【第五十四号】残暑お見舞い申し上げます

Pocket

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 第54号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

お盆ごろの台風がまるで日本上空を旋回しているかのような変な天気が繰り返す

この頃ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

メルマガをしばらくお休みして失礼いたしました。

かんさいハートセンターを立ち上げて10か月が経ち、毎日忙しくしています。

生まれつき要領が悪いためもあるのでしょうが、患者さんと向き合う時間を多く

取れてうれしく思うと同時に時間が足りず不便しています。

この4月からかんさいハートセンターの循環器内科が発足し、ようやく本格スタ

ートを切ったという印象です。

やはり内科の先生らがいないと真に盛り上がりません。ようこそお越し下さいま

したという感謝の念で一杯です。

新しいハートセンターの循環器内科では従来の心臓カテーテル、PCIはもちろん

、心エコーのスペシャリストである太田剛弘先生はじめその薫陶を受けた若い先

生方も参加下さり、狭心症・心筋梗塞などの冠疾患だけでなく弁膜症・心筋症・

心不全にも高いレベルの治療ができるようになりました。

さらにCKDと言われる慢性腎機能障害の患者さんにも専門的観点からの治療がで

きるようになり、患者さんをより全人的に治療できるようになりました。

こうして理想の医療に一歩ずつ近づいているのは楽しい限りです。

平素の診療の中で心臓血管はもちろんのこと、腎臓も大事にして参りましたが、

これまで以上に力が入るようになりました。視点がひとつ増えたようです。

そういえば名古屋時代に大いにお世話になった日本ローカーボ研究会の先生方と

も交流がつづき、こちらの患者さんにも大変役立っています。

つい先週もインシュリン依存性糖尿病の患者さんが抗インシュリン抗体のため血

糖値が不安定となり、心臓手術の準備中でしたので、安定を図ろうと、ローカー

ボ食(糖質制限食)を導入し、無事インシュリンを離脱できました。

私は心臓外科医ですから心臓手術を日々考えるのは当然としても、薬や食事・運

動まで治療手段として活用するようになり、これまで治せなかったものが治せる

ようになるというシーンが見られるようになりました。その成果は研究会でも披

露しましたが、いずれ大きな場でもと考えております。

メルマガをお休みしている間にいろいろな進歩がありましたが、それはまた患者

さんの会などでご紹介したく思います。

最後にひとつ老婆心ながらメッセージを。この夏も多数の患者さんが脱水で腎臓

や全身を弱らせ、あわやの手前で何とか元気に回復していただいたというケース

を経験しました。

日本の気候が亜熱帯のそれになってしまった今、これまでよりしっかりした暑さ

対策を皆様にはお願いしたく思います。

私のホームページの患者さんのコーナーにも以前お書きしましたが、喉の渇きを

あてにせず、尿の量や濃さをみて脱水かどうかを判断していただければと思いま

す。脱水になった患者さんのほとんどは喉が乾かなかったから、、、と言われます。

尿をみれば安全安心に近づくでしょう。

それでは皆様、またお会いできる時を楽しみにしております。ご自愛専一にお願

いいたします。

敬具

平成26年8月31日

米田正始 拝

━━━━

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

お便り108: ポートアクセスで僧帽弁と大動脈弁の同時手術を

Pocket

弁膜症の手術・治療は他の心臓手術と同様、日々進化を遂げています。

心臓外科医である私自身がその速さに驚いているほどです。

僧帽弁置換術を上 IMG_0330 (2)回る治療としての僧帽弁形成術

大動脈弁形成術が不適当な場合にそれを上回る大動脈弁置換術プラス将来のTAVI(折りたたんだ生体弁をカテーテルでもとの弁の中に入れることで再手術を回避)、

そしてそれらを小さい創で骨も切らずに行うミックス(MICS)なかでもポートアクセス手術

10年前にできなかったことがすでに自分の中で実現していることに驚きと喜びを感じます。

国内外の仲間たちと切磋琢磨して日々勉強し検討し確認していることのおかげです。

下記の患者さんはそうした新しい弁膜症の手術を受けられた方々のお一人です。60歳前後の患者さんで関東からお越し下さいました。

少ない痛み、早い回復と仕事復帰、社会復帰、きれいな創でこころに傷をつけない、こうしたことを実現でき、かつワーファリン(血栓を予防するお薬です)の不要な手術、しかも将来の再手術が回避しやすい、長期プランを考慮した手術ができ、患者さんとともに喜べることを心臓外科医冥利と感謝しています。

以下はその患者さんからのメッセージです。

また外来で再会できるのを楽しみにしております。

 

****** 患者さんからのメッセージ******

心臓弁膜症で手術が必要と言われた方々へ

私の場合は、地元の病院で人間ドックを受けた際に、
最後の問診の時に聴診器を当てられ、「心雑音があるので、
内科で精密検査を受けてください」と言われたのが、
最初でした。

その後、半年の経過観察の後で、症状の進行が見られ
担当医の先生から、「僧帽弁の逆流が激しいので、
このまま放置しておくよりも、今の段階で手術をした方が
心不全などのリスクも解消し、術後の経過も良いですよ」
と言われました。

自覚症状も言われてみれば少し息が切れるかな、程度であったため、
「なんでそんな。しかも心臓の手術?」と愕然としたことを覚えています。
その後、「これも神様がくれた試練」と思い直し、心臓弁膜症の手術とは何か
の情報をできる限り集めました。

その結果、一般的な正中切開に加えて、MICSというダメージの少ない方法があり、
中でもロボットやポートアクセスという方法があることを知りました。

私の場合、できる限り早く社会復帰したいし、家族とのハイキングや
スポーツも楽しみたいとの願望があったため、余程の困難な手術でない限り
MICSでやっていただけるところを探しました。

最初は、自宅近くの病院に狙いを定め、受診したところ、心エコーにて
大動脈弁の方の逆流のジェットも激しいことが指摘され、その場合、
僧帽弁に加えて大動脈弁の方も手当てしなければならないくなるので、
正中切開となる可能性がありますと言われました。

その時は、「仕方がないか」と諦めかけましたが、色々と調べた中で
最も参考になった米田先生のホームページに戻り、
メールでご相談したところ、すぐに
「外来の予約を入れてください。遠方なので一日で必要な検査が済むようにしましよ
う」
との返事をいただきました。

