第五回日本ローカーボ食研究会に参加して

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恒例の学術集会がこの3月1日に名古屋で開催されました。

早いものでいつしか5回目となり、内容の深さも当初よりさらに立派になったと思います

まず灰本クリニックの灰本元先182347277生(この研究会の理事長です)が三段階糖質制限法に対する海外の反応という、パイオニアならではのご苦労と今後の方向性がわかるお話でした。

穏やかなローカーボ食(CARD)は過激派からは生ぬるいと言われ、CARD否定派からは単に毛嫌いされるという板挟み状態にあると思います。

しかし従来のダイエット法の良い点をそのまま温存し、悪い点だけ補う、それも科学的根拠にもとづいておこなうという点で穏やかローカーボは優れものと私は考えています。

医学ジャーナルの査読の先生方もまだまだ旧式の、自分の考え以外は否定するひとも少なくありません。着実に仲間を増やしていくのが良いと思いました。なかでも患者さんが喜んで下さり、患者さんが仲間になる、これが強いと思います。

つまりローカーボダイエットを正しく実践する医師のところへ多数の患者さんが集まる傾向がはっきとすれば、あとは時間の問題になると思うのです。

医療の世界では審判は患者さんなのですから。


Ilm09_ad03002-s続いて私、米田正始が心臓外科手術でやせるべき時、太るべき時というタイトルでお話しました。

太り過ぎのため、肺活量が少なすぎたり血糖値その他の問題で心臓手術ができないという患者さんをときどき見かけます。

そうした患者さんたちを、ただ手術適応がない、と断るのではなく、科学的ダイエットで必要な減量を安全に行い、肺活量や内臓脂肪、血糖値その他を良い状態にしてからゆうゆうと安全な心臓手術を行う、これは患者目線の全人医療として正当なものではないかと思うのですが、大方のご意見は好意的でうれしく思いました。

最近進歩しているMICS手術でも太り過ぎの方は脂肪に押されてか、視野が狭いのですが、こうしたケースにもCARDはお役に立っているのです。

 

ついで私たちの知恵袋、名古屋大学名誉教授の加藤潔先生が果糖代謝とブドウ糖代謝の関係ー果物を理解するために、というタイトルでお話されました。

自然科学という言葉がぴったりとくる、論理的で明快で頭の中がすっきりと整理される、興味深いお話でした。

果物には果糖が含まれるタイプがあり、それを食べ過ぎると糖新生が起こり、血糖値や悪玉コレステロールLDL、中性脂肪TG、尿酸その他が増えてメタボの病気を創ってしまうのです。

また果物が熟するとブドウ糖が増えるタイプがあり、熟したときのおいしさの秘密がわかり、なるほどと感心しました。

果物は他の食べ物にはない特徴があり、うまく食べれば健康食品として活かせるという期待をもたせて下さったお話でした。

 

ランチョンセミナーは名古屋大学大学院予防医学の笹壁多恵さんのゆるやか糖質制限食のお話でした。ちょうど研修のためフィリピンに滞在中で、この研究会のために戻って来て頂きました。

フィリピンの食事が炭水化物中心であるのに驚きました。何でも太っているのがひとつのおしゃれ、ステータスのような空気があるそうです。しかし糖尿病が増加しているという事実を見るとこれから彼の地でもローカーボダイエットCARDを啓蒙しなければと思いました。

ランチョンセミナーの時間に糖質制限のスープ、カレー、パンなどがふるまわれました。なかなかの美味で感心しました。スポンサーの皆様に感謝!


午後は管理栄養士さんが中心の発表セッションでした。

Btn_ghc岐阜ハートセンターの大西歩実さんは同センター開設時からCARDを推進して来られた実力派の栄養士さんです。今回はローカーボによってさらに痩せて困った症例を発表されました。

小早川医院の飯塚智子さんはSU剤を減量し、CARDを指導した肥満糖尿病の一例を発表されました。

いずれも立派なお仕事です。あえて前向きにコメントさせて戴ければ、もう少しおだやかローカーボで、かつ体重などでもこれ以上はやらないという限界を設けてやって頂ければ理想的かと思いました。

高の原中央病院4bかんさいハートセンターでの大事な仲間でもある高の原中央病院の余吾淳子さんはエネルギー制限食に比べたローカーボ食の有用性という研究を発表されました。20名の患者さんで2倍の速さで無理なく減量できることを示されました。

