お便り111: 珍しい心臓腫瘍からMICSで完全復帰

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心臓腫瘍にもさまざまなタイプがあります。

いちばん多いのは粘液腫(ねんえきしゅ、英語でミキソーマ myxoma) 165395249で、その多くは心房中隔という左右心房の間仕切りの左側に発生するタイプです。

私のトロント大学での100例以上の検討(当時世界のベスト3の数と言われました)ではその他の部位にできる粘液腫は悪性の恐れがあり要注意という結果でした。


完全に切除することが大切なのですが、それが普通の方法では難しいこともあります。

場合によっては僧帽弁大動脈基部の一部まで切除して再建、もちろん患者さんご自身の弁を温存して、という弁膜症手術の中でも難易度の高い技術と経験を要するものもあります。

お便り43の患者さんもそのタイプでした。

 

下記の患者さんは心房中隔の表面ではなく中に腫瘍があるという珍しいタイプで、しかも大動脈基部に迫るという危険な形のものでした。

関東在住で現地の大学病院で診断を受けられました。そこの放射線科と内科の先生方も、このタイプは特殊で大動脈弁に腫瘍が及んでいる恐れがあり、心臓手術の際にはくれぐれもご注意をというありがたいコメントも頂いておりました。

その患者さんがかんさいハートセンターまでお越し下さいました。

精密検査ののち、確かに大動脈基部を含めた大きな手術になるかも知れないという見立てで、もともとはポートアクセスによるMICS手術(右胸を小さく切るだけです)を考えていましたが、もしもの場合を考え、正中からアプローチすることにしました。

ただしMICSご希望のため、小さい創で、40歳代の若いご年齢から夏服が楽しめるように配慮しつつ、安全重視の布陣で臨みました。

 

結果的には心房中隔の中でうずら卵状の腫瘍がコロッときれいにとれて、周囲への浸潤つまりしみこむような広がりもなく、良性腫瘍の形でしたので大動脈基部は触らずに完全切除できました。

術後経過も順調で、手術前に不整脈発作がよく出ていたのも次第に影をひそめ、お元気に退院されました。

 

手術のあとで顕微鏡検査の結果が送られてきました。神経鞘腫という世にも珍しい、おそらくこの部位では世界にこれまで1-2例報告あるかないかのタイプでした。

患者さんと娘さんたちの前向きの姿勢が良い結果をもたらしたと言えましょう。

これから元気な健康生活をお楽しみください。

 

ちょっと遠方ですが、お役に立つ外来を心がけていますので、また健診のため関西までお越しください。

 

******** 最初に頂いたお問い合わせメールです *******

初め PL111Aまして。

私の母は四年前に子宮けいがんで子宮全摘しています。

それで抗がん剤などの治療は受けていなくて再発もなく、

でも3ヶ月毎に受けてるCT検査で心臓に腫瘍がある事がわかりました。

再発ではなく原発みたいででも心臓腫瘍も珍しいが

もっと珍しいタイプみたいで粘液を疑っていたんですが

粘液なら左心房にちょこんと出来るみたいだけど、左右真ん中にあり

明後日カテーテル受けるですがリスク高いと言われていて…

カテーテル受けないと手術は出来ないのでしょうか?

よろしくお願いします

********* 術直後に頂いたメールです *********

こんにちは。**です。 PL111B

昨日は手術どうもありがとうございました…。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
米田先生に母をみてもらえて本当に本当に良かったです。米田先生に出会えて良かったです。

昨日のICUでの母との対面は、手術終わったんだなってゆう気持ちと当たり前だけど子宮癌手術よりも昨日受けた心臓の手術のほうが何倍も大変?
な手術で前の手術よりも沢山沢山器材がついていて怖くなってしまいましたが…

私も口唇口蓋裂とゆう病気で全身麻酔の手術沢山受けてるから術後の辛さもよくわかります…。
私の場合は病室戻る時には人工呼吸器も取れているから、実際呼吸器つけてる母をみて怖くて…でも無事に手術終わったって事で安心と恐怖?で涙出てきました…。

今日午前中、母に会ったら会話も出来たし、リハビリで座ってたし本当に良かったです。

米田先生…

母はずっと傷跡の事も気にしていて地元病院だったら沢山切っていたと思うのに
先生に執刀して頂いたお陰で傷跡も母は気にしないでいけると思います。

言葉では上手く言えないけど本当に本当にありがとうございます。

 

********* 退院のころ頂いたメールです *********

 こんにちは。**です。 PL111C

約1ヶ月間母の入院、手術、色々本当にどうもありがとうございました。

米田先生に執刀していただいて本当に嬉しく思います。

米田先生をはじめ、グループの先生、母と関わっていただいた全ての人に感謝します。
本当にありがとうございます。

退院の日、米田先生にお礼の言葉を直接言えなくて残念ですが、米田先生に出会えて本当に良かったです。

ありがとうございます。

外来の日、母と一緒に行きますのでまた先生に会えるのを楽しみにしています。

ありがとうございました。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り109 巨大な心房中隔欠損症などのためMICS手術を

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心房中隔欠損症(略称ASD)はそう怖くない心臓病と思われている 142991182ふしがあります。