実はドキドキしながら返事を待っていたのですが、大変丁寧で分かりやすい返事を、
しかも米田先生ご本人からいただけたことに感激し、やっと探し求めていた先生に
巡り会えたと思いました。

外来受診の日を迎え、色々な術前検査をした結果、やはり僧帽弁に加えて
大動脈弁の方も手当てが必要で、こちらは弁置換となる可能性があるとの説明を受け
ました。

一か月後には入院し、いよいよ手術となりました。

前日には、家族も含めて、米田先生からインフォームド・コンセントの説明として、
僧帽弁形成術と大動脈弁置換術をポートアクセスで行うことや、
手術に伴う合併症等のリスクについて、詳細な説明をしていただきました。

さて、もうこうなったら「俎板の鯉」です。
自分がこれだと思った方法と、先生と、病院なので、後はすべてお任せです。

ですので、手術前夜はぐっすり眠れ、普段通りに起きてトイレに行き、そうこうして
いるうちに
点滴が始まり、家族に見守られながら手術室に入りました。

手術室の印象は、最新の機器や設備、モニター群や照明、
緊張感とやさしさが感じられるスタッフやドクターの先生方です。
深い眠りだったようで、手術中のことは一切覚えていないですが、
目が覚めたらICUでした。

手術後に、米田先生から家族に対して手術が成功したことの説明があったようです。

手術から二日後には、ICUから一般病棟に移りましたが、ICUに居る時からリハビリが
始まり、
喉の管や頸の点滴も取れ、次々と身軽になっていきました。

手術の時は肺を萎ませていた影響で、最初は少し息苦しさを感じましたが、
日毎に回復するのが分かりました。

一般病棟に移ってからも、赤褐色の痰を出したり、寝返りを打った時に右胸に痛みを
感じたり
しましたが、痛み止めや睡眠導入薬を使うことで、乗り切りました。

手術後3日目にはドレインと尿管が取れ、5日目にはすべての管が取れました。

6日目のリハビリから自転車漕ぎが始まり、病院一階のローソンまでアイスを買いに
行きました。

自分でもこんなに順調でいいのかと思えるほどの回復でしたが、
日毎に気力も充実し、同室の方や看護師の方と冗談を言えるまでになりました。

自宅が遠方とのことで、少し余裕を見て、手術後13日目となる日に退院しました。

高の原中央病院の印象は、病院らしい病院で、清潔さや衛生管理も行き届いており、
スタッフの方々もプロ意識や患者目線でのホスピタリティーに溢れています。

中でもかんさいハートセンターのスタッフの方々はとても活気がありました。
また、私には病院食も大変おいしく感じられ、快適な入院生活を過ごすことができま
した。

この手記を書いている今日は、手術後25日目ですが、昨日は仕事で外出までこなせ
るまでになりました。

この手記が、これから心臓手術を受けられようとされている方々にエールを送ること
ができれば幸いです。

 

患者さんからのお便りのトップページにもどる

Heart_dRR
心臓手術のお問い合わせはこちら

 

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

事例: 虚血性心筋症に対する新しい左室形成術 その2

Pocket

虚血性心筋症は現在も重症でしばしば心移植しか治療法がないと言われます。

そうはいっても心移植はなかなか順番が回ってきませんし、補助循環(いわゆる人工心臓)を使っている人たちが優先することが多いですので、普通の心不全の症状では逆に治療法に困ることがあるのです。

患者さんは60代男性で起座呼吸を主訴として来院されました。

つまり心不全としては4段階の4、つまり最重症に入ります。

過去20年間に4回のPCIつまりカテーテルによるステント治療を受けておられます。しかし心不全が悪化し、来院されました。心エコーにて左室駆出率28%つまり健康者の半分以下、そして僧帽弁閉鎖不全症の増悪も認められました。このままではもう、あまり長くは生きられないという状況でした。

しかしよく見ればまだ心筋がかなり残存している所見があり、左室の悪い部分が比較的明瞭で、心図1SVG-4PD臓手術とくに冠動脈バイパス手術左室形成術そして僧帽弁形成術で改善できると判断しました。

体外循環下、心拍動下にまず静脈グラフトを右冠動脈に取り付けました。

さらに左室を前壁で開け、中を調べました。

図2左室切開前壁と心室中隔の前部分が心筋梗塞でやられており、それ以外は比較的壊れていませんでした。

これは治せるという所見です。

そこでDor手術の簡便さとSAVE手術のきれいな形の両方をもつ、私が開発した方向性Dor手術を行いました

通常のフ 図3四分割Fontan糸ォンタン糸と呼ばれる糸を4分割して梗塞部分と健常部分の境界部にとりつけました。

そしてその糸をくくることで左室の短軸つまり横方向に主に縮小させました。

左室はかなり小さくなり、予定のサイズまで戻りました。

それと同時に形を長細い、洋なし型に整えました。

図4左室縮小前 図5左室縮小後

左写真の左側は縮小前、同右側は縮小後の姿です。

主に横方向に小さくしていますが、

心尖部が瘤化しているため長軸方向にもある程度は縮小しています。

これで左 図6パッチ縫着後室のパワーアップに役立つのです。

最後にパッチを縫い付けて左室形成術を半ば完成させました。

そのうえで、左房を開けて僧帽弁を調べました。

やはり左室 図9MAPと吊り上げ後が悪化したために弁が閉じなくなっただけで、弁そのものは良好でした。

そのため私が考案した乳頭筋の前方吊り上げを行い、それも前尖と後尖のどちらもが前方へ引かれるように工夫し、リングをつけて完成しました。

弁はきれいに閉じるようになりました。

図10LITA-LADと左室閉鎖後最後に左室の切開部を閉じ、内胸動脈LITAを前下降枝にバイパスし、操作を完了しました。

術後経過は良好で、まもなくお元気に退院されました。

あれから5年が経ちますが、お元気に普通の生活を送っておられます。

その後もこの左室形成術で多数の患者さんをお助けできていますが、昔、救命できなかった患者さんのことを想いだしてはさらに精進しお役に立てるような心臓手術を磨いていきたく思うのです。

 

Heart_dRR
お問い合わせはこちら

pen

患者さんからのお便りのページへ

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

事例: 虚血性心筋症に対する新しい左室形成術

Pocket

虚血性心筋症拡張型心筋症に対する左室形成術は適切な患者選択によって大きな成果を上げることができます。しかしこのことは循環器内科の先生方に十分知られているとは限りません。

