かんさいハートセンター

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御礼とご報告

 

多くの方々のご支援とご指導によりましてかんさいハートセンターは立ち上192146942げ当初から実績を上げ、全国からの重症の患者さんや専門診療・先端治療を必要とする方、あるいは地元の患者さんたちのニーズにお答えすべく努力して参りました。

 

このたび米田正始はこのセンターを退職し、より良い医療を目指して大阪に異動することになりました。

 

その詳細はこちらをご参照ください。(心臓や血管の手術などでお困りの際にはいつでもご連絡ください。)

 

大変お世話になりました高の原中央病院の斎藤会長、理事長、専務、循環器内科(とりわけ太田剛弘先生)や心臓麻酔科、関係各科、手術室・ICU・病棟・リハビリ・外来・薬剤部・放射線・検査・栄養科・事務はじめ多数の職員の皆様、地元奈良の医師会の先生方はじめご指導くださった皆様、そして何よりも遠近や国内外を問わずご支援くださった患者さんたちにこの場をお借りして心から御礼申し上げます。

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ハートセンターの考え方に共鳴し、集まって下さった循環器内科、心臓外科、ナースやMEなどのコメディカルの皆様にはせっかく参入いただいたのに施設が空白状態となり、誠に申し訳なく思っています。

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こうした経験から、現代の厳しい医療情勢の中で、患者さんとくに重症の方々をお守りするのは並大抵の努力ではできないと実感するこのごろです。ただ個人がベストを尽くすだけでなく今日的な多角的工夫・組織的努力がもっと必要です。ここでの貴重な経験をもとに、より強力な足腰をもった本格的急性期病院で、より多くの仲間を得ながら、初志を貫徹する努力を続けるつもりです。

 

今後も変わらぬご指導とご鞭撻を頂けましたら幸いです。高の原の関係の皆様、ほんとうにありがとうございました。 (2015年6月28日記)

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追記: 当初の心臓外科メンバーは全員、新天地で元気に仕事に精出しています。お世話になった皆様に感謝申し上げます。

 

1.かんさいハートセンター開設のご挨 203651752拶です。

これから患者さんや地域医療に貢献すべく全力を尽くします

 

2.かんさいハートセンターでは熱い循環器内科の先生を募集しています。詳細はこちらをどうぞ。


3.内覧会のお知らせ。平成25年9月28日(土)、29日(日)です。

(多数お越しいただきありがとうございました。これから地域や患者さんのお役に立つようがんばります)


4.講演のお知らせ。高の原中央病院健康フォーラムで「心臓手術と科学的ダイエット」のお話しを致します。平成25年9月18日水曜日です。

(盛会裏に終わりました。御礼申し上げます。ご報告も記載しました)

5.NHK文化センター 名古屋 IMG_1967b教室での講演 ご案内です。

心臓手術や健康に関心ある一般の方々が対象です。奮ってご参加ください。

(満員御礼でした。ありがとうございました)

 

6.地域連携のための講演会(高の原会)で「心臓手術がお役に立てるとき—プライマリケアの立場から」をお話ししました。奈良新聞でも紹介されました。

(多数のご参加と貴重な御意見ご質問をありがとうございました)

その講演をYou Tubeで掲載して戴きました。ご覧下さい。なおこれらは医療者向けの解説です。一般の方向けのものはこのページの少し後ろのほうにございます。

210974194◆医療者の方々向けのビデオ講座

狭心症、冠動脈バイパス、PCIなどこちら

弁膜症、ミックス手術、ポートアクセスなどはこちら

大動脈瘤や大動脈解離、腹部大動脈瘤などはこちら

心筋症心不全はこちら

まとめと下肢虚血の再生医療はこちら


7.平成2 Ilm01_aa04006-s5年11月12日に米田正始が荒井正吾 奈良県知事を表敬訪問しました。そのときの様子をメディアが紹介してくれまし
た。

高の原中央病院かんさいハートセンターがめざす、断らない医療、患者目線の医療が荒井知事にも評価され、うれしく思いました。

これから地域医療のお役に立てれば最高です。


8.平成25年12月18日に奈良市西部会館で開催されました市民健康公開講座で「心臓手術と科学的ダイエット」というテーマでお話しいたしました。

これを奈良新聞が報道してくれました。当日は200名のご参加を戴き、大きなホールが満員に近い状態でした。

皆さんの健康増進と心臓病の克服にお役に立てれば幸いです。IMG_0208b

その後この講演内容がもっと詳しく紙面紹介(奈良新聞 平成26年3月10日)されました。ぜひ皆様の健康管理や早期診断・早期治療にお役立てください。心臓病は的確なタイミングで治療すれば治ることが多いのです。

