お便り110: ポートアクセスで心房中隔欠損症や心房細動などを完治された患者さん

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心房中隔欠損症(略称ASD)は先天性心疾患のなかでは一番多いもののひとつです。

多くはこどものころに検診などで発見され、こどものうちに手術を受けていただくのですが、検診でわかりにくいときなどにはそのままとなり、成人になってから心臓が大きくなったり心房細動などの不整脈がでたり三尖弁閉鎖不全症171107243を併発して心不全になってから病院に来られることも少なくありません。

以下の患者さんは岐阜県からかんさいハートセンターまでお越し下さいました。

長年の無理が影響してすでに慢性心房細動となり、心房中隔欠損症の血液の漏れのため右心室が巨大化し三尖弁の逆流も強くなっておられました。軽い運動でも息切れが出るほど心不全になっておられました。

手術ではミックス法・ポートアクセス法で骨も切らず、小さい創で上記の3つの病気をすべて一回で治しました。

お元気なお顔を外来で拝見するのが楽しみになっています。

157563164以下はその患者さんのブログからの引用です。ブログそのものも

さわさわ と・・・
 心臓手術をポートアクセスでしました 
   手術のこと・・日常の思いなど記します

というタイトルでさわやかで親しみやすいものです。心臓手術をご検討中の患者さんには参考になれば幸いです。❤こちらをご覧ください

なおここでは手術前日、当日、退院日、半年後、一年後の記事をUpさせて戴きました。それ以外はブログのほうをご覧ください。

***********患者さんのブログから**************

こんにちは!

このブログに来ていただきましてありがとうございます。
心臓手術のことだけではなく日常の事も織り交ぜて更新しています。

2014年1月 かんさいハートセンターで心房中隔欠損症、三尖弁形成、メイズ手術をしました。
その時私が感じたことを残しておきたいと思いブログを始めました。

心臓の手術はどうして怖いのでしょう?

特別な場所・・・
よくわからない事・・・

得体のしれないものは怖いです。
だったら「知ること」から始めましょう。
自分の事、心臓の事を知ることで、きっと恐怖は少なくなります。
手術や治療に前向きになれると思います。

心臓はほっておいてもよくなることはありません・・・

 

******* 手術前日の記事です ******

2014年07月**日(*)

手術日前日は麻酔科の先生やICUの看護師さん、

リハビリの担当者などが次々と来て説明を聞きました。

手術室やICUも見せていただきました。

(やっぱり明日手術なんだ・・・)

まだピンと来ていないのか、

特に不安もなく落ち着いていました。

夕方18時頃から先生のお話(インフォームド・コンセント)があるということで主人と娘が少し早めにやってきました。


手術に対する不安はありませんでした。

長年不安を抱えてきて、

やっと手術が受けられるのだから、安心していました。

それも米田先生の手術です。

心房をゴアテックスで塞ぎ、

三尖弁の形成をする。

僧房弁の状態が悪いようなら治すが、

問題なければそのまま。

心房細動はメイズ手術で治す。

これをポートアクセスで、

右の胸を少し切って行うということでした。


「右胸から心臓までの距離が遠いですが、見づらくありませんか?」
という私のばかげた質問に

「今ここで見ている20センチくらいの距離を見るのと変わりません」

と説明いただきました。

手術は15時頃に終わると言われ、

3時間前後かと思っていた私は、少しびっくりしました。

危険性なども説明いただきサインをして終わりました。


明日の手術の時間を確認して、主人と娘は帰っていきました。


******* 手術当日の記事です ******

2014年07月**日(*)
いつもと何も変わらない朝

起きると排便があったので
浣腸はしませんでした。(よかった!!)

7時頃にはシャワーを使いました。
ぜ~んぶきれいに洗って、
まな板の上のコイ?の心境でしょうか。
前日におへそのゴマもチェックされましたし・・

特に手術前に特別なことがあるわけではなかったので
落ち着いていられました。

他の病院では、剃毛をするという話を聞きましたが、
何も言われませんでした。
実際は麻酔が効いてから、

鼠蹊部近くを少しカットされていました。

家族も到着し後は時間が来るのを待つだけ。

午前9時半
みんなで歩いて6階の手術室へ。

そこで家族とはお別れ、
二度と会えなくなるというような思いは一切ありません。
身内のほうが、私よりも心配していたと思います。
ちらっと見た主人の姿が、心細げに見えたのでした。

扉を入ると、キャップ(白いふわふわのやつ)をかぶせられ

狭い手術台に自分で乗りました。
自分でもわからないのですが、わくわくするような気分もあり

少しも怖くはありませんでした。

すぐに麻酔が効いてあとは全く覚えていません。

手術は17時になっても終わらないと

娘が気をもんでいたというので、結構長引いたようでした。
その後主人は、先生から図を描いてもらい詳しい手術の説明があったということです。

ICUに運ばれた後で家族が面会したというのですが、
これも全く覚えていません。

のちにリハビリの泉さんに聞いた話ですが、

寝かされている私を見て主人が一言

「お前、サイボーグみたいだなぁ」と言ったそうです。

そういえば手術前に

「術後はたくさんの管が10本くらい体につながっているので、驚かないでください。」

と言われました。

私はまだ意識が戻っていませんから何も知らなかったことですが。

(写真を頼んでおけばよかった~)

 
気が付いたのはICU

誰かの呼ぶ声が聞こえてふわふわとぐるぐるとした感じで
それでも返事が出来ないのがもどかしかった。

一生懸命目を開けようとしていた気がします。

先生の腕が目に入りました。

やっと目が覚めた。

「終わったんだ!」

でも喉の奥がヘン

人工呼吸器?

