2010年2月16日 日本心臓血管外科学会の感想

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今回も医師・医療者向けの内容になりそうです。すみません。ただ、一般の読者でも医学・医療に関心のおありの方には熱い医師や学会の努力や本音の一部を知って頂くことはできると思います。

この2月15日から17日まで神戸ポートアイランドにある神戸国際会議場と神戸国際展示場にて行われた第40回日本心臓血管外科学会の集まりに行って参りました。畏友大北裕・神戸大学心臓血管外科教授が会長をされることもあって以前から楽しみにしていた会でした。

 

歴史と伝統のある立派な学会ですので、会長といえどもなかなか好きなようにはできないものですが、大北先生のご努力と工夫のあとが見られる面白い集会でした。

まずプログラムを一べつしてすぐ気がついたのは、海外からの招請講演つまり海外の有名な海外との交流は医学医療の発展のために重要です。学会がその場を提供することも多いため工夫は有意義です。 スター外科医の講演の司会をすべて大北先生がされていることです。慣例ではこうした司会役は名誉教授の偉い先生や重鎮の教授の先生方がされることが多いのですが、考えあって会長がすべてを自ら担われました。

人づてにお聞きしたところではこれまでお世話になった海外の実力派の先生方に敬意を表するため、自らお世話をしたいとのことでした。これまでの方法でも、司会の先生によっては豊富なご経験を活かした内容とユーモアのある、良いものが見られたと思うのですが、中には空気の停滞を感じさせるミスマッチのケースもあったように思います。すでに引退されモチベーションが落ちてしまった老先生のようなケースですね。これを一新されたことは内容ある学会を造るための斬新な一歩になったと思います。ただしまだまだ貢献が多い元気派の老先生には何らかの活躍の場があるとより理想的とも思いました。ちょっと注文付けすぎかも知れませんが。

こうした学術集会では会長や理事長が講演をされることが多く、この日本心臓血管外科学会でも講演がありました。高本眞一理事長と大北裕会長の講演はいずれも日本の心臓血管外科学会や心臓血管外科医の現状を客観的データをもとに正確に踏まえ、今後の進むべき道を示す、優れたものだったと感じました。これまでの日本の学会では会長や教室(つまり大学)の名誉のためにその実績を披露するという傾向が指摘されるケースもあり、この点が大所高所から学会あるいは国全体の医学医療の進むべき道を堂々と論じるアメリカなどの学会より遅れていました。今回の学術集会での理事長講演や会長講演は日本も欧米水準に近づいたと思ったのは私だけではなかったようです。

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日々の研鑚が必要なのは音楽もスポーツも心臓外科手術も同じです。

 若い先生方へのメッセージ”Practice, practice, practice”(練習、もちろん患者さん対象ではなくそれ以外の方法で)はスポーツと同じ姿勢で、これまで仲間で努力して来たことを言葉にして戴き感銘を受けました。同時に外科手術、心臓手術は治療のためとは言え、患者さんの体に傷を付ける唯一の合法的行為であることをいつも認識し、襟を正して日々精進すべきことなども大変共感しました。

上記の講演の中で外科系へ進む若手医師が減少している話しもありました。ただ現状をよく見てみますと、ハートセンターのように雑用が比較的少なく、患者さんのケアや治療とくに手術に全力を注げる民間専門病院へは若手からの採用希望が多く、やはり大学病院とくに国立大学病院の構造的問題が影を落としていることを感じました。周囲にいた先生方と話ししていても、やはり大学病院の雑用の多さと手術や治療のやりづらさ、週80時間以上仕事している一方での待遇の貧相さ、そしてそれらを解決不可能とギブアップしている一部病院指導者(彼らもまた構造的問題の犠牲者ではありますが)の問題は根が深いと感じました。

また今回の学術集会ではディベートセッションということで、現代の心臓血管外科が直面している医学的科学的問題や課題を実に27件もPro(賛成派)とCon(反対派)の形で熱く論じられ、多くの聴衆とくに若い先生方にはポイントを絞った、良い勉強になったのではないかと思いました。

このディベートセッションでは、個人的にはProであっても偶々Conの役割を与えられて当惑しておられた先生もあったようですが、そこはProとConの熱い討論によってよりよいものを造るという趣旨からご自分の意見とは別に心を鬼にして一つの観点たとえばProの立場から遠慮なく議論を進めておられたのが印象的でした。