しかしその穴が大きく、多量の血液が漏れたり、心臓や肺が壊れてくると危険なことさえあるのです。

つぎの患者さんは50代の男性で働き盛りの中、心房中隔欠損症のため心不全が発生し苦しくなって遠方から米田正始の外来へ来られました。

穴は巨大で、もれる血液が多いことから右心房や右心室も巨大、そのため三尖弁も付け根が広がり強い逆流つまり三尖弁閉鎖不全症を合併していました。心房細動などの不整脈も併発していました。

患者さんが安全に確実にお元気になれるMICSの皮膚切開よう、そして早い時期に仕事復帰ができるよう、ミックス(ポートアクセス)で手術を行いました。

巨大な穴を患者さんの自己心膜で閉鎖し、三尖弁を形成し、右心房のメイズ手術を行いました。

術後経過は不整脈などのため少し時間を要しましたが、おおむね良好で日一日と回復され、お元気に退院されました。

外来でも体力がついてきておられることがわかり、喜んでいます。

以下はその患者さんからのお便りです。これから楽しく活発に仕事や楽しみに熱中してください。

***** 患者さんからのお便り*****

 前略 IMG_0626

朝夕はずいぶんと涼しくなりました。米田先生はじめハートセンターの皆様にお

かれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。

この度は私の心臓手術に関しまして本当にお世話になりありがとうございました。

当初はあまり自覚症状も無く病気に対してただ漠然と考えているだけで月日が経
つばかりでした。

しかし、二年ぐらい前から動悸、息切れなどを感じるようになり、地元病院の先生からも手術の事を促がされるようになり、不安も募ってきて、病気に対して真剣に向き合っていかねばと思うようになりました。

一年前ぐらいから自分の病気がどのようなものであるか、又、それの治療方法、手術と調べるようになり、今年の春先から手術をお願いする病院、先生を捜し始めました。

っと決めかねていた時に、七月初め、米田先生並びにかんさいハートセンターの
事を知りました。目の前が明るくなり、進むべき道が現れたと思いました。そし
て、ここでお世話になり手術受けようと思いました。

とは言っても人生で初めての入院、手術。しかも心臓という事で不安が無かったとは言えませんでした。

も先生に初めてお出会いした時から、判りやすい説明と身近に感じる先生の人柄
で、何の不安も無く手術に望む事ができました。

術後も何らかの症状が出る度に、先生方の説明や看護師さん達の暖かい対応により無事退院を迎える事ができました。

一カ月余りの入院生活を、このような環境の中で、送らせてもらったこと、本当にありがたく思っております。

今退院を終え、長い間頑張ってきてくれた心臓にお礼をいいたい気持ちで一杯です。そして、今回の手術によって、治していただいた心臓とうまく付き合っていけたらと思っております。

これからも、このハートセンターが多くの患者さんを救ってくれる事と信じております。皆様の御健康と御活躍をお祈り申し上げます。

本当にありがとうございました。

草々  

 

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エリザベス・テイラーさん

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報道によれば2011年3月11日に女優エリザベス・テイラーさんが死去されたそうです。79歳でした。死因は心不全とのこと。

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Elizabeth Taylor dies aged 79

Updated 24 Mar 2011, 4:14pmThu 24 Mar 2011, 4:14pm ABC news

Hollywood legend and violet-eyed beauty Elizabeth Taylor, famed as much for her glamorous but stormy love life as her five-decade Oscar-winning film career, has died aged 79.

Taylor, arguably the last great star of Hollywood’s golden era, died six weeks after being admitted to Cedars-Sinai hospital in Los Angeles with congestive heart failure, a condition she had struggled with for years.

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彼女はその1年 LizTayler半前にMクリップによる僧帽弁形成術を受けていました。

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超多忙でストレスも多く、健康管理もむずかしいテイラーさんだったようで、それまでもいくつもの病気と闘いながらの人生で、おそらく普通の心臓手術を受けるには体がついてこられない事情があったのか、あるいはすぐ仕事復帰するにはMクリップのような体への負担が少ない治療法が必要だったのかもしれません。

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ともあれ治療からたった1年半で心不全のためにお亡くなりになるというのは、僧帽弁形成術ではめったにないことで、ご年齢も当時77歳と比較的お若く、ひとりの心臓外科医としては残念に思います。

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Mクリップのような不完全治療ではなく、きちんとした手術を受けておけば、この世紀の大女優は死なずにすんだのではないかと思うのです。

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以下はテイラーさんがMクリップによる治療を受けられたときの報道のコピーです。当時は治療成功を皆で喜び合う状況でした。

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Elizabeth Taylor Prepares For Heart Valve Surgery Via MitraClip
October 6th, 2009

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News wires just came alive with a fascinating story about Elizabeth Taylor’s anticipated heart valve surgery.

 

Although details are still coming out, it appears that Elizabeth Taylor suffers from mitral regurgitation – commonly referred to as a leaky heart valve or mitral insufficiency. Also of significant interest… It appears that the MitraClip, a new minimally invasive technology, will be used to repair Elizabeth Taylor’s diseased heart valve.

 

Here are the details from The Press Association:

 

Dame Elizabeth Taylor is to undergo surgery to repair a leaky heart valve, the veteran actress has announced via Twitter. The 77-year-old called on supporters to pray for her as she explained in a series of messages the procedure to be carried out at an undisclosed hospital.

