【創刊号】

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心臓血管外科の手術が必要な病気はけっこうあります。
それらの病気の多くはまず生きるために、あるいは長生きするための
手術が多いです。
同時に楽しい人生あるいは有意義な人生を送るための手術も多数あります。

たとえば狭心症に対する冠動脈バイパス手術糖尿病血液透析などの
血管の悪い患者さんではカテーテル治療よりも優れた安定度を示します。
手術のあとはより仕事に専念しやくすくなり、また旅行やスポーツなどの
楽しみに対する制限が少なくなります。

このメールマガジンではこうした情報を定期的にお知らせしていきます。

また同じ手術を受けたあとも、ちょっとした工夫や注意で、安全安心の
毎日が送りやすくなるということもよくあります。

たとえばある種の病気をもった患者さんでは大動脈の手術の後も、
大動脈の他の部分が次第に悪くなり、また手術が必要になることが
あります。それを前もって知っておけば、そうしたことがもし起こっても
十分な準備があるために、ゆうゆうと対処しやすくなります。

このメールマガジンではこのようなお役立ち情報もお伝えしたく思います。

心臓(血管)の病気をうまく解決し、良い人生を送っていただくのに役立つ
メールマガジンを目指して頑張ります。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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11) 心臓の再生医療―着実な進歩 【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月22日

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◼️心筋幹細胞

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2011年1月29日、NHKテレビ追跡AtoZにて「世界初の心臓再生技術」が放映されました。

京都府立医大チームの皆様にエールを贈りたく思います。

この再生医療は京都大学探索医療センターにて開発研究中に米田正始も参加させて頂いていたもので、

そこで用いられる心臓幹細胞を守り育てる基盤として米田が京都大学再生研究所の田畑泰彦教授と開発してきたbFGF徐放ゲル(bFGFビーエフジーエフは体内にある生理物質で血管を増やし細胞を守ります。

徐放とは徐々にbFGFを放出することで効き目を飛躍的に増やす方法です)が活用されていることを光栄に思います。

このbFGF徐放ゲルをシート状にして心臓の表面に置くと、約4週間かけてbFGFが徐放され、新しい血管が生まれ、また移植した細胞を守ります。

私が数年以上前、京大病院で行った再生医療の臨床試験ではこのシートを単独で使い、

あわせて患者さんの大網(たいもう)という血管豊かな組織をその上にかぶせ、

患者さんの心臓に新たな血管ができたことを世界へ発信しました(英語論文242番、2009年)。

このシート単独でも効果が見られたため、そこに細胞移植を加えた府立医大チームの方法は期待できると思います。

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◼️ iPS細胞

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そして2012年に京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学賞Shinya_yamanaka10を受賞されたiPS細胞のこれからの展開が大いに期待されています。

たとえば胎児心筋細胞の移植では心機能の改善や不整脈の予防効果が報告されています。iPSなら倫理的な問題もなく、胎児心筋細胞を創ることがおそらくできるでしょう。

これまで不可能であったことが可能になるのです。

さらに2020年1月に大阪大学の澤芳樹教授らのチームがiPS細胞由来の心筋シートを心臓の周りに貼り付ける再生医療・臨床治験の一例目を報告されました。これからこの技術が発展し、弱った心臓のパワーアップができる日が楽しみです。
さて、心臓の再生医療には2つの代表的考え方があります。

対象は当面おもに末期の虚血性心疾患の患者さんです。

たとえばバイパス手術PCIがもうできないほど血管が悪いとか、虚血性心筋症のために心臓の力が極端に落ちているケースです。

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◼️ 心臓再生医療の内容

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心臓の再生医療は次の3つを軸に発展して来ました

1.血管を造り、心臓の虚血(血液の流れが足りない状態、酸欠と同じです)を治す。

つまり血管新生治療です。

2.心筋(心臓の筋肉、当然パワーがあり力強く動きます)を造る。つまり心筋再生治療です。
3.それ以外に移植細胞などが出すサイトカイン(ある種のホルモン、成長因子)による治療があります。

いずれもこれまで多くの研究がなされて来ました。私たちも京都大学時代にネズミやブタ、イヌなどを使って新たな治療法・再生医療の開発に取り組んできました。

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しかしこれまでのところ、2.の心筋を造る、つまり心筋の再生はまだ実用化には届かなかったのです。

それは心筋は自ら動く力を持っており、それだけの特徴を持つほど成熟した細胞と言えるのですが、

成熟した細胞は増えにくいという特性があり、

多数の細胞まで増やさないと心臓の仕事をするだけのパワーにはならないという問題があります。だからと言って増えやすい未熟な細胞ではあまり動くだけの力がなく、

たとえ数だけ増えてもES細胞。延々と増え続け、さまざまな細胞になれる特徴を将来治療に活かすべく研究が進んでいますIPS細胞。自分自身の細胞から作ったES細胞のような意味合いがあり、今後の発展が期待されます。まだ再生医療には使えないのが残念です。心臓のパワーアップという治療目的に沿うことはできません。

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そこで今後ES細胞(写真左)やiPS細胞(写真右)のように、増えやすい性質をもった細胞をまずたくさん造り、

それをうまく成熟させて力強く動く細胞に育てるという技術が開発されれば、

上記2.の心筋再生医療は実用化に向かって行くでしょう。

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しかしながらこれまでの実績だけでも心臓の再生医療は決して捨てたものではありません。

というのは1.の血管新生治療は現在の技術でもかなりできます。

3.も状況と方法によっては使えます。

これまで細胞移植で多少の効果が見られた理由は3.のサイトカインだったという報告が増えています。

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 ◼️とくに血管新生について

Bonemarrowmncell_nature.

