岐阜ハートセンター

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Btn_ghc岐阜ハートセンター(左図)は豊橋ハートセンターの三番手として、豊橋ハートの患者様第一の精神をもとに2009年2月に岐阜県岐阜市、岐阜県庁の近くにオープンした。

以前から岐阜で活躍し地域の厚い信頼を受けておられる上野勝己先生(院長)を中心に、

同じく岐阜で多くの実績を積まれた松尾仁司先生(副院長)らが結集し、

さらに私の長年の友人・後輩でもある心臓外科の富田伸司先生が加わって、さながら岐阜の循環器実力派のオールスターのような雰囲気になった。

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そこへ豊橋ハートセンター(写真右)の鈴木孝彦先生、加藤修先生をはじめとした面々や外科からは大川育秀先生がスーパーバイザーとして支援され、

私(米田正始)も名古屋ハートセンターで仕事をする傍ら、及ばすながらその一員として多少とも尽力させて戴いている。

 

医療費削減政策が実行されて年余が経ち、病院間の競争が激しく、経営も大変な今日だが、

患者さんを365日24時間体制で受け容れ、かつ温かい雰囲気の中でハイレベル治療ができる施設は必ずしも多いとは言えない。

患者さんから見れば、まだまだ医療過疎と言わざるを得ない状況がそこにあるとよく耳にする。

つまり岐阜ハートセンターが患者さんや地域に貢献し喜ばれる余地が十分あるわけである。

 

はたして開院後、岐阜ハートセンターは多数のカテーテル治療心臓外科手術などの実績を積み上げ、すでに地域医療に定着して発展を続けている。

 

Person_0116私個人は海外での長年の経験から、公的病院とくに大学病院と柔軟な私立病院は補完的立場にあり、協力しあうことがそれぞれの持ち味を一層引き出すことになると確信するものである。

心臓外科を例に取れば、日本の国立大学病院は多くの場合、手術室が使える日が限定されており、心臓手術を必要とする患者さんがいても病院内部の都合でそれがすぐ提供できないことが多い。

それをハートセンターに代表される私的病院なら受け入れ患者さんのニーズにこたえることができる。

経験豊かな先生の場合は大学病院の先生がハートセンターで腕をふるうこともでき、

その経験やデータは教育や研究にも活用できるし、理にかなった報酬も得られるのである。

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病院同士はたとえ大学の関連病院同士でもライバルであるが、

医師同士は仲間・友人であることを考えると、

国公立大学病院とハートセンターなどの私的病院は有機的協力がもっともしやすいパートナーなのである。

このことは先進国では常識である。

 

岐阜でもこうした世界の常識、それも患者さんに益する協力ができ、患者さんも地域の方々も医療者も張り切って暮らせるようになることを期待するものである。

またその中で岐阜ハートセンターが高い評価を得て発展することを期待したい。

2009.10.記


追記: 2013年10月から米田正始は郷里の奈良にある高の原中央病院に新しく「かんさいハートセンター」を立ち上げました。

これまでのハートセンターとの協力関係は続けつつ MicsAVR、新しいセンターにてたとえばポートアクセス法などのミックス手術(右図、創が小さく社会復帰が早いです)、複雑な僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは左室形成術などでとくにお役に立てれば幸いです。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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名古屋大学病院

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名古屋大学心臓血管外科および血管外科は、伝統ある名古屋大学医学部の胸部外科と外科教室が何度かの再編成ののち現在の心臓血管外科と血管外科その他に分化発展したと聞いている。

濃尾平野の全域にわたって多数の関連施設を有して大きなグループを形成し、幾多の優れた人材を輩出している我が国屈指の有力なグループである。

新研修制度に近いものを遥か昔から実践してこられた点でも進取性を感じる。

 

現在の心臓血管外科教授の上田裕一先生が天理よろづ相談所病院でシニアレジデントあるいはスタッフとして活躍しておられたころ、

著者はジュニアレジデントあるいはシニアレジデントとして医学の勉強から心臓手術手技の習得さらに外科医・臨床医の生き方、果ては遊び方までご指導頂いた御縁がある。

さらに著者が京都大学病院で仕事していたころに、その有力関連病院であった天理病院を部長としてご指導頂いた御縁も加わり、著者がたまたま名古屋地区で仕事するようになった現在も同先生とは親しくさせて頂いている。

 

血管外科の古森公浩教授にも以前からお世話になっている。

著者が京都にいたころには再生医療の講演でも来て戴き、学会などでも当時の弟子ともどもご指導頂いたものである。

 

著者(米田正始)が現在主たる仕事場としている名古屋ハートセンターは、そのルーツである豊橋ハートセンターの哲学を継承し、特定の医局に属さない自由独立した存在がモットーである。

そのため名古屋大学を含めた特定の大学の関連施設ではないが、

大学と民間専門施設のそれぞれの特長を活かした協力・連携関係を昔から考えて暖めて来たため、現在それらの考えを少しずつ模索しつつあるところである。

 

たとえば大動脈へのステントグラフトEVARTEVAR)や血管新生・再生医療では名古屋大学の心臓血管外科・血管外科チームに治療をお願いしており、また若手の研究室での実験研究希望があれば同様にしたく考えている。