何かが喉の奥にあたって吐きそう・・

すぐに外してもらえたのですが

今度は喉が渇いて仕方ありません。


看護師さんに頂いた水が「おっいっしい~!!」

お水ってこんなにおいしかったんだ!

その後も氷をいただき喉の渇きを潤しました。

 

******* 退院時の記事です *******


2014年07月**日(*) Bara

2日後

元の4人部屋に戻りました。

手術中に部屋の人数は私の他1人になっていました。

私より10歳ほど年上のその方は

手術は終わって人工透析が必要になり、

いまだ退院のめどが立たないようでした。

 

私はリハビリをがんばって早く回復するしかありません。
まだ足元がふらついていました。

少しふらつきながら点滴をぶら下げて、
両側から支えられて病室の廊下を歩きます。

 

廊下をどこまで歩いたかで

歩行距離を計算します。

この後毎日何メートル歩いたか記録するようになりました。

 

夜中に痰が絡むので「クッ!カッ!」と言って

うるさいんだろうな~(ごめんなさい^_^;)

ポータブルトイレの音もごめんなさい!

そのたびに心の中で謝っていました。

それが大部屋のつらいところですね~

反面、いろいろな話ができるのがいいところ。

気分も明るくいられます。

 

毎朝採血と体重測定があります。
血液検査によって薬の種類や量を決めていたようです。

体重は体に水が溜まっていないかむくみを知るためです。

前日より1キロ多く数字が出たことがあって

測り直したことがありました。

結局機械が狂っていただけでしたが・・

 

切ってあるのは右胸の下と右足の付け根。
回診に来た増山先生に胸は何センチ切ってあるかと尋ねると
「6センチ」との事
ちゃんと測って切ったと言われました。

 

足の付け根は人工心肺のために4~5センチ切ってありました。

その他に左首にやや大き目なドレンの穴、

右胸の上部脇の下あたりに穴が一つ、

右の鎖骨あたりに跡があります。

 

手術直後から創はほとんど痛みません。
手術後に痛かったのは、
手術の創ではなく右肩から背中にかけてでした。
ポートアクセスの際、

右手を挙げる体勢で手術するからだそうです。

しばらくの間、看護師さんに背中に湿布を張ってもらいました。

 

この頃には腰痛もずいぶんよくなっていました。

背中の痛みのほうが気になって仕方ありませんでした。

 

また、深呼吸をすると、胸が(肺が)痛い。
これは手術でしぼんだ肺が元通りになるまでは仕方ないそうです。
「早く肺を元に戻すために深呼吸をしてください。」と言われました。

5日後には自転車のマシンをこいで汗だくになり、
それから毎日負荷を掛けながら20分。

リハビリのマシンに心電図のモニターがついているのですが、

規則正しいリズムで、どんなに息がはずんでも乱れることがない。

・・・感激でした。


この頃にはシャワーも使えるようになっていました。

気持ちがいいと思えるのは幸せなことです。

 

術後米田先生が病室を訪ねてきて

「肋間神経ブロックをしてあるから痛みはないはずですが、

どうですか?心臓の下の方もしっかりメイズ手術しておきましたから」
と言って下さいました。

本当に痛みがないのです。

神経の麻痺は2~3か月で戻ってくるようです。

しびれているような感覚があるだけです。

この後ず~~っとぴりぴりとした感覚は半年ほど続きました。

 

暇なときはリハビリを兼ねて、院内を散歩していました。
この病院は院内にローソンがあり病衣のままで買い物に行けます。
文庫本も少しあり、2冊ほど買って読みました。
浅田次郎「鉄道員・ぽっぽや」良かったです。

ヨーグルトが食べたくなって買いに行きました。

コインランドリーの洗剤も買ってきました。

 

このころ退院したら
絶対に食べたかったもの「激辛のラーメン」!!

今から思うとあっという間でした。

いつも優しく接していただいた看護師さんたち

その仕事の大変さを改めて知り本当にありがたく思いました。


******* 術後半年のブログ記事です ********


2014年07月**日(*) Hana_1

 

