奈良新聞 第30回市民公開健康講座 最新の心臓手術と科学的ダイエット

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第30回市民公開健康講座
最新の心臓手術と科学的ダイエット
高の原中央病院特任院長・ハートセンター長
      米田 正始氏
高の原中央病院栄養科長・管理栄養士
     余呉 淳子氏

IMG_0206b第30回市民公開健康講座(奈良新聞社主催)が昨年12月18日、奈良市学園前南3丁目の奈良市西部会館で開催され、約200人が参加した。

同講座は、広く県民に健康について正しい知識を啓発し、考えてもらおうという趣旨で行われている。

今回は高の原中央病院特任院長でハートセンター長の米田正始氏が「最新の心臓手術と科学的ダイエット」をテーマに講演した。また同病院栄養科長で管理栄養士の余吾淳子氏が「糖質制限食とは」をテーマに講演した。

 ▽狭心症冠動脈バイパス

 狭心症の治療についての基本的な考え方は、まず適切な予防・食事・運動を行うとともに内服治療を行います。それで効果がなければ、カテーテル治療(PCI)を行います。さらに必要であればバイパス手術を行います。

 PCIの特長は、低侵襲つまり皮膚を切らずに治療ができるという点です。一方で、バイパス手術は切らなければなりませんが、安定性が良く長生きできるのが特長です。天皇陛下もこの手術を受けられましたので、強い薬を使わずに公務に励んでいただけるのです。
 バイパス手術に使う内胸動脈は、NOS一酸化窒素合成酵素を作りますから、動脈硬化を防ぎます。このため、内胸動脈は冠動脈より「若い」のです。そこでバイパス手術は、血液透析を受けている患者さん、90歳前後の高齢者の方、脳梗塞後や頚動脈狭窄のある方、低肺機能の方、ASO末梢血管病変のある方、癌や感染をお持ちの方にも効果が高いのです。透析や重い糖尿病患者さんの場合、冠動脈が高度に石灰化していますが、この場合もバイパス手術は役立ちます。透析歴30年の患者さんでも内胸動脈はやわらかかくきれいだったという経験があります。

 MIDCAB手術 MIDCAB手術の創(創がちいさいバイパス手術)は内科治療とのハイブリッド(合同治療)に適しています。と言いますのは、創が小さく、早い社会復帰ができることと術後の長期成績が良いからです。

虚血性心疾患では、リスクファクターのある患者さんは注意が必要です。

 糖尿病、高血圧、高脂血症、家族歴、喫煙その他透析、肥満(メタボリックシンドローム)、ASO、ストレスなどが該当し、痛みはさまざまです。痛くない場合もあります。病気の有無を調べるには、苦痛のないCTで検査するのがいいでしょう。けっこうきれいに見えます。医師に相談してください。

 ▽弁膜症の手術

 心臓弁膜症は問診や心雑音、胸部X線で心拡大があれば要注意です。心房細動(略称AF)も要注意で、検査には3次元エコーが威力を発揮します。息切れやだるさ、ふらつき、胸痛があれば、我慢せずに医師に相談してください。

弁膜症の手術には、弁形成術が一番です。僧帽弁閉鎖不全症MRや三尖弁閉鎖不全症TR、大動脈弁閉鎖不全症ARでも形成は行えます。ただし弁形成のエキスパートの場合ですが。ワーファリンが不要になるので、QOL(生活の質)が向上します。若者や妊娠希望者、活発な生活を望んでおられる方には朗報です。90歳を過ぎても活発に活躍したい方には役に立つ手術です。


ちなみにワーファリンとは、これまで患者さんの生命を守ってきたもっとも素晴らしい薬のひとつです。副作用もほとんどありません。しかし服用には手間がかかり、妊娠出産は危険です。一生涯ワーファリンを服用するということは大変なことです。ですから弁形成手術でワーファリンを服用しなくていいようにしているのです。


ポートアクセスMVPの創 ポートアクセス(小開胸)

僧帽弁手術は、左半側臥位で第4肋間開胸を行います。うんと小さい創になります。より一層、エキスパートだけができる手術ですが(写真右は術後の創です)。

弁形成術にこだわるのは、患者さんの人生を変えるインパクトがあるからです。たとえば妊娠・出産や激しいスポーツ・仕事が可能になり、QOL(患者さんの生活の質)が向上します。またより長生きすることができるのです。

 では弁形成術が不適応なときはどうすればよいのでしょうか。その多くは、弁の破壊が高度な場合ですが、私たちは自己心膜による弁再建を行います。この手術は弁形成を上回る性能があり、弁形成に準じた長期安定性があると見込まれています。
 
 弁膜症手術には、弁置換もあります。機械弁は60歳以下で通常の生活を志向するときに、生体弁は60歳以上や若くても危険な仕事をする方などに使用します。90歳でも手術可能です。自己心膜AVRを開始し、今後はカテーテルで入れる弁(TAVI)も行います。

▽急性大動脈解離 

 急性大動脈解離は、強い胸痛が発生し大動脈が裂けます。発生2日で患者さんの半分が死亡します。しかし手術すれば、95%以上は救命する実績を持っています。
  たとえば、ある患者さんは開胸したところ、上行大動脈が解離していました。低体温・循環停止で大動脈を切開し、GRF糊で大動脈を処理します。遠位部を吻合し、大動脈弁を形成して循環を再開します。さらに近位部を吻合して出来上がりです。
 
大動脈疾患では、強い胸痛、腹痛腰痛があれば直ちに医師に相談ないし病院に搬送してもらってください。手足または心臓に虚血症状がくることもあります。胸部瘤では直径6㌢㍍、腹部瘤では5㌢㍍が手術適応の目安です。胸部はレントゲン、腹部は触診で検査します。エコーも有用です。

 大動脈弁狭窄症 AS生存率(AS)は、心臓の弁が狭くなる病気です。重症ASの自然予後は悪く、手術を受ければ99%程度の生存率ですが、受けないと発症から1-2年以内に多くは死亡します(右図)。無症状のASでも自然予後はよくありません。 

 たとえばある患者さんは、AS、三尖弁閉鎖不全症TRと僧帽弁閉鎖不全症Mr、心房細動のため来院しましたが、糖尿病、心筋梗塞後、睡眠時無呼吸症候群、呼吸機能障害、腎機能障害もありました。硬化石灰化した大動脈弁を切除し、生体弁で弁置換し三尖弁形成術を施行しました。

 治せる病気で治療を受けずに命を落とすのはもったいないです。たとえば大動脈弁狭窄症、腹部大動脈瘤、狭心症、多くの僧帽弁疾患、胸部大動脈瘤の大半は治療が可能です。それらの病気と診断されたら、十分な相談のうえ、心臓手術を検討して下さい。

 ▽ローカーボ・ダイエット(糖質制限食)

 なぜ心臓外科医がダイエットの話をするのでしょうか。
 それは手術のしっ放し、薬の使いっ放しでは患者さんが十分に健康にはならないことがあるからです。

 ローカーボ+高脂肪食とは、炭水化物を減らし、その分脂肪分を増やします。これはうまいタイミングが大切です。カロリー摂取量はかえず、空腹感が少なく長続きします。タンパク質はこれまで通りです。

