【第五十三号】あけましておめでとうございます

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 【第五十三号】
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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皆様、新年あけましておめでとうございます。

昨年は10月に高の原中央病院・かんさいハートセンターを立ち上げ、まだじっくり

と確実に手術を行い、、といいながらすでに30例の手術を行うことができました。

中にはメジャーなセンターや大学病院でも断られた患者さんが複数含まれており、そ

れらの方々もお元気に退院して戴いたこと、皆様のご協力の賜物と感謝しております

奈良・京都・大阪はもちろん、九州・沖縄や関東などからも多数患者さんにお越し頂

き、御礼申し上げます。

これらの患者さんたちからは、思ったより交通が便利と仰っていただき、恐縮してい

ます。新幹線からの接続や、空港からのアクセスが比較的良いからでしょうか。

紀伊半島沿岸からの患者さんのほとんどはクルマでお越し頂き、道路が良くなって昔

とは大違いと、何かこちらが励まされているようです。

遠方から来て頂くだけの利点が生じるよう、日々良い治療に励みます。

近くの皆様には病院の足腰をさらに鍛えて、いざと言う時の守護神を目指して頑張り

ます。

心臓病患者さんの健康は心臓手術をしっかり行うだけでなく、全身の健康、さらには

心の健康を増進することで確たるものになります。

その視点から、いつも患者さんの人となり、全体像を考えた医療を心がけたく思いま

す。

年末に出版いたしました「正しく知る糖質制限食」という本はその姿勢のひとつのあ

らわれです。ぜひ健康な食生活にお役立て下さい。これは外来の健診や治療とあいま

って威力を発揮するでしょう。

このところ貧乏暇なし状態が続き、恒例の患者さんの会が延期状態になっております

。ちかぢかご連絡を差し上げられるよう、努力いたします。

その他にもNHK講座(京都、大阪、名古屋)や奈良新聞などで私の講演会が予定されて

おります。その講演会のあとにも相談コーナーをもうけ、時間が不足すれば他の方法

で補えるようにと考えております。

世の中には治らない病気もいろいろとございます。しかし治る病気、あるいはうまく

コントロールできる病気が多いのも事実です。心臓病には治せるものが多くあります

ひとこと相談して下さればうまく行ったのに!という経験はこれまでたくさんありま

す。そういう残念が起こらないように、体調がおかしいと感じたら外来その他でご相

談下さい。あるいはかかりつけの先生にまず診察してもらってからご相談というのも

有効な一手です。遠方でも近所でも良い手はあると存じます。

皆で健康を増進し、楽しい一年にしようではありませんか!

勝手なことをいろいろ申し上げましたが、今年もよろしくお願い申し上げます。

敬具

平成26年1月1日

米田正始 拝

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           http://www.masashikomeda.com
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。

心臓手術を受ける患者さんのためのガイダンス(オリエンテーション)【2020年最新版】

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最終更新日 2020年3月6日

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はじめに 152536310

心臓手術の前にはいろいろと心の負担があると思います。少しでも実際を知り、不要な不安を解消し、前向きに進んで頂ければ幸いです。この記事がそのために役立てばうれしいです。

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◆心臓手術のスケジュー ル:

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思ったより早く進むのですねと言われます。平均ではおよそ2週間の入院となります。

患者さんの重症度やお家の事情、遠方か近くかなどを考えてキメ細かく退院時期を相談していきます。

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◆心臓手術に必要な体力は? A301_089

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手術を乗り切るための体力が必要です。心臓はこれから治すため少々悪くても良いとして、肝臓がひどく弱っている場合は要注意です。

腎臓は機能していないときでも透析でしのげます。肺が弱って肺活量が不十分なこともあります。

こうした重症の患者さんの場合、できるだけ良い状態にもどして、 196741568勝てる確率を上げることが肝要と考えています。

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◆心臓の位置は?

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胸の真ん中から左側にかけてあります。

右胸心の方の場合は真ん中から右側にかけて存在します。

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◆人工心肺・体外循環とは?