つまり左室形成術によって救命し、さらに元気を回復できる、そうした患者さんが恩恵を受けられないというケースが全国で発生しています。

現在、全国の仲間の協力で重症心不全研究会が立ち上がりEBMデータを蓄積し、多くの内科医・臨床医のご理解を頂けるように努力しています。

ここで提示する事例は関東在住の30歳代前半の男性で、3か月前に大きな心筋梗塞をわずらい、近くの病院で治療を受けて何とか退院されました。ところが心不全が次第に悪化し、複数の有名な病院でも心臓手術は無理と断られ、私の外来へ来られました。

術前検査で左室Dd(拡張末期径)89mm、左室駆出率0%(計算上)と危険な状態でした(末尾ちかくにある術前後のエコーの比較をご参照ください)。左冠動脈前下降枝は完全閉塞しており、これが原因の虚血性心筋症と考えられました。

こういう患者さんをこれまで長年、お助けしてきましたのでお引き図1左室切開受けすることにしました。

まず体外循環を回し、

心拍動のままで左室を開けました(写真右)。

左室内には血栓があり、

図2左室血栓摘除これが脳へ流れれば脳梗塞になるため完全に摘除しました。

写真左は血栓摘除中の様子です。

ついで心筋梗塞でやられた部分とそうでない部分の境目に糸をかけ(これをフォンタン糸と言います)、

通常のDor手術(ドール手術)ではこの 図5新フォンタン糸かけ後フォンタン糸をただ締めてくくるのですが、

これを前もって4分割し、

主に横方向に左室を小さくするという私の考案した「方向性Dor」という左室形成術を行いました。

図7パッチ縫着後左室がSAVE手術(セーブ手術)に負けないきれいな洋ナシ形で、

しかもより短時間で正常サイズに近づいたところでパッチを縫着し、

左室を閉鎖して仕上げました。

僧帽弁が術前にかなりゆがんでいたため、僧帽弁形成術を併せ行いまし 図9MAPた(写真右下)。

 

術後経過はおおむね良好で、一度だけ歓談中の不整脈発作でお互い冷や汗をかきましたが、チーム全員が努力して患者さんを守り抜き、元気に退院して行かれました。

図10術前後の心エコー真左は術前後の心臓の様子をエコ―でみたものです。

ほとんど動いていなかった左心室がかなり回復し、形もきれいで安定度が増したのがわかります。

あれから6年以上の月日が経ちますがお元気と聞いてい ます。

左室形成術は適応を選び、うまく使うと患者さんに大変お役に立つ手術です。

本来心移植をしても不思議でないほどの重症患者さんですので楽な治療ではありませんが、心移植の数が限られていることから、患者さんにお役に立つ心臓手術と申せましょう。

こういう重症の患者さんは手間がかかり赤字になりしかもリスクも高いため病院からは嫌われることが多いのですが、日々治療法を改善しながらチームを育てて多くの皆さんの理解を頂きながら患者さんの救命ができるように努力しています。

 

 患者さんからのお便りのトップページにもどる

Heart_dRR
お問い合わせはこちら

 

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

睡眠時無呼吸症候群 (SAS)とは

Pocket

◾️睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

.

眠っている間に呼吸が止まる病気です。

呼吸が止まるといってもそのまま死んでしまうわけではありません。

しかし体は酸欠になるためさまざまな弊害が起こります。

呼吸が A304_026止まっている間の酸欠と、呼吸が再開したときの酸素飽和度の急速な増加のために動脈硬化を引き起こし、さらには心筋梗塞や脳血管障害へとつながります。

.

交感神経を高ぶらせてしまうため高血圧や糖尿病をおこしたり悪化の原因になります。つまり単なる無呼吸にとどまらない、大きな病気の原因になってしまうので恐ろしいわけです。

.

◾️睡眠時無呼吸症候群SAS、二次災害も恐ろしい

.

起こるのは病気だけではありません。事故の原因にもなるのです。

夜眠っているときにこの睡眠時無呼吸症候群SASが起こると、夜中に何度も無理やり起こされるような形となり、睡眠が細切れになり、睡眠不足となります。

そのため昼Ilm18_ad03023-s間も眠くなり交通事故や職場での事故につながるのです。

.

2003年2月に山陽 新幹線の運転手が居眠りをしてあわや大惨事になるまえに自動列車制御装置ATCが作動して無事だったという事例がありました。

このときの運転手さんが睡眠時無呼吸症候群だったことが判明し、危険な病気ということで話題になりました。

.

◾️睡眠時無呼吸症候群の特徴は次のとおりです

.

1.睡眠中に10秒以上の無呼吸が5回以上繰り返す

2.いびきを伴う肥満者に多く、高血圧の合併が多い

3.症状としていびきや昼間のひどい眠気や疲労感。朝起きたとき熟睡感がなく、頭痛などすることも。

4.米国睡眠学会AASMの定義は:昼間の過度の眠気もしくは閉塞性無呼吸に起因する症状のいくつかを伴い、かつ無呼吸低呼吸指数(AHI、1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数です)が5回以上ある

.

日本人では欧米に比べて肥満が軽いわりにはこの病気が多いことが知られており、何らかの治療が必要な方は全国に200万人はいると推定されています。治療を受けているのはごく一握りだけで、他の人たちは危険にさらされていると言えましょう。

.

◾️睡眠時無呼吸症候群SASには大きく2タイプあります。

.

1.上気道(のどの奥)が閉塞する閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS): こちらが大多数です。

2.のどに問題なく呼吸がとまる中枢性睡眠時無呼吸(CSA): 少数です。脳のCO2(二酸化炭素)センサーが弱るために起こります

.

◾️重症度は大きく次の5段階にわかれます、、、、

.

         AHI   眠気

1.健康者  5未満  なし

2.軽症    5-15  あまり集中していないときに思わず眠気や気づかず眠ってしまう。テレビや読書中などに。

3.中等症   15-30 多少集中が必要なときに上記が起こる。コンサートや会議中などに。

4.重症    30以上 かなり集中が必要なときに上記が起こる。食事中や歩行中運転中などに。

5.超重症   60以上

.

◾️睡眠時無呼吸症候群SA A306_085Sのための合併症は、、、、

.