 その結果どうよくなる ローカーボ教科書のでしょうか。
 インシュリン分泌を減らすことができ、体脂肪が減り体重が減ります。血糖値HbA1cが下がります。中性脂肪TGが下がります。善玉コレステロールHDLが増えます。メタボリック症候群が改善します。これによって二次的に高血圧が改善します。血圧や脂肪の薬も効きやすくなります。心臓や腎臓などにも良い影響が期待できます。もちろん糖尿病も改善します。

 ではどうやってローカーボ+高脂肪食を食べるのでしょうか。

 基本パターンは、一日1食、夕食だけ炭水化物を食べないようにします。朝食・昼食は炭水化物を低脂肪で食べます。

夕食では炭水化物なし、カロリー自由、脂をたっぷり摂ります。お酒は蒸留酒のみOKです。つまりウィスキーやブランデー、ジンなどです。体重を早く減らしたい人は1日2食、朝と夕食を炭水化物なしで食べます。脂肪と炭水化物を同時に食べるのは最悪です。

炭水化物の多い食品とは、穀類ではお米、麺類、パン、イモ類ではサツマイモ、ジャガイモ、野菜ではかぼちゃ、とうもろこし、れんこん、にんじん、そらまめ、果物ではバナナ、お菓子ではスナック菓子、洋菓子、和菓子、おかき、飲み物では醸造酒つまりビール、日本酒、発泡酒、白ワイン。とジュース、炭酸飲料、牛乳です。 


油を上手に食べることがコツです。

 素材からは肉やハム・サーセージ・ベーコンなどの加工品、調味料からは油、バター、マヨネーズ、生クリーム、和食よりも洋食・中華がよく、煮物より油炒め、揚げ物、甘い味付け、あんかけ、衣の量に注意してください。

チーズ、ホウレンソウ、ピーナッツ、アーモンドはOKです。 牛乳、ヨーグルト、にんじん、栗、ピーナッツバター、佃煮類は要注意です。

 マヨネーズ、サラダ油、唐揚げ、ステーキはOKです。とんかつソース、カレー、シチュー、イチゴ、砂糖入りの菓子、はちみつは要注意です。

油を上手に食べるには、生ハムオードブル、焼肉、ローストチキン、サーモンムニエル、アスパラベーコン、レバニラ、肉野菜炒め、ロースとビーフ、ビーフステーキ、串森、にら玉、ロールキャベツ、フライドチキン、ベーコンエッグ、チキンサラダ、さんまの塩焼き、鶏の唐揚げ、ピーナツなどがいいでしょう。

 ▽まとめ

 心臓病は正しく対処すればこわくはありません。

まず予防、次に早期発見と正しい治療です。息切れ、胸の痛みや不快感、動悸などの症状があります。さらに下肢のむくみ、疲れやすい、失神発作も要注意です。健診などで心雑音とか心臓が大きいとか心電図がおかしいと言われたらまず医師に相談を。

そして正しいローカーボダイエットもお忘れなく。肥満の3大要因は炭水化物、タンパク質、脂肪とされてきました。しかし、脂肪は肥満の原因ではありません。糖質含有の多い食品を食べ過ぎるのが原因なのです。 砂糖や米は、体内でその糖質が脂肪に変化します。これは腎臓、肝臓、膵臓などにも影響を与えます。

ここで注意するべき8カ条を示します 

 ①減らすのはカロリーではなく糖質です
 ②辛いけれども主食と砂糖を抜きましょう
 ③夕食から糖質制限を始めましょう。ごはんを抜いて肉や魚は食べましょう
④増やすのは葉野菜、青魚、きのこ、海藻、赤身肉です
⑤油は量よりも質を重視
⑥運動するときは食べてもOKです
⑦1日3食+水分補給を怠りなく
⑧主食を食べるときは非糖質の食品を少量

アルコールはビール、日本酒、赤ワインは控えたほうがよく、ウイスキー、ジン、ブランデーはOKです。


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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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奈良市エリアでの病診連携

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高の原中央病院にかんさいハートセンターを立ち上げて5ヶ月が経ちました。

とりあえず心臓血管外科だけで出発したのですが、お陰さまで当初から毎週3例ずつ心臓手術を着実に行い、すでに奈良県下屈指の心臓外科施設と言って頂けるようになり、皆様に感謝申しあげます。

この5か月間の経験のなかで、病診連携について、ちょっと思ったことをお書きします。

それは他エリアたとえば名古屋と比べて病診連携が少ないという印象があることです。

私は奈良県生まれの奈良県育ちとはいえ、永い間奈良で仕事をしていませんでしたので、県内の病院医院の事情はまだ十分勉強できていないと思います。しかしそれでも立派な病院や医院が多数あることは知っています。

にもかかわらず、患者さんたちはかかりつけ医の良さを知らない、そういうケースが大変多いように思うのです。

具体的に、ほぼ毎日経験するのは次のシーンです。

私 「かかりつけ医はお持ちですか?」

患者さん 「はい、高の原中央病院です」

私 「、、、、、」

患者さん 「何か問題でも?」

私 「あなたはこの病院の心臓血管外科、循環器内科、消化器内科、外科、神経内科、皮膚科、形成外科に通っておられますね?」

患者さん 「はい。それに眼科にもかかってます」

私 「なるほど。じゃ、インフルエンザのワクチンとか骨粗しょう症の治療はどうしてますか?腰痛もあるようですしメタボもある。薬だけでなく食事療法とか運動療法はやってないのですか?」

患者さん 「、、、、、」

私 「そもそも血圧関係の診察もときどきしか受けていない」

患者さん 「そうです、3か月に1回、お薬をもらっています」

私 「血圧の記録は?」

患者さん 「デイサービスのときに測ってもらってます」

私 「昼間、とくに運動後は血圧が下がるので安全確保には役立たないことがあります。家庭早朝血圧が一番役立つのですが、、、」

患者さん 「、、、、、」

私 「がんの早期健診は?」

患者さん 「胃カメラだけ近くの病院で受けていますが、、、、」

 

こうした患者さんたちは、大病院の多数の科を回り、なおかつ穴だらけ、待合だらけの病院通いを続けておられるのです。患者さんたちの言い分は、「開業医さんは頼りにならない、以前につらい想い出がある」というのが少なくありません。

そこで大病院の多数の科を「かかりつけ」代わりに使うことの無駄と盲点を話し、現代の開業医の先生方によるかかりつけ医の利点を話し、さらに大病院の専門家と親しみやすいかかりつけ開業医のコラボレーションがどのように便利で強力で安全かを延々と話しています。

患者さんにおかれましてはご自身の健康と生活を守るために「医療を上手に活用する達人」になって頂きたく思いますし、開業医の先生方におかれましては「大病院ではできない、開業医ならではの威力を発揮するコラボレーションと患者啓蒙」にさらにちからを入れて頂きたく存じます。

なお心臓以外の領域のご専門の開業医の先生方には、私どもがしっかりサポート致しますし、多少でもご心配な折にはいつでも患者さんに受診して頂ければ幸いです。必要に応じて勉強会検討会などをもったり、一例一例で心臓管理のノウハウが蓄積できるよう、ご協力をいたします。

近々、かかりつけ医の先生方のための心臓講座(仮称)として心エコーや心電図、ワーファリンの使い方テクニック、心血管系の薬の実践的使い方などを考えております。

患者さん、ご家族、開業医の先生方、病院の関係者が一体となって良い地域医療を造れればと思います。皆さんよろしくお願い申し上げます。

 

平成26年2月27日

高の原中央病院かんさいハートセンター

心臓血管外科

米田正始 拝


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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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雑誌さわやか高の原から ――米田正始のごあいさつ

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夢に終わりはありません――かんさいハートセンター、まず心臓血管外科開設へ

高の原中央病院かんさいハートセンター 
特任院長・センター長・心臓血管外科部長 米田正始

IMG_0118b皆さんこんにちは。
私は奈良県生まれ奈良県育ちの心臓外科医です。ご縁あって郷里にハートセンターを立ち上げる機会をいただき、光栄に存じております。

心臓外科医ですので心臓を手術で治すのが仕事です。肩書きのうち、特任院長というのはおもに手術だけする院長という気持ちです。実際には他にもやることが多々あるのですが、患者さんを治すことに一番関心を持っているという意味です。

◆気持ちは甲子園球児?