かくいう私も左室形成術という心不全の患者さんのための手術に関連したディベートを仰せつ治療法の検討には科学的データにもとづく議論が大切です。重症の患者さんの協力やデータを集めるのが難しいのはわかりますが、だからと言って軽症の患者さんだけのデータで正しい結論は出せません。 かり、皆さんに喜んで戴けるだけの内容をというプレッシャーを受けていました。私の担当はPro セーブ手術で、相方は北海道大学心臓血管外科教授の松居喜郎先生で、松居先生の担当はPro オーバーラップ手術でした。ちょっと専門的にはなりますが、セーブ手術はパッチと呼ばれる布を使って左心室を良いサイズと形に整える手術で、オーバーラップ手術はこのパッチを使わず心臓の余った壁を折りたたんで形成する手術です。お互い敬意を持っている友人なのでそれぞれの手術法の特徴をある程度浮き彫りにできたとすればうれしいことです。司会を務めて下さった長年の友、堀井泰浩先生(香川大学教授)に御礼申し上げます。

その直前にStichトライアル(スティッチトライアル、Stichはいくつかの単語の頭文字等でトライアルは臨床検討という意味です)に関するディベートがありました。須磨久善先生(心臓血管研究所)の司会で小林順二郎先生(国立循環器病センター)がPro、磯村正先生(葉山ハートセンター)がConで面白い議論がなされました。このStichトライアルというのは心筋こうそくなどのために心機能が落ちた患者さんに手術を行うときに、普通の冠動脈バイパス手術だけを行うか、左室を治す左室形成術を加えるべきかということを欧米の多施設でデータを集めて研究されたものです。その結果、左室形成術はメリットがないという結論となり、左室形成術で多数の患者さんを救命した心臓外科医から猛反発を食らっているいわくつきの研究です。

磯村先生はこのStichトライアルでは左室形成術の効果があまりでない軽症の患者さんを多数あつかい、しかも手術前の左室の状態を正確に把握していないこと等を論拠を挙げて説明されました。確かに私たちがこれまで苦労して重症でも救命し、長期生存それも元気に暮らして戴いている患者さんたちよりずっと軽症で、ほとんど左室形成術不要と思えるほどの患者さんをStichトライアルでは扱っているため、このトライアルの変な結論は患者さんにとって迷惑千万と確信しました。小林先生はStichをディベートの中で擁護する役割をたまたま与えられたため、慎重に謙虚に話しするしかなく、ちょっとお気の毒でした。しかしこの結果を真摯に捉えて外科手術をより良くしようというメッセージは立派だったと思います。ともあれこれらの先生方皆さんのご努力で、今後もっと正確で患者さんの実情に合った、患者さんに本当に役立つトライアルをやろうということで多くの先生方は納得されたと思います。

個人的に少しうれしかったのは虚血性僧帽弁閉鎖不全症のディベートセッションでした。京都府立医科大学の夜久均先生と神戸中央市民病院の那須通寛先生がそれぞれ乳頭筋前方移動と二次腱索切断を支持する立場で話しされました。私はこの乳頭筋前方移動を 7年前に開発し6年前から患者さんに役立て、二次腱索切断とセットで使う方法として発表して来ました。最初は難しすぎると言うことであまり相手にされなかっただけに、今、世の中のお役に立てて光栄と思いました。司会の坂田隆造先生(京都大学心臓血管外科教授)もこれに言及戴き、うれしく思いました。(本HPの英語文献187、193、225、236をご参照下さい)。この2つの方法は相反するものではなく、状況によって使い分けたり私の方法のように併用することで患者さんの長期の安定に役立つことをお話しました。

学術集会では最近のトレンドを受けて、カテーテルを用いた大動脈のステントグラフト治療や、今後の大動脈弁置換術などの話題を主に欧米の先生方から報告戴きました。国内では大阪大学心臓血管外科の澤芳樹教授のチームからカテーテル人工弁の報告があり、今後の方向性が示唆されました。心臓血管外科医といえども今後はなるべく患者さんの皮膚を切らずに病気を治せるように、しかしいたずらに美容に走って真の安全性を損ねることのないように皆で検証しながら発展していくことが重要と再認識しました。

それ以外にも面白いトピックスや企画は多々あったのですが、それはまたの機会にご紹介したく思います。会長の大北先生御苦労さまでした。

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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【第九号】 第7回患者さんの会のご案内

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【第九号】
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発行:心臓血管外科情報WEB
http://www.masashikomeda.com
編集・執筆:米田正始
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皆さん、まだまだ寒い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか。

