お便り65: ポートアクセス法による僧帽弁形成術で元気になられた患者さん

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僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術はポートアクセスなどのミックス法の出現でますます進化をとげています。

患者さんは30代前半の男性です。兵庫県の遠方からお越し下さいました。

魚心あれば水心という心境で私の方も思わず力が入りました。ilm23_ee01001-s

以前から僧帽弁閉鎖不全症をかかりつけの先生に言われていたそうですが、良い治療法の出現をまっていたそうです。

弁は前尖と交連部つまり弁のヒンジの部分が壊れている、世間的にいえばやや複雑な形成でしたが、私たちにはよくあるタイプですので、いつもどおりポートアクセス法で僧帽弁形成術を行いました。

ゴアテックスの糸を4本つけて人工腱索とし、さらに交連部を微調整し、リングで仕上げて逆流はきれいに消えました。

小さい創で痛みもすくなく、外から創はほとんど見えないという、長年望んでおられた治療法で良い結果がえられ、よろこんで頂けました。

以下はその患者さんからのお便りです。

 

******** 患者さんからのお便り *********


メールにて失礼いたします。

米田正始先生、このたびは本当にありがとうございました。

8月5日に退院させて頂きました****です。

退院日が日曜日でしたので、米田先生へお礼の挨拶もできず、大変失礼いたしました。

名古屋ハートセンターにて先生の手術を受けることができ、本当に良かったです。

2年前に心臓の病気が見つかってからというもの、常に、手術になったらどうしよう、手術がうまくいかなければどうしようと、

気が休まる日は無かったです、他の病院で手術が必要だといわれてからも、自分が納得できておらず、

このまま手術を受けていいのかと、悩んだり迷ったり、精神衛生上も非常に良くない日々を送っておりました、

心臓の手術はそうそうあることではないので、多少場所が遠くても自分で納得できる病院、先生を探そうと思い色々と調べ始め、

そんな時インターネットで米田先生のブログを拝見し、

米田先生は他の病院で弁形成術を行ったが調子が悪くなった患者さんの

再形成手術等もされているという情報を見つけ、名古屋ハートセンターを訪れました。

先生の診察を受け、やはり手術が必要となりましたが、先生は患者が不安にならないよう、丁寧に納得いくまで説明してくださり、

また、手術まで何度も何度も名古屋まで足を運ぶのだろうなと思っていたのですが、

遠方からの患者ということで、手術に必要な検査をまとめてやってくださったり、患者の負担を減らすように心がけてくださり、手術の日まで、たいした不安も無くすごせました。

本当にありがとうございました、感謝しても仕切れません。

今は自宅にて療養とリハビリの最中です、早く健康な体になれるようがんばっていきます。

先生は多忙な毎日だとは思いますが、なにとぞお体大切になさって下さい。

それでは失礼いたします。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り64: 重症連合弁膜症を乗り越えられた患者さん

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Ilm23_hg01001-s患者さんは60代の男性で、僧帽弁狭窄症と閉鎖不全症、と三尖弁閉鎖不全症、巨大左房と心房細動などの病気のため九州から来院されました。

一般には僧帽弁形成術は難しいと言われている状態ですが私たちは弁形成術にちからを入れているため、まずトライしました。僧帽弁後尖を自己心膜で形成し逆流はかなり軽減しましたが、前尖も同様に自己心膜で形成する必要があり、それでは長期的な懸念があるため、安全を期して生体弁で置換しました。

さらに心房縮小メイズ手術と三尖弁形成術も行い、患者さんは心不全も軽快し心房細動も取れて元気になられました。

遠方の方ですが、定期的に名古屋まで元気にお越しくださっています。

その患者さんのご家族からのお便りです。褒めすぎでお恥ずかしいのですが、お気持ちだけ頂いきました。

*************患者さんのご家族からのお便りです********

鹿児島より米田先生に手術をお願いしましたSの娘です。

米田先生へのお礼をそしていかに素晴らしいドクターかということをどのサイトにコメントを残せばい いか迷い、早くも1年たってしまいました。お許し下さい。

父が鹿児島で緊急入院を余儀なくされ納得のいかないドクターの対応にみかねどうせ受けるなら信用 のあるそして父の満足のいくドクターにお願いしたい一心でインターネットを開きゴッドハンド・米田先生を見つけました。