血管新生治療の代表的な方法の一つが、骨髄単核球細胞移植(写真右)があり、

これは全身麻酔下に骨髄を刺して細胞を得る方法と、GCSFというお薬で細胞を血液へ追い出してから捉える方法があります。

いずれの場合でもある程度血管新生ができ、下肢では虚血改善の報告があります。

ただしこの方法は手間がかかる割にはできる血管が毛細血管(細すぎてあまり役に立ちません)がほとんどという弱点があります。

このハイドロゲルにbFGFなどの成長因子をしみこませて使います。その効果は私たちのデータでは細胞移植より強いです。これを克服すべく、私たちが行ってきた再生医療はbFGFという血管を造る自然のホルモン(タンパク質)を遺伝子を使わずに、ハイドロゲル(左写真)と混ぜて心臓の表面で直接効かせるという方法です。

効果があり、それ以上に全身に影響を与えない局所治療という特長を持ちます。それで高齢者や腎不全、網膜症がある患者さんにも使えるわけです。

京都大学時代にはこの方法と大網(お腹にある網状の 組織で多量の血管や成長因子を含みます)をセ心臓の再生医療(血管新生)を患者さんに行っているところですットにして使い、

血管造影で改善が肉眼で見えるほどの結果を出しましたが、

私が京大病院を去ってからはこの臨床研究は停止したままです。

日本では自施設でハイドロゲルを造らねば使えないため、

とりあえずタイで認可を受け、バンコック心臓センターにて臨床試験を再開しました。

新しい臨床試験では低侵襲(つまり患者さんの体への負担が少ない)を意識して、小切開で、人工心肺(体外循環)を使わず、かつお腹の組織を使わない方法を開発して使っています。

右の術中写真のように、心臓の表面に固定するだけです。

残念ながらこのプロジェクトは現地のリーダーであるArom先生が病気のため逝去され、中断された状態です。今後さらに場を求めていく予定です。

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◼️ 下脚の血管新生

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なおこの方法はバージャー病やASOなどの下肢の虚血では京大病院にて 7名の患者さんに使用し、成果を上げました。

5.動脈硬化症 6) 新しい再生医学の治療法などをご参照ください。)

その後数年経って、この治療法が京都大学で再評価され、探索医療センターの目玉プロジェクトとして2回目の臨床試験が行われ、良好な結果が報告されました。

この再生医療の恩恵がもっと多数の患者さんたちに届くよう、あらたな場を検討しています。

仁泉会病院心臓血管外科の米田正始の外来に予約して来院頂ければご相談にお乗りします。

あるいはメール等でご連絡下さい。

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元・京都大学医学部教授
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3.新型インフルエンザについて (2009.10.25.改訂しました)

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新型インフルエンザが大流行しています。

当初はたとえ感染する力は強くても弱毒のためそれほど怖くないという意見もありました。

新型インフルエンザにご注意をキシコなどで死亡者が出ていたのは医療態勢や貧富の差などの社会的要因によるという見方もありました。

しかし先進国でもこれまでのインフルエンザの3倍以上の死亡率が報告され、

日本でも次第にその怖さが判明しつつあります。

 

10代の学生さんに代表される若者それも体育会系の元気な若者に多数感染したり、

若年の患者さんにまで死亡者が出ています。

 

夏はインフルエンザにやられにくいのですが、、、感染力つまり流行しやすさについても、

夏はインフルエンザウィルスが活動しづらく、かつ人体も温度や湿度などの条件が人体に好都合なためウィルスにやられにくいのですが、

これから次第に冬が近づくにつれて爆発的に流行するという懸念がでています。

 

すでに厚生労働省その他から予防策が発表されています。

 

こうした感染性疾患は完全に予防するのは難しいのですが、

流行を少しでも弱め、ウィルスへの「被爆量」を減らし個人をできるだけ守るという意味で、

やはり努力する意義は大きいと考えられています。咳にご用心

 

1.空気中の飛沫感染を防ぐという意味で、

人混みを避け、とくに咳をしている人からなるべく距離を置く。

1m以上離れることがWHO世界保健機構では推奨されています。

 

マスクは有用です2.マスクはN95でなくても意味はあります。

普通のマスクはウィルスをブロックできないのですが、

インフルエンザウィルスは高湿度に弱く、

マスクを着用することで気道内の湿度が上がり、ウィルスは弱り、

気道粘膜細胞は元気になります。

 

3.手洗い は意外なほど有用です。

ウィルスがドアの手すりや吊革その他あら ゆるところについている可能性があるため、

帰宅時などに石鹸で時間をかけて手を洗うことで体内に侵入するウィルスの量を減らせます

 

うがいもやって良いことです4.うがいは万能とは言えずとも有用です。

私見ですが、鼻のうがい、つまり鼻の比較的奥まで水を入れて出すことができる方にはそれを勧めています。

鼻のうがいがやりづらい方には花粉症用の鼻内スプレーをお勧めしています。

これなら誰でも鼻のうがいができるでしょう。

 

5.もともとインフルエンザウィルスはこどもたちが学校でもらって来て家に持ち込むという傾向が強いものです。

手洗いやマスク着用をこどもさんたちにもできるだけやってもらうことも有用でしょう。

 