 

❤ビデオで見ることができます。皆さんの健康増進にお役立て下さい(一般の方々向けです)。


188836877市民公開講座
02 心臓外科・狭心症

バイパス手術なども


市民公開講座
03 弁膜症の総論

僧帽弁や大動脈弁の病気を治すために


市民公開講座
04 ポートアクセス

小さい創で痛み少なく早く仕事復帰を

市民公開講座 05 弁形成術

健康生活にもどるために


市民公開講座
06 大動脈疾患

安全性が高くなりました。マルファン症候群の方々にも


市民公開講座
07 大動脈弁狭窄症

これは最近増えている病気です 178472147


市民公開講座
08 心臓外科とローカーボダイエット

食生活から病気を治し、予防する


市民公開講座
09 エンディング

まとめのメッセージ


市民公開講座
10 心臓外科とダイエットー栄養士から

より身近な食生活視点からのお話です

 

1911515249.奈良市とそのエリアにおける心臓手術につきまして。かんさいハートセンター開設2か月での印象とお願いです。

 

10.さわやか高の原 2014冬号に米田正始のエッセイが掲載されました。

これから奈良あるいは関西にて地域医療や専門医療で皆さまのお役に立てればうれしいことです。


11.NHK文化センター京都教室で講演 「このま A330_032までは危ない!心臓病と科学的ダイエット」 2014/4/13(日) 13:00-15:00
案内冊子から:
心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。

突然訪れる心臓病について、有名人の心臓手術を例にとりながら、予防・治療・手術などの観点から、ためになるお話をして頂きます。また、予防のための正しいダイエット指導もございます。


12.NHK文化センター梅田教室で講演 「糖質制限食ダイエットを心臓病の治療にも活かす」 2014/5/11(日)  13:00-15:00 案内冊子から:
心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。話題の糖質制限食が心臓病の予防や治療にも役立つことがわかりました。心臓病や心臓手術を通して正しいダイエットを考えます。

なお京都教室では心臓に重きをおき、梅田教室ではダイエットを主力にして重A309_095複が少なくなるようにいたします。

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13.奈良市エリアでの病診連携につきまして: 

患者さんと開業医の先生方へのお願いです。

地域医療はもっと便利に、もっと安全になるでしょう。

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14.市立奈良病院の新病棟お披露目会に行ってまいりました。:

良きパートナーになれるよう頑張りたく思いました。

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Tavr15.大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法であるTAVI(タビ)につきまして、

現在施設の認可のための準備中です。

その間にも患者さんのおやくに十分立てるよう、経験豊富なトップレベルの施設へご紹介するなどして安全を確保しています。

こちらこちらのページをご参照ください

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16.祝、奈良県総合医療センターのご発足。

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県立奈良病院が独立行政法人化され、奈良県立病院機構のもと新たな出発をされました。

私たちもパートナーとしてお役に立てれば幸いですIMG_0573b2

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17.東京スポーツ、大阪スポーツの名医の診察室に米田 正始が紹介されました。(2014/9/11)

循環器内科と心臓外科のハートチームはもちろん、ハートセンター職員全員で頑張ります。

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18.東京スポーツ、大阪スポーツの名医の診察室に太田剛弘・副センター長が紹介されました。(2014/9/18)

もつべきものは友、そして循環器内科が活発になってこそハートチームです。これからもっと皆様のお役に立ちたく思います。

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Ilm09_ak02020-s19.NHK文化センター名古屋教室での講演: 2014年11月16日日曜日13:30から、「心臓手術と科学的ダイエット」です。ふるってご参加ください。

盛況の中、終了いたしました。かつて名古屋で手術させていただいた患者さんたちも多数参加され、心に響きました。わたしの方こそ感謝しています。また来年もお越し下さい。

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20.おかたに病院の「なら健康まつり」に行ってま 164438012いりました。地域医療の良さを実感させてくれる集まりでした。

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21.かんさいハートセンターの設立から1年が経ちました。

おかげ様でゼロスクエアからの立ち上げとは思えない実績を残せました。皆様のご恩に報いるべく、さらに頑張ります。

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22.市立ひらかた病院で講演させていただきました

新しい見事な病院に感嘆いたしました。あたたかい歓迎ありがとうございました。

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23.奈良医大付属病院: 研究や教育のみならず地域医療の拠点です。大変お世話になっております。 197575994

 

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24.第五回 Heart Valve Conference の当番世話人(会長)を務めさせて頂きます。2015年4月11日土曜日、大阪ナレッジキャピトルにお越しください。弁膜症に関心のある医師とコメディカルの皆さまにぜひお楽しみ頂きたい