頑固な父に隠れて調べていき米田先 生に直接メールを送らせていただける当サイトを見つけメールさせていただきました。

5分もしないうちに米田先生自らお電話をいただいた時は、驚きと感動を おぼえ涙が溢れてきました。

お話をしていく中でドクターとしてではなく人間として本当に優しさと思いやりのある方だなと強く思い、患者を〝もの〟ではなく 〝人間〟としていかに助けられるか患者にとってベストに近い状態を真剣に考えて下さるお話を聞き、先生こそ父をお願いしたいドクターだ絶対父をお願いしようと強く思いました。

米田先生でだめだったらどの先生で受けてもだめだと思ったほどです。

米田先生をはじめチームの先生方、他の病院にない患者に対する愛情といかに良くしてあげようかという心から努力してくださる姿には本当に驚かされました。

心より感謝いたします。

どの病院ドクターを選ぶのかは患者の責任だと今回父の手術を通して思いました。

今月父は一人で病院へ向かいます。

毎朝散歩をし見た目も変わり健康そのものです。

1年はあっという間でしたが1年記 念をもうすぐ迎える今日、米田ドクターに巡り合えチームの先生に支えられ安心して毎日を送っている両親を目の当たりにし改めて幸せを感じます。

米田先生、 チームの先生方本当にありがとうございました。先生方のようなドクターが日本にもっと増えてくれることを日々祈ります。

諦めなくて良かったです。

これから もし家族に何が起ころうとも先生のようなドクターを探し100%信頼してお願いできるまで諦めないつもりです。

米田先生父を救っていただき本当にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。

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お便り63: ポートアクセスの複雑僧帽弁形成術を受けられた患者さん

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僧帽弁形成術は年々進化をとげ、かつては弁形成できなかった複雑な僧帽弁閉鎖不全症(つまり逆流)が弁形成できるようになり、近年はそれがポートアクセスによって小さい創で、骨を切ることもなく、安全に手術できるようになりました。

Hana_14ちなみにポートアクセスとはミックスという小さい創で行う心臓手術の代表的なもので図のように小さい創ごしに心臓にアプローチして治す方法です。

ポートアクセス法では狭い視野で確実な手術をすべく、日々さまざまな検討を行い、国内はもとより海外の仲間とも情報交換し、技を磨き続けることに支えられています。

こうした心臓手術は熟練した心臓外科医とそのチームによってこそ行えるもので、医師はもちろん看護師、ME、検査技師はじめハートチームが一丸となって精進しています。

以下のお手紙はそのポートアクセスによる複雑弁形成を受けられた患者さんからの礼状です。

少々遠方の岐阜県からお越し下さいました。

内容はほめ過ぎで、お恥ずかしいのですが、これほど喜んで頂けたことをうれしく思っています。

バーロー症候群という、僧帽弁形成術がやりにくい病気をお持ちでしたが、逆流も取れ順調に経過し、お元気にしておられます。

ポートアクセスの利点で、痛みも少なくすぐ活発な生活を回復されました。

創はさすがに小さく、女性のため乳腺に隠れて見えません。

だれでも心臓手術を受けるというのは勇気がいるものです。そこで私たちを信じて手術を決断して下さった勇気にあらためて敬意を表するものです。

 

*********** 患者さんからのお便り **************


庭のあじさいが、いっそう色濃さを増し、くちなしの白い花も、甘く香る今日この頃でございます。

安田嘉子さんお手紙その節、米田先生には、大変お世話になり、本当に、ありがとうございました。

手術から、もう三ヶ月が過ぎ、順調に回復し、改めて、厚くお礼申し上げます。

先生のような名医に、手術して頂けるなんて、最初は、とても無理なことと思っておりましたのに、こうして、お世話になれて、私は幸せ者でございます。

入院中、同室の方々も遠方から先生を、たよっていらしている方々ばかりで、改めて、先生のすばらしさ、偉大さを、実感致したことでございます。

特に、****さんとは、親しくお話しさせて頂き、先生の手術の腕ばかりでなく、人間性のすばらしさをお聞きし、その様な先生にお世話になれたことを、家族一同、大変よろこんだことでございます。

その後、主人の入院・手術等が続き、大変遅くなり、失礼してしまいましたが、本日、おはずかしいような物ですが、お礼の気持ちの一部をお送りさせて頂きましたので、ご笑納下さいませ。

本当に、本当にありがとうございました。

今後も、先生の益々のご活躍を。お祈り申し上げております。

かしこ

六月二十七日

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お便り62: ミックスの僧帽弁形成術と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん

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患者さんは医師に向かってまだまだ意見を言えないものです。

