お便り103: 僧帽弁形成術を肺を守るためのミックスで

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僧帽弁形成術MICS手術とも進化を続けています。

かつて弁形成が不確実だった時代には肺が悪い患者さんには最初から決め打ちで僧帽弁置換術を行ったものですが、エキスパートがいる病院ではほとんどの場合、形成 IMG_1685bを確実に仕上げることで患者さんの予後を良くできるようになりました。

ただしこれはあくまでも経験豊富なエキスパートとそのチームの話です。

下記の患者さんは70代というややご高齢で、かつ肺が弱いという状況がありました。そこで肺に影響を与えず、しかも術後の肺リハビリがやりやすい、胸骨下部部分切開という方法(MICSミックスのひとつです)をもちいました。

これなら胸骨の上半分は残すため安定性が良く、術後の痛みが減り、深呼吸や歩行練習その他肺のリハビリもうまく進みやすいからです。

僧帽弁形成術はうまく決まり、お元気に退院して行かれました。

その後、私は名古屋を去り郷里の奈良に高の原中央病院かんさいハートセンターを立ち上げました。

以下はその際のお手紙です。

患者さんにはこれからもお元気で楽しく活発に生活していただければうれしいことです。機会があれば奈良へもお出かけ下さい。


****** 患者さんからのお便り *****

御免下さいませ。

米田先生院長就任おめでとうございます。


米田先生には大変お世話になりまして厚くお礼申し上げます。一月に手術をしてその後順調に回復して六月の深谷先生の検診では完璧ですよって。ほんとうに嬉しかったです。

米田先生のおかげです。名古屋ハートセンターで手術して本当に良かったです。

深谷先生の診察を終えたあと、米田先生がお会いして下さり、一言一言がとてもはげみになり、ありがたかったです。

お顔が見えないとさみしい限りです。

手術前は階段を登ると十段目ぐらいでハァーハァー今は平気でかけ登る事が出来ます。うれしくて、うれしくて、やさしいお顔が頭からはなれません。最高の先生です。

又、何かお世話になる事がありましたらその時はよろしくお願い致します。

私も今後も絆を大切にできれば幸いです。
ありがとうございました。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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事例: 交連部の僧帽弁形成術 2

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患者さんは40代男性で僧帽弁閉鎖不全症心房細動のため弁形成術不整脈手術を求めて遠方からお越し下さいました。

お仕事の都合でイギリス在住でした。イギリスは心臓外科先進国ですが、その在住エリアの中心的病院で人工弁による僧帽弁置換術しかないと言われてはるばる私の外来へ来られました。

調べますと後交連部を中心とした比較的広い範囲の僧帽弁逸脱と逆流でした。

私にとってはいつもの手術ですので95%以上は形成可能と判断し、あわせて私たちのメイズ手術は単なる肺静脈隔離(PV isolation)より成績が格段に良いためこれも行うことになりました。

図6サマリーPCとA3逸脱術中、まず弁を調べますと、後尖交連部のPCと呼ばれる部分が腱索断裂し瘤化して完全に逸脱していました。

となりの後尖右側のP3と呼ばれるところは低形成かつ逸脱し、

さらに前尖の右側部分であるA3も逸脱し、逆流ジェットが当たっていたためか肥厚していました(写真右)。

前尖も弁輪もかなり大きく、余裕があったため

シンプルで 図10弁輪再建ののち弁尖再建中長期の安定性が証明されている四角切除を行うことにしました。

弁として作動できない部分を四角に切除し弁輪を少し整えたあと前後の弁尖を再建しました(写真左)。

逆流試図16最終逆流試験OK験にて結果良好でしたので

リング30mmを縫着しました。余裕あるサイズでした(写真右)。

インクテストでも十分な弁尖のかみ合わせが確認でき(写真左下)、

図17インクテストもOK長期間安定しやすい形ができていました。

写真の青いところが特殊インクで染まった部分で、白いところが弁尖のかみ合わせ部分となります。

なおこのインクは無害でまもなく消滅します。

リングの糸をくくる前に冷凍凝固法にてメイズ手術を施行しました(写真右下)。図14クライオメイズ

お若いご年齢を考慮し、極力再発しないように冠静脈洞の外側からもブロックラインを造りました。

写真左下がそのときのものです。心臓の外側にも不整脈の原因があるためこれを丁寧に治します。

心拍動下に 右房のメイズも行いました。

図15冠静脈洞にもクライオ術後の経食エコーにて僧帽弁、三尖弁とも良好であることを確認しました。

心房ペーシングが良く効き、心房細動が治ったことをも確認しました。

術後経過は順調で約10日で退院され、しばし郷里で体調を整えてからイギリスへ戻られました。

術後の定期検診でも弁、リズム、心機能とも正常で、仕事にも精出しておられ、うれしい限りです。もちろん利尿剤も不整脈のお薬もワーファリンもなしで行けています。

すでに心臓手術から4年以上が経ちます。この弁はおそらく一生お役に立ち続けるものと考えます。また定期検診でお会いしましょう。

 

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事例: 交連部の僧帽弁形成術 1

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患者さんは40代の医師で僧帽弁閉鎖不全症のため北海道からお越し下さいました。仕事熱心な先生でなるべく短期間で健康な生活に戻りたいというご希望で来院されました。

やや複雑な逸脱のため地元では僧帽弁形成術ができるかどうか??ということではるばるハートセンターを選んでくださったようです。図1弁チェックA3PC


お若く体力もあるためか当初、比較的症状は軽かったのですが
、発作性心房細動を外来で起こされ、心臓手術を何年も先ではなく今やろうと決意されました。 

図2弁チェックP3術中、僧帽弁を見ますと術前のエコー予想どおり、後交連部の逸脱でした。(写真右上)

なかでも前尖A3つまり向かって右側の太い腱索が断裂しており、A2つまり前尖中ほども逸脱、PCつまり後交連部も逸脱していました。

A2-3とPCだけでなく後尖P3つまり後尖右側も軽度逸脱(写真左上)していたため、これらをすべて良い形にすることが長期の安定につながると判断しました。図3A3へのGT

そこでA3に4本人工腱索を立て、PCとバランスをとることでこれを守り(写真右)、

 

かつA2にも人工腱索を立てて正常化を図りました(写真左下)。

ここで生理食塩水を左室内へ注入し僧帽弁がきれいにか 図4A2へのGTみ合い、逆流がないことを確認しました。

リングをもちいて弁輪形成し、

念のため逆流試験で良い結果を確認(写真右下)し、

ピオクタニン色素で深いかみ合わせができていることも確認しまし 図5逆流試験OKた。

術前に発作性心房細動を何度か繰り返しておられたため、両心房メイズで心房細動を根治し、

後顧の憂いなく仕事に集中していただけるようにしました(写真左下)。

図7左房メイズ術後経過は順調で10日あまりで元気に退院されました。

その後も外来でお元気なお姿を拝見するにつれうれしさがこみあげてきます。

あれから4年、ますますのご健勝とご活躍をお祈りいたします。

 