仕事といっても給料をいただいてその分仕方なく義務だけは果たすというのは性に合いません。それでは心臓病の患者さんを助けることはできないからです。少なくとも重症のひとたちは助けられません。熱いこころと患者さんを全人的に診る視点、そして高い技術をもったチームで初めてお役に立てると思っています。おのずと生き方は職人や甲子園球児のようになってしまいます。ただ目の前にある目標に向かってひたすら努力する、俗事は忘れて、厳しいわりにはハッピーで居られる、年甲斐もなく元気に、といったところでしょうか。
といってもチームを守り育てるという立場になって、俗事も大切で、誰か頑張りすぎて消耗していないか、頑張ったひとが報われているか、チーム員の家庭は平和か、若手新人がいきいきと力をつけているか、食わず嫌いのひとにもっと仕事を楽しんでもらえないか、などなど考えることは山ほどあります。

◆若いころ

高校時代は陸上部で長距離を楽しんでいました。よく春日奥山の山頂まで一気に駆け上り、山頂から見る奈良盆地の景色は絶景でした。今は昔ほど体力はありませんが、仕事でも何でも延々と走り続けるのが特技と思っています。
部活に熱中したおかげで大学に入る前に道草を食ってしまいました。ただしそこで、プロの教師と出会うことができ、実力と実績だけで生きておられる野武士のような先生方、いわば教育者の真髄に触れられたことは一生の宝になりました。

大学では気楽に好きなスポーツや勉強などしてすごしました。怠惰な生活だったと反省していますが、友人に勧められて身障者の方々の家庭を訪問してボランティア活動をしながら、将来どんな貢献ができるかを考える機会があったのは幸運でした。それと本ちゃんのESSで全学の友人たちと英語道を少しはかじれたのもラッキーでした。学生時代の最後の2年間は病院実習と称して全国の病院を歩いていました。

大学を卒業してから医局には属さず、天理よろづ相談所病院で6年間研修を受けました。当時はまだ珍しかった総合病棟で総合診療を勉強していました。総合診療ですから内科も麻酔科も外科も救急も含まれ、問題解決能力をつけようという合言葉で学びました。どこまでマスターしたかはともかく、今なお心臓手術対象以外の疾患にも関心があるのはこの研修のおかげでありがたく思っています。それからカナダのトロント大学、アメリカのスタンフォード大学、オーストラリアのメルボルン大学で合計11年間修業を積みました。いずれも風光明媚な、住むだけでも楽しいところで、貧乏でも趣味と実益を兼ねた留学生活でした。先進国の指導者のなかにはすごい人がいます。生涯のロールモデルを得たのも幸運でした。

◆帰国してから

IMG_0119b海外での生活を終えてから京大病院で約10年間勤務しました。その頃大勢の学生や若手を指導する機会を得たのは幸いでした。現在の心臓外科チームもそのころの財産の一部で、教育のありがたさを噛みしめております。頼まれたら断れない性格のためか重症の患者さんをどんどん受け入れ、その多くは元気に退院して戴きましたが、治療の限界を感じることもあり、そこから現在の低侵襲手術、より効率的手術へと改良を加えて行きました。同時にさまざまな制約から公的病院での限界を感じ、民間で真の医療を推進しようと考えるに至りました。

そうした経緯ののち名古屋で2008年10月にハートセンターを新規立ち上げ、志を同じくする仲間たちと楽しい汗を流すことができました。私にとっては見知らぬ地でのスタートでしたが、チーム諸君の奮闘と地域の先生方のご支援を頂けたおかげで名古屋ハートセン

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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奈良市エリアにおける心臓手術について

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情によりあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

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平成25年10月に高の原中央病院かんさいハートセンター心臓血管外科を開設させて戴き2か月あまりが経ちました。

お陰さまで毎日張り切って楽しい汗を流すことができています。チームも日々進歩の跡がみられ、立派に育ちつつあります 奈良県と奈良市。関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

奈良市(右図の赤いエリア)の北端にある高の原中央病院の中にハートセンターを立ち上げることを考え始めたのは約1年あまり前のことでした。

私自身、郷里の奈良県で心臓外科医としてのライフワークを完成するとともに、お世話になった地元の方々に何か恩返しをしたいという気持ちが以前から強くありました。さらに両親がそろそろ歳とって多少でも親孝行の真似事でもしたいという事情もありました。

奈良市は1300年前にこの国の首都があった地ですが、近年は大阪や京都に近く、大都市近郊のベッドタウンとして大きく発展し、全国でもトップクラスの人口急増地帯としても知られています。いわば古くて新しい街です。

 

医療面ではどうでしょうか。数年前奈良盆地南部で産科患者さんの不幸なたらいまわし事件があり、奈良県の医療体制のあり方が問われ改善努力がされていますが、心臓血管外科でも課題はあると言われます。

心臓手術ができる本格施設は奈良市には存在しないのです。京都府南部に若干の施設がありますが、大きな実績や成果を上げている施設と言えば心もとないとよく言われます。

 

心臓血管外科の領域では奈良市はエアポケットのような場所というわけです。

病院あるいは内科としては積極的に急患を受け容れて救命活動でめざましい躍進を遂げておられる市立奈良病院や、救命救急センターをもって北和を守るという位置づけにある県立奈良病院(現、奈良県総合医療センター)をはじめとして、岡谷病院、西ノ京病院、西奈良中央病院などの病院群、そして開業医の先生方など、地域医療に邁進して来られた病院・医院が多数あり、エリアとしてのポテンシャルは高いと個人的に思っています。

それ Ilm22_ba01056-sらの病院で心臓手術が必要な患者さんをいつでも、重症でも、しっかりと受け容れる施設が待たれていたのです。

このことは事前に調査をしたときに多数の方々からご教示頂きました。

 

そこで私たちは高の原の地にかんさいハートセンターを立ち上げました。

これは理事長の斉藤守重先生と昔から交流があったことや、副理事長の斉藤正幸先生が高校の後輩であったことなども幸いしました。

 

京大病院や周辺の救急病院、そして豊橋ハートセンター名古屋ハートセンターなどの民間専門病院の良さを併せ活かせるべく、それらでのかつての仲間が集まり、かつ貴重な経験やノウハウを結集しました。

私にとってはさすがに郷里で、地元の友人や先輩後輩の皆さんからさまざまなご要望を戴き、うれしく思っています。

 