.SANY0393b体外循環b

オペの間、心肺の肩代わりをする超重要な器械です(写真左)。

これによって心臓を止めて中に入って病気を治せるのです。

ヘパリンと言う血を固まらなくする薬を使いますので、術後出血がないように、しっかり止血をします。

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◆臨床工学士とは 184701458

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人工心肺や透析、人工呼吸などの器械類を運転し整備してくれます。

医師と一心同体で大切なハートチーム員です。

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◆心筋保護

.Ccbo022-s

手術中、心停止の間、心臓をまもります。

血液にカリウム、マグネシウムその他の保護物質を入れてそれを注入します。

心臓を止めるとか止めないとかではなく、冬眠させ、修理が完了し春に目覚めるという感覚ですね。

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◆ヘパリンとは

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血がさらさらになって固まらなくなる薬です。

心臓手術で体外循環を使うときに必須です。

それが終われば中和して血が固まりやすいようにします。

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◆無輸血開心術

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輸血を一本も使わずに心臓手術を完 遂したときにこう呼びます。自己血貯血をすれば無輸血率が上がります。

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◆輸血の安全性

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肝炎の危険性について、今では輸血1本につき10万分の1未満の危険性があると言われます。

ほとんどゼロに近いのですが、0ではないため、極力輸血をしないようにしています。自己血輸血では肝炎などのリスクはゼロです。

平素エホバの証人の患者さんの無輸血手術に力を入れている努力が、他の一般患者さんの輸血を減らすのにも役立っています。

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Ilm09_ba01019-s麻酔について

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当院では一般麻酔医ではなく、心臓麻酔医が行います。やはり餅は餅屋で、安全性に貢献します。

全身麻酔ですので術中の苦しみや心配はありません。

さらにポートアクセス手術などでは創部に肋間神経があるためこれをブロックし、痛みを消すようにしています。

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◆とくに人工呼吸について

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術中から術直後にかけて患者さんの呼吸が弱いときに人工呼吸器をもちいて人工呼吸します。

オペのあと、なるべくすぐに人工呼吸器から外れると後の回復が速くなります。適宜マスクを用いて肺を守ります。
一緒にがんばって早く元気になりましょう。

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◆モニター

.93750547.

術直後は心電図・血圧・肺動脈圧・右房圧・組織酸素濃度、気管内圧などを同時にモニターします。

安全の確保に大きく役立ちます。

術後、歩けるようになるとモニターの大半は外れています。

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◆手術の後、ICUでは

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状態が落ち着くまで居て頂きます。

心臓手術のあと1−2日でICUを出ることができる方が多いのですが、医誠会病院ではICUに余裕があり、もう少しがっちり治療することもあります。

Ilm13_ag01017-s.

◆心臓リハビリ

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心臓手術のあと、心 臓に無理のない範囲でこれをしっかりと動かすことは大切です。

全身のさまざまな臓器にも役立ちますし、食欲も増進してさらに良くなります。

このリハビリにはとくに力を入れています。術前から練習を兼ねて心臓リハビリに親しんで頂くようにしています。

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Ilm19_cb02020-s◆感染症対策

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きわめて重要です。

術中に徹底した無菌操作を行います。

ちょっとでも感染しそうな動きは厳に戒め、解決しています。
創、肺、下肢の創、点滴ライン、その他細かいところも入念に調べます。

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◆創の痛み

.  A306_081

術後の痛みはあります。

しかし私たちはこれをできるだけ軽くする工夫をしています。正中切開の場合は、安定度が極めて良い胸骨再建をするため胸骨痛を訴えられる患者さんは少ないです。

ミックス手術(ポートアクセス手術)のときには上記のように神経ブロックをして痛みを減らします。

これは効きます。

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◆入院期間

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通常は平均術後10日ていどです。A309_047

5−6日でどんどん歩行し退院できる患者さんも多いのですが、あまり早期の退院にはこだわっていません。自宅へ帰ると間も無く社会復帰・仕事復帰という線を狙っています。また患者さんのご希望や状態によって調整します。