健康人と見分けがつかないほどの良い治り方は弁形成術ならではの利点です。複雑弁形成が必要なため人工弁による僧帽弁置換術になるかも、と言われた患者さんはセカンドオピニオンをもらって本当に僧帽弁形成術ができないかどうか、確認されることを勧めます。

それともう一点、現在ではこうした心臓手術ポートアクセス法などのMICSでできるようになっています。多数の経験をもつ専門施設に限られますが、こうしたことを検討するのも大切です。

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執筆:米田 正始
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事例:リウマチ性僧帽弁閉鎖不全症への弁形成術

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弁膜症の中でリウマチ性は今なお少なくない病気です。

ご高齢の患者さんでは若いころにリウマチ熱にかかり、知らない間に治って、その際に弁が軽く壊れて、その後何十年の間に悪化するというパタンもありますし、地方ではまだ健診態勢が不十分なため見逃されることもあり、決して油断してはならない病気です。

患者さんは40代半ばの女性です。沖縄から来て下さいました。

若いころにリウマチ熱の既往があります。

来院時は階段2階までは登れるもののそれ以上では息切れがしました。ときに下肢がむくむとのこと。

夜枕が低いときに息苦しくなり座ると楽になる、いわゆる起座呼吸が見られました。

心エコー図にて高度の僧帽弁閉鎖不全症と中等度の僧帽弁狭窄症がみとめられました。

僧帽弁は拡張期にドーム状の形を呈して開放制限があり、リウマチ性弁膜症の所見でした。

まだお若いご年齢からぜひ僧帽弁置換術ではなく 図1交連切開僧帽弁形成術を受けたいと希望して米田正始の外来へ来られました。

手術ではまず僧帽弁のヒンジの部分が癒合していて開かなくなっていたため、交連切開しました。右写真はその作業中のものです。

図2交連切開後これで少し開きやすくなりました。

しかし後尖が硬くてあまり動きません(左写真)。弁として機能しないため、ここへ自己心膜パッチで十分なサイズになるように形成しました(右下写真)。

さらに後尖を支え 図5自己心膜でPML拡大る腱索という糸のような組織が硬く短くなっていたため、これらを切除しました。

後尖はかなり動くようになりましたので、

ここで弁形成用のリングを縫い付けました(左下写真)。

図⒏仕上がり逆流試験をしますと、後尖の起き上がりがまだ不足しているため、硬い弁下組織をさらに切除し、徹底して弁機能を回復するようにしました。

その結果、後尖がきれいに起きて弁が正常に作動するようになりました。

ピオクタニン 図9インク試験で良い結果色素をもちいたインクテストでも僧帽弁は十分なかみ合わせを持つことが示されました(右写真)。

術後経過は順調で術後10日目に元気に退院されました。

その後沖縄にて仕事を含めて普通に生活をしておられましたが、一度、感染性心内膜炎にかかられ、近くの病院で薬による治療を受け、全快されました。

術後1年経った外来でのエコー結果は良好でした。ごく軽い僧帽弁閉鎖不全症と同じく軽い狭窄症を認めますが、問題ない程度で、心機能も良好で左房の拡張も軽快していました。元気に暮らしておられます。

感染性心内膜炎は虫歯やけがなどでばい菌が体内に入ると起こることがあり、人工弁の場合はかなり治りにくいのですが、弁形成のあとなら人工弁の場合よりはかなり治しやすいことが知られています。

こうした意味でも弁形成ができて良かったと言えましょう。もちろんワーファリンは無しで行けますし。しかし今後のために感染の徹底予防策をさらにお話しし、安全を確保するようにしています。

学生時代に沖縄県立中部病院や沖縄徳洲会病院などで実習させていただき、沖縄好きの私としてはこうした形ででもお役に立ててうれしく思っています。

 

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心臓再手術は何回までできるの?【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月28日

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◾️心臓再手術の回数の限界は

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これはその患者さんの体力や心機能、おかれている状況によっても異なります。

私自身の経験は6回目までで、心臓手術そのもIlm17_bc03011-sのは十分できます。

そもそも再手術の難しさとは次の諸点が考えられます。その難しさは再手術の回数に比例して増えるという印象があり、しっかりと取り組むことが大切です。

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◾️心臓再手術の問題点

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1.心臓や大動脈が胸骨や肺と癒着していて、そこをはがすときに出血する恐れがある。さらに術後にじわじわと出血が続くことがあり得る。

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2.以前の心臓手術のためと、初回手術より長い病悩期間のため心機能や全身のちからが低下しているかも知れない。年齢も一回目より高いことが多い

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3.以前の手術で切除した組織があると、その組織欠損が再手術の障害になることがある

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などですね。いずれも多数回再手術では大きな問題になりがちです。

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◾️それら問題への対策は

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1.に対 6629578しては高い剥離技術でかなり対処できます。胸骨正中切開はピタリのところで骨だけを切ることが大切です。それにはソー(のこぎり)の特殊な使い方が役立ちます。

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剥離についてはかつては電気メスとはさみで行いましたが、現在はそれにハーモニックメス(微振動で熱を出して切るメス)が加わり、術後の出血も抑えやすくなりました。これも正しい表面で剥離する技術が大切で、組織をできるだけ傷めないことが術後の出血を減らすことにつながるのです。

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しかし大動脈が胸骨に食い込んでいるようなケースでは、その胸骨をのこぎりで切る操作じたいは昔と同じなので相応の工夫が必要です。十分工夫はできるのですが、そのために体外循環時間が延びる場合は2.の体力の問題が発生するため、多角的に考えて対処する必要があります

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2.については、ポイントを押さえて効果的かつコンパクトな、したがって短時間に仕上げる心臓手術が良いでしょう。止血には時間をかけても良いのですが、心臓を止める時間や体外循環時間はできるだけ短くしたいものです。

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3.は手術手技の工夫で対処します。組織欠損があまりにも大きいのはやや不利ですが。

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◾️総じて

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こうした努力と工Ilm18_ab01042-s夫の積み重ねで再手術は6回目といえども可能です。なお前回の手術を私たち自身が行っている場合の再手術はそれだけ楽で安全性が高くなります。というのは将来の手術を考えて、心臓や大動脈が骨や肺などと癒着しないように、心臓と周囲組織の間にバリアーを作るなど十分な配慮をするからです。再手術はじつは前回手術から始まっているわけです。患者さんの遠い将来まで見据える手術、これが安全性の向上に役立つと信じます。

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ともあれ誰も好んで再手術などしたくはないのですが(初回手術のほうがよほど楽です)、それしか患者さんの救命の道がないというときにはぜひともやらねばなりません。