第7回の患者さんの会のお知らせをさせて頂きます。

前回は昨年2009年9月でしたが、その後新型インフルエンザの大流行が予想さ

れ、皆さんに集まって戴くこと自体に慎重になる状況でした。次はいつですか

と患者さんたちから聞かれても答えられない状況でした。幸い今年に入って新

型インフルエンザは下火になって来ましたので、そろそろ次の集まりをと世話

人の方々と相談いたしました。その結果、

日時: 2010年3月7日(日曜日)午後1時ー午後4時

場所:  祇園ホテル (いつものホテルで地下の広間の予定です)

〒605-0074
京都市東山区祇園町南側555番地
TEL : 075-551-2111 FAX : 075-551-2200

ということになりました。お問い合わせは米田心臓外科オフィス(中村、連絡

法は下記を)までどうぞ。

テーマは

1.メタボリック症候群に負けない方法。しっかり食べても安全にやせる、低炭水

化物ダイエット法 についてお話します。糖尿病や高脂血症(コレステロールや

中性脂肪)の改善に役立ち、血圧や心臓にも役立ちます。

2.自由な質疑応答

3.患者さんの声

です。お誘い合わせのうえご参加下さい。この会はもとは米田正始の手術を受

けられた患者さんとご家族の会でしたが、最近はそれらの方々に加えてご友人

や心臓病の方、心臓の健康に関心のある方もご参加戴いています。

会費: 前回と同じ2500円です

なお時間の都合上、ゆっくりとしたご相談はできないかも知れませんが、その

場合はとりあえず概略をお聞きしておいて、その状況に応じて後日機会を

設けたく思います。

患者さんの会の連絡先 米田心臓外科オフィス 秘書 中村由佳
TEL:080-6105-8231(直通)
FAX:075-712-8835
Eメール:nakamura@heart-center.or.jp です。

(このメールマガジンは心臓血管外科情報WEBの中の患者さんの会のコーナー

から一部抜粋、転載いたしました)

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【第八号】寒い日はご用心

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【第八号】
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発行:心臓血管外科情報WEB
http://www.masashikomeda.com
編集・執筆:米田正始
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寒い日が続きます。この寒い季節にはハートセンターのような心臓専門病院は忙しく

なります。つまり寒くなると心臓の調子が悪くなるのです。

たとえば狭心症の患者さんでは寒くなるとそれまで安定していた症状が急に悪化し、

運が悪いと心筋梗塞を起こして緊急入院・緊急治療になることもあります。それは

寒くなることで全身の動脈が縮こまって血圧が急に上がり心臓への負担が急に増え

るからです。また寒さのために心臓に血液を送る冠動脈そのものが縮こまり血液が

流れにくくなることもあります。急な寒さは心臓の大敵なのです。

 

同様に、心不全をお持ちの患者さんでも、寒くなると心臓への負担が急に増え、それ

まで何とか安定していた心不全が一気に悪くなることがあります。弁膜症や心筋症

その他の病気でも同じことが起こりやすいため注意が必要です。

 

昔の人は偉かったと思うことがよくあります。まだ医学も医療も未熟であった時代でも、

心臓の悪い患者さんをみて、この冬を無事に乗り切ってくれれば良いが、などと普段

以上の注意をしたものです。実経験の中には科学が息づいているという一例ですね。

 

また寒くなると肺や気管支などの空気の通り道が寒さのために傷み、肺炎や気管支

炎のもとになります。現代のエアコン社会では暖房のために湿度が下がり、肺や気管

支の表面もカサカサとなって抵抗力は落ちてしまいます。そこへばい菌やウィルスが

つけこむと肺炎や気管支炎になりやすくなります。まして心臓がもともと悪い方の場合

は二重に肺もやられやすくなります。

 

そのため冬にはいつも以上の、ちょっとした気遣いが心臓や肺や体を守ります。たと

えば急に寒いところに行かないように、寒いときはポータブルトイレを寝室に置くとか、

やむなく外へ出るときは軽くウォームアップしてから出るとか、マスクをかけて冷たい

空気をいきなり吸わないとか、エアコンをつけるときは加湿器も使うなどですね。それ

らのケアに加えて、必要なときにはお薬を出してもらえば、効き目も上がるというもの

です。

 

そして心配なときは気軽に相談できるようなかかりつけの先生をもっておくというのも

有効です。私は自分が手術させて戴いた患者さんに、何か起こればいつでも病院

まで連絡して下さいとお伝えしています。そのおかげで寒い季節でも安全に回復され

たことは何度もあります。近くの患者さんでしたら直接病院へ来ていただき、関西、

首都圏や九州その他遠方の方はその地域の先生にこちらからもお願いして早期発見

・早期治療できるようにしています。

寒い季節を楽しく安全安心で過ごしましょう!