6.熱が出たり調子がおかしいときは早目に医療機関に相談し、

新型インフルエンザの診断がつけばタミフルやリレンザなどの抗ウィルス剤を早く使うことで重症化を減らすことが可能です

 

7.心臓血管外科関係の患者さん とくに心不全糖尿病、腎機能障害・慢性血液透析心臓の悪いかた弱いかたは新型インフルエンザにご注意を。心配なときはご連絡下さい 肝機能障害などの基礎疾患をお持ちの方ほど上記の注意をお願いします。

もし不幸にして新型インフルエンザに罹患した場合でも、

ウィルスを抑えるだけでなく、できるだけ栄養を取り、食べられない場合は点滴などで脱水を防ぎビタミンを入れしっかり全身を守れば有利な方に動くでしょう。

上記タミフルリレンザの早期投与も有効と考えられています。

心不全や糖尿病など基礎疾患を安定化させることも重要でしょう。

 

これまでのデータでは肺炎を併発する患者さんの死亡率が高いため、

肺炎を防ぐために、もしインフルエンザにかかったら、体の向きをできれば毎時間でも変え、

深呼吸をちょくちょく行い、水分を十分に取り(可能なら牛乳や糖分の多いジュースを)、

部屋を加湿するなども有意義でしょう。

 

10年ほど前に、慢性透析でご高齢かつ心不全著明な患者さんにオフポンプバイパスを行い、もともと状態の悪い方でしたので、手間暇かけて元気になっていただきました。

ところが退院した次の冬に流行したインフルエンザに罹患し、

肺炎を併発して地元の病院であっという間になくなられたというつらい経験を想い出します。

 

予防接種はできるだけ受けましょう8.予防接種はできるだけ受けて頂きたいのですが、全国的に供給態勢がまだ進んでいません。

かかりつけの先生にもご相談いただき、入手できれば受けましょう。

なお肺炎球菌ワクチンは新型インフルエンザそのものには効きませんが、合併症としての肺炎が防げればメリットはあります。

できればこの予防接種も受けるのが勧められると思います。

 

9.平凡なようでも野菜を含めたバランスの取れた食事や、十分な睡眠なども有意義です。

 

心臓血管外科関係の患者さんにおかれましては上記の予防策と早目の相談でしっかりお体を守って頂きたく思います。

 

2009年8月29日 記

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追記

その後2カ月近くが経過し、新型インフルエンザは学校やこどもを中心に流行しています。

アメリカではすでに1000人の方が亡くなられ入院患者も2万人を超えました。

オバマ米大統領が10月24日に、新型インフルエンザ(H1N1型)のための国家緊急事態宣言を発表したほどです。

 

また日本国内では20歳以上の年齢層では季節型インフルエンザの予防接種で新型にもかなり効くという報告がされ、

おそらく20年以上前に新型インフルと似た遺伝子のインフルエンザが流行したためと考えられています。

逆に20歳以下の若者やこどもの患者数は急増しており、免疫抵抗力が少ないと考えられますのでご注意ください。

 

新型インフルエンザではが主にターゲットになっており、肺炎を予防することが肝要で、

上記のように加湿を考えたマスクや部屋の加湿、

十分な水分摂取(脱水の予防、発症後水分が飲めないときは必要に応じて点滴なども)なども有用と思います。

 

ともあれ皆さまには恐れず、油断せず、そして発熱などおかしいと感じたらすぐに信頼できる病院・医院や医師にご相談下さい。

 

2009年10月25日 記

 

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お便り15 大動脈弁二尖弁を形成した患者さん

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患者さんは19歳の男性です。

Hana_10東京の大学に通っておられる中で、検診で大動脈弁の二尖弁と逆流(大動脈弁閉鎖不全症と呼びます)を発見・診断されました。

心臓に負担がかかって来ており、危険な症状も出ているため手術を勧められ、

それから患者さんは自分の理想の病院を調べられたそうです。 

大動脈弁形成術を求めて探す中で、私のホームページ心臓血管外科情報WEB(註:現在の名称は心臓外科手術情報WEBです)を見つけられ、メールを送ってこられました。

 

ご本人さまはもちろん、ご両親はじめご家族と十分な相談のうえ、ハートセンターにて大動脈弁形成術を行い、うまく行きました。

 二尖弁は経験豊かなチームなら弁形成ができるため、さまざまな方法の中から最も適したものを選んで形成しました。

二尖弁のかみ合わせがきれいになった結果、手術前には高度だった逆流も術後は無視できるほどに治りました。

大動脈はかなり小さかったのですが、弁形成術のおかげで狭窄症(狭くなること)も起こりませんでした。

もしも弁置換なら不十分なサイズのものしか入らなかった状況でした。

 

大動脈弁形成によって普通の生活を取り戻して頂けたことはうれしい限りです良好な予後が期待されますが、二尖弁の常として、弁と大動脈の両方を注意深く定期健診することが大切と、ともに決意しました。

こうして患者さんの青春時代をワーファリンなしで過ごせるお手伝いができるのは大変うれしいことです。

 

術後経過も良好で術後9日目に元気に退院されました。

米田はその日はタイ国へ手術に出張しており、お祝いを言えなかったため、

お詫びとお祝いのメールをお送りしたところご両親からお返事が来ました。

それが下記のメールです。

 

**********************************

米田先生

メールをいただきありがとうございます。


本来なら、こちらからお送りせねばならぬところ


先生よりいただき大変失礼いたしました。

 

