お便り104: 大動脈弁置換術でアスリート生活にカムバック

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大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術はすでに安定した成績それも短期だけでなく年余にわたる長期に示されています。

しかし通常の胸骨を切る方法での心臓手術ではなかなかもとの生活とくに激しいスポーツには戻りづらいということはよくあります。

そこでMICSミックス、なかでも胸骨も肋骨もまったく切ら IMG_2118bないポートアクセス法がお役に立つのです。

下記はそうした方法で大動脈弁置換術を受けてみごとにアスリート生活に戻られた患者さんOさんのFacebookフェイスブックからの引用です。患者さんのお許しを得て、しかし個人情報のポイント部分は伏せてご紹介します。

ミックスでなければこれほど早くスポーツに戻ることはできなかったと思います。お役に立ててうれしいことです。

なお文面からお察しがつくとは思いますが、Oさんは薬剤師さんです。

医療者がしっかり勉強してから私たちを選んでくださること、いつも光栄に思い、また襟を正してそのご期待に沿うように努力しています。

とくにかんさいハートセンターでは毎朝内科外科の全員が集まり、親睦だけでなくチームとしての一体化を図っています。

Oさん、これからもますますお元気で仕事にもスポーツにも楽しい時間をお過ごしください。

*******患者さんのFacebookからの引用******

◆2013年11月3日

FB の友達のみなさんに報告です~

ご心配おかけしております私の心臓手術の日程がきまりました。

手術までの執行猶予1.5ヶ月!12月20日(金)に決まりま した!執刀していただく先生は米田正始先生、手術を行う病院は名古屋ハートセンターです。

現在、米田先生は奈良の高の原中央病院内の「かんさいハートセン ター」のセンター長としてご活躍中のため、9月まで副院長を務めていた名古屋ハートセンターまで出張していただいての手術となります。

従って日程調整のた め執行猶予となりました(笑)

手術方法は先日、高の原中央病院受診の際に話し合った結果、4方法のうち、牛の心のう膜で作った「うし生体弁」による置換手術となりました。

アスリートとして術前より性能アップした心臓にするために出来る限り 大口径の弁を取り付けていただけることになりました!!

復帰後、どんな走りができるか今から楽しみです!

年内に退院、順調なら春先から自転車再開です♪

ご 報告まで~
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/

◆11月14日

家族に祝ってもらいました♪ありがとう

 
◆12月15日

今週水曜日に入院し金曜日に手術です。

私の不安を一番癒してくれるのは、やはり娘ですね♪

屈託なく接してくれる動物はかわいいですね!

入院中この子に会えないことが手術より苦痛なのかもしれない・・・・
 

◆12月19日 (携帯より)

ドクターXをみて明日の予行演習もしたし消灯時間も過ぎたし、眠れないと思うけどやすみますZZZzzzz

明日は、FBやれないかもしれないので•••

私は明日心臓のオペを受けます!!

ほんの少しで構わないので、どうかみなさんのお力をお貸し下さい。

オペ開始の明日12時に「ガンバ!!」と一回でいいので念じて頂ければ幸いです。

神頼みより、私は友達頼みを選びます!!

術後FB が再開できる状態になったら報告します。

それでは、いってきます。

◆12月20日(註:心臓手術当日)

入院中の名古屋ハートセンター5Fからの眺め♪

今日はFBやる心の余裕ないと思ってたが•••

以外と余裕かましてるよ俺

◆12月21日 (註:この日のみ、ご家族の代筆)

生きてた

いたそうなので注意

本人の希望なので

**さん、御見舞いありがとうございました。

 
◆12月22日

おはようございます♪

無事戻って参りました。

ご心配いただきありがとうございました(^_^)v

 
◆12月23日

お はようございます♪

術後3日目の朝です。

経過は順調です。

まだ、少し浮腫ありますが利尿剤の効果もあり昨日からは尿量も増えています。

また血圧も昨日お昼 ころから収縮期が100を越え今朝は125まで上がってきて体調も回復傾向♪

咳をすると少し胸が痛みます。

明日から本格的なリハビリ開始です!!

あとは、 食事制限で甘いものNGなのと水分も水かお茶のみ一日1000ccまで。

しばらく我慢の日々です。

執刀していただいた米田 正始先生、ほか名古屋ハートセンターの素晴らしいドクター、献身的な看護をしていただける看護師さんに心から感謝の気持ちで一杯です。

◆12月24日

昼飯!!やった!!!

クリスマスサプライズ♪ケーキが付いとる\(^_^)/

今は、酒よりも何よりも甘いもの•••ケーキやぼた餅やおはぎ食べたい!!!

こんなことがアホみたいに嬉しい術後って•••

やっぱり病気なんだな(^_^;)

いただきます

◆12月24日 (携帯より)

映像はありませんが、初リハビリやりました!!

最終レースの富士見アドベンチャーレース以降、実に2カ月23日振りにペダル踏みましたよ(^_^)v

運動靴?革靴かレースシューズしかないので、なんとSIDIのXCシューズのクリート外して使用(笑)理学療法士さんの視線が•••f(^_^;

術後4日なので付加30W,rpm50で最初は10分と言われたが、現役自転車競技者という点を考慮いただきまして15分(^o^)不可も20W~25Wだそうですがこちらも御配慮感謝♪

心拍数110前後で20分、本当に久々に気持ちいい汗をうっすらかきました。

私でもアスリートなんですね、、、

最高の爽快感!!

この負荷では呼吸も足も全くなんともないのは、自転車選手のみなさんなら分かると思いますが再びペダルが踏めた歓び、爽快感は何物にも代え難い感覚なんです!!

スポーツ、それもサイクルスポーツをしてて心からよかった!!と感じる瞬間でした\(^_^)/

他に両足に10Kgの重りをつけての筋力のリハビリも!!

明日から付加、時間とも延びます!!

明日へのモチベーションになります!!

** *さんを想いながらペダル回しましたよO(≧∇≦)O

他にも、本日、ポータブル心電計以外の体につくものは全て外れました。

術後初のシャワーもいただきました!ありがとうございました。

順調な証拠に個室から5階の大部屋に移りました。ご報告まで~

捕捉•••ですHb値は9.9%でまだ手術に伴う出血による貧血はフェロミア50 4錠/dayで解消に至らずです

◆12月25日 (携帯より)

10時にゾピクロン(アモバン7.5)飲んでここ二日とも3時に目覚める~やることはこれしかない(笑)

◆12月25日

朝食です♪

確かに量は少ない、激ウマでもない•••

でも、ここの食事で一週間。手術のせいかもしれないが、お通じ他色々と体調がいい!

これで、量があれば理想的な食事なんだよね♪

いただきます(^_^)v

 
◆12月25日 (携帯より)

40W、50rpm、20minペダル回してきました!

心拍数124くらいまで一時上がりませたが、術前のような胸痛は皆無(^_^)v

心地よい汗をかけました♪

 
◆12月25日 (携帯より)

一昨日は、古くからのアスリート仲間で私も長男も大ファンの****ちゃん!!

最近は仕事、職場の関係で一緒に走ることも少なくなっていたが、彼女は話すだけで人にパワーを与える不思議な人♪

そんな彼女にパワーもらい、 昨日は中学で共にバレーボール部員として汗を流し、名古屋市第三位まで上り詰めた我チームのエースアタッカーだった同級生****くんが嬉しい訪問♪

現在は、酒と痛風と戦いながら、釣りの全国大会で上位入賞を繰り返す兵!!

