Sutureless弁(無縫合弁)【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月27日

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◾️Sutureless弁とは

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これは文字どおり縫合せずに、あるいは最小限の縫合で短時間に取り付けられる生体弁です。Perceval弁という名前でヨーロッパで Perceival 弁は2007年ごろから臨床試験が行われ、良い成績を上げています。

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皮膚をほとんど切らずに、カテーテルで挿入する生体弁であるTAVI(タビ)の良さを心臓手術にも導入しようと開発されたこの弁は、短時間で取り付けられるという大きな利点をもっています。

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◾️Sutureless弁の実際は

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まず普通の心臓手術と同様に、体外循環・大動脈遮断下に上行大動脈を開けます。壊れた大動脈弁を切除してこのSutureless弁をいれます。その際には3本の取り付け糸のみ縫い付け、そのガイド下に折りたたんだ生体弁を入れ、仮固定ののち弁を内側から膨らませて圧着します。これで操作完了であとは大動脈を閉じて出来上がりです。

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術中に行うTAVIといった印象ですが、TAVIと比べて脳梗塞が少ないことが可能性として挙げられます。少なくとも大動脈遮断が安全な患者さんでは脳梗塞はほとんど起こりません。また壊れた大動脈弁をきれいに切除してから入れるため、弁サイズも有利になりますし、弁の破片の散乱(脳梗塞の原因に!)を気にする必要もありません。

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いっぽう、これまでの心臓手術と比べての利点はなんといっても時間の短縮が効くことです。そのため高齢者や重症患者さんでの合併症の減少、成績向上が期待されます。

IMG_0569b.

◾️Sutureless弁、間も無く発進

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このPerceval弁はまだ日本では使えないのですが、近い将来使えるようになればさらに大きな展開が見込めます。

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たとえば私たち医誠会病院でのMICSでの大動脈弁置換術にこの弁を使えば、より短時間で、創もあまり気にならないきれいな手術ができるでしょう。

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右写真はMICSで通常の生体弁をもちいた大動脈弁置換を行った患者さんですが、同じ手術がより安全に、かつ快適にできるようになるのです。

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より多くの患者さんたちに、またご高齢の方々や手術時間を短縮したい複雑心臓手術の患者さんたちにも恩恵が届くかもしれません。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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アルフィエリ法とは【2025年最新版】

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最終更新日 2025年1月11日

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◾️僧帽弁形成術で時に使われるアルフィエリ法とは

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この方法はイタリアの同じ名前の先生(写真右、熱くても温厚な良い先生です)が90年代 に発表された僧帽弁形成術の方法です。

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何しろ簡単 にできるため当時から多くの心臓外科医の注目を集めました。

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僧帽弁の前尖と後尖を中央付近で糸で縫ってつなぐ、ただそれだけで弁の逆流が
止まるということでした。しかしその治療成績があまり良くないことがわかり、心臓外科ではやむをえないときの最後の手段と位置づけるひとが増えました。

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私自身、弁形成で困ったときの緊急退避と位置付けていました。

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◾️アルフィエリ法、最近の展開は、、

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この数年間、このアルフィエリ法をカテーテルで行うMクリップが登場し、その根拠となったアルフィエリ法にも再度注目が集まっています。
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ではこの方法の現実の結果はどうでしょうか。

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まず僧帽弁の後尖逸脱による僧帽弁閉鎖不全症では、弁輪形成(略称MAP)とアルフィエリ法を併用すれば良い結果が比較的長持ちすることが報告されています

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前尖と後尖が両方逸脱しているような複雑なケースでも、両方が同じ部位で逸脱している時に、弁輪形成とセットでやればまずまず良いという報告がみられます

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拡張型心筋症のため機能性僧帽弁閉鎖不全症になっている患者さんではどうでしょうか。この場合も小さいリングで弁輪形成を併用するならば、アルフィエリ法の成績は悪くありません。

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その一方、僧帽 Ilm18_be07018-s弁のいろんな部位が壊れているときや、リウマチ性の僧帽弁膜症ではアルフィエリは使えません。

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この方法では弁口を2つに分割する結果になり、当初は僧帽弁狭窄症が懸念されましたが、上記の正しい適応を守ると狭窄症は起こらないことがわかりました。
運動負荷をかけるときにも良い結果がでました。

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その反面、弁輪形成術(MAP)をやらなかった症例つまりアルフィエリ法単独の場合はまもなく弁の逆流が再発し、結果は悪いという報告があります。

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弁輪形成しないと前尖と後尖が深くかみあうことができず、弁輪拡張と逆流増加の悪循環に陥るためと考えられています。

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要するに僧帽弁輪形成をともなってこそのアルフィエリ法であり、単独では長期の安定は期待できないことが示されているわけです。

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◾️するとMクリップは、、、

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こうしたEBMデータをもとにして考えると、カテーテルによるMクリップは僧帽弁輪形成をともなわない、単独アルフィエリ法ですの Nurse_man_ideaで治療成績は良くないはずのものです。それを裏付けるように、ヨーロッパではMクリップのあとで逆流再発し、やむなく弁形成手術に至るというケースが増えています。Mクリップのために弁が壊れて、手術のときには弁置換になってしまうことも増えています。

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ただし、心臓手術と比べて侵襲つまりからだへの負担がはるかに軽いというメリットは確かにあります。手術はできない状態だが、逆流を少しでも減らせればそれだけ患者さんは楽になる、といった状況でのメリットはきっとあると思います。

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◾️アルフィエリ法、まとめ

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どの治療法でもそうですが、その限界やマイナス面も熟知して、良い面を活かすことは大切とおもいます。

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「切らずに治せるんだってー!」とMクリップに飛びつくのは危険ですし、しかし手術が危険でできない人にMクリップを使わないのも残念で 184701458す。

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ということで、ハートチームで多角的にその患者さ
んにベストの方法を選ぶことが最高と思います。 

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執筆:米田 正始
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元・京都大学医学部教授
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日本心不全学会のシンポジウムにて

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秋は行楽のシーズンですが、医師や研究者にとっては学会のシーズンでもあります。

日本心不全学会は心不全の IMG_0600治療や研究にかかわるさまざまな職種の方々が参加される学会ですが、ご縁あってシンポジウムで発表させて頂きました。

今回の学会は国立循環器病研究センターの北風政史先生が会長で、テーマは「日本が創る心不全学の潮流 -実臨床と基礎医学の往還から―」というスケールの大きなテーマでした。

私が参加させていただいたのは心不全と弁膜症、ハートチームセッションというシンポジウムで、座長は吹田徳洲会病院の金香充範先生と鳥取大学循環器内科の山本一博先生でした。

まず国立循環器病研究センターの天木誠先生が機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する非薬物療法の適否の評価についてお話をされました。

Carpentier先生の分類の解説から始まって、機能性僧帽弁閉鎖不全症がいかに予後不良かということ、そのメカニズム、弁逆流の重症度評価(Vena Contracta、逆流率、逆流弁口)を国内外のガイドラインを参照して解説されました。総じてこの逆流はふつうの弁逆流より過小評価されやすいため、一見軽症でも間違いのないようにすべきであることも示されました。

薬以外の治療法、とくに心臓外科手術にも言及され、僧帽弁輪形成術いわゆるMAP単独よりアルフィエリ法(僧帽弁前尖と後尖を中央部でくっつける方法)を追加すると成績が良くなること、そこからMクリップ(アルフィエリと同様のことをカテーテルで行います)への期待がもてそうなこと、テザリングの意味、前尖だけでなく、後尖の角度つまりテザリングが重要であることまで解説されました。

優れたレビューで、時間がもっとあればなお良かったと思うほどでした。

仙台厚生病院の多田憲生先生は機能性僧帽弁閉鎖不全症に対するMクリップのお話をされました。最近話題のトピックスです。

この方法で僧帽弁の逆流はある程度減りますし、心臓手術ができないような重症患者さんに福音になるかもと思いました。

しかしお薬による内科治療と比べて短期長期とも差がでていないというのはこのMクリップがそれほど効かない恐れもあり、更なる研究が必要と感じました。

現在アメリカでは手術ができない器質性僧帽弁閉鎖不全症つまり弁そのものが壊れた、通常タイプの弁に保険が承認されています。

ダメ元だから誰にでもどんどんやって良いという治療ではないことを皆で認識すべきです。かつてPCI治療を「何度でもやればやるほど冠動脈は良くなる」と言われた高名な先生がおられたことを想いだすのは大勢の外科医のトラウマでしょうか。あの時も医療費ばかりがかかり、患者さんの生命予後は改善しませんでした。最近はそうした歴史への反省から、ハートチームでじっくり相談して正しく進めようという空気があるのは幸いです。