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おかげさまで満員御礼状態にて充実したプログラムを完了できました。ご参加くださった皆様に深謝申し上げます。来年もまた皆で楽しめる会にしたく存じます。よろしくお願い申し上げます

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25.e-MATCH でお役に立ちたく思います。

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これは奈良県の救急ネットワークで、心臓関係では奈良市の指定3施設のひとつとして貢献したく思います。よろしくお願い申し上げます。

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15928341226.近畿大学医学部奈良病院: すでに病々連携でお世話になっております。今後も奈良の地域医療発展のためよろしくお願い申し上げます。

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27.京都きづ川病院: 開設当初から想い出のある病院です。病々連携でこれからお役に立てればうれしいことです。

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28.京都山城総合医療センター: もとの公立山城病院が新しくなりました。京都府南部ー奈良県北部の地域医療や連携のなかで私たちもお役に立ちたいものです。

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29.土庫病院: 地に足つけた地179036312域医療、住民から支えられた病院の手本のようなところです。貢献できるよう、頑張ります。

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30.大和高田市立病院: 学生時代から現在に至るまで長年お世話になっております。これから大きな貢献ができればうれしいことです。

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31.西ノ京病院: 地域医療のパートナーとしてこれから交流がさらに増えれば私たちにとって光栄なことです。

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32. 国立循環器病研究センター: 移植や植込み型補助循環(人工心臓)その他でお世話になっております。

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33.西奈良中央病院: 奈良市西部地域の中核病院です。病々連携でお世話になっております。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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【第四十七号】 アメリカ胸部外科学会の印象記

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 【第四十七号】 
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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いつのまにか梅雨に入ってしまいましたが、皆さんお元気でしょうか

さて今月の第1週にアメリカの学会2つに行って参りました。

その印象記を2回にわけてUpしました。

学会印象記はどうしても医療者向けになってしまうのですが、医療とくに心臓

外科に関心のある方々にも多少は参考になるかも知れません。

ひとつはMitral Conclaveという僧帽弁の学会で、これは後述のアメリカ胸部外

科学会の僧帽弁分化会という位置づけで大変レベルの高い学会です。
こちらをご覧ください
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/05/cvdiary2ndmconclave.html

これはニューヨークで開催されました。飛行機がニューヨークに近づいたとき

、あの世界貿易センタービルの再建がかなりできてきているのを見てアメリカ

の回復を感じました。

ついでながらニューヨークの街は昔の犯罪の巣窟とはすっかり違う安全な街に

なっており、夜遅い時間でもタイムズスクエアなどは若者でにぎわい、楽しい

雰囲気に満ちていました。

いまひとつはアメリカ胸部外科学会AATSで、心臓血管外科では世界の最高峰に

ある学会です。
こちらを見て下さい
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/05/cvdiary93aats.html

このAATSはミネアポリスで開かれました。日本ではそれほどなじみのない街か

と思いますが、心臓血管外科の世界では歴史のある街です。ニューヨークのあ

とだけに静かな、気持ちのよい中部の田舎町という印象はありました。

学会にもさまざまなものがありますが、こうしたアメリカのトップ学会は世界

の動向を知る一番の場ですし、そこで発表できるということは大変光栄で励み

にもなり勉強にもなることです。

ということで世界中からアクティブな心臓血管外科医が参加し、その語らいや

出会いの場という意味も大きく、会の意義をさらに大きくします。

こうした会のもうひとつの凄さは、心臓血管外科の歴史の実際に触れることが

できることです。

たとえば今回のAATSでは Albert Starrスター先生の講演がありました。骨子は

ブログをご参照戴くとして、こうした歴史を変えた、あるいはすでに大きな歴

史の一部とも言える先生の話をまとめて聴けたというのは貴重な経験です。

また心臓病学の歴史の一部ともいえるEugene Brownwald先生の受賞を自分の眼

で見れたというのも日本国内ではなかなか経験できないことでした。

ついでながら、若い先生方にはこうした偉大な指導者の生き様の一端に触れて

高い志を新たにして努力して頂ければと思いました。

学会の後ろの部分は割愛して帰国しました。手術を待ってくれている患者さん

がいてくれるのをうれしく思いながら。

敬具

平成25年5月17日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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【第四十五号】 ドクターズガイドに掲載されました

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 【第四十五号】 
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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春も爛漫となると思っていたら急に冷え込むこのごろですが、皆さま風邪など