そのため不本意な病院の不本意な状況で心臓手術を受けてから後悔しておられるケースも少なくありません。

Ilm10_df01001-s下記の患者さんは勇気を出してご自分が納得する病院でご自分の希望する医師に相談して健康を勝ち取られました。

もともと入院していた病院では僧帽弁形成術そのものができないかも知れない、しかもバーロー症候群に対する複雑弁形成で、心房細動のためメイズ手術もひつようですから余計に難しい。ましてミックスつまり小さい創できれいに治す手術などありえない、しかも冠動脈バイパス手術というおまけまでついた大きな手術など、という状態でした。

しかし一本のメールですぐ緊密な相談がはじまり、まもなく一回の外来で精密検査ののち方針決定しました。

大きな悩み・複雑な手術もまずは相談からです。あたって砕けろの精神で、一生にたぶん1度かそこらしかない大きな手術には十分聴き調べ考えて、ご自身で最終決定することが勧められます。

そこで遠慮は要りません。何でも聴いて真剣に考えることが一番です。

そのお手伝いをしっかりやるのが私たちの仕事です。

 

******** 患者さんからのお便り ********

前略

米田先生はじめ、名古屋ハートセンター心臓血管外科の先生方には大変お世話になりました。おけがさまで手術後は順調に回復しています。

 

お手紙封筒

頂いたお手紙はワープロ印刷でしたので、手書きの封筒宛名をお示しします

事の起こりは昨年の10月、不整脈で脳貧血状態になったことからでした。

 

救急車で***病院に運ばれ検査を受けた折、心臓の弁に異常があり、血液が逆流していると診断されました。

 

昔から不整脈があり、10年前にカテーテル治療を受けた経験がありましたが、その後の検査や健康診断でも弁や他の血管に異常があるとは診断されたことがなく、まさに寝耳に水でした。

その後3ヵ月間経過観察があり今年の1月に診察を受けると、弁の閉鎖不全が特殊な状態で、手術をする場合弁形成ではなく弁置換になるかもと診断されました。

あわててインターネットで色々調べた結果、米田先生のホームページにたどり着き、名古屋ハートセンターに連絡をとりました。

紹介状など何もない状態の全く飛び込みの電話だったのですが、すぐにコーディネーターの方が対応して下さり、米田先生の診察日に予約が取れました。

 

診察をしていただくと、すぐに血液検査、心エコー、心電図、レントゲン、CTの検査をしてもらい、その日のうちに結果と状態を説明していただきました。

先生の診断は「あなたの弁の状態はバーロー症候群と呼ばれる病気で弁形成は難しいですが大丈夫、できますよ。」と力強くおっしゃっていただけました。

その場で私と同じような症例の患者さんの術前と術後の心エコーを見せていただき、術式を丁寧に説明していただきました。

先生の言葉と、数々の症例や手術の回数などからここで先生にお任せしようと思い、手術日まで決めて自宅に帰りました。

 

3月2日に入院し、手術前のカテーテル検査で冠動脈が1本完全に詰まっていることが判明し、弁形成の手術に冠動脈バイパス手術が追加されました。

ちょうど天皇陛下のバイパス手術のニュースが流れていた時期でもあり、自分もそんな大変な手術をするのと少し不安になりましたが、逆に早く見つかって良かったと思いなおし、この際心臓の悪いところはすべて治してもらおうと腹を決め、手術の説明を聞きました。

入院後は手術日の5日まで毎日、米田先生はじめ北村先生、深谷先生、小山先生が回診以外にも病室に来て下さって色々話していただけたので患者にとっては心強く感じました。

病気の内容が心臓なので、命を預ける患者にとって、医師との信頼関係はとても大切だと思います。

その点先生方はこちらが納得いくまで、色々詳しく説明していただけたので安心してお任せすることができました。

 

3月5日の手術日は弁形成とバイパス手術に不整脈のメイズ手術もお願いしたので合計9時間も手術室にいました。

待っている家族には大変心配をかけましたが、術後すぐに米田先生が手術の状況と結果を詳しく説明していただけたのでみんな安心していました。

 

術後は順調で傷が痛むくらいで、心臓以外は全く元気だったので、10日後の15日に退院するまで看護師の方々に色々わがままを言って困らせてしまい申し訳ありませんでした。

退院後は心房細動で2度ほど点滴を打ってもらいに行きましたが、今は薬をもらって不整脈もだいぶ落ち着いてきました。

 

まだまだ傷の痛みはありますが3月末から職場に復帰し、普通に仕事をしています。

あまりに前と変わらないので、心臓の手術をしたことをまわりの人たちが忘れてしまっているようで、何の配慮もないのがちょっと残念です。

それだけ医学の進歩がすごいのと、手術が素晴らしかったのだと思っています。

 

