奈良医大付属病院

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正式名称は奈良県立医科大学付属病院である。

実家の近くにあり、父がむ NMU
かし外科で研修を受けさせていただいたご縁もあるためこどもの頃から何かとお世話になっている大学病院である。

実家の米田医院には過去50年の間に多数の熱心な先生方に応援や代診に来ていただき、今なお感謝しているものである。内科系、外科系、放射線系等の歴代教授の先生方にもご指導頂き、いまも感謝している。奈良県の医師会関係の先生にもこの大学の同門の方が多く、個人的にも若いころに勉強その他で可愛がって頂いた想い出がある。25年も昔、トロントに留学していたころに父と県医師会の先生方多数がトロントを訪問され、そこへ合流し楽しく過ごさせて頂いたことを昨日のことのように覚えている。

奈良医大は研究・教育のみならず、奈良県とそのエリアの医療を守る拠点であり、高の原中央病院も多数の科がその関連施設となっている。当院の指導層の多くがこの大学のご出身で、そのご縁もあって多くの優れた先生方を各分野にわたってお送りいただき、感謝している。

心臓血管外科は30年ほど前に北村惣一郎先生が初代教授として開設されたもので当時は第三外科と呼ばれていた。内胸動脈が冠動脈バイパス手術に役立つかどうか、体格の小さい日本人ではまだ不明な時代であり、これを臨床的、科学的に解明し今日の冠動脈外科の発展の礎を築かれたという大きな功績が光る。川崎病のこどもの冠動脈にこの内胸動脈のバイパスを行い世間を感嘆させたことも記憶にあたらしい。修正大血管転位の心室中隔欠損症を大動脈弁ごしに修復するというのも当時新鮮な感動をもって勉強させて頂いた。北村先生はその数年以上前に米国にて左室形成術でも業績を残され、現在でも盛んに研究されている分野の魁であった。実際私も関与させて戴いている重症心不全研究会の顧問にもなって頂いている。

こうしたさまざまな協力関係、人間関係のある奈良医大の付属病院であり、かんさいハートセンターも循環器内科の外来への応援をしていただいているし、臨床面でも虚血性僧帽弁閉鎖不全症の患者さんの肝臓癌の治療をやって頂いたり、心臓病+肝硬変+腎不全の三重苦の患者さんをご紹介いただいたり、肺の合併病変をもつ患者さんをその関連施設にて治療して頂いたり、大変お世話になっている。

私たちは民間の専門センターとしての特徴をわきまえ、大学に貢献できる道を考えつつ、進んでいきたく考えている。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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市立ひらかた病院で講演させて頂きました

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師走の慌ただしい時節ですが市立ひらかた病院Sin-nanseiにて講演の機会を頂きました。循環器内科部長の中島伯先生とは長年のお付き合いで市立ひらかた病院にも愛着があるのですが、最近新病棟がオープンしたということでいっそう楽しみにしていました。

玄関を入る と近代的でひろびろとした待合や廊下、ホスピタルアートを取り入れた構造に感心しました。中島先生に案内していただき、きれいでゆとりのある外来や検査室、居心地がよくくつろげる緩和病棟、広々としたホールなどを拝見しました。

さらに建物全体が免震構造でダンパーの上に乗っており、強い地震の際には50cmも移動することで地震エネルギーを吸収するという優れものでした。地震が来ても病院内にいれば安心、とは心憎い気配りです。

とくに講堂は単に平素の勉強会、講演会やイベントだけでなく、災害緊急時に多数の市民を仮収容できるよう平坦なフロアで造られていることに感心しました。これからの市民病院のあるべき姿を研究された成果と思います。

講演会では「心臓血管外科がお役に立つとき」というタイトルで代表的な心臓病の予防から治療までをお話いたしました。

狭心症でカテーテルによるPCI冠動脈バイパス手術の正しい使い分けや協力、それを円滑にしてくれるハートチーム

 

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MICSによる弁膜症手術後の
創です

弁膜症では早期の診断を症状や胸部X線、心電図からきっかけをつかむこと、手術ではなるべく弁形成を行い患者さんのQOLつまり生活の質を高めること、それをなるべくMICSつまり創の小さい痛みの少ない方法で行うことの意義をお話しました。

