心臓手術の今後について―これから大きく変化していく?【2020年最新版】

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手術室と体外循環のようすです最終更新日 2020年3月6日

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◾️心臓外科の今後の道のりは

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1。より高い質を

2。より低い侵襲(からだへの負担)を

とまとめられるかも知れません。

それらの特徴や概説については 心臓手術 の項目をご参照ください。

また個々の病気や手術手技につきましてはそれぞれの疾患の項目や さくいん 等をごらん下さい。

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◾️心臓手術、これまでの道のり

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心臓手術はこの40年あまり、体外循環つまり人工の心と肺を用いて行われ、安全性が年々向上し、

術後長生きやQOL(生活の質)向上を含めて患者さんに役立つ治療となり、発展して来ました。

 

(写真左はオペ室での体外循環の風景です)

 

体外循環中に全身の体温を下げて、一時的に全身への血流を減らすあるいは止めるという方法(低体温循環停止法)も大動脈手術などを中心に活用され、一定の成果を上げました。

胸骨正中切開を赤い線で示します

心臓に到達するためのアプローチにはかつては開胸つまり胸を肋骨に沿って切開する方法 もありましたが、

その後安全確保のために多くは胸骨正中切開つまり胸の真ん中にある骨(胸骨)を縦に二分(もちろん後でがっちり修復再建します)して心に到達する方法(右図の赤いライン)が世界的に主流になりました。

 

このため、心臓手術は

 

1.全身麻酔をかけ

2.胸骨正中切開を行い

3.体外循環(人工心肺)を用いる

4.体温を多少とも下げる

 

というのが標準方法となり、術後しばらくすれば元気にはなるものの、

比較的大きな創と術直後は体への負担がある程度はかかるものとして認識されるようになりました。

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◾️まず体外循環から離脱(オフポンプ)へ

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そこで15年ほど前から3.が見 209623690直され、

心表面の手術である冠動脈バイパス手術などを中心に体外循環を使わない方法つまりオフポンプバイパス術が工夫され発展しました。

 

現在では冠動脈バイパス手術の大半がこのオフポンプで行われるまでになりました。

 

私がイタリアの心臓手術名医・カラフィオーレCalafiore先生に教えて頂いてオフポンプを開始した1999年に、

日本冠疾患学会という学会でこの術式(心臓をひっくり返して裏側の血管を縫います)をビデオ講演した時にはどちらかと言えばまだ変な方法というような印象をもたれたように思ったのを覚えています。

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◾️そして小さい目立たない傷跡へ

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ミッドキャブ手術の左小切開創を示します同じ心臓手術でも弁膜症では冠動脈とはちがって中に入って治す、つまり一度心内を空にする必要からオフポンプバイパス手術はほとんど広がらず、

むしろ2.の胸骨正中切開を右開胸や胸骨部分切開などでできるだけ小さく目立たない創部にするという方向で工夫がされました。

 

冠動脈関係では上記オフポンプバイパスと組み合わせたMIDCAB手術(ミッドキャブ)(左図の赤いラインが皮膚切開)は10年あまり前に一世を風靡しましたが、

心前面にしかバイパスがつけられないので現在は少数になっています。

 

さらには内視鏡やダビンチロボットも併用してより小さな創にする方法手術用ロボット・ダビンチ。世界的には撤退する病院が多く、壁に当たった状態です。今後の改良やコストダウンなどが必要です。も開発されました。

それらの小切開心臓手術は状況や患者さんの年齢によってはメリットがあり、ある程度広がりました。

ロボット(リモコンのマジックハンドであり自分で考えて動くわけではありません)は時間と費用がかかり、性能もまだ不十分ということでその後下火になりました。

 

とくに時間がかかるのは問題で、

心停止時間が多少でも長くなるのは低侵襲の逆で、看板に偽りありと思うようになり、

導入を見送った経緯があります(写真右は第二世代のロボット)。

患者さんの自己負担が大変重いのも問題です。

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◾️試行錯誤?有意義な努力と改善

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また1.の全身麻酔についても、 可能なら全身麻酔や人工呼吸を避けられればより回復が速いという観点から試みがなされましたが、

これは安全や患者さんの快適さも含めた総合点でまだまだ全身麻酔の利点が大きく、多くの場合は全身麻酔が使われています。Nurse_man_shock

 

体外循環中を中心とした低体温も、その利点とともにマイナス面が反省され、最近は次第に体温を上げる傾向が見られます。

その分、よりしっかりとした灌流を確保し、より確実な臓器・全身保護を行う方向にあります。

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◾️低侵襲化への努力は続きます

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このように心臓手術をより負担の小さい、安全なものにする努力、いわゆる低侵襲化の努力は続いていますが、

ここまでのところ上記3.関係のオフポンプバイパスが中心で、

2.関係の小切開心臓手術が少しずつ広がっているというのが現在の状況です。

 

ロボットはより高性能でより小さく安価なものが待たれるのが世界の一般状況です。

こうした経過から近年、2013年ごろからMIDCABを発展させた形のMICS-CABGが一部の施設で試みられています。ロボットは使わず、専用に開発された器械をもちいて、適宜内視鏡と肉眼でCABGを行うことがこれから増えるかもしれません。