また遠方の患者さんの場合は若干時間をかけて安定度を上げてから退院して戴くなどしています。

独り暮らしの方の場合も同様に配慮しています。

逆にお仕事などの都合で早く退院したい方の場合にも配慮や支援をしています。

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Ilm18_aa04014-s◆社会復帰とその時期

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通常は退院後1か月で仕事復帰して戴くようにしています。

これは胸骨正中切開の場合です。

皮膚や筋肉などの治りはもっと早いのですが、胸骨は通常は完全になるまで3か月以上かかります。なので当初は重労働や重いものを持つ作業や車の運転は避けるようにお願いするのですが、私たちの場合は強固な胸骨再建のおかげでより早期の復帰ができています。退院後まもなくクルマ運転できる方が多いです。→→もっと見る

ポートアクセス法手術(ミックス手術)の場合は骨を切らないためもっと早く社会復帰できます。

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◆クルマのA303_009運転

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仕事の復帰に準じます。

前述のように私たちの病院では車の運転も早くなる傾向にあります。

ポートアクセス法手術の場合は骨は切りませんのでもっと早くから運転復帰できます。

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◆外来通A308_011

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通常退院後1か月でご来院いただき、

経過が良ければ次は3か月後、さらに6か月後と伸ばしていき、

その後は年1度でフォローアップしています。

もとの病院やかかりつけ医と協力して全身を守りながら進みます。

 

もちろん患者さんの状Map41-2態によってその間隔は自在に調整します。

たとえばまだ不整脈が出やすいとか胸に水が貯まりやすいなどの場合は早めに外来に来ていただき、安定を図るようにします。

九州・沖縄・東北・北海道など遠方の方の場合は、地元の病院と連絡を取って安全な態勢をつくり、かつ余裕をもってお帰り頂けるように少し長めの滞在にしています。

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◆心臓手術の成Illust1441

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重症の患者さんでは危険性も上がります。

それをできるだけ下げる努力をしています。

リスク補正した全国平均の死亡率と私たちのそれを比較しますと、私たちのそれは全国の半分以下です。

そもそも断られた患者さんが多数含まれるためなかなか厳しいですが、その多くが元気になっておられるため、ますますこの努力を続けます。

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◆イン Ilm17_bc01015-sフォームドコンセント

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その患者さんの手術のメリットと危険性を具体的にご説明します。

心臓手術は一生に一度あるかどうかのおおごとですので、

十分な時間をかけてお話しし、納得できるまでご質問を受けるようにしています。

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◆看護023師さん

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昔は看護婦さんと呼びましたが、医療のプロとして敬意をこめてこう呼ぶようになりました。

平素のお世話をしてくれるのは彼女ら(彼ら)です。

彼女らとのチームワーク、患者さんも含めた全体のチームワークはとても大切です。

看護師さんからのオリエンテーションもありますので、しっかりと聴き、またご質問ください。

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◆おわりに

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心臓手術 Ilm09_aj06015-sは全身をまもって初めて意義のあるものになります。

何かと大がかりですが、それが患者さんを守ります。

いのちだけでなく、活発で楽しい生活を守ることにもつながります。

患者さん・ご家族ーコメディカルー医師全体のチームワークが大切ですし、なにより患者さんご自身が生きたいと強く念じて一緒に頑張って下さることが良い結果につながりやすいのです。

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154411073◆ひとつお願い

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もし悩みや疑問、苦情その他がありましたら遠慮なく担当医や私までお願いします。

細かいことでも結構です。

それらを解決すること自体が大切ですし、くわえて治療成績やチーム力がさらにあがり、お互いに得るものが多いのです。

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◆患者さんの想い出:

心臓手術の患 A81218100者さんにもさまざまな病気、年齢、状態があります。それぞれに対応した手術が必要です。

Aさんは80歳男性で、遠方の紀伊半島南部からお越し下さいました。

大動脈弁、僧帽弁、三尖弁すべてが壊れて心不全になっておられました。

80歳と比較的ご高齢であったため、体力の負担を減らす目的でミックス法で心臓手術を行いました。

Ca010a-s胸骨の下半分を切って心臓に到達し3つの弁を直しました。

そのおかげで術後は痛みも軽く、大きなオペの割にはスムースでまもなくお元気に退院されました。これからこうした方法が主流になっていくのでしょう。この手術は画期的と評価されYoutubeにもUpされました。