力もらいました!!

そして、今日のBIGサプライズ** ***ちゃん♪

私は幸せものであると、つくずく感じています!!

◆12月26日

おはようございます♪

朝食についていた堂々と飲める貴重な糖分入り飲料水\(^_^)/

 
◆12月26日

病室からの風景~今日は曇りで日差しがありません。夕方から雨予報( ̄ー ̄)

 
◆12月26日 (携帯より)

先程、ホルター心電計(24時間心電計)を装着♪

今日の検査はコレのみです。

◆12月26日

日に日に元気になり、体の自由がどんどん効くようになると暇とのたたかい!

明日は、リハビリに始まり心エコーに始まり心電図、レントゲン、採血とあるので多少時間が過ぎるのが早いかも!!

頑張ります♪

ヘモグロビンの回復を願います

◆12月26日 (携帯より)

夕食が終わりました♪

暇だしテレビも飽きたしラジオは「かにたく言ったもん勝ち」「聞いてみや~ち」の日中のローカルラジオしかきかない(わかるFB仲間手あげて(笑))で、少し暇潰し~~~~

毎日リハビリをしているのであるが、メインは完全にエルゴマシン!

7割を占める!!

筋力よりも心肺に主眼を置いているので自転車運動はもってこいなんですね♪

サイクリストの私には好都合です!!

心臓機能のリハビリはもちろんですが、10月4日の富士見のレース以降、ママチャリさえも乗ってない私の一番の心配の種は[筋力低下]

若ければ問題ないのだが、53歳という年齢で27年ほぼ休まず動かし続けた筋肉を長期間休めれば元の筋力に戻るのにどれだけの時間が•••

本当に元の筋力レベルに戻るのか?

心機能は多分10歳若返るであろう。

そのパワーを取り戻した心臓のパワーに足の筋力が追い付かなければ意味がない。

このリハビリなら、自宅でも心拍計もあるわけだし指示を受けた条件で自宅のローラー台で毎日できる!!!

筋力がつく負荷は当然無理でも、毎日回せれさえいれていれば今以上にの筋力低下は防げるので、トレーニング再開後の筋力回復に役立つと思う。

ローラー台であれば、ペダリングを意識すればスキルも保たれるし、一挙両得なのである\(^_^)/

そして、リハビリは退院した日からも続ける必要もあるわけで•••

たった15分でも来年のお正月はペダリングができるよ!!!!
 

◆12月27日

病室より~雲ってますが、雨は上がりました♪

検査とリハビリと暇との一日が始まります!

 
◆12月27日

予定通り?の訪問者もきました!

私は、心臓外科医の先生方、看護師のみなさん、その他のスタッフのみなさん、またFBのお友達に頂いた力•••そして愛する 家族、取分この人の献身的な支えがなかったら、今私はここにいられなかったかもしれません。

感謝してもしきれません!!

心から最大級の感謝を送りたいです ♪

そして、退院後の生活や自転車競技への復帰に向けても、妻の助け抜きには不可能です。

どうぞ、これからもよろしくお願いします。

本当にありがとう(^- ^)v

面と向かって言うのは恥ずかしいしのでこの場を借りちゃいました(笑) 

 
◆12月27日 (携帯より)

本日の予定終了♪

今日は検査、リハビリと忙しく時間が過ぎるのが早かった。

本日の検査で問題なければ29日か30日が退院日になりそうです!!

栄養士さんによる栄養指導もありました(実は私はコレを手術自体より恐れていたかも)

血液検査結果は良好でした。

ただ手術による出血のためフェロミア錠4T/dayを連日継続中だがHb(ヘモグロビン)は10.8%と相変わらず低空飛行(^_^;)

まあ、徐々に回復するのは想定内なのでよいのだが、もともと濃すぎる私の血がこんなにシャビシャビなのは変な気分ですね••••

栄養指導は減塩以外にも、あれもダメこれもダメのオンパレードかと覚悟しましたが、きちんと守るよう言われたのは減塩(6g/day )のみ!!見事!!

他のものは節度をもち取りすぎない!!とのお言葉でしたが、当然飲酒量は減らさないといけませんが条件付きで普通にいけそうです\(^_^)/

ビールは最初の350~500ccまで、追加で少量なら焼酎、ウィスキーで!!ということです。

日本酒大好き男を返上するのは残念ですが日本酒はたまには•••になるでしょう。

焦らず、ゆっくり全てを日常に戻そうと思います~

◆12月27日 (携帯より)

今、主治医の北村先生から「執刀医の米田 正始先生が気にされていた心臓エコーの結果がバッチリだったので29日退院でOKです!」というお言葉をいただきました\(^_^)/

一応、まだ予定ですが御報告

◆12月28日

病室より、おはようございます♪雪ではありませんね~ —

 
◆12月28日 (携帯より)

もうほとんどの検査も終了。

今日明日はリハビリもお休みだそうで暇です(笑)

人生初の全身麻酔の気持ちを~人によって感想は様々なようです。

すごく楽しい夢が見れる、あるいは怖い夢など夢を楽しみにしてましたが私は何もみませんでした( ̄ー ̄)

入酔はものの10秒でした。

覚醒は妻の「**さん」という呼び掛けに続き看護師さん達スタッフによる「**さん」とういう呼び掛け!

ハッキリわかりました。

が、妻の手を握り返そう、目を開けよう、声を出そうとMTBで激坂上るとき以上の渾身の力を込めるのですが微動だにしない•••

もどかしいと同時に不思議でした。

その後3時間位で完全に覚めたようです♪

◆12月28日

私 の専門分野~まだ安定しないようですね2.5mg/day →3.5→3mgと検査の結果で乱高下中(笑)こういう薬ですから!

有効血中濃度の幅が狭いからですが、かっちり定期的に血液検査をして、患者がきちんと 飲めば素晴らしい効果を発揮するのですが•••

なかなか、これを素人の患者さんに納得させるのが難しい薬剤師泣かせの薬です!!

ワーファリン錠♪

◆12月28日

久々に夕食の画像です。

最初は物足りないと感じた減塩食も、慣れてしまい最近は、美味しくいただける。

これなら、退院後も十分に続けられると手応えを得ました♪

他に糖尿病などの合併症がなかった幸せに感謝して~いただきます!!

 
◆12月29日

病室より、おはようございます♪

予想された雪は皆無••••

月もでてて、お天気の朝を迎えした!

本日午後に退院します(^-^)v 

 
◆12月29日 (携帯より)

FBのお友達のみなさま、今回の私の病気のことでは大変心配おかけしました。

また、たくさんの励ましのお言葉等、心より感謝いたします。

さて、退院前の全ての検査も終了し問題ないということで、本日午後1時頃の退院が正式に決定しましたので御報告します。

まだ、これからリハビリとの長い戦いが待ってます!

どうか、自転車競技に復帰できるまでお力をお貸しください!!

本当にありがとうございました。

なお、本日は久しぶりの自宅を楽しむためFBの投稿は明日から再開しますので、よろしくお願いします。

◆12月30日

お はようございます♪

13日ぶりに自宅で迎える朝•••

朝食は何十年も続けていたメニューを普通に~ちゃんとドリップしたコーヒーのかおり、トーストに純蜂蜜、、、

マーガリンと食パンに塩分ふくまれるため、近々マーガリンは無塩バターに変更予定です!!