これから断らない医療、患者目線の医療で奈良市やその周辺部の皆様のお役に立てればこれほどうれしいことがありません。


ただ患者さんを受け容れるだけで Ilm03_ba08001-sなく、これまで奈良県ではできなかった患者さん本位の手術たとえばエキスパートチームにしかできない複雑な弁形成術や、それを少ない苦痛と早い社会復帰で支援するポートアクセス手術などのMICS手術に代表される先端的治療でもお役に立てればと念じています。


実際、かんさいハートセンター心臓血管外科がスタートしてまだ2か月あまりの短期間に、すでに緊急手術や大学や有名センターで断られた患者さん、あるいは内科の先生にギブアップされていた重症の方々が順次生還され元気に社会復帰しておられます。

中には山を越えて大阪、京都、熊野、尾鷲や和歌山、津市や桑名などからお越し下さった方々や、東京、新潟、名古屋、九州、四国、沖縄などから来て下さったかたもあり、光栄なことと感謝しています。

 

逆に、重症例や稀な疾患で培った経験を地域医療のなかで活かしていければとも思います。

地域医療での心臓手術と言えば、通常は冠動脈バイパス手術弁置換術大動脈手術どまりですが、それでは地域の多様なニーズにはこたえきれないからです。

Aki_0088
地域の医療機関の先生方におかれましては、心臓手術が必要かも知れない、あるいは診断もまだ確定していない段階でもご相談頂けましたら内科と外科の複眼の視点でベスト治療を組み立てられると存じます。

結果的に心臓病以外のものであったという場合でも患者さんが安心してその病気の治療に専念できる基盤を造れるという意義があります。

 

地域の市民、患者さんたちにおかれましては何か心配な、あるいは納得できないものがあればセカンドオピニオンあるいは外来相談の形で私たちにお気持ちをぶつけて頂ければ幸いです。

やはりじっくり本音で相談し、データやガイドラインなどをもとにして、科学的客観的に考えることが患者さんを救います。不要な手術を避けることもできます。

さらにご紹介いただいた患者さんを手術や治療後に逆紹介させていただくのは当然ですが、これまでかかりつけ医をお持ちでない患者さんが多いため、本紹介させて頂くことが多々ございます。「かかりつけ医をお願いいたします」というお手紙をお送りしましたら、よろしくご検討をお願い申し上げます。

奈良市や周辺エリアの心臓外科医医療でお役にたてるよう全力あげて頑張ります。よろしくお願い申し上げます。

 

平成25年12月22日

 

高の原中央病院かんさいハートセンター

心臓血管外科

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
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講演 NHK文化センター 名古屋教室 心臓病と科学的ダイエット

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心臓病は生活習慣病と密接に関連しています。たとえばメタボ、糖尿病、脂質異常症、高血圧症あるいは喫煙などですね。そのため心臓手術も生活習慣病と切っても切れない縁があります。

Ccbo022-s私が本職の心臓手術にくわえて科学的ダイエットに力を入れているのはそのためです。

本音のところは、昔から油断するとすぐ太る体質で、もっと良いダイエット法はないものか、いつも探していたからです。しかしそのダイエットが患者さんに大いに役立つことを知ってから、がぜん張り切って取り組むようになったのです。

ご縁あってNHK文化センターで講演させて戴くことになりました。

その説明パンフレットを引用します。ちょっとお恥ずかしい大げさな書き方ですが、これはパンフのキャッチフレーズということでお許しください:

 

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スーパーDr.登場!

12月8日 心臓病と科学的ダイエット

名古屋ハートセンター副院長(現、かんさいハートセンター特任院長)

米田正始

 

心臓外科の名医、米田先生の講演会。有名人の手術を例にとりながら、予防・治療・手術など、ためになるお話しを致します。また予防のための正しいダイエット指導もございます。

13:00~15:00

会員 1890円、一般 2100円

お申込み、お問い合せは Tel 052-952-7330 または NHKカルチャー名古屋 でご検索下さい

場所: 名古屋市東区東桜1-13-3 NHK放送センタービル7階
NHK文化センター名古屋教室 にて

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それでは心臓病、心臓手術、あるいは健康生活にご関心のある皆様のご参加をお待ちしております。


ご報告

002b満員御礼でした。

かつて米田正始の手術を受けて下さった患者さんたちも多数お越しになり、同窓会のような楽しい会になりました。

なおNPO法人日本ローカーボ食研究会から話題の教科書を販売しましたが、完売しました。厚く御礼申し上げます。

また来年お会いしましょう!

 

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講演 高の原中央病院 健康フォーラム 心臓手術と科学的ダイエット

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皆さんいかがお過ごしでしょうか

私は心臓手術の専門家で、毎日心臓や血管を治しております。


Health_0072しかし単にそれだけでは患者さんは一人の「ひと」として健康になりきれないことがあります。

たとえば弁膜症で心不全の患者さんに弁形成術を行い、手術のあとは「体調がよくなり、ごはんもおいしいです」ということで、次第に体重が増え、メタボになる方も少なくないのです。

それではいくら心臓病を治しても新たな病気を造ることになり、ひととしての患者さんのお役に立っているか、心配になってしまいます。

そこで心臓リハビリや科学的ダイエット(糖質制限食)にちからを入れるようになりました。

今回はこの科学的ダイエットのお話しを、心臓手術とセットでお話ししたく思います。

講演のときに、当院の管理栄養士からお役立ちレシピ情報も紹介いたします。

奮ってご参加ください。

日時: 2013年9月18日水曜日

      開場: 13:30

      開演: 14:00 15:00終了予定

講演内容: 心臓手術の実際を有名人の事例を参照しながらお話しします。とくに創が小さく痛みも少ないポートアクセス手術や安全なバイパス手術などを解説いたします。さらに糖質制限食の安全で効果的な方法もご紹介します。

場所: 奈良市北部会館 市民文化ホール 3階 多目的室1

     〒631-0805 奈良市右京1丁目1番地の4

定員: 先着50名 入場無料です

講師: 高の原中央病院特任院長、かんさいハートセンター長、心臓血管外科部長

     米田正始

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578477_10200646067299033_1176325649_nご報告

当日は会場満員御礼となりました。おおくの方々に聴いていただき、質問も制限時間を超えるほどいただき、深く感謝申し上げます。

みなさまの今後の健康管理にお役に立てれば幸いです。

ご参考までに皆様からの声の一部を掲載させて戴きます。

 

「かんさいハートセンター開設がんばってください。期待しています。」

「目からうろこで大変勉強になりました。」

「友人が弁膜症手術を受けたので興味深く聞かせてもらいました。」

「心臓があまりよくないので関心をもっていた。今日は勉強になりました。今後どんどん講座を開いてもらいたい。もっと広い部屋でもよかったのでは!!米田先生の話が大変よかった。」

「ローカーボというダイエットを聞き驚いた。ずっと間違ったダイエット結果がでていなかった。ぜひ糖質制限食の本を買って勉強しようと思います。心臓病に関しては、こわいこわいと思っていましたが、医学の進歩と技術に驚きました。お世話になるときはよろしくお願いします。」

「質問には丁寧に答えていただきたいへん参考になりました。食事、運動プラス薬で頑張ります。」

「日頃、不安に思っている心臓のことを分かりやすくお話しいただきありがとうございました。バイパス手術、ステントも怖がることはないと思えるようになりました。」

「分かりやすくてとても良かった。実生活にぜひ活かしていきたいと思います。ありがとうございました。」

「もっとゆっくり説明が聞きたかったと思います。」

「次回の健康フォーラムがどこで、どんなテーマのものがあるのか知りませんが、このような情報を自治会に回してほしいです。」

 