地元の循環器の先生が米田先生のお知り合いということで、

逆に紹介をいただき最近は地元で薬をもらっています。

 5月に奈良に行ったときは、
旅行気分でひとり電車に乗りました。
あの1月の入院の時とは全く違った気持ちで奈良へ行くのが楽しみでした。

後は1年後に来て下さいと言われ、
帰り際「気を付けてお帰り下さい」
との先生のやさしい言葉に感激して帰ってきました。

 順調に回復しているようです。

 しっかりとメイズ手術をしていただいたせいか、
不整脈も起きていません。

 規則正しい脈拍に安心する毎日です。

 頭痛も以前と比べると随分減ってきました。

 毎日のウォーキングもなるべく欠かさないように、

 姿勢と呼吸を意識して速歩だったり、

 少し走ってみたりしながら行っています。


田舎なので、周りの景色の美しさに改めて感動しています。

 筋力がつくようなストレッチも時間があればするようにしました。

 ただ、私の性格からいって
なにごともほどほどに出来ないこともあり、

 それがストレスにならないようにしなくては

 ・・と思っています。


最近、地元の循環器の先生に言われたことは

 「せっかく米田先生に手術してもらったのだから・・」

 という言葉でした。

 少しの動悸にも「心房細動?」と不安になり

 体のことばかり心配していた私に

 そのとき先生がおっしゃったのです。


以前よりも確実によくなっているのに心配ばかりして、

 毎日を楽しめないようでは手術をした意味がないのではないか

 ・・というようなニュアンスでした。


何のために手術をしたのか。
これからの人生を楽しむためにしたのではなかったか。・・・

 体をいたわりながらも充実した楽しい毎日を送ることに意味があると思います。

 半年にしてあらためて気づきました。

「せっかく米田先生に手術してもらったのだから・・・」

 ・・ですね!

 
自分の体に起きていることが不安だったり
信じたくないと思うのは仕方のないことだと思います。

 
それでも自分で行動を起こすことが
少しでも良くなる方向に向かうとしたら、
いろいろな方法を試してみるべきだと思います。

 私は迷った末に米田先生にメールを送ったことですべてが始まりました。
こんなに穏やかな気持ちで心臓の手術を受けられるとは思ってもいませんでした。
そして今、本当にありがたく毎日が幸せです。

 皆様に感謝です。
この手術で、一旦は自分の心臓が止まってしまったにもかかわらず、こうして生きていける。

 そのために尽力される医療の立場の方々には
本当に頭の下がる思いです。

 今まで気にしなかった自分の心臓が、とても気になります。

 私は、この先もきっと心臓に関しては、

 興味を持たないではいられないでしょう。

 ただ、心配はしないで暮らしていきたいと思います。

 最善を尽くしていただいたのだから、
これから先は何か起きた時に考えればいいのではないかと。

 30年も待ち続けた手術がやっと終わったのです。

 
****** 術後1年弱の記事です *******


2014年10月**日(*) Hamanasu
昨年の今頃は悩んでいた。


手術が必要なのか

本当に手術をした方がいいのか
このままではいけないのか
どこに相談するか
どこの病院にするか

わからないことだらけで・・・

それでも、30年来の答えを出さなければいけないのだろうとは思っていた。

「手術」という選択

確かに苦しい胸をそのままにしておくのはよくないだろうという気持ちはあったが、

自分が心臓手術を受けるという実感がわかなかった。

思いっきり脅かされて「長嶋さんみたいになりますよ~!」

今でもその言葉はドキッとする。

ありがたいと言えばありがたい
その言葉で踏ん切りがついたのだから・・・

そして、たった一つ

「ハートセンター」の心臓血管外科医を頼りに
少しづつ気持ちを固めていく。

心房中隔欠損症はポートアクセスで手術出来る。

心房細動はメイズ手術で治る。

名古屋で手術を受けたかったという気持ち

新しい「かんさいハートセンター」への不安

 

「心臓」という場所を切り開くことへの「安心」を手に入れたいと思っていた。

祈るような気持ちで米田先生にメールを送ったのを覚えている。

先生の返事をいただいてからはすべてが早く回りだしたような気がする。
気持ちが固まった以上、自分がどこまで納得して手術に挑めるかだけだった。
ただひたすら、「安心」を手に入れたかった。

そして今

確実に一年前とは違う「私」がいる。

胸が楽になっただけではない。
大きく変わった気持ちも感じている。

今までの人生への反省もあり
感謝もあり
今後の希望も大きくなった。
いい人生だったと最後に思いたい。

手術に対する「安心」は手に入れたものの

今後に対する「安心」は誰も手に入れられないもの・だと知った。

 

**********************

その後、手術から1年あまりたって、以下の記事がUpされました。

振り返って総括する内容ですのでここに転載させて頂きます。さらに詳しくはこのブログを直接見られると良いでしょう。

 

********1年あまり経っての記事******

 


2015年01月08日(木)
Haibisu

 

ちょうど1年

 

新しく心臓が動き始めてから・・・

 

 

あっという間の1年でした。

 

 

体だけではなく、気持ちまで大きく私を変えてくれた心臓手術でした。

 

 

手術をして本当によかったと思っています。

 

 

現在の状態はずいぶん良くなっていると思います。
手術をしたことを忘れるくらいに・・・

 

走っても苦しいことはありませんし、体力に自信もついてきました。

 

時々感じる「ドキドキ」感はあります。
咳も相変わらず出ますが、
横になった時というわけではないので少しあきらめています。

 

 

 

 

現在の創の状態です。

 

わきに一つの丸い傷

 

斜めに乳房の下
・・・とてもきれいです。

 

・・・痛みもありません。
創自体の痛みはないのですが、胸がチクン、ズキン、ということはあります

 

 

 

私の受けたポートアクセスについてまとめてみました。

 


 

心臓手術の一つの方法としてポートアクセスがあります。

 