その一方、ハートセンターの足腰の強さと柔軟性を活かし、大学病院ではこなし切れない緊急手術などがあれば、ハートセンターがその受け皿となるべく努力している。

また名古屋大学心臓血管外科の関連施設の外科医にも同様に交流を持たせて頂いている。

もちろん学会や研究会などの学術活動では名古屋大学の存在は心強い限りで、同大学心臓血管外科が主催しておられる地域の研究会にも世話人として参加させて頂いている。

 

欧米の先進国でよくみられる、公的病院と私的病院の有機的結合がこの国でも自由にできるようになれば、患者さんにも益するところが大きいし、

医師にとっても研究と臨床の両立、そして国際水準からみた医師らしい待遇と生活の安定いう観点からも有意義であろう。

日本の大学では医師も教官であり、医師としての厳しい勤務と重い責任にふさわしい待遇は得られないからである。

先進国では懐に余裕のある患者さんはやや多い目の保険料を支払い、その分医療機関や医師を選択できる範囲が広くなる。

その多めの保険料で生じた余裕は、経済的に余裕のない一般保険の患者さんたちへ還元される。

 

こうした公的病院と私的病院の好ましい有機的協力関係を求めつつ、

名古屋大学心臓血管外科教室・同血管外科教室との連携を進めたく希望している。

 

2009.10.記

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執筆:米田 正始
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豊橋ハートセンター

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鈴木孝彦先生豊橋ハートセンターは約10年前、当時国立病院豊橋東病院循環器科で活躍して大川育秀先生おられた鈴木孝彦先生(写真左)が、

同病院心臓血管外科で名を上げておられた大川育秀先生(写真右)および製薬会社にて勤務しておられた白川洋之さんと協力し、

心臓病治療のための患者中心かつ本物の専門施設をという共通の夢をもって開設された専門病院である。

当初は19床のクリニックサイズでスタートし、次第に発展拡大し、現在60余床の、この国を代表する心臓専門病院へと成長して行った。

 

豊橋ハートセンター著者(米田正始)は京都大学病院に勤務していたころから時折この豊橋ハートセンター(写真左)へお邪魔し、何度かライブ心臓手術などをやらせて頂いたが、

そのころから忙しくても仕事のしやすい病院、医師としての喜びを満たせる病院(つまり患者さんに必要な治療を必要な時にだれに遠慮することもなく実施できるという喜び)という印象を持っていた。

 

2007年春からこの豊橋ハートセンターで非常勤ながらスーパーバイザーとして仕事をさせてハートセンターは忙しくてもやりがいがあります頂くようになり、

京大病院を去る2007年9月から半常勤の形でより積極的に関与させて戴いた。

個々のスタッフの熟練度の高さ、優秀さ、プロ意識、仕事量、喜びと明るさは、すべて、国立の施設にいた人間にとっては眼からうろこの連続であった。

自分も含めて国立の施設の職員は給料どろぼうではないかとさえ思ったほどであった。

さらに私の関係で京都や大阪からはるばる豊橋まで来院して下さる患者さんの多くが、

遠いところまで来た甲斐があった、ここは素晴らしい病院ですと言って下さり(「患者さんの声」のページをご参照下さい)、ますますこれまでの怠惰を反省する始末であった。

 

もちろん厳しい医療費抑制政策の中で、

民間施設が公的資金の援助なしで立派に運営し、24時間365日体制で患者さんを守ることの経営上の大変さも学ぶことができた。

 

名古屋ハートセンターその豊橋ハートセンターがさらなる発展を期して大都会名古屋と元来のサポーターの多い岐阜に進出するという話をお聞きし、願ってもないことと、参画させて戴くことになったのが2008年であった。

著者は縁あって名古屋ハートセンター(写真左)担当となったが、

現在も豊橋との交流を密にもち、開設時のスピリットを忘れないように心がけると同時に、

その壁を破り、新しい時代の都会の高度専門診療を加味できればと思うこの頃である。豊橋ハートの女サムライです。実力派です

 

豊橋ハートセンターのサムライですこの6月に豊橋ハートセンター10周年の記念式典が豊橋にて行われた。

親戚のような立場で参加して、懐かしい仲間との旧交を温めることができた。

個人的に最も感動したのは豊橋ハートセンター開設時からのサムライ職員全員が壇上に立たれた時だった。

最後にものを言うのは人材の質、とくに技(わざ)と心(こころ)であり、こうしたサムライがいることが豊橋ハートセンターを群を抜く存在にしたということを実感した。

医療崩壊を起こしている施設とは反対の状況がそこにあった。

またそうした人材を育てられた鈴木先生や大川先生らの力量と御苦労に感嘆した。

 

ハートセンターグループのルーツである豊橋ハートセンターが今後も充実発展することを楽しみにするものである。

 

2009年9月記

追記: 20 Cameraroll-1323102669.27103612年4月から米田正始は3センター心臓外科の統括部長として豊橋ハートセンターでも仕事をしております。

手術は主に名古屋にて行っておりますが、適宜豊橋でも行うことが可能です。

ポートアクセス法などのミックス手術、複雑な僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは左室形成術などでお役に立てれば幸いです。

 

 