正直なところ、手術前は、たまに不整脈があったり、動悸がするくらいで特別苦しい症状があるわけでは無かったので、****病院では症状が出て苦しくなるまで薬で抑える方法も提案されましたが、思い切って名古屋ハートセンターに電話して相談して良かったと思います。

米田先生はじめ、北村先生、深谷先生、小山先生、看護師のみなさんには本当にお世話になりました。

ありがとうございました。

 

最後になりましたが、先生方、看護師のみなさん、これからも体に気をつけて多くの患者さんのために頑張ってください。

名古屋ハートセンターがあるというだけで我々患者はとても心強く感じます。

これからも何かあったら、いや、無くても顔を出そうかと思います。

その時はよろしくお願いします。

草々

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お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん

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デービッド手術は現在も大きな心臓手術のひとつで、心臓外科の豊かな経験を必要とする領域のひとつです。

Mie ilm23_ea01001-sこの手術は患者さんご自身の大動脈弁を温存し、必要に応じて手直しつまり弁形成して、その外側を人工血管で守るという、繊細なデザインと手技を必要とします。

そのため豊富な経験が必要で、手慣れている施設が少ないのです。

とくにこのデービッド手術をミックス(MICS)つまり小切開低侵襲手術で小さい創で行うにはさらに経験や技術が求められます。

以下の患者さんは、こうした手術をもとめてやや遠方からお越し下さいました。

もとの病院ではセカンドオピニオンの依頼状さえ当初は拒否されるという厳しい状況の中を勇気を出してご自分の信念を貫かれました。

なんとなくその場の流れに負けてしまうと、機械弁をもちいたベントール手術になりかねない、それもあまり熟練しないチームで、実績のない中での手術という現実を見抜いてのことでした。

現代は、医師や病院を選ぶのは患者さんの権利です。

じっくり考え、多角的に意見をもとめたり情報を集めてから心臓手術を受けるというのはごく普通のことなのです。

それを否定するような医師や病院は考え方の根本から間違っていると申せましょう。

 

お手紙は当院のご意見箱に記名入りで入れて下さいました。

 

**********患者さんのご家族からのお便り********

PtLetter61他の病院でセカンドオピニオンを拒否され、家族は途方にくれ頭の中は真っ白になり、ネットで調べていた名古屋ハートセンターにメールをしました。

メールの返事もすぐに頂き、早い対応をして頂き、大手術となり、術後も回復よく元気にして頂きました。

ハートセンター心臓血管外科は国内、世界にもない最高の医療だと思います。

全国でも心臓疾患に悩みの方、ぜひハートセンター心臓血管外科にご相談され検査される事をお勧めします。

私たち家族に命を頂き、感動と感謝でいっぱいです。

米田先生、北村先生、深谷先生、小山先生、お世話になった全スタッフの皆様ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

平成24年5月7日

三重県********

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お便り60: ベントール手術後10年の患者さんから

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患者さんとの信頼関係、人間関係は時間が経っても、というより時間とともに深まるような気がします。

Bentall surgery京大病院にいたころに手術させて頂いた患者さんたちとの交流もそうした雰囲気のなかで大切にしています。(患者さんの会のページをご参照ください)

下記のお手紙は、10年まえに、ベントール手術(右図)というやや大きな心臓手術のために四国からお越し下さった患者さんのご家族からの礼状です。

当時としては比較的新しい、ステントレス弁という高性能の弁をもちいてミニルート法という方法で手術を行いました。そうしておけば、将来弁が壊れてもしもの再手術になったとしても、その手術がより簡単により安全になるという考えによるものです。

Hana_5その患者さんのご主人様も、その後、同じ病気のためベントール手術を受けられ、元気になられました。

後年、この患者さんが黄斑部病変という眼の難病にかかられたときにも、私に相談くださり、その道のエキスパートである京大病院眼科教授の吉村先生にご紹介し、視力を回復されました。お役に立ててうれしく思った次第です。

いつも思うことですが、心臓手術を受けられた患者さんが、身の上相談や、そのご家族を紹介して下さることはこのうえない喜びです。信用して下さったことを光栄に思うからです。

 

********患者さんのご家族からのお便り*******

 

謹啓 吹き抜ける風がなんとも心地良く感じるころとなりました。
 

米田先生にはご壮健にてお過ごしのこととお喜び申し上げます。

先日は、母がお世話になりまして誠にありがとうございました。
 

PtLetter60久しぶりに米田先生にお会いすることが出来母と共に本当に嬉しく思っております。

今回の検診はちょうど術後10年の節目だっただけに、米田先生にお会い出来た喜びはひとしおでした。

 