これまでのローカーボ研究ではカロリーを一定にして糖質の割合を変えるという科学的検討ができたものはなかったため、灰本先生はじめ大方の方々の高い評価を頂きました。

この研究をさっそく論文にして世にだそうということになりました。余吾さんの努力に敬意!です。

名古屋大学大学院の笹壁多恵さんは2型糖尿病患者の自己血糖測定をとおした連携について発表されました。食生活、食べ物はじつに多種多様です。患者さんから教えて戴くことがたくさんあります。それを実例で教えて頂きました。

たとえばプチシュークリームは痩せる目的には意外に良いとか、カレーライスはかなり不利とかですね。こうした情報をこれから共有し、豊かな食生活を築くことができれば良いですね。

最後に灰本クリニックの渡邉志帆さんがロールプレイングによる糖質制限食の管理栄養士教育の実際を発表されました。

なかなか見ごたえのある内容で、これからこうした実地シュミレーション教育が役立つと感心しました。

そのあと総合討論で皆さんからさまざまなご質問やご意見がでて、熱気につつまれた研究会になりました。

私は心臓外科医ですが、この会の活動や研究会を通じてじつに多くのことを学ぶことができ感謝しています。その成果は患者さんたちに直接還元できています。

来年もまた立派な研究会にしたいものです。

皆様、ありがとう、お疲れ様でした。


米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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京都山城総合医療センター

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この病院は国民健康保険山城病院が2013年5月に改組されさらに立派な京都府南部の地域中核病院になったものです。

山城総合医療センター

京都府がん診療連携病院でもあり脳脊髄センター・ハートセンターや糖尿病センター・慢性腎臓病センターなどをもつまさに地域医療センターです。ハートセンターでは急性心筋梗塞に対するカテーテル治療PCIを多数こなされ、山城エリアの救急医療の中心として活躍しておられます。

 

高の原中央病院かんさいハートセンターとは府県は異なるものの距離的には比較的近く、すでに病々連携でお世話になっています。

以前から京都府立医大の研修病院として指定されており、かんさいハートセンターの心臓血管外科も2015年1月から同医科大学の専門医制度関連施設となったため、いっそう親しみやすく協力しやすくなりました。

 

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京都きづ川病院

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京都きづ川病院は1980年に開設された京都南部の地域医療を担う病院です。

当時私はまだ大学生で、この病院を創られた故・中野進先生を慕って何度かお邪魔したことを覚えています。

開設当時から開業医の先生方との病診連携をモットーにした病院運営で話題になっていました。

中野進先生は医師だけでなく 医師の世界の新版学者文化人としても有名で、医師の社会におけるあり方を徹底調査し理想像を探った医師の世界という本は今も含蓄深いものがあります。勉強熱心な先生はお忙しいのに同志社大学で社会学を教えておられたこともありました。

文化活動の一端として著名人を招いての学術講演会も京都きづ川病院の開設当初から頻繁に開催され、一味違ったものがありました。

まだ留学中の1995年ごろだったと思いますが、そのきず川病院で講演させて戴いたこともあります。まだ駆け出しのころで「講演」では僭越ですと申し上げたところ、「ランチセミナー」ならどうだいと言われてそれでもまだ恐縮ですとお答えしました。それじゃ「ティタイムセミナー」でどうかと言われてそれでお願いしますと厚かましくお引き受けしたのを覚えています。講演のあと建設的なご意見を多数いただき、大勢で記念写真を撮って頂き感動したのを覚えています。

京都きづ川病院京都きづ川病院はその後ご子息で脳外科医の中野博美先生が継承され、発展し現在に至っています。中野博美先生は順天堂大学の名物教授・石井先生のもとで腕を磨かれたエキスパートです。

私が京大病院で勤務していたころは京都の救急体制の充実のためにいろいろとご指導いただいたのも懐かしい想い出です。

私が京大を去って名古屋ハートセンターを立ち上げてからは遠方ゆえしばらくご無沙汰しておりましたが、

2013年10月に高の原中央病院かんさいハートセンターを立ち上げてからまたご厚誼を頂くようになりました。

2015年1月からかんさいハートセンターが心臓血管外科専門医制度の関係で京都府立医大の関連施設になってからさらに親しみが増し、先日もそのご挨拶に行って参りました。