なかでもマルファン症候群の患者さんでの難しい僧帽弁形成術や大動脈基部再建いわゆるデービッド手術が安全に行えることをお示ししました。あとの懇親会でマルファン症候群の患者さんご家族との感動秘話で皆さんにお褒め頂きました。

近年増加傾向にある大動脈弁狭窄症の怖さと手術の意義、すっかり元気になることもお話し、最近多い病気のデパートのような患者さんにも役立つことを見て頂きました。

大動脈瘤も進歩が著しく、腹部大動脈瘤のかなりの部分はステントグラフトで切らずに治療でき、胸部でも弓部全置換術大動脈解離へのヘミアーチつまり近位弓部置換術が安全に行えることを解説しました。

最後にASOつまり閉塞性動脈硬化症に対する血管新生療法をご紹介しました。まもなく多くの患者さんたちの下肢を切断から救えるでしょう。

講演会のあと、10名ほどの仲間で懇親会を開いていただきました。皆熱いひとたちで楽しいひとときを過ごしました。このような立派なチームを育てられた中島先生はすごいとあらためて感嘆いたしました。

地域医療への新たな取り組みを教えて頂いた充実した楽しい機会になりました。中島先生、市立ひらかた病院の皆様、ありがとうございました。また遊びに参上させて下さい。

平成26年12月19日

米田正始 拝

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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かんさいハートセンター、開設から1年が経ちました

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皆様いかがお過ごしでしょうか  高の原中央病院3b

おかげ様で私たち高の原中央病院かんさいハートセンター心臓外科は開設から1周年を迎えました

この間に心臓手術130例あまりを含めた160例を行うことができました

いくつもの大学病院や大規模センターから来られた重症患者さ184701458んも多く、苦労の連続でしたがチームも育ちだいぶ安定して参りました
皆様のご支援とご指導に厚く御礼申し上げます

太田剛弘先生をリーダーとする循環器内科はまだ半年ですので開設途上です。日々診療態勢の充実に努力中です。カテーテル、エコーやCT、リハビリ、腎臓などを含めた全人医療ができるチームです。みなさまのご指導やご鞭撻をお願い申し上げます

ICUはこの9月から正式認可になりました。スタッ Ilm22_ba01054-sフも日々勉強し磨きをかけどのような患者さんにもお役に立てるよう努力しております。

これまで病院としての態勢が整わず、緊急患者さんも十分には受け入れられない状況でお恥ずかしい限りでしたがようやく受け容れ態勢ができました。
奈良県の救急ネットワークであるEマッチにもようやく対応できるようになりました

奈良市やその周辺の医療機関の皆様におかれましては心臓血管・循環器の処置が必要になるかもしれない不安定患者さんがおられましたらいつでもご連絡ください

188617211緊急のことですので、疑いの段階でのご紹介も歓迎いたします。
精査ののち循環器疾患ではないということになれば、状態に応じてお返しするか、しかるべき科へご紹介するなどいたします。

私たちは心臓血管の専門診療を行っておりますが、地域医療、救急医療はそれ以上に大切と考えております。
ぜひ先生方の外科患者さんのお役に立てればと存じます

奈良市あるいはその周辺部の患 Ilm09_ad07001-s者さん各位におかれましては、胸の痛みや息苦しさ、失神やふらつき、強い背中の痛みなどがあれば直ちにご連絡ください。なかでも普段から心臓が悪いと言われている方々は早めの行動がいのちを守ります。

わずかに早く治療ができたためにあとはスイスイと元気になられた患者さんや、タイミングを逃して体がぼろぼろになってから来られて治療のあとも苦労した方なども過去に見られます。

医療は患者さんと医療者が協力し、予防や早期診断、良いタイミングで治療ができたときに最高の結果を出すことができます。ぜひ平素からかかりつけ医の先生や私たち専門医とともに健康を守りましょう。

平成26年11月23日

米田正始 拝

 

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情によりあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

 

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執筆:米田 正始
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おかたに病院の健康まつりに行ってまいりました

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この10月26日に奈良市にある、おかたに病院にて「な IMG_0613ら健康まつり」が開催されました。