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これまでに3回目から5回目の再手術をも多数行っています。現在の医誠会病院でも同じポリシーで頑張っています。元気に退院して行かれる患者さんのお顔を拝見し、喜びもひとしおです。

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第4回ハートバルブカンファランス

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恒例のハートバルブカンファランス(心臓弁膜症のユニークな研究会)が今年は大阪で行われました。当番世話人(会長)は大阪大学の中谷敏教授でした。

例年熱く楽しい、ときには厳しい議論に花が咲く研究会ですが、ことしは中谷先生のご尽力でいっそう盛り上がる内容となりました。参加者も年々増える中、記録となる300人に達しました。

IMG_0204bオープンしてまだ新しいグランフロント大阪のナレッジキャピタルが会場で、便利でした。

まず大動脈弁狭窄症(略称 AS)の治療の最先端が論じられました。

東京慈恵会医科大学の橋本和弘先生が外科のAVR(大動脈弁置換術)の観点から、大阪大学の倉谷徹先生が低侵襲治療の観点からTAVI(カテーテルで埋め込む人工弁)の現況を講演されました。

私は自分の発表を前にしてパソコンが壊れたためその修理に忙殺され、部分的にしか聴けませんでしたが、倉谷先生の「日本人の大動脈基部の構造は欧米人とはちがう」というのが大変印象的でした。例えばバルサルバ洞が狭く、冠動脈入口部の弁輪からの距離が短いとなると、TAVIの際に冠動脈入口部をふさいでしまう恐れが増え、それへの対策がよりしっかりと求められます。欧米のEBM(証拠にもとづく医学医療、またそのデータ)は極めて重要かつ有用ですが、こうした人種差を考慮してベストの医療をこの国で行うことは極めて意義あることと思いました。

それからTAVIではPPMつまり患者さんのサイズや必要度に対して弁が小さすぎるという現象はあまりないという議論も面白いと思いました。軽い狭窄を残しても治療前より明らかに良ければ、患者さんにとって益する治療法ということになれば、より多くの患者さんのお役に立てるでしょう。

大阪大学の前田孝一先生と慶応大学の林田健太郎先生のエキスパートコメントも有用でした。前田先生が報告されたポンプ(人工心肺)下のTAVIは低心機能の患者さんでは有用で、これから心臓外科が循環器内科とハートチームで治療に当たるときにいざというときの切り札のひとつになると感じました。心臓外科と内科が普通のAVR、短時間で植え込める sutureless弁でのAVR、そしてオンポンプTAVI、最後にTAVIというラインナップの中で患者さんに一番適したものを選ぶ、これは治療成績が上がると思います。

林田先生は世界の現況も解説されました。ドイツではすでにTAVIを12万例もやっており、大動脈弁手術の43%を占める、これから二尖弁にもTAVIを検討する、血液透析も視野に入れるなどをお話しされました。TAVIの後もII度の大動脈弁閉鎖不全症を残すと予後が悪化つまり長く生きられなくなるため注意が必要です。

その他、サピエン弁は僧帽弁のバルブインバルブに使えること、コアバルブ弁は小さいサイズの生体弁へのバルブインバルブに適していること、冠動脈狭窄に対するOPCABとTransAortic TAVIつまり上行大動脈ごしにTAVIを入れる手術などもお話しされました。大変参考になりました。

ドイツなどではTAVIの出現後も外科のAVRは減ることなく、TAVIだけが増えるという現象が続いており、つまりTAVIは心臓手術を受けられない患者さんを助けるのに役立っていることを示され、これは以前からヨーロッパの報告で知ってはいたものの、現在も同じであることがわかり、興味深く拝聴しました。

引き続いて高度の左室機能不全つまり心不全にともなう中等度の機能性僧帽弁閉鎖不全症の治療のセッションがありました。

まず大阪大学循環器内科の坂田泰史教授が内科の立場から講演をされました。運動負荷試験とくに運動負荷エコーの有用性を示され、さらに左室の直径(Dd)65mm以上か左室収縮末期容積係数LVESVIが150cc以上が予後不良との中間解析結果を報告されました。私も比較的近いラインをこれまで発表しており、納得できました。さらに右室のDdや右房圧が予後に影響することを示され、これはいっそう同感しました。左心不全は補助人工心臓まで行かずともさまざまな工夫ができますが、右心不全の治療は打てる手がやや少なく、大きなブレイクスルーが必要と常々感じていたため、心強い仲間を得た感がありました。心拍数が心臓の予備力を反映するかも知れないという御意見も検討の価値があると思いました。

私・米田正始はこれまで進めてきた乳頭筋最適化手術(略称PHO)による僧帽弁形成術の最近の成績をご披露いたしました。

これまでこうした心機能の悪い患者さんへの僧帽弁形成術はあまり寿命を延ばさないという報告が多かったのですが、私たちの新しい術式(PHOによる僧帽弁形成術)では5年経っても心不全で死亡するひとが10%と、従来より成績が良いため今後さらに検討して行きたい旨をお話ししました。

このハートバルブカンファランスは症例検討中心の会ですので、心に残る一例をご披露しました。昨年末の日本冠疾患学会でも発表した症例で恐縮ですが、これがこのPHO手術の意義がいちばん判りやすいためご披露しました。

なにしろ、80歳近いご高齢で7年前に左室形成術(バチスタ手術と同タイプの手術です)と僧帽弁形成術を行った重症例でしたが、術後お元気でしたが7年後に大動脈弁閉鎖不全症を発症して僧帽弁閉鎖不全症を合併するに至り、危険な状態になって私のところに戻ってこられたのです。通常なら2弁置換をするか、1弁置換+薬治療で不完全治療で苦労するとことですが、私たちの方法で1弁手術の負担で3弁とも治し、わずか1日で集中治療室を退室されたのは、この手術の良さを示すものと思います。

川副浩平先生や新田隆先生、夜久均先生はじめ多数の方々から貴重なご質問やコメントをいただき、感謝するとともに充実感をもてたひとときでした。

ランチョンセミナーは聖マリアンナ医科大学の鈴木健吾先生の弁膜症における運動負荷エコーの重要性で、大変役立つ、面白い内容でした。鈴木先生は運動負荷エコーはこれまでのドブタミン負荷エコーと比べて血圧や心拍数の増加だけでなく全身の筋肉ポンプからの静脈還流増加も加わりより本物の、生理的な負荷であることを強調されました。運動負荷の終了基準の大切さや、運動で誘発される機能性僧帽弁閉鎖不全症の予後が悪いこと、CPXの有用性、とくにMRの量が15%を超えるといけないこと、大動脈弁膜症などでも手術前にこうして心臓の予備能を知っておくと役立つこと、運動負荷をかける時のエコーの画質の維持、などなど大変ためになりました。