ひいておられないでしょうか。

外来で血圧が急に上がる患者さんが少なからずあり、人間は自然の中で生きて

いることをあらためて実感しています。

さて最近、時事通信社の「ドクターズガイド」という医療ガイド本が出版され

ました。

さまざまな病気で困っている患者さんに、解決の道を示してくれる好評の本の

ようです。

私のホームページでは次のページをご参照ください。簡略ご紹介いたしました


https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2008/01/post-0f92.html

その狭心症のページにあの天皇陛下の冠動脈バイパス手術をした畏友・天野篤

先生や、これまでさまざまな形でお世話になったバチスタ手術の須磨久善先生

、あるいはロボット手術の渡邊剛先生らとともに私も紹介されました。

大病院ではなかなかできない患者目線の地域医療や、内外のエキスパートとタ

イアップして行って来た国際先進医療が評価されたのであれば、うれしいこと

です。

ひとつ申し訳ないのは、記載されている私の執刀数がちょっと古いデータで本

当はもっと多いのですが、まあ大きな問題ではないと思います。こうした情報

発信はこまめに改訂しなければと反省しています。

心臓以外のさまざまな領域でこのドクターズガイドはお役に立つと思います。

私は出版社の回し者ではありませんので、一度手に取って内容を見て頂ければ

と思います。

目標は、健康に、楽しく、長生きすることと思いますので、心臓はもとより、

からだとこころの健康まで関心を持っていただき、わからないことは調べ、さ

らにご相談いただくこと、これが大切かと思います。

敬具

平成25年4月21日

米田正始 拝

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IE (感染性心内膜炎):どう治す?【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月28日

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◾️感染性心内膜炎(IE)の治療の特徴は

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IE(感染性心内膜炎)の治療は通常以上にしっかりとした、完璧あるいはそれに近いものが求められます。

Gum06_fr01002-sばい菌が残っておれば手術の後といえども再発する恐れがありますし、手術せずにお薬で治せる場合でもIEの原因が残っているため高い再発率が知られています。

手術では完全にばい菌を取り去ることが原則で、この点、がんの手術と共通していると言われます。

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◾️感染性心内膜炎の内科的治療

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IE (感染性心内膜炎)の治療はまず的確な診断と状態の把握から始まります。

僧帽弁の場合でも大動脈弁の場合でも、心不全がなく、感染つまりばい菌が薬で消せるとき、あるいはばい菌のかたまり(疣贅(ゆうぜい)Vegetation)が安定しているときなどは抗生物質などを中心とした内科治療で治せます。

ただその場合、ばい菌がどこかに潜んでいる時には感染再発への注意がひつようです。

また感染の原因たとえば僧帽弁逸脱や大動脈二尖弁や心室中隔欠損症などが残っている以上、新たな再感染が起こりやすいことがあるためそれへの注意・予防が大切です。

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◾️感染性心内膜炎の外科治療は

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ilm17_ca06004-sIEの患者さんで、心不全や感染が薬ではどうにもならない場合は心臓手術が適応となります。

感染した組織を徹底的に切除し、そのうえで壊れた弁を再建します。

そのため感染性心内膜炎の手術では通常以上の高度な弁形成術のテクニックが求められます。

弁形成のテクニックにつきましては、それぞれの項目をご覧ください。感染でやられた部位によって、弁尖、腱索、乳頭筋、弁輪、ときには左室や左房まで再建することがあります。まさに心臓全体を再建する技術が必要なわけです。

IEでの弁形成に感染再発の懸念があったり、高齢者や確実に短時間で一発で治したいときには弁置換が適応になることもあります。(手術事例:感染性心内膜炎のため僧帽弁置換術)

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◾️熟練術者の手術が特に必要なとき

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若い患者さんほど、弁形成の意義が大きくなるため、エキスパート心臓外科医の手でしっかりと弁形成するのが望まれます。

なかでも若い女性で将来 Ilm08_cd06003-s妊娠出産を希望される場合は、弁形成ができるかどうかでこどもを得られるかどうかの差がでるため、人生をかけて弁形成を達成することが大切です。

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またアフターケアも大切で、IEの再感染のリスクを減らすため、教育や注意などが望まれます。手術しっぱなしでは、いくら経過が良くても長期の安全に心もとないこともあります。やはり全人医療の観点が良いと思います。

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◆患者さんの想い出:

Aさんは20歳前半の女性でエホバの証人の信者さんです。

僧帽弁閉鎖不全症に感染性心内膜炎(IE)を合併し、心臓手術などあり得ないとある大学病院で言われて私の病院へ来られました。

そのとき血液のヘマトクリットは20あまり、普通の半分もない状態で、しかも宗教上の理由で輸血ができない、加えて感染があり、たしかにこの状態の患者さんを受け容れる病院はないでしょう。