健康者とくらべて高血圧は2倍に、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)は3倍に、脳血管疾患は4倍に、糖尿病は1.5倍に増えます。

まさに死の病になっていく病気なのです。

診断は問診とSpO2、脈拍などでメドが立ち、簡易PSG(ポリソムノグラフイー)という検査でおよそわかります。正確にはPSGで脳波、SpO2、脈拍、呼吸状態、心電図等をしらべて確定します。

.

◾️閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療は、、、

.

1.生活習慣とくに肥満を是正: ダイエット、運動、アルコールやタバコの禁止

2.睡眠習慣の改善: 睡眠薬を減らし、横向きに眠るなど

3.CPAP(マスクをもちいた呼吸器)での在宅治療

  空気を送り陽圧になるため、狭くなっていた気道が広がり呼吸がしやすくなります。AHI20以上が適応です

4.耳鼻科治療 上気道を広げます

5.歯科治療 受け口になるようにマウスピースを造ります

.

◾️まとめ

.

このA301_075ように睡眠時無呼吸症候群は恐ろしい病気です。上記の症状に心当たりがあれば、内科でその診断を受けて治療を早く開始しましょう。

SASイコール心臓病ではありませんが、その恐れがあるときには心臓の定期検診も一度は受けておかれると良いでしょう。

その所見に応じてその後の検診の計画が立ちます。

 

治せる病気で死なないように!

 

患者さんからのお便りのトップページにもどる

Heart_dRR
心臓手術のお問い合わせはこちら

.

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

事例: デービッド手術を受けたマルファン症候群の患者さん 2

Pocket

デービッド手術大動脈基部拡張症に対する自己弁温存手術として大きな役割をになっています。

かつてこの手術をトロントで恩師デービッド先生が開発されたとき、私はチームの一員として参加していました。ホモグラフト、ステントレス弁、ロス手術、上行大動脈置換術などの手術を磨き上げるなかで、おのずと必然的にこの基部再建手術が生まれていったことをアートとサイエンスのすばらしい一例と思いました。

20年以上前にこの術式を行っていましたが、実のところ、この良さだけでなく弱点盲点も知っていたため、その後この術式を見合わせていました。しかしトロントやスタンフォードでの長期成績がでて、自分の中で疑問が解消したため、数年前から再開していたのです。

この手術を希望してあちこちから患者さんが来られますが、次の患者さんは関西から来られました。

患者さんは約40歳の男性で

以前からマルファン症候群を指摘されていました。術前CT

2年ほど前から大動脈基部拡張症のため近くの病院でフォローを受けておられました。

最近胸痛発作が起こるようになり、セカンドオピニオンで米田正始の外来へ来られました。

当院での治療を希望されたため、その後検査を施行しました。

大動脈基部は直径50mmに達しており、大動脈弁もやや寸足らずになり始めて軽度の大動脈弁閉鎖不全症が発生していました。

マルファン症候群では大動脈組織が弱いため、一般の大動脈基部拡張症の図1基部剥離患者さんより一歩早く治すことが勧められているため、心臓手術することにしました。

体外循環・大動脈遮断下に

拡張した上行大動脈(写真左)を横切開、離断しました。

まず大動脈 図2弁計測中基部のサイズを測定し(写真右)、

大動脈弁再建の予測を立てました。

それから大動脈基部の骨格部分をきれいに出して、患者さんご自身の弁尖を温存しつつ、人工血管をその周囲に 図3第一層糸かけ縫い付ける準備をしました。

適切なサイズのダクロン人工血管を大動脈基部の外側に配置し、固定しました(写真左)。

さらに、大 図5第2層糸かけ動脈基部の骨格部分を人工血管の内側に縫い付けました(写真右)。

このとき、弁尖の形、かみ合わせ、位置関係が最適になるように微調整を行いました。

水テストで弁逆流がないことを確認しました。

図6左冠動脈入口部そこで左冠動脈の入口部分を人工血管に小穴をあけて、

そこへ縫い付けました(写真左)。

同様に右冠動脈の入口部分も人工血管に縫い付けて、

冠動脈の流れがスムースに行くように、

かつまったく血液がもれないようにしました(写真右下)。

 

大動脈弁の 図7右冠動脈入口部一番高いところ、いわゆるSTJ(Sino-Tubular Junction)と呼ばれるところに糸をかけて、

大動脈基部のバルサルバ洞と呼ばれる部位が適度なふくらみをもつようにしました。

図10出来上がりあとは人工血管のもう一方の端を弓部大動脈に吻合して操作を完了しました(写真左)。

術後エコーで大動脈弁の機能は良好で、CTにて人工血管がきれいになじんでいることが示されました(写真右下)。

術後経過は 術後CT順調で術後2週間を待たずに元気に退院されました。

術後1年の外来でもお元気で仕事をこなしておられ、心臓のホルモンであるProBNPも102と正常で、心臓・大動脈とも安定していました。

術後3年が経過し、お元気で順調です。

デービッド手術はこうした若い患者さんたちの予後や生活の質(QOL)の改善に大きく貢献するものと思います。

現在はこのデービッド手術を小さい創でおこなうミックス法で行うようにしており、若い患者さんが手術後にできるだけ精神的ストレスのないように心がけています。

さらに大動脈弁形成術を適宜併用してできるだけ自然で長持ちする弁形態を整えるようにしています。

こうした努力の積み重ねでさらに成績は向上していくでしょう。

 

Heart_dRR
お問い合わせはこちら

pen

患者さんからのお便りのページへ

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

芝蘭会奈良県支部総会にて

Pocket

この歳になりますと同窓会がこれまで以上に楽しみになります。

小学校、中高、大学いずれの同窓会も同じです。

芝蘭会というのは京大医学 IMG_2114b部の同窓会ですが、京大らしくていいなあと思うのは出身大学にかかわらず、大学院や関連病院で同じ釜の飯を食べた先生方を分け隔てなく遇し、一緒に楽しめることです。

私が5年間お世話になった名古屋を去り、郷里の奈良に高の原中央病院「かんさいハートセンター」を立ち上げたのは昨年10月でした。ことし初めて芝蘭会奈良県支部総会に会員として参加させていただくことになりました。

この会には私なりに熱い想いがあります。数年前、京大病院でトラブッていた私を講演に呼んで下さり、激励していただいたのです。英語で誰もが知っている A friend in need is a friend indeed. まさかの時の友こそ真の友、という諺を想いださせるような経験でした。今でもその時の会場であったレストランへ行くと、何だか心温まるような気持ちになれるのです。

ともあれこうした会ですので楽しみにしていました。

懐かしい、かつてお世話になった天理よろづ相談所病院の先生方をはじめ、村田医院、坂口医院、大和高田市立病院、岡谷病院、土庫病院、大和郡山病院(昔の奈良社会保険病院)、高井レディスクリニック、東大寺福祉療育病院、西大和リハビリテーション病院その他の病院の先生方と再会でき、うれしく思いというより感謝の念で一杯でした。

郷里でこうした先生方のお役に立って心臓外科医としての人生を締めくくりたいとあらためて思いました。(皆さん、心臓病や血管病でお困りのときにはぜひとも救命したく、救急車でお迎えに参ります!)