かんさいハートセンターも地域医療でお世話になっておりますので、私もおよばずながら参加させて頂きました。

アットホームな手作り感と地域密着感のあふれたおまつりで、同病院の駐車場で開催されたというのは大変好感がもてるものでした。

他の用事のため部分的な参加になりましたが、大勢の地域の方々や患者さんたちでにぎわい、楽しい企画だけでなく役立つ企画も多数ありました。

たとえばAED実演で多くの方々に慣れて頂くことで IMG_0608b、これから地域での心停止の救命率は上がることでしょう。健康チェックやストレス度チェックは病気になるまえに予防するという観点から大いに役立つと思いました。無料低額診療事業相談は素晴らしいと感嘆いたしました。

私の専門は心臓手術ですが、こうした地域密着の医療があってこそ心臓外科もお役に立てると実感いたしました。

くわえて、こどもさんたちの参加が多いことに感心しました。地域の支持を得ている病院だからこそできることでしょう(写真左、多数のこどもさんたちが遊んでいました。奥のほうで立っておられる恰幅のよい紳士が院長の三好先生です)。

私がおかたに病院を訪れるときについ見てしまうのが病院の沿革の掲示です。故、岡谷実先生が死の行軍といわれたフィリピンの戦場から九死に一生を得て帰国され、その経験から誰もが良い医療を受けられる病院を造るというポリシーを貫かれたというところにこころを打たれます。

模擬店でいろいろ食させていただいたあと、何ともほっこりした幸せな気分で会場を後にしました。

院長の三好毅志先生、関係の皆様、お疲れ様でした。来年もまたよろしくお願い致します。

平成26年10月27日

米田正始

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
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NHK文化センター名古屋での講演2014

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恒例になりま Shutterstock_217363123した米田正始の講演「心臓手術と科学的ダイエット」、ことしも名古屋地区の皆様にさせて戴きます。

以下はそのパンフレットからの引用です。

心臓外科手術やその後の科学的ダイエットつまり糖質制限食さらに健康増進や食に関心のおありの方はふるってご参加下さい。

講演のあと、自由にご質問いただく時間をもうけて双方向の楽しい勉強会にしたく思います。

心臓手術を受けようか考えている方、心臓病で悩んでいる方、メタボや太りすぎで心臓が心配な方、手術後の健康管理に関心ある方、その他が対象です。

お申し込みは下記のパンフの下のところまでどうぞ。

NHK愛知講演

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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畏友、太田剛弘先生が東京スポーツ・大阪スポーツに掲載されました

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ハートチームのかなめ、中心は IMG_0280やはり循環器内科です。内科が活発になってはじめてハートチーム全体がレベルアップし、楽しくなります。

この4月から畏友・太田剛弘先生が高の原中央病院かんさいハートセンターに副センター長・循環器内科部長として着任され、同先生を慕う熱心な先生方を加えて5名のチームが誕生しました。

これまでひとりで内科を支えて下さった村岡先生には何度お礼を申し上げても足りない思いです。

 

こうして同じ方向性、同じ喜びを共有するハートチームが発足し、成果が上がりつつあります。それを東京スポーツ紙が取材してくださいました。

以下は9月18日に掲載された内容です。


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奈良県奈良市 高の原中央病院 かんさいハ IMG_0575bートセンター 太田剛弘副センター長

名医の診察室

狭心症、心筋梗塞の患者ばかりを治療するハートセンターが多い。そんな中、「弁膜症も心筋症も、とにかく心臓全体を診断・治療するハートセンターを目指しています」と熱く語り、心臓血管外科と手を取り合って患者を救う名医がいる。(医療ジャーナリスト・松井宏夫)

その名医とは、高の原中央病院(奈良県奈良市)かんさいハートセンター循環器内科の太田剛弘副センター長(67=弘前大・医卒)。“病気、病状の説明が分かりやすい”と患者の人気が高い。