(註:この記事は私のホームページにある心臓外科医の日記ブログから一部抜粋、転載い
たしました。日記ブログの方もご覧下さい)

2010年1月6日

名古屋ハートセンター心臓血管外科
米田正始 拝

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第7回患者さんの会のお知らせ

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皆さん、まだまだ寒い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか。

冬、とくに寒い時期には心臓病の患者さんが体調をくずして入院されることがちょくちょくあります。多くの場合、入院するだけでまもなく回復し元気に退院して行かれますが、そこにいくつかの体調管理ポイントを実感します。これはあらためてお話するとして、このページでは第7回の患者さんの会のお知らせをさせて頂きます。

前回は昨年2009年9月でしたが、その後新型インフルエンザの大流行が予想され、皆さんに集まって戴くこと自体に慎重になる状況でした。次はいつですかと患者さんたちから聞かれても答えられない状況でした。幸い今年に入って新型インフルエンザは下火になって来ましたので、そろそろ次の集まりをと世話人の方々と相談いたしました。その結果、

日時: 2010年3月7日(日曜日)午後1時ー午後4時祇園ホテル地図

場所: 祇園ホテル (いつものホテルで地下の広間の予定です)

〒605-0074
京都市東山区祇園町南側555番地
TEL : 075-551-2111 FAX : 075-551-2200

ということになりました。お問い合わせは米田心臓外科オフィス(中村、連絡法は下記を)までどうぞ。

テーマは

1.メタボリック症候群に負けない方法。しっかり食べても安全にやせる、ローカーボ・ダイエットつまり低炭水化物ダイエット法 について米田正始がお話します。糖尿病や高脂血症(コレステロールや中性脂肪)の改善に役立ち、血圧や心臓にも役立ちます。

2.自由な質疑応答

3.患者さんの声

です。お誘い合わせのうえご参加下さい。この会はもとは米田正始の手術を受けられた患者さんとご家族の会でしたが、最近はそれらの方々に加えてご友人や心臓病の方、心臓の健康に関心のある方もご参加戴いています。

会費: 前回と同じ2500円です

 

なお時間の都合上、ゆっくりとしたご相談はできないかも知れませんが、その場合はとりあえず大づかみにお聞きしておいて、その状況に応じて後日機会を設けたく思います。

 

患者さんの会の連絡先 米田心臓外科オフィス 秘書 中村由佳

 TEL:080-6105-8231(直通)
FAX:075-712-8835
Eメール:nakamura@heart-center.or.jp です。

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2010年1月30日 CCT Surgical に参加して

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(本日のブログはやや専門的と言いますかやや医療者向けです。一般の皆さま、お許しを)

CCT学会(Complex Cardiovascular Therapeutics 複雑な心臓血管病治療学会)の今年の総会が神戸の国際展示場で行われ、世話人ということもあり、参加して来ました。

この学会はもともとカテーテル治療の先生方がライブ治療を軸としてスタートされたCCICという学会が発展して現在の国際的学会になったもので、比較的早い時期から心臓外科部門も発足し共に進んで来ました。

私たちの心臓外科部門はCCT Surgical と呼ばれて、一部門を担っています。例年ライブ手術を数例行い、多くの質問やコメントなどでディスカッションし、実地即応の勉強ができると好評です。

3次元放映システムを説明する中村康則さん(FAシステムエンジニアリング社)一日目(昨日)は手術に工夫を要する弁や冠動脈・大動脈などの石灰化病変に対してビデオで好手術を供覧して戴き、多くの先生方に良い勉強になったと言って頂きました。

ビデオ講演をして下さった天野篤先生(順天堂大学教授)、岡田行功先生(神戸市立医療センター中央市民病院)、高梨秀一郎先生(榊原記念病院)、大川育秀先生(豊橋ハートセンター)に深く感謝申し上げます。

午後のチャレンジャーズライブでは最終選考に残った4名の若いサムライ達が腕を競いました。皆立派でした。南淵明宏先生(大和成和病院)と私、米田正始で座長をやらせて戴きましたが、私たちベテランにとっても良い刺激を戴き、勉強になったと思います。