午後のセッションは弁膜症症例を若手中堅の先生ががんばって苦労して乗り切ったケースを発表され、それに対してベテランが辛口の評価をするという面白いものでした。

聖路加国際病院の阿部恒平先生、慶応義塾大学の岡本一真先生、大阪大学の西宏之先生がそれぞれ含蓄ある弁形成手術症例を提示され、みどり病院の岡田行功先生、榊原記念病院の高梨秀一郎先生、さらに会場のベテランからさまざまな意見が寄せられました。こうした冷や汗症例を提示された若手中堅の先生方に敬意を表するとともに、皆で良いものを創るという方向のワークショップ的なディスカッションの場を企画された中谷先生に世話人のひとりとして御礼申し上げます。

最後のセッションでは同様の苦労症例を内科の立場から提示されました。川崎医科大学の林田晃寛先生、東京大学の大門雅夫先生、小倉記念病院の有田武史先生のいずれの症例も示唆に富むものでした。

女性の透析症例では圧回復現象が起こりやすくASの評価に注意を要すること、心房細動のときには先行RR間隔で計測値を補正する必要があること、PPM(人工弁のサイズが患者の必要に合わないこと)は生存率だけでなくQOLつまり生活の質も考慮すべきこと、巨大左房のAFで弁形成より弁置換すべきかどうか、高度のTRをどうするか、などなど有用な情報が山盛りでした。

なお巨大左房では私たちがこの10年間ちからを入れて来た心房縮小メイズ手術で除細動率が上がり、かつ左房内の血流がスムースになり血栓ができにくくなるため、この手術を取り入れれば今後の治療戦略も変わることを提案したかったのですが、その機会がありませんでした。

高度のTRつまり三尖弁閉鎖不全症では患者さんはたとえ生きておられても下肢が腫れ、体も動かしづらく、見ていて気の毒な状態の方が多いため、もっと積極的に手術を進めるべきであるという意見が多くありました。

世の中では、たかが三尖弁のために大きな創で手術するのは気が引ける、それと三尖弁置換術の長期成績が悪いため三尖弁形成術がやりづらいケースでは何もしない、などの考えが今も多くあると思います。そこで僭越ながら以下を意見させて戴きました。まず現代はポートアクセス法などで小さい創で三尖弁を治せること、そしてもし三尖弁形成術弁が不適である場合、生体弁で三尖弁置換術をやっておけば、将来TAVIでValve in Valveができることをお話ししました。

多くの活発な発表と討論で勉強になったカンファランスは無事お開きとなりました。懇親会でもまだ話が尽きないという印象でした。中谷先生、川副先生、世話人の先生方、ご苦労様でした。

来年度の当番世話人は誰になるのかと思っていたところ、代表世話人の川副浩平先生から私にご指名があり、来年度の当番をさせていただくことになりました。

これまでの同様、あるいはそれ以上に皆さんが楽しめる、勉強できる、普通の学会とは少しちがう良さのある会にしたく存じます。皆さんよろしくお願い申し上げます。

平成26年3月10日

米田正始 拝

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Mクリップ 【2025年最新版】

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最終更新日 2025年1月1日

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◾️Mクリップとは?

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これは僧帽弁形成術用のクリップです。心臓カテーテルの先端に取り付けて、前尖と後尖をこのクリップでうまく挟み込めば弁の逆流が減るというものです。カテーテルでできる僧帽弁形成術として注目されています。以下もう少しご説明します。

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◾️Mクリップのルーツはアルフィエリ法

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僧帽弁は前尖と後尖が開いたり閉じたりして血液を前向きに流し、逆流を止めるようにできていますが、前尖か後尖のどちらかまたは両方が閉じなくなれば逆流が発生します。

その修理法として心アルフィエリ法の僧帽弁形成術臓手術ではさまざまな方法がありますが、そのひとつに前尖と後尖をつなぎ合わせて逆流を減らすAlfieri法(アルフィエリ法)というのがあります。

イタリアのAlfieri先生が考案された方法で、私も時に活用させて戴いています。Alfieri先生が大変親切で立派な先生ということもあり私はこの方法の良い点を伸ばしていければと考えています。

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しかしこの方法は前尖と後尖をつなぐため、どうしても弁の開き具合は低下し、状況によっては弁が狭くなる、いわゆる僧帽弁狭窄症になる恐れがあります。たとえば弁がある程度以上硬いとか、弁輪が小さいとか、患者さんが運動するときなどですね。

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◾️アルフィエリ法の限界はMクリップの限界

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Mクリップはこのアルフィエリ法を縫合糸ではなくクリップで行うもので、そのクリップはカテーテルで心臓まで運びます。通常下腿などの静脈から右房そして心房中隔を突きslide003破って僧帽弁に達して行います。

私のアルフィエリ法の経験では、僧帽弁閉鎖不全症はアルフィエリでそう簡単に治せない、単に逆流の口を潰すだけでは他のところから逆流が発生して根治できないと思います。

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なのでこの方法は他の形成法をさまざま駆使してなお逆流が残りそうな場合の救命手段と位置付けています。

良い結果が出ても通常の修復と比べてあまり長持ちしない傾向が報告されています。特に弁輪形成を併用しない場合の効果は弱いことが知られています。多くの経験ある心臓外科医も同様の見解の方が多いです。

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Nurse_man_ideaつまりMクリップはあまり効かない、ましてカテーテル+エコー+レントゲンの透視という肉眼と比べてあまり見えない方法ではどうしてもめくら打ちになるため一層不確実と思います。

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◾️しかしMクリップにも長所が

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しかし同時に、Mクリップはカテーテルで行うため、胸を切る必要もなく、人工心肺も要りません。体の負担は心臓手術よりもはるかに小さいため、うまく対象を選びうまく使えば患者さんに益するものになるかも知れません。とくに手術が無理と言われるような高齢者や病気持ち、重症の方々には朗報になるかも知れません。

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そうした中で欧米で行われた最初の大規模臨床試験が次のエベレストIIトライアルでした。

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◾️EVEREST II トライアル

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中等度から高度の僧帽弁閉鎖不全症を持っている279人の患者さんをMクリップと僧帽弁形成術の2つに分けて治療した。

治療の主目的は死亡の回避率、その後の僧帽弁手術の回避率、そして12か月後の3度ー4度の僧帽弁閉鎖不全症からの回避率でした。安全の目標は治療後30日以内の合併症でした。その結果、

Mクリップでは12か月後の効果は僧帽弁形成術より劣る(55%対73%)。

死亡率はどちらも6%ほどで差が無い。

12か月後の遺残MRが中等度以上になるのはMクリップでは46%もあるが僧帽弁形成術では17%にとどまった。

治療12か月後、症状の改善、生活の質QOL、左室のサイズはどちらの群でも術前より改善していた

治療30日後の主な合併症は15%対48%でMクリップの方が少なかった。

治療4年後のフォローアップでMクリップは僧帽弁形成術より効果が低かった(40%対53%)が、死亡率は17%対18%で差はなかった。高度なMRは22%対25%で差がなかった。