つい先日、心臓弁膜症の患者がかたくなに入院も手術も拒否し続けた。
「心臓には部屋が4つあり、その扉が血液の流れを一定にしてくれています。その扉の1つ僧帽弁が壊れ、うまく閉じなくなっています。壊れた扉は薬では治せません。扉を正常な形に矯正する手術は確実な手術。これは米田正始センター長の得意な手術です。きちっと治すともっと元気になりますよ。このように時間をかけて話すと患者さんに理解していただけ、入院手術となりました。じっくり患者さんと話をするのは内科医の原点です」

これほど患者に時間を割くのは太田副センター長の体験から来る。太田副センター長は早大の理工学部を卒業して就職。その後、急性肝炎が慢性化して入退院を繰り返した。入院中に医師は1日数分程度しか顔を出さず、病気の詳しい説明もなかった。その時に、医学を学ぶべきでは、と思った。

退院して会社に戻ると自分の居場所はなく、当時の二期校の受け付けが間に合う医大を受験し、合格。同期の人とは約8年の開きがあった。

卒業後は循環器内科医として歩み、1992年、米国・デューク大学に留学。心臓超音波検査(心エコー)での診断に精通した教授の下で臨床に励む日々を過ごした。

帰国しようとしたとき、教授に強く引き留められた。「“工学部で3Dエコーを開発している。我々も参加し作り上げる。君も一緒にやってほしい”―。私はその後3年、結局5年の留学を終えて帰国しました。その時に開発した装置は一瞬にして3D画像ができるので『リアルタイム3Dエコー』と呼ばれました」

内科と外科との垣根なし

太田副センター長は診断を確実なもとにするこの3Dエコー開発者の1人である。帰国後は大阪の府中病院の循環器内科部長として活躍後、4月からこのハートセンターで米田センター長と二人三脚で歩み始めた。

「3Dエコーを使って診断すると、たとえば心臓弁膜症の場合、その弁のどこをどのように形成すると良いのか、そこまで分かって外科にお願いできます。丸投げではありません。もちろん外科としっかり話し合います。その合同カンファランスを毎日時間をかけて行っています」

センターの合同カンファランスは内科外科の垣根はない。患者の主治医が患者の状態を解説し、どのように対応するのが良いかをディスカッションする。心エコー画像も全員でチェックする。

「患者さんに最も良い治療をみんなで考えます。手術をみんなで考えます。手術を行うと決まっても、私どもの外科の米田センター長は患者さんに最善の方法を提案されます。患者さんを第一と考えて話し合っています」

もちろん、患者の疾患は千差万別。
「ハートセンターを受診する患者さんの疾患は10人のうち6人が狭心症・心筋梗塞、10人に1人が弁膜症、心筋症は10人に“0・数人”かもしれません。私たちはつらい思いをしている人は100人に1人かもしれなくとも救えるようにする、との思いで前進します」
患者の強い味方、真のハートセンターが確実に前進している。

心臓弁膜症の推定患者数は200万人

心臓病と聞くと狭心症、心筋梗塞を思い描く人は多いが、「心臓弁膜症」も患者は意外と多い。推定患者数200万人、手術を必要とする患者は年間約1.7万人。

心臓には僧帽弁、大動脈弁、三尖(さんせん)弁、肺動脈弁の4つの弁があり、弁に問題が生じると、「息が切れる」「動悸がする」「呼吸が苦しい」「夜寝ると苦しい」「体がむくむ」など様々な症状を引き起こす。

これは心臓の弁の異常によって血液循環がスムーズにいかないからである。なかでも全身に影響を及ぼしやすいのは僧帽弁と大動脈弁。手術もこの2つの弁で約97%をも占めている。

弁膜症の原因疾患は「狭窄症」と「閉鎖不全症」。基本的には4つの弁でそれぞれ起きるが、やはり多いのは僧帽弁と大動脈弁で、僧帽弁では僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁では大動脈弁狭窄症が圧倒的に多くなっている。

治療では内科治療は「薬物療法」「カテーテル治療」、外科治療は「弁置換術」「弁形成術」が行われている。

ここにカテーテル治療としてTAVI(経カテーテル式大動脈弁置換)が2013年10月から保険適用され新たに加わった。ただし、TAVIは施設認定を受けている施設でのみ行うことができる。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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東京スポーツ・大阪スポーツに掲載されました