さて本日、2日目のライブにつきまして、今年は新しいテクノロジーである3次元放映をもちいた初めてのライブ手術を行いました。画像の美しさと立体感については前もって実験していましたので自信がありましたが、どの程度の教育効果がありどのくらい受け容れて頂けるかは不明でした。

今回は新しい方式でお金もかかるため、いつもの2元中継から1元(大和成和病院)に集中し、2例のみの放映としました。その分をじっくりと議論しようというわけです。三次元放映中の手術室風景

ライブ手術の1例目は慢性腎不全・血液透析の患者さんに対するオフポンプ冠動脈バイパス手術で大和成和病院・奥山浩先生の執刀でした。

バイパスに使う左内胸動脈グラフトを剥離するところから皆でしっかり見て議論し、さまざまなコメントや質問も頂きました。

座長の渡辺剛先生(金沢大学教授)がロボット手術の経験から3次元カメラに詳しいため、今回の3次元放映システムに役立つ貴重なご意見を頂きました。

 

もう一人の座長である荒井裕国先生(東京医科歯科大学教授)は心臓手術用デバイスを発明し商品化する経験が豊富なため、物作りの観点からもご意見を頂きました。

機械好きな横山斉先生(福島県立医科大学教授)や山崎文郎先生(静岡市立病院)、藤松利浩先生(相澤病院)、道井洋史先生(北海道大野病院)はじめコメンテーターの先生方からも良いコメントを多数頂きました。2本のバイパスがきれいに付き、手術はスムースに完了しました。
特殊メガネをつけて3次元ライブに見入る先生方

ライブ手術の2例目は感染性心内膜炎(略称IE)に対する僧帽弁形成術、大和成和病院・倉田篤先生の執刀でした。

僧帽弁形成術では通常以上に術野の展開(手術部位を良く見えるようにすることです)が大切であるため、3次元画像を見ながら内容ある議論ができました。

僧帽弁そのものは感染部位に穴があき、そこから血液が逆流するタイプで、その部を直接閉鎖して、リングを縫いつけて弁輪を適正化して完成しました。

座長の浅井徹先生(滋賀大学教授)と私、米田正始のどちらもこうした手術を多数手がけているためちょっとしゃべりすぎたきらいはありましたが、コメンテーターの先生方も前向きに意見を出して戴き、良い内容となりうれしく思いました。

新東京病院の山口裕己先生からは新しいリングの解説を、樋上哲哉先生(札幌医科大学教授)には逆行性心筋保護の工夫などもコメントを戴き、盛り上げて頂きました。

伊藤敏明先生(名古屋第一日赤)、小宮達彦先生(倉敷中央病院)、入江博之先生(近森病院)はじめコメンテーターの先生に大変お世話になりました。コメンテーターの先生方.特殊メガネのためか怖く見えます


3次元放映ライブは鮮明な画像が立体的に見え、教育効果が高いという印象を得ました。

遠近感がやや誇張される 傾向がありましたが、これは調整すれば良いものと思います。

普通の二次元放映より少し目が疲れるかも知れませんが、それだけ得られる情報は多いとも言え、勉強には有用なツールと思います。

若い先生からは今後こうした方法で外科教育ビデオなども作ってほしいというご希望もあり、発展性を感じました。

 

今年もCCT Surgicalは盛会の中で内容ある勉強と交流の場を提供できたことをうれしく思います。当番世話人の大川育秀先生、お疲れ様でした。

 

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2010年1月25日 地震と心臓

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阪神大震災の惨状 阪神大震災から15年が経ちました(写真左)。最近はハイチの地震で何十万人の被害者がでています(写真最下段)。地震は本当にやっかいなものです。一日も早く予知ができるようになればと思います。

地震の原因はよくメディアでも報道されています。地球のマントル対流のためにプレートが移動し、そのプレート同士の接点のところでひずみが蓄積されそれが何かのきっかけで一気に取れるとき、振動が起こって周囲が揺れるのです。そのプレートの動きが心臓の心室心筋の動きに似ていて、解決のための何かのヒントにならないものかと思うことがあります。

心臓の中で全身ポンプの役割を果たす左心室は何層にも心筋(心臓の筋肉なので心筋と呼びます)が折り重なり、ベストの動きができるようになっています。地球で言えば多数のプレートがお互いになじみ、きれいにすべりながら動いているのです。すべりながら動くお蔭で心筋へのストレスが分散され安全に仕事ができるというわけです。もっとも心臓自体はよく動きますので、ミクロの地震をいつも起こしているとも言えるのかも知れませんが。