すなわち、Mクリップは僧帽弁閉鎖不全症を治す効果ではやや劣るものであった。

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◾️EVEREST IIトライアルの問題点

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このように当時としては有望な結果を出した Nurse02_angryEVEREST IIトライアルのMクリップでしたが、いくつか不満があります。

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たとえば合併症で2単位以上の輸血があればメジャーな合併症とカウントされているのは、現代の輸血事情(一本の輸血で肝炎に感染する確率は10数万分の1)から本当にメジャーな合併症と言えるのかという疑問、

そして3度以上の残存MRが大変多く、これは生命予後に大きく影響するのにMクリップの患者はその後心臓手術を受けたおかげで死亡していないのは不公平な比較ではないか、

僧帽弁形成術群の16%が手術を受けていないのにカウントされている(つまり僧帽弁形成術群の成績は本当はもっと良い)、などなどです。

そもそもここで言う僧帽弁形成術とは単純な弁輪形成術という、私たちの方法より明らかに劣った方法で、外科に不利な条件での臨床試験と言えますし。

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◼️COAPTトライアルとMITRA-FRトライアル

2018-2019年にかけてMクリップの臨床試験の新たなデータが発表されました。
ひとつはアメリカを中心としたCOAPT、もう一つはヨーロッパを中心としたMITRA-FRでした。

COAPT試験の主要な成績:

  • 2年目の心不全による入院率は、薬物療法のみと比較して、MitraClipと薬物療法の併用では統計学的有意な減少が認められた(1年あたり67.9% vs 35.8%; p<0.001)。
  • 2年目の全死因死亡率は、対照群の46.1%と比較して、MitraClip群では29.1%と低率であった(p<0.001)。
  • 1年目の機器関連合併症回避率は96.6%であり、主要安全性エンドポイントの性能目標を上回った(p<0.001)。
  • MR重症度およびNYHA心機能クラスの有意な改善がMitraClip群で認められた。1年目のMR重症度が2+未満の患者割合はMitraClip群で94.8%、対照群で46.9%であった(p<0.001)。1年目のNYHA心機能クラスがIまたはIIの患者割合はMitraClip群で72.2%、対照群で49.6%であった(p<0.001)。
  • 1年目のKCCQ質問票によるQOLスコアに基づく患者が自覚する健康状態および機能的能力が、MitraClip群において大幅に改善した。
  • MitraClipによる治療の結果、死亡あるいは心不全による初回入院率の複合イベント発生率が43.0%減少した。

MITRA-FR試験の主要な成績

  •  総死亡と心不全入院率はMitraClip群で63.8%、対照群で65.45%で有意差はなかった
  •  総死亡ではMitraClip群で23.1%、対照群で22.8%で有意差なし
  •  心臓死はMitraClip群で20.5%、対照群で21.2%と有意差なし
  •  心不全入院率はMitralClip群55.9%、対照群62.3%、HR0.97で有意差なし
  •  MACEではMitralClip群66.4%、対照群65.4%でHR1.05有意差なし

このように2つの大きな臨床試験でMitraClipの効果の有無が真っ二つに割れるという結果でした。

内容を吟味すると、MitraClipの患者さんたちは1。比較的MRが軽く、2。左室機能は良い、より軽症例であったことがわかりました。MitraClipの患者さんのうち、比較的MRが重く左室機能が悪いケースで調べてみるとMITRA-FRと同じ結果つまりMクリップの効果はない、という結果が出ました。この2つの臨床試験の結果は食い違ってはいなかったのです。

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◾️正しい評価で正しい治療法を!

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最新の大規模臨床試験の結果から、機能性僧帽弁閉鎖不全症の治療では弁逆流が強く心機能が比較的保たれている軽症例(というより普通の弁膜症に近いケース)にはMitraClipが、その一方、心機能が悪い患者さんではMitraClip以外の治療法を考えるのが良さそうです.

こうしたことから私たちが進めてきた外科治療はMitraClipに適しない患者さんやMitraClipでうまく行かなかった患者さんたちのお役に立てる可能性があると言えるでしょう。

しかし循環器内科の先生方のディスカッションをお聴きしていると、COAPTとMITRA-FRの結果の差は前者が循環器専門医がしっかりと管理をし、後者はGP(一般医)がラフに管理をしたため、と言われます。話が歪められているのを感じます。Mクリップの2大トライアルの結果の差異に対する見解が内科と外科でこれほど違うのであれば、今後の機能性MRに対する治療での議論の余地がほとんどないことを感じます。つまり重症の機能性MRに対してMクリップを優先的に使い、その結果が悪くても仕方がない、と片付けられてしまうのが今後も続くということでしょうか。

しかもCOAPTトライアルには、より軽症の心房性機能性MRが含まれていることが2024年に発覚しました。これではMクリップの成績が悪くないというのもうなづける話で、真実が解明されるのを祈っています。加えてこのトライアルのスポンサーはアボット社(Mクリップを製造)でこれについても疑問が投げかけられています。

循環器内科の先生からのご意見を頂けましたら幸いです。

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◼️メモ: エリザベス・テイラーさんのお話: 20世紀を代表する大女優と言われるテイラーさんはこのMクリップの治療を受けておられました。残念ながらあまり長くは生きられませんでした。その紹介記事とコメントです。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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ポートアクセス法による大動脈弁形成術 【2022年最新版】

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最終更新日 2022年2月4日

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◾️大動脈弁形成術のメリット

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大動脈弁形成術は若い患者さんたちにとって大きなメリットがあります。

IMG_1808bというのは手術のあと、ワーファリンが不要ですし、生体弁よりも長持ちするからです。

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生体弁は70代なら20年近く持ちますが、10代なら10年も持たず、弁形成術に大きな有利さがあります。自己心膜による弁再建も10年を超えるようなデータの蓄積がなく、現時点では主流にはなり得ない状態です。

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◾️ミックス(ポートアクセス)での大動脈弁形成術

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しかし若い患者さんたちは将来があるため、なるべく創が小さく、痛みが少なく、仕事復帰も早いポートアクセス手術を希望されるものです。そこで僧帽弁形成術に対してはポートアクセスのミックス(小切開低侵襲手術)を積極的に活用し実績を上げて来ました。

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経験の蓄積により、大動脈弁形成術とポートアクセス法は必然的に合体することになり、この10年ほどは積極的に行うようになりました。患者さんの笑顔が二倍になると言ったらちょっと言い過ぎでしょうか。しかし大変喜んで戴いています。女性患者さんはもちろんのこと、男性患者さんの評判も上々です。