術後の回復も順調で、先生のお帰りを待つことなく
退院させていただくことになりました。

 

自宅に帰り、ベースギターを少し弾いたりして
通常の生活に少しずつ戻しつつあります。


本人は一刻も早く関東に戻りたいようです。


とはいえ、まだ疲れやすく無理もできないので
こちらに居る間は、ゆっくりさせたいと思っております。

 

大学の検診で、この疾病が発見されたとき、
治療は弁置換(機械弁)だというという説明を受けましたが、
本人として、その治療を理解するということ以外に
他の治療をも模索し、米田先生にめぐり会えたことは、
本当に幸運であったと思います。

 

弁形成という希望通りになったことはもちろんですが、
たとえ、人工弁の選択になっていたとしても
納得いく治療を受けることができたという気持ちは
今後の人生においてとても重要なことであるからです。

 

なぜならば、心臓との付き合いは一生であり、
ここで自分自身がしっかり受け入れられる結果でないと
ずっと疑問を持って生きていかねばなりませんから。

 

米田先生とのメールのやり取りや
診察時のわかりやすい表現でご説明いただいたことで
彼のみならず、家族も安心して手術に臨めました。


お恥ずかしい話ですが、毎日泣いていた母は、
先生にお会いしてからはやっと現状を受け入れることが
でき、それ以来、前向きに考えるようになりました。

 

(中略)

今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

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お便り14 コレステロール塞栓の患者さん

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Bara_3患者さんは50代後半の男性。

心筋梗塞後の僧帽弁の逆流(虚血性僧帽弁閉鎖不全症と言います)と冠動脈狭窄(狭心症)のため他病院で心カテーテル治療(PCI)を受けられました。

 

その際にカテーテルが通過する大動脈のコレステロール片が外れて足の血管を閉塞させ(コレステロール塞栓)、

足の一部が腐り、激痛が取れず、しかも心不全が発生して、

もう永くは生きられないだろうと言われハートセンターへ来られました。

 

このコレステロール塞栓は、

さまざまな問題を足だけでなく全身に起こすため命にかかわる危険な状態で、しかも心臓は衰弱しており、

確かに難しい状態でしたが、患者さんと相談の上、このまま死を待つよりは頑張ろうということで治療を開始しました。

(治療内容の詳細は手術事例のページをご参照下さい)

 

Yakkyoku_yakuzaishiまず薬で下肢と全身をできるだけ安定させておいて、そこで心臓をバイパス手術僧帽弁形成術で治し、

体力の余裕が少しできたところで下肢の再生治療をトライしました。

再生治療は当院ではまだ準備中のため交流ある大学に依頼しましたが、

結局腐った組織を切ることで安定しました。

 

その後リハビリも進み、ずいぶんお元気になられ、共に喜び合いました。

その間、私たちを信じて痛みと苦しさに耐えて治療に協力して下さったことを、医師として感謝しています。

以下はそのコレステロール塞栓の患者さんからのお手紙です。

 

********************************

米田正始先生

 

私が足の異変に気がついたのは、夏の暑い8月初旬の事です。

最初は、少し足が痛いなと思うくらいで、あまり気にしていませんでした。

そのうち靴下が履けず、靴が履けなくなり、

病院での検査結果でコレステロール寒栓閉鎖症と診断されたのは、8月下旬でした。

 

9月に入り足の小指、親指が紫色に変色し始め、友人の葬儀の時は、靴も履けずお手伝いも出来ない状態でした。

毎日不安が広がっていきました。

治療法がなく、最終的には足を切断するという最悪の結果になる事があると言われ、絶望感に襲われる日々でした。

 

ある日、運転中に激痛が足に走り、追突事故を起こしてしまいました。

これではいけないと思い、インターネットで病院探しを始めて、ハートセンターの米田先生の存在を知りました。

そして、わらにも縋る思いで紹介状もなく飛び込みで、先生の診察を受けました。

 

先生は温かく私を迎え入れて下さり、心臓と足の再生治療の説明を受け、私はやっと不安がなくなり前向きに病気に立ち向かう事ができるようになりました。

そしてハートセンターでの入院生活が始まり心臓、足の再生治療がスタートしました。

 

しかし足の痛みはなかなか良くならず、苦しい日々が続き、11月上旬には、悪くなっている心臓のバイパス手術を受けました。

心臓の方は順調に良くなっていると言われましたが、足の痛みは消えず、11月下旬には食事も出来ずパニック状態になりました。

 

その際には一時退院させて頂き、2日間家族と共に過ごしやっと普通の入院生活に戻り、

12月にはハートセンターを退院することが出来ました。

 

正直な気持ち、この病院に来た時は半身半疑でしたが、

先生が毎日病室に来て励まして下さり、

又夜になると足が特に痛くなり、毎晩看護師さんを呼んではの繰り返しでしたが、

嫌な顔もせず一生懸命尽くして下さり深く感謝しております。

 

病気が発病して6ヶ月近く、

長い闘病生活の間には、自分の病気、友人の不幸、友人の娘さんの不幸と続き、なぜ自分の周りに嫌な事が起こるのかと絶望感に陥ることがありましたが、

米田先生、北村先生、深谷先生、看護師さん達始め家族も含めた周りの人達に励まされ、

何とか立ち直る事ができ、本当にありがたく感謝の一言です。

 