中野博美先生は周辺部の病院と協力して発展することをさまざまな観点から考えておられ、これぞ地域医療、素晴らしいと思いました。

これから京都府南部と奈良県北部の地域医療できづ川病院のお手伝いができ、より多くの患者さんの救命ができればうれしいことです。とくに心筋梗塞がらみの心不全や心室中隔穿孔、あるいは大動脈瘤や大動脈解離などでもお役に立てると思います。もちろん傷跡のちいさい弁形成術や弁膜症手術では他でできない心臓手術が提供できるでしょう。

京大病院時代には小回りが利かず足腰の弱い国立大学病院の特徴からあまり貢献できませんでしたが、これからは24時間走り回れる病院の利点を活かした病々連携ができるものと楽しみにしております。

患者さんたちにおかれましては、こうした病院間の連携や協力で、より便利でより高度な医療が受けられることを知っていただき、病気になっても諦めることなく、ご相談頂けましたら幸いです。人間、「生きてなんぼのもの」と思います。そしてさらに楽しく生きることを目指して戴ければと思います。皆で地域医療を発展させたいものです。

 

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お便り113: 5回目の心臓手術と2つのハンディを乗り越えて

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弁膜症を長年お持ちの患者さんの場合、何十年という間には何度も心臓手術が必要になることがあります。

とくに感染性心内膜炎や組織が弱くて切れる場合などに、見られます。

私の病院へは3度目、4度目、5度目などの再手術を求めて患者さんがよく来られます。

地元の病院で危険、ダメと断られてこられるのです。

沖縄、九州や北海道、東京などからも来 184741739られます。できるだけご期待に沿えるよう、頑張っています。

つぎの患者さんは三重県から来られました。

それまで4回手術をうけて取り付けた人工弁がまた外れて逆流しているというのです。5回目の手術が必要となり、心臓のちからも肺のちからも正常の半分にまで低下し、極めて危険な状態でした。大学病院でもこれは無理と匙を投げられた状態でした。

高の原中央病院かんさいハートセンターの私の外来へ来られ、確かに危険性が高く、また薬などで当面は持ちそうなため経過を見ていました。

その間、心不全が次第に進み、苦しくなって、患者さんは何度もお手紙を下さいました。

もとの大学病院の先生方とも協力し、苦しさの原因が心臓にあるのか、肺にあるのかを含めて何度も検討し、やはり弁を治すしか生きる道はない、という結論になりました。

入念に準備を進め、MICSの方法を駆使して小さい切開でほとんど剥離が要らない形で弁の裂けたところをピンポイントで直しました。

患者さんは順調に回復され、元気に退院して行かれました。

是非とも生きたい、そのために何としても病気を克服する、5回目の手術でも頑張る、自分と自分の主治医を信じて頑張る、そうした覚悟と決意の賜物だったと思います。

まさに命を預けて戴いた、心臓外科医としてこれほど光栄なことはありません。そしてご期待に応えることができ、これほどうれしいことはありません。

また外来でお元気なお姿を拝見させてください!

以下はその患者さんが他の患者さんたちのお役に立てるようにと書いて下さったお便りです。

 

****** 患者さんからのお便り ******

米田先生へ IMG_0806b

病との戦い

私は69歳の男性です。

私の今までの病歴を紹介しますと、

子供の時、リュウマチ熱から心内膜炎を併発して、

31歳の時、1回目の僧帽弁開腹術を受け、その時血栓肝炎(ノンA・ノンB型)になり、(この時はまだC型ウイルスが見つかっていなかった)

その後、慢性化して40歳になった頃、ウイルスが活動し出して、大動脈閉鎖不全症とあわせてものすごいしんどい日が続きました。

当時は、C型肝炎は不治の病と言われていたので、大動脈閉鎖不全をとりあえず良くなりたい気持ちから2回目の心臓手術を受けました。

少し楽になったが、C型肝炎がますます悪くなり、仕事に耐え切れず44歳に大型スーパーを退職しました。

45歳の時、インターフェロンが保険適用になり、治療して快復しました。

それから10年間コンビニを経営して、その後56歳から子供の時からの夢であったラーメン店を経営しました。ラーメン店が軌道に乗りだした59歳の時に31歳の手術をした僧帽弁がまた狭くなり、人工弁を移植しました。(3回目の心臓手術)

ところが、術後10カ月頃、人工僧帽弁に黄色ブドウ球菌がついて6か月入院して治しました。しかし、かなり息苦しくなったが我慢してラーメン店を続けました。また、同時期、ワーファリンの飲む量を調整するために減らしていた時、脳梗塞になり救急車で病院に運ばれました。気付くのが早かったため少し障害は残りましたがまた仕事を続けました。