皆様の貴重な御意見を活用し、有意義な勉強会にしていきたく存じます。ありがとうございました。

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
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高の原中央病院かんさいハートセンター・内覧会のお知らせ

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Ilm2007_04_0143-s皆様ますますご清祥のことと存じます。

高の原中央病院かんさいハートセンターは平成25年10月1日にまず心臓血管外科がオープンいたします。

つきましては地域医療に貢献すべく医療関係者の皆様に以下のような内覧会を開催いたしたく存じます。

患者さんや奈良県をはじめ京都府南部、大阪府東部を含めた地域医療におやくに立てるよう、職員全員ちからを合わせて頑張ります。

ぜひ内覧会にお越し頂けますようお願い申し上げます。

なお患者さんや一般市民の皆様には公開講座などを別途開催し、心臓病の治療のみならず予防にもお役に立てるよう計画しております。

 

1.日程 平成25年9月28日(土曜日)と同29日(日曜日)

      いずれも14時から17時まで

2.場所 高の原中央病院7階講義室 

      

3.タイムスケジュール

   14:00 開会あいさつ 西村院長

   14:05 米田正始 特任院長・ハートセンター長 講演

          講演内容:最近の心臓血管手術をめぐって

            日進月歩の心臓外科の姿とお役にたてる内容をご紹介します

            体外循環を使わないバイパス手術や
創が小さく見えにくい弁膜症手術、弁形成術、
難治性心房細動への新しいメイズ手術、
大動脈手術、再生医療その他を予定しています

   14:40 心臓リハビリのお話。これから重要な役割を果たすでしょう。

   14:50 病棟からご挨拶。患者本位のケアとは。

   15:00 休憩

   15:10 内覧会 東館6階 手術室

               東館7階 会議室にて3D心エコーなど

               東館7階 講義室にてCPXなど

         何でもご質問、ご教示お願いいたします。

   16:30 意見交換会

   17:00 閉会あいさつ 斉藤正幸副理事長

 

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御礼

9月28日、29日とも良い天気に恵まれ、多くの方々のご参加を頂きました。

絶好の行楽日和にもかかわらず内覧会でお時間をとっていただき、恐縮いたしております。


中には京大病院時代や天理病院時代にお世話になった懐かしい先生方も多数おられ、なつかしくまたジーンとくるものがありました。

またすでにお世話になっている地域の先生方のお姿もあり、ご厚情に感謝申し上げます。

これから少しでも多く、お役に立てるよう努力いたします。

心臓手術、血管手術は年々着実に進歩をとげております。内覧会を通じてこうした心臓手術、心臓外科の最新の成果を見て頂き、光栄に存じました。

しかし実際に皆様のお役に立てて初めて意義のある会になったと言えるものと考えます。一歩一歩着実に努力して参ります。細かいことも含めて何でも、ご指導、ご鞭撻頂けましたら幸いです。
KHC内覧会

このたびは誠にありがとうございました。内覧会を立派に運営して下さった院内の事務、コメディカル、医師諸君や西村院長、斉藤副理事長、斉藤理事長にも心から御礼申し上げます。

 

平成25年9月29日

米田正始 拝

 

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心臓手術のお問い合わせは
こちら

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

かんさいハートセンター

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情により先端的手術あるいはあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

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かんさいハートセンターとは聞きなれない名前かと存じます高の原中央病院2

今年2013年10月1日から奈良県奈良市にある高の原中央病院の中に立ち上げた新しい心臓専門病院です。

写真右は近鉄高の原駅から丘の上に見える病院の全景です。

 

ことの起こりは、私の両親が歳をとったためそろそろ面倒をみようと地元関西ににもどることになったのがきっかけです。

これまで名古屋ハートセンターで多くの方々のおかげで名古屋屈指の心臓外科施設と言って頂けるほど活発に、皆と楽しい汗を流して参りました。

その名古屋を去るのは残念だったのですが、親や故郷に恩返しをしておきたいという気持ちが強まり、同ハートセンターの鈴木孝彦先生や大川育秀先生の御厚情を頂いて奈良にもどることになりました。

 

奈良にも良い病院は多々ございますが、ご縁あって、奈良市にある高の原中央病院のなかに「かんさいハートセンター」を立ち上げることにいたしました。

これは斉藤守重理事長のご高配によるところが大きく感謝しています。

斉藤理事長は10数年以上昔、私がまだ京大病院に勤務していたころから細く長くご指導いただいている大先輩です。


このかんさいハートセンターでは、これまでのハートセンターつまり心臓専門病院の良さと、総合病院の良さを兼
ね備えた、しかも患者目線の運営がしっかりできる病院を目指しています。

この10か月間、高校の後輩でもある斉藤正幸副理事長とともに毎日楽しい汗を流して準備を進めて参りました。

まずは新しい医療への意欲に燃えた

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ポートアクセス法心臓手術後の胸の創です。創がどこにあるかおわかりになるでしょうか。痛みが少ないため仕事復帰も早いです。

心臓外科医の参集を得て、心臓血管外科部門がスタートし、スタッフの充実を待って循環器内科部門もスタートします。

 

心臓血管外科では僧帽弁形成術大動脈弁形成術デービッド手術自己心膜弁(尾崎弁)、

とくに創が小さく骨も切らないポートアクセス法(写真右)などのミックス手術心不全や心筋症への手術、

成人先天性心疾患(右室二腔症IHSS(HOCM)、バルサルバ洞瘤心房中隔欠損症心室中隔欠損症修正大血管転位、等)、大動脈瘤や大動脈解離などにちからを入れて行きます。

名古屋で年間300例近い心臓大血管手術をこなした実績と、これまでの3400例以上の心臓大血管手術経験の蓄積、そして国内外との情報交換・交流を活かしてお役に立ちたく思います。

循環器内科の弁膜症や心不全の専門家による外来などは心臓外科と同時期にスタートし、さらに各部を順次整えて参ります。

ハートセンターは単に心臓部門が協力して病気の治療にあたるだけではありません。


Illust1447bたとえばコオディネーターと呼ばれる専門職をおいて、患者さんの外来が一回
で方針が立つようにして負担を減らします。

多くの病院とくに大型の総合病院では初診の患者さんが来院されると、まず診察、そしてたとえば2週間後にエコー検査においで、さらに4週間後にCTにおいで、そして5週間後に説明を聞きにおいで、となりがちです。

それでなくても苦しい心臓病の患者さんに、何往復もさせることの負担にいつのまにか慣れてしまって、あるいは「しゃーない(仕方がない)」と割り切ってしまっているのです。

私たちは医療の原点からこの現状を変えたく思います。

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一般に病院の手術室は中央手術部として、多数の科が協力して分担して手術室を使わせて戴く形がほとんどです。

ところがこの形では、今日心臓手術すべき患者さんが来られても、心臓外科の「手術枠」は明日だから、今日はダメ、などといった、患者さん本位とは言えない事態がよく起こります。