恒例の特別講演では京都大学腫瘍薬物治療学の武藤学先生が京大病院がんセンターでの新たな試みをお話されました。集学的、横断的に、さまざまな科というより臨床も基礎も含めた総合戦力で患者さんを軸として動けるシステムを構築しておられるのを知り、感嘆いたしました。iPS細胞などのサイエンスを基盤にした研究、学際的スタッフによるスーパーコンピューターをもちいた臨床研究から近隣の病院群とタイアップした緩和医療まで取り組んでおられるというのは圧巻でした。

昔からプロのClinical Oncologistが必要という声が多かったのですが、武藤先生こそがそれであり、がん治療のハブそのもので、これは大きなインパクトになるものと思いました。

ひとつ余計なコメントをしてしまいました。がんではなく救急や循環器関係のお話ですが。中部地方の大学で、救急医療、地域医療、そのネットワーク、コンピュータを駆使した連携システム、ドクターヘリも含めた高度かつ機動力をそなえた体制など、見事な医療体制を構築しておられる大学の先生が講演されたとき、ひとつ聞いてしまいました。「これほど立派な医療システムを構築しておられる先生の大学病院で、しかも優れた心臓外科医がいるのに、なぜ年間数十例しか心臓手術ができないのですか?」と。答えは頂けませんでした。ほとんど絶句状態ですね。これが日本の大学病院の二面性なのです。もっともこれは循環器などの大学病院が苦手とする領域の話で、がんのような、本来集学的、学際的、横断的でかつ循環器ほど緊急態勢が要らない領域ではこれから大きな改善が期待されます、と。

重要課題とはいえぶしつけなコメントに対して武藤先生は後で真摯にお答えくださいました。さすが、プロのがん専門家は違う、あらためて同先生が構築して行かれる新しい大学病院のがん医療が楽しみになりました。

会には京大の学生さん、正確には芝蘭会雑誌部の部員さんも複数、取材のために参加しておられました。実は私も昔、雑誌部で同様のことをやった想い出があり、思わず激励してしまいました。雑誌部員がすごいのは、京大総長レベルの大先輩にも正面から話ができることです、ぜひその特権を活用して、多くを学んで下さい、とお願いしました。

皆さんと歓談しているうちに時間が来てしまいました。来年もまたよろしくお願い申し上げます。支部長の松村忠史先生、お世話下さった大和高田市立病院の砂川昌生先生、ありがとうございました。

 

ブログのトップページにもどる

 

 

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

お便り107: 収縮性心膜炎を合併した慢性血液透析の患者さん

Pocket

収縮性心膜炎(略称CP)の原因はいくつも知られていますが、慢性腎不全・血液透析もそのひとつです。

IMG_2111bおそらく心膜炎を繰り返しているうちに心膜が変化を起こすものと考えています。

いずれにせよ、心不全が重くなれば心臓手術が必要となります。

下記の患者さんはお若くして血液透析が必要となり、

その後上記の収縮性心膜炎を合併された40代後半の関東在住の女性です。

***** 患者さんからのお便り 1*****

はじめまして。
突然のメールにて失礼します。

当方、**県在住の****と申します。

私は199*年にIgA腎症となり、200*年に腎不全へ進み人工透析導入、200*年に生体腎移植するも、20**年に人工透析再導入となりました。

1年程前に心外膜の石灰化が見られ、経過観察となってましたが、症状が進み、一昨日はカテーテル検査もしました。収縮性心膜炎と診断が確定され、それもかなり良くない状態で手術の話も出ております。

血圧が上50 台、下が20台ということも頻繁にあり、アベレージでも上が60台で、特に透析した日は息苦しさと立ちくらみが続きます。

アベレージ血圧が確実に下がってきていることもあり、自身の希望では症例の多い病院、先生に一日も早く手術をしていただけたらと思います。

(担当の循環器内科の先生は私自身が納得のいく先生に手術してもらうのが一番良いと、おっしゃってくださってます。)

現在、**県在住で東京都内の**大学病院にかかっておりますが、貴院で手術をお願いすることは可能でしょうか?

また、可能でしたら、どれくらいのタイミングで手術可能なものでしょうか?
おおまかでも構いませんので、ご教示頂きましたら幸いに存じます。

どうぞよろしくお願い致します。

*******************

血圧が低下し、透析ができなくなりつつある、危険な状態ですし、熟練した心臓外科医が手術する意義は大きいため、さっそくお返事を出しました。

まもなく米田正始の外来へ来られました。

予想どおりの重症の収縮性心膜炎でした。

まだ比較的お若いご年齢と、今後もし心臓や血管に新たな病気が起こった際に手術がやりやすく安全なようにと、ミックスMICSとくにポートアクセス法で心膜切除をすることにしました。

私自身、トロント時代に左開胸でこのオペをしたこともあり、現在は僧帽弁形成術などでポートアクセスを多用していて熟練の強みもあり、そうすることになりました。

心膜切除手術はうまく行き、取るべき肥厚・石灰化心膜はほぼすべて取れました。左室の裏側や右室とくに根本の部分から右房や主肺動脈まできれいになりました。

右房圧や右室圧その他血行動態も正常化しました。

お元気に退院されてから下記のお便りを頂きました。

***** 患者さんからのお便り2 *****
 

拝啓  米田先生におかれましては、ますますご壮健のこととお慶び申し上げます。

 過日の入院、手術に際しましては、大変良くしていただき、ありがとうございました。

 先生にはメールでのご相談の段階から迅速なご対応をいただき、また、術式などいろいろとご検討いただいたおかげをもちまして、回復も早く、心より感謝しております。

手術の傷跡も思ったより小さく、痛みも無く、米田先生にお願いして本当に良かったと主人と日々話しております。

また、心臓血管外科の先生方、看護師の皆様、リハビリを担当していただいた皆様などにも、心のこもったご対応をいただきました。

よろしくお伝えくださいませ。

 来月初めには受診で伺いますので、今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。

 書面にて失礼いたしますが、取り急ぎご報告と御礼申し上げます。

平成二十六年*月*日

*******************

それから1か月あまり経ってからまた患者さんからご連絡があり、発熱してどうやら手術部位が感染したようだ、再手術が必要かもしれないと主治医に言われたとのことでした。

術後1か月半も経っ
てからの感染は稀であり、かつMICS手術の経験のないチームで再手術は危険なためかんさいハートセンターに再入院して頂きました。

幸い手術部位の感染ではなく、お薬でまもなく全快し、元気に退院されました。

患者さんを真に守ることができるのは熟練チームならではのこととあらためて思いました。

患者さんにはこれから元気で楽しく過ごしていただければ幸いです。また奈良のほうへお立ち寄りください。

 