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11.名古屋ハートセンターについて

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異動のご挨拶: Ttk007-s

名古屋ハートセンターを多くの方々のご支援のもとに立 ち上げた2008年10月から丸5年が経ちました。

お陰さまで、名古屋ハートセンター心臓血管外科は年間300例近い心臓大血管手術やさまざまな難手術をこなす、名古屋屈指の病院に育ちました。厚く御礼申し上げます。

さて私、米田正始は実家の事情により2013年9月をもちまして名古屋ハートセンターを退職し、2013年10月から郷里奈良県と京都府の県境にある高の原中央病院にかんさいハートセンターを立ち上げるため異動いたしました。(現在は大阪府の医誠会病院(外来、手術)、仁泉会病院(外来)で勤務しております。)

5年間、本当にありがとうございました。名古屋で仕事ができたことは私の心臓外科医人生の中で大切な宝物となりました。

 

名古屋HC5年間実績名古屋ハートセンターでは5年間で1000例近い心臓手術(含、2013年9月までのもの)を行うことができ、新しい手術や難手術などを学会などで多数発信することができました。これらに大血管手術を入れると最終年は280例近くにまで成長しました。関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

右のグラフはその足跡を示します。2013年の9月までも2012年と同様のペースで忙しく手術をこなしていました。

私の志を同病院の仲間たちが引き継いで、ますます発展させてくれると信じています。皆様には長い目で見守って頂けましたら幸いです。


名古屋ハートセンターで米田正始の心臓手術を受けて下さった皆様へ: 絆をいつまでも大切にしたく存じます。何かご心配やお困りの際にはいつでもご連絡ください。

 

記事:

 

1)名古屋ハートセンター心臓血管外科   1年を振り返って

名古屋ハートセンターはおかげさまで昨年10月に開院1周年を迎えました。

1b)1年半時のご報告

名古屋ハートセンターHP に掲載いたしました。赤い帯のところをクリックしてください

1c)3年が経って: パンフレットもあります

 

2)ルーツとしての 豊橋ハートセンター 

3)新たな仲間、岐阜ハートセンター

4)連携施設やお世話になっている施設、地域医療のパートナー(皆様、大変お世話になりありがとうございました)

国立循環器病研究センター、、、

名古屋大学病院、、、

名古屋市立大学病院、、、

藤田保健衛生大学病院、、、

愛知医科大学病院、、、

大和成和病院、、、 Ilm17_da05017-s

名古屋徳洲会総合病院、、、

名古屋医療センター、、、

名城病院、、、

三重ハートセンター、、、

名古屋第二赤十字病院、、、

名古屋市立東部医療センター東市民病院、、、

東海循環器病診連携フォーラム、、、

 

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名古屋ハートセンター 心臓血管外科

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註: 2013年(平成25年)9月末をもちまして米田正始は丸5年間お世話になった名古屋ハートセンターを退職いたしました。これまで皆様から戴きましたご厚情に厚く御礼申し上げます。しばし郷里・奈良県に新たな施設を整備したあと、

2016年(平成28年)8月から大阪府東淀川区にある医誠会病院にスーパーバイザーとして着任いたしました。何かありましたらこちらまでいつでもご相談ください。


名古屋ハートセンター
(写真左)は有名な豊橋ハートセンターが発展し大都会へ進出したものです。

ここでは開院1周年の時点での想いを含めたご案内をさせて戴きます。

 

豊橋ハートセン名古屋ハートセンターの正面玄関と建物ですターの「患者様第一の高度な循環器専門病院」「技を尽く 創立者・鈴木孝彦先生です。患者さんのために頑張れる幸せをかみしめ、70歳まで腕を磨き続けなさいと言われて感動しましたし心を尽くす」という鈴木孝彦先生(写真右)の哲学を受け継いで、

昨年2008年10月 に名古屋市東区の名古屋ドームの近くにオープンしました。

名古屋大学名誉教授で初代愛知県病院事業丁長であられた外山淳治先生を院長とし、

循環器内科の実力派である松原徹夫先生と心臓血管外科代表の著者(米田正始)が副院長として現場の指導にあたるという体制でスタートしました。

理事長でもある大川育秀先生がスーパーバイザーとして毎週来られることになりました。

2009年2月にオープンした岐阜ハートセン ターを合わせて、3つのハートセンターが協力して動きを始めました。

 

著者と名古屋ハートセンターの関係は2007年4月から豊橋ハートセンター(写真右)にて非常ルーツである豊橋ハートセンターです勤で仕事を始めたころから始まります。

当時勤務していた大学病院を遠からず辞めて、

今度こそ組合本位ではなく患者本位で、必要な心臓手術や治療を誰に遠慮することもなく、思う存分できる、そういう病院を考えていた著者に、

名古屋ハートセンターのお話が来た時には、これだ!と思ったのを覚えています。

そうこうしているうちに、その心臓血管外科部長兼副院長の大役を仰せつかることになりました。

豊橋ハートセンターの実績と方法の上に、国内外の大学病院での技術や経験を加味した充実の医療を目指してスタートしました。

 

もちろんセンター開設当初は、関連した病院も医院もない、初めての土地で、公的資金の援助もなく、

まして現代の厳しい医療費抑制政策の中で新しい専門病院がうまく成り立つかどうか、

当初は誰にもわかりませんでした。

 

救急や緊急をすべて受け入れる、ここから名古屋ハートセンターは始まりましたただ調べてみますと、名古屋ではまだまだ循環器の専門施設が弱い、足りない状況がわかりました。