なおこれまでのデータから僧帽弁輪形成術をともなわないアルフィエリ法での成績が悪いため、Mクリップ(弁輪形成術はできません)も慎重に進めていただくのが安全と思いました。(参考記事はこちら

ついで葉山ハートセンターの星野丈二先生は非虚血性心筋症における機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術と弁置換術の適応についてお話されました。

かつての須磨久善先生や現在の磯村正先生の手術を拝見した私にはなじみある、興味深いお話でした。

左室形成術ができる場合は弁形成術を、左室形成術ができないケースでは弁置換術を行うという結論はなるほどと思うところと、もう一工夫したいという気持ちが混在して拝聴しました。

左室のなかに切り取るほど悪い部分がない場合でも、乳頭筋などを工夫して形を整えれば弁逆流は止まるからです。ただ同時に、左室がひどく壊れたケースでは、患者さんの体力にも心臓にも余裕がないため、理想とは思えない弁置換でも一発で決めるメリットがあるというのも理解できました。

このシンポのトリは私、米田正始が務めさせて頂きました。

10年前から改良を重ねて来た乳頭筋前方吊り上げ(PHO手術など)を含めた僧帽弁形成術の成績をお示ししました。弁だけでなく左室そのものをできるだけ改善するための手術ですので、通常の僧帽弁輪形成術いわゆるMAPより成績が良く、とくに後尖のテザリングが防げて長期予後を良くできることをお示ししました。これは乳頭筋接合術と比べても同様で、後尖は明らかに良くなります。後尖が良くなると逆流再発が減って予後が改善するわけです。

さまざまなご質問をいただき、うれしく思いました。内科の先生のなかにはこうした左室や乳頭筋から治す方法をご存知なかったケースもあり、このシンポに参加して頂けたことを感謝します。

ご質問の中に「この方法は先生のオリジナルですか」というものがあり、吊り上げそのものはアメリカのKron先生の開発で、私はその弱点を直し、より効果が上がる前方吊り上げを初めて開発したことをお答えしました。つまりKron先生の後方吊り上げでは後尖のテザリングは改善しないのですが、私の前方吊り上げで初めて前尖後尖とも良くなったわけです。他人の仕事をなかなか評価できない日本の学会でこうした議論をしていただいたことをうれしく思いました。

ともあれ弁だけでなく左室もなるべく守る方法で外科医は患者さんや内科の先生方に貢献できるのではないかと期待しています。

かつて冠動脈PCIの全盛期にはPCIができなくなればあとは看取りという風潮がありました。外科がまだまだ患者さんを良くできるのにそのままというケースが多数ありました。Mクリップという新たな方法で内科の先生方のなかにも僧帽弁や心エコーに興味を持つかたが増えていることを心強く思います。

この心不全学会に久しぶりに参加させて頂いて感じたのは、医師だけでなくコメディカルの方々の参加がずいぶん増えたことです。当然とはいえ、すばらしいことです。

さまざまなケア、心臓だけでなく呼吸管理、リハビリや栄養など、実際の治療現場で重要なトピックスが多数議論され、大変勉強になりました。来年からはもっと大勢のコメディカル仲間と一緒に参加したく思いました。

 

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エリザベス・テイラーさん

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報道によれば2011年3月11日に女優エリザベス・テイラーさんが死去されたそうです。79歳でした。死因は心不全とのこと。

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Elizabeth Taylor dies aged 79

Updated 24 Mar 2011, 4:14pmThu 24 Mar 2011, 4:14pm ABC news

Hollywood legend and violet-eyed beauty Elizabeth Taylor, famed as much for her glamorous but stormy love life as her five-decade Oscar-winning film career, has died aged 79.

Taylor, arguably the last great star of Hollywood’s golden era, died six weeks after being admitted to Cedars-Sinai hospital in Los Angeles with congestive heart failure, a condition she had struggled with for years.

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彼女はその1年 LizTayler半前にMクリップによる僧帽弁形成術を受けていました。

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超多忙でストレスも多く、健康管理もむずかしいテイラーさんだったようで、それまでもいくつもの病気と闘いながらの人生で、おそらく普通の心臓手術を受けるには体がついてこられない事情があったのか、あるいはすぐ仕事復帰するにはMクリップのような体への負担が少ない治療法が必要だったのかもしれません。

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ともあれ治療からたった1年半で心不全のためにお亡くなりになるというのは、僧帽弁形成術ではめったにないことで、ご年齢も当時77歳と比較的お若く、ひとりの心臓外科医としては残念に思います。

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Mクリップのような不完全治療ではなく、きちんとした手術を受けておけば、この世紀の大女優は死なずにすんだのではないかと思うのです。

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以下はテイラーさんがMクリップによる治療を受けられたときの報道のコピーです。当時は治療成功を皆で喜び合う状況でした。

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Elizabeth Taylor Prepares For Heart Valve Surgery Via MitraClip
October 6th, 2009

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News wires just came alive with a fascinating story about Elizabeth Taylor’s anticipated heart valve surgery.

 

Although details are still coming out, it appears that Elizabeth Taylor suffers from mitral regurgitation – commonly referred to as a leaky heart valve or mitral insufficiency. Also of significant interest… It appears that the MitraClip, a new minimally invasive technology, will be used to repair Elizabeth Taylor’s diseased heart valve.

 

Here are the details from The Press Association:

 

Dame Elizabeth Taylor is to undergo surgery to repair a leaky heart valve, the veteran actress has announced via Twitter. The 77-year-old called on supporters to pray for her as she explained in a series of messages the procedure to be carried out at an undisclosed hospital.

 

“I’ll let you know when it is all over. Love you, Elizabeth,” the last of three messages on the subject read.

 

The Oscar-winner’s last high-profile appearance was made last month at the funeral of long-time friend Michael Jackson. But it was a rare public outing for the actress who has suffered from a number of ailments in recent years and is now seen in a wheelchair.

 

She was taken to hospital last May for what her publicist described at the time as a routine check-up. After being released from the Los Angeles clinic, she announced via Twitter that she was “home from the hospital and feeling great”.

 

Dame Elizabeth again used Twiter, the micro-messaging site, to give details of her new date with the doctors. She tweeted: “Dear friends, I would like to let you know before it gets in the papers that I am going into the hospital to have a procedure on my heart.”

 

Here is a great video that explains the Mitraclip, the non-invasive device, I believe, will be used during Taylor’s operation.

 

Elizabeth Taylor’s final post explained the surgery: “It’s very new and involves repairing my leaky valve using a clip device [play video above], without open heart surgery, so that my heart will function better. Any prayers you happen to have lying around I would dearly appreciate. I’ll let you know when it’s all over. Love you, Elizabeth.”

 

My thoughts and prayers are with Elizabeth Taylor!

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現代の心臓病の治療は内科と外科とが一緒に 172496525相談し検討を重ねてベストの方法を選んだり組み合わせたりして初めて患者さんのお役に立つ、今はそういう時代です。つまりハートチームですね。

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僧帽弁閉鎖不全症の患者さんにおかれましては内科と外科の両方の意見を聴き、ご自身でもよく考えて治療法を選ばれるのが安全ためお勧めできることです。

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お便り108: ポートアクセスで僧帽弁と大動脈弁の同時手術を

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弁膜症の手術・治療は他の心臓手術と同様、日々進化を遂げています。

心臓外科医である私自身がその速さに驚いているほどです。

僧帽弁置換術を上 IMG_0330 (2)回る治療としての僧帽弁形成術

大動脈弁形成術が不適当な場合にそれを上回る大動脈弁置換術プラス将来のTAVI(折りたたんだ生体弁をカテーテルでもとの弁の中に入れることで再手術を回避)、

そしてそれらを小さい創で骨も切らずに行うミックス(MICS)なかでもポートアクセス手術

10年前にできなかったことがすでに自分の中で実現していることに驚きと喜びを感じます。

国内外の仲間たちと切磋琢磨して日々勉強し検討し確認していることのおかげです。

下記の患者さんはそうした新しい弁膜症の手術を受けられた方々のお一人です。60歳前後の患者さんで関東からお越し下さいました。

少ない痛み、早い回復と仕事復帰、社会復帰、きれいな創でこころに傷をつけない、こうしたことを実現でき、かつワーファリン(血栓を予防するお薬です)の不要な手術、しかも将来の再手術が回避しやすい、長期プランを考慮した手術ができ、患者さんとともに喜べることを心臓外科医冥利と感謝しています。

以下はその患者さんからのメッセージです。

また外来で再会できるのを楽しみにしております。

 

****** 患者さんからのメッセージ******

心臓弁膜症で手術が必要と言われた方々へ

私の場合は、地元の病院で人間ドックを受けた際に、
最後の問診の時に聴診器を当てられ、「心雑音があるので、
内科で精密検査を受けてください」と言われたのが、
最初でした。