最終的には、足は少し不自由に成りましたが、

現在は元気になり歩くことも出来、仕事が出来るようになり有難く思っております。

私はまだ通院する日が続いてますが、病院に行くたびに、世の中には私以上に病気で苦しんでいる方がまだまだ沢山お見えになる事を実感しますが、

決して病気に負けないでといつも思います。

 

長い闘病生活で痛い思い出ばかりの病院ですが現在も数ヶ月に一度ハートセンターへ通院しておりますが、

なぜか病院の中に入るとほっとするんです。

それは看護師さんが、「お元気なられましたね。」と優しい一言をかけて下さるからです。

 

なので今はハートセンターは私の心のホットステ-ションです。

 

*********************

その後私は住み慣れた名古屋を離れ、郷里奈良に新たなハートセンターを立ち上げました。

これまでできなかった親孝行と地元への御礼をと長年念じていたからです。

名古屋時代の患者さんも多数奈良の外来へお越し下さり、いつも感謝しています。

上記の患者さんは遠方かつ事情によりときどき仲間から経過をお聞きする程度でした

2年経ち以下のメールを頂きました。

心の絆、そして当時から大切にし現在も健在なチームで間接的ながらお役に立てていることを知り、感動いたしました

難しいがんを見事に発見し患者さんを助けて下さった灰本先生には心から感謝申し上げます

**さん、これからもお元気で!何かまたお困りの際にはご連絡ください

私は頼りない男ですが、できるだけのことはさせて戴きます

 

********患者さんから久々のお便り*************

 

米田先生様

大変ご無沙汰しております。先生とお別れしましてから2年余りの歳月が過ぎました。IMG_1636

 

平成24年*月にハートセンターにてペースメーカー埋め込みして頂き順調にきていまして
**先生からも、心臓に関してはもう大丈夫といわれてまして2年経った平成25年12月

 

市の検診で前立腺ガンの疑いあるとの事で、**市民病院にて平成26年1月に再検査の結果
前立腺ガンと診断受け治療開始を始める段階で2月始め灰本先生がすい臓に影があるとの事で再検査の結果
すい臓ガンとわかりそのままガンセンターに入院し3月**日すい臓摘出手術受けました。

約15mm位でしたので全部とらず少し残っていますが、ガンセンターの担当の先生にはこんな小さいガンが見つかるとは非常にラッキーだと申しておりました。
平成27年3月**日迄抗がん剤治療受けておりましたが今は終了してます。
現在は、前立腺ガンは、**市民病院と、すい臓ガンはガンセンター 心臓病はハートセンター**先生
総合的には灰本先生に診察を受けております。、以前先生がハートセンターを、おやめになるときに心臓病
以外病気、特に、ガンなどをみて頂く先生が、春日井にお見えになると紹介して頂いた灰本先生

私は米田先生に心臓病助けて頂き、すい臓ガンを灰本先生に見つけて頂きお二人の先生に
感謝に絶えません。

 

私が米田先生との出会いがなかったら今の自分がいなかったでしょう
先生には大変お世話になりました有難う御座いました。現在は仕事セーブしながら過しております、

米田先生様のご活躍をお祈りいたします。

 

H27年5月**日  ****

 

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お便り13 三尖弁閉鎖不全症などの患者さん

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患者さんは 60代後半の女性です。

僧帽弁の手術を受けられ、近年になって三尖弁閉鎖不全症などの連合弁膜症と心不全が再び悪化し、手術も断られ、

何か月も入院し闘病の末、腎不全・肝不全まで合併し、生きる最後のチャンスをということで主治医の先生からご相談を受けました。

神奈川県の患者さんのため、当時私が勤務していた大和成和病院へ転院して頂きましたが、すでに強心剤が外せないショック状態で、重い三尖弁閉鎖不全症のために肝臓もうっ血性肝硬変という危険な状態になりつつあるところでした。

 

000496mご家族やチームで何度も相談し、心胸郭比95%という巨大心でしたが、これしかないという事で心臓手術に踏み切りました。

僧帽弁置換術三尖弁形成術その他を行いました。

状態が悪くしかも再手術ということもありさまざまな工夫を凝らしました。

 

術後も皆で汗(熱い汗も冷や汗も)を流しましたが、お元気になられ退院されました。

僧帽弁も三尖弁閉鎖不全症も治り、肝臓や腎臓のちからももどって来ました。

 

それから一年近くたち、年賀状でお元気な状態を伝えて頂きました。

短い文章ですが、ともに悩み、決意し、頑張って生還してくれた患者さんや全力のご協力を下さったご家族(息子さん)の姿が目に浮かび、熱くなります。

 

「医療安全」が叫ばれる今日、こうしたハイリスクの患者さんの治療を断る病院が増え、大変です。

断らないことをモットーにする私たちでさえ、チーム全員とよく相談の上で慎重に方針を決める必要があります。

しかし日本の医療の良さはこうした患者さんの治療にも全力で取り組んできた、患者を自分の肉親と思って接するスタンスにもあったのではないかと思い、

そうした哲学を守るためにどういう仕組みを創れば良いかを考える昨今です。

 

******************************

賀正

お陰様で新年を迎える事が出来ました

ご多忙の日々をお過ごしの事と存じます

どうか先生のお力で、生きる事に困難な毎日を過ごしている人々に生きる喜びを与え、助けてやって下さい

寒さ厳しき折からご自愛下さいませ

一月吉日

******************************

上記の年賀状の掲載許可をお願いしたところ、快諾のみならず、次の体験記を書いてくださいました。

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私の体験記を読むことで病で苦しんでいらっしゃる方、悩んでいらっしゃる方、また落ち込んでいらっしゃる方々に勇気と元気と希望を持ってもらえれば、役に立つ事であればと思い、ペンを走らせました。