とくに緊急手術を断られて病院めぐりをするケースが少なくないことがわかり、

それなら名古屋ハートセンターが患者さんや地域に貢献できる余地があると確信するようになりました。

たとえば急性大動脈解離に対する弓部大動脈置換術

不安定狭心症に対する冠動脈バイパス術とくにオフポンプバイパス術

大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術

感染性心内膜炎に対する弁形成術または弁置換術などですね。

 

また高度な専門施設がまだまだ不足している状況があると聞き、この点でも貢献できるのではないかと思うようになりました。

たとえば複雑僧帽弁形成術大動脈弁形成術

あるいは左室形成術難治性心房細動や状態が悪い透析などでのオフポンプバイパス手術 

低心機能の開心術、再手術や再々手術・再々々手術、成人先天性心疾患などですね。

名古屋ハートセンターが患者さんや地域に役立つ病院になるとすれば、経営的にも徐々に成り立つはずだと確信しました。

 

開院し、当初は総力戦の感覚で患者さんの治療にあたり、徐々にチームを磨き、手術例数を日々反省と改良を積み重ね、重症が多くてもいつの間にか150連勝を超えました増やして行きました。

重症例を断らない、他病院で断られたとか治療不成功となった患者さんも引き受ける(頑張れば患者さんが助かる、そうすれば元の病院もまた助かる、皆助かる)、

というポリシーを実践するなかで、多くの患者さんにお役に立てると同時に、若干名の患者さんを救命できないことが当初ありました。

それらのケースを徹底反省・検討し同様の患者さんが今度来られたら一味ちがう結果を出す、そうした努力を積み重ねました。

 

立ち上げの努力は、努力と言っても苦労の中に笑顔がこぼれるようなものであったのは幸せなことでした。

何より有り難かったのはこのハートセンターの理念を評価し、応援して下さる先生方や患者さんたちが多数いて下さったことでした。

さらに全職員が職種を超えて献身的に努力してくれたのも見逃せません。

 

医療者も病院も患者さんとともに進むことで、成長して行きます努力が徐々に結果として現れ、名古屋ハートセンターは開院一年で150例近い手術 を行い、

うち132例が開心術つまり心臓の本格的手術で、

かなりの重症例や大手術が多いなかで欧州データベースでの予測死亡率の約4分の1の死亡率まで改善できました。

ただ一例一例を丁寧に慎重に治療して行くことに今後も変わりはなく、その結果としてより多くの患者さんが助かればうれしいことです。

 

2009年の一年間では開心術135例と大血管手術15例の計150例を行い、

2010年3月から毎月20例以上の開心術を行うまでに発展しています。

重症も緊急も断らず、最近15カ月間、心臓手術で死亡ゼロを続けています。

 

また難しいオペを皆で頑張って成功させるなかで、国内外のジャーナルや学会で発表して世の中に役立てて頂けるようなケースが多数あり、順次発表しつつあります。

そうした検討結果をまた今後の患者さんの治療に役立てたく思います。

たった一年半で、いくつもの感動を患者さん・ご家族・チームの諸君から戴きました

(このホームページの患者さんの声のところをご覧ください)。心臓で困ったとき、心配な時はご相談を

 

心臓血管外科手術を受けることを考えておられる患者さん におかれましては、

現在受けてお られる治療で困ったり疑問がでるようでしたら一度ご相談下さい。

 

手術が必要かも知れない患者さんをお抱えの循環器科・内科や開業医の先生方には、確定診断や手術適応が不明な段階でもご連絡下さい。

内外のガイドラインEBMをもとに的確な診断や適応を検討しておりますので、お役に立てると存じます。

 

電話予約や窓口で「米田副院長希望」と言って頂ければ米田が責任もって対応いたします。

当然のことですが、そのための費用は発生しません。


なお病診連携の基本に則って、ご紹介には治療後に逆紹介でお応えしています。

それによって地域医療全般の発展にお役に立てると存じます。

 

名古屋ハートセンターは患者さんだけでなく、実力派の心臓外科医にもお役に立つ存在になり得ると思います。

こうした私的専門病院が欧米では大学病院で研究と臨床に頑張る先生方にも大いに役立っており、なくてはならないものとさえ認識されていることを踏まえ、

今後名古屋でも大学病院や公的病院の外科医のお役に立てるような仕組みづくりを進めたく思っています。

2009.9.記

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執筆:米田 正始
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かかりつけ医の大切さ【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月4日

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◾️かかりつけ医の現状は

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かかりつけ医を持たない患者さんが意外に多いものですかかりつけ医と専門医の組み合わせが患者さんにとって安全かつ便利です

たとえば心臓が悪くなり循環器内科で診断・治療のあと、心臓外科に来られ、

手術の後、お元気に退院するときに、

「先生、私のかかりつけ医になってくれませんか」と聞かれることが少なからずあります。

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大変光栄なことではありますが、患者さんの安全のために、

前向きに丁重にお断りし、違う選択肢をお示しするようにしています。

 .胸部レントゲンは大変役立ちます

それは患者さんのご自宅または職場の近くにかかりつけ医を持って戴くことで、

それができない場合は私たちも協力して良い先生を探すようにしています。

もちろん心臓の長期管理は私たちが担当します。

心臓関係のお薬の内容は私たちが検討することが多いですが、

実際にお薬や処方箋はかかりつけの先生に出して戴くようにしています。

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◾️かかりつけ医のメリットは

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予防接種やがん健診を含めてかかりつけ医はさまざまな貢献を患者さんにしてくれます。大病院ではできないことも多々ありますそれによって、「人」としての患者さんの全体像を考えながら、