 

創を小さくすることは良いことです。難病を含めた心臓病を確実に治すのは真に大切なことです患者さんを守るという本質的観点からは、

心臓病の部分を確実に、短時間で治す、そして速く回復できるようにする、

さらにその良い状態で安定させることが大切であるのは言うまでもありません。

 

そのために弁形成手術弁置換手術左室形成術の改良、

あるいは術中の心筋保護(心臓を守ります)や徹底した止血、

合併症の予防などの努力が行われています。

 

これまで心臓手術の名医と言われる人たちはこれらの点が徹底していたわけです。

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◾️社会復帰を促進するための低侵襲手術

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MICS また私たちは美容目的というよりは社会復帰を促進するという目的で、

胸骨正中切開を避ける右開胸手術

(左図の右側、ある程度MICS(ミックス)低侵襲手術)を安全確保できる患者さんに行って来ました。

MICS3
最近はそれをさらに進めて、

MICS(ミックス)手術ポートアクセス心臓手術とも呼ばれる小さい穴から臓器を治す方向へ進化しています

(右図の右側、これは僧帽弁や三尖弁などに使えます)。

大動脈弁などには少し違う切開法が役に立っています。

 

これまでとほぼ同じ水準の安全性と数倍早い社会復帰が可能となります。

結果的に美容上のメリットもありますがこれは患者さんとよく相談の上、かならずしも主目的とはしていません。

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さらに標準的な胸骨正中切開でも、胸骨の再建法を工夫し、術直後から万歳運動ができ、胸帯も不要で、退院後まもなくクルマが運転できる、ミックスに準じた早い回復ができるようになりました。→→もっと見る

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◾️カテーテル治療を活用する低侵襲なステントグラフト

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上記に加えて15年ほど前から

4.カテーテルを用いた治療法が心臓血管手術にも入ってきました。ステントグラフトは内側から治せるという大きなメリットがありますが、まだ課題や限界も多々あります。

この治療法はステントグラフトEVARTEVAR)と呼ばれ、

とくに下行大動脈瘤腹部大動脈瘤などで発展 し、

現在は胸腹部大動脈瘤でも成果を上げつつあります。

 

まだまだ限界や不明な点もあるのですが、

高齢者や体力のない患者さんを始め、

大動脈が比較的単純な形態をもつところでは活躍するようになりました。

 

日本では井上寛治先生が以前から実績をあげられ(京都にてお世話になりました)、

アメリカで実績を上げられた大木隆生先生(現・慈恵医大)や大阪大学の倉谷徹先生らが完成度の高い治療に育てられました。

 .

実際に私たちの患者さんの声をお聴きしますと、

治療当日から食事ができる、痛みが少ない、

すばやく仕事復帰や社会復帰ができる、

など患者さんの実生活の観点でのメリットがよくわかります。

 

ステントグラフトEVAR)のページをご参照ください。

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◾️カテーテル治療の第二弾、TAVI (タビ)

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この流れは今後は大動脈弁経皮的大動脈弁植込術 TAVI)をはじめ、さまざまな心臓血管手術で活用されるようになるでしょう。

ただしまだまだ不明な点・未完成な点も多く、その発展期には患者さんに迷惑がかからないよう、十分注意しながら慎重に進める必要があります。

 

医療先進国である欧米諸国で、現時点ではオペができないような患者さんを中心にこの新しい治療法が使われているのはそのためです。

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◾️さらに続く低侵襲への努力と工夫

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このように心臓血管手術はその治療成績の改善(要するに、より長生きできる、より元気活発に生きられる)のみならず、

患者さんの体への負担を下げる、低侵襲化(つまりより快適に、より速い回復が得られる)の努力とともにさらに発展していくものと考えられます。

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◆参考ページ

心臓手術とはどういうもの?

心臓外科の名医とは

心臓手術と言われたら?!

安全に必要な症例数は?

病院の立派さと心臓外科の立派さは別?

対象となる病気は?

医師の選び方

私のお勧めは?

術後の社会復帰について 

手術と美容について

必要な検査

術前のオリエンテーション: 

米田正始が考案した心臓手術は

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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岐阜ハートセンター

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Btn_ghc岐阜ハートセンター(左図)は豊橋ハートセンターの三番手として、豊橋ハートの患者様第一の精神をもとに2009年2月に岐阜県岐阜市、岐阜県庁の近くにオープンした。

以前から岐阜で活躍し地域の厚い信頼を受けておられる上野勝己先生(院長)を中心に、

同じく岐阜で多くの実績を積まれた松尾仁司先生(副院長)らが結集し、

さらに私の長年の友人・後輩でもある心臓外科の富田伸司先生が加わって、さながら岐阜の循環器実力派のオールスターのような雰囲気になった。

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そこへ豊橋ハートセンター(写真右)の鈴木孝彦先生、加藤修先生をはじめとした面々や外科からは大川育秀先生がスーパーバイザーとして支援され、

私(米田正始)も名古屋ハートセンターで仕事をする傍ら、及ばすながらその一員として多少とも尽力させて戴いている。

 