その後、半年の経過観察の後で、症状の進行が見られ
担当医の先生から、「僧帽弁の逆流が激しいので、
このまま放置しておくよりも、今の段階で手術をした方が
心不全などのリスクも解消し、術後の経過も良いですよ」
と言われました。

自覚症状も言われてみれば少し息が切れるかな、程度であったため、
「なんでそんな。しかも心臓の手術?」と愕然としたことを覚えています。
その後、「これも神様がくれた試練」と思い直し、心臓弁膜症の手術とは何か
の情報をできる限り集めました。

その結果、一般的な正中切開に加えて、MICSというダメージの少ない方法があり、
中でもロボットやポートアクセスという方法があることを知りました。

私の場合、できる限り早く社会復帰したいし、家族とのハイキングや
スポーツも楽しみたいとの願望があったため、余程の困難な手術でない限り
MICSでやっていただけるところを探しました。

最初は、自宅近くの病院に狙いを定め、受診したところ、心エコーにて
大動脈弁の方の逆流のジェットも激しいことが指摘され、その場合、
僧帽弁に加えて大動脈弁の方も手当てしなければならないくなるので、
正中切開となる可能性がありますと言われました。

その時は、「仕方がないか」と諦めかけましたが、色々と調べた中で
最も参考になった米田先生のホームページに戻り、
メールでご相談したところ、すぐに
「外来の予約を入れてください。遠方なので一日で必要な検査が済むようにしましよ
う」
との返事をいただきました。

実はドキドキしながら返事を待っていたのですが、大変丁寧で分かりやすい返事を、
しかも米田先生ご本人からいただけたことに感激し、やっと探し求めていた先生に
巡り会えたと思いました。

外来受診の日を迎え、色々な術前検査をした結果、やはり僧帽弁に加えて
大動脈弁の方も手当てが必要で、こちらは弁置換となる可能性があるとの説明を受け
ました。

一か月後には入院し、いよいよ手術となりました。

前日には、家族も含めて、米田先生からインフォームド・コンセントの説明として、
僧帽弁形成術と大動脈弁置換術をポートアクセスで行うことや、
手術に伴う合併症等のリスクについて、詳細な説明をしていただきました。

さて、もうこうなったら「俎板の鯉」です。
自分がこれだと思った方法と、先生と、病院なので、後はすべてお任せです。

ですので、手術前夜はぐっすり眠れ、普段通りに起きてトイレに行き、そうこうして
いるうちに
点滴が始まり、家族に見守られながら手術室に入りました。

手術室の印象は、最新の機器や設備、モニター群や照明、
緊張感とやさしさが感じられるスタッフやドクターの先生方です。
深い眠りだったようで、手術中のことは一切覚えていないですが、
目が覚めたらICUでした。

手術後に、米田先生から家族に対して手術が成功したことの説明があったようです。

手術から二日後には、ICUから一般病棟に移りましたが、ICUに居る時からリハビリが
始まり、
喉の管や頸の点滴も取れ、次々と身軽になっていきました。

手術の時は肺を萎ませていた影響で、最初は少し息苦しさを感じましたが、
日毎に回復するのが分かりました。

一般病棟に移ってからも、赤褐色の痰を出したり、寝返りを打った時に右胸に痛みを
感じたり
しましたが、痛み止めや睡眠導入薬を使うことで、乗り切りました。

手術後3日目にはドレインと尿管が取れ、5日目にはすべての管が取れました。

6日目のリハビリから自転車漕ぎが始まり、病院一階のローソンまでアイスを買いに
行きました。

自分でもこんなに順調でいいのかと思えるほどの回復でしたが、
日毎に気力も充実し、同室の方や看護師の方と冗談を言えるまでになりました。

自宅が遠方とのことで、少し余裕を見て、手術後13日目となる日に退院しました。

高の原中央病院の印象は、病院らしい病院で、清潔さや衛生管理も行き届いており、
スタッフの方々もプロ意識や患者目線でのホスピタリティーに溢れています。

中でもかんさいハートセンターのスタッフの方々はとても活気がありました。
また、私には病院食も大変おいしく感じられ、快適な入院生活を過ごすことができま
した。

この手記を書いている今日は、手術後25日目ですが、昨日は仕事で外出までこなせ
るまでになりました。

この手記が、これから心臓手術を受けられようとされている方々にエールを送ること
ができれば幸いです。

 

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事例: 虚血性心筋症に対する新しい左室形成術 その2

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虚血性心筋症は現在も重症でしばしば心移植しか治療法がないと言われます。

そうはいっても心移植はなかなか順番が回ってきませんし、補助循環(いわゆる人工心臓)を使っている人たちが優先することが多いですので、普通の心不全の症状では逆に治療法に困ることがあるのです。

患者さんは60代男性で起座呼吸を主訴として来院されました。

つまり心不全としては4段階の4、つまり最重症に入ります。

過去20年間に4回のPCIつまりカテーテルによるステント治療を受けておられます。しかし心不全が悪化し、来院されました。心エコーにて左室駆出率28%つまり健康者の半分以下、そして僧帽弁閉鎖不全症の増悪も認められました。このままではもう、あまり長くは生きられないという状況でした。

しかしよく見ればまだ心筋がかなり残存している所見があり、左室の悪い部分が比較的明瞭で、心図1SVG-4PD臓手術とくに冠動脈バイパス手術左室形成術そして僧帽弁形成術で改善できると判断しました。

体外循環下、心拍動下にまず静脈グラフトを右冠動脈に取り付けました。

さらに左室を前壁で開け、中を調べました。

図2左室切開前壁と心室中隔の前部分が心筋梗塞でやられており、それ以外は比較的壊れていませんでした。

これは治せるという所見です。

そこでDor手術の簡便さとSAVE手術のきれいな形の両方をもつ、私が開発した方向性Dor手術を行いました

通常のフ 図3四分割Fontan糸ォンタン糸と呼ばれる糸を4分割して梗塞部分と健常部分の境界部にとりつけました。

そしてその糸をくくることで左室の短軸つまり横方向に主に縮小させました。

左室はかなり小さくなり、予定のサイズまで戻りました。

それと同時に形を長細い、洋なし型に整えました。

図4左室縮小前 図5左室縮小後

左写真の左側は縮小前、同右側は縮小後の姿です。

主に横方向に小さくしていますが、

心尖部が瘤化しているため長軸方向にもある程度は縮小しています。

これで左 図6パッチ縫着後室のパワーアップに役立つのです。

最後にパッチを縫い付けて左室形成術を半ば完成させました。

そのうえで、左房を開けて僧帽弁を調べました。

やはり左室 図9MAPと吊り上げ後が悪化したために弁が閉じなくなっただけで、弁そのものは良好でした。

そのため私が考案した乳頭筋の前方吊り上げを行い、それも前尖と後尖のどちらもが前方へ引かれるように工夫し、リングをつけて完成しました。

弁はきれいに閉じるようになりました。

図10LITA-LADと左室閉鎖後最後に左室の切開部を閉じ、内胸動脈LITAを前下降枝にバイパスし、操作を完了しました。

術後経過は良好で、まもなくお元気に退院されました。

あれから5年が経ちますが、お元気に普通の生活を送っておられます。

その後もこの左室形成術で多数の患者さんをお助けできていますが、昔、救命できなかった患者さんのことを想いだしてはさらに精進しお役に立てるような心臓手術を磨いていきたく思うのです。

 

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事例: デービッド手術を受けたマルファン症候群の患者さん 2

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デービッド手術大動脈基部拡張症に対する自己弁温存手術として大きな役割をになっています。

かつてこの手術をトロントで恩師デービッド先生が開発されたとき、私はチームの一員として参加していました。ホモグラフト、ステントレス弁、ロス手術、上行大動脈置換術などの手術を磨き上げるなかで、おのずと必然的にこの基部再建手術が生まれていったことをアートとサイエンスのすばらしい一例と思いました。

20年以上前にこの術式を行っていましたが、実のところ、この良さだけでなく弱点盲点も知っていたため、その後この術式を見合わせていました。しかしトロントやスタンフォードでの長期成績がでて、自分の中で疑問が解消したため、数年前から再開していたのです。