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生活習慣病の予防や早期治療、インフルエンザその他の予防接種がんの検診や早期診断などが確実に行え、

心臓関係の薬を含めた処方もして頂け、患者さんの負担軽減に役立ちます。

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かつ私たちのような循環器専門施設が循環器の観点から定期フォローと随時相談に乗ることで、

専門的医療のレベルも維持でき、全人的なケアが可能になります。

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◾️総合病院はかかりつけ医になるの?

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総合病院に行っておけばいつも全人的大病院に診てもらえるからかかりつけ医が要らないというお考えの患者さんが時々おられます。

体全体を見渡せる良い先生、気のあう先生にめぐり逢えばそれも一法かも知れませんが、

自分の専門の病気や臓器を中心に診てそれ以外はやや手薄になるケースをよく目にします。

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病院によっては人事異動で数年ごとに医師が変わることもよくあります。

かかりつけ医(開業医)は滅多に変わりません。

総合病院はかかりつけ医の代わりにはならない場合が多いのです。

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◾️かかりつけ医プラス専門医が理想

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私が患者さんなら、必要ならいつでも総合病院や専門病院にきちんと紹介してくれるかかりつけ医を持ちます。

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かかりつけ医+専門医=便利で安全安心への近道 というわけです。

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難病の心臓手術について―難病だからダメというわけではありません

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◾️難病への心臓手術

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難病の患者さんへの心臓血管手術はどのくらいできるのでしょうか?難病イコール治せない病気とは限りません。医学は日々進歩しています

医学が発展進化した現代でも難病はまだまだあり、多数の患者さんが苦しんでおられます。

医学医療の各分野でさまざまな取り組みがあり、私たちも専門家の観点から微力ながら努力して来ました。

心臓血管外科に関連した難病も少なからずあります。

厚生労働省の臨床調査研究分野対象130疾患の中でもいろいろな疾患に治療経験があります。

その一部を挙げます。

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◾️サルコイドーシス。。。

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この病気にやられるとサルコイド心として拡張型心筋症僧帽弁閉鎖不全症をおこします。
複雑な形態を示すことが多いですが、左室形成術僧帽弁形成術である程度以上、治せます。

心臓手術のあとの丁寧なフォローつまりアフターケアも大切です。→→もっと見る

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◾️Budd-Chiari症候群(バッドキアリー症候群)。。。

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下大静脈から心臓(右房) への血流が流れるようにすることで治せます。
ただし心臓手術までに肝臓が肝硬変となり機能しなくなっているとリスクが高くなります。場合によってはカテーテル治療もあわせて方針を立てるという柔軟な姿勢で臨んでいます。

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◾️ベーチェット病。。。

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ベーテェット病そのものは心臓手術では治せませんが、僧帽弁閉鎖不全症大動脈瘤を発症すればそれは手術で治せます。

組織が弱いため、相応の対策や工夫を行います。

内科の先生と協力したアフターケアも大切です。

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◾️全身性エリテマトーデス (SLE) 。。。

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この病気そのものを心臓手術で治すことはできませんが、二次的に起こる弁膜症などを人工弁などで治すことは可能です。

手術手技の工夫も大切ですが、その後のきちんとしたアフターケアも大切です。これには膠原病内科や内科の先生方と協力して長期の安全を図るようにしています。

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◾️高安病(大動脈炎症候群)。。。

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弁膜症大動脈瘤あるいは狭心症を発症すれば心臓手心臓や血管がやられる難病では心臓血管の定期健診を受けましょう術の適応となります。

組織が病気で壊れるため、縫いつけた人工弁や人工血管あるいはバイパスグラフトが不安定にならないうような工夫を行います。
大動脈弁が壊れればデービッド手術ベントール手術が役に立ちます
術後のステロイドなどのお薬による治療も術前同様、大切で、病気が進まないように、内科とくに膠原病内科の先生方とチームをつくって長期体制をつくっています。→→もっと見る

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◾️バージャー病。。。

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この病気は痛みが大変強いため、患者さんと向き合って治療に当たるものにとってはつらい残酷な業病でした。
bFGFによる血管新生・再生医療を開発し、これによってかなり治る病気になりました。(現在、中断しており準備中です)→→もっと見る

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◾️肥大型心筋症 HCM、HOCM、IHSS。。。

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肥大が左心室の出口を狭めるタイプ(HOCMまたはIHSS)では心臓手術は良く効きます。
経験がものを言う術式です。私たちはトロントのウィリアムズ先生直伝の方法で安定した成績を持っています。この手術で実績のある病院は少ないためご相談ください。→→もっと見る

左室の壁全体が分厚くなるHCMの中で、心尖部肥大型という、左室心尖部(先端部分)が筋肉で埋まるタイプも、心臓手術で治せるようになりました。この手術の実績がある病院はわずかですのでお問い合わせ下さい。→→もっと見る

