時に早く行けることのほうがかえって良かったようすで
良かったです。

たくさんご面倒おかけしていますが、

私達は米田先生はじめ、チーム皆様の迅速な対応には本当にもう、、、

何と言って良いかわからないくらい感謝しております。

ありがとうございます(泣)

米田先生は今日も手術でいらっしゃったようですしこの時間ですので
今は取り急ぎ、お礼のメールをお送りします。

私は金曜の夜にそちらに伺う予定でいますが何かあればすぐ行けるように調整するつもりです。

明日、まずは無事に辿りつけると祈っております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

********************

患者さんは無事に救急車、飛行機、また救急車を乗り継いでかんさいハートセンターに到着されました。

当院の医師もコーディネーターそして各部門のサポーターもよく頑張り、周囲をがっちり固めたことが幸いしたようです。

安心感からか、意外なほど落ち着いておられました。

さっそくご報告のメールをご家族に入れ、手術や治療の準備を開始しました

以下はご家族からのお返事です

***** 患者さんのご家族からのお便り 3***** 

米田先生

ご連絡ありがとうございます。

飛行機内で何事もなくて本当によかったです。。

小澤先生と看護師さんに付き添っていただき父もとても安心できたんだと思います。

さっき母と話して、米田先生にもお会いしたと聞きました。

私は今までぜんぜん親孝行できてなかったので、今回ばかりは必死で(泣)

母も個室で数日は一緒にお世話になると思うので、どうぞよろしくお願いいたします。

またご連絡いたします。

**********************

十分な準備のもと、心臓手術いたしました。

もとの人工弁はその付け根からえぐられ、外れていました。

いわゆる大動脈基部膿瘍(大動脈弁輪膿瘍)という厳しい状況でした。

まだばい菌が組織の中にいそうな印象があったため、十分きれいに廓清しました。

新しい人工弁を私たちが工夫した方法で、ばい菌がもしいても人工弁には接触しない形で植え込みました。

術後経過は順調で、弁も心臓もばい菌も良い形で安定しました。

以下はそのころに頂いたお便りです。

なお術前は何としてもばい菌をできる限りたたくことが必要なため、腎臓を少々犠牲にしてもしっかりと抗生剤を使い、まずいのちを救うという方針で臨みました。そして少し余裕が出たところで腎臓を治すという二段階作戦で、うまく行きました。

***** ご家族からのお便り 4 *****

米田先生、お世話になっております!

今月5日に手術していただいた****です。

その後、父とは電話で話していますが日に日に声が元気になっていて、昨日はお風呂にも入ったとのことで回復早くびっくりしました…最先端の医療技術はすごいですね。

今回は予定が早まったにもかかわらず、無事に飛行機にも乗れて、早急に腎臓の手当てをしていただき手術出来たこと、当初のメールのやり取りから始まり、先生の医師としてのお志には感銘し、感謝でいっぱいです。

ありがとうございます。

母や弟もまさかスーパードクターにやってもらえるとは思っていなかった…と言っていました。

このご縁をいただけたことは家族全員がラッキーだったと感じております。

***病院の**先生には、手術の日に報告とお礼のお電話をしました。

無事に行けたことを喜んでくださってる気持ちがすごく伝わって来たので嬉しかったです。

これも米田先生とチームの先生方のお心遣いあってだと思っております。

ありがとうございました。

手術が終わって数日、しばらく私は放心状態でした。。

こんな早くに父の生死に直面するとは思っていなかったので、

勉強になったことや改めて感じたことがたくさんあり

家族の信頼関係が深まった良い出来事になったと思っています。

両親は退院後の1ヶ月検診まで奈良に滞在することになりました。

私も週末や連休を利用してまたそちらに行く予定です。

検査結果もこれからかと思いますし、退院までまだしばらくお世話になると思いますが
どうぞよろしくお願いいたします。

それと今回の手術で、米田先生と増山先生についてジャーナリスト取材があったと父に聞いたので可能であれば是非記事を読んでみたいです!

では、日々おいそがしい身でいらっしゃると思いますが

どうぞお身体ご自愛くださいませ。

またご連絡いたします。

*********************

患者さんはその後も経過良好で日々元気さを増し、毎日しっかり食べて歩いてという健康生活への道を進んでおられました。

心臓はすでにすっかり回復し、腎臓も着実に良くなっていました。

そのころに頂いたお便りです。

***** 患者さんのご家族からのお便り 5 *****

米田先生、お世話になっております。

昨日父から電話で今週末には退院できる予定と聞きました!