MICS(ミックス:minimally invasive cardiac surgery)手術です。
以前からおこなわれていた胸の真ん中で縦に大きく切開し胸骨を切る胸骨正中切開に対して、切開が小さく低侵襲(体への負担が低い)という利点があります。

 


私が20代で心臓手術を考えた時に気になるのは胸の傷でした。
当時の手術は(30年ほど前)胸の真ん中を大きく切る正中切開が当たり前でした。

 

その後、心房中隔欠損症ではアンプラッツァーというカテーテルでの治療が出来るようになりましたから、胸を切らないでも済むわけです。
但し、心臓の欠損(穴)の状態にもよるようですし
私には若干の金属アレルギーがあることも心配でした。

 

 


そこで、ロボット手術に関心を持ちました。
金沢大学の渡辺剛先生(現:ニューハート・ワタナベ国際病院)が行っていらっしゃる「ダヴィンチ手術」

 

創がないということは魅力でした。
(創はないが穴の痕がいくつか残るということです)

 

 


しかし一番問題なのはお金がかかる事です。
保険がきかないなんて・・・
実費ということですよね。「○百万」
とてもダヴィンチ手術には踏み切れませんでした。

 

 


それと、私の場合心房細動がありました。
心房中隔欠損症の手術だけなら割と簡単なもののようですが、
心房細動があるということであれば、
メイズ手術をやっていただきたいと思っていました。

 

 

それもポートアクセスで・・・
そこで、メイズ手術もお願いするのであれば米田先生かと思いました。

 

 


実際に検査をしたら三尖弁閉鎖不全もありました。
心房中隔欠損症で穴をふさぐだけでは済まされない状態です。
メイズ手術と三尖弁形成も同時に施術していただきました。

 

 


それらを含めての手術という点では、
ポートアクセスは条件を満たしていたと思います。
6センチの創と1個の穴が残りましたが、

 

結果的によかったと思っています。
今見ても大変きれいで目立ちません。

 

 


胸に傷が残ることで心臓の手術を躊躇している人がいるかもしれません。
そうであれば、ぜひポートアクセスがいいと思います。
「創は勲章」とは思うものの、小さいに越したことはありません。

 

 

痛みの面でも、術後の回復の面でも、
本当に心臓の手術をしたのかと思うこともあります。

 


ポートアクセスも、もしかしたらいろいろなやり方があるのかもしれませんが、私にしていただいたものは全く痛みがありません。

右肋骨の間(乳房の下)を6センチほど斜めに骨に沿って切ってあります。
その際に肋間神経ブロックがしてあるということで痛みがないようです。
これはほんとにうれしいことです。
術後の痛みは随分なストレスになると思うからです。

 

 


病気の状態によってはポートアクセスが出来ない場合もあるようですが、
心房中隔欠損症、僧房弁置換術、僧房弁形成術 大動脈弁置換術、大動脈弁形成術、三尖弁形成術、メイズ手術などで行われるようです。

 


ポートアクセスは視野が狭いこともあり技術がいるようです
この手術を多くこなしているベテランの医師を選んでください
たくさんの経験が手術の質を上げるものだと信じています。

 

 

 

利点
①傷が小さい
②痛みがない
③社会復帰が早い
④保険適用

 

①については傷が右胸乳房に沿って下部を斜めに6センチ
胸骨正中切開と比べて傷は目立たず、温泉などでも気になりません。
正面から見ても傷痕は見えません。
この手術は右胸から心臓へ直接アプローチします。
あくまでも開胸手術で、胸腔鏡手術ではありませんでした。
小さい切開で長めの特殊な器具を使っての手術になります。

 

 


②痛みは全く気になりません。「痛みなし」と言ってもいいくらいです。
通常の心臓手術は胸骨を切りますが、

 

ポートアクセスは骨を切りません。肋骨の間からの手術です。
肋間神経ブロックをしているので、術後創そのものの痛みはありません。

 

 ピリピリした神経の感覚が残ります。

 

 


③骨を切らないので術後の治りが早いです。
私の場合術後10日で退院

 

 退院後10日目には自動車を運転して会社へ行きました。

 

 


④保険が適用されるので3割負担で済みます。
なおかつ高額医療制度がありますので、私は450万ほどの手術が13万強で済みました。

 

注意点


①ポートアクセスはどの病院でもやっているというわけではない。
狭い視野からのアプローチになりますから技術が必要です。

②人工心肺を右下肢の付け根にある大腿動脈につなぎます。
そのため、大腿動脈や大動脈に動脈硬化がないひとに限定される。

 

 


**********おわりに***********

素晴らしい体験談ブログをありがとうございました。  150464174

心臓手術を受ける患者さんの中でも、強い痛み症状のない病気の患者さんは将来の健康といのちをかけて、病気を勉強し理解し、克服する決心をされ実行された方々です。

私も含めて、手術は誰でもいやなものです。(私、20歳のころ、お腹の手術を受けるはめになって落ち込みと八つ当たり状態だったのを想いだします) 

それに敢然と挑戦し健康を勝ち取られたことに、あらためて敬意を表したく思います。

またその大切な手術をお任せ頂いたことを光栄に思います。

また外来でお元気なお顔を拝見するのを楽しみにしております。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り109 巨大な心房中隔欠損症などのためMICS手術を