医療費削減政策が実行されて年余が経ち、病院間の競争が激しく、経営も大変な今日だが、

患者さんを365日24時間体制で受け容れ、かつ温かい雰囲気の中でハイレベル治療ができる施設は必ずしも多いとは言えない。

患者さんから見れば、まだまだ医療過疎と言わざるを得ない状況がそこにあるとよく耳にする。

つまり岐阜ハートセンターが患者さんや地域に貢献し喜ばれる余地が十分あるわけである。

 

はたして開院後、岐阜ハートセンターは多数のカテーテル治療心臓外科手術などの実績を積み上げ、すでに地域医療に定着して発展を続けている。

 

Person_0116私個人は海外での長年の経験から、公的病院とくに大学病院と柔軟な私立病院は補完的立場にあり、協力しあうことがそれぞれの持ち味を一層引き出すことになると確信するものである。

心臓外科を例に取れば、日本の国立大学病院は多くの場合、手術室が使える日が限定されており、心臓手術を必要とする患者さんがいても病院内部の都合でそれがすぐ提供できないことが多い。

それをハートセンターに代表される私的病院なら受け入れ患者さんのニーズにこたえることができる。

経験豊かな先生の場合は大学病院の先生がハートセンターで腕をふるうこともでき、

その経験やデータは教育や研究にも活用できるし、理にかなった報酬も得られるのである。

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病院同士はたとえ大学の関連病院同士でもライバルであるが、

医師同士は仲間・友人であることを考えると、

国公立大学病院とハートセンターなどの私的病院は有機的協力がもっともしやすいパートナーなのである。

このことは先進国では常識である。

 

岐阜でもこうした世界の常識、それも患者さんに益する協力ができ、患者さんも地域の方々も医療者も張り切って暮らせるようになることを期待するものである。

またその中で岐阜ハートセンターが高い評価を得て発展することを期待したい。

2009.10.記


追記: 2013年10月から米田正始は郷里の奈良にある高の原中央病院に新しく「かんさいハートセンター」を立ち上げました。

これまでのハートセンターとの協力関係は続けつつ MicsAVR、新しいセンターにてたとえばポートアクセス法などのミックス手術(右図、創が小さく社会復帰が早いです)、複雑な僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは左室形成術などでとくにお役に立てれば幸いです。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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名古屋大学病院

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名古屋大学心臓血管外科および血管外科は、伝統ある名古屋大学医学部の胸部外科と外科教室が何度かの再編成ののち現在の心臓血管外科と血管外科その他に分化発展したと聞いている。

濃尾平野の全域にわたって多数の関連施設を有して大きなグループを形成し、幾多の優れた人材を輩出している我が国屈指の有力なグループである。

新研修制度に近いものを遥か昔から実践してこられた点でも進取性を感じる。

 

現在の心臓血管外科教授の上田裕一先生が天理よろづ相談所病院でシニアレジデントあるいはスタッフとして活躍しておられたころ、

著者はジュニアレジデントあるいはシニアレジデントとして医学の勉強から心臓手術手技の習得さらに外科医・臨床医の生き方、果ては遊び方までご指導頂いた御縁がある。

さらに著者が京都大学病院で仕事していたころに、その有力関連病院であった天理病院を部長としてご指導頂いた御縁も加わり、著者がたまたま名古屋地区で仕事するようになった現在も同先生とは親しくさせて頂いている。

 

血管外科の古森公浩教授にも以前からお世話になっている。

著者が京都にいたころには再生医療の講演でも来て戴き、学会などでも当時の弟子ともどもご指導頂いたものである。

 

著者(米田正始)が現在主たる仕事場としている名古屋ハートセンターは、そのルーツである豊橋ハートセンターの哲学を継承し、特定の医局に属さない自由独立した存在がモットーである。

そのため名古屋大学を含めた特定の大学の関連施設ではないが、

大学と民間専門施設のそれぞれの特長を活かした協力・連携関係を昔から考えて暖めて来たため、現在それらの考えを少しずつ模索しつつあるところである。

 

たとえば大動脈へのステントグラフトEVARTEVAR)や血管新生・再生医療では名古屋大学の心臓血管外科・血管外科チームに治療をお願いしており、また若手の研究室での実験研究希望があれば同様にしたく考えている。

その一方、ハートセンターの足腰の強さと柔軟性を活かし、大学病院ではこなし切れない緊急手術などがあれば、ハートセンターがその受け皿となるべく努力している。

また名古屋大学心臓血管外科の関連施設の外科医にも同様に交流を持たせて頂いている。

もちろん学会や研究会などの学術活動では名古屋大学の存在は心強い限りで、同大学心臓血管外科が主催しておられる地域の研究会にも世話人として参加させて頂いている。

 

欧米の先進国でよくみられる、公的病院と私的病院の有機的結合がこの国でも自由にできるようになれば、患者さんにも益するところが大きいし、

医師にとっても研究と臨床の両立、そして国際水準からみた医師らしい待遇と生活の安定いう観点からも有意義であろう。

日本の大学では医師も教官であり、医師としての厳しい勤務と重い責任にふさわしい待遇は得られないからである。

先進国では懐に余裕のある患者さんはやや多い目の保険料を支払い、その分医療機関や医師を選択できる範囲が広くなる。

その多めの保険料で生じた余裕は、経済的に余裕のない一般保険の患者さんたちへ還元される。

 