63歳頃から顔色が土色になり、浮腫みがひどくなり、64歳にギブアップして仕事を辞め、治療に専念しましたが、徐々に悪くなり、不整脈の治療のためペースメーカーを入れてもらったりしたが、59歳の時の人工弁の縫目からの逆流(人工弁感○○症の影響)がひどくなって、67歳の時4回目の手術を受けましたが、私はどうも体質がくっつきにくいためか、だんだん心不全が進行して色々病院にあたり、断られました。

そんな時、3年前にテレビで放映されていた心臓手術の様子を思い出し、名古屋のハートセンターの米田先生を尋ねましたが、1年前にかんさいハートセンターを高の原中央病院内に設置されたとのことで、半年位通院して5回目の手術を23日前に受けました。

おかげで、縫目の逆流を治すことができました。心臓の機能がしっかりして、腎機能も利尿剤を飲まなくても済むようになりました。

術前は心臓が普通の人の50%、肺の機能も50%でしたが、心臓機能はもっと良くなると思っています。肺の機能も時間はかかると思いますが、それにつれて良くなるよう呼吸を訓練したり、リハビリを積極的に行っています。

人生は一度限りです。良くなりたいという強い気持ちが大切です。

それには、なんとか良くしてやろうと事前検査の徹底、丁寧で心臓手術の豊富な医師を探して手助けをしてもらい、良くならないと損だという強い意志が必要です。

なんとかなりますので、最後まで頑張りましょう。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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第一回江東豊洲心血管カンファランスに行って参りました

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この会は新東京病院で活躍して来られた畏友・山口裕己先生が昨年、昭和大学江東豊洲病院に循環器センターを立ち上げられたのを機に開催されました。就任祝賀会もあわせておこなわれました。

山口先生は岡山大学の佐野俊二教授のもとで研修し、その後ニュージーランドにある有名なグリーンレーン病院でコンサルタントにまでなられ、腕をあげて帰国された仲間です。

祝賀会ということもあり、同先生がかつてお世話になられた恩師や友人の先生方も内外から参加され楽しい会になりました。

私はチーム山口の研究発表に対する指定発言という重責を頂いての参加でした。

昭和大学江東豊洲病院
カンファランスはまず研究発表から始まりました。

新東京病院のころから優れた手術をそれも多数こなしてこられたチームですので私も楽しみにしていました。

三尖弁閉鎖不全症で右室の拡張が高度なものや弁尖が不足する状態では三尖弁形成術はかなり難しいことがあります。そこでパッチをもちいて前尖を拡大しゆうゆうとしたかみ合わせで弁の逆流を止めるという手術を行って来られました。

私はつぎのようにコメントしました。これは三尖弁形成術の限界をさらに高める立派な方法であること、同時に弁膜症とはいえ右室拡張がその病態の本質であるため、右室機能を高めるための方法たとえば乳頭筋の位置移動なども併せ検討してくださいとお願いしました。なお個人的にはこうした拡大形成術と将来のTAVI、バルブインバルブを考慮した生体弁TVRを傷跡の目立たないMICSで行うことの二本立てが良いのではと考えています。


つぎに巨大左房縫縮術のあとの呼吸機能をCPXで検討された結果を示されました。

僧帽弁形成術や置換術、そしてメイズ手術と同時に行う手術で、良い経過ながら肺機能の向上というレベルには至っていないようでした。

私はこの努力は意義があり続けて下さいとコメントしました。さらに欧米の方法では出血リスクが高いため10年ほど前にJTCVSやEJCTSに発表した私たちの方法なら出血ゼロのためさらに安全にでき、除細動率もあがり、患者さんはお元気であることをお話しました。巨大左房の患者さんは5年もたてば大半が亡くなるというEBMがあり、この手術は極めて有意義で、さらに進められるようにお願いしました。


さらに大動脈弁輪縫縮術を応用した大動脈二尖弁形成術の経験を発表されました。

これも素晴らしい仕事で、VAジャンクション(心室と大動脈の接合部)の本格的な形成・縮小は理に適ったことですが、シェーファーズ先生らの簡便な方法とも比較して最適術式を探って下さいとお願いしました。これから大動脈弁形成術はさらに進化すると思います。

 