愛犬と一緒に、良く眠れました\(^_^)/

◆2013年12月31日

33年ぶりにアルコールが一滴もない大晦日、そして正月を迎える不思議・・・

◆2014年 1月1日

夢のまた夢(笑)
A Happy NewYear 2014!!!
あけましておめでとうございます。今年とよろしくお願いします。  

◆1月16日

実家にて昼食♪

いつもは、鰻丼なのだが食塩制限があるため、白焼き鰻で(^^)v

◆1月24日

退院後、最初の診察を名古屋ハートセンター に受けに行ってきました!

自分では体調の良さで手応えを感じておりましたが検査結果も良好で順調なことが確認出来ました♪

診察いただいた**先生どうもありがとうございました!!

◆1月31日
おはようございます♪

長かった冬休み?も今日で終了です!!

明日からお仕事に戻ります!

でも、無事元気に復帰できそうで嬉しい気持ちが大きいです(^-^)v

◆2月1日

本日より仕事に復帰します!!

応援してくださったみなさんありがとうございます(^-^)v

体調は良好です♪

でも、まだ車通勤です~

◆2月11日

トライクのコックピットより~

名古屋は先日の雪は消えてますが、多治見はまだまだ残ってます!

日陰は一週間くらい残ることもあります♪

久々のペダリングは気持ちよかったですよ!

◆2月20日

第一店舗目の面接が終わりました♪

ありがたいことに、まだ薬剤師は売り手市場なんですね•••

とにかく、どこのオーナーも薬剤師確保に奔走されているかたが多いです。なので、法外な給与を要求する薬剤師や勤めて3ヶ月で辞めるような同業者が多いようです~嘆かわしい•••

今日の薬局オーナーさんも、 昨年12月に入った薬剤師に2月で辞めると言われ本当に困ってみえました。

とにかく、条件はのむから来てくれと言われました。本当にありがたいことです。

でも、私は法外な給与や条件は提示してませんよ(笑)

気持ちよく仕事が出来ればいいんです(^^)v

でも、それを見極めるのが難しいんです。

そう意味では、今日の薬局は私の性格にピッタリの印象でした•••

が、、、往復68Km~今より10km近いが、自転車通勤を家族に納得させれるか?

手術後、自転車通勤自体止めてといわれてるのに(笑)

でも、最近トレーニング再開したばかりだけど、術前より明らかに楽に速く走れる気がする!

66km楽勝なんだけどなぁ☆

でも、もう2つくらい面接受けて決めようと思います

~就活報告でした

◆3月23日

浜名湖一周サイクリングに来ています♪

9時に出発でぐるっと一周90km~いってきま~~~す(^^)v

◆4月1日

ひかり薬局で働き始めました

◆4月23日

暑くなく寒くなく~気持ちよく通勤ライド♪

心拍を上げても胸が痛くならない!!

自転車を思いっきり楽しめる嬉しさを体で感じてます(^-^)v

心拍が上がり始めると胸痛でペースが上げれない心臓で走ってた3年間がウソのようだよ!!

さあ、シーズンイン!!!思う存分乗るよ\(^_^)/

◆4月30日

今日は午前中勤務で午後から多治見市役所へ

~実は私は牛生体弁で心臓大動脈弁を置換したことで「第一級一種身体障害者」に認定されているため、

医療費がダダになったりETC通行料が半額になったりと色々な優遇があるようですが、申請しないと受けられない優遇が多いため申請に行ってきます!

自転車競技出来るほど元気な体で申し訳無い気持ち半分、国の定めた制度なので堂々と恩恵を受けたい気持ち半分•••

複雑な心境です(^_^;)

みなさんの税金から頂いていると言う気持ちを忘れず制度を利用させていただきます!

◆5月4日

本日はポケットWiFi 圏外の滋賀県高島市朽木高原で開催された日本MTB 最高峰のレース開幕戦であるJ1びわ湖朽木大会の観戦&応援に朝5時に出発し、朝9時~夕方4時まで応援でスキー場を縦横無尽に走りまわり、帰路の渋滞で午後9時帰宅し、週に2回のビールを楽しんでます♪

今シーズンも贔屓選手の応援の現場に戻れ、走り回って応援できたことが奇跡のように思います!!

筋肉痛はあれど心臓は快調です!!

たくさんの自転車仲間や選手の皆さんに声をかけていただきました!!

元気な姿を見せれて本当によかったと感じました(^-^)v

みなさんありがとうございました

~わずかですが撮影した写真は明日アップしま~~す!!

充実した一日でした☆

◆5月16日

通勤Ride往路34km完了♪

これから梅雨入りまでの間は、束の間のサイクリング快適季節ですね~

気持ちいい(^-^)v

◆5月26日

昨日の片山合宿の疲れをとるためのリカバリーRideではなくウォーキングに愛犬を連れて裏山トレイルへ‼

どこも痛くもなく疲れもない♪

今日も走れそうな感じ~復活は本物かも‼

で、今週はハードな一週間‼

仕事モードへ頭を切り替えつつ今週末のJ1富士見パノラマ大会の応援に、すでに心は飛んでいる(笑) (写真4枚)

◆6月20日

ちょうど半年前の昨年12月20日に、この病院で7時間に及ぶ心臓の手術をした。

術後半年の診察に来ている。

そんな手術をしたことさえ忘れてしまいそうな体調の良さ!!

自転車も絶好調!!

通勤で自転車に乗っている時に、去年の今頃と比較する自分がいる。

心拍数、速度、息づかい•••何をとっても全てが上回る自分がいる。

まだ踏める!!

この坂、まだ速く上れる!!

まだ心拍上げれる!!

去年が嘘のようだ。

去年を上回るどころか5年以上前の自分の本来の走りが出来そうな予感•••

嬉しい!!素直に嬉しい!!

大好きな自転車を何も心配することなく楽しめるし、それを私の心臓が許してくれる!!

今の医学、医療は目覚ましい進歩を遂げ、その歩み速度を止めることはない。

その医療と共に進歩し続ける素晴らしいDr. がいる。

そしてそのDr. を支える医療関係者がいる。

看護師、検査技師、レントゲン技師•••その他にも事務員を含め、私の治療に関わってくれた全ての人に感謝です(^-^)v

そんな中に私の職業でもある薬剤師も含まれる!!

私も医療人として自分と同じように感じてくれる人の役に立てれば、いやそうなれるように今後も努力したいと自分が経験したことで強く思うようになった。

今回のことで病気以外のこともたくさん勉強できた気がする。

この経験をこれからの人生に生かしていければと、術後半年の診察を待ちながら思う~

◆6月30日

心臓の修理したら予想以上にリカンベントの調子がいいので、しばらくはコイツが通勤の相棒♪

MTB大好き人間らしく随所にMTB パーツを流用してます!!リカツウride往路任務完了~

おはようございます(^-^)v

◆7月30日 ·

診察終了♪

心臓の機能、弁の機能問題なくOKでしたが、最近何故か尿酸値が高め~

ビールも昨年に比べたら1/10くらいしか飲んでないし、塩分制限で大好物のタラコ封印し、イクラなど魚卵もたべてないし干物もほとんど食べない•••プリン体摂取していないのにね??