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心房中隔欠損症(略称ASD)はそう怖くない心臓病と思われている 142991182ふしがあります。

しかしその穴が大きく、多量の血液が漏れたり、心臓や肺が壊れてくると危険なことさえあるのです。

つぎの患者さんは50代の男性で働き盛りの中、心房中隔欠損症のため心不全が発生し苦しくなって遠方から米田正始の外来へ来られました。

穴は巨大で、もれる血液が多いことから右心房や右心室も巨大、そのため三尖弁も付け根が広がり強い逆流つまり三尖弁閉鎖不全症を合併していました。心房細動などの不整脈も併発していました。

患者さんが安全に確実にお元気になれるMICSの皮膚切開よう、そして早い時期に仕事復帰ができるよう、ミックス(ポートアクセス)で手術を行いました。

巨大な穴を患者さんの自己心膜で閉鎖し、三尖弁を形成し、右心房のメイズ手術を行いました。

術後経過は不整脈などのため少し時間を要しましたが、おおむね良好で日一日と回復され、お元気に退院されました。

外来でも体力がついてきておられることがわかり、喜んでいます。

以下はその患者さんからのお便りです。これから楽しく活発に仕事や楽しみに熱中してください。

***** 患者さんからのお便り*****

 前略 IMG_0626

朝夕はずいぶんと涼しくなりました。米田先生はじめハートセンターの皆様にお

かれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。

この度は私の心臓手術に関しまして本当にお世話になりありがとうございました。

当初はあまり自覚症状も無く病気に対してただ漠然と考えているだけで月日が経
つばかりでした。

しかし、二年ぐらい前から動悸、息切れなどを感じるようになり、地元病院の先生からも手術の事を促がされるようになり、不安も募ってきて、病気に対して真剣に向き合っていかねばと思うようになりました。

一年前ぐらいから自分の病気がどのようなものであるか、又、それの治療方法、手術と調べるようになり、今年の春先から手術をお願いする病院、先生を捜し始めました。

っと決めかねていた時に、七月初め、米田先生並びにかんさいハートセンターの
事を知りました。目の前が明るくなり、進むべき道が現れたと思いました。そし
て、ここでお世話になり手術受けようと思いました。

とは言っても人生で初めての入院、手術。しかも心臓という事で不安が無かったとは言えませんでした。

も先生に初めてお出会いした時から、判りやすい説明と身近に感じる先生の人柄
で、何の不安も無く手術に望む事ができました。

術後も何らかの症状が出る度に、先生方の説明や看護師さん達の暖かい対応により無事退院を迎える事ができました。

一カ月余りの入院生活を、このような環境の中で、送らせてもらったこと、本当にありがたく思っております。

今退院を終え、長い間頑張ってきてくれた心臓にお礼をいいたい気持ちで一杯です。そして、今回の手術によって、治していただいた心臓とうまく付き合っていけたらと思っております。

これからも、このハートセンターが多くの患者さんを救ってくれる事と信じております。皆様の御健康と御活躍をお祈り申し上げます。

本当にありがとうございました。

草々  

 

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執筆:米田 正始
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チャレンジャーズライブの予選選考会にて

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今年も恒例のチャレンジャーズライブ予選会が東京と大阪でありました。

この会は10年あまり前から、京都府立医大の夜久均先生をはじめとする心臓外科医仲間が集まって、若手を全国規模で鍛えよう育てようという趣旨で発足しました。

毎年多数の参加者があり、すでにこのチャレンジャーズライブ出身者が立派な施設長にまでなっているというケースもあります。

私は大阪での予選会に審査員として参加しました。

Isya01当日は夜久先生、名古屋第一日赤の伊藤敏明先生、名古屋第二日赤の田嶋一喜先生、岸和田徳洲会病院の東上震一先生、心臓センター榊原病院の坂口太一先生らといっしょに楽しく指導させて頂きました。

卒後10年以内の心臓外科修練中の若手が午前中は審査員との懇談・指導下に冠動脈バイパス手術の練習を積み、午後は剥離と吻合コンテストで大阪地区代表2名が選ばれます。

今回から畏友 Ikonomidis J(トロント大学以来の親友)とこれまた旧友 Fann J(スタンフォード大学病院で同じ時期に学びました)が出した心臓外科トレーニングの論文での基準を取り入れて審査することになりました。といってもこれまでの和製基準が良くできていたため、内容的には大きな変化はありませんが。

以前とくらべて年々その技術レベルが上がっている感があり、参加者は年齢制限のため変化しますので日本の若手そのもののレベルが上がっていると思います。

多くのひとたちは上手に吻合していましたし、中にはスピードもなかなか立派なレベルに達しているひともありました。

前向きな立場から今後の改良点をいくつか挙げてみます。

1.冠動脈の剥離操作は縦方向に少し皮をはいでから横方向の剥離に入るように。でないと繰り返し操作がつづき時間がかかりすぎる。

2.冠動脈の横を裏側近くまで剥離するひとがあり、それは吻合時に冠動脈をコントロールしづらくなる

3.吻合口のサイズを適正に

4.針の角度が悪く、血管壁に垂直に針が刺さらない

5.最初グラフトを吻合部から離れたところに置きすぎて苦労している

6.吻合中、吻合部エッジが内側向かないように、糸が外にあるときに引っ張る

7.トウを早く回りすぎる。ひとつ間違うと吻合部狭窄になる。

8.トウをはじめ、展開が不十分。

9.手の震えのコントロール

10.安全にワンアクションで縫えるところをツーアクションにしている。時間がかかり成績も落ちる心配あり。

11.吻合の歩みにばらつきがあり、トウの部分がやや雑になっている

12.内膜が内腔に少々突出気味のケースがあった

13.実戦志向の技術だけでなく、ウェットラボ志向の技術を感じたケースがある

 