 

“I’ll let you know when it is all over. Love you, Elizabeth,” the last of three messages on the subject read.

 

The Oscar-winner’s last high-profile appearance was made last month at the funeral of long-time friend Michael Jackson. But it was a rare public outing for the actress who has suffered from a number of ailments in recent years and is now seen in a wheelchair.

 

She was taken to hospital last May for what her publicist described at the time as a routine check-up. After being released from the Los Angeles clinic, she announced via Twitter that she was “home from the hospital and feeling great”.

 

Dame Elizabeth again used Twiter, the micro-messaging site, to give details of her new date with the doctors. She tweeted: “Dear friends, I would like to let you know before it gets in the papers that I am going into the hospital to have a procedure on my heart.”

 

Here is a great video that explains the Mitraclip, the non-invasive device, I believe, will be used during Taylor’s operation.

 

Elizabeth Taylor’s final post explained the surgery: “It’s very new and involves repairing my leaky valve using a clip device [play video above], without open heart surgery, so that my heart will function better. Any prayers you happen to have lying around I would dearly appreciate. I’ll let you know when it’s all over. Love you, Elizabeth.”

 

My thoughts and prayers are with Elizabeth Taylor!

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現代の心臓病の治療は内科と外科とが一緒に 172496525相談し検討を重ねてベストの方法を選んだり組み合わせたりして初めて患者さんのお役に立つ、今はそういう時代です。つまりハートチームですね。

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僧帽弁閉鎖不全症の患者さんにおかれましては内科と外科の両方の意見を聴き、ご自身でもよく考えて治療法を選ばれるのが安全ためお勧めできることです。

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執筆:米田 正始
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お便り108: ポートアクセスで僧帽弁と大動脈弁の同時手術を

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弁膜症の手術・治療は他の心臓手術と同様、日々進化を遂げています。

心臓外科医である私自身がその速さに驚いているほどです。

僧帽弁置換術を上 IMG_0330 (2)回る治療としての僧帽弁形成術

大動脈弁形成術が不適当な場合にそれを上回る大動脈弁置換術プラス将来のTAVI(折りたたんだ生体弁をカテーテルでもとの弁の中に入れることで再手術を回避)、

そしてそれらを小さい創で骨も切らずに行うミックス(MICS)なかでもポートアクセス手術

10年前にできなかったことがすでに自分の中で実現していることに驚きと喜びを感じます。

国内外の仲間たちと切磋琢磨して日々勉強し検討し確認していることのおかげです。

下記の患者さんはそうした新しい弁膜症の手術を受けられた方々のお一人です。60歳前後の患者さんで関東からお越し下さいました。

少ない痛み、早い回復と仕事復帰、社会復帰、きれいな創でこころに傷をつけない、こうしたことを実現でき、かつワーファリン(血栓を予防するお薬です)の不要な手術、しかも将来の再手術が回避しやすい、長期プランを考慮した手術ができ、患者さんとともに喜べることを心臓外科医冥利と感謝しています。

以下はその患者さんからのメッセージです。

また外来で再会できるのを楽しみにしております。

 

****** 患者さんからのメッセージ******

心臓弁膜症で手術が必要と言われた方々へ

私の場合は、地元の病院で人間ドックを受けた際に、
最後の問診の時に聴診器を当てられ、「心雑音があるので、
内科で精密検査を受けてください」と言われたのが、
最初でした。

その後、半年の経過観察の後で、症状の進行が見られ
担当医の先生から、「僧帽弁の逆流が激しいので、
このまま放置しておくよりも、今の段階で手術をした方が
心不全などのリスクも解消し、術後の経過も良いですよ」
と言われました。

自覚症状も言われてみれば少し息が切れるかな、程度であったため、
「なんでそんな。しかも心臓の手術?」と愕然としたことを覚えています。
その後、「これも神様がくれた試練」と思い直し、心臓弁膜症の手術とは何か
の情報をできる限り集めました。

その結果、一般的な正中切開に加えて、MICSというダメージの少ない方法があり、
中でもロボットやポートアクセスという方法があることを知りました。

私の場合、できる限り早く社会復帰したいし、家族とのハイキングや
スポーツも楽しみたいとの願望があったため、余程の困難な手術でない限り
MICSでやっていただけるところを探しました。

最初は、自宅近くの病院に狙いを定め、受診したところ、心エコーにて
大動脈弁の方の逆流のジェットも激しいことが指摘され、その場合、
僧帽弁に加えて大動脈弁の方も手当てしなければならないくなるので、
正中切開となる可能性がありますと言われました。

その時は、「仕方がないか」と諦めかけましたが、色々と調べた中で
最も参考になった米田先生のホームページに戻り、
メールでご相談したところ、すぐに
「外来の予約を入れてください。遠方なので一日で必要な検査が済むようにしましよ
う」
との返事をいただきました。

実はドキドキしながら返事を待っていたのですが、大変丁寧で分かりやすい返事を、
しかも米田先生ご本人からいただけたことに感激し、やっと探し求めていた先生に
巡り会えたと思いました。