この現象は公的病院・大病院とくに大学病院で顕著です。


本来は良い医療をするための中央手術部なのに、患者さんよりも院内労働者目線になっているのです。

そこで私たちはいわゆる中央手術室を克服して、心臓血管手術が365日いつでもできるようにして、患者さんの状態に合わせて予定も緊急も入れられるようにします。

安全第一の観点から、開設当初は無理をせず、順次態勢を整えて、断らない医療を実現して参ります。

そしてそれは長期的には心臓血管外科にとどまらず、さまざまな科や領域でも同じポリシーの医療を提供することにつながるでしょう。

Ilm09_aj06015-sまた循環器内科部門もこれまでの専門病院の看板である冠動脈カテーテル治療PCIはもちろんのこと、

今後の疾病構造を考えて弁膜症や心不全、心エコー、心臓リハビリ、科学的栄養指導といった現代の心臓循環器診療の重要課題を専門とする医師・コメディカルを含めた構成を整備中です。

そうしてこそ、社会のニーズにお応えし、かつ患者さんを「ひと」として、治せると思います。

幸い志の高い、若い先生方が参加表明して下さる方向にあり、開院時は年度途中で転勤も制約があるため、来春から順次整う見込みです。

ナース、臨床工学士MEさんらをはじめとしたコメディカルも心臓専門のチームに入っていただき、技術と経験の蓄積が着実にできるような仕組みになります。

これもかつて大学病院で勤務した経験を活かし、プロフェッショナルナースやプロフェッショナルMEさん、プロの検査技師さんなどを育成する態勢を組みつつあります。

 

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毎日まいにち、同じメンバーで鍛え上げる、これがプロの養成法です。スポーツも心臓手術も医療全般も同じです


たとえば手術室ナースを例にとりますと、来る日も来る日も同じメンバーで心臓手術を経験し、毎日まいにち勉強し議論し反省して貴重な経験を積んでいくのです。

名古屋ハートセンターでの経験では新人ナースでも半年たてばかなりのレベルに達します。1年も経てば立派なものになります。

もちろんそこで完成したわけでなく、さらに後輩の指導などもやりながら、一段と自分とチームを磨いていきます。これが患者さんに益しないはずはありません。

これが大学病院などの総合病院では、夜中の全科の緊急手術に対応しなければとさまざまな科をローテートします。

いつまでたっても熟練せず、プロにはなれません。

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たとえばプロのナースは手術中、黙って手を伸ばすだけで
手術器械を的確に渡してくれますが、ローテートのナースではその都度考えて手術器械を探すありさまです。

この「停滞」が1回の手術中に何百回何千回とあるわけですから時間の無駄は大きいです。

それは質とスピードを求められる心臓手術ではそのまま患者さんの身体の負担、危険性の増大につながってしまいます。

こうしたプロフェッショナルナースの重要性は欧米先進国の手術室では常識なのですが、日本の大病院では未だに実現できていないところが多いのです。

ハートセンターではこの点でも世界水準に後れを取っていないとよく言われます。

徹底した品質管理と教育、それが真の安全管理の第一歩なのです。

皆で毎日反省と勉強を重ねるなかでいわゆる安全管理にもベストを尽くします。

日本地図交通の便も比較的便利な場所を選びました。

新幹線京都駅から目の前に改札がある近鉄に乗れば乗り換えなしで30分あまりですし、関西空港や伊丹空港からも直行バスが近くまで出ています。

かんさいハートのアクセスはこちらをご覧ください。

そもそも「かんさいハートセンター」という名前も、これまでの名古屋ハートセンター時代と同様に、全国から患者さんに来て頂きやすいようにとつけた名前です。

一応奈良県にあるため、「ならハートセンター」という名称も考えたのですが、ある患者さんから「奈良って日本地図のどのへんにあるのですか?」と聞かれ、ショックを受けました。

そこでもう少し判りやすく、「かんさいハートセンター」としたのです。偉そうな名前で申し訳ございません。

名前負けしないよう、職員一丸となって日々精進努力いたします。

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私の外来は当面月曜日と金曜日ですが、手術相談については火曜日・水曜日・木曜日の午前9-11までにお越し頂ければ対応しております

急ぎの状態の場合は随時です。他の医師の外来でも何か問題や心配があれば私と一緒に検討し方針を立てて行きます。

ハートセンター方式で、手術日でも手術室に行く前の2時間ほどと、手術室から出たあとの3時間ほどを使って患者さんのニーズにお答えするようにします。病気は待ってくれないからです。

かんさいハートセンターの外来の詳細はこちらをご覧ください。電話番号は 0742-71-1030 (代表)です。ここからコオディネーターのいさみもとさんにご相談下さい。

このホームページのトップページの冒頭にもお書きしましたように、医療は患者さんが幸せに健康になるためにあるものです。

Ilm17_bc01002-s患者さん本位の医療とはどういうものかを常に考え努力して来た仲間たちと造って来たものの凝集がハートセンターです。

もちろん現在の保険制度の枠組みの中での医療ですから、理想とは言えないこともあります。

たとえばコメディカルや事務員を山ほど雇って医療をすれば余裕ができ手厚い医療に近づくかも知れません。

しかしそれでは今の保険制度では病院経営が成り立たず、破綻して結局患者さんのお役に立てなくなります。

たとえば通常の外来受診の際には予約を取っていただくなど、患者さんの側からのご協力もひつようです。

そうしたお互いの協力によって緊急入院や緊急手術などにも対応しやすくなるでしょう。

このことは名古屋ハートセンターでの運営努力の中で実感をもって学びました。

 

Ilm22_ba01054-s地元や近隣の病院・医院の先生方、医療者の皆様には、これから先生方のお役に立てるよう、頑張ります。

地域医療は医療の原点・根幹であり、もっとも大切にしたいものだからです。

心臓や血管のことで何かありましたら、いつでもご連絡・ご相談下さい。

ご多忙のおりには電話やメールでも結構です。

 

かんさいハートセンターが心臓病や血管病でお悩みの患者さんやご家族、そして地域医療やそれを支える先生方にとって、役に立つ、良い病院になるよう全力を尽くします。

皆様方のご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

 

平成25年10月3日

高の原中央病院かんさいハートセンター

特任院長・センター長・心臓血管外科部長

米田正始 拝

 

追記: 平成26年5月1日から循環器内科に新たに4名の医師が加わり、かんさいハートセンター循環器内科としてスタートいたしました。いよいよ本格的始動です。患者さんのために頑張れる、バランスの良い、オールラウンドなチームを目指して努力しています。冠動脈やカテーテルはもちろん、弁膜症・心筋症やエコーそして心臓+腎臓などの複眼の視点でも優れたチームです。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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かんさいハートセンター

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御礼とご報告

 

多くの方々のご支援とご指導によりましてかんさいハートセンターは立ち上192146942げ当初から実績を上げ、全国からの重症の患者さんや専門診療・先端治療を必要とする方、あるいは地元の患者さんたちのニーズにお答えすべく努力して参りました。

 

このたび米田正始はこのセンターを退職し、より良い医療を目指して大阪に異動することになりました。

 

その詳細はこちらをご参照ください。(心臓や血管の手術などでお困りの際にはいつでもご連絡ください。)

 

大変お世話になりました高の原中央病院の斎藤会長、理事長、専務、循環器内科(とりわけ太田剛弘先生)や心臓麻酔科、関係各科、手術室・ICU・病棟・リハビリ・外来・薬剤部・放射線・検査・栄養科・事務はじめ多数の職員の皆様、地元奈良の医師会の先生方はじめご指導くださった皆様、そして何よりも遠近や国内外を問わずご支援くださった患者さんたちにこの場をお借りして心から御礼申し上げます。