その後も外来でお元気なお顔を見せて下さいます。遠方から私たちを信頼して来てくださる、そのこと自体が大変光栄でうれしいことです。ひとつでも多くのことでお役に立ちたい、そう思います。

Aさん、これからもお元気で楽しくお過ごしください。

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◆参考ページ

心臓手術とはどういうもの?

そのこれからの方向

心臓外科の名医とは

手術と言われたら?!

安全に必要な症例数は?

病院の立派さと心臓外科の立派さは別?

対象となる病気は?

医師の選び方

私のお勧めは?

術後の社会復帰について 

美容について

必要な検査

米田正始が考案した術式は

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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奈良市エリアにおける心臓手術について

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情によりあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

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平成25年10月に高の原中央病院かんさいハートセンター心臓血管外科を開設させて戴き2か月あまりが経ちました。

お陰さまで毎日張り切って楽しい汗を流すことができています。チームも日々進歩の跡がみられ、立派に育ちつつあります 奈良県と奈良市。関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

奈良市(右図の赤いエリア)の北端にある高の原中央病院の中にハートセンターを立ち上げることを考え始めたのは約1年あまり前のことでした。

私自身、郷里の奈良県で心臓外科医としてのライフワークを完成するとともに、お世話になった地元の方々に何か恩返しをしたいという気持ちが以前から強くありました。さらに両親がそろそろ歳とって多少でも親孝行の真似事でもしたいという事情もありました。

奈良市は1300年前にこの国の首都があった地ですが、近年は大阪や京都に近く、大都市近郊のベッドタウンとして大きく発展し、全国でもトップクラスの人口急増地帯としても知られています。いわば古くて新しい街です。

 

医療面ではどうでしょうか。数年前奈良盆地南部で産科患者さんの不幸なたらいまわし事件があり、奈良県の医療体制のあり方が問われ改善努力がされていますが、心臓血管外科でも課題はあると言われます。

心臓手術ができる本格施設は奈良市には存在しないのです。京都府南部に若干の施設がありますが、大きな実績や成果を上げている施設と言えば心もとないとよく言われます。

 

心臓血管外科の領域では奈良市はエアポケットのような場所というわけです。

病院あるいは内科としては積極的に急患を受け容れて救命活動でめざましい躍進を遂げておられる市立奈良病院や、救命救急センターをもって北和を守るという位置づけにある県立奈良病院(現、奈良県総合医療センター)をはじめとして、岡谷病院、西ノ京病院、西奈良中央病院などの病院群、そして開業医の先生方など、地域医療に邁進して来られた病院・医院が多数あり、エリアとしてのポテンシャルは高いと個人的に思っています。

それ Ilm22_ba01056-sらの病院で心臓手術が必要な患者さんをいつでも、重症でも、しっかりと受け容れる施設が待たれていたのです。

このことは事前に調査をしたときに多数の方々からご教示頂きました。

 

そこで私たちは高の原の地にかんさいハートセンターを立ち上げました。

これは理事長の斉藤守重先生と昔から交流があったことや、副理事長の斉藤正幸先生が高校の後輩であったことなども幸いしました。

 

京大病院や周辺の救急病院、そして豊橋ハートセンター名古屋ハートセンターなどの民間専門病院の良さを併せ活かせるべく、それらでのかつての仲間が集まり、かつ貴重な経験やノウハウを結集しました。

私にとってはさすがに郷里で、地元の友人や先輩後輩の皆さんからさまざまなご要望を戴き、うれしく思っています。

 