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◾️拡張型心筋症DCM。。。

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難病の代表格の一つと言われています。あまり悪くなると人工心臓や心移植が必要となることがあるため、できるだけ先手を打って心臓を守る、できれば予防するという姿勢で臨んでいます。しかしいったん病気が進んで、左室がつよく拡張すれば心臓手術はむしろ効果的で成績も安定しています。
病気で壊れた左室部位によってバチスタ手術セーブ手術オーバーラップ手術ドール手術などを使い分けます。2012年から開始した心尖部凍結型の左室形成術は患者さんの体への負担が少なく、成績のさらなる改善が得られつつあります。→もっと見る

私たちのHGFをもちいた再生医療でも動物実験段階ではすでに治療効果を出しており、今後の実用化が期待されています。

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◾️拘束型心筋症。。。

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お薬も外科手術も容易ではない病気です。
左室形成術には適しませんが、弁膜症冠動脈病変が合併すればそれを治すことで比較的安全に左室を改善することはできます。

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◾️原発性肺高血圧症。。。

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現時点ではお薬などの内科治療が中心ですが、再生医療で動物では安全にかなりの改善が得られており、今後実用化を目指したく考えています。

難病をうまく克服し、あるいはコントロールし、元気に暮らせるようにしましょう

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◾️難病への対策まとめ

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難病でもそれに付随する病気は治せることも多々ありますし、完全治癒は難しくても、現状を守ることはできることもあります。

難病という言葉自体が良くない言葉と思います。治らないような印象を与えるからです。

難病と言われた患者さんにおかれましては、決して絶望されず、まず現実をしっかりと把握し、

専門家に相談し、病気と向き合い、時には病気と闘い、時には病気と仲良く共存し、

という粘り強い柔軟戦略が良い結果を生みやすいと思います。

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心臓手術前にカテーテル検査は必要ですか?―エコーが凌駕する項目も多い?【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月4日

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◾️心臓手術に心カテーテル検査は必要?

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心臓血管の手術の前に心カテーテル検査(右図)は必要ですか?と、よく聞かれます心カテーテル検査は有用ですが、心臓手術の前後には不要なことも多くなりました 

お答は:ケースバイケースですが、病気によっては不必要な場合も多いです。

その理由は次の通りです。

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◾️冠動脈疾患の場合

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狭心症・冠動脈疾患バイパス手術(左図)を受けられる患者さんでは、

冠動脈をすみずみまで正確に把握しておくことが治療上きわめて重要かつ有用です。

なので心カテーテル検査の中の冠動脈造影にて十分な情報が得られますので、術前にこの検査を行うわけです。

 

オフポンプバイパス手術の出来上がり図この場合の心カテーテルは「診断カテーテル」と呼び、

細いくだが使えるため、手の動脈から入れる場合が多く、その場合は検査直後から歩くことができ、苦痛も少なくてすみます。

私たちの施設では熟練した循環器内科医がカテーテルを行いますので、安全性も高く比較的快適といえましょう。MDCTで楽に冠動脈が見られるようになりました。患者さんに大変喜ばれています

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◾️弁膜症や心筋症などでは?

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弁膜症心筋症あるいは胸部大動脈疾患の患者さんの場合は異なります。

冠動脈に病気 がないかどうか未然にチェックしておくだけであれば、

現在は MDCT (右図)という、高性能CT検査で、苦痛少なく直径1mm弱の血管まできれいに調べることができますので、術前の心カテーテル検査は不要になります。

 

もしMDCT検査で冠動脈に病気が見つかれば、安全のためにバイパス手術などを術中に併用することがあり、カテーテルにて冠動脈造影を行うことが多いです。

病気があり、それを治す分だけより元気になるわけですし、

患者さんもこうした場合の心カテーテル検査には納得・満足されることが多いです。

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◾️お若い患者さんの場合は?

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心カテーテルには意外なメリットがありますまた若い患者さんなどで、放射線被爆量を少しでも減らすために、患者さんと相談の上、前向きな意味で心カテーテル検査をおこなうことがあります。

 

熟練した循環器内科医の先生方がされればMDCTより少ない被爆量で、しかも短時間で検査は完了しますし、上記の細いくだを腕から入れれば検査後も楽です。

 きちんと調べて良い治療を!

心機能や心不全の状態は、現在の高精度の心エコーと、MDCTの左室造影、そして必要に応じてMRI検査などの画像診断技術によって細部までわかります。

弁の逆流も、造影剤を使わない、より自然な状態で、苦痛なく、必要なら時間を追って繰り返し検査も安全にできますので、こうした画像診断を活用しています。

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◾️心不全がらみでは?

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SANYO DIGITAL CAMERA最近増えた心不全やそれによる弁逆流では、心エコー等によりそのメカニズムの詳細に迫る情報が得られることが多く、この意味からは心カテーテル検査をすでに凌駕しているとも言えましょう。

とくに心エコーは機動力にも優れ、エコロジーの視点でも優れた方法ですので、

手術室から入院中、外来、さらに遠方から来られた患者さんではその地域でも使えるため重宝しています。

欧米や日本のトップ学会が作成しているガイドラインも、心エコーのデータを基本にして造られているほどです。

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しかし術前に強い心不全肺高血圧症、あるいは右心系疾患がある患者さんの場合は、安全のため右心カテーテル検査を行うことがあります。こうした患者さんでは心エコーではわからないことがカテーテルでわかることが多いです。

これは静脈から入れるため、検査後の止血も短時間で済み、患者さんも比較的楽です。

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◾️心臓手術後の心カテーテルは?