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ハートセンターの考え方に共鳴し、集まって下さった循環器内科、心臓外科、ナースやMEなどのコメディカルの皆様にはせっかく参入いただいたのに施設が空白状態となり、誠に申し訳なく思っています。

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こうした経験から、現代の厳しい医療情勢の中で、患者さんとくに重症の方々をお守りするのは並大抵の努力ではできないと実感するこのごろです。ただ個人がベストを尽くすだけでなく今日的な多角的工夫・組織的努力がもっと必要です。ここでの貴重な経験をもとに、より強力な足腰をもった本格的急性期病院で、より多くの仲間を得ながら、初志を貫徹する努力を続けるつもりです。

 

今後も変わらぬご指導とご鞭撻を頂けましたら幸いです。高の原の関係の皆様、ほんとうにありがとうございました。 (2015年6月28日記)

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追記: 当初の心臓外科メンバーは全員、新天地で元気に仕事に精出しています。お世話になった皆様に感謝申し上げます。

 

1.かんさいハートセンター開設のご挨 203651752拶です。

これから患者さんや地域医療に貢献すべく全力を尽くします

 

2.かんさいハートセンターでは熱い循環器内科の先生を募集しています。詳細はこちらをどうぞ。


3.内覧会のお知らせ。平成25年9月28日(土)、29日(日)です。

(多数お越しいただきありがとうございました。これから地域や患者さんのお役に立つようがんばります)


4.講演のお知らせ。高の原中央病院健康フォーラムで「心臓手術と科学的ダイエット」のお話しを致します。平成25年9月18日水曜日です。

(盛会裏に終わりました。御礼申し上げます。ご報告も記載しました)

5.NHK文化センター 名古屋 IMG_1967b教室での講演 ご案内です。

心臓手術や健康に関心ある一般の方々が対象です。奮ってご参加ください。

(満員御礼でした。ありがとうございました)

 

6.地域連携のための講演会(高の原会)で「心臓手術がお役に立てるとき—プライマリケアの立場から」をお話ししました。奈良新聞でも紹介されました。

(多数のご参加と貴重な御意見ご質問をありがとうございました)

その講演をYou Tubeで掲載して戴きました。ご覧下さい。なおこれらは医療者向けの解説です。一般の方向けのものはこのページの少し後ろのほうにございます。

210974194◆医療者の方々向けのビデオ講座

狭心症、冠動脈バイパス、PCIなどこちら

弁膜症、ミックス手術、ポートアクセスなどはこちら

大動脈瘤や大動脈解離、腹部大動脈瘤などはこちら

心筋症心不全はこちら

まとめと下肢虚血の再生医療はこちら


7.平成2 Ilm01_aa04006-s5年11月12日に米田正始が荒井正吾 奈良県知事を表敬訪問しました。そのときの様子をメディアが紹介してくれまし
た。

高の原中央病院かんさいハートセンターがめざす、断らない医療、患者目線の医療が荒井知事にも評価され、うれしく思いました。

これから地域医療のお役に立てれば最高です。


8.平成25年12月18日に奈良市西部会館で開催されました市民健康公開講座で「心臓手術と科学的ダイエット」というテーマでお話しいたしました。

これを奈良新聞が報道してくれました。当日は200名のご参加を戴き、大きなホールが満員に近い状態でした。

皆さんの健康増進と心臓病の克服にお役に立てれば幸いです。IMG_0208b

その後この講演内容がもっと詳しく紙面紹介(奈良新聞 平成26年3月10日)されました。ぜひ皆様の健康管理や早期診断・早期治療にお役立てください。心臓病は的確なタイミングで治療すれば治ることが多いのです。

 

❤ビデオで見ることができます。皆さんの健康増進にお役立て下さい(一般の方々向けです)。


188836877市民公開講座
02 心臓外科・狭心症

バイパス手術なども


市民公開講座
03 弁膜症の総論

僧帽弁や大動脈弁の病気を治すために


市民公開講座
04 ポートアクセス

小さい創で痛み少なく早く仕事復帰を

市民公開講座 05 弁形成術

健康生活にもどるために


市民公開講座
06 大動脈疾患

安全性が高くなりました。マルファン症候群の方々にも


市民公開講座
07 大動脈弁狭窄症

これは最近増えている病気です 178472147


市民公開講座
08 心臓外科とローカーボダイエット

食生活から病気を治し、予防する


市民公開講座
09 エンディング

まとめのメッセージ


市民公開講座
10 心臓外科とダイエットー栄養士から

より身近な食生活視点からのお話です

 

1911515249.奈良市とそのエリアにおける心臓手術につきまして。かんさいハートセンター開設2か月での印象とお願いです。

 

10.さわやか高の原 2014冬号に米田正始のエッセイが掲載されました。

これから奈良あるいは関西にて地域医療や専門医療で皆さまのお役に立てればうれしいことです。


11.NHK文化センター京都教室で講演 「このま A330_032までは危ない!心臓病と科学的ダイエット」 2014/4/13(日) 13:00-15:00
案内冊子から:
心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。

突然訪れる心臓病について、有名人の心臓手術を例にとりながら、予防・治療・手術などの観点から、ためになるお話をして頂きます。また、予防のための正しいダイエット指導もございます。


12.NHK文化センター梅田教室で講演 「糖質制限食ダイエットを心臓病の治療にも活かす」 2014/5/11(日)  13:00-15:00 案内冊子から:
心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。話題の糖質制限食が心臓病の予防や治療にも役立つことがわかりました。心臓病や心臓手術を通して正しいダイエットを考えます。

なお京都教室では心臓に重きをおき、梅田教室ではダイエットを主力にして重A309_095複が少なくなるようにいたします。

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13.奈良市エリアでの病診連携につきまして: 

患者さんと開業医の先生方へのお願いです。

地域医療はもっと便利に、もっと安全になるでしょう。

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14.市立奈良病院の新病棟お披露目会に行ってまいりました。:

良きパートナーになれるよう頑張りたく思いました。

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Tavr15.大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法であるTAVI(タビ)につきまして、

現在施設の認可のための準備中です。

その間にも患者さんのおやくに十分立てるよう、経験豊富なトップレベルの施設へご紹介するなどして安全を確保しています。

こちらこちらのページをご参照ください

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16.祝、奈良県総合医療センターのご発足。

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県立奈良病院が独立行政法人化され、奈良県立病院機構のもと新たな出発をされました。

私たちもパートナーとしてお役に立てれば幸いですIMG_0573b2

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17.東京スポーツ、大阪スポーツの名医の診察室に米田 正始が紹介されました。(2014/9/11)

循環器内科と心臓外科のハートチームはもちろん、ハートセンター職員全員で頑張ります。

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18.東京スポーツ、大阪スポーツの名医の診察室に太田剛弘・副センター長が紹介されました。(2014/9/18)

もつべきものは友、そして循環器内科が活発になってこそハートチームです。これからもっと皆様のお役に立ちたく思います。

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Ilm09_ak02020-s19.NHK文化センター名古屋教室での講演: 2014年11月16日日曜日13:30から、「心臓手術と科学的ダイエット」です。ふるってご参加ください。