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2014年9月11日、サラリーマンの方々や庶民に人気のある新聞である東京スポーツ、大阪スポーツに米田正始が紹介されました。その翌日の太田剛弘先生(かんさいハートセンター副センター長)とともにハートチームが評価されての掲載でした。

毎朝、循環器内科と心臓外科の全医師がミーテ IMG_0574bィングをもち、患者さんを軸にして、内科外科の垣根のない治療を進める、いわゆるハートチームですね、こうした当然のことが行えない病院が多いと言われています。そのような中で、信念をもって皆でハートチームを実践しています。

患者さんたちの熱いご期待に沿えるよう、全力をあげて取り組んで参ります。

以下は同新聞からの引用です。

 

名医の診察室

心筋梗塞はもちろん、心臓弁膜症、心筋症など、それも重症患者が最後にするハートセンターがある。最先端の、体に優しい手術から日本では数人しかできない心筋症に対する左室形成術等、様々な術式で患者を救っている名医とは―。(医療ジャーナリスト・松井宏夫)

重症患者の最期の砦
大学病院でも手に負えない
心臓救う神の手

日本で数人の技

奈良生まれ、奈良県育ちの名医が、ついに奈良に戻って新しいハートセンターを立ち上げた。トロント大学、スタンフォード大学、メルボルン大学主任外科医として海外で11年の武者修行をし、京都大学心臓血管外科教授、名古屋ハートセンター、豊橋ハートセンター副院長を歴任。そんな高の原中央病院かんさいハートセンター(奈良県奈良市)米田正始センター長(特任院長/59=京大・医卒)が作るハートセンターとはどのような施設なのか―。

「私は患者さん本位の医療を追及してきて、その原点となるハートセンターを作り上げるべく努力しています。故郷の奈良でハートセンターを立ち上げる機会を得て準備し、2013年10月にスタートしました。

今年4月には心エコーや弁膜症・冠動脈のプロを中心とする循環器内科が発足し、心の通ったハートチームが本格始動。今はハートセンターの手術室・カテ室は各1つですが、近い将来にはそれぞれ2つになり、さらにパワーアップします。多くの合併症に悩む患者さんに対し、総合病院のハートセンターの良さがあります」

週に3例の心臓手術が4月からは週に4例。すでに奈良県内での心臓手術は近大奈良病院、天理よろづ相談所病院に次いで3番手。ただ、数だけではない。多くの大学病院で断られた患者が祈る思いで受診する難しいケースも多い。

「心臓移植しかない、と大学病院でいわれた50代の心筋症の患者さんが“心臓移植はいつになるか分からない”といってバチスタ手術を希望して受診されました」
これは拡張した左心室の心筋の一部を切除して縫い合わせる手術。左心室を小さくすることで収縮力をアップされようというもの。日本でこの手術ができるのはわずか4~5人。

手術痕の小さいMICS法を開発

「心筋の手術にはバチスタ手術、ドール手術、SAVE(セーブ)手術などがあり、状態により適した手術を行うのが大事で、その患者さんにはドール手術変法を行いました。患者さんはあっという間に元気になられ、大学病院の主治医からも大変感謝されました」
また、心臓弁膜症の手術ではより手術痕の見えない手術を求めて、全国から受信うる患者が後を絶たない。

それは「MICS(低侵襲心臓手術=ミックス)」と呼ばれる手術。米田センター長が改良開発した。「胸の右側を5センチ程度皮膚切開し、そこから手術を行う器具のポートを挿入して行います。傷はその他にわき下に1センチの刺し傷が1か所のみです」

さらに、この9月末から閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して新生血管療法の一つ、米田センター長が京大教授時代に開発した「bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)治療」の臨床試験が行われるという。京大時代には7人行い、皮膚潰瘍も治療して歩いて自宅に帰ることができるようになった患者もいた。それほど成果があった。

「bFGFは体内にもある物質で、すでに床ずれの治療薬として使われています。それを特別なタンパクで処理をいて脚の付け根から血管の閉塞部まで50か所くらいに筋肉注射をするだけです。それで新生血管ができ、脚が救われるのです。これは最初の数日は入院ですが、あとは通院が可能。自由診療ですが地域貢献を考え、低額に抑えたいと思っております」