私は46歳と66歳の2回、心不全の病いで弁の心臓手術を受けました。

46歳の術後、子育てと仕事の両立に悩んだり、落ち込む暇もなく、母親としての責任と義務を果たすため、懸命な毎日でしたが、無理が影響したせいで、入退院を繰り返す日々が続き、ついに余命幾ばくと宣告される体になってしまいました。

幸いにして主治医の先生を通して心臓血管外科医の米田先生とお会い出来まして、米田先生の心温まる激励と周囲の方々のやさしい後押しで、命をかけた手術にのぞみました。

46歳の時の手術に比較すれば、年齢的・体力的に大手術で大変な状態である事は十分解っていました。正直悩み、精神的にも落ち込みましたが、私があれこれ考えても何のプラスにもならないと思い、不安を明るさに変えるのが自分に出来る責務だと切り替え、ベッドで横になっていてもつとめて明るく振舞うようにしました。

お陰様で手術も成功しました。2か所の弁膜症も1か所は弁形成で、あとの一か所に人工弁が入ったとの事でした。

麻酔から覚めた時、「ああ、私は生きているのだあ」と涙がこぼれ落ち、命の尊さを痛感しました。米田先生をはじめ、私の命を助けて下さった諸先生方、そして息子に心から感謝しています。本当にありがとうございました。

米田先生、病で戦っていらっしゃる方々に生きる力を与えてやって下さい。お願いします。手術から1年3か月経ちますが、あの時の感動を忘れる事なく、これからも懸命に生きて行こうと思っています。

病いと戦っている皆さま、つらくても一つしかない命です。命の尊さを大切にして、治るという希望をもって頑張ってくださる事を心から祈っています。

 

******************************

手術から6年が経ちました。昨年の年賀状へのお返事が出せなかったので今年はちゃんとお出ししたところ、下記のお手紙を頂きました。

お元気そうで何よりです。

健康に留意され、永く楽しくお過ごしください

******************************

前略ご免下さいませ。

いただきました賀状、息子と共に嬉しく拝見させて戴きました。

数多くの患者さん方を診察なさっていらっしゃるのに記憶の中に留めて頂き心から嬉しく思って居りました。

私が今日あるのは米田先生のお陰と感謝して居ります。姫野先生のサポートもあってどうにか今日を過ごさせて頂いています。此の度は米田先生のご努力が実を結び、心臓血管外科を立ち上げをなさったとの由、心からお喜び申し上げます。

横浜の地よりご成功をお祈りしております。

ご多忙な毎日だと存じますが、どうかご自愛下さいまして私達患者のためにご努力下さる事をお祈りしております。取急ぎお礼とお祝いを申し上げます。

乱筆乱文の程、お許し下さいませ。

******拝 (横浜の地より)

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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第6回患者さんの会のお知らせ (9.13.改訂)

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梅雨の候、皆さまにはいかがお過ごしでしょうか

平素は何かとご支援を賜りありがとうございます。お陰様で名古屋ハートセンターは順調に着実に成長を続けており、通常の医療だけでなく、行き場のなかった重症患者さんを心臓手術にて何名もお助けするなどの貢献ができています。

京都地区や西日本全域の心臓病患者さんも多数お越し頂き、地元の先生方とのタイアップもあって距離感を減らし、患者さん達に喜ばれるのはうれしいことです。

さて世話人の皆様のご厚意にて第6回の患者さんの会の予定が決まりました。

2009年9月19日土曜日午後1時から4時ごろまで、いつもの祇園ホテルにて開催して頂きます。

費用は前回並みを考えてはいますが、できるだけ負担を軽減すべく、世話人の松岡さんが交脈の不整にご注意を渉して下さっており、多少でも少なくなればと思っております。これにつきましては近々ご案内申し上げます。 (註:努力して頂いた結果、2500円になりました)

心臓病の患者さんはインフルエンザの予防や対策を積極的に当日のトピックスは

「不整脈のお話、ペースメーカーも含めて」

「心臓血管外科患者さんを新型インフルエンザから守るには」

で、米田から心臓手術の観点を中心にお話いたします。

その他、自由活発な質疑応答を考えております。心臓手術がらみの悩みで個人的にご相談のある方はその時に簡略にお話頂ければ後日ゆっくり相談の時間を設けたく思います。

おかしいと思ったら早目にご相談を普通の白衣環境ではなかなか聞けない語れないことができる、そうした遠慮ない親しい会にしたく思います。お誘い合わせでもご参加ください。

なおお問い合わせは米田心臓外科オフィス 080-6105-8231 までどうぞ。あるいはこのホームページにあるメールやお問い合わせコーナーをお使いいただくこともできます。

御礼とご報告:患者さんの会へもどる

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お便り12  僧帽弁閉鎖不全症の患者さん

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000943m_b患者さんは44歳男性で高度の僧帽弁閉鎖不全症のためにハートセンターに来られました。

おなじ僧帽弁閉鎖不全症でもいろいろで、僧帽弁全体の4分の3以上が壊れて落ち込むという広範囲の病気のため、

弁の大半の部分に手をつける複雑な僧帽弁形成術になりました。

 