患者さんからのお便りのトップページにもどる

Heart_dRR
心臓手術のお問い合わせはこちら

 

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

お便り106: 人工弁感染性心内膜炎PVEの患者さん

Pocket

感染性心内膜炎(IE)の中でも人工弁のそれ(PVE)は重篤です。

IMG_1636b人工弁には抵抗力がなく、抗生物質をしっかり使ってもバイ菌を消しづらいからです。

日米のガイドラインでも人工弁のIEは基本的に手術適応となっています。

しかしばい菌が少しでもいるところに新たな人工弁を入れることは新たなPVEを発生させる恐れが高く、入念な治療戦略が必要です。

下記の患者さんは北海道在住で、この人工弁感染性心内膜炎で厳しい状況におかれていました。

見るに見かねた娘さんが米田正始のところへメールを送って来られました。
ポイントをしっかりと押さえられ状況が良く分かるお便りでした。

***** 患者さんのご家族からのお便り1 *****

父は73歳で、2年前に人工弁に取り替える手術をしました。

私は娘で東京都在住、父は北海道在住です。

昨年末に高熱を出し、結果、つい数日前に人工弁感染性心内膜炎PVEと診断されました。

今は白血球の数も減り、食欲も戻りましたが、

今後、大きな合併症(菌体の塞栓による脳梗塞や動脈瘤など)が起こる可能性があり、手術も体力が持たないから2回目は無理と言われ、

それがどういう意味なのかすぐわかりましたが、そんなはずはないと思い調べたところすぐこちらのサイトを見つけることができました。

出来るだけ早い方が良いのはわかったので、まずは何をすれば良いか教えてください。

父を助けたいです。

よろしくお願いします。

********************

お便りを拝見し、これは何とか救命しなければ、そして救命できる!と思い、ただちにお返事をお出ししました。

地元の先生とも直接間接にご相談し、患者さんのご希望にて奈良にあるかんさいハートセンターまでお越しいただくことになりました。

もちろん重症の患者さんをご家族とだけで移動していただくわけには行きません。

私の方から医師を派遣し、護送する形で来院していただく準備を整えていました。

しかし次のメールが届きました。予断を許さぬ状況となり予定を繰り上げての転院へと進みました。

 

***** 患者さんのご家族からのお便り2 *****

米田先生、ますやま先生、おざわ先生
いさみもと様

父の容体が急変し、出発は明日に

こちらでも無事になんとかすべて変更できました。

ますやま先生から16:30すぎにお電話頂いてかなり気も動転してびっくりしましたが

そのあとは行くしかないと思い、

すべてを変更するので大変な状態でしたが

結果、父に意思を確認した時に早く行けることのほうがかえって良かったようすで
良かったです。

たくさんご面倒おかけしていますが、

私達は米田先生はじめ、チーム皆様の迅速な対応には本当にもう、、、

何と言って良いかわからないくらい感謝しております。

ありがとうございます(泣)

米田先生は今日も手術でいらっしゃったようですしこの時間ですので
今は取り急ぎ、お礼のメールをお送りします。

私は金曜の夜にそちらに伺う予定でいますが何かあればすぐ行けるように調整するつもりです。

明日、まずは無事に辿りつけると祈っております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

********************

患者さんは無事に救急車、飛行機、また救急車を乗り継いでかんさいハートセンターに到着されました。

当院の医師もコーディネーターそして各部門のサポーターもよく頑張り、周囲をがっちり固めたことが幸いしたようです。

安心感からか、意外なほど落ち着いておられました。

さっそくご報告のメールをご家族に入れ、手術や治療の準備を開始しました

以下はご家族からのお返事です

***** 患者さんのご家族からのお便り 3***** 

米田先生

ご連絡ありがとうございます。

飛行機内で何事もなくて本当によかったです。。

小澤先生と看護師さんに付き添っていただき父もとても安心できたんだと思います。

さっき母と話して、米田先生にもお会いしたと聞きました。

私は今までぜんぜん親孝行できてなかったので、今回ばかりは必死で(泣)

母も個室で数日は一緒にお世話になると思うので、どうぞよろしくお願いいたします。

またご連絡いたします。

**********************

十分な準備のもと、心臓手術いたしました。

もとの人工弁はその付け根からえぐられ、外れていました。

いわゆる大動脈基部膿瘍(大動脈弁輪膿瘍)という厳しい状況でした。

まだばい菌が組織の中にいそうな印象があったため、十分きれいに廓清しました。

新しい人工弁を私たちが工夫した方法で、ばい菌がもしいても人工弁には接触しない形で植え込みました。

術後経過は順調で、弁も心臓もばい菌も良い形で安定しました。

以下はそのころに頂いたお便りです。

なお術前は何としてもばい菌をできる限りたたくことが必要なため、腎臓を少々犠牲にしてもしっかりと抗生剤を使い、まずいのちを救うという方針で臨みました。そして少し余裕が出たところで腎臓を治すという二段階作戦で、うまく行きました。

***** ご家族からのお便り 4 *****

米田先生、お世話になっております!