これから断らない医療、患者目線の医療で奈良市やその周辺部の皆様のお役に立てればこれほどうれしいことがありません。


ただ患者さんを受け容れるだけで Ilm03_ba08001-sなく、これまで奈良県ではできなかった患者さん本位の手術たとえばエキスパートチームにしかできない複雑な弁形成術や、それを少ない苦痛と早い社会復帰で支援するポートアクセス手術などのMICS手術に代表される先端的治療でもお役に立てればと念じています。


実際、かんさいハートセンター心臓血管外科がスタートしてまだ2か月あまりの短期間に、すでに緊急手術や大学や有名センターで断られた患者さん、あるいは内科の先生にギブアップされていた重症の方々が順次生還され元気に社会復帰しておられます。

中には山を越えて大阪、京都、熊野、尾鷲や和歌山、津市や桑名などからお越し下さった方々や、東京、新潟、名古屋、九州、四国、沖縄などから来て下さったかたもあり、光栄なことと感謝しています。

 

逆に、重症例や稀な疾患で培った経験を地域医療のなかで活かしていければとも思います。

地域医療での心臓手術と言えば、通常は冠動脈バイパス手術弁置換術大動脈手術どまりですが、それでは地域の多様なニーズにはこたえきれないからです。

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地域の医療機関の先生方におかれましては、心臓手術が必要かも知れない、あるいは診断もまだ確定していない段階でもご相談頂けましたら内科と外科の複眼の視点でベスト治療を組み立てられると存じます。

結果的に心臓病以外のものであったという場合でも患者さんが安心してその病気の治療に専念できる基盤を造れるという意義があります。

 

地域の市民、患者さんたちにおかれましては何か心配な、あるいは納得できないものがあればセカンドオピニオンあるいは外来相談の形で私たちにお気持ちをぶつけて頂ければ幸いです。

やはりじっくり本音で相談し、データやガイドラインなどをもとにして、科学的客観的に考えることが患者さんを救います。不要な手術を避けることもできます。

さらにご紹介いただいた患者さんを手術や治療後に逆紹介させていただくのは当然ですが、これまでかかりつけ医をお持ちでない患者さんが多いため、本紹介させて頂くことが多々ございます。「かかりつけ医をお願いいたします」というお手紙をお送りしましたら、よろしくご検討をお願い申し上げます。

奈良市や周辺エリアの心臓外科医医療でお役にたてるよう全力あげて頑張ります。よろしくお願い申し上げます。

 

平成25年12月22日

 

高の原中央病院かんさいハートセンター

心臓血管外科

米田正始 拝

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第27回日本冠疾患学会の報告記

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この12月13日ー14日に和歌山で開催された日本冠疾患学会に参加して参りました。

この学会は冠疾患つまり狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の診断や治療を内科と外科の両方で協力して論じ、学ぶ会として発展してきたものです。

JCA27HPそのため、この2年あまり世界的に認められるようになったハートチームを提唱する魁とも言える立派な学会で、いつもそうした交流のなかで学ぶことが多いため、私は好んで参加しています。

今回はまず前日の理事会や評議委員会などの重要会議に出席する予定でしたが、かんさいハートセンターで緊急手術があり、どうしても私がやらねばならない、以前からなじみのある患者さんで、4回目の心臓手術(再々々手術)という大変リスクの高い状態でしたので、学会にお願いして理事会を欠席させて戴きました。

しかしお陰さまで緊急手術はうまく行き、大動脈弁を置換し、僧帽弁(人工弁)は形成して治すことでスムースに経過しました。

その日のよるから和歌山に入りました。

今回は和歌山県立医科大学・循環器内科の赤坂隆史教授が内科系会長を、同大学第一外科(心臓血管外科)の岡村吉隆教授が外科系会長を務められ、いずれもハートチームにふさわしい立派な先生方で、昔からお世話になっている畏友でもあり、張り切って参加させて戴きました。

今回の学術集会は華岡青洲から引用された「内外合一」という、ハートチーム時代にふさわしいもので、内容的にも内科外科それぞれの進歩だけにとどまらぬ、共同作業とも言える内容が随所にみられ、学ぶことの多い学会だったと思います。