この手術を希望してあちこちから患者さんが来られますが、次の患者さんは関西から来られました。

患者さんは約40歳の男性で

以前からマルファン症候群を指摘されていました。術前CT

2年ほど前から大動脈基部拡張症のため近くの病院でフォローを受けておられました。

最近胸痛発作が起こるようになり、セカンドオピニオンで米田正始の外来へ来られました。

当院での治療を希望されたため、その後検査を施行しました。

大動脈基部は直径50mmに達しており、大動脈弁もやや寸足らずになり始めて軽度の大動脈弁閉鎖不全症が発生していました。

マルファン症候群では大動脈組織が弱いため、一般の大動脈基部拡張症の図1基部剥離患者さんより一歩早く治すことが勧められているため、心臓手術することにしました。

体外循環・大動脈遮断下に

拡張した上行大動脈(写真左)を横切開、離断しました。

まず大動脈 図2弁計測中基部のサイズを測定し(写真右)、

大動脈弁再建の予測を立てました。

それから大動脈基部の骨格部分をきれいに出して、患者さんご自身の弁尖を温存しつつ、人工血管をその周囲に 図3第一層糸かけ縫い付ける準備をしました。

適切なサイズのダクロン人工血管を大動脈基部の外側に配置し、固定しました(写真左)。

さらに、大 図5第2層糸かけ動脈基部の骨格部分を人工血管の内側に縫い付けました(写真右)。

このとき、弁尖の形、かみ合わせ、位置関係が最適になるように微調整を行いました。

水テストで弁逆流がないことを確認しました。

図6左冠動脈入口部そこで左冠動脈の入口部分を人工血管に小穴をあけて、

そこへ縫い付けました(写真左)。

同様に右冠動脈の入口部分も人工血管に縫い付けて、

冠動脈の流れがスムースに行くように、

かつまったく血液がもれないようにしました(写真右下)。

 

大動脈弁の 図7右冠動脈入口部一番高いところ、いわゆるSTJ(Sino-Tubular Junction)と呼ばれるところに糸をかけて、

大動脈基部のバルサルバ洞と呼ばれる部位が適度なふくらみをもつようにしました。

図10出来上がりあとは人工血管のもう一方の端を弓部大動脈に吻合して操作を完了しました(写真左)。

術後エコーで大動脈弁の機能は良好で、CTにて人工血管がきれいになじんでいることが示されました(写真右下)。

術後経過は 術後CT順調で術後2週間を待たずに元気に退院されました。

術後1年の外来でもお元気で仕事をこなしておられ、心臓のホルモンであるProBNPも102と正常で、心臓・大動脈とも安定していました。

術後3年が経過し、お元気で順調です。

デービッド手術はこうした若い患者さんたちの予後や生活の質(QOL)の改善に大きく貢献するものと思います。

現在はこのデービッド手術を小さい創でおこなうミックス法で行うようにしており、若い患者さんが手術後にできるだけ精神的ストレスのないように心がけています。

さらに大動脈弁形成術を適宜併用してできるだけ自然で長持ちする弁形態を整えるようにしています。

こうした努力の積み重ねでさらに成績は向上していくでしょう。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り106: 人工弁感染性心内膜炎PVEの患者さん

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感染性心内膜炎(IE)の中でも人工弁のそれ(PVE)は重篤です。

IMG_1636b人工弁には抵抗力がなく、抗生物質をしっかり使ってもバイ菌を消しづらいからです。

日米のガイドラインでも人工弁のIEは基本的に手術適応となっています。

しかしばい菌が少しでもいるところに新たな人工弁を入れることは新たなPVEを発生させる恐れが高く、入念な治療戦略が必要です。

下記の患者さんは北海道在住で、この人工弁感染性心内膜炎で厳しい状況におかれていました。

見るに見かねた娘さんが米田正始のところへメールを送って来られました。
ポイントをしっかりと押さえられ状況が良く分かるお便りでした。

***** 患者さんのご家族からのお便り1 *****

父は73歳で、2年前に人工弁に取り替える手術をしました。

私は娘で東京都在住、父は北海道在住です。

昨年末に高熱を出し、結果、つい数日前に人工弁感染性心内膜炎PVEと診断されました。

今は白血球の数も減り、食欲も戻りましたが、

今後、大きな合併症(菌体の塞栓による脳梗塞や動脈瘤など)が起こる可能性があり、手術も体力が持たないから2回目は無理と言われ、

それがどういう意味なのかすぐわかりましたが、そんなはずはないと思い調べたところすぐこちらのサイトを見つけることができました。

出来るだけ早い方が良いのはわかったので、まずは何をすれば良いか教えてください。

父を助けたいです。

よろしくお願いします。

********************

お便りを拝見し、これは何とか救命しなければ、そして救命できる!と思い、ただちにお返事をお出ししました。

地元の先生とも直接間接にご相談し、患者さんのご希望にて奈良にあるかんさいハートセンターまでお越しいただくことになりました。

もちろん重症の患者さんをご家族とだけで移動していただくわけには行きません。

私の方から医師を派遣し、護送する形で来院していただく準備を整えていました。

しかし次のメールが届きました。予断を許さぬ状況となり予定を繰り上げての転院へと進みました。

 

***** 患者さんのご家族からのお便り2 *****

米田先生、ますやま先生、おざわ先生
いさみもと様

父の容体が急変し、出発は明日に

こちらでも無事になんとかすべて変更できました。

ますやま先生から16:30すぎにお電話頂いてかなり気も動転してびっくりしましたが

そのあとは行くしかないと思い、

すべてを変更するので大変な状態でしたが

結果、父に意思を確認した時に早く行けることのほうがかえって良かったようすで
良かったです。

たくさんご面倒おかけしていますが、

私達は米田先生はじめ、チーム皆様の迅速な対応には本当にもう、、、

何と言って良いかわからないくらい感謝しております。

ありがとうございます(泣)

米田先生は今日も手術でいらっしゃったようですしこの時間ですので
今は取り急ぎ、お礼のメールをお送りします。

私は金曜の夜にそちらに伺う予定でいますが何かあればすぐ行けるように調整するつもりです。

明日、まずは無事に辿りつけると祈っております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

********************

患者さんは無事に救急車、飛行機、また救急車を乗り継いでかんさいハートセンターに到着されました。

当院の医師もコーディネーターそして各部門のサポーターもよく頑張り、周囲をがっちり固めたことが幸いしたようです。

安心感からか、意外なほど落ち着いておられました。

さっそくご報告のメールをご家族に入れ、手術や治療の準備を開始しました

以下はご家族からのお返事です

***** 患者さんのご家族からのお便り 3***** 

米田先生

ご連絡ありがとうございます。

飛行機内で何事もなくて本当によかったです。。

小澤先生と看護師さんに付き添っていただき父もとても安心できたんだと思います。

さっき母と話して、米田先生にもお会いしたと聞きました。

私は今までぜんぜん親孝行できてなかったので、今回ばかりは必死で(泣)

母も個室で数日は一緒にお世話になると思うので、どうぞよろしくお願いいたします。

またご連絡いたします。

**********************

十分な準備のもと、心臓手術いたしました。

もとの人工弁はその付け根からえぐられ、外れていました。

いわゆる大動脈基部膿瘍(大動脈弁輪膿瘍)という厳しい状況でした。

まだばい菌が組織の中にいそうな印象があったため、十分きれいに廓清しました。

新しい人工弁を私たちが工夫した方法で、ばい菌がもしいても人工弁には接触しない形で植え込みました。

術後経過は順調で、弁も心臓もばい菌も良い形で安定しました。

以下はそのころに頂いたお便りです。

なお術前は何としてもばい菌をできる限りたたくことが必要なため、腎臓を少々犠牲にしてもしっかりと抗生剤を使い、まずいのちを救うという方針で臨みました。そして少し余裕が出たところで腎臓を治すという二段階作戦で、うまく行きました。

***** ご家族からのお便り 4 *****

米田先生、お世話になっております!

今月5日に手術していただいた****です。

その後、父とは電話で話していますが日に日に声が元気になっていて、昨日はお風呂にも入ったとのことで回復早くびっくりしました…最先端の医療技術はすごいですね。

今回は予定が早まったにもかかわらず、無事に飛行機にも乗れて、早急に腎臓の手当てをしていただき手術出来たこと、当初のメールのやり取りから始まり、先生の医師としてのお志には感銘し、感謝でいっぱいです。

ありがとうございます。

母や弟もまさかスーパードクターにやってもらえるとは思っていなかった…と言っていました。

このご縁をいただけたことは家族全員がラッキーだったと感じております。

***病院の**先生には、手術の日に報告とお礼のお電話をしました。

無事に行けたことを喜んでくださってる気持ちがすごく伝わって来たので嬉しかったです。

これも米田先生とチームの先生方のお心遣いあってだと思っております。

ありがとうございました。

手術が終わって数日、しばらく私は放心状態でした。。

こんな早くに父の生死に直面するとは思っていなかったので、

勉強になったことや改めて感じたことがたくさんあり

家族の信頼関係が深まった良い出来事になったと思っています。

両親は退院後の1ヶ月検診まで奈良に滞在することになりました。

私も週末や連休を利用してまたそちらに行く予定です。

検査結果もこれからかと思いますし、退院までまだしばらくお世話になると思いますが
どうぞよろしくお願いいたします。

それと今回の手術で、米田先生と増山先生についてジャーナリスト取材があったと父に聞いたので可能であれば是非記事を読んでみたいです!