今月5日に手術していただいた****です。

その後、父とは電話で話していますが日に日に声が元気になっていて、昨日はお風呂にも入ったとのことで回復早くびっくりしました…最先端の医療技術はすごいですね。

今回は予定が早まったにもかかわらず、無事に飛行機にも乗れて、早急に腎臓の手当てをしていただき手術出来たこと、当初のメールのやり取りから始まり、先生の医師としてのお志には感銘し、感謝でいっぱいです。

ありがとうございます。

母や弟もまさかスーパードクターにやってもらえるとは思っていなかった…と言っていました。

このご縁をいただけたことは家族全員がラッキーだったと感じております。

***病院の**先生には、手術の日に報告とお礼のお電話をしました。

無事に行けたことを喜んでくださってる気持ちがすごく伝わって来たので嬉しかったです。

これも米田先生とチームの先生方のお心遣いあってだと思っております。

ありがとうございました。

手術が終わって数日、しばらく私は放心状態でした。。

こんな早くに父の生死に直面するとは思っていなかったので、

勉強になったことや改めて感じたことがたくさんあり

家族の信頼関係が深まった良い出来事になったと思っています。

両親は退院後の1ヶ月検診まで奈良に滞在することになりました。

私も週末や連休を利用してまたそちらに行く予定です。

検査結果もこれからかと思いますし、退院までまだしばらくお世話になると思いますが
どうぞよろしくお願いいたします。

それと今回の手術で、米田先生と増山先生についてジャーナリスト取材があったと父に聞いたので可能であれば是非記事を読んでみたいです!

では、日々おいそがしい身でいらっしゃると思いますが

どうぞお身体ご自愛くださいませ。

またご連絡いたします。

*********************

患者さんはその後も経過良好で日々元気さを増し、毎日しっかり食べて歩いてという健康生活への道を進んでおられました。

心臓はすでにすっかり回復し、腎臓も着実に良くなっていました。

そのころに頂いたお便りです。

***** 患者さんのご家族からのお便り 5 *****

米田先生、お世話になっております。

昨日父から電話で今週末には退院できる予定と聞きました!

腎臓の治りも早かったようで
ありがとうございます^ ^

父はかんさいハートセンターに来て良かった、としみじみ言っています。

先生達が毎日顔を出してくれたことや

術後の痛みがまったくないのは前と全然違うと。

苦痛や不安がないのは患者にとってはすごくありがたいことだと思いました。

もう先はないと諦めていたのに、こんなに早く帰れるとは!と言っておりました。

今後は早く落ち着いて、親孝行したいと思っております。。

最近は「医龍」を一気に観ていました。先生のHPも引き続き読ませていただいております。

ドラマは脚色されていますけれども
手術シーンはけっこうリアルに感じました。

米田先生のチームもあんなふうに手術されているのかな…などとまた感動しています^ ^

予定では20日頃の退院と聞いています、私は次の3連休に行く予定だったので、もしかしたら退院後になってしまうかもしれませんがナースステーションにご挨拶したいと思っております。

増山先生にもお会い出来ると嬉しいです。

ではまたご連絡いたします。

**********************

患者さんが元気に退院されてしばらくしてからお便りを頂きました。

感染性心内膜炎とくに大動脈基部膿瘍は心臓手術の中でも難易度が高いものとして知られています。

自分が若いころ見た手術のように、、、術後、人工弁は再感染し外れてしまい、、、という恐ろしい事態を回避したかったのです。

これまで山ほど再手術やIEを治して来た経験が多少でもお役に立てたのであればこれほどうれしいことはありません。

患者さんにはこれから楽しい生活をご家族と送って頂けましたら幸いです。時間ができれば奈良へまたお立ちより下さい。

 

***** ご家族からのお便り 6 *****

米田先生

東京も桜が咲き始めて、季節が変わったのを感じます。奈良もますます情緒豊かな季節になりますね^ ^

Facebook承認ありがとうございました。
先生の日常のご活躍が見れて嬉しいです。

この間、お電話で先生に直接お聞きして実感したのですが、やっぱり手術や移動のタイミングを逃して手遅れになられる患者さんは多いのですね…

今回の父の件でじかに体験したので私もそこはとても気になっていました。

地方の人はとくに知らない人は知らないまま、治るのに簡単に諦めてしまったり、痛みや苦しい思いをしてもなお亡くなる方が多いのでは…と考えるとつらいです。

今回は長文になってしまい申し訳ないのですが、今までお送りしたメールや今回のいきさつなどは、是非、ご自由に使っていただいて転院まで踏み切れない患者さんの手助けになればと切に思っております。

私の世代になると周囲で親が心臓手術したという話はよく聞きます。

いろいろ記事も読むと多くの病院ではごく当たり前の手術はできるけれど…というのが現状のようですね。

**先生と初めてお会いして父の病状を聞いた時、父や母に聞いていた通り一方的でこちらの話はほとんど聞いてもらえませんでした。とにかく諦めてくださいということで…

でも、無事に手術に入っていると報告をした時はまるで別人のように(笑)優しくなられていてすごく嬉しかったです。きっと米田先生のお志が連鎖したんですね!

その後、父は地元に帰れたことでとてもホッとしている様子で、声を聞くと安堵感が伝わってくるのでわかります。

高齢者で田舎の人達は保守的で、地元を長く離れることはストレスになるんですね。

沖縄から来られた患者さんも、なるべく早く元の生活に戻るよう促した結果、良かったという実績を例にあげて伝えてもらったのがとてもわかりやすかった、と父が言っていました。

私たち世代はインターネットで何でも知ることができますが、PCをツールとして使えない人は高齢者に限らず、想像も出来ないくらい情報が偏っていく時代だと思います。

転院しないとまずいというのは私は調べてすぐにわかりましたが、そのことを両親にどうやって伝えたらいいのか苦労しました。

本人が納得していないのに無理に転院を勧めても意味がないですし、弟や父母には冷静に何度も話しました。

「そんなことまでして本当に治る保証はあるの?」

「飛行機になんて乗れるわけない」

「名医の先生にお願いしたほうがいいのはわかるけど今の病院での手術日が決まっているし、今から転院なんて無理がある」

父にも「そこまで迷惑かけてまでこれ以上生きたくない」と言われた時はもう何も言えなくなってしまいました。

主治医の先生から私が直接話を聞いたのが手術予定日の12日前で

「ここまで進行していると術後も再発する可能性がある、いつまで生きられるのか保証はできないことは了承いただきたい」と言われてしまったので、転院を考えているとだけお伝えして、父にもう一度話をしなければと思いました。