新しいハートセンターの羽ばたきは地域、そして全国に聞こえている。

MICSでの僧帽弁形成術

心臓の弁が正常に機能しなくなる心臓弁膜症。僧帽弁の治療で最も進化した形が
MICSでの僧帽弁形成術。

手術後、血栓予防薬のワーファリンを必要といないので、患者の負担は軽い。さらに長期間効果が安定しやすく、傷が小さいため社会復帰が早く、心にも傷がつきにくい。

なお、大動脈弁でも同様に大動脈弁形成をMICSで行うのが理想に近い治療となる。弁が形成できないほど壊れている場合は大動脈弁置換する。

将来はTAVI(タビ=カテーテルで入れる生体弁)を用いることで再手術を回避しやすくなる。

閉塞性動脈硬化症(ASO)

動脈硬化は全身の血管に起こる。心臓の血管でそれが進行すると狭心症、心筋梗塞、脳の動脈で進行すると脳梗塞。

しかし、それだけではない。下肢の血管の動脈硬化で血流が悪くなるのを閉塞性動脈硬化症という。

症状は「しびれ、冷感」「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」「安静時疼痛」、そして、「潰瘍、壊疽」。潰瘍、壊疽まで進行すると足を切断することになってしまう。

 

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情によりあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

 

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祝、奈良県総合医療センターのご開設

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以前から県民に親しまれ、頼りにされてきた県立奈良病院がこの4月から改組され、奈良県総合医療センターとして新たなスタートを切られました。奈良県の地域医療に日夜努力しているもののひとりとして、お慶びを申し上げます。

この病院は昭和39年に奈良県立医大の付属奈良病院として開設されました。

その後 Ilm10_de02013-s順調に発展を続けられ、昭和52年に現在の病院の建設を開始、以後も救命救急センター、災害拠点病院、へき地医療拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院はじめ、幾多の指定を受けてこられました。

そして今回の独立行政法人化で県立病院機構のもと、これまでの県立病院の枠から出た活気ある病院を目指しての奈良県総合医療センター発足となりました。

総長は天理よろづ相談所病院以来、公私ともにお世話になってきた上田裕一先生でうれしく思っています。

私ども高の原中央病院かんさいハートセンターも昨年10月の開設から10か月が過ぎ、肺がんなどのがん治療を始めとしさまざまな形でお世話になっております。緊急時などに小回りの利く民間病院の特長を活かし、かつ全国から患者さんが集まって下さる専門施設として、この奈良県総合医療センターの良きパートナーになれるよう、努力を続ける所存です。同センターにはいずれ心臓外科が開設されるものと拝察いたしますが、連携には支障ないものと考えています。

数年以上まえに、名古屋の地にハートセンターを開設したときにも、周囲の病院と競合しないのと心配を頂きましたが、結果はそうでもなく、周囲の他病院で断られた患者さんたちを受け入れ、救命の実績を上げてまいりました。また得意種目の弁形成やミックス手術、オフポンプバイパス術その他では全国から患者さんが来て下さったため、近隣の病院と競合することも最小限にできました。

私の故郷、奈良の地においてもこうした病院の特長、持ち味を活かして地域医療や専門医療で貢献できればと思っています。この点からも奈良県総合医療センターの新たなスタートは心強く、ありがたいことと考えています。ぜひよろしくお願い申し上げます。

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市立奈良病院の新病棟内覧会に行ってまいりました

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この7月19日に市立奈良病院の新病棟完成内覧会に行ってまいりました。

この病院はかつては国立奈良病院として奈良市の中心的医療拠点として活躍してこられた歴史をもっていますが、奈良市と地域医療振興協会によって平成15年に現在の市立奈良病院として面目を一新したものです。

新しい体制になってからはこれまで以上に救急医療に力を入れ、がん診療連携拠点病院、周産期医療や災害拠点病院としても高い評価を受けています。

個人的には循環器内科の堀井学先生らの熱い循環器診療にほれ込んでおり、関係の皆さんとの交流を楽しみに出席しました。昔、天理よろづ相談所病院でレジデントの1年先輩の西和田敬先生(平成記念病院副院長)と久しぶりにお会いでき、一緒に見学できました。