では、日々おいそがしい身でいらっしゃると思いますが

どうぞお身体ご自愛くださいませ。

またご連絡いたします。

*********************

患者さんはその後も経過良好で日々元気さを増し、毎日しっかり食べて歩いてという健康生活への道を進んでおられました。

心臓はすでにすっかり回復し、腎臓も着実に良くなっていました。

そのころに頂いたお便りです。

***** 患者さんのご家族からのお便り 5 *****

米田先生、お世話になっております。

昨日父から電話で今週末には退院できる予定と聞きました!

腎臓の治りも早かったようで
ありがとうございます^ ^

父はかんさいハートセンターに来て良かった、としみじみ言っています。

先生達が毎日顔を出してくれたことや

術後の痛みがまったくないのは前と全然違うと。

苦痛や不安がないのは患者にとってはすごくありがたいことだと思いました。

もう先はないと諦めていたのに、こんなに早く帰れるとは!と言っておりました。

今後は早く落ち着いて、親孝行したいと思っております。。

最近は「医龍」を一気に観ていました。先生のHPも引き続き読ませていただいております。

ドラマは脚色されていますけれども
手術シーンはけっこうリアルに感じました。

米田先生のチームもあんなふうに手術されているのかな…などとまた感動しています^ ^

予定では20日頃の退院と聞いています、私は次の3連休に行く予定だったので、もしかしたら退院後になってしまうかもしれませんがナースステーションにご挨拶したいと思っております。

増山先生にもお会い出来ると嬉しいです。

ではまたご連絡いたします。

**********************

患者さんが元気に退院されてしばらくしてからお便りを頂きました。

感染性心内膜炎とくに大動脈基部膿瘍は心臓手術の中でも難易度が高いものとして知られています。

自分が若いころ見た手術のように、、、術後、人工弁は再感染し外れてしまい、、、という恐ろしい事態を回避したかったのです。

これまで山ほど再手術やIEを治して来た経験が多少でもお役に立てたのであればこれほどうれしいことはありません。

患者さんにはこれから楽しい生活をご家族と送って頂けましたら幸いです。時間ができれば奈良へまたお立ちより下さい。

 

***** ご家族からのお便り 6 *****

米田先生

東京も桜が咲き始めて、季節が変わったのを感じます。奈良もますます情緒豊かな季節になりますね^ ^

Facebook承認ありがとうございました。
先生の日常のご活躍が見れて嬉しいです。

この間、お電話で先生に直接お聞きして実感したのですが、やっぱり手術や移動のタイミングを逃して手遅れになられる患者さんは多いのですね…

今回の父の件でじかに体験したので私もそこはとても気になっていました。

地方の人はとくに知らない人は知らないまま、治るのに簡単に諦めてしまったり、痛みや苦しい思いをしてもなお亡くなる方が多いのでは…と考えるとつらいです。

今回は長文になってしまい申し訳ないのですが、今までお送りしたメールや今回のいきさつなどは、是非、ご自由に使っていただいて転院まで踏み切れない患者さんの手助けになればと切に思っております。

私の世代になると周囲で親が心臓手術したという話はよく聞きます。

いろいろ記事も読むと多くの病院ではごく当たり前の手術はできるけれど…というのが現状のようですね。

**先生と初めてお会いして父の病状を聞いた時、父や母に聞いていた通り一方的でこちらの話はほとんど聞いてもらえませんでした。とにかく諦めてくださいということで…

でも、無事に手術に入っていると報告をした時はまるで別人のように(笑)優しくなられていてすごく嬉しかったです。きっと米田先生のお志が連鎖したんですね!

その後、父は地元に帰れたことでとてもホッとしている様子で、声を聞くと安堵感が伝わってくるのでわかります。

高齢者で田舎の人達は保守的で、地元を長く離れることはストレスになるんですね。

沖縄から来られた患者さんも、なるべく早く元の生活に戻るよう促した結果、良かったという実績を例にあげて伝えてもらったのがとてもわかりやすかった、と父が言っていました。

私たち世代はインターネットで何でも知ることができますが、PCをツールとして使えない人は高齢者に限らず、想像も出来ないくらい情報が偏っていく時代だと思います。

転院しないとまずいというのは私は調べてすぐにわかりましたが、そのことを両親にどうやって伝えたらいいのか苦労しました。

本人が納得していないのに無理に転院を勧めても意味がないですし、弟や父母には冷静に何度も話しました。

「そんなことまでして本当に治る保証はあるの?」

「飛行機になんて乗れるわけない」

「名医の先生にお願いしたほうがいいのはわかるけど今の病院での手術日が決まっているし、今から転院なんて無理がある」

父にも「そこまで迷惑かけてまでこれ以上生きたくない」と言われた時はもう何も言えなくなってしまいました。

主治医の先生から私が直接話を聞いたのが手術予定日の12日前で

「ここまで進行していると術後も再発する可能性がある、いつまで生きられるのか保証はできないことは了承いただきたい」と言われてしまったので、転院を考えているとだけお伝えして、父にもう一度話をしなければと思いました。

先生が心臓手術は一生に一度あるかどうかの大事なので、納得するまで熟考するべきと言っていただいていたのが何より心強かったです。

父はとにかく体調が悪いので、先生のHPの記事をなるべく疲れさせないように興味のあるところをたくさん見せて話しました。

PVEはとても厄介だけれど頑張れば完治もできる、執刀医の経験や知識がとくに求められること、遠方からもたくさんの方が転院して手術を受けていること、元気になった患者さんの声、同じように北海道から飛行機で移動して転院した患者さんも実際にいて、その後は元気に回復したことなどを話しました。

それといちばん父が心配だったのは、行って治ったとしても、地元に戻った時に今の病院と気まずくなって通院できなかったら困る、ということでした。

でも、そこもきちんと対応してもらえると書いてあるよと伝えると、「そんなことまで本当にやってくれる先生なんているの?!」とびっくりしていました。

「今からでも間に合うなら転院して、元気になりたい」とはっきり父の意思が言葉に出たのですぐに先生に電話をしました。

あとは、主治医の先生に了承をもらうだけでしたが、やはりここがいちばん大変でした。

土日だったせいもあるのですが、転院を具体的に進めたいと伝えても、先生ではなく看護師さんからそれは無理ですと伝言が来るだけで、先生同士で話すこと自体を避けている状態なのがわかったので…

「命に関わることを伝言で済ませるわけにはいかないんです」と伝えたところその看護師さんも「私もそう思います」とおっしゃってくれて

「とにかく1度先生同士でお話いただかないことにはこちらは何も決められない状態です」と看護師さんにお伝えしたところ、翌日(日曜ですが先生が病院に来て頂くことになり)直接お話することになりました。

父と私と母と3人で面談したのですが

もう10日後に手術日が決まっている、今の病状で飛行機を使って移動した患者さんはいない、今までそういう事例がなかった訳ではないけれどトラブルになりそうになったことがある、など、やはりまったく話を聞いてもらえなかったのですが

付き添いのお医者さまに空港まで迎えに来てもらえることを伝えたところ、やっと先生同士でお話していただくということになりました。

その日の夕方に無事に転院できることになったと先生から連絡いただいた時は、本当に安堵感でいっぱいでした。。

今回、一通りやってみて転院の流れはわかりました。急に予定が早まるというアクシデントも含め、介護タクシーやJALの手配など、昔、旅行会社にいたことと旅行好きが役に立ちました。

もし差し支えなければですが、例えばメールの問い合わせをして来た方などで実際に転院した人の話が聞きたい、主治医の先生に転院を切り出せない(ここはけっこうな難関なのではないでしょうか…)など、メールやLINEの無料通話であればお金もかからないですし、直接お話するのも私はかまいません。

少しでもお役に立てれば嬉しいです。

今回は家族みんなで困難を乗り越えられて私自身も人間的に成長できました。

素晴らしい思い出をたくさんいただけたこと、なんとお礼を言っていいのかわかりません。

日々休むことなく救命にエネルギーを注いでいらっしゃる皆様の姿勢には本当に感銘いたしました。

今後ともずっと応援させていただきます。

かんさいハートセンターのさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

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執筆:米田 正始
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お便り105: 感染性心内膜炎(IE)のため僧帽弁形成術を受けられた患者さん