外来受診の日を迎え、色々な術前検査をした結果、やはり僧帽弁に加えて
大動脈弁の方も手当てが必要で、こちらは弁置換となる可能性があるとの説明を受け
ました。

一か月後には入院し、いよいよ手術となりました。

前日には、家族も含めて、米田先生からインフォームド・コンセントの説明として、
僧帽弁形成術と大動脈弁置換術をポートアクセスで行うことや、
手術に伴う合併症等のリスクについて、詳細な説明をしていただきました。

さて、もうこうなったら「俎板の鯉」です。
自分がこれだと思った方法と、先生と、病院なので、後はすべてお任せです。

ですので、手術前夜はぐっすり眠れ、普段通りに起きてトイレに行き、そうこうして
いるうちに
点滴が始まり、家族に見守られながら手術室に入りました。

手術室の印象は、最新の機器や設備、モニター群や照明、
緊張感とやさしさが感じられるスタッフやドクターの先生方です。
深い眠りだったようで、手術中のことは一切覚えていないですが、
目が覚めたらICUでした。

手術後に、米田先生から家族に対して手術が成功したことの説明があったようです。

手術から二日後には、ICUから一般病棟に移りましたが、ICUに居る時からリハビリが
始まり、
喉の管や頸の点滴も取れ、次々と身軽になっていきました。

手術の時は肺を萎ませていた影響で、最初は少し息苦しさを感じましたが、
日毎に回復するのが分かりました。

一般病棟に移ってからも、赤褐色の痰を出したり、寝返りを打った時に右胸に痛みを
感じたり
しましたが、痛み止めや睡眠導入薬を使うことで、乗り切りました。

手術後3日目にはドレインと尿管が取れ、5日目にはすべての管が取れました。

6日目のリハビリから自転車漕ぎが始まり、病院一階のローソンまでアイスを買いに
行きました。

自分でもこんなに順調でいいのかと思えるほどの回復でしたが、
日毎に気力も充実し、同室の方や看護師の方と冗談を言えるまでになりました。

自宅が遠方とのことで、少し余裕を見て、手術後13日目となる日に退院しました。

高の原中央病院の印象は、病院らしい病院で、清潔さや衛生管理も行き届いており、
スタッフの方々もプロ意識や患者目線でのホスピタリティーに溢れています。

中でもかんさいハートセンターのスタッフの方々はとても活気がありました。
また、私には病院食も大変おいしく感じられ、快適な入院生活を過ごすことができま
した。

この手記を書いている今日は、手術後25日目ですが、昨日は仕事で外出までこなせ
るまでになりました。

この手記が、これから心臓手術を受けられようとされている方々にエールを送ること
ができれば幸いです。

 

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お便り107: 収縮性心膜炎を合併した慢性血液透析の患者さん

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収縮性心膜炎(略称CP)の原因はいくつも知られていますが、慢性腎不全・血液透析もそのひとつです。

IMG_2111bおそらく心膜炎を繰り返しているうちに心膜が変化を起こすものと考えています。

いずれにせよ、心不全が重くなれば心臓手術が必要となります。

下記の患者さんはお若くして血液透析が必要となり、

その後上記の収縮性心膜炎を合併された40代後半の関東在住の女性です。

***** 患者さんからのお便り 1*****

はじめまして。
突然のメールにて失礼します。

当方、**県在住の****と申します。

私は199*年にIgA腎症となり、200*年に腎不全へ進み人工透析導入、200*年に生体腎移植するも、20**年に人工透析再導入となりました。

1年程前に心外膜の石灰化が見られ、経過観察となってましたが、症状が進み、一昨日はカテーテル検査もしました。収縮性心膜炎と診断が確定され、それもかなり良くない状態で手術の話も出ております。

血圧が上50 台、下が20台ということも頻繁にあり、アベレージでも上が60台で、特に透析した日は息苦しさと立ちくらみが続きます。

アベレージ血圧が確実に下がってきていることもあり、自身の希望では症例の多い病院、先生に一日も早く手術をしていただけたらと思います。

(担当の循環器内科の先生は私自身が納得のいく先生に手術してもらうのが一番良いと、おっしゃってくださってます。)

現在、**県在住で東京都内の**大学病院にかかっておりますが、貴院で手術をお願いすることは可能でしょうか?

また、可能でしたら、どれくらいのタイミングで手術可能なものでしょうか?
おおまかでも構いませんので、ご教示頂きましたら幸いに存じます。

どうぞよろしくお願い致します。

*******************

血圧が低下し、透析ができなくなりつつある、危険な状態ですし、熟練した心臓外科医が手術する意義は大きいため、さっそくお返事を出しました。

まもなく米田正始の外来へ来られました。

予想どおりの重症の収縮性心膜炎でした。

まだ比較的お若いご年齢と、今後もし心臓や血管に新たな病気が起こった際に手術がやりやすく安全なようにと、ミックスMICSとくにポートアクセス法で心膜切除をすることにしました。