心臓のプレートがずれて行くために左心室のねじれ運動や血液を送り出している最中の壁のねじれ運動とバチスタ 肥厚(収縮期肥厚)がスムースに行われます。写真右はバチスタ手術の最中の心臓とねじれ運動(矢印)を示します。心筋梗塞のあとや心移植後の拒絶反応のときにはこのねじれ運動が障害されたりパタンが変わったりします。心筋梗塞でやられた部位とねじれ運動の変化が起こる部位が必ずしも同じでないところに絶妙の構造がうかがえます。

つまり心臓全体のバランスの中で局所の動きが成り立っているということです。ねじれ運動や収縮期肥厚のおかげであまりエネルギーを使わずに左心室は血液を全身に送りだせるのです。おもえば地球もひずみの蓄積が地震で取りはらわれなければ地球そのものが壊れてしまうのかも知れません。

ハイチ地震 mirror.co.ukより だからと言って地震をそのまま容認するわけにはいきませんので、やはりエネルギーの蓄積とその放出(つまり地震)の関係やタイミングを正確に測定・予知できることが大切と思います。どういう所見が出てくればまもなくプレート境界部でエネルギー放出が起こるのか、ということですね。

逆に、地震の予知ができる技術が進歩すれば、心臓のエネルギー効率もより改善でき、心不全などの治療にも役立つようになる、などと考えるのは心不全や心臓病の治療に命をかけて来たものの性癖とでも言えるのでしょうか。ともあれ地震の被災者の方々のご冥福や一日も早いご回復を祈らずにはおれません。

 

2010年1月25日 米田正始

 

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14) 三心房心 【2025年最新版】

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最終更新日 2025年9月17日

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◆ 三心房心とは?

三心房心の一例です。これに心房中隔欠損症その他が合併することもよくあります通常、心臓の心房は 右房と左房の2つ ですが、まれに異常な壁(隔壁)が生じて、心房が3つに分かれてしまう先天性心疾患三心房心(Triatrial heart) と呼びます。

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  • 多くの場合は 左房が2つに分かれるタイプ(Lucas-Schmidt IA型)

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  • 異常な隔壁に小さな穴があり、その穴を通じて血液が本来の左房へ流れ込みます

比較的まれな病気ですが、成人になってから診断されるケースも少なくありません。

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◆ 三心房心の症状Ilm09_ad10002-s

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三心房心は、血液がスムーズに左室へ流れにくくなるため、僧帽弁狭窄症に似た症状 を示します。

心房細動になると、左房内に血栓ができやすくなり、脳梗塞(脳卒中) を引き起こす危険もあります。

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◆ 三心房心に合併しや図1ASD日本語すい病気

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三心房心は単独で存在することもありますが、他の先天性心疾患を合併することが多い のが特徴です。

特に、異常に分かれた左房側に ASDがあると右房への血流が過剰 になり、より重症化します。
また、肺静脈の一部が右房や大静脈へ流れ込むPAPVR を合併する場合もあり、肺循環に大きな負担がかかります。

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◆ 三心房心の治療法

薬による治療が安全上良くない場合は手術が選択肢になります.

症状が軽ければ内科的治療(薬による管理)で経過をみることもあります。
しかし、多くの場合は 根治的な外科手術が必要 です。

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外科手術の基本

  • 異常な隔壁を切除し、肺静脈からの血流を正常な左房〜左室へスムーズに導く

  • 心房細動がある場合は メイズ手術 を併用して不整脈を治療

  • 血栓による脳梗塞リスクを減らし、可能であれば ワーファリン不要(ワーファリンフリー) を目指す

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Haru_0186◆ 私たちの手術の工夫

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福田総合病院 心臓血管外科では、三心房心に対して以下の工夫を行っています。

  • 長期心房細動への実績あるメイズ手術 を併用
     → 20年以上続いた心房細動でも洞調律を回復させた経験あり

  • 低侵襲心臓手術(MICS) に対応
     → 小さな切開で傷跡も目立たず、術後の回復が早い

  • 成人先天性心疾患チームで治療
     → 小児心臓外科の専門医とも連携し、こどもと大人両方の視点で安全な手術を実施

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◆ まとめ

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  • 三心房心はまれな先天性心疾患 で、多くは左房が2つに分かれるタイプ

  • 症状は 僧帽弁狭窄症に類似し、息切れや動悸、不整脈 が特徴

  • 心房中隔欠損症や部分肺静脈還流異常を合併しやすい

  • 根治には外科手術が必要で、隔壁切除+メイズ手術+低侵襲アプローチ が有効

  • 成人先天性心疾患に精通した専門チームによる診療が重要

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6. 先天性心疾患へもどる

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大動脈―大腿動脈バイパス手術 (Aorto-Femoralバイパス術):最強の治療法?