こうした公的病院と私的病院の好ましい有機的協力関係を求めつつ、

名古屋大学心臓血管外科教室・同血管外科教室との連携を進めたく希望している。

 

2009.10.記

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豊橋ハートセンター

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鈴木孝彦先生豊橋ハートセンターは約10年前、当時国立病院豊橋東病院循環器科で活躍して大川育秀先生おられた鈴木孝彦先生(写真左)が、

同病院心臓血管外科で名を上げておられた大川育秀先生(写真右)および製薬会社にて勤務しておられた白川洋之さんと協力し、

心臓病治療のための患者中心かつ本物の専門施設をという共通の夢をもって開設された専門病院である。

当初は19床のクリニックサイズでスタートし、次第に発展拡大し、現在60余床の、この国を代表する心臓専門病院へと成長して行った。

 

豊橋ハートセンター著者(米田正始)は京都大学病院に勤務していたころから時折この豊橋ハートセンター(写真左)へお邪魔し、何度かライブ心臓手術などをやらせて頂いたが、

そのころから忙しくても仕事のしやすい病院、医師としての喜びを満たせる病院(つまり患者さんに必要な治療を必要な時にだれに遠慮することもなく実施できるという喜び)という印象を持っていた。

 

2007年春からこの豊橋ハートセンターで非常勤ながらスーパーバイザーとして仕事をさせてハートセンターは忙しくてもやりがいがあります頂くようになり、

京大病院を去る2007年9月から半常勤の形でより積極的に関与させて戴いた。

個々のスタッフの熟練度の高さ、優秀さ、プロ意識、仕事量、喜びと明るさは、すべて、国立の施設にいた人間にとっては眼からうろこの連続であった。

自分も含めて国立の施設の職員は給料どろぼうではないかとさえ思ったほどであった。

さらに私の関係で京都や大阪からはるばる豊橋まで来院して下さる患者さんの多くが、

遠いところまで来た甲斐があった、ここは素晴らしい病院ですと言って下さり(「患者さんの声」のページをご参照下さい)、ますますこれまでの怠惰を反省する始末であった。

 

もちろん厳しい医療費抑制政策の中で、

民間施設が公的資金の援助なしで立派に運営し、24時間365日体制で患者さんを守ることの経営上の大変さも学ぶことができた。

 

名古屋ハートセンターその豊橋ハートセンターがさらなる発展を期して大都会名古屋と元来のサポーターの多い岐阜に進出するという話をお聞きし、願ってもないことと、参画させて戴くことになったのが2008年であった。

著者は縁あって名古屋ハートセンター(写真左)担当となったが、

現在も豊橋との交流を密にもち、開設時のスピリットを忘れないように心がけると同時に、

その壁を破り、新しい時代の都会の高度専門診療を加味できればと思うこの頃である。豊橋ハートの女サムライです。実力派です

 

豊橋ハートセンターのサムライですこの6月に豊橋ハートセンター10周年の記念式典が豊橋にて行われた。

親戚のような立場で参加して、懐かしい仲間との旧交を温めることができた。

個人的に最も感動したのは豊橋ハートセンター開設時からのサムライ職員全員が壇上に立たれた時だった。

最後にものを言うのは人材の質、とくに技(わざ)と心(こころ)であり、こうしたサムライがいることが豊橋ハートセンターを群を抜く存在にしたということを実感した。

医療崩壊を起こしている施設とは反対の状況がそこにあった。

またそうした人材を育てられた鈴木先生や大川先生らの力量と御苦労に感嘆した。

 

ハートセンターグループのルーツである豊橋ハートセンターが今後も充実発展することを楽しみにするものである。

 

2009年9月記

追記: 20 Cameraroll-1323102669.27103612年4月から米田正始は3センター心臓外科の統括部長として豊橋ハートセンターでも仕事をしております。

手術は主に名古屋にて行っておりますが、適宜豊橋でも行うことが可能です。

ポートアクセス法などのミックス手術、複雑な僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは左室形成術などでお役に立てれば幸いです。

 

 

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11.名古屋ハートセンターについて

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異動のご挨拶: Ttk007-s

名古屋ハートセンターを多くの方々のご支援のもとに立 ち上げた2008年10月から丸5年が経ちました。

お陰さまで、名古屋ハートセンター心臓血管外科は年間300例近い心臓大血管手術やさまざまな難手術をこなす、名古屋屈指の病院に育ちました。厚く御礼申し上げます。

さて私、米田正始は実家の事情により2013年9月をもちまして名古屋ハートセンターを退職し、2013年10月から郷里奈良県と京都府の県境にある高の原中央病院にかんさいハートセンターを立ち上げるため異動いたしました。(現在は大阪府の医誠会病院(外来、手術)、仁泉会病院(外来)で勤務しております。)

5年間、本当にありがとうございました。名古屋で仕事ができたことは私の心臓外科医人生の中で大切な宝物となりました。

 