ランチョンセミナーは2つあり、まずオークランド市立病院のMilsom先生のグリーンレーン病院のお話がありました。

私も弟子がお世話になった素晴らしい病院で今からでも機会をみつけて訪問したく思いました。


もうひとつの話題はタイの畏友Taweesak先生が僧帽弁形成術が患者の人生を治すというタイトルでのご講演でした。

リウマチ性僧帽弁膜症への形成術ではすでに世界的権威のTaweesak先生ですが、通常の僧帽弁閉鎖不全症でも新しいコンセプトで弁形成をより進化させておられるのがわかりました。リウマチの弁膜症は現代の日本では少ないですが、それでもときどき患者さんが来られます。例数が多いタイの経験も加味してしっかりと形成したいものです。


それから山口先生らの僧帽弁形成術後の狭窄の報告がありました。

運動負荷エコーの進歩でこれまであまり見えなかった問題が見えるようになったのです。今後の僧帽弁形成術の展開に重要なテーマです。私たちはこれへの対応を始めており、やはり弁尖で不要なものは切除する、リングは大き目である程度やわらかいものを使う、などの工夫をしています。これは「respect rather than resect」行き過ぎへの警鐘と、かつてトロントで柔軟リングと硬性リングの差は運動負荷によって明らかになることをジャーナルで発表したことを踏まえてのことです。


機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する前尖や後尖へのパッチ拡大術を発表されました。この方法は弁逆流の制御には良いのですが、左室機能改善には直接役立たないため、乳頭筋吊り上げなどを検討して下さいと後でコメントしておきました。なるほどと思ったのは後尖へのパッチは前尖へのそれより長期成績が良いことで、後尖テザリングの制御が重要であることを裏付けるもので、この意味でも有用な研究と思いました。

 

ここから特別講演で、まずメイヨクリニックのシャフ先生が症状のない大動脈弁狭窄症の予後や治療についてお話されました。症状がなくても長期生存率は低いため、患者も医師も十分理解したフォローが必要とあらためて感じました。日本では循環器の病院でも症状がなければ放置して良いと思っている先生がまだおられ、これからの啓蒙活動が必要です。と同時に外科はさらなる治療成績の改善も重要です。

 

順天堂大学の天野篤教授は冠動脈バイパスの過去・現在・今後についてお話されました。すでに世界のトップレベルに達した感のある日本の冠動脈バイパス手術の原動力のような先生のお話はためになり、夢のある内容でした。

私の橈骨動脈グラフトの研究成果にも触れていただき、ありがとうございました。これから日本のバイパスの良さつまり動脈グラフトとオフポンプを守りつつ、MICSなどで新たな展開をしたいものです。

 

トリは岡山大学の佐野俊二教授のお話、夢の扉をひらく、でした。

佐野先生とのお付き合いは長いのですが、一貫して進めてこられた先天性心疾患の外科治療が社会活動、国際協力、国家プロジェクトの一環というレベルにまで上がり、夢のあるお話でした。

そういえば昔、ベトナム・ホーチミン市のチョーライ病院に心臓血管外科を私たちが立ち上げたことを想いだし、こうした活動を国を動かすレベルで大掛かりにすることの意義をあらためて感じました。

 

カンファランスは多数の参加者を得て盛会裏に終了しました。

その合間をぬって、昭和大学江東豊洲病院内を見学させて頂きました。ウォーターフロントの見事な景色と新しく高機能な病院、広々として見事な手術室やICUなど感心することばかりでした。我が高の原中央病院かんさいハートセンターもこうしたものを参考にして地域の中で患者さんに喜ばれるセンターにしたく思いました。

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そのあと会場をホテルへ移して山口教授就任祝賀会が開かれました。

大勢の先生方のご参加で楽しい会になりました。こうした病院全体が支援するハートセンターで山口先生とそのチームが大きな展開をされることを確信し、また応援したく思いました。

 

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お便り112: ポートMICSの僧帽弁形成術でゴルフ復帰へ

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僧帽弁閉鎖不全症の治療として僧帽弁形成術がベスト!というのはかなりの患者さんたちの間で常識になりつつあるようです。