盛況の中、終了いたしました。かつて名古屋で手術させていただいた患者さんたちも多数参加され、心に響きました。わたしの方こそ感謝しています。また来年もお越し下さい。

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20.おかたに病院の「なら健康まつり」に行ってま 164438012いりました。地域医療の良さを実感させてくれる集まりでした。

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21.かんさいハートセンターの設立から1年が経ちました。

おかげ様でゼロスクエアからの立ち上げとは思えない実績を残せました。皆様のご恩に報いるべく、さらに頑張ります。

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22.市立ひらかた病院で講演させていただきました

新しい見事な病院に感嘆いたしました。あたたかい歓迎ありがとうございました。

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23.奈良医大付属病院: 研究や教育のみならず地域医療の拠点です。大変お世話になっております。 197575994

 

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24.第五回 Heart Valve Conference の当番世話人(会長)を務めさせて頂きます。2015年4月11日土曜日、大阪ナレッジキャピトルにお越しください。弁膜症に関心のある医師とコメディカルの皆さまにぜひお楽しみ頂きたい

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おかげさまで満員御礼状態にて充実したプログラムを完了できました。ご参加くださった皆様に深謝申し上げます。来年もまた皆で楽しめる会にしたく存じます。よろしくお願い申し上げます

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25.e-MATCH でお役に立ちたく思います。

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これは奈良県の救急ネットワークで、心臓関係では奈良市の指定3施設のひとつとして貢献したく思います。よろしくお願い申し上げます。

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15928341226.近畿大学医学部奈良病院: すでに病々連携でお世話になっております。今後も奈良の地域医療発展のためよろしくお願い申し上げます。

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27.京都きづ川病院: 開設当初から想い出のある病院です。病々連携でこれからお役に立てればうれしいことです。

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28.京都山城総合医療センター: もとの公立山城病院が新しくなりました。京都府南部ー奈良県北部の地域医療や連携のなかで私たちもお役に立ちたいものです。

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29.土庫病院: 地に足つけた地179036312域医療、住民から支えられた病院の手本のようなところです。貢献できるよう、頑張ります。

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30.大和高田市立病院: 学生時代から現在に至るまで長年お世話になっております。これから大きな貢献ができればうれしいことです。

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31.西ノ京病院: 地域医療のパートナーとしてこれから交流がさらに増えれば私たちにとって光栄なことです。

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32. 国立循環器病研究センター: 移植や植込み型補助循環(人工心臓)その他でお世話になっております。

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33.西奈良中央病院: 奈良市西部地域の中核病院です。病々連携でお世話になっております。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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心臓外科ではハートセンターのような専門病院は有利なの?

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Ilm17_ca06004-s心臓外科や心臓血管外科で、なぜハートセンターが良いのですかというご質問を受けることがあります。

答えはいくつもあります。

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もともとハートセンターは従来の総合病院や公的病院では患者さん中心の医療がやりにくい、いっそ民間の専門病院で一からやりなおそう、という考えからスタートしています。

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心臓手術には迅速さと精密さが求められます。また手術や入院までの待ち時間が長くなるとその間の死亡率が増えることもあります。

こうした点でハートセンターのような専門病院は有利です。

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Ilm17_ca05005-sたとえば外科は心臓外科しかないため、他の科や他の部門に遠慮することなく、必要な手術を必要なタイミングで行いやすいのです。

実際、大病院では緊急手術といえば、麻酔科は許可してくれるだろうか、とか、看護部は文句言わないだろうか、などといったことばかり心配し、患者の心配は二の次になる傾向が昔から指摘されています。

これは患者のことだけ考えて頑張ることができる病院が理想の姿であるという意味で、他意はありません。

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またナース(看護師さん)やME(臨床工学士)さんらのコメディカルスタッフも心臓手術に特化して日々研修を積めるため、短期間で立派に熟練スタッフに成長するのです。

これは総合病院や大病院でたくさんの科をローテートしていつまでたっても心臓手術は素人なみという状況とは正反対です。

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チーム医療はスポーツと似ているところがありますまたいつも同じメンバーで手術を行うため、細かい指導や検討ができ、操作の細部まで慣れるため、結果として無駄な動きが減り、手術の速度が上がります。

初歩的ミスが減るため安全性も向上します。心臓外科医の技量だけでなく、コメディカルを含めた総合力が大切なのです。

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さらに申せば、各職種のチームメンバーが労働基準法を振りかざして自分の権利を主張するということがない、病院の設立理念である「患者さん中心の医療」や「断らない医療」とくに「緊急を断らない医療」をもとにしてものを考える、これがひとあじもふたあじも違う、ハートセンターの雰囲気を創っているように思えます。

正しい理念の賜物、と言えるのではないでしょうか。理念というのはその病院の魂(たましい)なのです。

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Ilm09_ba02010-s奇しくも、この雰囲気は欧米の立派な大学病院の手術室によく似ています。緊急手術の相談をナースや麻酔の先生方にすると、皆、笑顔でよっしゃ!と(もちろん英語で)言ってくれるのです。

日本とはずいぶん違いますが、その理由は簡単です。

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欧米では緊急手術や時間外手術といえば、麻酔の先生方にも、コメディカルの方々にも、十分な手当てがでるのです。

外科医にも、研修医にさえ、しっかりとした手当てがでます。

厳しい仕事を夜中にしてくれるひとたちに対する、当然の報酬ですが、これが当然でないのが日本なのです。まだまだ後進国と言わねばなりません。

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ともあれこうした迅速さや精密さのある手術、熟練したチーム、患者中心の理念が貫ける態勢などがハートセンターの特長と言えましょう。

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しかし専門病院であるための弱点が次第に明らかになって来ました。

消化器外科や内科、神経、感染、泌尿器、整形外科、眼科、耳鼻科、がんなどの専門家と密に連絡をとり、総合病院の機能を持つようにしています。このために近隣の総合病院や大学病院、あるいはそれぞれの専門病院との交流を重んじています。

逆に、それらの病院で緊急対応できない心臓血管病が発生したときには積極的に受け入れるようにしています。

これがハートセンターにおける、専門医療と地域連携のあるべき姿と考えています。

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そして次なるステップは総合病院の中のハートセンター

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こうした総合病院の良さとハートセンターなどの専門病院の良さを併せ持つかたちの病院、それが総合病院の中のハートセンターです。

といっても、なかなか内部の調整が大変です。しかし病院のトップがそれを決断し、チームができ、各部門でそうした努力をやろうという態勢があればできるはずです。

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こうして2016年8月から医誠会病院心臓センターで新たな挑戦をしています。経営者の医療に対する志が高く、透明性の高い、かつ足腰の強い病院で、合計9つの病院を有機的に束ねています。着任早々、心筋梗塞後の左室破裂それもブローアウト型と呼ばれる手術の難しいタイプでしたが、チームワークが効いてわずか2時間半で手術を成功させることができました。

医療を誰のためにやっているのか、断らない、待たせない、質の良い医療とは何かを考えて努力すれば、おのずと道は拓けるものと考えています。

幸い、そうした基本姿勢、考え方に同調してくれる仲間がほとんどなので、これからの展開が楽しみです。

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患者さんたちにおかれましては、御意見をお聞かせ頂ければ大変ありがたいと存じます。医療は医師や医療者だけで造るものではなく、患者さんやご家族、社会までが協力して創るものと心得ます。よろしくお願い申し上げます。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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