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感染性心内膜炎(略称 IE)は突然ひとを襲います。

きっかけは抜歯やけがその他さまざまですが、その背景に弁膜症先天性心疾患などの心臓病があります。

感染性心内膜炎のために弁がより壊れて弁膜症が悪化することもあります。

IMG_0364b感染や心不全がどうにもならなくなった時などに心臓手術が必要となります。

下記の患者さんは遠方からお越し下さいました。

当初入院しておられた大学病院では心配と連絡を取ってこられ、患者さんのご希望で主治医の許可と協力を得てかんさいハートセンターまで転院して来られました。

2つのメールを掲載いたします。ひとつは最初に私に送って下さったもの、もうひとつは退院後お元気になられたあとのお礼のメールです。

褒めすぎのところはお恥ずかしい限りで読み飛ばしてください。

病気と正面から向き合い、勉強し相談し熟考し、決断された患者さんとご家族には頭が下がります。

ポートアクセス法というMICSによる僧帽弁形成術で痛みも少なく、元気な生活に戻れたのは患者さんとご家族の努力の賜物です。

弁形成のあとはワーファリンも不要ですし自然な生活ができるでしょう

これから元気な健康生活を楽しんで下さい。


******ご家族からの最初のお便り******

お忙しい所大変申し訳ありませんが、インターネットを見て米田先生にメールさせて頂きました。

私は**市に住みます**と申します。

私の妻の母が微熱が長く続いて体調がおもわしくない為、今月始めに近くにある**大学病院で診察して頂いたら、感染性心内膜炎と診断され抗生剤の投与を続けています。

ですが効果があまり良くないらしく、近いうちに弁の手術をしなくてはいけないと先生から告げられたみたいでショックを受けています。

本当にこの病院で手術に踏み切って良いものなのか不安がっています。

実際に手術が近々に迫ってるこの状態でハートセンターへの転院は可能なのでしょうか?

まさか心臓の病気になるなんて思いもよらなくて慌ててしまい、先生のおみえになるような専門の病院があるなんて知識も無かったのですごく後悔をしています(泣) 

何か良い方法があれば教えて頂きたいです宜しくお願い致します m(_ _)m


*****ご家族から、退院後のお便り *****

米田院長先生

昨日は母が無事退院で お便り105きました事を心より感謝申し上げます。

本当なら院長先生に直接お会いして御礼を申し上げたかったのですがメールで申し訳ありません。

母は自分の病気を知った当初はもう助からないと絶望的でしたが、この病気 (感染性心内膜炎) をきっかけに米田院長先生の存在を知る事が出来まして、

神にすがる気持ちで先生にメールを送りましたら直ぐにお返事を頂き、そして先生のお導きによって母の命を繋いでいただけました。

本当に言葉では言い表せないほど感謝の気持ちでいっぱいです。

母の病気がきっかけではありますが、先生を知れば知るほど偉大さや人間性、様々な事が、職種は違えど私にとっても刺激になり勉強にもなりプラスになっています。

今後も母のアフターケアでお世話になりますが、宜しくお願い致します。

そして米田院長先生がいつまでもお元気でご活躍される事を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました

              ****

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お便り104: 大動脈弁置換術でアスリート生活にカムバック

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大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術はすでに安定した成績それも短期だけでなく年余にわたる長期に示されています。

しかし通常の胸骨を切る方法での心臓手術ではなかなかもとの生活とくに激しいスポーツには戻りづらいということはよくあります。

そこでMICSミックス、なかでも胸骨も肋骨もまったく切ら IMG_2118bないポートアクセス法がお役に立つのです。

下記はそうした方法で大動脈弁置換術を受けてみごとにアスリート生活に戻られた患者さんOさんのFacebookフェイスブックからの引用です。患者さんのお許しを得て、しかし個人情報のポイント部分は伏せてご紹介します。

ミックスでなければこれほど早くスポーツに戻ることはできなかったと思います。お役に立ててうれしいことです。

なお文面からお察しがつくとは思いますが、Oさんは薬剤師さんです。

医療者がしっかり勉強してから私たちを選んでくださること、いつも光栄に思い、また襟を正してそのご期待に沿うように努力しています。

とくにかんさいハートセンターでは毎朝内科外科の全員が集まり、親睦だけでなくチームとしての一体化を図っています。

Oさん、これからもますますお元気で仕事にもスポーツにも楽しい時間をお過ごしください。

*******患者さんのFacebookからの引用******

◆2013年11月3日

FB の友達のみなさんに報告です~

ご心配おかけしております私の心臓手術の日程がきまりました。

手術までの執行猶予1.5ヶ月!12月20日(金)に決まりま した!執刀していただく先生は米田正始先生、手術を行う病院は名古屋ハートセンターです。

現在、米田先生は奈良の高の原中央病院内の「かんさいハートセン ター」のセンター長としてご活躍中のため、9月まで副院長を務めていた名古屋ハートセンターまで出張していただいての手術となります。

従って日程調整のた め執行猶予となりました(笑)

手術方法は先日、高の原中央病院受診の際に話し合った結果、4方法のうち、牛の心のう膜で作った「うし生体弁」による置換手術となりました。

アスリートとして術前より性能アップした心臓にするために出来る限り 大口径の弁を取り付けていただけることになりました!!

復帰後、どんな走りができるか今から楽しみです!

年内に退院、順調なら春先から自転車再開です♪

ご 報告まで~
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/

◆11月14日

家族に祝ってもらいました♪ありがとう

 
◆12月15日

今週水曜日に入院し金曜日に手術です。

私の不安を一番癒してくれるのは、やはり娘ですね♪

屈託なく接してくれる動物はかわいいですね!

入院中この子に会えないことが手術より苦痛なのかもしれない・・・・
 

◆12月19日 (携帯より)

ドクターXをみて明日の予行演習もしたし消灯時間も過ぎたし、眠れないと思うけどやすみますZZZzzzz

明日は、FBやれないかもしれないので•••

私は明日心臓のオペを受けます!!

ほんの少しで構わないので、どうかみなさんのお力をお貸し下さい。

オペ開始の明日12時に「ガンバ!!」と一回でいいので念じて頂ければ幸いです。

神頼みより、私は友達頼みを選びます!!

術後FB が再開できる状態になったら報告します。

それでは、いってきます。

◆12月20日(註:心臓手術当日)

入院中の名古屋ハートセンター5Fからの眺め♪

今日はFBやる心の余裕ないと思ってたが•••

以外と余裕かましてるよ俺

◆12月21日 (註:この日のみ、ご家族の代筆)

生きてた

いたそうなので注意

本人の希望なので

**さん、御見舞いありがとうございました。

 
◆12月22日

おはようございます♪

無事戻って参りました。

ご心配いただきありがとうございました(^_^)v

 
◆12月23日

お はようございます♪

術後3日目の朝です。

経過は順調です。

まだ、少し浮腫ありますが利尿剤の効果もあり昨日からは尿量も増えています。

また血圧も昨日お昼 ころから収縮期が100を越え今朝は125まで上がってきて体調も回復傾向♪

咳をすると少し胸が痛みます。

明日から本格的なリハビリ開始です!!

あとは、 食事制限で甘いものNGなのと水分も水かお茶のみ一日1000ccまで。

しばらく我慢の日々です。

執刀していただいた米田 正始先生、ほか名古屋ハートセンターの素晴らしいドクター、献身的な看護をしていただける看護師さんに心から感謝の気持ちで一杯です。

◆12月24日

昼飯!!やった!!!

クリスマスサプライズ♪ケーキが付いとる\(^_^)/

今は、酒よりも何よりも甘いもの•••ケーキやぼた餅やおはぎ食べたい!!!

こんなことがアホみたいに嬉しい術後って•••

やっぱり病気なんだな(^_^;)

いただきます

◆12月24日 (携帯より)

映像はありませんが、初リハビリやりました!!

最終レースの富士見アドベンチャーレース以降、実に2カ月23日振りにペダル踏みましたよ(^_^)v

運動靴?革靴かレースシューズしかないので、なんとSIDIのXCシューズのクリート外して使用(笑)理学療法士さんの視線が•••f(^_^;

術後4日なので付加30W,rpm50で最初は10分と言われたが、現役自転車競技者という点を考慮いただきまして15分(^o^)不可も20W~25Wだそうですがこちらも御配慮感謝♪

心拍数110前後で20分、本当に久々に気持ちいい汗をうっすらかきました。

私でもアスリートなんですね、、、

最高の爽快感!!

この負荷では呼吸も足も全くなんともないのは、自転車選手のみなさんなら分かると思いますが再びペダルが踏めた歓び、爽快感は何物にも代え難い感覚なんです!!

スポーツ、それもサイクルスポーツをしてて心からよかった!!と感じる瞬間でした\(^_^)/

他に両足に10Kgの重りをつけての筋力のリハビリも!!