名古屋HC5年間実績名古屋ハートセンターでは5年間で1000例近い心臓手術(含、2013年9月までのもの)を行うことができ、新しい手術や難手術などを学会などで多数発信することができました。これらに大血管手術を入れると最終年は280例近くにまで成長しました。関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

右のグラフはその足跡を示します。2013年の9月までも2012年と同様のペースで忙しく手術をこなしていました。

私の志を同病院の仲間たちが引き継いで、ますます発展させてくれると信じています。皆様には長い目で見守って頂けましたら幸いです。


名古屋ハートセンターで米田正始の心臓手術を受けて下さった皆様へ: 絆をいつまでも大切にしたく存じます。何かご心配やお困りの際にはいつでもご連絡ください。

 

記事:

 

1)名古屋ハートセンター心臓血管外科   1年を振り返って

名古屋ハートセンターはおかげさまで昨年10月に開院1周年を迎えました。

1b)1年半時のご報告

名古屋ハートセンターHP に掲載いたしました。赤い帯のところをクリックしてください

1c)3年が経って: パンフレットもあります

 

2)ルーツとしての 豊橋ハートセンター 

3)新たな仲間、岐阜ハートセンター

4)連携施設やお世話になっている施設、地域医療のパートナー(皆様、大変お世話になりありがとうございました)

国立循環器病研究センター、、、

名古屋大学病院、、、

名古屋市立大学病院、、、

藤田保健衛生大学病院、、、

愛知医科大学病院、、、

大和成和病院、、、 Ilm17_da05017-s

名古屋徳洲会総合病院、、、

名古屋医療センター、、、

名城病院、、、

三重ハートセンター、、、

名古屋第二赤十字病院、、、

名古屋市立東部医療センター東市民病院、、、

東海循環器病診連携フォーラム、、、

 

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名古屋ハートセンター 心臓血管外科

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註: 2013年(平成25年)9月末をもちまして米田正始は丸5年間お世話になった名古屋ハートセンターを退職いたしました。これまで皆様から戴きましたご厚情に厚く御礼申し上げます。しばし郷里・奈良県に新たな施設を整備したあと、

2016年(平成28年)8月から大阪府東淀川区にある医誠会病院にスーパーバイザーとして着任いたしました。何かありましたらこちらまでいつでもご相談ください。


名古屋ハートセンター
(写真左)は有名な豊橋ハートセンターが発展し大都会へ進出したものです。

ここでは開院1周年の時点での想いを含めたご案内をさせて戴きます。

 

豊橋ハートセン名古屋ハートセンターの正面玄関と建物ですターの「患者様第一の高度な循環器専門病院」「技を尽く 創立者・鈴木孝彦先生です。患者さんのために頑張れる幸せをかみしめ、70歳まで腕を磨き続けなさいと言われて感動しましたし心を尽くす」という鈴木孝彦先生(写真右)の哲学を受け継いで、

昨年2008年10月 に名古屋市東区の名古屋ドームの近くにオープンしました。

名古屋大学名誉教授で初代愛知県病院事業丁長であられた外山淳治先生を院長とし、

循環器内科の実力派である松原徹夫先生と心臓血管外科代表の著者(米田正始)が副院長として現場の指導にあたるという体制でスタートしました。

理事長でもある大川育秀先生がスーパーバイザーとして毎週来られることになりました。

2009年2月にオープンした岐阜ハートセン ターを合わせて、3つのハートセンターが協力して動きを始めました。

 

著者と名古屋ハートセンターの関係は2007年4月から豊橋ハートセンター(写真右)にて非常ルーツである豊橋ハートセンターです勤で仕事を始めたころから始まります。

当時勤務していた大学病院を遠からず辞めて、

今度こそ組合本位ではなく患者本位で、必要な心臓手術や治療を誰に遠慮することもなく、思う存分できる、そういう病院を考えていた著者に、

名古屋ハートセンターのお話が来た時には、これだ!と思ったのを覚えています。

そうこうしているうちに、その心臓血管外科部長兼副院長の大役を仰せつかることになりました。

豊橋ハートセンターの実績と方法の上に、国内外の大学病院での技術や経験を加味した充実の医療を目指してスタートしました。

 

もちろんセンター開設当初は、関連した病院も医院もない、初めての土地で、公的資金の援助もなく、

まして現代の厳しい医療費抑制政策の中で新しい専門病院がうまく成り立つかどうか、

当初は誰にもわかりませんでした。

 

救急や緊急をすべて受け入れる、ここから名古屋ハートセンターは始まりましたただ調べてみますと、名古屋ではまだまだ循環器の専門施設が弱い、足りない状況がわかりました。

とくに緊急手術を断られて病院めぐりをするケースが少なくないことがわかり、

それなら名古屋ハートセンターが患者さんや地域に貢献できる余地があると確信するようになりました。

たとえば急性大動脈解離に対する弓部大動脈置換術

不安定狭心症に対する冠動脈バイパス術とくにオフポンプバイパス術

大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術

感染性心内膜炎に対する弁形成術または弁置換術などですね。

 