腎臓の治りも早かったようで
ありがとうございます^ ^

父はかんさいハートセンターに来て良かった、としみじみ言っています。

先生達が毎日顔を出してくれたことや

術後の痛みがまったくないのは前と全然違うと。

苦痛や不安がないのは患者にとってはすごくありがたいことだと思いました。

もう先はないと諦めていたのに、こんなに早く帰れるとは!と言っておりました。

今後は早く落ち着いて、親孝行したいと思っております。。

最近は「医龍」を一気に観ていました。先生のHPも引き続き読ませていただいております。

ドラマは脚色されていますけれども
手術シーンはけっこうリアルに感じました。

米田先生のチームもあんなふうに手術されているのかな…などとまた感動しています^ ^

予定では20日頃の退院と聞いています、私は次の3連休に行く予定だったので、もしかしたら退院後になってしまうかもしれませんがナースステーションにご挨拶したいと思っております。

増山先生にもお会い出来ると嬉しいです。

ではまたご連絡いたします。

**********************

患者さんが元気に退院されてしばらくしてからお便りを頂きました。

感染性心内膜炎とくに大動脈基部膿瘍は心臓手術の中でも難易度が高いものとして知られています。

自分が若いころ見た手術のように、、、術後、人工弁は再感染し外れてしまい、、、という恐ろしい事態を回避したかったのです。

これまで山ほど再手術やIEを治して来た経験が多少でもお役に立てたのであればこれほどうれしいことはありません。

患者さんにはこれから楽しい生活をご家族と送って頂けましたら幸いです。時間ができれば奈良へまたお立ちより下さい。

 

***** ご家族からのお便り 6 *****

米田先生

東京も桜が咲き始めて、季節が変わったのを感じます。奈良もますます情緒豊かな季節になりますね^ ^

Facebook承認ありがとうございました。
先生の日常のご活躍が見れて嬉しいです。

この間、お電話で先生に直接お聞きして実感したのですが、やっぱり手術や移動のタイミングを逃して手遅れになられる患者さんは多いのですね…

今回の父の件でじかに体験したので私もそこはとても気になっていました。

地方の人はとくに知らない人は知らないまま、治るのに簡単に諦めてしまったり、痛みや苦しい思いをしてもなお亡くなる方が多いのでは…と考えるとつらいです。

今回は長文になってしまい申し訳ないのですが、今までお送りしたメールや今回のいきさつなどは、是非、ご自由に使っていただいて転院まで踏み切れない患者さんの手助けになればと切に思っております。

私の世代になると周囲で親が心臓手術したという話はよく聞きます。

いろいろ記事も読むと多くの病院ではごく当たり前の手術はできるけれど…というのが現状のようですね。

**先生と初めてお会いして父の病状を聞いた時、父や母に聞いていた通り一方的でこちらの話はほとんど聞いてもらえませんでした。とにかく諦めてくださいということで…

でも、無事に手術に入っていると報告をした時はまるで別人のように(笑)優しくなられていてすごく嬉しかったです。きっと米田先生のお志が連鎖したんですね!

その後、父は地元に帰れたことでとてもホッとしている様子で、声を聞くと安堵感が伝わってくるのでわかります。

高齢者で田舎の人達は保守的で、地元を長く離れることはストレスになるんですね。

沖縄から来られた患者さんも、なるべく早く元の生活に戻るよう促した結果、良かったという実績を例にあげて伝えてもらったのがとてもわかりやすかった、と父が言っていました。

私たち世代はインターネットで何でも知ることができますが、PCをツールとして使えない人は高齢者に限らず、想像も出来ないくらい情報が偏っていく時代だと思います。

転院しないとまずいというのは私は調べてすぐにわかりましたが、そのことを両親にどうやって伝えたらいいのか苦労しました。

本人が納得していないのに無理に転院を勧めても意味がないですし、弟や父母には冷静に何度も話しました。

「そんなことまでして本当に治る保証はあるの?」

「飛行機になんて乗れるわけない」

「名医の先生にお願いしたほうがいいのはわかるけど今の病院での手術日が決まっているし、今から転院なんて無理がある」

父にも「そこまで迷惑かけてまでこれ以上生きたくない」と言われた時はもう何も言えなくなってしまいました。

主治医の先生から私が直接話を聞いたのが手術予定日の12日前で

「ここまで進行していると術後も再発する可能性がある、いつまで生きられるのか保証はできないことは了承いただきたい」と言われてしまったので、転院を考えているとだけお伝えして、父にもう一度話をしなければと思いました。

先生が心臓手術は一生に一度あるかどうかの大事なので、納得するまで熟考するべきと言っていただいていたのが何より心強かったです。

父はとにかく体調が悪いので、先生のHPの記事をなるべく疲れさせないように興味のあるところをたくさん見せて話しました。

PVEはとても厄介だけれど頑張れば完治もできる、執刀医の経験や知識がとくに求められること、遠方からもたくさんの方が転院して手術を受けていること、元気になった患者さんの声、同じように北海道から飛行機で移動して転院した患者さんも実際にいて、その後は元気に回復したことなどを話しました。

それといちばん父が心配だったのは、行って治ったとしても、地元に戻った時に今の病院と気まずくなって通院できなかったら困る、ということでした。

でも、そこもきちんと対応してもらえると書いてあるよと伝えると、「そんなことまで本当にやってくれる先生なんているの?!」とびっくりしていました。

「今からでも間に合うなら転院して、元気になりたい」とはっきり父の意思が言葉に出たのですぐに先生に電話をしました。

あとは、主治医の先生に了承をもらうだけでしたが、やはりここがいちばん大変でした。

土日だったせいもあるのですが、転院を具体的に進めたいと伝えても、先生ではなく看護師さんからそれは無理ですと伝言が来るだけで、先生同士で話すこと自体を避けている状態なのがわかったので…