しかし総じて皆 177139202さんうまく、日々の練習努力のあとがうかがえる方も少なからずおられました。

若手医師の多くが楽な科を選ぶ今日、厳しくてもやりがいのある心臓血管外科を選択された諸君は、その志からすでに立派と思います。こうしたひとたちが大きく成長展開するよう、支援をするのが私たち指導者の責務であることをあらためて感じた一日でした。

皆さんこれからさらに成長して行ってください。今日は皆さんのエネルギーを頂きました。ありがとう。

 

平成26年11月2日

米田正始 拝

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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粘液腫に対するミックス手術【2020年最新版】

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Fotosearch_CCP09004最終更新日 2020年3月27日

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◼️粘液腫もミックスで手術

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粘液腫は比較的まれな病気ですが、放っておけないものです。

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多くは心房中隔という左心房と右心房の間にある壁から、とくに左房側から発生します。

ついで多いのは心房中隔の右房側から発生するタイプです。右図は右房タイプです。

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現在の大動脈弁ミックス私たちはこうした左房粘液腫や右房粘液腫をミックスとくにポートアクセス法で手術するようにしています。

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◼️そのメリットは

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なにしろ骨を切らずにすむため、あとの痛みが少なく、仕事復帰や社会復帰も早く、クルマの運転もまもなくでき、そして創があまり見えないためこころの創も起こりにくいからです。

患者さんの満足度が高い、これは私たち医療者にとっていちばんうれしいことです。

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上図の左は世間一般に行われている皮膚切開で、中がポートのMICS、右が正中のMICSです。

私たちは通常の粘液腫には上図で中の皮膚切開をもちい、通常とは違う特殊なタイプや悪性の疑いがあるタイプには上図の右の皮膚切開で安全確保するようにしています。

178560395.

◼️さまざまな工夫

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ミックス手術を僧帽弁にする施設は徐々に増えています。しかしそれは一部の簡単なケースに対してだけ行い、看板だけという施設も少なくないという指摘がされています。

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私たちは僧帽弁+メイズ手術、僧帽弁+三尖弁、大動脈弁、あるいはそれらの組み合わせなどもポートアクセスのミックスで実績をあげてまいりました。

粘液腫にもこの方法 は威力を発揮しています。

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患者さんにおかれましてはこうしたことも主治医と相談し、どういう手術を受けるかを考えられることをお勧めします。

ilm09_af10025-s.

わかりにくい時にはセカンドオピニオンを他病院でもらうということで主治医に紹介状を書いていただくのが現代の普通の流れです。

患者さんの知る権利を尊重してのことですのでご活用されると良いでしょう。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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おかたに病院の健康まつりに行ってまいりました

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この10月26日に奈良市にある、おかたに病院にて「な IMG_0613ら健康まつり」が開催されました。

かんさいハートセンターも地域医療でお世話になっておりますので、私もおよばずながら参加させて頂きました。

アットホームな手作り感と地域密着感のあふれたおまつりで、同病院の駐車場で開催されたというのは大変好感がもてるものでした。

他の用事のため部分的な参加になりましたが、大勢の地域の方々や患者さんたちでにぎわい、楽しい企画だけでなく役立つ企画も多数ありました。

たとえばAED実演で多くの方々に慣れて頂くことで IMG_0608b、これから地域での心停止の救命率は上がることでしょう。健康チェックやストレス度チェックは病気になるまえに予防するという観点から大いに役立つと思いました。無料低額診療事業相談は素晴らしいと感嘆いたしました。

私の専門は心臓手術ですが、こうした地域密着の医療があってこそ心臓外科もお役に立てると実感いたしました。

くわえて、こどもさんたちの参加が多いことに感心しました。地域の支持を得ている病院だからこそできることでしょう(写真左、多数のこどもさんたちが遊んでいました。奥のほうで立っておられる恰幅のよい紳士が院長の三好先生です)。

私がおかたに病院を訪れるときについ見てしまうのが病院の沿革の掲示です。故、岡谷実先生が死の行軍といわれたフィリピンの戦場から九死に一生を得て帰国され、その経験から誰もが良い医療を受けられる病院を造るというポリシーを貫かれたというところにこころを打たれます。

模擬店でいろいろ食させていただいたあと、何ともほっこりした幸せな気分で会場を後にしました。

院長の三好毅志先生、関係の皆様、お疲れ様でした。来年もまたよろしくお願い致します。

平成26年10月27日

米田正始

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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かつてカテーテルPCI治療・ステント治療を受けられた患者さんへ【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月10日