ちいさい傷跡のおかげで、心の傷跡も小さい、そう感じます。

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写真右上はポートアクセス法での大動脈弁形成術 後の創です。もちろん骨はまったく切っていません。真夏の日焼けのあとがどこか楽しそうですね。

当初は30代までの若者を中心にこの方法を使って参りましたが、ノウハウの蓄積で現在は70代ぐらいまでの患者さんにも適宜活用しています。

ただし大動脈の硬化が強い方や、弁尖の破壊が進み弁形成が複雑な場合など安全に懸念がある場合はポートアクセスより一段通常切開に近い方法などを選ぶことがあります。やはり安全第一の原則は最重要ですから。

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◾️大動脈弁形成術のやり方は同じです

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ポートアクセス法で、、といっても大動脈弁形成術のやり方は同じです。

Effective Height2弁尖つまりひらひらと開閉する部分が垂れ下がっていればそれを正しい高さに調整し、

弁輪つまり弁の付け根の部分が拡張しておればこれを適正なサイズに直す、

もちろん弁尖に穴があくなどしておればそれは心膜パッチなどで修復する、

いずれもこれまでの大動脈弁形成術を踏まえた、正統派の方法です。

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この道の権威、ドイツのシェーファーズ先生の方法を活用して右図のような計測を行い、できるだけかみ合わせが深く、安定度が良いように工夫します。

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とくに右図でeH(effective height つまり有効弁尖高)と示す、いわば弁尖の高さをなるべく確保するようにしています。

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さらに二尖弁などで時々見られる弁尖が巻き込んで変化している、いわゆるenrollと呼ばれる状況のときにも、これをもとに戻して弁尖の高さを稼ぐようにしています。

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弁尖そのものの高さ・サイズ、右図でgH (geometric height つまり弁尖そのものの背丈)が不足気味なときには図のAVJやSTJを調整し、その他の方法も適宜駆使して弁尖がしっかりと閉じ、かつ楽に開く、そのように弁を造り上げます。

 

趣味的な職人芸のように聞こえるかも知れませんが、なにしろ若い患者さんの、永い人生を支える弁を造る、つまり患者さんの人生がかかっているわけですから、本気で修復するのが患者さんへの礼儀と心得ています。

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◾️弁形成術が適応にならない場合は

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その一方、大動脈弁形成術が適応とならないような、弁がひどく肥厚硬化し、あるいは短縮や石灰化やちぎれるなどの変化を来した患者さんに対しては

Ilm17_ca07020-s1.自己心膜をもちいた大動脈弁再建(いわゆる尾崎法)か

2.ポートアクセスで生体弁をもちいた大動脈弁置換術を行っています。

もちろん生体弁の場合は将来再手術の必要が生じたらTAVIつまりカテーテルで入れる折りたたみ生体弁で再手術を回避できるように工夫しています。

こうしてさまざまな患者さんの多様なニーズにお応えできるように徐々に進化をしているわけです。

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■読み物

日記:アジア心臓血管胸部外科学会にてーー雑感とともに

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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第7回Mulu弁膜症シンポに参加して

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このアジアを代表する心臓弁膜症のシンポジウムに参加して参りました。弁膜症の患者さんたちや、心臓外科を学んでいる若い先生方の参考になればと印象記をお書きします。

IMG_0068bこの会は世界的に有名なロッキーマウンテン弁膜症シンポジウムのアジア版として10年以上まえに誕生しました。2年に一度、アジアのどこかで開催され、発展してきたものです。

私はひょんなご縁で第3回から講師として参加し、毎回成果をご披露して来ました。

欧米の友人たちとはまた違う、何か親戚のような親しみをアジアの友人たちに覚え、アジアの中で日本ができる貢献を考える場としても有難く、参加して来ました。

今回の第7回シンポはあの世界遺産・アンコールワットを擁するカンボジアで開催されました。以前からカンボジアを推薦して来た私にとっては一段とうれしい会になりました。私がアンコールワットの存在を知ったのは中学時代だったと思いますが、心に強く残るものがありました。栄華を極めたクメール王朝の文化、滅び行く美しいものに是非残って欲しいなどと思ったものです。あの激しかったベトナム戦争がカンボジアに飛び火し人命が失われることのつぎにこのアンコールワットの破壊を心配したものです。

ともあれシンポジウムではアジアや欧米の仲間とともに真面目に勉強にいそしみました。

始めにこのシンポのルーツであるロッキーマウンテンシンポの立役者、Carlos Duran先生の後継者であるMatt Maxwell先生が弁膜症のパイオニアの話をされました。

Duran先生や大御所Carpenter先生はもちろんその土台を創られた先生方を紹介し、偉大な先駆者に共通した点を挙げられました。とくに若い先生方の参考になれば幸いです。

1. Generous teacher & good students 優しい指導者かつ態度の良い学生であれ

2. Strict, skeptical scientists 厳密で懐疑的(何でも疑う)な科学者であれ

3. collaboration with engineers and technitians 技師や技術者と協力せよ

4. longitudital follow-up; clinical & structual 臨床と弁構造のフォローアップを

5. Impassioned & dedicated あふれる情熱と没頭を

これだけそろえば偉くならないほうが不思議です。幾多の困難を乗り越えて来られた先人たちの想いと努力を今一度思いだす機会になりました。

ついで人工弁や僧帽弁形成術用のリングの使い分けを数名の先生方が解説されました。インド・ムンバイ(旧ボンベイ)のPandy先生は僧帽弁形成術の今日的意義と、僧帽弁置換術では将来の再手術を念頭におかねばならないということを、ハノイのSon先生は機械弁の話をされましたが、それ以上に旧北ベトナムも発展していることを知りうれしく思いました。香港の友人Song先生は僧帽弁形成術リングの使い分けをきれいに整理され、参考になりました。

IMG_0043b夜の歓迎パーティでは州知事さんが参加され(写真右)、アジアでは相変わらず心臓外科が社会から大切にされていることを感じました。

弁膜症シンポジウムの2日目は僧帽弁形成術を論じました。

マレーシアIJNのChian先生はエコーの最近の成果と実際を解説され、よいまとめになりました。負荷エコーの有用性をとくに機能性MRなどで示されました。

畏友Calafiore先生(イタリア、現在はサウジアラビア)は僧帽弁形成術の新しい工夫を発表され、私も共感するところがありました。あとで一緒に共同研究しようということで前向きに検討することになりました。お互いいくつになっても新しい優れたものを追求できるというのは幸せなことと思いました。

オーストラリア・ブリスベンのFayers先生はARでの機能性MRや、それへの僧帽弁形成術の際に機能性MSが起こること、さらにMクリップなどの解説をされました。あとで私が同じ領域の現況をお話ししたときに、そんな方法があるとは知らなかった、やってみたいと言って下さり、うれしいことでした。