まあ、体調は絶好調だから薬屋らしく薬で下げます♪

再び自転車レースを走れる体、心臓に戻してくださった 米田 正始先生、本当にありがとうございました!!

感謝の気持ちで一杯です♪ — 場所: 高の原中央病院


◆12月20日

 

早 いですね~もう一年経ちました!

昨年の今日、12月20日に心臓大動脈弁置換手術を受けました。

一年後の今日、こんな元気な自分を全く想像できませんでし た。

自分でネットで探した心臓手術の名医に自分でメールして病状を伝え、診察を経てオペをしていただいた•••自分で病院を医師を捜し、選び100%自分 で納得して、大袈裟ですが命を預け、結果自分の選んだ道が正解だったことを、現在の私自身の身体が証明しています!!

私の治療に、全力を尽くしてくださった全ての医療関係者、最愛の家族そして色々な形で私に力をくれたFB仲間のみなさん、応援、激励してくれた全てのかたに、改めて心から感謝します。本当に、ありがとうございました。

醜いヌードゴメンナサイ•••たった、これだけの手術痕しか残ってません。

真正面から見るとほとんどわかりません。

こんな素晴らしい手術をしてくれた米田 正始先生ありがとうございました♪

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り103: 僧帽弁形成術を肺を守るためのミックスで

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僧帽弁形成術MICS手術とも進化を続けています。

かつて弁形成が不確実だった時代には肺が悪い患者さんには最初から決め打ちで僧帽弁置換術を行ったものですが、エキスパートがいる病院ではほとんどの場合、形成 IMG_1685bを確実に仕上げることで患者さんの予後を良くできるようになりました。

ただしこれはあくまでも経験豊富なエキスパートとそのチームの話です。

下記の患者さんは70代というややご高齢で、かつ肺が弱いという状況がありました。そこで肺に影響を与えず、しかも術後の肺リハビリがやりやすい、胸骨下部部分切開という方法(MICSミックスのひとつです)をもちいました。

これなら胸骨の上半分は残すため安定性が良く、術後の痛みが減り、深呼吸や歩行練習その他肺のリハビリもうまく進みやすいからです。

僧帽弁形成術はうまく決まり、お元気に退院して行かれました。

その後、私は名古屋を去り郷里の奈良に高の原中央病院かんさいハートセンターを立ち上げました。

以下はその際のお手紙です。

患者さんにはこれからもお元気で楽しく活発に生活していただければうれしいことです。機会があれば奈良へもお出かけ下さい。


****** 患者さんからのお便り *****

御免下さいませ。

米田先生院長就任おめでとうございます。


米田先生には大変お世話になりまして厚くお礼申し上げます。一月に手術をしてその後順調に回復して六月の深谷先生の検診では完璧ですよって。ほんとうに嬉しかったです。

米田先生のおかげです。名古屋ハートセンターで手術して本当に良かったです。

深谷先生の診察を終えたあと、米田先生がお会いして下さり、一言一言がとてもはげみになり、ありがたかったです。

お顔が見えないとさみしい限りです。

手術前は階段を登ると十段目ぐらいでハァーハァー今は平気でかけ登る事が出来ます。うれしくて、うれしくて、やさしいお顔が頭からはなれません。最高の先生です。

又、何かお世話になる事がありましたらその時はよろしくお願い致します。

私も今後も絆を大切にできれば幸いです。
ありがとうございました。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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事例: 交連部の僧帽弁形成術 2

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患者さんは40代男性で僧帽弁閉鎖不全症心房細動のため弁形成術不整脈手術を求めて遠方からお越し下さいました。

お仕事の都合でイギリス在住でした。イギリスは心臓外科先進国ですが、その在住エリアの中心的病院で人工弁による僧帽弁置換術しかないと言われてはるばる私の外来へ来られました。

調べますと後交連部を中心とした比較的広い範囲の僧帽弁逸脱と逆流でした。

私にとってはいつもの手術ですので95%以上は形成可能と判断し、あわせて私たちのメイズ手術は単なる肺静脈隔離(PV isolation)より成績が格段に良いためこれも行うことになりました。

図6サマリーPCとA3逸脱術中、まず弁を調べますと、後尖交連部のPCと呼ばれる部分が腱索断裂し瘤化して完全に逸脱していました。

となりの後尖右側のP3と呼ばれるところは低形成かつ逸脱し、

さらに前尖の右側部分であるA3も逸脱し、逆流ジェットが当たっていたためか肥厚していました(写真右)。

前尖も弁輪もかなり大きく、余裕があったため

シンプルで 図10弁輪再建ののち弁尖再建中長期の安定性が証明されている四角切除を行うことにしました。

弁として作動できない部分を四角に切除し弁輪を少し整えたあと前後の弁尖を再建しました(写真左)。

逆流試図16最終逆流試験OK験にて結果良好でしたので

リング30mmを縫着しました。余裕あるサイズでした(写真右)。

インクテストでも十分な弁尖のかみ合わせが確認でき(写真左下)、

図17インクテストもOK長期間安定しやすい形ができていました。

写真の青いところが特殊インクで染まった部分で、白いところが弁尖のかみ合わせ部分となります。

なおこのインクは無害でまもなく消滅します。

リングの糸をくくる前に冷凍凝固法にてメイズ手術を施行しました(写真右下)。図14クライオメイズ

お若いご年齢を考慮し、極力再発しないように冠静脈洞の外側からもブロックラインを造りました。

写真左下がそのときのものです。心臓の外側にも不整脈の原因があるためこれを丁寧に治します。

心拍動下に 右房のメイズも行いました。

図15冠静脈洞にもクライオ術後の経食エコーにて僧帽弁、三尖弁とも良好であることを確認しました。

心房ペーシングが良く効き、心房細動が治ったことをも確認しました。

術後経過は順調で約10日で退院され、しばし郷里で体調を整えてからイギリスへ戻られました。

術後の定期検診でも弁、リズム、心機能とも正常で、仕事にも精出しておられ、うれしい限りです。もちろん利尿剤も不整脈のお薬もワーファリンもなしで行けています。

すでに心臓手術から4年以上が経ちます。この弁はおそらく一生お役に立ち続けるものと考えます。また定期検診でお会いしましょう。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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事例: 交連部の僧帽弁形成術 1

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患者さんは40代の医師で僧帽弁閉鎖不全症のため北海道からお越し下さいました。仕事熱心な先生でなるべく短期間で健康な生活に戻りたいというご希望で来院されました。

やや複雑な逸脱のため地元では僧帽弁形成術ができるかどうか??ということではるばるハートセンターを選んでくださったようです。図1弁チェックA3PC


お若く体力もあるためか当初、比較的症状は軽かったのですが
、発作性心房細動を外来で起こされ、心臓手術を何年も先ではなく今やろうと決意されました。 

図2弁チェックP3術中、僧帽弁を見ますと術前のエコー予想どおり、後交連部の逸脱でした。(写真右上)

なかでも前尖A3つまり向かって右側の太い腱索が断裂しており、A2つまり前尖中ほども逸脱、PCつまり後交連部も逸脱していました。

A2-3とPCだけでなく後尖P3つまり後尖右側も軽度逸脱(写真左上)していたため、これらをすべて良い形にすることが長期の安定につながると判断しました。図3A3へのGT