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大動脈ー大腿動脈バイパス(青い矢印の部分が人工血管となります) 下肢の動脈硬化、血管閉塞に対する治療法のなかで、

大動脈ー大腿動脈バイパス手術(略称 Aorto-Femoralバイパス手術)は腸骨動脈などに長い区間の閉塞や狭窄がある場合行われます。

 

この大動脈-大腿動脈バイパス手術では、開腹(お腹を開けることです)する必要がありますので、

全身麻酔が必要なしっかりした手術にはなりますが、

安全性は極めて高く、手術操作を加える部位でのリスクは低いです。

また血液も自然な方向に流れますから長期間の安定性に優れます。

 

手術は全身麻酔のもとでお腹を開け、

腹部大動脈に人工血管(通常ダクロン製)を縫いつけ、それをお腹の中から下肢の付け根付近に通して、

そこにある大腿動脈に縫いつけます

(上図の青線の部分が人工血管です)。

 

腸骨動脈等が短い部位の閉塞であればカテーテル治療(PTAまたはPPI)がまず試みられますが、

動脈の閉塞部位が長いとか、血管壁の状態が悪ければ

外科手術が優れているという報告が多いです。

 

大動脈‐大腿動脈バイパスは長期成績良好ですが、

手術を乗り切るためにはある程度の体その患者さんの体力や状態や必要度に応じて治療法を選ぶのが良いです 力が必要です。

手術前に危篤状態とか超高齢者で歩くこともできないなどの状態では

別の手術法(多少効率は落ちても体への負担が少ない方法)やPTA、PPIなどを考えるのが有利です。

 

たとえば腋窩動脈から体の側面の皮下を通して大腿動脈までバイパスをつける腋窩動脈‐大腿動脈バイパス手術(Axillo-Femoralバイパス手術)とか、

腸骨動脈の閉塞が片側なら、良いほうの大腿動脈から血液をもらってくる大腿動脈‐大腿動脈バイパス手術(FFバイパス手術)などが

次善の策とは言え安全を考慮した現実的良策として選ばれることがあります。

 

そのあたりの判断は患者さんの状態を見ながらご家族を含めたチームで十分相談の上、決定することが大切です。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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大腿動脈―大腿動脈バイパス術 (F-Fバイパス術): 幅広い応用が【2025年最新版】

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最終更新日 2025年 9月17日

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◆ 大腿動脈バイパス術(F-Fバイパス術)とは?

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FFバイパス

大腿動脈―大腿動脈バイパス術(Femoro-Femoral Bypass:F-Fバイパス術) は、
片側の大腿動脈(外腸骨動脈)が閉塞して血流が遮断されたときに、
もう一方の健常な大腿動脈から血液を「借りて」流すことで下肢の血流を改善する手術です。

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  • 人工血管(ゴアテックスなど)を使用

  • お腹を大きく開けず、左右の下腹部に小切開を加えてバイパスを作成

  • 全身への負担が少なく、高齢者や合併症のある患者さんでも比較的安全に施行可能

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◆ 他の治療との違い・使い分け

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下肢の血流障害(閉塞性動脈硬化症など)に対する治療には以下の方法があります。

  1. カテーテル治療(PTA・ステント留置術)
     動脈の狭窄が軽度の場合に有効。

  2. 腹部大動脈から下肢への人工血管バイパス
     重症例に理想的だが、体力的に負担が大きい。

  3. F-Fバイパス術
     お腹を開けずに済むため、
     体力の低下している患者さんや心臓・肺に持病がある方 にも選択可能。

つまり、F-Fバイパス術は 「低侵襲で安全性が高い選択肢」 といえます。

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◆ F-Fバイパス術の特徴とメリット

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  • 小切開で可能 → 開腹手術を避けられる

  • 術後回復が早い → 手術直後から食事が可能、社会復帰もスムーズFFバイパスで術後まもなく食事も再開でき早く回復します

  • 心臓・肺への負担が少ない → 心不全や呼吸器疾患のある方にも有利

  • 既往手術がある方にも適応 → 腹部の手術歴があっても実施できるケースが多い

  • 麻酔法が選べる → 全身麻酔が難しい場合、脊椎麻酔や局所麻酔で対応可能

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◆ F-Fバイパス術+他治療の併用(ハイブリッド治療)