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心臓手術のあとはカテーテル検査不要のことが多いです術後は、通常は心カテーテル検査は不要と考えています。例外として冠動脈バイパス術後にバイパスや細かい枝の状態を確認するために検査することはときおりあります。

その他、稀な病気などを中心に何かとくに確認しようとか、念のためにポイントを絞って調べるなどのケースはまれにありますが、

すべて患者さんの納得を頂いてから行っています。

 

ということで、冠動脈疾患以外の多くの場合、術前には心カテーテル検査は不要と考えています。

ただ内科の先生方がケースバイケースで患者さんのために有用と判断され、心カテーテル検査を前もってやって下さった場合は、

その情報も積極的に活用し、努力の無駄がないように配慮しています。

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◾️総じて、、

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私たちの基本姿勢として、どれが良いとかどれが劣るという偏狭な議論ではなく、

それぞれの検査法の特長を活かし、

こだわりなくケースバイケースでその患者さんの治療に役立つ検査は行い、

やらなくても良い検査はいざという時のために温存して使わない、

というスタンスで臨んでいます。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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検査や心臓手術などの「待ち時間」につきまして―待たせて当然なの?

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検査や心臓手術その他の待ち時間はこれまで多くの病院ではある程度はやむを得ない、一部検査待ちはつらいですねの施設では待って当然という空気さえ強くありました。

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もちろんひとりの医療従事者として見れば、検査も心臓手術も人手が必要ですし、病気は待ってく れないため患者さんも時には多数が同時に来られることもあります。

かといってピーク時に合わせて多数の人員を24時間動かす態勢では大赤字になるよう現在の医療制度・保険制度は組み立てられています。

そこで大きなジレンマが生じます。

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私たちはこのジレンマを解決すべく、民間病院という比較的小回りの効く施設の特長を活かして、この待ち時間を減らすようにしています。

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小回りが効き足腰が強い病院が良い心臓外科を造りやすいのですたとえば心臓血管手術については、医学的に超緊急手術が必要な患者さん、たとえば急性大動脈解離とか大動脈瘤の破裂その他、「今すぐ、ただちに」オペが必要なケースでもこれまで多くは対応できています。

このことは病院のポリシー「緊急はできるだけ断らない」を職員全員が協力して実行してきたおかげと思います。

 .

同じ心臓血管外科手術でも医学的に少しは待てる手術の待ち時間が長いようでは患者さんを助けられない、そういう心臓病がいくつもありますもの、ものによっては数時間、あるいは1-2日、あるいは3-4日待てるケースにはそれに応じて数時間後とか翌日とか2日以内に心臓手術するなどして正しい医学にもとづく治療責任を果たしています。

たとえば心筋梗塞後の心室中隔穿孔不安定狭心症に対するバイパス手術、あるいは突然死の危険性が強い大動脈弁狭窄症その他が挙げられます。

この点が患者さんよりも院内勤労者の権利を優先せざるを得ない大病院、国公立病院とくにある種の大学病院などとしばしば異なる点で、民間病院が患者さん中心のポリシーを本当に持っている賜物と思います。

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病院での待ち時間が必要なことをきちんとやっている割に短いのは検査の場合も同じです。

心臓や血管が弱い患者さんが自宅と病院の間を何度も行き来しなければならないのは大変おかしいと思います。

少なくとも患者中心とは言えないでしょう。

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そのため私たちのコーディネーター・看護師・検査技師・放射線技師・病診連携・医療秘書)・事務の人たちの努力は大変なもので、権利だけ主張するのに慣れた人たちではできないレベルの手厚く高度なサービスと思います。

私のこれまでの経験から海外の立派な病院と比べてもそん色ないものです。

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心臓病では迅速な検査でこそ患者さんのお役に立ちます多くの場合、外来に初診(始めて)で来られる患者さんでも、

その場で血液、胸部レントゲン、心電図、心エコー・ドップラー、必要あれば新型のMDCTで冠動脈や大動脈の造影を行い、

それらの結果を見ながら、2-3時間後には患者さんにご説明し、一緒に画像を見ながら治療の方針を立てることができます。

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スピードだけでなくその精度が高いのも特長です。

やはり病院の基本方針や、チームの意識が高いことが大きいと思います。

必要ならば上記のようにそのまま入院・即、心臓手術ということもできます。

私が国立大学病院で長年夢見て努力しても叶えられなかった医療です。

そういう施設では一通り検査を行い説明するまで 3週間、3往復あるいはそれ以上の手間暇が必要なこともしばしばで、これは心臓病の病人に対する姿勢として大きな欠陥があると言えましょう。

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もちろんいくら職員皆で頑張っても、もし多数の患者さんが一度に来られる場合などは同じス良い検査・良い医療のために患者さんのご協力も大切ですピードで検査するのは難しくなります。

何事にも限界はあります。

そこで患者さんやご家族にお願いしたいのは、前もって電話一本入れていただき、コーディネーターと相談してお互いのスケジュール合わせを行うことです。

また私の外来の場合は医誠会病院(月曜日午後)と仁泉会病院(火曜日午前と午後)をうまく活用して頂くというのも一法かと思います。

それで無理なく快適でスピーディな検査や治療ができます。

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しかし病気によっては前もって相談することができないことは心臓や血管ではよくあります。

そうした急な病気の場合は遠慮なく救急外来に来て戴ければと思います。幸い医誠会病院の救急外来は受け入れ大阪ナンバー1を誇っているためお役に立つことと思います。

やはりその患者さんの状態に応じた対応がベストと思うのです。

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以上、待ち時間から心臓血管外科の医療を考えてみました。

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◆参考ページ

心臓手術とはどういうもの?