また高度な専門施設がまだまだ不足している状況があると聞き、この点でも貢献できるのではないかと思うようになりました。

たとえば複雑僧帽弁形成術大動脈弁形成術

あるいは左室形成術難治性心房細動や状態が悪い透析などでのオフポンプバイパス手術 

低心機能の開心術、再手術や再々手術・再々々手術、成人先天性心疾患などですね。

名古屋ハートセンターが患者さんや地域に役立つ病院になるとすれば、経営的にも徐々に成り立つはずだと確信しました。

 

開院し、当初は総力戦の感覚で患者さんの治療にあたり、徐々にチームを磨き、手術例数を日々反省と改良を積み重ね、重症が多くてもいつの間にか150連勝を超えました増やして行きました。

重症例を断らない、他病院で断られたとか治療不成功となった患者さんも引き受ける(頑張れば患者さんが助かる、そうすれば元の病院もまた助かる、皆助かる)、

というポリシーを実践するなかで、多くの患者さんにお役に立てると同時に、若干名の患者さんを救命できないことが当初ありました。

それらのケースを徹底反省・検討し同様の患者さんが今度来られたら一味ちがう結果を出す、そうした努力を積み重ねました。

 

立ち上げの努力は、努力と言っても苦労の中に笑顔がこぼれるようなものであったのは幸せなことでした。

何より有り難かったのはこのハートセンターの理念を評価し、応援して下さる先生方や患者さんたちが多数いて下さったことでした。

さらに全職員が職種を超えて献身的に努力してくれたのも見逃せません。

 

医療者も病院も患者さんとともに進むことで、成長して行きます努力が徐々に結果として現れ、名古屋ハートセンターは開院一年で150例近い手術 を行い、

うち132例が開心術つまり心臓の本格的手術で、

かなりの重症例や大手術が多いなかで欧州データベースでの予測死亡率の約4分の1の死亡率まで改善できました。

ただ一例一例を丁寧に慎重に治療して行くことに今後も変わりはなく、その結果としてより多くの患者さんが助かればうれしいことです。

 

2009年の一年間では開心術135例と大血管手術15例の計150例を行い、

2010年3月から毎月20例以上の開心術を行うまでに発展しています。

重症も緊急も断らず、最近15カ月間、心臓手術で死亡ゼロを続けています。

 

また難しいオペを皆で頑張って成功させるなかで、国内外のジャーナルや学会で発表して世の中に役立てて頂けるようなケースが多数あり、順次発表しつつあります。

そうした検討結果をまた今後の患者さんの治療に役立てたく思います。

たった一年半で、いくつもの感動を患者さん・ご家族・チームの諸君から戴きました

(このホームページの患者さんの声のところをご覧ください)。心臓で困ったとき、心配な時はご相談を

 

心臓血管外科手術を受けることを考えておられる患者さん におかれましては、

現在受けてお られる治療で困ったり疑問がでるようでしたら一度ご相談下さい。

 

手術が必要かも知れない患者さんをお抱えの循環器科・内科や開業医の先生方には、確定診断や手術適応が不明な段階でもご連絡下さい。

内外のガイドラインEBMをもとに的確な診断や適応を検討しておりますので、お役に立てると存じます。

 

電話予約や窓口で「米田副院長希望」と言って頂ければ米田が責任もって対応いたします。

当然のことですが、そのための費用は発生しません。


なお病診連携の基本に則って、ご紹介には治療後に逆紹介でお応えしています。

それによって地域医療全般の発展にお役に立てると存じます。

 

名古屋ハートセンターは患者さんだけでなく、実力派の心臓外科医にもお役に立つ存在になり得ると思います。

こうした私的専門病院が欧米では大学病院で研究と臨床に頑張る先生方にも大いに役立っており、なくてはならないものとさえ認識されていることを踏まえ、

今後名古屋でも大学病院や公的病院の外科医のお役に立てるような仕組みづくりを進めたく思っています。

2009.9.記

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11. 名古屋ハートセンターについて へもどる

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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付き添いさんについて―新たな役割それは、、、【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月4日

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◾️いわゆる付き添いさんは

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通常とくには必要ありません。

いわゆる付き添いは殆ど不要ですが、ポイントどころのみ患者さんの励みになる付き添いや訪問は喜ばれます中でもICU(心臓集中治療室)に患者さんがおられる手術直後(通常1日、重症患者さんでも平均1-2日)は

医師・ナース・技師らが常時そこに居ますので付き添いは不要となります。

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◾️付き添いよりも必要なのは

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ただ、ICUに滞在中の患者さんの回復を促進するという観点からは、

付き添いではなく、ちょくちょく訪問して頂き、話をしたり聞いたり、それも世間話や患者さんが好きな話題を持って来て頂きますと、患者さんの回復に大変役に立ちます。術後は社会復帰を目指して体や心を活発に動かすことが健康回復に役立ちます

世間でよく言う「ICUシンドローム(ICU症候群、ICUに長くいると、一時的にどこかおかしくなること)」はこうして予防なり早期解決しやすくなります。

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それと術翌日は通常は一般病棟の重症個室へ移動して頂き、社会復帰への第一歩を進めて頂きますが、

この時点ではご家族がちょくちょく訪問して下さると患者さんの気持ちも前向きになり回復にも役立ちます。

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◾️いわゆる「静養」は体に悪い?