10年前、米田先生にお会いした時のことは今でもはっきりと覚えています。

突然の医師からの宣告で“母を失うかもしれない”というとめどなく押し寄せてくる不安に押しつぶされそうになりながら診察室のドアを開けました。

初めてお会いする米田先生は威圧感のようなものを全く感じさせることなく、家族にも実にわかりやすく説明して下さいました。

その時、患者とその家族にそっと寄りそって下さる先生だと直感いたしました。

そして、お話をして下さる時のまっすぐで誠実な米田先生の目を拝見した時「米田先生に母の命をゆだねよう」とその場で確信したことを今でもはっきりと覚えています。

また、不安がる術前の母に対しても何度も向き合ってお話しして下さり、最終的には母の意志を尊重して、最善の方法を選択して下さった米田先生のお医者様としてのお姿には、いつも本当に頭の下がる思いでした。

ありがとうございました。

さらに、患者の家族に対してもいつも温かく見守って下さる米田先生のお人柄にもどれだけ心が救われたかわかりません。

米田先生が新たな命を母に吹き込んで私どもの元へ戻して下さったこと、日々感謝致しております。

 

先生から渡された命のバトンを一日でも良い形でつなげていきたいとの思いでこの10年無我夢中で駆けぬけてきましたが、先日、先生に、「弁の状態が手術した時のままだ」と教えていただき、私もまた救われたような気持ちでした。

私にとっては最高に嬉しいお言葉でした。

少しずつ老いてきておりますのでこれからは今まで以上に私の課題も増えてくるかとは思いますが、これから先も引き続き良い状態のままでさらなる未来へとつなげていきたいと思っております。

 

本日は当地の初夏の味覚である小夏を一箱別送させていただきましたので、お召し上がりいただければ幸いです。

食べる前に少し冷蔵庫に入れると、さらにおいしくいただけると思います。

名古屋の方のご住所がわかりませんでしたので大変失礼かとは存じましたが、病院の方へお届けさせていただきました。

 

今後も何かとお世話になることと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

両親からも米田先生にくれぐれもよろしくと申しております。

末筆ながら、米田先生のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

謹白

平成24年5月28日

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お便り59: 被災地支援へ!ポートアクセス法の僧帽弁形成術を受けられた患者さん

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東日本大震災やそれに続く福島の原発事故では大変な被害がでて皆ilm22_aa01062-sができる協力をしながらもまだまだ不十分と申し訳なく思っています。

そうした中で、その被災地へ転居し、みずから全身で被災地のために貢献しようと言うかたが、私の知人の中に何人かおられます。

せちがらい世の中で勇気を頂いた、心が温まると言う以上に熱くなることです。

自分自身は被災地へ転居するだけのパワーはなくても、せめてそうした方々の応援はしたいと強く念じています。

以下の患者さんもそのひとりで、被災地福島へ行こう、しかしその前に心臓弁膜症僧帽弁閉鎖不全症)を弁形成で治 Ilm09_ak02020-sしてから、ということで私のいる名古屋ハートセンター心臓血管外科外来へ来られました。

患者さんはエホバの証人の信者さんのため、輸血ができないという制約下での手術でした。

しかし皆で高い志をもって頑張り、患者さんは心臓手術も大成功で、しかもポートアクセス法というミックス手術(低侵襲手術)つまり体に優しい手術ということもあり、すぐ元気に回復され社会復帰されました。

少ない痛み、早い回復と社会復帰がこのポートアクセス法心臓手術の特長ですが、無輸血手術の達成にも一役買っています。Ilm17_da05016-s

以下はその患者さんからのお便りです。

頑張ってげんきになって頂いたことをうれしく思うとともに、これから福島で素晴らしい仲間たちとすばらしい人生を送って頂きたく念じています。

 

**********患者さんからのお便り**********

 

米田先生へ

土曜日に無事退院を迎えるにあたり、先生に感謝の気持ちをお伝えしたく、お手紙を書かせて頂きました。

心臓に疾患があるとわかった当初、私がエホバの証人であり無輸血で手術を受けたいとの希望があった為、当時診て頂いていた病院で「協力的な医療機関を見つけるのは難しいだろう」と言われました。

主人がネットでこちらの病院を探し、失礼を承知で米田先生に直接メールをさせて頂いた所・・・先生は本当に御多忙であるにも関わらず10分もしない内に「是非診察させて下さい」との温かい御返事を下さり、心底ホッとしたのを今でも覚えています。