しかしお若い患者さんで弁形成術のメリットが大きい方ですので、さまざまな方法を駆使して人工弁置換を無事回避し、弁形成を仕上げることができました。

僧帽弁閉鎖不全症はきれいに治りました。

長期的にも安定する所見です。

途中でくじけそうになりましたが、患者さんが手術前、敢然と手術を決意して下さったことを思い出し、

逆に励まされる気持ちで粘り強く僧帽弁閉鎖不全症の形成手術を完遂できました。

 

患者さんが医者を育てるというのはこういうことだと実感しました。

以下のお手紙は退院時に投書箱へ入れて下さったものです。

 

************************************

米田先生初め、北村先生、深谷先生、小山先生、また担当戴きました看護師の皆様には心より感謝申し上げます。

米田先生にお会いするまでは騙し騙しぎりぎりまで手術を先延ばしするつもりでしたが、今なら弁形成が可能であり、また置換と形成との効果の相違、また放置した場合と現時点で手術した場合のリスクを、分かり易く比較して説明して頂き、今後のQOLを充分に鑑み家族と話し合い手術する決意をする事ができました。

術前も、先生方が積極的にインフォームドコンセントを含めたコミュニケーションを取って頂き全く不安なく(本人は)手術を受けることが出来ております。

今後は健康な体になり、気兼ねなく仕事に打ち込める事や、高校・中学の2人の息子や妻ともスポーツを交えた楽しい時間を過ごす機会を与えられ社会復帰が楽しみです。

貴院に於かれましては志の高い看護師の方々が、更にスキルアップしようと研修に積極的に参加されている様子などから益々患者からの信頼性の向上が期待され発展される事を信じております。

本当にありがとうございました。

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お便り 11 左房粘液腫の患者さん

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Tutuji_b患者さんは69歳女性で心臓腫瘍の(左房粘液腫)ためハートセンターへ来院されました。

左心房内にある腫瘍(粘液腫)が巨大になり左心房をほぼ埋め尽くすほどで

僧帽弁を圧迫し、一部はちぎれそうで危険な状態でしたので、準緊急で手術を行いました。

 

米田は左房粘液腫を含めた心臓腫瘍でも数十例以上の経験を持っていますが(その経験の一部は英語論文248番をごらんください)、

その中でも最大級のサイズで、再発しないように完全切除する必要があり、

心房中隔のほとんどと、左房や僧帽弁の一部まで切除し、完全切除ができました。

 

さらにそれらを再建し、僧帽弁形成術も併せ行い、心臓は健康な状態に戻りました。

 

左房粘液腫の手術前、危険な状態であることをご説明したときに泣きながら理解し、

前向きに準緊急手術に協力して下さった患者さんとご家族に頭が下がる思いです。

 

以下はその患者さんからの感謝のお手紙です。

なおお便り43も粘液腫の、しかしちがうタイプの手術を要した患者さんからのものです。ご参考に。

******************************

米田正始 先生

この度は命を助けて頂き、何と御礼を申し上げてよいか判りません

一時は気を失う程のショック状態でしたが、先生からの大丈夫ですよという説明を聞き、やっと我に返ったものです。

何千例もの手術を経てこられた先生の自信にあふれた御言葉は、本当に神が存在していると思わせる程でした。又、

術後もあっという間に管が外れ、食べ、歩けるようになり、これも先生始めスタッフ一同の御力添えがあればこそと感謝致して居ります。

まだお世話になると思いますが今後ともよろしくお願い申し上げます。

すてきな先生方、美人の看護師さんに囲まれて、とても幸せでした。

元気になったら、**病院の先生へも御礼に伺うつもりです。本当に有難うございました。

 

***********************

 

患者さんはその後もお元気に暮らしておられます。

外来は私には一種の同窓会のような雰囲気があり楽しみにしています。

以下は心臓手術から3年後にくださったカードの内容です

 

***********************

前略

 
早いもので、先生に命を助けて頂いてから三年経ちました。

先日、先生に御会いしてもう大丈夫だよと声を掛けて頂き、何かホッとしました。

 
今後は一年に一度の検査でいいよと、と言われ、その上米田先生に御会いでき、本当に良かったと思いました。

次回の検査の時も、ぜひ先生に又お会いできたらと思って居ります。

 
お忙しいとは存じますが、先生もどうぞお身体に気をつけ、多くの人の為に頑張ってください。

有難うございました

****

 

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お便り10 オフポンプ冠動脈バイパス手術の患者さん

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Suzuran_b患者さんは大阪在住の77歳男性で、

以前から慢性腎不全のために血液透析を近くの透析クリニックで受けておられました。

ところが長年の透析の経過の中で狭心症を合併され、そのために十分な透析ができなくなり、

このままでは危険な状態になるという段階でご家族から米田正始へメール連絡がありました。

 

すでに状態もあまり良くなく、手術にもリスクがある、カテーテル治療も難しいということで、患者さんやご家族もどうしたら良いかわからない状態でした。

相談の結果、オフポンプ冠動脈バイパス手術 (オフポンプCABG、略称OPCAB)可能と判断し、ハートセンターまでご来院いただきました。

オフポンプ冠動脈バイパス手術(OPCAB)は順調に完了、術後経過も良好で手術8日目にお元気で退院されました。

手術後は透析で水を引いても狭心症もなく、心臓は安定するようになりました。

 

以下はその患者さんのご家族からの感謝のメールです。2通あります。

 