明日から付加、時間とも延びます!!

明日へのモチベーションになります!!

** *さんを想いながらペダル回しましたよO(≧∇≦)O

他にも、本日、ポータブル心電計以外の体につくものは全て外れました。

術後初のシャワーもいただきました!ありがとうございました。

順調な証拠に個室から5階の大部屋に移りました。ご報告まで~

捕捉•••ですHb値は9.9%でまだ手術に伴う出血による貧血はフェロミア50 4錠/dayで解消に至らずです

◆12月25日 (携帯より)

10時にゾピクロン(アモバン7.5)飲んでここ二日とも3時に目覚める~やることはこれしかない(笑)

◆12月25日

朝食です♪

確かに量は少ない、激ウマでもない•••

でも、ここの食事で一週間。手術のせいかもしれないが、お通じ他色々と体調がいい!

これで、量があれば理想的な食事なんだよね♪

いただきます(^_^)v

 
◆12月25日 (携帯より)

40W、50rpm、20minペダル回してきました!

心拍数124くらいまで一時上がりませたが、術前のような胸痛は皆無(^_^)v

心地よい汗をかけました♪

 
◆12月25日 (携帯より)

一昨日は、古くからのアスリート仲間で私も長男も大ファンの****ちゃん!!

最近は仕事、職場の関係で一緒に走ることも少なくなっていたが、彼女は話すだけで人にパワーを与える不思議な人♪

そんな彼女にパワーもらい、 昨日は中学で共にバレーボール部員として汗を流し、名古屋市第三位まで上り詰めた我チームのエースアタッカーだった同級生****くんが嬉しい訪問♪

現在は、酒と痛風と戦いながら、釣りの全国大会で上位入賞を繰り返す兵!!

力もらいました!!

そして、今日のBIGサプライズ** ***ちゃん♪

私は幸せものであると、つくずく感じています!!

◆12月26日

おはようございます♪

朝食についていた堂々と飲める貴重な糖分入り飲料水\(^_^)/

 
◆12月26日

病室からの風景~今日は曇りで日差しがありません。夕方から雨予報( ̄ー ̄)

 
◆12月26日 (携帯より)

先程、ホルター心電計(24時間心電計)を装着♪

今日の検査はコレのみです。

◆12月26日

日に日に元気になり、体の自由がどんどん効くようになると暇とのたたかい!

明日は、リハビリに始まり心エコーに始まり心電図、レントゲン、採血とあるので多少時間が過ぎるのが早いかも!!

頑張ります♪

ヘモグロビンの回復を願います

◆12月26日 (携帯より)

夕食が終わりました♪

暇だしテレビも飽きたしラジオは「かにたく言ったもん勝ち」「聞いてみや~ち」の日中のローカルラジオしかきかない(わかるFB仲間手あげて(笑))で、少し暇潰し~~~~

毎日リハビリをしているのであるが、メインは完全にエルゴマシン!

7割を占める!!

筋力よりも心肺に主眼を置いているので自転車運動はもってこいなんですね♪

サイクリストの私には好都合です!!

心臓機能のリハビリはもちろんですが、10月4日の富士見のレース以降、ママチャリさえも乗ってない私の一番の心配の種は[筋力低下]

若ければ問題ないのだが、53歳という年齢で27年ほぼ休まず動かし続けた筋肉を長期間休めれば元の筋力に戻るのにどれだけの時間が•••

本当に元の筋力レベルに戻るのか?

心機能は多分10歳若返るであろう。

そのパワーを取り戻した心臓のパワーに足の筋力が追い付かなければ意味がない。

このリハビリなら、自宅でも心拍計もあるわけだし指示を受けた条件で自宅のローラー台で毎日できる!!!

筋力がつく負荷は当然無理でも、毎日回せれさえいれていれば今以上にの筋力低下は防げるので、トレーニング再開後の筋力回復に役立つと思う。

ローラー台であれば、ペダリングを意識すればスキルも保たれるし、一挙両得なのである\(^_^)/

そして、リハビリは退院した日からも続ける必要もあるわけで•••

たった15分でも来年のお正月はペダリングができるよ!!!!
 

◆12月27日

病室より~雲ってますが、雨は上がりました♪

検査とリハビリと暇との一日が始まります!

 
◆12月27日

予定通り?の訪問者もきました!

私は、心臓外科医の先生方、看護師のみなさん、その他のスタッフのみなさん、またFBのお友達に頂いた力•••そして愛する 家族、取分この人の献身的な支えがなかったら、今私はここにいられなかったかもしれません。

感謝してもしきれません!!

心から最大級の感謝を送りたいです ♪

そして、退院後の生活や自転車競技への復帰に向けても、妻の助け抜きには不可能です。

どうぞ、これからもよろしくお願いします。

本当にありがとう(^- ^)v

面と向かって言うのは恥ずかしいしのでこの場を借りちゃいました(笑) 

 
◆12月27日 (携帯より)

本日の予定終了♪

今日は検査、リハビリと忙しく時間が過ぎるのが早かった。

本日の検査で問題なければ29日か30日が退院日になりそうです!!

栄養士さんによる栄養指導もありました(実は私はコレを手術自体より恐れていたかも)

血液検査結果は良好でした。

ただ手術による出血のためフェロミア錠4T/dayを連日継続中だがHb(ヘモグロビン)は10.8%と相変わらず低空飛行(^_^;)

まあ、徐々に回復するのは想定内なのでよいのだが、もともと濃すぎる私の血がこんなにシャビシャビなのは変な気分ですね••••

栄養指導は減塩以外にも、あれもダメこれもダメのオンパレードかと覚悟しましたが、きちんと守るよう言われたのは減塩(6g/day )のみ!!見事!!

他のものは節度をもち取りすぎない!!とのお言葉でしたが、当然飲酒量は減らさないといけませんが条件付きで普通にいけそうです\(^_^)/

ビールは最初の350~500ccまで、追加で少量なら焼酎、ウィスキーで!!ということです。

日本酒大好き男を返上するのは残念ですが日本酒はたまには•••になるでしょう。

焦らず、ゆっくり全てを日常に戻そうと思います~

◆12月27日 (携帯より)

今、主治医の北村先生から「執刀医の米田 正始先生が気にされていた心臓エコーの結果がバッチリだったので29日退院でOKです!」というお言葉をいただきました\(^_^)/

一応、まだ予定ですが御報告

◆12月28日

病室より、おはようございます♪雪ではありませんね~ —

 
◆12月28日 (携帯より)

もうほとんどの検査も終了。

今日明日はリハビリもお休みだそうで暇です(笑)

人生初の全身麻酔の気持ちを~人によって感想は様々なようです。

すごく楽しい夢が見れる、あるいは怖い夢など夢を楽しみにしてましたが私は何もみませんでした( ̄ー ̄)

入酔はものの10秒でした。

覚醒は妻の「**さん」という呼び掛けに続き看護師さん達スタッフによる「**さん」とういう呼び掛け!

ハッキリわかりました。

が、妻の手を握り返そう、目を開けよう、声を出そうとMTBで激坂上るとき以上の渾身の力を込めるのですが微動だにしない•••

もどかしいと同時に不思議でした。

その後3時間位で完全に覚めたようです♪

◆12月28日

私 の専門分野~まだ安定しないようですね2.5mg/day →3.5→3mgと検査の結果で乱高下中(笑)こういう薬ですから!

有効血中濃度の幅が狭いからですが、かっちり定期的に血液検査をして、患者がきちんと 飲めば素晴らしい効果を発揮するのですが•••

なかなか、これを素人の患者さんに納得させるのが難しい薬剤師泣かせの薬です!!

ワーファリン錠♪

◆12月28日

久々に夕食の画像です。

最初は物足りないと感じた減塩食も、慣れてしまい最近は、美味しくいただける。

これなら、退院後も十分に続けられると手応えを得ました♪

他に糖尿病などの合併症がなかった幸せに感謝して~いただきます!!

 
◆12月29日

病室より、おはようございます♪

予想された雪は皆無••••

月もでてて、お天気の朝を迎えした!

本日午後に退院します(^-^)v 

 
◆12月29日 (携帯より)

FBのお友達のみなさま、今回の私の病気のことでは大変心配おかけしました。

また、たくさんの励ましのお言葉等、心より感謝いたします。

さて、退院前の全ての検査も終了し問題ないということで、本日午後1時頃の退院が正式に決定しましたので御報告します。

まだ、これからリハビリとの長い戦いが待ってます!

どうか、自転車競技に復帰できるまでお力をお貸しください!!