私自身、トロント時代に左開胸でこのオペをしたこともあり、現在は僧帽弁形成術などでポートアクセスを多用していて熟練の強みもあり、そうすることになりました。

心膜切除手術はうまく行き、取るべき肥厚・石灰化心膜はほぼすべて取れました。左室の裏側や右室とくに根本の部分から右房や主肺動脈まできれいになりました。

右房圧や右室圧その他血行動態も正常化しました。

お元気に退院されてから下記のお便りを頂きました。

***** 患者さんからのお便り2 *****
 

拝啓  米田先生におかれましては、ますますご壮健のこととお慶び申し上げます。

 過日の入院、手術に際しましては、大変良くしていただき、ありがとうございました。

 先生にはメールでのご相談の段階から迅速なご対応をいただき、また、術式などいろいろとご検討いただいたおかげをもちまして、回復も早く、心より感謝しております。

手術の傷跡も思ったより小さく、痛みも無く、米田先生にお願いして本当に良かったと主人と日々話しております。

また、心臓血管外科の先生方、看護師の皆様、リハビリを担当していただいた皆様などにも、心のこもったご対応をいただきました。

よろしくお伝えくださいませ。

 来月初めには受診で伺いますので、今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。

 書面にて失礼いたしますが、取り急ぎご報告と御礼申し上げます。

平成二十六年*月*日

*******************

それから1か月あまり経ってからまた患者さんからご連絡があり、発熱してどうやら手術部位が感染したようだ、再手術が必要かもしれないと主治医に言われたとのことでした。

術後1か月半も経っ
てからの感染は稀であり、かつMICS手術の経験のないチームで再手術は危険なためかんさいハートセンターに再入院して頂きました。

幸い手術部位の感染ではなく、お薬でまもなく全快し、元気に退院されました。

患者さんを真に守ることができるのは熟練チームならではのこととあらためて思いました。

患者さんにはこれから元気で楽しく過ごしていただければ幸いです。また奈良のほうへお立ち寄りください。

 

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収縮性心膜炎のミックス手術

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収縮性心膜炎SSSHC141略称CP)は心膜の病気とは言え恐ろしいものです。

というのは心膜が鎧(よろい)あるいは卵の殻のように厚く硬く石灰化すると重症心不全になりますし、そのために肝臓その他の臓器がやられます。いのちにかかわることも少なくありません。

治療は軽症のあいだはお薬その他で水があまり貯まらないように、肺その他がなるべくうっ血しないように、二次的な肺炎その他の病気を予防するなどします。

しかし重症になるといのちの危険性から心臓手術が必要となります。

術式は心膜切除つまり厚く硬くなった肥厚心膜を丁寧に剥がして切除することです。

その場合、左心室や右心室を覆う心膜を完全に除去するとともに、できれば左心房や右心房にもなるべく負担がかからぬよう、しっかりと切除することが大切です。

私たちはこの収縮性心膜炎(CP)の外科治療をつぎの原則をもとにしてFotosearch_CCP01063組み立てています。

1.きちんと肥厚心膜を切除する。心臓の裏側や横隔膜面、横隔神経の背中側まで、必要に応じて対処できること。

2.原則として体外循環を使わないオフポンプで

3.なるべく創が小さいミックスMICSで。できれば侵襲が少ないポートアクセス法で

 

これまで標準アプローチは胸骨正中切開という、胸の前真ん中を縦に二分するような切り方でした。この方法の弱点があるとすれば心臓の裏側、左室後壁がやや盲点になりがちなことです(下図の左)。

CPのミックス皮膚切開左胸を開胸するMICS(ミックス法)(左図の右)では左室エリアの剥離は後壁も含めて比較的視野が良いです。しかし世間一般には右房までやや届きにくい傾向があり、右室などの心基部の剥離が不十分になる懸念があります。

いずれの場合でも体外循環を使えばやりやすくなりますが、出血が増え、それが将来の収縮性心内膜炎の再発原因になりかねないうえに、からだへの負担が増えて危険性が上がるためできるだけ体外循環を使わないオフポンプが望ましいと考えています。

またこれまでも他病院で心臓の裏側は心膜切除できないといわれて私のところへ逃げるようにしてこられた患者さんもおられます。裏側の処理ができない病院では不十分手術となり将来の再発が心配です。

私たちはオフポンプバイパス手術の技術を応用して、心臓を安全にひっくり返し、裏側の心膜を切除するようにしてきました。

しかし胸骨正中切開では骨を切るため術後の痛みもやや強く、仕事復帰も遅くなりがちです。そこでミックス手術を考慮するようになりました。

IMG_0361bそのなかでも一番傷跡(外科では創と書きます)が小さく体への負担が小さいポートアクセス法で収縮性心膜炎の手術を行うようにしています。この場合も右房右室がしっかりと剥離できるよう、ミックスの経験を活かして視野確保をしています。

写真右はその一例です。胸を持ち上げなければ創はほとんど見えません。

安全第一ですので、通常の心房中隔欠損症ASD僧帽弁形成術大動脈弁手術などの傷跡よりはやや大き目ですが、あまり目立たず、骨を切らないため痛みが少なく、あとの回復も良いという利点があります。

これから収縮性心膜炎の手術も進化していきます。高い質を維持しつつ、より安全により早い仕事復帰をめざします。

 

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ポートアクセス法による大動脈弁形成術 【2022年最新版】

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最終更新日 2022年2月4日

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◾️大動脈弁形成術のメリット

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大動脈弁形成術は若い患者さんたちにとって大きなメリットがあります。