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意外に知られていないことのひとつとして、心臓手術のあとは、じっと仰向けで寝ている、いわゆる「静養」は体に大変悪いのです。

それは肺の背中側にたんが貯まり、発熱や肺炎の原因になるからです。

A309_066ご家族と語らい、そのために起きたり座ったり、可能なら立ったりすることが心臓手術後の回復には大変良いわけです。

これらについては、医師や看護師などの医療者とは一味ちがう良さがご家族やご親友にはあるのです。

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まもなく患者さんは一般病室へ移られ、ふつうに動いたり歩いたりできるようになり、それからはむしろご自分で身の回りのことをやる方が良いリハビリ、トレーニングになります。

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患者さんがアットホームな形で、ICU症候群で困ることも少なく回復して行けるように工夫しています。

大部屋でお互い声をかけたりできるため社会復帰ilm17_bc03003-sのための良い練習になります。

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◾️ご家族もチームの一員です

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ともあれ医療は医療者のみならずご家族も、そしてほかならぬ患者さんご自身も大切なチームの一員です。

皆が一致協力して「やったるでー」となれば、手術のあとの回復のスピードアップに役立つというものです。

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10. よく戴くご質問へもどる

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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お便り17 エホバの証人の患者さん

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その方の宗教や哲学、人生観は大切に尊重されるべきと思いますエホバの証人という宗教を信仰する方々は宗教上の理由から輸血を拒まれます。

信仰はその人にとってはいのちと同じほど大切です。

私たちは信仰の自由を尊重するため、エホバの証人の信者さんの無輸血についても極力尊重・協力しています。

確かに大きな心臓手術あるいは出血しやすい状態とくに再手術(二度目の手術)のときはかなりの工夫が必要で、簡単ではありません。

患者さんやご家族と十分に話あい、納得できる方針でベストを尽くすようにしています。

 

ある60代のエホバの証人の患者さんが、昔、他の病院で冠動脈バイパス手術を受けられました。

年月が経って病気が進行し、狭心症が取れず、命の危険が迫る状態で、もとの病院での手術を断られ、ハートセンターへ来られました。

バイパス手術が唯一の救命手段でしたが、2度目の手術は出血がやや多くなり、輸血ができないときには危険性が高くなります。

そこはこれまで多数のエホバの証人の患者さんをお助けして来た経験を活かして工夫し、無事手術成功しお元気に退院されました。

 

以下はその患者さんからの感謝のお手紙です。なお個人情報は伏せさせて頂きました。

 

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米田正始 先生

拝啓 朝晩は涼しくなって虫の音も澄みわたるこのごろですが、米田先生にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

今年の3月*日に、ハートセンターにて冠動脈バイパス手術をしていただきました**です。早いもので手術後もう半年が経過しました。手術後の経過は非常に順調で充実した毎日を元気に過ごしています。これも米田先生をはじめハートセンターの高度な医療技術と、わたくしたち患者に対するやさしい心のこもった医療のおかげです。

今こうして再び健康で楽しい生活を享受できますことはひとえに米田先生やスタッフの皆様のご尽力の賜物と心から感謝を申し上げます。

わたくしは若いころから心臓が悪く30才の時に1度目の冠動脈バイパス手術を受けています。そして今回が2度目の手術でした。このこと自体が大きなリスクとなっていましたが、その上にわたくしは信仰上の身上により輸血をすることができません。このような2つのリスクを抱えておりましたので、わたくしの手術を執刀してくださる先生には非常に大きな負担をおかけしたことと思います。

果たしてわたくしのようなハイリスクを抱えている患者を受け入れて下さる病院が日本のどこにあるのだろうと不安におののきながら妻とともにハートセンターを初めて受診したのは今年の2月のことでした。

ところが、わたくしと妻の不安はいっぺんにどこかへ吹き飛んでしまいました。

それは、診察してくださった米田先生の「たしかに難しい手術で、大きなリスクは伴いますが、万全の体制のもとで手術を行いましょう」と言ってくださったその言葉に安堵感と病気に立ち向かう勇気とを得ることができたからです。初診のその日に必要な検査も行ってくださり、心が軽やかになって家路につきました。

帰りの車の中では妻と「すばらしい先生に出会えて本当に良かったね」と語り合いながら帰ったことを昨日のことのように思い出します。

そして、手術に際しましては万全の体制をしいてくださり、いよいよ3月*日の手術日をむかえました。すばらしい先生方と医療スタッフのチームワークの努力のおかげをもちまして、わたくしのハイリスクな手術は成功しました。

今は、長年にわたる胸痛の苦しさから解放されて喜びに満ちた生活を送ることができています。

まるで二度目の新しい人生をいただいたような健やかな毎日を楽しんでおりますことをお伝えしますとともに、わたくしの心からの感謝を申し上げます。これからも米田先生や名古屋ハートセンターのご発展をお祈りするとともに、わたくしのような非常に難しいリスクを抱えている患者のために益々ご尽力していただきますようお願い申し上げます。本当にありがとうございました。

敬具

2009.9.18. *****

 

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元・京都大学医学部教授
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4b) 下肢の閉塞性動脈硬化症に効く手術は―正しい選択を