受け容れたときはチームの諸君からも無茶ですよ、先生正気ですか?と言われました。

しかし感染が制御できつつあること、心不全も当面何とかかわせる程度であること、そこで時間が稼げてその間に造血が図れること、若くて体力があり理解もあること、などから前向きに治療を進めました。

と言う以上に、将来のある若者ひとりの命がかかってるんじゃ、救命するのが当たり前だろ!という無敵モードでの決意でした。入院してからはチームの皆に頭をさげて頑張って頂きましたが。

しばらくして感染がほぼ収まり、血液もかなり増えたところで手術に臨みました。

絶対無輸血が患者さんの切なるご希望ですから、ポートアクセス法によるミックスMICS手術で僧帽弁形成術を行いました。これなら骨をまったく切らないため無輸血での手術がしやすいのです。

術後経過は良好で、しばらくは抗生物質でばい菌の徹底除去を行い、それから元気に退院して行かれました。創もほとんど見えないほど小さく、これは頑張ってくれたAさんへのご祝儀でした。

Aさん、来院時は絶体絶命でしたが、もう大丈夫、これから健康人として楽しく活発に、永い人生を歩んで下さい。

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僧帽弁膜症のリンク

原因 

閉鎖不全症 

弁逸脱症

リウマチ性

◆  HOCM(IHSS)にともなうもの

◆  機能性

弁形成術

◆ 形成用のリング

虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対するもの

④ 弁置換術 

⑤ 人工弁

    ◆ 機械弁

生体弁 

       ◆ ステントレス僧帽弁: ブログ記事で紹介

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執筆:米田 正始
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医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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上行大動脈の石灰化 【2020年最新版】

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上行大動脈

最終更新日 2020年2月25日

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◼️上行大動脈の石灰化は危険信号

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大動脈とくに上行大動脈の石灰化は心臓外科医にとって頭痛の種でした。

というのは心臓手術を行うときに、上行大動脈を遮断する必要があり、もし大動脈の石灰化がそこにあれば、石灰は割れて飛び散るおそれがあるからです。飛び散れば、もしそれが脳に流れていけば、脳卒中とくに脳梗塞になるのです。

そうなるとせっかく心臓をきれいに治しても手術は空しいものになってしまいます。

これまでそうした患者さんに対してはいくつかの対策を立てて、それなりに対処して来ました。しかしそれぞれ弱点があり、私たちは満足していませんでした。

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◼️これまでの石灰化大動脈に対する対策は

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1.大動脈を遮断せず、心臓をVFつまり心室細動の状態にして素早く手術を行う

2.およそ22度前後の低体温にして、短時間の循環停止のもと、上行大動脈を人工血管で置換し、それ以後はその人工血管を遮断する

の2つが主でした。

しかし1.は心臓の保護にやや弱く、とくに大動脈弁の手術には使えないという問題があります。

2.は本格的すぎて時間がややかかり過ぎ、患者さんのからだへの負担が大きいという問題がありました。

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◼️上行大動脈石灰化に対する第三の対策は

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これらの経験の中から、現在多用している方法は

3.体温を26-28℃程度まで下げておき、そこで一時循環を停止。ただちに大動脈を開けて内側にある内膜の硬いところをはぎとり、きれいに治してからすぐ大動脈を閉じて循環を再開する。

これなら1.や2.の欠点がかなり解消できます。

もちろん現在も、必要があり利点があれば1.や2.を活用することもあります。

さらに1.の発展型として、血液のカリウムを高くしてVFではなく心停止を誘導し、そこで心内操作を行うということもあります。これは主に僧帽弁操作と三尖弁操作に対してもちいます。1.と比べて心機能を守るというメリットが多いという印象です。

要はその患者さんにぴったりした方法を選んで活用するわけです。

上行大動脈の石灰化は基本的に治せる状態なのです。

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執筆:米田 正始
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【第四十一号】インフルエンザ大流行

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 【第四十号】
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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少し寒さが緩んできたと思えばそれもつかの間、インフルエンザが大流行し、