(実は先生からのリターンが想定外に早過ぎた為、返信にしばらく気づけず、こちらの返事が遅くなった事は、大変失礼致しました。)

 

実際、初めてこちらのセンターに伺い、先生とお会いし、明瞭なデータ分析と説明と力強い言葉の数々を頂き、私は心臓疾患に関して無知であったのに、非常な安心感と自分の身体への明確な理解を得、先生に是非手術をお願いしたいと素直に思えました。

 
入院してからも本当に丁寧なインフォームドコンセントにより、本来は難解であろう医療用語や手術方法が先生の巧みな言葉の分解により、患者側が受け入れ易い情報に変換されて、私自身が受け入れたい製剤や代替案を本当に決定し易く感じ、有り難く思いました。

 

先生は人の命を救う事に心を砕いて、全ての労力を傾けておられる方ですから、私がエホバの証人であり、自分の良心上、受け入れたくなかったFFPに関しての決定をお伝えした時も困惑されと思います。

それでもワガママな患者として邪険に扱うのではなく、信念を持った一個人としての尊厳を尊重しつつ接して下さり、その点は感謝をどれだけお伝えしても、伝えきれません・・・。

 

私のお願いの為に、手術の止血の時にもかなりのお時間を取らせてしまったにも関わらず、その後も変わらず温かい態度と優しい笑顔で接して下さった事は、私とって本当に嬉しい事でした。

 

患者の側が、素晴らしい人柄と高度な医療技術を兼ね備えた医師に出会い、治療を受けられるのは非常に恵まれたケースだと感じます。

私の様にエホバの証人である場合には特にそう言えます。

今回、私は高い技術を持っておられるにも関わらず、患者の目線で温かく対応して下さる米田先生に出会い、治療して頂く事が出来、これからも身も心も平安に過ごせる様にして頂いた事を、心より感謝しています。

きっと今後も私の仲間の者達が先生を頼ってこちらに来させて頂くと思いますが何卒宜しくお願い致します。

 

米田先生・・・本当に毎日御多忙だと存じますが、くれぐれもお身体に気を付けて下さいね。

お世話になりました。

敬愛と心からの感謝を込めて・・・

** **

 

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お便り57: 上行大動脈置換術後の大動脈弁置換術の患者さん

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大動脈二尖弁大動脈弁膜症を発生しやすいだけでなく、上行大動脈瘤などを合併しやすいことでも知られています。

患者さんは関西在住の69歳の男性で数年前に京都で上行大動脈瘤に対して人工血管置換術を受けておられます。

もとの術者にお聞きしますとその時点では大動脈二尖弁はそう悪くなく、そのままになっていました。

IMG_5500bこれは正しい判断だったと思います。

 

それから時間が経ち、大動脈弁が狭くなって(大動脈弁狭窄症)危険な状態となったため、名古屋ハートセンターの私の外来へ来られました。

再手術は私の得意種目のひとつであり、患者さんたちもそれをよく御存じのようで、全国から再手術の患者さんが名古屋まで来て下さいます。

 

ところがこの患者さんの場合は診察と検査で、以前の手術で植え込まれた人工血管が胸骨という骨にびったりと癒着し、一部は骨に食い込んでいることがわかりました。

Illust191こうしたケースでは骨をのこぎりで切る際に人工血管が破れやすいため、一般には極めてハイリスクと言われます。

「安全管理」と称してこうした患者さんを断る公的病院も少なくありません。

しかしこの患者さんは生きるために大動脈弁置換術が絶対必要なのです。

そこでさまざまな安全対策を立ててのぞみました。

 

結局、強い癒着の剥離には長い時間を要しましたが、手術はスムースに進み、病気で壊れた二尖弁はきれいな生体弁に取り換えられました。

さらにまだ比較的お若いご年齢を考慮し、将来はカテーテルで人工弁が入る(略称TAVIあるいはTAVR)ことができるような工夫も行いました。

同時に、もし将来何らかの心臓手術が必要となったときにも困らないように、今回は人工血管などをがっちりと守り、骨に癒着しないようにしました。

 

患者さんは術後経過順調でまもなく関西にもどられました。

まさにいのちを預けて下さる、死んでも悔いはないとまで言って下さる厚い信頼にお応えできてこんなにうれしいことはありません。

医療はやはり患者さんあってのものと改めて痛感いたしました。

 

**********患者さんからのお便り*********

 

米田先生
手術に携わっていただいた諸先生
看護師の皆様

 