そこでA3に4本人工腱索を立て、PCとバランスをとることでこれを守り(写真右)、

 

かつA2にも人工腱索を立てて正常化を図りました(写真左下)。

ここで生理食塩水を左室内へ注入し僧帽弁がきれいにか 図4A2へのGTみ合い、逆流がないことを確認しました。

リングをもちいて弁輪形成し、

念のため逆流試験で良い結果を確認(写真右下)し、

ピオクタニン色素で深いかみ合わせができていることも確認しまし 図5逆流試験OKた。

術前に発作性心房細動を何度か繰り返しておられたため、両心房メイズで心房細動を根治し、

後顧の憂いなく仕事に集中していただけるようにしました(写真左下)。

図7左房メイズ術後経過は順調で10日あまりで元気に退院されました。

その後も外来でお元気なお姿を拝見するにつれうれしさがこみあげてきます。

あれから4年、ますますのご健勝とご活躍をお祈りいたします。

 

健康人と見分けがつかないほどの良い治り方は弁形成術ならではの利点です。複雑弁形成が必要なため人工弁による僧帽弁置換術になるかも、と言われた患者さんはセカンドオピニオンをもらって本当に僧帽弁形成術ができないかどうか、確認されることを勧めます。

それともう一点、現在ではこうした心臓手術ポートアクセス法などのMICSでできるようになっています。多数の経験をもつ専門施設に限られますが、こうしたことを検討するのも大切です。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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事例:リウマチ性僧帽弁閉鎖不全症への弁形成術

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弁膜症の中でリウマチ性は今なお少なくない病気です。

ご高齢の患者さんでは若いころにリウマチ熱にかかり、知らない間に治って、その際に弁が軽く壊れて、その後何十年の間に悪化するというパタンもありますし、地方ではまだ健診態勢が不十分なため見逃されることもあり、決して油断してはならない病気です。

患者さんは40代半ばの女性です。沖縄から来て下さいました。

若いころにリウマチ熱の既往があります。

来院時は階段2階までは登れるもののそれ以上では息切れがしました。ときに下肢がむくむとのこと。

夜枕が低いときに息苦しくなり座ると楽になる、いわゆる起座呼吸が見られました。

心エコー図にて高度の僧帽弁閉鎖不全症と中等度の僧帽弁狭窄症がみとめられました。

僧帽弁は拡張期にドーム状の形を呈して開放制限があり、リウマチ性弁膜症の所見でした。

まだお若いご年齢からぜひ僧帽弁置換術ではなく 図1交連切開僧帽弁形成術を受けたいと希望して米田正始の外来へ来られました。

手術ではまず僧帽弁のヒンジの部分が癒合していて開かなくなっていたため、交連切開しました。右写真はその作業中のものです。

図2交連切開後これで少し開きやすくなりました。

しかし後尖が硬くてあまり動きません(左写真)。弁として機能しないため、ここへ自己心膜パッチで十分なサイズになるように形成しました(右下写真)。

さらに後尖を支え 図5自己心膜でPML拡大る腱索という糸のような組織が硬く短くなっていたため、これらを切除しました。

後尖はかなり動くようになりましたので、

ここで弁形成用のリングを縫い付けました(左下写真)。

図⒏仕上がり逆流試験をしますと、後尖の起き上がりがまだ不足しているため、硬い弁下組織をさらに切除し、徹底して弁機能を回復するようにしました。

その結果、後尖がきれいに起きて弁が正常に作動するようになりました。

ピオクタニン 図9インク試験で良い結果色素をもちいたインクテストでも僧帽弁は十分なかみ合わせを持つことが示されました(右写真)。

術後経過は順調で術後10日目に元気に退院されました。

その後沖縄にて仕事を含めて普通に生活をしておられましたが、一度、感染性心内膜炎にかかられ、近くの病院で薬による治療を受け、全快されました。

術後1年経った外来でのエコー結果は良好でした。ごく軽い僧帽弁閉鎖不全症と同じく軽い狭窄症を認めますが、問題ない程度で、心機能も良好で左房の拡張も軽快していました。元気に暮らしておられます。

感染性心内膜炎は虫歯やけがなどでばい菌が体内に入ると起こることがあり、人工弁の場合はかなり治りにくいのですが、弁形成のあとなら人工弁の場合よりはかなり治しやすいことが知られています。

こうした意味でも弁形成ができて良かったと言えましょう。もちろんワーファリンは無しで行けますし。しかし今後のために感染の徹底予防策をさらにお話しし、安全を確保するようにしています。

学生時代に沖縄県立中部病院や沖縄徳洲会病院などで実習させていただき、沖縄好きの私としてはこうした形ででもお役に立ててうれしく思っています。

 

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祝、奈良県総合医療センターのご開設

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以前から県民に親しまれ、頼りにされてきた県立奈良病院がこの4月から改組され、奈良県総合医療センターとして新たなスタートを切られました。奈良県の地域医療に日夜努力しているもののひとりとして、お慶びを申し上げます。

この病院は昭和39年に奈良県立医大の付属奈良病院として開設されました。

その後 Ilm10_de02013-s順調に発展を続けられ、昭和52年に現在の病院の建設を開始、以後も救命救急センター、災害拠点病院、へき地医療拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院はじめ、幾多の指定を受けてこられました。

そして今回の独立行政法人化で県立病院機構のもと、これまでの県立病院の枠から出た活気ある病院を目指しての奈良県総合医療センター発足となりました。

総長は天理よろづ相談所病院以来、公私ともにお世話になってきた上田裕一先生でうれしく思っています。

私ども高の原中央病院かんさいハートセンターも昨年10月の開設から10か月が過ぎ、肺がんなどのがん治療を始めとしさまざまな形でお世話になっております。緊急時などに小回りの利く民間病院の特長を活かし、かつ全国から患者さんが集まって下さる専門施設として、この奈良県総合医療センターの良きパートナーになれるよう、努力を続ける所存です。同センターにはいずれ心臓外科が開設されるものと拝察いたしますが、連携には支障ないものと考えています。

数年以上まえに、名古屋の地にハートセンターを開設したときにも、周囲の病院と競合しないのと心配を頂きましたが、結果はそうでもなく、周囲の他病院で断られた患者さんたちを受け入れ、救命の実績を上げてまいりました。また得意種目の弁形成やミックス手術、オフポンプバイパス術その他では全国から患者さんが来て下さったため、近隣の病院と競合することも最小限にできました。

私の故郷、奈良の地においてもこうした病院の特長、持ち味を活かして地域医療や専門医療で貢献できればと思っています。この点からも奈良県総合医療センターの新たなスタートは心強く、ありがたいことと考えています。ぜひよろしくお願い申し上げます。

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第4回伊賀塾

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医の心、幅広い医療者の倫理や志を論じる学び舎として高い評価を受けている伊賀塾、その第4回の集まりに行ってまいりました。

私、米田正始は前回の第三回からの出席ですが、専門領域の学会などではそう学べない医学医療全域にわたる重要テーマを学べるため楽しみにしていました。

第4回伊賀塾
この伊賀塾はもともと伊賀上野市民病院の活性化のために始まったとのことで、行政当局から同病院の展開にあまり貢献していないため塾をやめるかもしれないという噂を聞き心配していました。案の上、今回をもって終了することになったようで残念なことです。最後の会ということで無理してでも参加することにしました。