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近年、高齢化や食生活の変化のため動脈硬化症が増えており、下肢の閉塞性動脈硬化症もずい下半身を支える動脈です。これらが詰まったり狭くなったりすると治療が必要になりますぶん増えました。

よくあるパタンは腸骨動脈(腹部大動脈がおへそのあたりで左右に枝分かれした直後の動脈です)や大腿動脈(腸骨動脈より足側の動脈です)、その先にある浅大腿動脈膝窩動脈などが細くなったり詰まったりする形です。いわゆるASOですね。

歩くと足が痛むのは要注意です。こうなりますと、ある程度歩けば下肢が痛みます。そこで休憩すると痛みが取れますが、再び歩きだすと、しばらくしてまた痛みます。下肢の動脈の状態が悪くなればなるほど、その歩ける距離が短くなり、さらに悪化すれば、安静時つまりじっとしていても痛くなります。

脊柱管狭窄症という脊椎(つまり背骨)の一部が狭くなって神経痛が出る病気と症状が似ることがあり、診断が大切です。

ASOがさらに悪化すれば、足に潰瘍ができて強い痛みに苦しんだり、足が腐ってきて痛みと毒素が全身を侵すため、命を救うために足やゆびを切断する場合もあります。

上記の太い動脈レベルでの病気(狭くなったり詰まったり)で、かつその足側の動脈がまずまずのサイズと形を保っていれば、下肢血管のバイパス手術によって改善します。痛みも改善し、歩く距離も伸びる方が多いです。

下肢動脈の血行再建のためのバイパス手術を示します具体的には動脈が狭くなったり詰まったりする病気の部位によって、大動脈―大腿動脈バイパスとか大腿動脈―膝窩動脈バイパスなどがあります。左に模式図を示します。

また状態の悪い方、超高齢の方などには負担が少ない方法として、大腿動脈ー大腿動脈バイパス(左図)や腋窩動脈ー大腿動脈バイパスなどで安定化を図ることもあります。

カテーテルで動脈を広げる治療(PTAと略します)も近年進歩し、状態の悪い患者さんや、病変部が短い患者さんあるいは糖尿病血液透析などの基礎疾患が比較的穏やかな方には適応になることがあります。

それらの選択は内科の先生方とも相談して、もっとも患者さんに合うものを選ぶようにしています。

 

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5. 動脈硬化症 の扉のページに戻る

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第6回患者さんの会のご報告と御礼

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心臓血管外科患者の皆さまHaibisu

昨日9月19日(土曜日)には第6回患者さんの会に多数お集まり戴き、ありがとうございまし た。懐かしいお顔を拝見し、元気と勇気を頂きました。

シルバーウィークの一日目、それも晴天の行楽日よりにもかかわらず、50数名の方々にお越し戴き、会場は賑やかな雰囲気に包まれました。新型インフルエンザが流行するというタイミングになってしまいましたので、名古屋ハートセンターからサージカルマスクを配布させて頂きましたが、風邪症状の方がおられなかったのは幸いでした。

今回は心臓手術がらみの不整脈やペースメーカーのお話をさせて頂きました。多数の前向きのご質問やご意見を戴き、役立つ内容でしたと多数の患者さんから喜んでいただきました。

新型インフルエンザのワクチンは従来型と同様、お勧めですまたこの時節ですので、新型インフルエンザの予防法と発症した場合の対策、とくに重症化を防ぐ方法をお話させて頂きました。心臓手術を受けられた患者さんの全員がこの秋冬を安全に過ごして頂ければと念じて、コツをご紹介しました。

さらにタイ国で始めました心臓の再生医療と心臓手術の成果をご紹介し、京大病院でもこれまで私が指導してきた下肢の再生医療(bFGFをもちいた血管新生)が評価され、探索医療センターの正式プロジェクトとして採用されたことなどもご報告いたしました。

定期的に患者さんにメールで情報をお送りするメールマガジンをご紹介しました。このホームページの右段中ほどをご覧ください。

今回もジーンとくる体験談やお話を数名の患者さんたちがご披露下さり、他の患者さんから役に立った、元気が出たという声をお聞きするとともに、私自身も医師冥利に尽きる喜びを感じました。

全さんが作って下さったケーキはいつもおいしいですいつもお世話戴く世話人の松岡さん、全さん、中村さんはじめ、ご協力下さった皆さまに心から御礼申し上げます。松岡さんはホテルとの交渉はじめさまざまなご支援を下さり、全さんは手作りの美味なケーキを出して下さいました。

なお個々の患者さん全員とはお話はできなかったため、もしご質問やご相談がおありの場合は、遠慮なくオフィスかこのホームページにご連絡下さい。

次回はインフルエンザが一段落すると予想される来年2010年3月に、おそらく同じ会場(祇園ホテル)にて開催して戴くことになりました。詳細が決まればまたご案内させて頂きます。トピックスとしてメタボ対策、食べても痩せられる新しい方法(低炭水化物ダイエット)をご紹介する予定です。

それでは来年3月にまたお元気なお姿を拝見できるのを楽しみにしております。なお何か御心配などがありましたらいつでも米田心臓外科オフィスか名古屋ハートセンターへご連絡頂ければ幸いです。

2009年9月20日

米田正始 拝

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