近くの病院で弁置換を勧められてからこれはおかしい P1120179bとご自分で調べ、形成を確実にやってくれる病院を訪ねる患者さんも増えました。

同様におなじ弁形成なら早く仕事やスポーツに復帰したい、そのためにミックス手術ポートアクセス手術だ!と考える方々が増えました。

そして自分が納得できる治療や方針を立ててくれる医師を求めて飛行機ででも移動するという方が増えました。

下記の患者さんもそのひとりで、みずからしっかりと病気に立ち向かい、勉強し、そして連絡を取って来られました。

手術では僧帽弁前尖の広範囲が逸脱し、形成術としてはやや複雑でしたが、これをポートのMICSできれいに仕上げることができました。

せっかく九州・宮崎からお越し下さっただけに、十分な治療と、遠方がハンディにならないような配慮をし、余裕ができるまで院内で心臓リハビリもこなして頂くようにしました。

まもなく春がやってきます。ゴルフやスポーツなども楽しんでいただければうれしいことです。

東京オリンピックの観戦は余裕でお楽しみ頂けるものと存じます。

以下はその患者さんからのお便りです。

 

****** 患者さんからのお便り **********


特任院長 米田正始 様
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いつも医療に献身的に取り組んでおられる米田正始先生をはじめ、増山慎二先生、
小澤達也先生、村西菜苗先生そして麻酔科の先生、看護師の方々等改めて敬意を
表します。

入院から退院まで約29日間、不快な気持ちもなく治療に専念できたこと心より感
謝申し上げます。

ありがとうございました。

神の手に委ねたこの体、お陰様で東京オリンピックまではしっかりと見届けられ
るのではないかと密かに喜んでいます。

また、諦めかけていたゴルフも来年いや今秋にも本格的にできるのではないかと期待をふくらませています。

お会いできそうもありませんのでお手紙でお礼申し上げます。

本当にありがとうございました。

医療充実・発展のため、益々ご活躍されることでしょう。

どうか体だけはご自愛ください

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近畿大学医学部奈良病院・心臓血管外科

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この病院は近畿大学附属病院の第二病院として1999年に開設された。

私にとって母校の大先輩にあたる心臓外科医・城谷均先生が中心になって救急や循環器にちからを入れた内容になった。

当時ひとはこの病院を城谷病院と呼んだほどである。 A335_010

城谷先生は患者さんの手術や治療にあたっては頭脳明晰、冷静沈着、有言実行しかし酒を飲むと天真爛漫ときに狂喜乱舞といった心臓外科医で、先天性心疾患の外科治療で多大な成果を上げた方である。

近大奈良病院の開設時、私は京都大学に奉職していたため、城谷先生のご依頼を受け、医師チームを構成しこの新しい病院へお送りした。とくに心臓外科のヘッドには京大グループの中でも実績豊富な西脇登先生に着任いただき、大学としてもしっかりとサポートする中での発進であった。

近畿大学奈良病院は順調に発展を続け、とくに心臓血管外科は大阪や奈良、さらには京都府南部や兵庫県西部まで、もちまえの機動力つまり救急車を活かして緊急のバイパス手術と大動脈解離を中心に大きな貢献をするようになった。

この病院の草創期のサポートに携わったものとして大変うれしいことである。

その後私は京都大学を去り、名古屋ハートセンター等で第一線心臓外科臨床に没頭しながら近大奈良病院の展開をいつも頼もしく見守っていた。

御縁あって奈良の地に高の原中央病院かんさいハートセンターを開設することになり、医療圏は少々違うがおなじ奈良県で地域医療に携わることになった。大変光栄なことと感じている。

立ち上げ期ということで緊急対応できないときには近大奈良病院に患者さんをお願いしたこともすでに何度かあり、こうした地域の病々連携ができるのもうれしいことである。

昔風のパラダイムでものを考えるひとたちの中には、私たちが近大奈良病院とバッティングするのではと心配下さる向きもあるようだが、私たちは全国区のセンターであり、かつ連携重視した地域医療をこなす方針のため問題ないと考えている。

部長の西脇先生のプロ精神は私が個人的にもっとも尊敬しているところであり、今後同先生がご退官されても何らかのご指導を頂ければ幸甚である。

奈良の地が日本でももっとも心臓血管死の少ないエリアになるよう、近大奈良病院にご協力しつつ私たちは微力ながら貢献したく思うのである。

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症とは 【2025年最新版】

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最終更新日 2025年9月23日

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◆はじめに ― この記事を読んでほしい方

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  • 心筋梗塞を経験された方

  • 息切れや動悸が続く方

  • 心臓の弁膜症と診断されたが詳しく知りたい方

  • 僧帽弁逆流・虚血性心筋症といわれ不安を感じている方

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症(Ischemic Mitral Regurgitation:IMR)は、心筋梗塞後に僧帽弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流する病気です。
放置すると心不全が進行し、突然の呼吸困難や脳梗塞、生命に関わるリスクが高まる危険な病気です。
しかし現在は薬・カテーテル治療・外科手術の進歩によって、多くの患者さんが改善できるようになっています。