 

塾長の小柳仁先生の開会挨拶ののち、伊賀上野市民病院院長の三木誓雄先生が同病院改革の来し方行く末をご紹介されました。一時寂れていた病院をここまで引っ張って来られた同先生の想いが伝わって来ました。老舗ののれん、中国の病院での軍服ユニフォーム、イギリスのがんセンターの構造、さまざまな実例と考察の中から初速ゼロの病院を立派なスピードがでるところまで造り上げられたご努力には感嘆いたしました。ご意見を求められたため、同じ想いをもつ医師としての努力のあり方をお話させていただきました。


カルビー社長の松本晃先生は熱い会社を育てるまでの考え方、哲学とその実践法をお話されました。日本の医療は医療従事者の犠牲の上に成り立っているということを認識しておられることに感心いたしました。

お話のなかでとくにDiversityつまり多様性は松本先生の真骨頂と思いました。たとえば女性を管理職とくに執行役員に多数取り立て成長のエンジンとするなどですね。大学に女性学長がこれまで少なかったのも如何なものでしょうかと問題提議されていました。講演のあと、私は思わず質問してしまいました。Diversityは欧米では当然のことですが、日本式の村社会つまり自分と違う属性の人間を否定する社会の中では、真逆の考えであり、革命的な発想です。しかし頭がやわらかいこどもたちでさえ、自分と違う属性をもつ仲間を、たとえば体が弱い級友がいればそれだけの理由でいじめる、つまり日本人はこどもの時からすでに村社会に毒されている、これを大人になって突然変えるのは大変なことではないでしょうかとお聞きしてしまいました。松本先生がこれを決意をもって努力して克服しておられるご様子がうかがえました。


聖路加国際大学学長の井部俊子先生はこれまで執筆してこられたエッセイの中からとくに面白いものを選んで朗読されました。看護師としての視点とひとりの人間としての視点の微妙なずれを克服する努力は初心を忘れないこととも共通しなるほどと思いました。最後の引用「Do your best, it must be the first class」は皆で肝に銘じたいところです。

 

名古屋大学の杉浦伸一先生は薬剤師の立場から医療改革への努力を続けてこられた経過をお話されました。医療は資本主義社会では測れない暗黙知の上に成り立っている。その暗黙知を形成知へと進化させねばならないことを強調されました。クリニカルパスや医療安全でのさまざまな努力はこの線の上にのっており、大学病院での臨床試験などの膨大な書類もこの観点から考えると手間はかかるが正当性のあるものとあらためて理解できました。人が職を失うと不安になるのは社会とのきずなが切れるから、というのは言いえて妙でした。最後にネルソン・マンデラの言葉、教育は最強の武器(education is the most powerful weapon)という引用に私は感動いたしました。

質疑応答の時間に、あつかましいとは思いながら次のことを申してしまいました。

教育を軽視し、わずかな出費を嫌ったために大きなものを失ったという実例をひとつご紹介します。それは舞鶴市民病院の一件です。かつてアメリカのプロの家庭医をお招きし、すぐれた総合診療教育を行っていた同病院は、全国から多数の若く熱い医師が集まり、隆盛を極めていました。しかし舞鶴市議会から「なぜ一地方都市の病院が教育にお金をかける必要があるのか」という圧力を受けていました。そしてあるときその教育ができなくなり、若い医師たちは去り、病院は崩壊し老人ホームになっていきました。教育へのわずかな出費を渋った市議会のために優れた病院がつぶれてしまったことを皆さんに、とくに伊賀上野市議会の皆さんに知って頂きたい。

もっとも市会議員の皆さんは次の選挙までに実績を出さねばならないため、5年10年先のビジョンまでつきあっていられない、そういうご事情がおありかと思います。いたし方ないものと思いますが、日本で病院医学教育や伊賀塾のような優れた事業を続けるには別の手立てが必要と感じました。


作家の後藤正治先生はベラ・チャスラフスカのお話をされました。最近話題になっている書籍でもあり、私たちの世代には想い出のシーンも多く、熱中して拝聴いたしました。東京オリンピックでもメキシコオリンピックでも優勝した同選手ですが、メキシコの時は厳しい社会情勢のもとでの優勝でした。まだ冷戦時代の中、プラハの春と言われた民主化改革が旧ソ連軍などのために占領、弾圧されていたのです。2000語宣言という改革派の署名をチャスラフスカは撤回せず、苦しくとも「節義」を貫いたことをお話されました。チャスラフスカは冷遇の日々を送りましたが、ベルリンの壁崩壊、東西雪解けのあとはオリンピック委員長にまでなったと聞き、救われた思いがしました。後藤先生の結語、人生は撤回できない、困難な時代はない、を襟を正して拝聴いたしました。

 

京都大学の光山正雄先生は基礎医学者としての40年から想う医学の将来展望というタイトルでお話されました。京大教授会でも良識派であった先生ですので大変参考になりました。たまたま病院から電話があり、拝聴を中座したため全部は聴けませんでしたが、一見地味でも感染と免疫をセットで深く探求されたお仕事は素晴らしいと感心いたしました。個人的には、その時代のトップトピックス以外にも優れた研究があることを皆さんに知って頂きたく思いました。上記の教育と同様、研究費を倹約するというのは長期的に国益を損なうものと思いました。


最後に小柳仁先生がこの伊賀塾を締める講演をされました。テーマは「渾身の心臓外科ーー医療人が人間であること」で、熱い、ほれぼれする人生をあらためて見せて頂きました。志の高さ、患者への愛、自己犠牲、努力、継続、リスク克服、どれをとっても心臓外科医という人種はもっとも臨床医らしい臨床医であると私は思っています。要するに誇り高い医師群と思います。大学を去って、医局などの属性とは関係なく、全国の若手とひとりの医師としてつきあえる現在、彼らが完全燃焼できるようなお手伝いをと思います。小柳先生の生きざまを拝見するなかでそうしたことが湧き上がって来ました。

平素の学会では学べないことが学べる、貴重な場である伊賀塾はこうして終了しました。小柳先生、関係の皆様、お疲れ様でした。


平成26年7月27日

米田正始

 

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お便り102: ポートアクセスで心房中隔欠損症ASDを

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心臓病のなかでも病脳期間つまり病気で悩む年月が長い病気では患者さんも手術がなかなか決心つかず、悩みつづけることがまれならずあります。生まれた時から病気をもつ先天性心疾患はその一例です。

下記 P1140323cの患者さんは心房中隔欠損症(略称ASD)のため長年の熟慮の末、私の外来へ来られました。はるばる岐阜県からお越し下さいました。

永い間待った甲斐があったねと言っていただけるよう、入魂の心臓手術をさせて戴きました。といってもいつもちからが入っており、手を抜いたことはありませんが、要するに喜んでいただけるよう、しっかり頑張りました。もちろん私だけでなくハートチーム、コメディカルや事務職の諸君を含めた拡大ハートチームの努力でした。