警報レベルを超えたとのことです。皆様には科学的知識を充実させることでご

自愛して頂けますよう、お願い申し上げます。

インフルエンザ対策はおしらせのページ

https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2008/11/post-4fa5.html

にあります。ぜひご活用下さい。

ワクチンはできるだけ受けることをお勧めします。毎年1回でもかなりの効果

があります。ひごろ心臓や肺などが弱く、心配な方には2回接種が勧められま

す。

加湿やマスクは役立ちます。マスクはウィルスを他人様にまきちらせないとい

う利点があるのはよく知られていますが、吸う空気を自然に加湿してウィルス

を弱め、のどや肺を守りやすくすることも見逃せません。

お互いに、ご自分がインフルエンザにかからないことが周囲の方々への最良の

プレゼントになります。皆で一緒に助け合っているわけですね。

心臓病患者さんにおかれましては、寒くない日には外へ出て運動を楽しんで下

さい。いつものルール:息切れでおしゃべりができにくくなれば、休憩!おし

ゃべりが楽しめる程度なら運動続行です。なお、主治医から運動禁止!と言わ

れている方の場合は、そのご注意を守って下さい。運動したほうが良いかどう

かわからない場合は、主治医などにご質問されると良いでしょう。

敬具

平成25年2月5日

米田正始 拝

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第三回NPO法人日本ローカーボ食研究会にて

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この1月27日に名古屋市にて第三回NPO法人・日本ローカーボ食研究会が開催されました。

心臓外科医の私が積極的に参加しているのを少し奇異に感じられる方もあるかも知れません。

私としては心臓手術の患者さんをお助けするために大いに役立つため、そして全人医療を自らもっと学びたいこともあって、前向きに勉強させて戴くというスタンスで参加しています。

今回は一般演題というよりはどちらかといえば勉強になるような教育講演、シンポジウム的な構成でした。安井廣迪先生の司会で進められました。

ローカーボ研究会 IMG_1584はじめに名古屋大学名誉教授の加藤潔先生が生命の進化における炭水化物の意義というテーマで特別講義されました。

灼熱マグマの地球の誕生からCO2の大気で包まれて保温されながら徐々に炭水化物ができ、それが生命の発生にいたり、そこから酸素が増えて高度な動物の発生にいたるなかで、炭水化物はCO2や太陽熱・光のエネルギーから由来して私たちそのものに進化していった様子が実感できました。

このように重要な炭水化物ですから、うまく活かすことが大切とあらためて一同感じ入りました。

それから村坂克之先生の恒例・好評のアルコール負荷試験シリーズ、今回は日本酒・地酒のさまざまなものを調査検討されました。中には血糖値をかなり上げるものもあり、ひとつひとつ検証が必要と納得しました。それにしても日本酒にもいろいろあると、そのバラエティーの豊富さには感心しました。

Ilm15_ai02004-s中村了先生は実に多くの文献を読破し、診療経験も含めてローカーボと高脂血症の講演をされました。LDLが必ずしも下がらない、しかしHDLの改善がしっかりしているため大丈夫というところまでわかってほっとしました。

それから不肖私、米田正始がPNASという有名ジャーナルの話題の論文、ローカーボ食で血管障害や動脈硬化が起こるという研究をご紹介しました。

そもそも血管内皮細胞が体の中でどう大切か、そしてそれを造るEPC血管内皮前駆細胞の役割を概説し、それからローカーボ+高たんぱく Ilm19_ca06088-s食のマウスでは動脈硬化がひどく進みEPCの数も機能も落ちていることを示しました。

マウスとヒトの違いはあると思いますし、中性脂肪などが低下しないあたりはそれを物語っているように感じます。しかしローカーボをきちんと評価しながら進める必要があることを学びました。

ちょっと我田引水して、血管内皮細胞が大切なので、重症の虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス手術はカテーテルによるPCI治療より有利であることもお話ししてしまいました。まあそれぞれの特長を十分踏まえて使いこなすことが大切と思いますが。

Ilm09_cc02001-sそして畏友、新井圭輔先生が糖尿病性腎症はインスリンによる薬害であったという、衝撃的なお話しをされました。新井先生は私のクラスメートで、放射線医師の立場から糖分を食べて育つがんを抑え込むこと、老化の原因のひとつがインスリンであることからアンチエイジングとしてもローカーボを推進して来られました。血糖値と腎機能に全然相関がないというデータを示され、これは面白い、ぜひ科学的検証を進めようと思いました。今日の常識は明日の非常識というのは医学ではよくあることです。インスリンもそうなるのでしょうか。ローカーボ食を活用することで何名かの患者さんのインスリン卒業のお手伝いをしてきた私にはうれしい内容でした。

ローカーボ食のパンや飲み物、アイスクリームなどを戴いて休憩したあと、理事長・灰本元先生の特別講義2、HbA1Cレベルに応じた炭水化物制限の層別化のお話しがありました。

安全なローカーボ、大規模研究EBMにもとづくローカーボを追及するなかで確立してきたゆるやかローカーボの意義がかなりご理解いただけたものと思います。

これからきめ細かいローカーボ食へと進化していくような気がしました。

 