この記事では、虚血性僧帽弁閉鎖不全症の原因・症状・診断・治療法の選択肢について、患者さんやご家族にも分かりやすく解説します。

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◆虚血性僧帽弁閉鎖不全症とは

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症(Ischemic Mitral Regurgitation:IMR)とは、心筋梗塞や虚血性心筋症の後に生じる僧帽弁の逆流症です。
一見すると「弁膜症」に分類されますが、実際の原因は弁そのものではなく左心室の障害にあります。

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心筋梗塞や虚血で左室が拡張・変形すると、僧帽弁を支える腱索が横方向に引っ張られ(=テザリング)、弁がきちんと閉じなくなり逆流が生じます。
このテザリングの解明と治療法は、1990年代に私がスタンフォード大学で研究を重ねてきたテーマでもあります。

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👉 関連ページ: 機能性僧帽弁閉鎖不全症とは

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◆症状

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初期は運動時の息切れ・動悸が中心ですが、進行すると**安静時や就寝時の呼吸困難(起坐呼吸)**が出現します。
胸痛を伴う場合は虚血が進んでいる可能性があり注意が必要です。

危険な兆候としては:

  • 夜間の強い息苦しさ

  • 下肢のむくみ

  • 突然の胸痛や動悸

これらがあれば早めの受診が推奨されます。

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◆治療法

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内科的治療

  • 薬物療法(利尿薬、β遮断薬、ACE阻害薬など)

  • 心臓リハビリ

  • **ASV(加圧式マスク)**による補助

  • **MitraClip(Mクリップ)**などのカテーテル治療(軽中等度例に限られる)

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外科的治療

薬やカテーテルで十分な改善が得られない場合、外科手術が選択肢となります。
虚血性僧帽弁閉鎖不全症はかつて「難病」とされていましたが、現在では**僧帽弁形成術や乳頭筋最適化術(PHO)**などの進歩により、多くの症例で良好な成績が得られるようになっています。

👉 詳細はこちら: 虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術

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◆なぜ症状が変動するのか? ― ロプノール湖の比喩

.IMRとロプノール湖

かつてこの病気は「消えたり現れたりする不思議な病気」と思われていました。
入院中は塩分制限・安静・点滴で一時的に改善し、退院すると再び逆流が悪化する…その原因を説明するのがテザリング現象です。

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左室が少し拡張するだけで、腱索が引っ張られ弁逆流が一気に増えるのです。(右下図、状態悪化すれば左図から右図へと変化)
このため手術(PHO)では前尖・後尖の両方を調整し、テザリングを解消することが重要になります。

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この詳細はPHO(乳頭筋最適化術)のページをごらんください。また開発の歴史もご参照ください。

テザリングと弁逆流.

 

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◆検査の進歩と注意点

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従来は心臓カテーテル検査が中心でしたが、現在では心エコーが診断の主役です。
理由は:

  • 心エコーは血流・弁の動き・ジオメトリーを詳細に評価できる

  • 外来や症状が強い時に繰り返し検査が可能

  • カテーテル検査は入院・安静下で行われ、実際より逆流が軽く出ることがある

現代では、心エコーを主体にカテーテルを補助的に利用するのが標準的です。

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◆ハートチームでの治療

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症は、心臓外科・循環器内科・麻酔科・リハビリ科が連携するハートチームでの治療が不可欠です。
患者さんごとに最適な治療法を選び、内科治療・カテーテル治療・外科手術を組み合わせることで、より良い予後が期待できます。

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◆まとめ

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  • 虚血性僧帽弁閉鎖不全症は心筋梗塞後に起こる僧帽弁逆流

  • 本質は弁の病気ではなく左室のリモデリングとテザリング現象

  • 初期は薬・リハビリ、進行例ではMitraClipや外科手術が有効

  • 最新の僧帽弁形成術・PHOで治療成績は大きく改善

  • エキスパートチームによる個別化治療が重要

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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乳頭筋接合術とは