IMG_1808bというのは手術のあと、ワーファリンが不要ですし、生体弁よりも長持ちするからです。

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生体弁は70代なら20年近く持ちますが、10代なら10年も持たず、弁形成術に大きな有利さがあります。自己心膜による弁再建も10年を超えるようなデータの蓄積がなく、現時点では主流にはなり得ない状態です。

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◾️ミックス(ポートアクセス)での大動脈弁形成術

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しかし若い患者さんたちは将来があるため、なるべく創が小さく、痛みが少なく、仕事復帰も早いポートアクセス手術を希望されるものです。そこで僧帽弁形成術に対してはポートアクセスのミックス(小切開低侵襲手術)を積極的に活用し実績を上げて来ました。

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経験の蓄積により、大動脈弁形成術とポートアクセス法は必然的に合体することになり、この10年ほどは積極的に行うようになりました。患者さんの笑顔が二倍になると言ったらちょっと言い過ぎでしょうか。しかし大変喜んで戴いています。女性患者さんはもちろんのこと、男性患者さんの評判も上々です。

ちいさい傷跡のおかげで、心の傷跡も小さい、そう感じます。

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写真右上はポートアクセス法での大動脈弁形成術 後の創です。もちろん骨はまったく切っていません。真夏の日焼けのあとがどこか楽しそうですね。

当初は30代までの若者を中心にこの方法を使って参りましたが、ノウハウの蓄積で現在は70代ぐらいまでの患者さんにも適宜活用しています。

ただし大動脈の硬化が強い方や、弁尖の破壊が進み弁形成が複雑な場合など安全に懸念がある場合はポートアクセスより一段通常切開に近い方法などを選ぶことがあります。やはり安全第一の原則は最重要ですから。

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◾️大動脈弁形成術のやり方は同じです

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ポートアクセス法で、、といっても大動脈弁形成術のやり方は同じです。

Effective Height2弁尖つまりひらひらと開閉する部分が垂れ下がっていればそれを正しい高さに調整し、

弁輪つまり弁の付け根の部分が拡張しておればこれを適正なサイズに直す、

もちろん弁尖に穴があくなどしておればそれは心膜パッチなどで修復する、

いずれもこれまでの大動脈弁形成術を踏まえた、正統派の方法です。

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この道の権威、ドイツのシェーファーズ先生の方法を活用して右図のような計測を行い、できるだけかみ合わせが深く、安定度が良いように工夫します。

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とくに右図でeH(effective height つまり有効弁尖高)と示す、いわば弁尖の高さをなるべく確保するようにしています。

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さらに二尖弁などで時々見られる弁尖が巻き込んで変化している、いわゆるenrollと呼ばれる状況のときにも、これをもとに戻して弁尖の高さを稼ぐようにしています。

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弁尖そのものの高さ・サイズ、右図でgH (geometric height つまり弁尖そのものの背丈)が不足気味なときには図のAVJやSTJを調整し、その他の方法も適宜駆使して弁尖がしっかりと閉じ、かつ楽に開く、そのように弁を造り上げます。

 

趣味的な職人芸のように聞こえるかも知れませんが、なにしろ若い患者さんの、永い人生を支える弁を造る、つまり患者さんの人生がかかっているわけですから、本気で修復するのが患者さんへの礼儀と心得ています。

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◾️弁形成術が適応にならない場合は

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その一方、大動脈弁形成術が適応とならないような、弁がひどく肥厚硬化し、あるいは短縮や石灰化やちぎれるなどの変化を来した患者さんに対しては

Ilm17_ca07020-s1.自己心膜をもちいた大動脈弁再建(いわゆる尾崎法)か

2.ポートアクセスで生体弁をもちいた大動脈弁置換術を行っています。

もちろん生体弁の場合は将来再手術の必要が生じたらTAVIつまりカテーテルで入れる折りたたみ生体弁で再手術を回避できるように工夫しています。

こうしてさまざまな患者さんの多様なニーズにお応えできるように徐々に進化をしているわけです。

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■読み物

日記:アジア心臓血管胸部外科学会にてーー雑感とともに

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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バルサルバ洞瘤へのミックス手術 【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月28日

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◾️バルサルバ洞瘤へのこれまでの手術は

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バルサルバ洞瘤は比較的珍しい病気ですが、 バ洞破裂いったんこれが破裂すれば、患者さんは急性心不全やショック状態となり、いのちにかかわることさえあります。

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このバルサルバ洞が破れれば、多くの場合手術が必要です。右図にその破裂パタンを示します。しかしバルサルバ洞組織は弱いため、手術の後の再発、再破裂の報告が少なくありません。

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しかもこのバルサルバ洞瘤の手術はほとんどの病院で、胸骨正中切開で手術が行われています。つまり皮膚切開は通常どおり胸の真ん中で大きな切開、たとえば長さ20-25㎝にもなります。

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これまでは安全第一、内容第一ということで創は気にしないという風潮が強いでした。現在も同じです。

しかしバルサルバ洞の手術を受ける患者さんの多くは10代ー30(40)代の若者です。そうした若者にあまり大きな創で、心にまで傷をつけることを私は好みません。

私たちは安全性ときれいな創を両立させたいということから次の工夫を重ねて来ました。

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◾️そこで工夫を、まず安全性から

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%e8%ab%96%e6%96%87264figure%e3%81%8b%e3%82%892まず安全性では、世の中でときどき見られる、バルサルバ洞瘤を修復したところのすぐ隣が破れて病気が再発したという問題を大動脈基部再建の方法をもちいて解決しました。