そのこれからの方向

心臓外科の名医とは

心臓手術と言われたら?!

安全に必要な症例数は?

病院の立派さと心臓外科の立派さは別?

対象となる病気は?

医師の選び方

私のお勧めは?

術後の社会復帰について 

美容について

必要な検査

手術まえのオリエンテーション

米田正始が考案した心臓手術は

 

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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遠方の心臓手術患者さんの場合は―地元と連携し、より配慮を【2020年最新版】

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全国から患者さんが来て下さることを光栄に思います

最終更新日 2020年ん3月4日

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◾️心臓手術と遠隔医療

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心臓手術は普通は一生にそう経験することのない大きな出来事です。

 

それだけに良い病院や心臓外科名医を選んでどこへでも行きますというスタンスの患者さんは少なくありません。

 

とくに医療を良く知る医師やそのご家族にそうした方が多いのが病院選びの大切さを物語っていると思います。

私の場合は名古屋ハートセンター時代やかんさいハートセンター時代に沖縄、九州(福岡、鹿児島)や四国、広島、島根、京都、大阪、和歌山、三重、奈良、神戸、東京、千葉、茨木、福島、宮城、北海道、一部は海外その他さまざまなところから患者さんが来て下さり、それ自体医師として光栄なことと思います。現在の医誠会病院仁泉会病院でもすでに同じ傾向が見られ、アフリカ・コンゴやタイ、カナダなどからも引き合いがあり感謝しています。

遠方から来て戴く場合、交通費や時間などを含めてある程度のご負担は避けられませんが、来てよかったと言って頂けるよう、全力を上げています。

 

これは私個人だけでなく病院の他職員も同様に努力しています。

遠方の方へのご配慮としては以下を行なっています。遠方から来て戴く負担を上回るメリットが患者さんにもたらされるように努力しています

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◾️心臓手術、遠方へのご配慮1.

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ご自宅と病院の往復回数をできるだけ減らすよう、必要な検査等は集中的に行い、また 地元の病院のデータも活用します。なるべく無輸血にするため、手術の工夫に加えてご希望があれば自己血を貯血します。3−4回の貯血のうち2回を検査入院で完了するなどして負担を減らしています。

 

このとき、検査等を患者さんのご希望を極力実現できるよう、私たちの特長であるコオディネーターを熟練看護師が担い、かつ病院の足腰の強さを活かして工夫します。

 

ある種の大病院のように初診に検査に説明にと何度も行き来するよりも、多少遠方でも一回で効果的に検査と説明ができる方が負担は少ないですとよく言って頂いています。

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◾️心臓手術、遠方へのご配慮2.

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遠方の患者さんほど、十分な運動・心臓リハビリをこなしてから、退院していただくようにしています。

 

通常は心臓手術のあと1-2週間程度で退院患者さんの家庭事情や病院への距離なども考えて退院や通院の予定を立てますできるケースが多いのですが、遠方の患者さんの場合はご本人やご家族と相談しつつプラス1-2週間の余裕をつけて戴いてから退院して頂いています。

 

状況によっては地元の病院と相談し、そこでさらに1週間ほど運動・リハビリののち帰宅していただくなどの方法も取ります。

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◾️心臓手術、遠方へのご配慮3.

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心臓手術直後は近くの患者さんの場合はしばらく当院外来にて診察・検査・投薬を行い、

 

落ち着いた段階でかかりつけ医にもどっていただくか、

 

もともとかかりつけ医がいない場合は協力して地元で良い先生を探すようにしています。

病病連携や病診連携を大切にします 

 

遠方の方の場合は身体の状態を見ながらそのタイミングを考えるようにしています。

 

また遠方のハンデを減らすよう、ちょっとした質問でもできるよう、メールなどで私自身が対応できるようにしています。

遠方の場合ですから地元の病院を大切にし、当院入院中は経過の報告を入れたり、退院時にも詳細なデータをお送りし、地元に戻ってから患者さんが大切にされるよう配慮しています。

 

地元の先生から見れば、心臓手術のみ外注に出したという感覚になるように努めています。

 

昔の学閥や医局制度が強かった時代ならいざしらず、現代は患者さんが満足できればこだわりなく患者さんの希望に応えるのが立派な臨床医の普通の姿です。

地域医療と専門医療の協力も大切と考えます.

◾️心臓手術、遠方へのご配慮4.

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何よりも地元の病院でできない心臓手術を、あるいは同じ手術でもより安全に行うよう努めて います。

 

それが必要な状態なのに、地元の有力病院で断られて私どものところへ来られるというパタンが多いですが、より良いものをもとめて来院くださるケースもあります。

 

なお医誠会病院につきましてはこちらを、仁泉会病院につきましてはこちらをごらんください。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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