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◾️PCI(ステント)後の患者さんたちへ

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医誠会病院仁泉会病院の外来に狭心症にたいFotosearch_CCP05004するカテーテル治療(略称PCI)あるいはステント治療(右図のようなかたちで治療します)のあと何年も経った患者さんたちが来られます。

お元気にしておられる場合は何よりなのですが、お話をじっくり聴きますとある状況で胸が不快になるとか痛くなる、あるいは坂道などで息切れがひどくなったなどの訴えを聞きます。

PCIから年月が経ち、もうこれで治ったと思っておられる方も少なからずありました。もちろんそういうこともありますが、冠動脈の狭窄は動脈硬化のひとつであり、動脈硬化はかなりの工夫を凝らさないと進行性なのです。

そういうことでかつてカテーテル治療・ステントを受けられた患者さんにおかれましては何か症状の変化があればいつでもご連絡ください。

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◾️ステント・PCIと冠動脈バイパス手術との違いは

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Fotosearch_CCP05019冠動脈バイパス術後の患者さんの場合はPCI・ステントよりは安定度が良いので安心度は高いです(左図)。

冠動脈バイパス手術は「血管を治す」のに比べてPCI・ステントは「狭窄部を治す」だけだからです。

この差は糖尿病とくにインシュリン使用の場合(IDDM)や慢性腎不全・血液透析の患者さんの場合に顕著です。

しかしそのバイパス手術後といえども新たな病変がおこることは時にあります。PCIの後よりは安定度が良いのですが、やはり油断は禁物なのです。

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◾️そこで

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医誠会病院と仁泉会病院の私の外来では、こうした患者さんの長期フォローもしています。もっとも大切なことは新たな冠動脈狭窄をつくらないこと(二次予防といいます)、そのためにリスクファクターを丁寧に抑え込むことです。

たとえば血圧、中性脂肪、悪玉コレステロール、善玉コレステロール、血糖値(A1cヘモグロビン)、尿酸、喫煙さらに体重その他をきちんと健康モードにします。

必要が182347277あれば糖質制限食などもうまく活用し、薬だらけになることなく、かつなるべく快適に健康を守るようにしています。

右図は動脈硬化の発生をイメージしたものです。

しかしそれでも冠動脈の硬化が悪化するときには、症状の変化などを鋭敏にキャッチし、CTなどでタイムリーに検査し、必要であればその治療へ向かいます。必要に応じて薬、PCI、バイパス手術、心臓リハビリその他を選んでもちいます。

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◾️まとめ

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このように冠動脈狭窄症は進行性つまり完治はしない、しかし油断なく予防や二次予防につとめればかなり治せる病気とも言えましょう。いつも申し上げることながら、「治せる病気で死んではなりません」をお忘れにならぬようお願いいたします。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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【第五十五号】 NHK文化センター名古屋校で講演します

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 いい心臓・いい人生 【第五十五号】 NHK文化センター名古屋校で講演します
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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拝啓

すっかり秋らしい時節になりました。

皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

季節の変わり目ということもあってか風邪で病院へ来られるかたも増えています

ので油断されないようにお願いします。

さて高の原中央病院に「かんさいハートセンター」を設立して1年が経ちました

当初は心臓血管外科だけでスタートし、その半年後のことし4月から循環器内科

がチームを組んでハートセンターとして発足しました。

こうした経過からはまだ1年も経っていないようなもので、日々患者さんや仲間

と膝つき合わせて良い医療を探求しています。いつのまにか140例ちかい手術を
施行させて頂きました。

患者さんといつも語らうことの大切さを日々感じ、またそれをうれしく思ってい

ます。

患者さんや社会への啓蒙活動のひとつとしてNHK文化センターで講座を開いてい

ます。

かつて一方ならずお世話になった名古屋の皆様との絆をと考え、同文化センター

の名古屋校でことしも講演させていただくことになりました。

詳細は心臓外科手術情報WEBの左段にある「かんさいハートセンター」の見出し

から入って頂ければと思います。

https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2014/10/nhknagoya.html
から直接入って頂いてもよろしいかと存じます。

トピックスは「心臓手術と科学的ダイエット」

11月16日 日曜日 13:30-15:30

NHK文化センター名古屋教室にて
(名古屋市東区東桜1-13-3 NHK名古屋放送センタービル7階)

受付は 052-952-7330 です

単なる講演会ではなく、心臓手術や心臓病について皆様からさまざまなご意見や

ご質問を頂いたり、手術のあとの健康増進のためのダイエットなどもご相談に乗

りたく思います。
また個人的なご相談にもなるべくその場でお答えするか、後日の相談へとつなげ

るようにしたく存じます。

皆様、ふるってご参加ください。

敬具

平成26年10月26日

米田正始 拝

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Copyright (c) 2009 心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
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NHK文化センター名古屋での講演2014

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恒例になりま Shutterstock_217363123した米田正始の講演「心臓手術と科学的ダイエット」、ことしも名古屋地区の皆様にさせて戴きます。