ベトナムの畏友Phan先生はCarpentier先生の弟子で、すでに世界一のリウマチ性僧帽弁膜症の弁形成の経験をお持ちです。今回はリウマチ性僧帽弁膜症のうちどういうケースがより難しいか、どういうケースが確実に形成できるか、をきれいに整理して話されました。

IMG_0058b不肖私はゴアテックスをもちいる僧帽弁形成術というテーマで、1.ポートアクセス法での複雑僧帽弁形成術でゴアテックス人工腱索を多数立てる方法をご披露し、さらに2.機能性MRで重症例を低い侵襲で救う工夫を発表しました。

シンポジウムの時も、そのあともいろんな方々から、そんな方法があったんですか、私もやってみたい、とか細かいテクニカルな点をご質問いただき、関心を持っていただきうれしく思いました。(右写真、左からGersak先生、私、Maxwell先生、Saw先生です)

オーストラリア・ブリスベンの大先輩Gardner先生は僧帽弁形成術の際におこり得るSAM (僧帽弁前尖が前方にめくれあがること)のメカニズムや対処法をお話しされました。

マレーシアのChian先生は話題のMクリップ(カテーテルでアルフィエリ型の僧帽弁形成術を行う)を報告されました。最近の一部の報告で機能性僧帽弁閉鎖不全症にこのMクリップが良いというのがありましたが、クアラルンプールのIJNという有力施設の経験ではテント化が11mmを超える症例や逸脱が強い症例にもこのクリップは不適ということでした。正直な発表でさすがと感心しました。

引き続いて三尖弁閉鎖不全症のセッションがありました。Calafiore先生は左室駆出率が40%を割る症例では右室拡張が起こりやすくそうなると三尖弁形成術の効果が落ちる、そうなるまでに手術するのが良いとのことで、重要なメッセージと思いました。

私などはそうしたタイミングを逃した患者さんの三尖弁手術をけっこう多数やっており、いざとなれば将来のTAVI(カテーテルで入れる生体弁です)を意識した三尖弁置換術を行うことがありますが、そのTAVIでのvalve-in-valveを三尖弁でうまくやれるということをCalafiore先生から直接聞き、うれしく思いました。今後多数の患者さんたちがこの恩恵を受けることでしょう。

神戸の岡田先生は日本弁膜症学会の重鎮で三尖弁形成術をまとめられました。心房細動、肺高血圧症、右室不全のケースでは小さ目のリングをというメッセージは役に立つと思いました。

IMG_0025b午後の心房細動のセッションでも活発な議論が交わされました。心房細動の期間の長さと左房サイズ(60mm以上)が重要であるということが大分認識されるようになり、かつ心房細動を治すことが患者さんの寿命を延ばすために大切であることが浸透するようになりました。10年近くまえから心房縮小メイズ手術でこの課題を克服して来た私たちとしてはより多くのひとたちにこの方法を知って頂けたらと思いました。

翌日は恒例の「遠足」で、参加者の親睦のため全員でアンコールワットに行ってきました。

ベトナム戦争のときのカンボジア内紛で人命とともにアンコールワットが破壊されることを懸念されたものですが、何とか無事に残っていて、よくぞ生き延びてくれたという気持ちになりました。もちろん世界遺産であり、アジア人の英知や文化を示すもので、皆さんこれからも機会をみつけて訪れて下さいとFacebookでお願いしてしまいました。

IMG_9468bというのはあちこちで破損がひどく、とくにこの地域の特徴でしょうか、木の根っこが建物の隙間に入り込み、そのまま木が成長して建物を根底から破壊するという現象が見られ、大掛かりな保存策が必要な状態と知ったからです(右写真)。

なおこの遠足のときに会場では若い先生らがウェットラボで手術練習をしておられました。これまで何回かその指導を楽しくやらせて戴きましたが、今回はアンコールワットに執着があり、ウェットラボはパスさせて戴きました。

シンポジウムの最終日も充実していました。

大動脈弁手術のセッションではサウジのAlShahid先生が手術の最適タイミングを論じられました。とくに大動脈弁置換術は現代の心臓手術の中では一番簡単な手術という位置づけにありますが、そのタイミングが遅れすぎた患者さんのリスクは高く、まだまだ内科も含めた検討や啓蒙活動が必要と感じました。やはり治せる病気でいのちを失ってはいけないと思いました。

同じくサウジアラビアのAl Halees先生は大動脈弁形成術の解説をされました。この大動脈弁形成術はまだ進歩しつつある領域で、その分未知のこともあり、力が入ったと思います。大動脈弁尖を心膜や特殊な材料で延長するcusp extension弁尖延長の成果を示されました。これと尾崎先生の弁尖置換の両方をやっている私としてはそれらの使い分け、どの場合にどちらが良いか、とくに長期的な安定はどうか、などに関心があり、議論させて戴きました。

中国武漢(ウーハン)心臓病院のLiang先生は心膜で大動脈弁再建を多数やっておられ、二尖弁や4尖弁の形成も努力しておられ、参考になりました。ここでも自己心膜よりウシ心膜が良いとの意見で、これから何が本当にベストかをしっかり検証したく思いました。

ひきつづいて行われたTAVIのセッションでは最近聞き飽きた感のある話もありましたが、オランダのAmrane先生は経上行大動脈のTAVIを報告されました。外科医が腕を振るえる治療のひとつで、うまくやれば患者さんにとって大きな光になるものと思いました。何しろ、動脈硬化の強い大腿動脈や弓部大動脈などを回避し、かつ心尖部のやや弱い組織も使わずにすむわけですから、これからが楽しみです。

それからMICSのセッションがありました。ポートアクセスで手術をやっている心臓外科医はこの熱心な参加者の中でも半分ぐらいで、まだ課題があることを窺わせました。

シンガポールのKofidis先生は視野を良くする工夫を含めた経験を紹介されました。スロベニアの畏友Gersak先生はより進んだポートアクセス手術を紹介され、私などはやってみたいと思いましたが、大方の印象はおたく過ぎて真似できないという感じでした。

しかし最近話題のsutureless valveつまりTAVIの良さを導入して、全部を糸で縫い付けるのではなく、大半は弁を広げて圧着固定する方法とポートアクセス法との組み合わせでの手術は今後の展開が期待できると思いました。

マレーシアの畏友Dillon先生はクアラルンプールでの多数の経験を紹介されました。以前に名古屋ハートセンターでポートアクセスを立ち上げたときに大いに参考にさせて頂いた方法で、じつはスタンフォードでハートポートを初めて成功したチームにYakub先生(マレーシアIJNのチーフ)がおられ、そこからの流れで、いわば昔からの同門みたいな親近感があり、楽しく聴くことができました。