FFバイパス+FPバイパス

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  • 足の末梢側にさらに狭窄・閉塞がある場合
     → F-Fバイパス+FPバイパスF-Fバイパス+カテーテル治療 を組み合わせる

  • 動脈硬化が多発しているケース
     → 複数の血行再建法を併用 し、全体の血流改善を図る

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このように、F-Fバイパス術は単独でも有効ですが、他の治療と組み合わせることで効果を最大化できる柔軟な手術法 です。

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◆ まとめ:大腿動脈バイパス術(F-Fバイパス)は「体に優しい血流改善手術」

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大腿動脈―大腿動脈バイパス術は、

  • お腹を開けずにできる低侵襲手術

  • 高齢者や心肺機能が低下した患者さんにも適応可能

  • カテーテル治療や他のバイパス術との併用も可能

という特徴を持ちます。

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下肢の血流障害(閉塞性動脈硬化症など)で歩行障害や安静時の痛みにお悩みの方 は、
F-Fバイパス術を含む最適な治療選択についてぜひご相談ください。

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2010年1月18日 初煎会にて

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この17日に京都で初煎会に行ってきました(関係の皆さま、ご招待ありがとうございます)。煎茶の初釜の会方円流です で、煎茶道方円流の水口豊園家元の主催で(写真右)、京都らしい雰囲気でした。

高台寺はじめいくつかの有名なお寺の高僧や山田京都府知事さんはじめ地元関係の政治家も参加され、伝統文化の行事と選挙の年が合わさった雰囲気も感じられました。しかしお茶というのはおごそかな心地良い緊張感とともにどこかなごむところもあり、和気藹々とした雰囲気で会は進められました。

高僧のお話で、お茶を単なる飲み物から精神文化へと発展させたのは東洋のユニークな努力の結晶とのことで、確かに単なる飲み物や楽しみとはずいぶん違う、文化の香りをあらためて感じます。あの秀吉はじめ戦国武将らもそれにはまってしまう魅力が現代にも通用するのはうなづけることです。

今回は台湾の煎茶の会の人たちが数名参加され、お茶を入れて下さいました(写真下)。台湾でもお茶は人気があるそうで、来年は国際交流の会が台湾で催されるとのこと、良いことですね。

私は講演や学会で台湾へは2回ほどお邪魔させて頂いたことがあります。何となくその場の空気が暖かい、台湾は亜熱帯だからというだけでなく、日本が好きという空気を感じます。そこで何人かの若者台湾の煎茶の人たちがお茶を入れて下さいましたに聞いてみました。君らはお金を貯めて何につかいたいの?すると彼ら(彼女ら)は異口同音に「日本に遊びに行きたい」と。うれしい一瞬でした。

さらに案内の方が、あそこに見えるクラシックな建物は昔日本が私たちのために建ててくれた病院です。今も大切に保存しています、と。日本はアジアでかなり悪さをしていたと恐縮していた私には驚きで、昔の日本も国によっては愛されることもしていたのだとうれしくなりました。中国大陸や朝鮮半島でも同様にしておけば良かったのにとふと思うのは私だけではないようです。

話が脱線しましたが、煎茶の会はお抹茶の会よりもややカジュアルな雰囲気があり、こうした会も文化とコミュニケーションの場として貴重と思いました。せっかくですので、来賓の中で将来の日本の政治を担ってくれそうな若手政治家に医療崩壊の現場のお話をちらっとさせて頂き、国民は医療の回復を切望していますとご説明したところ、積極的なご意見を戴き、ちょっと報われたような気になりました。僭越ながら例のお話、毎年2200億円の医療費等を5年間も削られたそのダメージの大きさもあらためてお伝えしてしまいました。

お茶はからだに良いというのは広く知られていますが、具体的にどのように良いか、意外に皆さんご存じありません。私はかつて京都大学で緑茶ポリフェノールが心臓の手術や治療に役立つことを動物実験で証明し、アメリカ等で発表したことがあります。昔の人たちは科学的証明手段は持たずとも、経験や直感でそれを知っておられたのは見事と思います。

楽しい文化的雰囲気の中で飲むお茶の味はまた格別という気持ちにさせてくれた一日でした(お世話して下さった松岡さんに感謝!)。

 

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