痛みが少なく普段の生活に早くもどれるようポートアクセス法というもっともMICSらしい方法で、心房中隔欠損症をパッチで閉鎖し、三尖弁閉鎖不全症を三尖弁形成術で手直しし、かつメイズ手術で心房細動を直しました。創は乳腺に隠れてほとんど見えないものになりました。副次創もほとんどないためお風呂に入っても心臓手術を受けたとは思われないレベルになりました。

心房中隔欠損症(ASD)は心臓手術のなかでもっとも簡単な手術と言われていますが、なぜか事故や訴訟が起こりやすい疾患とも言われています。やはりどんな病気に対してもちからのこもった入魂の手術が大切と思います。

お元気に、笑顔で退院していかれる患者さんのお姿をみて、理屈抜きでしあわせな気分になれました。私もまだ初心を忘れていないのかもしれません。

以下はその患者さんからのお便り(メール)です。またお会いしましょう。

*********患者さんからのお便り********

 

高の原中央病院 かんさいハートセンター

米田先生

 

今年1月8日に先生に手術をしていただきました岐阜県の**です。

半年が過ぎ、体調もずいぶんよくなっております。

遅くなりましたが先生をはじめ、

手術にかかわって下さった皆様に御礼が申しあげたくお便りしました。

 

手術から入院生活まで本当にお世話になりました。

心より感謝いたしております。

 

心房中隔欠損症で長年不安を抱えておりましたが、

やっと手術を受けることが出来ました。

先生にめぐりあえたこと、本当にうれしく思います。

 

心臓手術となるとやはりとても大ごとで、

なかなか踏ん切りがつかないものですが、

自分でも不思議なくらい安心して手術を迎えることが出来ました。

昨年10月、健康診断で心房細動を指摘され、やっと決断が出来ました。

 

以前から、もしも手術を受けるのなら、距離的にも近い

「名古屋ハートセンターにいらっしゃる先生」と決めていました。

それは1~2年前にTVで先生が取り上げられている番組を拝見したからです。

ネットで調べましたら、昨年10月には先生が奈良でハートセンターを

立ち上げるとのことで、すでに名古屋にいらっしゃらなかったのです。

先生のWEBを拝見しました。

素人の私にもわかりやすくいろいろな情報を知りました。

先生のお考えや、手術のことなどを読み、奈良で手術を受けると決めました。

 

自分で納得して、安心できる先生に手術をしていただくということは、

私の不安を取り除いてくれました。

周りの人には、「よく奈良まで行ったね」

「一人で遠いところは心配じゃなかった?」などと言われましたが、

私としては本当にやっと30年来の不安から解消される。

手術が受けられる。という安心感だけでした。

こんなに穏やかな気持ちで心臓の手術を受けられるなんて思ってもみませんでした。

それはたぶん、先生の手術や患者さんに対する思い、数多くの今までの症例、など

たくさんの情報を拝見させていただいたからです。

どんなに優秀な先生でも、立派な病院でも、

そこで患者さんと向き合う人としての姿が全くわからないのは不安です。

患者ではありますが、一人の人間として尊重されたいと思っています。

 

私に不安がなかったように、これから大きな決断をすることがある患者さんにも

先生のお気持ちが伝わりますようにと願っています。

そしてかんさいハートセンターがより一層充実することをお祈りいたします。

先生お体に気を付けてますますご活躍ください。

また来年には外来に参ります。

 

追伸  奈良が故郷のように感じられます。

 

7月19日

 

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市立奈良病院の新病棟内覧会に行ってまいりました

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この7月19日に市立奈良病院の新病棟完成内覧会に行ってまいりました。

この病院はかつては国立奈良病院として奈良市の中心的医療拠点として活躍してこられた歴史をもっていますが、奈良市と地域医療振興協会によって平成15年に現在の市立奈良病院として面目を一新したものです。

新しい体制になってからはこれまで以上に救急医療に力を入れ、がん診療連携拠点病院、周産期医療や災害拠点病院としても高い評価を受けています。

個人的には循環器内科の堀井学先生らの熱い循環器診療にほれ込んでおり、関係の皆さんとの交流を楽しみに出席しました。昔、天理よろづ相談所病院でレジデントの1年先輩の西和田敬先生(平成記念病院副院長)と久しぶりにお会いでき、一緒に見学できました。

市立奈良病院の新病棟は紀寺町の東部、若草山が目の前に見える絶景の地にあり、病棟からも楽しめる構造になっていました。反対側からは生駒山なども遠景として望める癒しの配慮がなされていました。

病棟は全体として明るく広く、とくに廊下やナースステーションの余裕の設計には感嘆いたしました。手術室も一部屋ひと部屋が広く、ICU集中治療室も同様で仕事がしやすい構造になっていました。これからのがん治療で大きな役割を担う外来化学療法部門ではひろびろとしたフロアで患者さんが好みの姿勢で治療を受けられる配慮がされていて感心しました。

私ども高の原中央病院かんさいハートセンターではこうした立派な施設と協力して救急や重症の患者さんを含めた幅広い心臓病、血管病の患者さんの手術でお役に立ちたく思いました。また大きな総合病院でこそできるがんなどの集学的治療では逆に治療をお願いできるのが大変ありがたく思いました。

チーム医療というのは院内チームや医療者と患者さんご家族の協力だけでなく、地域の病院群とお互いの特長を活かした協力も含まれると思います。市立奈良病院のように立派な施設にふさわしいパートナーになれるよう、決意を新たにいたしました。

内覧会のあ IMG_0500bとは近くのホテルで懇親会が開かれました。奈良県知事代理や奈良市長、畏友・津山恭之・奈良副市長、斎藤能彦先生ら奈良医大の教授陣・京都府立医大の教授陣はじめ奈良エリアの主だった方々が出席される大きな会でした。この市立奈良病院が自治医大や京都府立医大・奈良県立医大のコラボレーションでできたことも理解でき立派なことと思いました。市立奈良病院院長の二階堂雄次先生の熱いお話が印象に残りました。

さらに昔天理病院時代にお世話になった先生方や東大寺学園の同窓の先生方とも話ができ懐かしいひとときでした。故郷のありがたさと、そこでお役に立てる立派な仕事をしなければという責任を感じた一日でした。

平成26年7月19日

米田正始

 

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Edwards Heart Valve Front Line 2014

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この7月12日に東京で弁膜症のサミットともいえる研究会が開催されました。

演者として招待されたので行ってまいりました。

メーカー主催とはいえ、内容の充実した、興味深い会でした。出席者は原則部長クラス執刀者レベルで、高水準のディスカッションを目指したものでした。最近は若手向けのセッションが増え、好ましいことと思うのですが、たまにはこうした会も有意義かと拝察していました。

東京ベイ浦安市川医療センター循環器内科の渡辺弘之先生がディレクターを務められ、外科のアドバイザーは神戸大学の大北裕先生、榊原記念病院の高梨秀一郎先生、京都府立医科大学の夜久均先生という充実の顔ぶれでした。

渡辺先生の絶妙かつフレンドリーな司会で和やかに会は進んでいきました。ちょっと珍しいほどのエンターテイナー兼学術モデレーターでした。心エコーの講習会として有名な東京エコーラボが人気を博している理由がわかりました。