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この新しい方法はすでにトップジャーナルにも掲載され、今後の展開が期待されています(英語論文264番をご参照ください)。右図にその方法の一部をお示しします。つまりバルサルバ洞の脆弱な組織を使わずに、しっかりした組織(例えば弁輪など)だけを活用して穴を遠巻きに閉じるのです。

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これまで全例、きれいに一発で修復することができています。中には他病院で手術を受けたがうまく行かず、私たちのところで治った患者さんも複数おられます。

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◾️ついで目立たない小さな傷跡の手術を

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IMG_0069bつぎにきれいな創について、この安全なバルサルバ洞の修復再建法をきれいな創でできるように工夫して来ました。そこでポートアクセス法やその他ミックス法を応用して正中で小さい皮膚切開で手術できるようにしました。

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この結果、若い患者さんはのびのびと夏服やTシャツを楽しめるようになりました。近い将来はポートアクセス法でも手術できるかも知れませんが、現在のところ、あまり無理はせず、確実に、かつきれいにというポリシーで上記のミックス手術を行っています。

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患者さんからは、バルサルバ洞瘤破裂という難しい手術をこんなにきれいな創で治してもらえてうれしいとよく言われます。

今後もこうした方針で手術法を改良していくつもりです。皆様のご意見を頂けましたら幸いです。

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患者さんの想い出はこちら:

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執筆:米田 正始
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ポートアクセス法のMICSにかかる費用は?【2022年最新版】

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最終更新日 2022年2月4日

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ズバリ!追加出費はありません。

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◾️ポートアクセス法などのMICSはIMG_1901b

ポートアクセス法に代表されるミックス(MICS)は創が小さく目立たず、社会復帰・仕事復帰も早いため喜ばれています。

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よく戴くご質問のなかに、ポートアクセス法(写真左は正面から見たものです、創はあまり見えません)やミックス手術では費用が余分にかかるのでは?というのがあります。

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幸いなことにポートアクセス法MICSでの僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは僧帽弁置換術大動脈弁置換術はいずれも完全に保険適応で、通常の心臓手術とくらべて患者さんの負担が増えることは一切ありません。

IMG_1902b

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都道府県によって多少の差はありますが、通常7万5千円+食費などの負担だけで、実質300-500万円の医療費のほとんどは保険から支払われます。今後も守るべき、世界に誇る日本の保険制度の良き一面です。

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心房中隔欠損症左房粘液腫などの心臓手術も同様で、負担はまったく増えません。

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◾️正中で切開するタイプのMICSでも?

ポートアクセス法MICSが適応にならない、つまり心臓の真ん中から左側などを治す手術では胸骨部分切開のミックス手術や皮膚を小さく切るミックス手術を行いますが、この場合も 患者さんの負担はまったく増えません。

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たとえば2弁手術、3弁手術、デービッド手術、ベントール手術、さまざまな成人先天性心疾患の手術たとえば心室中隔欠損症、右室二腔症、バルサルバ洞破裂、動脈管開存症その他の手術でもミックス手術を行っていますが、通常の保険診療と負担は変わりません。

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ミックス手術やポートアクセス法(右写真は斜め方向から見たものです)で創がきれいだからといって患者さんの負担が増えることはありません。

ロボットとLSH_3.

◾️ロボット手術との違いは

ロボット手術は200万円ー300万円の自己負担が必要でしたが、現在は保険適応となりました。しかしロボットの腕の部分などの高価な部品は定期交換が必要なのに保険は効かず、結局は部屋代その他の形で患者さんの負担になっていると言われています。

ミックスは仕上がりではどちらが上かわからないほどきれいです。ロボット手術では副次創と呼ばれる小さい穴がいくつもでき、創の面積では大きくなるからです。
私たちが行っているMICSはスピードが高いため安全性でもそん色ありません。

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ということで、患者さんにおかれましてはお金の負担増の心配なく、安全にきれいに病気を治すことに専念して戴ければ幸いです。

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参考ページのIndex:

MICS(ミックス手術)とは

とくにポートアクセス手術とは
ハートポートとは
ポートアクセスの位置づけ
それが前向きに安全な場合
美しいLSH法とは
ミックスは危険なの
術後の痛み軽減について
社会復帰が早いわけは?
美容について
胸骨「下部」部分切開法とは
ビデオ ポートアクセス法による僧帽弁形成術
ビデオ 連合弁膜症のご高齢患者さんへのミックス法・3弁手術