スペースの都合で、ここでは私関係の活動報告を主にさせて頂きます。

まず初日の第17回再灌流療法フォーラムでは上松瀬勝男先生と本宮武司先生らのご厚意で外科系講演という栄誉を賜りました。

内科系は国立循環器病研究センター心臓血管内科部門長の安田聡先生の微小血管レベルでの再灌流障害と心筋保護というテーマでお話しされました。平素の疑問点に応えてくれる、優れた内容のご講演だったと思います。カテーテルによる冠動脈造影でも映らない細い血管が患者さんの予後に影響を与えており、これからこうした細動脈にもっと目を向けるべきと思いました。

ご意見を求めて頂きましたので、心筋梗塞後の左室破裂の所見や対策についてコメントさせて戴きました。これは病理的には心筋解離によるジグザグ型破裂で、その出口つまりre-entryの位置によって左室破裂心室中隔穿孔VSPかに別れ、治療法も部位により工夫するが基本は同じことをお話ししました。

私は外科手術(on-pump、off-pump)後の再灌流障害というテーマで講演いたしました。現代主流のオフポンプ冠動脈バイパスでは虚血再灌流障害はかなり少なく、特殊な状況たとえば急性心筋梗塞後のバイパスなど以外ではもはや再灌流障害は見られず、これも治療成績の進歩に役立った。しかし心臓を止めて行う通常型の心臓手術では、重症例を中心にまだ虚血再灌流障害を見ることがときにある。それに対するさまざまな対策をこれまでの研究データをもとにしてお話ししました。

たとえばポリフェノールを心臓手術の前に投与しておき、十分な抗酸化対策を立ててから手術すると、虚血再灌流障害はうんと軽くなる、あるいは他の薬剤たとえば free radical scavengerなどを用いても同様の効果が見られるなどですね。

この問題は心臓手術や急性心筋梗塞後の治療だけでなく、心筋梗塞後慢性期の心不全にも大いに影響し、これへの対策が大きな意味をもつことを、ACE/ARB研究やHANP研究、さらには再生医学でも酸化ストレスを減らす治療で長期的な心機能を改善することを示しました。

虚血再灌流障害の治療からもっと幅広く酸化ストレスの対策までを臨床から再生医学まで論じ、この領域の重要性をお示ししましたが、座長の上松瀬先生から壮大なお話しとお褒めいただき、恐縮してしまいました。

ともあれこのテーマのおかげで虚血再灌流障害をもう一度勉強しなおし、おまけに肺や肝臓などのそれも理解が進んだのはありがたいことでした。

会長要望ビデオのセッションでは、同時間のシンポジウムに私の発表が重なったため、高の原中央病院かんさいハートセンターの増山慎二先生に代演してもらいました。

虚血性心筋症・虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する外科治療の努力ということで、私、米田正始のオリジナルの2手術を発表して戴きました。ひとつは拡張型心筋症や左室瘤に対する新しい左室形成術、一方向性ドール手術で、いまひとつは機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する乳頭筋適正化手術(papillary heads optimization, PHO)でした。

会場から温かいコメントを頂いたようで、皆様に感謝申し上げます。増山先生、ご苦労様でした。

その発表と並行する形で、「この症例をどうするか」というセッションで最近私たちが経験した感動の症例を提示しました。お便り99に掲載した患者さんで、普通ならもうダメ、どうにもならない状況から元気に退院して行かれたケースでした。

私にとっては京大を辞めてから6年、日々磨きあげて来た新しい心臓手術の成果を端的に発揮できたケースでした。かつて助けられなかった患者さんへの想いや、これほどまでに私たちを信じて頑張って下さったこの患者さんへの感謝の念、そしてその間私に協力してくれた多数の方々への熱い想いが重なって心にしみるものがありました。

医学的には、こうした難症例の治療の選択肢をいくつか提示し、その中にはこれから普及するであろうTAVIやM clipなどのカテーテルベースの治療も含めて内科外科の皆さんと議論しました。

これほどの低心機能の患者を7年も生存させているだけでも素晴らしいとお褒め戴き恐縮しました。ともあれ、これからもっと記録を伸ばしていけると思います。患者さん、頑張って下さい。