Ilm19_cb01025-sパネルディスカッションとして、やせる症例とやせない症例を小早川裕之先生と篠壁多恵先生が2例ずつ供覧されました。

酒飲みはローカーボ食が効きにくいこと、あるいはどうしてもローカーボが効かない体質の方はおられます。これを今後どうするか議論は尽きないものがありました。

食の問題はこれまで医療の盲点であったような印象を強くもっています。そのため、ローカーボ食を患者さんを助けるための有効な武器としてもっと進化させることで、これまでできなかった治療ができるのではないか、あるいは病気を予防して世の中を良くすることも夢ではないと思っています。

そうした夢が実現できる方向性をかんじさせてくれた研究会でした。

灰本先生はじめ関係の皆様、サポート下さった方々(大塚食品、マンナンライフ、クラシエ製薬、浅田飴、グリコ、楽園フーズなど)、遠方からお越し下さった新井先生、寒い中を参加くださったみなさま、ありがとうございました。

2013年1月27日

米田正始 拝

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り83: 拡張型心筋症と僧帽弁閉鎖不全症から立ち直り

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拡張型心筋症は難病で、重くなるとしばしば打つ手なしという扱いになることが世間では多いようです。

私たちはこの拡張型心筋症の治療にちからを入れてまいりました。

A335_007心臓外科の観点からは、拡張型心筋症が悪化したときに合併する機能性僧帽弁閉鎖不全症をしっかり治し、かつ左室をできるだけ良くすることが重要と考えています。

そのため、単に手術で頑張るだけでなく、その後のアフターケア、丁寧な薬の治療が大切です。

以下の患者さんは50代前半の男性で、駆出率20%台つまり健康な心臓の3分の1のパワーまで落ちた状態で、しかも高度の僧帽弁閉鎖不全症を合併して来院されました。

そこで僧帽弁形成術を工夫し、弁だけでなくなるべく左室のパワーアップを図るようにしました。

術後経過は良好でまもなく退院されましたが、その後も時間をかけてβブロッカーやACE阻害剤、ARBなどを使用し、じわりじわりと心機能を改善させていきました。

そして手術から1年後には駆出率44%へ、2年後には56%まで改善し、その後術後3年半の現在もこれを維持しています。現在のデータだけを見れば、もう心筋症や心不全の姿はありません。

ともに心臓手術を勝ち抜き、さらに時間をかけてじっくり薬を効かしここまでに回復された患者さんは、仲間そのものです。

その患者さんが手術のあと、退院されるときに意見箱に入れて下さったお便りです。

*********患者さんからのお便り*********

 

米田先生はじめ北村先生、深谷先生、小山先生、また担当戴きました看護師の皆様には心より感謝申し上げます。

米田先生にお会いするまでは騙し騙しぎりぎりまで手術を先延ばしするつもりでしたが今なら弁形成が可能であり、また置換と形成との効果の相違、また放置した場合と現時点で手術をした場合のリスクを、分かり易く比較して説明して戴き、今後のQOLを十分に鑑み、家族と話し合い手術する決意をする事ができました。

術前も、先生方が積極的にインフォームドコンセントを含めたコミュニケーションを取って頂き全く不安なく(本人は)手術を受ける事ができております。

今後は健康な体になり、気兼ねなく仕事に打ち込める事や、高校中学の二人の息子と妻ともスポーツを交えた楽しい時間を過ごす機会を与えられ社会復帰が楽しみです。

貴院に於かれましては志の高い看護師の方々が、更にスキルアップしようと研修に積極的に参加されている様子などから益々患者からの信頼性の向上が期待され発展されることを信じております。

本当にありがとうございます。

こちらの病院の看護師、受付、各職員の方々どなたも私ども患者に対しての応対が、低姿勢で丁寧と大変感心いたしました。

また担当のドクターの方々皆様、ハイレベルで人当たりも良く、患者の質問に丁寧に説明していただき、大変満足しており、感謝いたしております。

平成21年5月30日

*****

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執筆:米田 正始
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元・京都大学医学部教授
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事例: 数回のPCIのあと冠動脈バイパス手術の患者さん

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狭心症、冠動脈狭窄症の治療はその重症度に応じて何段階かあります。