********7月5日のメールです*************************************

米田先生

メールにて失礼いたします。 このたびは父**が大変お世話になりました。昨日退院させていただき、その足で大阪へ帰宅いたしました。

入院に際しては 直接先生よりメール電話をいただき、詳しくお話を伺うことができ、また入院中は何度も病室へ来ていただいたこと 両親とともに喜んでおります。

お忙しい先生が何度も尋ねてくださり、時間をとっていただいて詳しくお話を伺うことが出来たことが手術を受ける決心へとつながったと思っています。 手術は怖いもの、出来ればしないで済めば・・と考えていた父も母も詳しく説明をしてくださったことで病気についてよく理解し安心してお任せする事ができたと言っておりました。

私も自分自身も含め子どもや夫の母の手術に立ち会ってきましたが、今回のように心が平安のうちに手術を受けいれることが出来たことはなかったように思います。本当にありがとうございました。

昨日の退院は思っていたよりもずっと早かったものですから、父も不安があったようです。**(娘さん宅)で1‐2日ゆっくりしてから帰るように勧めたのですが、退院と決まったら少しでも早く大阪に帰りたかったようでそのまま名古屋駅へと送りました。近鉄特急とタクシーで自宅まで帰るのは大丈夫かな?と心配しましたが、無事に着いたから・との電話の声は思ったより元気そうで安心しました。

米田先生より**病院の先生も紹介いただけるとのことで安心して帰ることができたようです。 親身な治療、対応をありがとうございました。

ハートセンターの皆様にも大変お世話になりました。看護師さんにはいつも笑顔で接していただきました。無理をお願いしていたのでは?という事にも丁寧に対応して頂き感謝しています。受付、検査室、食事をはこんで下さる職員のかた・・どこへいっても気持ちよい対応をしてくださり、患者や家族として大変慰められました。

また深谷先生、北村先生、小山先生には毎日揃って回診に来ていただき励ましていただいたと喜んでいました。

これだけの先生方が揃って担当してくださり手術にも診察にも関わってくださるのは貴センターならではの医療に対する姿勢だと感じました。患者の立場に立った体制で治療にあたってくださっていると両親、娘である私たち姉妹、そして私たちの家族、それぞれが強く感じています。

皆様おひとりおひとりにご挨拶とお礼をもうしあげるべきですが、昨日はお目にかかれないままに失礼いたしました。 どうぞ皆様によろしくお伝えください

また今後も診察に伺いたいと思います。 どうぞよろしくお願いします。

心より感謝して・・      7月5日

 

********7月5日のメール続編です*************************************

ハートセンター
米田先生

お忙しい中、すぐにお返事を頂き恐縮いたしております
(中略)
次回診察の件についてもハートセンターさんよりお電話を頂き7月29日(水)にうかがうことになりました。
また よろしくお願いいたします。

メールの掲載の件、お役に立てるのでしたら幸いです。 私たちとしては今まで全く存じ上げなかった先生、病院でしたのにメールやお電話を通してここまで信頼してお任せできたことを感謝しています。

手術(註: オフポンプ冠動脈バイパス手術)で執刀してくださる先生から直接説明を聞き、病状やどのような手術をするのか、またそれが どうして良いのか、ということを知識のない患者に対してわかりやすい言葉で説明していただけたことが決心につながったと思います。

顔が見える治療と言うのでしょうか、チームを組んで治療にあたってくださった深谷先生、小山先生が米田先生とのお話の後、私たちを捜してくださっていて談話室で親しくお話をしてくださり、その日は勤務しておられなかった北村先生も次の日病室まで来てくださったと聞きました。このことでお会いしたばかりの先生方への信頼も深まり、治療をしていただくならここで、という気持ちになったようです。

今まで診察を受けていたところと診断としては同じで、バイパス手術を受けることを勧められていたのも同じです。
説明で違っていたのは心臓を止めなければ十分な治療が出来ないというところだったと思います。そのために手術の時間は7~8時間とのことでこの点が父や母の不安を大きくしていたように思います。 

高齢になって理解が遅くなってきていますので、説明をするのは大変なことだと思います。説明を聞いてもよくわからないことばかりで、何を質問すればよいのかもわからなかった・・と言っていました。手術の安全性を尋ねても「やってみなければわからない」という話しだったそうで、決心がつかないまま2~3ヶ月がたってしまっていました。

初めて米田先生にお話させていただいた際、親身になってお話し頂き、また心臓を止めない方法も可能であることがわかった時 道が開けたという気持ちになりました。今にして思えばあっという間に過ぎた10日あまりの日々でした。

今後もわからないことが出てきましたらお尋ねさせていただきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

先生のお働きが一人でも多くの尊い命に関わってくださいますよう心よりお祈りいたします。 ありがとうございました。

7月5日

******** さらにメール続編です *************************************

米田 正始先生

退院から明日で一週間になります。

手術を受けたのが二週間前だとは信じられないような気がします。 電話での声も少しずつ元気になってきているように思います。

昨日 実家近くに住んでいる妹から連絡があり、ひと月ほど前には半ば投げやりな気持ちになっていた父から、元気になったら美味しいものを食べに行こうとか、どこかへ遊びに行こうという言葉が出るようになってきたと言っていました。

前向きに生きようという気持ちになってくれたことがとても嬉しく、先生にくれぐれもよろしくとのことでした。(中略)

これからもお世話になりますが よろしくお願いします。

 

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執筆:米田 正始
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