僧帽弁

ミックスによる弁形成

  同、弁置換

ポートアクセスによる弁形成術

メイズ手術

大動脈弁

ミックスによる弁置換

ポートアクセス法による弁置換術

ミックスによる弁形成

ミックスでのデービッド手術

三尖弁

ミックス法による弁形成術
患者さんやご家族からのお便り

お便り43 がんの手術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん

お便り46 遠方からご自分の信念で来院下さった患者さん

お便り48: ミックスですみやかに社会復帰された患者さん
お便り50: 大動脈二尖弁と上行大動脈瘤の患者さん

お便り54: ポートアクセス法で弁形成術を受けた若者患者さん

お便り59: 被災地支援へ!同法の弁形成術を受けられた患者さん

お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん

お便り62: 同、弁形成術と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん

お便り63: ポートアクセスの複雑弁形成術を受けられた患者さん

お便り65: 同法による弁形成術で元気になられた患者さん

お便り66: バルサルバ洞破裂と心室中隔欠損症などを克服した患者さん

お便り67: ミックスで右室二腔症の手術を受けられた患者さん

お便り68: ポートアクセス法の弁形成術を受けたバーロー症候群患者さん

お便り70: 自己心膜で大動脈弁形成術(再建術)をミックス法で受けた患者さん

お便り71: ミックス手術で大動脈二尖弁形成を受けた15歳の患者さん

お便り72: 二弁置換とメイズ手術をミックス法で受けた患者さん

お便り73: リウマチ性連合弁膜症と心房細動をミックス法手術で克服

お便り74: ポートアクセス法で僧帽弁形成術とメイズ手術を受けた患者さん

お便り78: ベントール手術をミックスで受けられた患者さん

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り92: ポートアクセスで大動脈弁置換術を受けられた患者さん

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大動脈弁狭窄症は心臓の出口が狭くなるため、重症になれば突然出口がふさがった形となり心臓が止まることがある病気です。つまり突然死の恐れがあるのです。


A335_017しかし普段、休憩などしているときにはそう苦しいわけではありません。あまり無理をしなければ症状がないことが多いのです。だから患者さんは油断しがちで、突然何か驚くとかびっくりするとか、無理をすると心臓が止まるのです。

下記の患者さんはかなり進んだ大動脈弁狭窄症のためまえもってメールで相談され、まもなく私の外来へ来られました。

大事な発表会が終わってから手術を受けたいと言われましたが、発表会の緊張する場面や、その練習の段階で突然死などが起こる恐れがあったことと、すぐ手術すればゆうゆうと安全に発表会に臨めるタイミングでもあったため、手術をお勧めしました。

私たちがちからを入れているポートアクセス法という、ある種のMICS(ミックス)手術なら、一般の病院で行う心臓手術と違って、創も小さく見えにくく、かつ骨(胸骨)を全然切らずにすむため、回復が速く、発表会に間に合ううえに、安心して発表できるというおまけまでつくと判断したのです。

弁そのものは硬く変性していたため人工弁に代えるか、ご希望があれば自己心膜で弁を再建するかの選択枝がありましたが、患者さんのご希望にてポートアクセス法での人工弁(生体弁)手術つまり大動脈弁置換術に決定しました。

手術はスムースに進み、翌日から歩行や運動を開始され、まもなくお元気に退院されました。創は外からあまり見えず、まさか心臓手術を受けたとはだれも思えないほどでした。

以下はその患者さんからの感謝状です。

 

********** 患者さんからのお便り ********

 

米田正始先生

手術をしていただいてから一ヶ月がたちました。
お蔭様で、順調に回復し、7月21日のフラの発表会に向けて練習を始める事ができるようになりました。
初めて先生の外来でお会いして、発表会が終わってから手術をお願いしたいと申し上げた私に、先生は突然死の不安を抱えながらそれでいいの?早く手術をして、何の不安もなく、せいせいおどった方がいいでしょ、とおっしゃって、お忙しいスケジュールの中、5月13日の手術日を決めて下さいました。

私が大動脈弁狭窄症と診断されてから9年たちます。

六カ月ごとに市立病院で、心エコー、心電図、レントゲン、血液検査をしていただき、今年の2月の検診の時、そろそろ手術適応の範囲内に入ってきたので、4月にカテーテルをやる日を決めて、手術しましょうと言われました。

以前から、ネットで米田先生のウェブを見て、弁手術にはカテーテル検査は必要ないと書いてあったのが頭に残っていましたし、手術していただく時は、自分の身は自分で守りたいので、自分の納得する先生に手術をして頂きたいと思っていました。

思いきって、4月の検診日に主治医に名古屋ハートセンターの米田先生に紹介状を書いていただきたいとお願いしました。

紹介状をいただいたものの、スーパードクターにどのようにお伝えしたらいいのか?悩んだ末、思いきってメールをしました。たぶんお返事を頂けたにしても、何日もたってからだろうと思っていました。

その2~3時間後に、先生からメールをいただき、外来へいらっしゃいとの事。
あまりにも速く対応していただき、おどろきと嬉しさで涙があふれてきました。

4月17日、初めて病院へ行き、明るく、清潔で、病院とは思えない雰囲気で、先生、看護師さん、スタッフの皆さんが笑顔で優しく接して下さりほっとしました。

診察室に入り、米田先生にお会いして、丁寧な説明をしていただき、すべて、先生にお任せしようと決心しました。
それから手術日まで、不思議な位手術の不安はありませんでした。

無事に手術をしていただき、すばらしい先生、スタッフのみな様にお世話になって、普通なら一日も早く退院したいと思うでしょうが、そんな気持ちには全然なりませんでした。

そして、こんなに早くフラに復帰出来、家族の為に働けるのは、米田先生始め、すばらしいスタッフのみな様の愛ある医療のお陰と感謝しております。

先生、毎日御多忙だと存じますが、くれぐれもお身体ご自愛くださいませ。

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