お便り57大変ご無沙汰いたしております。私の大動脈弁置換手術に際しましては大変お世話様になりました。

お陰様で経過もよく順調に回復しています。

 

思えば、今年の2月上旬に京都の病院で定期検査を受け、

大動脈弁閉鎖不全症でこのままでいると心臓が送り出している血液が逆流し心不全等で突然倒れて死に至る恐れがあり、倒れた時の緊急手術もリスクが高いと聞き愕然としました。

それまでシニアー野球で投打走と又、ジムにも通い鍛えて身体的には何もなく安心していたのですが、それから一週間は悩みました。

 

しかし、同じ倒れて手遅れになるより手術をして元の生活へ戻れるのであれば早くやろうと決心しました。

その時、家内がテレビでスーパードクターの番組をよく見ていて、気にかかる病気の名医のお名前と病院を記録していましてその中で米田先生を知る事になりました。

弁置換術においては沢山の手術を手がけられいろんな修羅場を潜ってこられた先生とお聞きし、同じ手術を行うのであればGod Handと言われている米田先生にお願いしようとお探ししました。

 

前京都大学病院に勤められていたと聴いていたのですが、代わられていて名古屋のハートセンターへ勤務されている事を聞き早速電話をして受診をお願しました。

当日はエコー検査、CT検査等を行い映像やデーターを基に米田先生から私の現在の心臓の状態と手術の方法やリスク等懇切丁寧に解りやすく説明して頂きました。

「手術は任して下さい。後はあなたのリハビリ次第で回復も早くなりますよ」と自信に満ちたお言葉を頂きお願いしようと決心しました。

 

又、私が4年前別な病院で大動脈瘤の手術を行いかなりの癒着もあり、米田先生が前の手術を行った先生をご存知で情報をとって頂きより安全な方法で手術を行うことにしました。

そして、2月27日に入院いたしました。

病院の前の学校のグランドに集う学生の元気な姿を見るにつけ「もう一度元気になってスポーツをやりたい。ガンバルぞ!」という気持になり勇気が湧いてきました。

 

そして3月2日手術の日を迎えました。当日は、意外と落ち着いて手術室へ行き2~3分の内に全身麻酔がかかり、家族の心配をよそに眠ってしましました。

 
翌朝に目を覚ましましたが、先生や看護師さんの優しいお顔が目に入り、再生さして頂いた実感がこみ上げてきました。

丁度、浦島太郎の感覚でした。

 

手術した翌朝の朝までが本当に短い時間に感じました。

それから3日にはベッドに座れる様になり、5日目から歩行が出来る様に成りました。

8日を過ぎると食事もすすみ、痛みは有るものの院内の階段を1F~5Fまで上り下りするまでになりました。

院内散歩が唯一の楽しみになりました。

そして3月14日に無事退院する事が出来ました。

米田先生のオペの技術は勿論の事、手術に携って頂いた諸先生方、看護師の方々のチームワークは最高と思われます。

それは手術後のケアについてもよく分かりました。

回診時に手術を担当された先生方が優しく丁寧に術後の状態を診て頂き私達の不安を取り除いていただきました。

 

又、ベテランの看護師さん・若い看護師さん方のテキパキとした対応や気配りや笑顔はどんなに私達患者の心を癒して頂いた事でしょう。

その他、美味しい食事を造って頂いた栄養士さん・調理師さん、お茶や食事の準備をして頂いた方々、部屋を清掃して頂いた方々、その他、たくさんのスタッフの皆様へ支えられ 無事に退院する事が出来ました。

 

現在は、胸に違和感は少し残っていますが痛みもとれて、毎日散歩に花見や自身の野球のチーム練習の球拾いをやりながらリハビリに務めています。

本当に有難う御座いました。米田先生他、手術に携って頂いた諸先生方、看護師の皆様、その他スタッフの皆様方のご健康とご活躍、そして名古屋ハートセンターのご発展を心よりお祈り申し上げます。

 

2012年4月19日

****

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り56: 心室中隔欠損症VSDと肺動脈弁狭窄症の手術を受けられた若者

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心室中隔欠損症(略称VSD)はこどものころに検診で診断され、穴の大きな方はこどもの時期に手術で治すのが一般的です。