先生が心臓手術は一生に一度あるかどうかの大事なので、納得するまで熟考するべきと言っていただいていたのが何より心強かったです。

父はとにかく体調が悪いので、先生のHPの記事をなるべく疲れさせないように興味のあるところをたくさん見せて話しました。

PVEはとても厄介だけれど頑張れば完治もできる、執刀医の経験や知識がとくに求められること、遠方からもたくさんの方が転院して手術を受けていること、元気になった患者さんの声、同じように北海道から飛行機で移動して転院した患者さんも実際にいて、その後は元気に回復したことなどを話しました。

それといちばん父が心配だったのは、行って治ったとしても、地元に戻った時に今の病院と気まずくなって通院できなかったら困る、ということでした。

でも、そこもきちんと対応してもらえると書いてあるよと伝えると、「そんなことまで本当にやってくれる先生なんているの?!」とびっくりしていました。

「今からでも間に合うなら転院して、元気になりたい」とはっきり父の意思が言葉に出たのですぐに先生に電話をしました。

あとは、主治医の先生に了承をもらうだけでしたが、やはりここがいちばん大変でした。

土日だったせいもあるのですが、転院を具体的に進めたいと伝えても、先生ではなく看護師さんからそれは無理ですと伝言が来るだけで、先生同士で話すこと自体を避けている状態なのがわかったので…

「命に関わることを伝言で済ませるわけにはいかないんです」と伝えたところその看護師さんも「私もそう思います」とおっしゃってくれて

「とにかく1度先生同士でお話いただかないことにはこちらは何も決められない状態です」と看護師さんにお伝えしたところ、翌日(日曜ですが先生が病院に来て頂くことになり)直接お話することになりました。

父と私と母と3人で面談したのですが

もう10日後に手術日が決まっている、今の病状で飛行機を使って移動した患者さんはいない、今までそういう事例がなかった訳ではないけれどトラブルになりそうになったことがある、など、やはりまったく話を聞いてもらえなかったのですが

付き添いのお医者さまに空港まで迎えに来てもらえることを伝えたところ、やっと先生同士でお話していただくということになりました。

その日の夕方に無事に転院できることになったと先生から連絡いただいた時は、本当に安堵感でいっぱいでした。。

今回、一通りやってみて転院の流れはわかりました。急に予定が早まるというアクシデントも含め、介護タクシーやJALの手配など、昔、旅行会社にいたことと旅行好きが役に立ちました。

もし差し支えなければですが、例えばメールの問い合わせをして来た方などで実際に転院した人の話が聞きたい、主治医の先生に転院を切り出せない(ここはけっこうな難関なのではないでしょうか…)など、メールやLINEの無料通話であればお金もかからないですし、直接お話するのも私はかまいません。

少しでもお役に立てれば嬉しいです。

今回は家族みんなで困難を乗り越えられて私自身も人間的に成長できました。

素晴らしい思い出をたくさんいただけたこと、なんとお礼を言っていいのかわかりません。

日々休むことなく救命にエネルギーを注いでいらっしゃる皆様の姿勢には本当に感銘いたしました。

今後ともずっと応援させていただきます。

かんさいハートセンターのさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

 患者さんからのお便りのトップページにもどる

Heart_dRR
心臓手術のお問い合わせはこちら

 

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

お便り105: 感染性心内膜炎(IE)のため僧帽弁形成術を受けられた患者さん

Pocket

感染性心内膜炎(略称 IE)は突然ひとを襲います。

きっかけは抜歯やけがその他さまざまですが、その背景に弁膜症先天性心疾患などの心臓病があります。

感染性心内膜炎のために弁がより壊れて弁膜症が悪化することもあります。

IMG_0364b感染や心不全がどうにもならなくなった時などに心臓手術が必要となります。

下記の患者さんは遠方からお越し下さいました。

当初入院しておられた大学病院では心配と連絡を取ってこられ、患者さんのご希望で主治医の許可と協力を得てかんさいハートセンターまで転院して来られました。

2つのメールを掲載いたします。ひとつは最初に私に送って下さったもの、もうひとつは退院後お元気になられたあとのお礼のメールです。

褒めすぎのところはお恥ずかしい限りで読み飛ばしてください。

病気と正面から向き合い、勉強し相談し熟考し、決断された患者さんとご家族には頭が下がります。

ポートアクセス法というMICSによる僧帽弁形成術で痛みも少なく、元気な生活に戻れたのは患者さんとご家族の努力の賜物です。

弁形成のあとはワーファリンも不要ですし自然な生活ができるでしょう

これから元気な健康生活を楽しんで下さい。


******ご家族からの最初のお便り******

お忙しい所大変申し訳ありませんが、インターネットを見て米田先生にメールさせて頂きました。

私は**市に住みます**と申します。

私の妻の母が微熱が長く続いて体調がおもわしくない為、今月始めに近くにある**大学病院で診察して頂いたら、感染性心内膜炎と診断され抗生剤の投与を続けています。

ですが効果があまり良くないらしく、近いうちに弁の手術をしなくてはいけないと先生から告げられたみたいでショックを受けています。

本当にこの病院で手術に踏み切って良いものなのか不安がっています。

実際に手術が近々に迫ってるこの状態でハートセンターへの転院は可能なのでしょうか?

まさか心臓の病気になるなんて思いもよらなくて慌ててしまい、先生のおみえになるような専門の病院があるなんて知識も無かったのですごく後悔をしています(泣) 

何か良い方法があれば教えて頂きたいです宜しくお願い致します m(_ _)m


*****ご家族から、退院後のお便り *****

米田院長先生

昨日は母が無事退院で お便り105きました事を心より感謝申し上げます。

本当なら院長先生に直接お会いして御礼を申し上げたかったのですがメールで申し訳ありません。

母は自分の病気を知った当初はもう助からないと絶望的でしたが、この病気 (感染性心内膜炎) をきっかけに米田院長先生の存在を知る事が出来まして、

神にすがる気持ちで先生にメールを送りましたら直ぐにお返事を頂き、そして先生のお導きによって母の命を繋いでいただけました。

本当に言葉では言い表せないほど感謝の気持ちでいっぱいです。

母の病気がきっかけではありますが、先生を知れば知るほど偉大さや人間性、様々な事が、職種は違えど私にとっても刺激になり勉強にもなりプラスになっています。

今後も母のアフターケアでお世話になりますが、宜しくお願い致します。

そして米田院長先生がいつまでもお元気でご活躍される事を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました

              ****

患者さんからのお便りのトップページにもどる

Heart_dRR
心臓手術のお問い合わせはこちら

 

 

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。