「命に関わることを伝言で済ませるわけにはいかないんです」と伝えたところその看護師さんも「私もそう思います」とおっしゃってくれて

「とにかく1度先生同士でお話いただかないことにはこちらは何も決められない状態です」と看護師さんにお伝えしたところ、翌日(日曜ですが先生が病院に来て頂くことになり)直接お話することになりました。

父と私と母と3人で面談したのですが

もう10日後に手術日が決まっている、今の病状で飛行機を使って移動した患者さんはいない、今までそういう事例がなかった訳ではないけれどトラブルになりそうになったことがある、など、やはりまったく話を聞いてもらえなかったのですが

付き添いのお医者さまに空港まで迎えに来てもらえることを伝えたところ、やっと先生同士でお話していただくということになりました。

その日の夕方に無事に転院できることになったと先生から連絡いただいた時は、本当に安堵感でいっぱいでした。。

今回、一通りやってみて転院の流れはわかりました。急に予定が早まるというアクシデントも含め、介護タクシーやJALの手配など、昔、旅行会社にいたことと旅行好きが役に立ちました。

もし差し支えなければですが、例えばメールの問い合わせをして来た方などで実際に転院した人の話が聞きたい、主治医の先生に転院を切り出せない(ここはけっこうな難関なのではないでしょうか…)など、メールやLINEの無料通話であればお金もかからないですし、直接お話するのも私はかまいません。

少しでもお役に立てれば嬉しいです。

今回は家族みんなで困難を乗り越えられて私自身も人間的に成長できました。

素晴らしい思い出をたくさんいただけたこと、なんとお礼を言っていいのかわかりません。

日々休むことなく救命にエネルギーを注いでいらっしゃる皆様の姿勢には本当に感銘いたしました。

今後ともずっと応援させていただきます。

かんさいハートセンターのさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り105: 感染性心内膜炎(IE)のため僧帽弁形成術を受けられた患者さん

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感染性心内膜炎(略称 IE)は突然ひとを襲います。

きっかけは抜歯やけがその他さまざまですが、その背景に弁膜症先天性心疾患などの心臓病があります。

感染性心内膜炎のために弁がより壊れて弁膜症が悪化することもあります。

IMG_0364b感染や心不全がどうにもならなくなった時などに心臓手術が必要となります。

下記の患者さんは遠方からお越し下さいました。

当初入院しておられた大学病院では心配と連絡を取ってこられ、患者さんのご希望で主治医の許可と協力を得てかんさいハートセンターまで転院して来られました。

2つのメールを掲載いたします。ひとつは最初に私に送って下さったもの、もうひとつは退院後お元気になられたあとのお礼のメールです。

褒めすぎのところはお恥ずかしい限りで読み飛ばしてください。

病気と正面から向き合い、勉強し相談し熟考し、決断された患者さんとご家族には頭が下がります。

ポートアクセス法というMICSによる僧帽弁形成術で痛みも少なく、元気な生活に戻れたのは患者さんとご家族の努力の賜物です。

弁形成のあとはワーファリンも不要ですし自然な生活ができるでしょう

これから元気な健康生活を楽しんで下さい。


******ご家族からの最初のお便り******

お忙しい所大変申し訳ありませんが、インターネットを見て米田先生にメールさせて頂きました。

私は**市に住みます**と申します。

私の妻の母が微熱が長く続いて体調がおもわしくない為、今月始めに近くにある**大学病院で診察して頂いたら、感染性心内膜炎と診断され抗生剤の投与を続けています。

ですが効果があまり良くないらしく、近いうちに弁の手術をしなくてはいけないと先生から告げられたみたいでショックを受けています。

本当にこの病院で手術に踏み切って良いものなのか不安がっています。

実際に手術が近々に迫ってるこの状態でハートセンターへの転院は可能なのでしょうか?

まさか心臓の病気になるなんて思いもよらなくて慌ててしまい、先生のおみえになるような専門の病院があるなんて知識も無かったのですごく後悔をしています(泣) 

何か良い方法があれば教えて頂きたいです宜しくお願い致します m(_ _)m


*****ご家族から、退院後のお便り *****

米田院長先生

昨日は母が無事退院で お便り105きました事を心より感謝申し上げます。

本当なら院長先生に直接お会いして御礼を申し上げたかったのですがメールで申し訳ありません。

母は自分の病気を知った当初はもう助からないと絶望的でしたが、この病気 (感染性心内膜炎) をきっかけに米田院長先生の存在を知る事が出来まして、

神にすがる気持ちで先生にメールを送りましたら直ぐにお返事を頂き、そして先生のお導きによって母の命を繋いでいただけました。

本当に言葉では言い表せないほど感謝の気持ちでいっぱいです。

母の病気がきっかけではありますが、先生を知れば知るほど偉大さや人間性、様々な事が、職種は違えど私にとっても刺激になり勉強にもなりプラスになっています。

今後も母のアフターケアでお世話になりますが、宜しくお願い致します。

そして米田院長先生がいつまでもお元気でご活躍される事を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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