夜の懇親会では楽しいひと時を持つことができました。余談ながら和歌山城が見える会場は素晴らしいとあらためて感心しました。

よく2日目は主に勉強させて戴きましたが、最後のセッションは内科外科合同のパネルで、左冠動脈主幹部病変や多肢病変への内科外科のアプローチというテーマでした。大阪大学の南都伸介先生と私、米田正始で司会をさせて頂きました。

Syntaxトライアル5年後の結果がでて、複雑冠動脈病変は基本的に外科手術つまり冠動脈バイパス手術が勧められるというガイドラインが出て、たまたま天皇陛下のバイパス手術などもあり、世の中は外科のほうに揺り戻しているように見えます。

しかし内科の御意見としては、すでに次世代のステントが広く使われており、Syntaxのころより優れた結果を出している、これからガイドラインも再検討すべきという声がありました。

一方、外科の御意見として、オンポンプバイパスが中心のSyntaxと違って日本ではオフポンプバイパスが中心であるため、外科はより一層安全で有利、だからガイドラインは一層外科寄りであるべきという空気がありました。

それぞれ優れたものがより優れた結果を目指しての内容で、素晴らしい議論と思いました。元小倉記念病院チーフの横井宏佳先生はより良いハートチームという観点からエビデンスとエクスペリエンス経験をそれぞれEBMとレジストリーからデータを出して極めていくべきと提唱されました。

近年カテーテルのときに多用されるようになったFFRをもっと活用して、より実際に合った適応やガイドラインを提唱されました。またDAPTと呼ばれる強い抗血小板治療の考え方やハイブリッド治療の重要性にも言及されました。

これから日本独自のより正確で安全なガイドラインへ向けて研究を進めて頂ければとお願いしてしまいました。

いろいろと勉強できる優れた学術集会になったと思います。会長の2先生や関係の皆様に御礼申し上げます。

平成25年12月21日

米田正始 拝

 

 

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奈良新聞 「市民公開健康講座:最新心臓手術を解説」

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IMG_0079bこの12月18日に奈良市西部市民会館にて市民公開健康講座でお話しさせていただきました。この様子を奈良新聞が報道してくれました。

心臓手術の最近の情勢と心臓病のお話しをまず行いました。さらにその心臓病の予防の仕方(予防が第一!)、予防しきれないときの早期発見・早期治療の仕方までお話ししました。狭心症・心筋梗塞とPCI(カテーテル治療)や冠動脈バイパス手術、さらに弁膜症弁形成術あるいは創が小さいポートアクセス法などのMICS手術大動脈解離大動脈瘤などの大動脈手術などをお話ししました。

加えてこうした病気の予防や、心臓手術のあとで体調が良すぎてメタボにならないよう科学的ダイエット(糖質制限食、ローカーボダイエット)のお話もしました。

私の話にひきつづいて栄養士の余呉さんがこの糖質制限食の実際を解説してくれました。

当日は大きなホールが満員に近い盛況で、最近私たちのグループで出版した「正しく知る糖質制限食」という新機軸の教科書も40部準備していたのが完売になりました。

多くの方々にご興味を持っていただきうれしいことです。

これから皆さんの健康増進、そして心臓病の予防や早期発見・早期治療から心臓病の克服へ進んで行きたく思います。

ご参加の皆さん、天気の悪い冬空の中を多数お越しいただきありがとうございました。

 

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バルサルバ洞瘤へのミックス手術 【2020年最新版】

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最終更新日 2020年2月28日

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◾️バルサルバ洞瘤へのこれまでの手術は

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バルサルバ洞瘤は比較的珍しい病気ですが、 バ洞破裂いったんこれが破裂すれば、患者さんは急性心不全やショック状態となり、いのちにかかわることさえあります。

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このバルサルバ洞が破れれば、多くの場合手術が必要です。右図にその破裂パタンを示します。しかしバルサルバ洞組織は弱いため、手術の後の再発、再破裂の報告が少なくありません。