Muluシンポジウムのオーラスの講演はCalafiore先生がされました。

Chr1006-s大変重要な講演でした。というのは最近話題のM Clipの研究発表が非常におかしい、という刺激的内容だったからです。世界のトップジャーナルのひとつであるNew England Journal of Medicineに掲載されたM clipの論文で、2単位以上の輸血が大きな合併症と位置付けられ、予後に影響する多量の遺残逆流を小さい合併症と位置付けられたこの研究はおかしいというわけで、一同なるほどと思いました。輸血はゼロが望ましく、私たちもできるだけゼロへの努力をしていますが、実際に2単位で肝炎になる確率は5万分の1もなく、患者さんへの迷惑はないといっても過言ではありません。それよりは僧帽弁閉鎖不全症を残すことのほうが大きな問題でしょう。

しかしそうした理不尽な論文が新しいデバイスを用いた研究ではちょくちょく見られるのです。これは企業の経済的圧力に屈したと言われてもしかたがないことです。

近年、そうしたことが看過できなくなったのでしょう、企業などから謝礼や寄付金を受けている研究者は、そのつどそれを公表することが義務付けられていますが、これをもっと強化する必要があると思いました。

それと結果やデータと、論文の結論に差があるという現象も大問題です。これは日本のPCIつまりカテーテルでの冠動脈ステント治療の研究でも指摘されたことですが、外科の冠動脈バイパス手術の患者さんのほうが長生きできている、そうした結果がでているのに、論文の結論にはそれが書いてない、ステントもまあまあ良いというお茶を濁した記載になっている論文があるのです。これからもっと正しい記載、正しい論文を皆でチェックし創り上げる必要があると感じました。

それやこれやで大いに学び、楽しんだ4日間でした。夜はGersak先生らと一緒に空港まで行き、再会を誓って(ちょっと大げさ)それぞれ帰途につきました。

この機会を戴いたSaw先生と支援し留守を守って下さった高の原中央病院の斉藤先生、増山先生、小澤先生ほかスタッフの諸君に感謝申し上げます。

 

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執筆:米田 正始
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ポートアクセス法のMICSにかかる費用は?【2022年最新版】

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最終更新日 2022年2月4日

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ズバリ!追加出費はありません。

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◾️ポートアクセス法などのMICSはIMG_1901b

ポートアクセス法に代表されるミックス(MICS)は創が小さく目立たず、社会復帰・仕事復帰も早いため喜ばれています。

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よく戴くご質問のなかに、ポートアクセス法(写真左は正面から見たものです、創はあまり見えません)やミックス手術では費用が余分にかかるのでは?というのがあります。

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幸いなことにポートアクセス法MICSでの僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは僧帽弁置換術大動脈弁置換術はいずれも完全に保険適応で、通常の心臓手術とくらべて患者さんの負担が増えることは一切ありません。

IMG_1902b

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都道府県によって多少の差はありますが、通常7万5千円+食費などの負担だけで、実質300-500万円の医療費のほとんどは保険から支払われます。今後も守るべき、世界に誇る日本の保険制度の良き一面です。

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心房中隔欠損症左房粘液腫などの心臓手術も同様で、負担はまったく増えません。

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◾️正中で切開するタイプのMICSでも?

ポートアクセス法MICSが適応にならない、つまり心臓の真ん中から左側などを治す手術では胸骨部分切開のミックス手術や皮膚を小さく切るミックス手術を行いますが、この場合も 患者さんの負担はまったく増えません。

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たとえば2弁手術、3弁手術、デービッド手術、ベントール手術、さまざまな成人先天性心疾患の手術たとえば心室中隔欠損症、右室二腔症、バルサルバ洞破裂、動脈管開存症その他の手術でもミックス手術を行っていますが、通常の保険診療と負担は変わりません。

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ミックス手術やポートアクセス法(右写真は斜め方向から見たものです)で創がきれいだからといって患者さんの負担が増えることはありません。

ロボットとLSH_3.

◾️ロボット手術との違いは

ロボット手術は200万円ー300万円の自己負担が必要でしたが、現在は保険適応となりました。しかしロボットの腕の部分などの高価な部品は定期交換が必要なのに保険は効かず、結局は部屋代その他の形で患者さんの負担になっていると言われています。

ミックスは仕上がりではどちらが上かわからないほどきれいです。ロボット手術では副次創と呼ばれる小さい穴がいくつもでき、創の面積では大きくなるからです。
私たちが行っているMICSはスピードが高いため安全性でもそん色ありません。

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ということで、患者さんにおかれましてはお金の負担増の心配なく、安全にきれいに病気を治すことに専念して戴ければ幸いです。

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参考ページのIndex:

MICS(ミックス手術)とは

とくにポートアクセス手術とは
ハートポートとは
ポートアクセスの位置づけ
それが前向きに安全な場合
美しいLSH法とは
ミックスは危険なの
術後の痛み軽減について
社会復帰が早いわけは?
美容について
胸骨「下部」部分切開法とは
ビデオ ポートアクセス法による僧帽弁形成術
ビデオ 連合弁膜症のご高齢患者さんへのミックス法・3弁手術

僧帽弁

ミックスによる弁形成

  同、弁置換

ポートアクセスによる弁形成術

メイズ手術

大動脈弁

ミックスによる弁置換

ポートアクセス法による弁置換術

ミックスによる弁形成

ミックスでのデービッド手術

三尖弁

ミックス法による弁形成術
患者さんやご家族からのお便り

お便り43 がんの手術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん

お便り46 遠方からご自分の信念で来院下さった患者さん

お便り48: ミックスですみやかに社会復帰された患者さん
お便り50: 大動脈二尖弁と上行大動脈瘤の患者さん

お便り54: ポートアクセス法で弁形成術を受けた若者患者さん

お便り59: 被災地支援へ!同法の弁形成術を受けられた患者さん

お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん

お便り62: 同、弁形成術と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん

お便り63: ポートアクセスの複雑弁形成術を受けられた患者さん

お便り65: 同法による弁形成術で元気になられた患者さん

お便り66: バルサルバ洞破裂と心室中隔欠損症などを克服した患者さん

お便り67: ミックスで右室二腔症の手術を受けられた患者さん

お便り68: ポートアクセス法の弁形成術を受けたバーロー症候群患者さん

お便り70: 自己心膜で大動脈弁形成術(再建術)をミックス法で受けた患者さん

お便り71: ミックス手術で大動脈二尖弁形成を受けた15歳の患者さん

お便り72: 二弁置換とメイズ手術をミックス法で受けた患者さん

お便り73: リウマチ性連合弁膜症と心房細動をミックス法手術で克服

お便り74: ポートアクセス法で僧帽弁形成術とメイズ手術を受けた患者さん

お便り78: ベントール手術をミックスで受けられた患者さん

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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