軽症なら食事、運動療法とお薬による治療、もっと重症になればカテーテルによる冠動脈形成術(PCI)、さらに重症になれば外科による冠動脈バイパス手術があります。

患者さんは70代半ばの男性で、四国からお越し頂きました。

もともと糖尿病をお持ちで狭心症となり、地元の病院で4年あまり前に薬剤溶出性ステント(DES)による治療を受けられました。

お元気にしておられましたが、4年半後、狭心症が再発し、再度カテーテルによるPCI治療を受けました。

残念ながらその1か月後にまた狭窄し、3度目のPCI治療を、その1か月後に4度目の治療を受けられましたが、うまく行きませんでした。

冠動脈がすでにうんと悪くなり、ステントではどうにもならなくなったのです。

術前LAD2この間の心筋梗塞などのため、左室のちからは駆出率25%と、通常の半分以下に落ちてしまいました。

思い余ったご家族が米田正始のところへ連絡をしてこられ、ハートセンターでの治療となりました。

手術前の冠動脈造影では右写真のように前下降枝がステントで覆われていますが、完全に詰まっていました。

術前LADしかし他の冠動脈からかろうじて流れてくる血液をみると、この左前下降枝は内胸動脈を丁寧につなげば何とかなるだろうという判断となりました。

さらに右冠動脈にもバイパスがつけられる血管があり、ここから何本かの枝へ血液が流れ、前下降枝へもつながりがあるため、患者さんの虚血の改善はかなりできそうと考えました。

状態が悪いため、安全を見越してIABPという補助の風船ポンプを入れてオフポンプバイパス手術を行いました。

前下降枝はさすがに 4回のPCI治療で傷んではいましたが、内胸動脈の血管保護作用で使えそう、右冠動脈もあまり良い血管ではないものの、使える所見でした。

術後LITA_LADそれぞれに内胸動脈グラフトと静脈グラフトをつなぎ、手術は問題なく終わりました。

術後の冠動脈のCT画像を示します。2本のバイパスは良く流れ、かなりの広範囲の心筋を灌流しているようです。

右図は内胸動脈が左前下降枝を灌流している所見です。その右上にミミズのように見える白っぽい構造物がステントと肥厚内膜です。

下図は静脈グラフトが右冠動脈を灌流している所見です。何本かの枝に流れるためこれも役に立つバイパスになる術後SVG_4PDでしょう。

これなら患者さんの予後の改善に役立つでしょう。地元の先生と協力して、心臓を守る薬をしっかりと使えば効 果はさらに上がるかも知れません。

遠方かつ体力のない患者さんのため、通常よりややゆっくり入院していただき、術後12日目に元気に退院され、四国へ戻られました。

その後もお元気に暮らしておられます。

こうした患者さんのお役にも立ててうれしいことです。

 

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【第三十九号】 第三回日本ローカーボ食研究会

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 【第三十九号】
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           発行:心臓血管外科情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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相変わらず寒い毎日が続きますが、皆さま如何お過ごしでしょうか。

さて今回は申し訳ないのですが、医師、看護師、臨床工学士、管理栄養士さ

んなど、医療者の皆様へのお知らせです。

一般の皆様には今後もホームページでの情報発信の形でご案内申し上げます

のでお許し下さい。

第三回、NPO法人日本ローカーボ食研究会を開催いたします。

心臓外科医である私が科学的ダイエットの研究会の理事を務めさせていただ

いているのは不思議に思われることでしょう。

心臓手術のあと、経過の良い患者さんほど、ご飯がおいしいと次第にぽっち

ゃりと太られる傾向が見られます。

ぽっちゃりぐらいなら良いのですが、長い間には太り過ぎてメタボになって

いく方も少なくありません。

そうなるとせっかく心臓が良くなり心不全が取れて元気になったのに、あらた

な病気を抱えることになりかねず、喜んでばかりはおられないことになりま

す。

そうした経験から、科学的に、適切な体重と体格を生活のなかから確保する

ことが、心臓手術を受けてこれを乗り越え元気になられた患者さんたちへの

責務とさえ考えるようになりました。

なのでもっとも科学的なダイエットであるローカーボ食なのです。

とはいえ、しょせん心臓外科医ですので、内科の先生方のお知恵を借りなが

らやっており、ちからは心臓手術に注いでいます。餅は餅屋です。

この科学的ダイエットにご関心のおありの医療者の皆様、ぜひご参加くださ

い。学問的な話題からHow Toあるいはこれまでの常識を打ち破るようなもの

まで内容豊かです。

プログラムは次のとおりです。

http://low-carbo-diet.com/record/record_1

一般の皆様にはまた情報発信させていただきます。

それではよろしくお願い申し上げます。

敬具

平成25年1月20日

米田正始 拝

         記

日時:1月27日(日曜日)午後1時半から午後6時まで、

会場:安保ホール(名古屋市中村区名駅 3-15-9)

         JR名古屋駅桜通口から徒歩2分です

   そのHPと地図は  http://www.abohall.com/

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