市立奈良病院の新病棟は紀寺町の東部、若草山が目の前に見える絶景の地にあり、病棟からも楽しめる構造になっていました。反対側からは生駒山なども遠景として望める癒しの配慮がなされていました。

病棟は全体として明るく広く、とくに廊下やナースステーションの余裕の設計には感嘆いたしました。手術室も一部屋ひと部屋が広く、ICU集中治療室も同様で仕事がしやすい構造になっていました。これからのがん治療で大きな役割を担う外来化学療法部門ではひろびろとしたフロアで患者さんが好みの姿勢で治療を受けられる配慮がされていて感心しました。

私ども高の原中央病院かんさいハートセンターではこうした立派な施設と協力して救急や重症の患者さんを含めた幅広い心臓病、血管病の患者さんの手術でお役に立ちたく思いました。また大きな総合病院でこそできるがんなどの集学的治療では逆に治療をお願いできるのが大変ありがたく思いました。

チーム医療というのは院内チームや医療者と患者さんご家族の協力だけでなく、地域の病院群とお互いの特長を活かした協力も含まれると思います。市立奈良病院のように立派な施設にふさわしいパートナーになれるよう、決意を新たにいたしました。

内覧会のあ IMG_0500bとは近くのホテルで懇親会が開かれました。奈良県知事代理や奈良市長、畏友・津山恭之・奈良副市長、斎藤能彦先生ら奈良医大の教授陣・京都府立医大の教授陣はじめ奈良エリアの主だった方々が出席される大きな会でした。この市立奈良病院が自治医大や京都府立医大・奈良県立医大のコラボレーションでできたことも理解でき立派なことと思いました。市立奈良病院院長の二階堂雄次先生の熱いお話が印象に残りました。

さらに昔天理病院時代にお世話になった先生方や東大寺学園の同窓の先生方とも話ができ懐かしいひとときでした。故郷のありがたさと、そこでお役に立てる立派な仕事をしなければという責任を感じた一日でした。

平成26年7月19日

米田正始

 

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第11回患者さんの会のご報告

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第11回患者さんの会は平成26年6月1日に京都駅前のキャンパスプラザにて盛大に行われました。ご参加下さいました患者さんたち、協力してくれた高の原中央病院の皆さんに感謝申し上げます。

今回はかんさいハートセンターが立ち上がってから初めての会でした。

実際、私自身がその立ち上 A335_002げのため多忙を極め、また要領の悪さからなかなか第11回が開催できず、久しぶりの会になりましたこと、お詫び申し上げます。

しかし会場は多数の患者さんでにぎわい、しかも皆さん活発にご質問やご意見を下さり、感謝に堪えません。

私の講演は「検査データの読み方」で、患者さんたちが平素外来で受けられた検査の結果をよりしっかりと理解し健康管理に役立てていただけるよう、ご説明させていただきました。

心臓外科手術、メタボや糖尿病、脂質異常症、CKD、高血圧、そしてそれらを予防するための生活の注意、糖質制限食、体によい食べ物とくにアマニ油など、多岐にわたるディスカッションで皆様のお役に立てる内容になったのであればうれしいことです。

また今回は当院栄養科の余呉淳子科長が栄養のお話をして下さり、しかも糖質制限のケーキを皆様にお出ししてくれました。今後の健康管理の一助になれば大慶です。

予定を超過しての会は盛会裏にお開きとなりました。

なお今回皆様に頂いたご意見をもとに、今後の患者さんの会を運営していきたく存じます。

今後の方向性として、これまでの京大病院、名古屋ハートセンターの患者さんたちと、現在の高の原中央病院かんさいハートセンターの患者さんたちも合流してもっとにぎやかに行えればと考えております。

会場は患者さんの負担減を考慮して、高の原中央病院講堂や適宜これまでのキャンパスプラザをうまく活用することを検討したく存じます。

皆様のさらなるご意見やご教示を頂けましたら幸いです。

最後に協力してくださった山田さん、高の原中央病院の皆さんに厚く御礼申し上げます。

平成26年6月1日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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