まず内科と外科で考える治療戦略というセッションで、岩手医大の岡林均先生と森野禎浩先生がそれぞれ興味深い症例を提示されました。

ついで大北裕先生と田中秀和先生の神戸大学チームから出血性脳梗塞をともなう感染性心内膜炎IEの症例を出されました。同じ脳出血でも危険なものと比較的穏やかなものがあり、皆さんこれまでも悩み苦しみ解決策をなんとか見出す努力をしてきた病態だけに議論が盛り上がりました。MRIによるT2スターは脳出血の検出や評価に有用となる可能性があり、ひとつの解決への方向が見えたのは幸いでした。

さらに羽生道弥先生と有田武史先生の小倉記念病院チーム(註:有田先生は現在九州大学)から低心機能にともなう低圧格差の大動脈弁狭窄症を提示されました。

私の経験ではこうしたケースは術後を乗り切ることができればあとの心機能は格段に改善するため、どのようにして乗り切れるようにするかに焦点を絞り、乗り切れないときに限り内科的に治療するというのが良いと思いました。二尖弁ではカテーテルバルン形成術は危険であるというのはなるほどと納得しました。

さてそこでミックス(MICS)のセッションです。

リスク回避のためのコツを新進気鋭・東京ベイ浦安市川医療センターの田端実先生と老舗慶応大学の岡本一真先生が解説されました。これまでの経験の蓄積を皆で共有できたことは素晴らしいと思いました。

ここでミックスとは低侵襲手術なのか、小切開手術なのかという本質的議論が併せてなされました。皆さん真面目で妥協のない姿勢での議論をされ、感心したのは私だけではないと思います。ただこの領域はまだ一般化できない、一部の先進施設で行う手術という印象が強く、すべては今後の展開次第というところでしょうか。

ついで安全なMICSのための工夫ということで光晴会病院の末永悦郎先生が胸骨部分切開での大動脈弁置換術、そして心臓病センター榊原病院の都津川敏範先生がポートアクセスでのそれを話されました。

そして話はコスメティックなミックスの追及へと進みました。

まず私、米田正始がLSH(Less Satelite Hole)法つまりミックス手術にありがちな副次創を最小限に抑えてきれいな創と少ない出血を達成するオリジナルな方法を解説しました。あとで多くの人たちからきれいな創を褒めて頂きましたが、それを僧帽弁だけでなく大動脈弁なかでも弁形成にまで使えることは驚きであったようです。ここまで国内外の友人たちのお力を借りて、手術を磨いてきた甲斐があったとうれしく、また感謝でいっぱいでした。このLSHに賛同してくれるひとは手術が難しいだろうという先入観からか少なかったのですが、最近シンガポールのグループもSIMICS(単一切開創のMICS)などで本格的に取り組むようになり、他にも同様の動きがでてようやく皆さんの認識が得られたようです。

私は副次創を少なくすることで質の高いミックスを目指していますが、名古屋第一日赤の伊藤敏明先生は内視鏡を活用してメインの創を小さくする方法を発表されました。内視鏡を使うと副次創が増えるため私はやや後ろ向きだったのですが、若手の教育なども加味して考えると今後の方向として、こうした努力も大切と感じました。ともあれこうした高いレベルのMICSにはなかなかついて行けないという空気が感じられ、誰もができる完成度の高い心臓手術と言えるまでにはまだまだ努力が必要と思いました。

次のセッションは複雑症例に対する手術でした。

東京医科歯科大学の荒井裕国先生は昨日までの冠動脈外科学会の会長の大任を立派に果たされた翌日のことで、お疲れかと思いましたが頑張って興味深い症例を提示されました。冠動脈バイパス術後の虚血性僧帽弁閉鎖不全症と大動脈弁狭窄症のケースでした。乳頭筋を前方に吊り上げる方法できれいに治されました。私、米田正始といたしましては、この前方吊り上げ(PHO法など)をこの10年間提唱して来ただけに、仲間が増えたことをうれしく光栄に思いました。荒井先生ありがとう。

葉山ハートセンターの磯村正先生は重症の拡張型心筋症にともなう機能性僧帽弁閉鎖不全症の一例を提示されました。重症なるがゆえに、できるだけ簡略に手術をまとめあげ、見事に救命されたこと、敬意を表したく思いました。なおこうしたケースのために私が開発した大動脈弁越しに両側乳頭筋を吊り上げる方法なら、同じ短時間でもっと心機能が良くなるというデータをもっており、今度同様の患者さんがおられたら是非活用していただければと思いました。

ディスカッションの中で大北先生が、これまでの多くのEBMデータや科学的データをもっと踏まえて手術することを勧められました。まったくその通りで、ぜひ私が提唱する前方吊り上げ(PHO)をと願わずにはおれませんでした。

札幌ハートセンターの道井洋史先生はHOCM(閉塞性肥大型心筋症)の一例を示されました。後尖逸脱による僧帽弁閉鎖不全症を合併していた症例で、普通の僧帽弁形成術ではSAMつまり収縮期の前尖の前方移動が起こってあらたな僧帽弁閉鎖不全症が発生しやすい症例で、道井先生はうまく解決されたと思いました。

ただこれまでこうしたHOCMや僧帽弁形成術を多数こなして来た経験からは、後尖の高さをさらに下げるとSAMは極めて起こりにくいとも思いましたが、こうした治療は高度にケースバイケースなので何にでも対応できる経験と実力が大切と思いました。

この疾患で最近言われている異常筋束についてはなかなか術前診断まではできておらず、今後エコーやCTなどでの一層の研究が待たれます。

宮崎県立宮崎病院の金城玉洋先生は高齢者の大動脈基部拡張大動脈弁閉鎖不全症の一例を示されました。高齢者なるがゆえに、どこまで治すのが最適か、熱いディスカッションがされました。

最後に倉敷中央病院の小宮達彦先生がやや複雑なデービッド手術の一例を提示されました。デービッド手術での大動脈弁形成術は近年進歩がみられますが、弁の付け根を小さくすれば弁は当然余ることになり、余れば下垂するのは理の当然のため、何らかの対策が必要です。そこで弁の縫縮で下垂を治すことがまず考えられますが、やりすぎると弁の他部位や基部とのアンバランスが生じます。これを難症例で示されました。大動脈基部のジオメトリーがかなり実用化して来た印象があり、これからさらにデータ蓄積して僧帽弁レベルになればと思いました。

最後まで熱いディスカッションが続いた充実の一日でした。

この会は渡辺先生のお人柄もあり、ワークショップのように皆で見える成果を造っていくということで、各セッションごとに1センテンスで持ち帰りメッセージを造って行かれたのですが、私が発表させて頂いたミックス部門では「ミックス戦国時代」でした。的を得た表現と思います。HOCMのところでは、高梨先生が上の句「逆流が、止まったあとの」を言われたあとの下の句がなかなか出てこないため、不肖私が「流出路」と発言させて戴きました。なぜか大変受け、会場全体で「オーー」という声とともに拍手頂き、面白いところで評価いただき、不思議な光栄な気分でした。後の懇親会で大北先生が「米田先生が過去20年間発言した中で一番のでき」というご発言でもう一度バカ受けしていました。口の悪い先輩は良いとして、まあ皆さんの酒の肴になれて楽しいひとときでした。

会場のホテルは東京ベイを見渡せる素晴らしいところで、来年もぜひここでという希望が多数出ていました。

渡辺先生、アドバイザーの先生方、エドワーズ社の皆さん、お疲れ様でした。


平成26年7月13日

米田正始 拝

 

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