しかしさまざまな理由で診断がつかなかったり、あるいは手術の決心がつかなかったりで大人になって手術を受ける患者さんも少なくありません。

この病気の場合は血液が左室から右室へ漏れるため、その量が多いケースでは次第に心臓の負担が蓄積して長期的にはさまざまな問題が起こります。

逆に穴が小さいときには自然に閉鎖して治るため、心臓手術が不要です。

Hana_9そこで心臓手術をすべきかどうかの判断や、患者さんがその判断に納得され、決心できる状況・環境が重要になるわけです。

まして患者さんがエホバの証人の信者さん場合、輸血は信仰上の理由からできませんので、リスクが上がり、手術の判断・決断はいっそう微妙となります。

つぎのお手紙はこうした状況の20代の患者さんが、長い間悩みに悩み、またご自身で勉強もされ、縁あって私の外来に来られてじっくり相談し、そののち手術で見事に健康を回復されたあとの礼状です。

この患者さんの場合は、穴が大きく、肺に流れる血液量が全身に流れる血液量のなんと5倍に達し、そのため肺動脈弁も狭くなって(肺動脈弁狭窄症)いましたのでどちらも直し、手術の効果は大きかったです。

「寒さに震えたものほど太陽の温かさがよくわかる」という諺がありますが、それを想い出させてくれるような、つらい日々から脱却された喜びが伝わってきます。

 

************患者さんからのお手紙*********

 

米田 正始先生

今年の4月4日に心室中隔欠損症の手術をして頂きました。****です。

 

先日11月22日に検査して頂き、とても良い結果だったこと、米田先生の方からわざわざ会いに来て下さったことはとても嬉しく、感謝しております。

「もう普通の健康体と同じ」と言って頂けた事は、今でも信じられないほど嬉しい言葉でした。

4月4日と11月22日は自分の人生の中でとても重要な日になりました。

せっかく健康になったのだから何か新しい事に挑戦してみたいと思いパソコン教室に通い始め、つい先日ワードの資格を取ることができました。

これからもっともっと色んなことに挑戦していきたい思います。

手術をして頂いてから本当に自分の世界が変わりました。

今年は本当に良い年だったと心から思えます。

毎年寒い時期は調子が悪く年末になれば仕事も忙しいため、気分も沈みがちですが、今年はとても穏やかで前向きな気持ちで過ごすことができそうです。

両親も健康になった自分を見てとても喜んでいます。

 
これらは米田先生や北村先生、深谷先生、小山先生、そして名古屋ハートセンターの皆様のおかげだと思っております。

心から感謝しております。

本当にありがとうございました。

 

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お便り55: 冠動静脈ろうのエホバの証人の患者さん

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冠動静脈ろうはときに見られる冠動脈の異常です。

冠動脈から冠静脈を経由して右房や肺動脈その他の比較的圧Ilm09_ad07002-sが低いところへ血液が漏れるため、大切な心筋へは十分に血液が届かず、狭心症が発生します。

胸が痛くなったり、からだを動かすと息切れがするなどですね。

この冠動静脈ろうへ冠動脈の狭窄(狭くなること)が合併すれば、その部位によっては血液の漏れがさらに増えて危険なこともあります。

またそうした「漏れる」状態が続くと、そこでの血流量が増えすぎて冠動脈がこぶのように膨らみ(冠動脈瘤と呼びます)それが破裂すれば即死するなどの問題も起こります。

次のお手紙は、このかん動静脈ろうの手術を受けられた患者さんからのものです。

エホバの証人という宗教の信者さんでしたので、輸血はできないため、さまざまな工夫をこらして手術・治療を行い、うまく行きました。

 

冠動静脈をまず高速エコーとドップラーで正確に同定し、これを入口、出口を含む数か所で閉鎖しました。

どこにも異常血流が残っていないことを確認しました。

止血を徹底的に行ったのはいうまでもありません。

 

輸血を拒否する患者さんを治療しない病院が多いなかで、信仰の自由を守りつつ、医療安全とくに心臓手術の安全を確保する努力を私たちは続けています。

皆様のご意見やご指導を頂けましたら幸いです。

 

***********患者さんからのお手紙*******

 

Ilm10_de02014-s米田 正始先生へ

この度は、先生の技術を活かして父の手術を行って下さったことに心より御礼申し上げます。

とりわけ私達エホバの証人の信条に多大なる理解を示し手術をして下さったことに深く感謝しております。

私どもの信条ゆえに多くのお願いを致しましたが、先生が寛大に、辛抱強く聞き入れて下さり、大変嬉しく又心強く思いました。

先生のご理解と素晴らしい技術がなければ元気に回復した父の姿はなかったと思います。

これからもご多忙な毎日を送られると思いますが、お身体には十分お気をつけ下さい。
 

先生の益々のご活躍を心より願っております。

引き続きお世話になりますが、何とぞよろしくお願いいたします。

心からの感謝とともに  *****(実娘)

 

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