以下はそのパンフレットからの引用です。

心臓外科手術やその後の科学的ダイエットつまり糖質制限食さらに健康増進や食に関心のおありの方はふるってご参加下さい。

講演のあと、自由にご質問いただく時間をもうけて双方向の楽しい勉強会にしたく思います。

心臓手術を受けようか考えている方、心臓病で悩んでいる方、メタボや太りすぎで心臓が心配な方、手術後の健康管理に関心ある方、その他が対象です。

お申し込みは下記のパンフの下のところまでどうぞ。

NHK愛知講演

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執筆:米田 正始
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Sutureless弁(無縫合弁)【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月27日

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◾️Sutureless弁とは

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これは文字どおり縫合せずに、あるいは最小限の縫合で短時間に取り付けられる生体弁です。Perceval弁という名前でヨーロッパで Perceival 弁は2007年ごろから臨床試験が行われ、良い成績を上げています。

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皮膚をほとんど切らずに、カテーテルで挿入する生体弁であるTAVI(タビ)の良さを心臓手術にも導入しようと開発されたこの弁は、短時間で取り付けられるという大きな利点をもっています。

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◾️Sutureless弁の実際は

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まず普通の心臓手術と同様に、体外循環・大動脈遮断下に上行大動脈を開けます。壊れた大動脈弁を切除してこのSutureless弁をいれます。その際には3本の取り付け糸のみ縫い付け、そのガイド下に折りたたんだ生体弁を入れ、仮固定ののち弁を内側から膨らませて圧着します。これで操作完了であとは大動脈を閉じて出来上がりです。

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術中に行うTAVIといった印象ですが、TAVIと比べて脳梗塞が少ないことが可能性として挙げられます。少なくとも大動脈遮断が安全な患者さんでは脳梗塞はほとんど起こりません。また壊れた大動脈弁をきれいに切除してから入れるため、弁サイズも有利になりますし、弁の破片の散乱(脳梗塞の原因に!)を気にする必要もありません。

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いっぽう、これまでの心臓手術と比べての利点はなんといっても時間の短縮が効くことです。そのため高齢者や重症患者さんでの合併症の減少、成績向上が期待されます。

IMG_0569b.

◾️Sutureless弁、間も無く発進

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このPerceval弁はまだ日本では使えないのですが、近い将来使えるようになればさらに大きな展開が見込めます。

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たとえば私たち医誠会病院でのMICSでの大動脈弁置換術にこの弁を使えば、より短時間で、創もあまり気にならないきれいな手術ができるでしょう。

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右写真はMICSで通常の生体弁をもちいた大動脈弁置換を行った患者さんですが、同じ手術がより安全に、かつ快適にできるようになるのです。

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より多くの患者さんたちに、またご高齢の方々や手術時間を短縮したい複雑心臓手術の患者さんたちにも恩恵が届くかもしれません。

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腋窩動脈大腿動脈バイパス (Axillo-Femoral バイパス)

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腋窩動脈大腿動脈バイパス(Axillofemoral Bypass)は文字どおりこの2つの動脈をバイパスでつなぎ、下記のような状況で下肢虚血に威力を発揮します。 図2

たとえば下肢虚血で腹部 大動脈などが閉塞しているとき。ルーリッシュ症候群なども含まれます。

 

とくに腹部を開けて手術するのに何らかの問題があるときなどにも役立ちます。すでに何度も開腹手術を受けた患者さんで、しかも高齢や全身状態が悪いときなど。

あるいは腹部大動脈が原因の下肢虚血にステントグラフトが使えないとき。大動脈にすでに入っている人工血管が感染して治らないとき。その他の状況です。先天性心疾患で大動脈縮窄症などのため下半身が虚血になるときなどもそうです。

 

左図のように腋窩動脈と大腿動脈をバイパスでつなぎ、そのための人工血管は体の表面近く、脂肪の奥を走行させるた Axillobifemoralbypassめ、胸もお腹も開ける必要がないのがこの術式の特徴です。

つまり体への侵襲(負担)が軽いのです。そのおかげで高齢者や重症の患者さんにも使えるのです。

手術は全身麻酔で行いますが、そのあと、まもなく食事や運動ができます。

ただしこの手術は、大腿動脈よりも先(つまり足側)の動脈に別の狭窄や閉塞があれば効果は減ります。それらに対しては必要に応じて別のバイパス手術やカテーテルによるPTA(血管形成)を併用します。右上図ではFFバイパス(大腿動脈大腿動脈バイパス)が併用されています。

 

さてASO閉塞性動脈硬化症が高度な患者さんの場合は足へ向かうにつれて動脈が細く悪くなるという、先細り状態の方が少なくありません。

こうなるとせっかくの腋窩動脈大腿動脈バイパスや追加した大腿膝窩動脈Femoropopliteal bypassも十分には効かない恐れがあります。お先真っ暗状態のためカテーテルPTA治療も効きません。

こうした場合に下肢にあら 188485295たな動脈を創る血管新生治療が役立ちます。再生医療、英語でtissue engineeringとか regenerative medicineなどと呼ばれる方法で患者さんの下肢を守ることがある程度以上できます。

かつて私が勤務しておりました京大病院では臨床試験としてこの血管新生治療で複数の患者さんを治療させていただきました。bFGFという自然で良く効くホルモンを下肢の中でじっくりと効かせることで副作用なく、効果の高い治療法です。ただ今新たな施設で治療が行えるよう準備中です。くわしくはこちらへどうぞ。

 

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