本当にありがとうございました。

なお、本日は久しぶりの自宅を楽しむためFBの投稿は明日から再開しますので、よろしくお願いします。

◆12月30日

お はようございます♪

13日ぶりに自宅で迎える朝•••

朝食は何十年も続けていたメニューを普通に~ちゃんとドリップしたコーヒーのかおり、トーストに純蜂蜜、、、

マーガリンと食パンに塩分ふくまれるため、近々マーガリンは無塩バターに変更予定です!!

愛犬と一緒に、良く眠れました\(^_^)/

◆2013年12月31日

33年ぶりにアルコールが一滴もない大晦日、そして正月を迎える不思議・・・

◆2014年 1月1日

夢のまた夢(笑)
A Happy NewYear 2014!!!
あけましておめでとうございます。今年とよろしくお願いします。  

◆1月16日

実家にて昼食♪

いつもは、鰻丼なのだが食塩制限があるため、白焼き鰻で(^^)v

◆1月24日

退院後、最初の診察を名古屋ハートセンター に受けに行ってきました!

自分では体調の良さで手応えを感じておりましたが検査結果も良好で順調なことが確認出来ました♪

診察いただいた**先生どうもありがとうございました!!

◆1月31日
おはようございます♪

長かった冬休み?も今日で終了です!!

明日からお仕事に戻ります!

でも、無事元気に復帰できそうで嬉しい気持ちが大きいです(^-^)v

◆2月1日

本日より仕事に復帰します!!

応援してくださったみなさんありがとうございます(^-^)v

体調は良好です♪

でも、まだ車通勤です~

◆2月11日

トライクのコックピットより~

名古屋は先日の雪は消えてますが、多治見はまだまだ残ってます!

日陰は一週間くらい残ることもあります♪

久々のペダリングは気持ちよかったですよ!

◆2月20日

第一店舗目の面接が終わりました♪

ありがたいことに、まだ薬剤師は売り手市場なんですね•••

とにかく、どこのオーナーも薬剤師確保に奔走されているかたが多いです。なので、法外な給与を要求する薬剤師や勤めて3ヶ月で辞めるような同業者が多いようです~嘆かわしい•••

今日の薬局オーナーさんも、 昨年12月に入った薬剤師に2月で辞めると言われ本当に困ってみえました。

とにかく、条件はのむから来てくれと言われました。本当にありがたいことです。

でも、私は法外な給与や条件は提示してませんよ(笑)

気持ちよく仕事が出来ればいいんです(^^)v

でも、それを見極めるのが難しいんです。

そう意味では、今日の薬局は私の性格にピッタリの印象でした•••

が、、、往復68Km~今より10km近いが、自転車通勤を家族に納得させれるか?

手術後、自転車通勤自体止めてといわれてるのに(笑)

でも、最近トレーニング再開したばかりだけど、術前より明らかに楽に速く走れる気がする!

66km楽勝なんだけどなぁ☆

でも、もう2つくらい面接受けて決めようと思います

~就活報告でした

◆3月23日

浜名湖一周サイクリングに来ています♪

9時に出発でぐるっと一周90km~いってきま~~~す(^^)v

◆4月1日

ひかり薬局で働き始めました

◆4月23日

暑くなく寒くなく~気持ちよく通勤ライド♪

心拍を上げても胸が痛くならない!!

自転車を思いっきり楽しめる嬉しさを体で感じてます(^-^)v

心拍が上がり始めると胸痛でペースが上げれない心臓で走ってた3年間がウソのようだよ!!

さあ、シーズンイン!!!思う存分乗るよ\(^_^)/

◆4月30日

今日は午前中勤務で午後から多治見市役所へ

~実は私は牛生体弁で心臓大動脈弁を置換したことで「第一級一種身体障害者」に認定されているため、

医療費がダダになったりETC通行料が半額になったりと色々な優遇があるようですが、申請しないと受けられない優遇が多いため申請に行ってきます!

自転車競技出来るほど元気な体で申し訳無い気持ち半分、国の定めた制度なので堂々と恩恵を受けたい気持ち半分•••

複雑な心境です(^_^;)

みなさんの税金から頂いていると言う気持ちを忘れず制度を利用させていただきます!

◆5月4日

本日はポケットWiFi 圏外の滋賀県高島市朽木高原で開催された日本MTB 最高峰のレース開幕戦であるJ1びわ湖朽木大会の観戦&応援に朝5時に出発し、朝9時~夕方4時まで応援でスキー場を縦横無尽に走りまわり、帰路の渋滞で午後9時帰宅し、週に2回のビールを楽しんでます♪

今シーズンも贔屓選手の応援の現場に戻れ、走り回って応援できたことが奇跡のように思います!!

筋肉痛はあれど心臓は快調です!!

たくさんの自転車仲間や選手の皆さんに声をかけていただきました!!

元気な姿を見せれて本当によかったと感じました(^-^)v

みなさんありがとうございました

~わずかですが撮影した写真は明日アップしま~~す!!

充実した一日でした☆

◆5月16日

通勤Ride往路34km完了♪

これから梅雨入りまでの間は、束の間のサイクリング快適季節ですね~

気持ちいい(^-^)v

◆5月26日

昨日の片山合宿の疲れをとるためのリカバリーRideではなくウォーキングに愛犬を連れて裏山トレイルへ‼

どこも痛くもなく疲れもない♪

今日も走れそうな感じ~復活は本物かも‼

で、今週はハードな一週間‼

仕事モードへ頭を切り替えつつ今週末のJ1富士見パノラマ大会の応援に、すでに心は飛んでいる(笑) (写真4枚)

◆6月20日

ちょうど半年前の昨年12月20日に、この病院で7時間に及ぶ心臓の手術をした。

術後半年の診察に来ている。

そんな手術をしたことさえ忘れてしまいそうな体調の良さ!!

自転車も絶好調!!

通勤で自転車に乗っている時に、去年の今頃と比較する自分がいる。

心拍数、速度、息づかい•••何をとっても全てが上回る自分がいる。

まだ踏める!!

この坂、まだ速く上れる!!

まだ心拍上げれる!!

去年が嘘のようだ。

去年を上回るどころか5年以上前の自分の本来の走りが出来そうな予感•••

嬉しい!!素直に嬉しい!!

大好きな自転車を何も心配することなく楽しめるし、それを私の心臓が許してくれる!!

今の医学、医療は目覚ましい進歩を遂げ、その歩み速度を止めることはない。

その医療と共に進歩し続ける素晴らしいDr. がいる。

そしてそのDr. を支える医療関係者がいる。

看護師、検査技師、レントゲン技師•••その他にも事務員を含め、私の治療に関わってくれた全ての人に感謝です(^-^)v

そんな中に私の職業でもある薬剤師も含まれる!!

私も医療人として自分と同じように感じてくれる人の役に立てれば、いやそうなれるように今後も努力したいと自分が経験したことで強く思うようになった。

今回のことで病気以外のこともたくさん勉強できた気がする。

この経験をこれからの人生に生かしていければと、術後半年の診察を待ちながら思う~

◆6月30日

心臓の修理したら予想以上にリカンベントの調子がいいので、しばらくはコイツが通勤の相棒♪

MTB大好き人間らしく随所にMTB パーツを流用してます!!リカツウride往路任務完了~

おはようございます(^-^)v

◆7月30日 ·

診察終了♪

心臓の機能、弁の機能問題なくOKでしたが、最近何故か尿酸値が高め~

ビールも昨年に比べたら1/10くらいしか飲んでないし、塩分制限で大好物のタラコ封印し、イクラなど魚卵もたべてないし干物もほとんど食べない•••プリン体摂取していないのにね??

まあ、体調は絶好調だから薬屋らしく薬で下げます♪

再び自転車レースを走れる体、心臓に戻してくださった 米田 正始先生、本当にありがとうございました!!

感謝の気持ちで一杯です♪ — 場所: 高の原中央病院


◆12月20日

 

早 いですね~もう一年経ちました!

昨年の今日、12月20日に心臓大動脈弁置換手術を受けました。

一年後の今日、こんな元気な自分を全く想像できませんでし た。

自分でネットで探した心臓手術の名医に自分でメールして病状を伝え、診察を経てオペをしていただいた•••自分で病院を医師を捜し、選び100%自分 で納得して、大袈裟ですが命を預け、結果自分の選んだ道が正解だったことを、現在の私自身の身体が証明しています!!

私の治療に、全力を尽くしてくださった全ての医療関係者、最愛の家族そして色々な形で私に力をくれたFB仲間のみなさん、応援、激励してくれた全てのかたに、改めて心から感謝します。本当に、ありがとうございました。

醜いヌードゴメンナサイ•••たった、これだけの手術痕しか残ってません。

真正面から見るとほとんどわかりません。

こんな素晴らしい手術をしてくれた米田 正始先生ありがとうございました♪

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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