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症をはじめとする機能性僧帽弁閉鎖不全症に対して行う弁形成術のひとつです。

当て布付の糸で前乳頭筋と後乳頭筋を根本か中ほどか先端部で寄せ、あたかも一本の乳頭筋のようにするのがこの方法の特徴です。

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この方法のコ LevineSchemeンセプトは2000年にMGH(マサチューセッツ総合病院)のRobert A. Levine先生らが提唱された両乳頭筋間の左室を縫い縮める方法から始まっているようです(左図)。

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それと並行して、拡張型心筋症に対するバチスタ手術で左室側壁を切除するとき、ちょうど両乳頭筋間の左室を切除することが多く、それはそのまま乳頭筋接合術を兼ねていたともいえます。多くのばあい、僧帽弁閉鎖不全症は軽減し良い結果をもたらしていました。

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日本ではこの方法を北海道大学の松居喜郎先生らが積極的に施行され成果を上げておられます。

私たちもこの乳頭筋接合術を行った時期があり、成果を上げることができました。

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その後、乳頭筋ヘッド最適化術(PHO)を開発してからはこちらの方を多用しています。PHOのページで示していますように、後尖の形が自然かつきれいで、長期間の再発が少ない形をしているためです。いわゆる後尖テザリングと呼ばれる現象が軽いのです。これは長期的に有利な形で、この点で乳頭筋接合術(後尖には効かない)より優れていると考えるわけです。

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それとすべての外科手術術式は自

199621043

自然に学ぶことが治療成功のカギと教えられました

然に学ぶのが良い、人工的な構造には慎重であるほうが安全であるという恩師 David先生の考えにそって、自然の構造から開発したPHOのほうがなじみやすいのかも知れないと考えてのことです。

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ともあれ今後も皆で検証を続けながらより良い治療法を開発、定着させていきたく思います。

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傷跡が目立たない心臓手術【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月24日

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◾️昔は大きな傷跡は良い事だと

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心臓手術はかつては MedianSternotomy傷跡が大きいもの、というのが常識でした。

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40-50年ほど昔、なにしろ生き残ることができれば良しとしよう!というレベルからのスタートだったからです。

胸骨正中切開といって約25センチ長の傷跡が胸の真ん中に残りました(右図)。

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◾️傷跡が小さいミックスの時代に

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その後心臓手術は日進月歩、安全IMG_0229b2性が高くなり、術後のQOLつまり生活の質が問われるようになって傷跡が目立たない手術つまりミックス手 PostAccess3術(MICS)が脚光をあびるようになりました(左図)。

 

左写真はMICS心臓手術後の傷跡です。

女性の場合は乳腺の下にあるしわのところで皮膚を切開するようにしているためほとんど見えません。

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その詳細はこちらのページをご参照ください。

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◾️傷跡が小さい手術の盲点・注意点

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ここで大切なこと、それは十分な安全性の確保のうえのミックス手術でなければならないということです。

言い換えれば、高い技術と熟練度が確保されていることが大切です。

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私たちは高々4年あまりの間にポートアクセスの本格的ミックス手術を160例近くこなした、熟練チームです。現在は毎週行っています。

たとえば写真右は僧帽弁形成術と大動脈弁形成術を同時にミックスで行った患者さんの傷跡です。

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僧帽弁形成術を例にとってみれば、ミックス手術をやっていると言ってもごく簡単な形IMG_0365DVPb成だけしかやっておらず、それ以上の手術では通常の大きな傷跡でやっている病院もあります。

これは心配です。術中に何か小さいトラブルでもあれば対処できないという恐れが多分にあるからです。

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私はかつて修練時代に恩師からこう教えられました。一段上の手術ができるようになって初めて普通の手術ができるのだ、と。つまり何か想定外のことがあっても、余裕をもって対処できる、ということです。

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◾️美容目的だけでないミックスも

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美容目的や早期の仕事復帰、スポーツ復帰、クルマ運転再開などのために骨を切らず傷跡が目立たないミックス手術を行うことが多々あります。

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しかし私たちは純粋に安全性を高めるためのミックスもやっています。

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たとえば5回目の心臓手術でアプローチできないほど強い癒着があるときに、それを避けるルートとしてのミックスですね。こうした重症患者さんを救命するためのノウハウの蓄積が普通の患者さんの安全向上に役立つと思うのです。

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患者さんにおかれましてはこうしたことも考えて病院を選ばれることをお勧めします。

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