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しかもこのバルサルバ洞瘤の手術はほとんどの病院で、胸骨正中切開で手術が行われています。つまり皮膚切開は通常どおり胸の真ん中で大きな切開、たとえば長さ20-25㎝にもなります。

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これまでは安全第一、内容第一ということで創は気にしないという風潮が強いでした。現在も同じです。

しかしバルサルバ洞の手術を受ける患者さんの多くは10代ー30(40)代の若者です。そうした若者にあまり大きな創で、心にまで傷をつけることを私は好みません。

私たちは安全性ときれいな創を両立させたいということから次の工夫を重ねて来ました。

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◾️そこで工夫を、まず安全性から

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%e8%ab%96%e6%96%87264figure%e3%81%8b%e3%82%892まず安全性では、世の中でときどき見られる、バルサルバ洞瘤を修復したところのすぐ隣が破れて病気が再発したという問題を大動脈基部再建の方法をもちいて解決しました。

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この新しい方法はすでにトップジャーナルにも掲載され、今後の展開が期待されています(英語論文264番をご参照ください)。右図にその方法の一部をお示しします。つまりバルサルバ洞の脆弱な組織を使わずに、しっかりした組織(例えば弁輪など)だけを活用して穴を遠巻きに閉じるのです。

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これまで全例、きれいに一発で修復することができています。中には他病院で手術を受けたがうまく行かず、私たちのところで治った患者さんも複数おられます。

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◾️ついで目立たない小さな傷跡の手術を

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IMG_0069bつぎにきれいな創について、この安全なバルサルバ洞の修復再建法をきれいな創でできるように工夫して来ました。そこでポートアクセス法やその他ミックス法を応用して正中で小さい皮膚切開で手術できるようにしました。

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この結果、若い患者さんはのびのびと夏服やTシャツを楽しめるようになりました。近い将来はポートアクセス法でも手術できるかも知れませんが、現在のところ、あまり無理はせず、確実に、かつきれいにというポリシーで上記のミックス手術を行っています。

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患者さんからは、バルサルバ洞瘤破裂という難しい手術をこんなにきれいな創で治してもらえてうれしいとよく言われます。

今後もこうした方針で手術法を改良していくつもりです。皆様のご意見を頂けましたら幸いです。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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米田正始・かんさいハートセンター長が荒井正吾 県知事を表敬訪問

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月刊奈良12月号(平成25年)から

心臓外科医としてトップクラス 月刊奈良表紙の医師、米田正始・高の原中央病院かんさいハートセンター長が、このほど、新しく県内のハートセンター長に就任した報告を兼ねて、荒井正吾知事に表敬訪問した。

米田ハートセンター長は「奈良県生まれで奈良県育ちの私が、県内のハートセンター長になることができて、とて もうれしく思います。心臓の悪い患者さんのために”どんな場合でも断らない医療”をしていきたいと考えています。県の役に立つ医療実現のためにがんばりたい」などと就任のあいさつをした。荒井知事は「とても心強いです。断らない医療は大事です。がんばってください」などと激励した。

米田さんは1955年奈良県生まれ、1981年京都大学医学部卒月刊奈良記事業。県内の病院で研修後、1987年海外へ。カナダのトロント大学やアメリカのスタンフォード大学を経て、メルボルン大学ではオーストラリアで70人しかいない心臓血管外科医に選任された。1998年には帰国して、京都大学心臓血管外科教授に。その後、名古屋や豊橋ハートセンター副院長を経て、今年10月に高の原中央病院ハートセンター長に就任した。3700例以上の心臓外科手術の執刀経験があり、”神の手”といわれるほどの高い評価を受けている。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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第7回Mulu弁膜症シンポに参加して

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このアジアを代表する心臓弁膜症のシンポジウムに参加して参りました。弁膜症の患者さんたちや、心臓外科を学んでいる若い先生方の参考になればと印象記をお書きします。

IMG_0068bこの会は世界的に有名なロッキーマウンテン弁膜症シンポジウムのアジア版として10年以上まえに誕生しました。2年に一度、アジアのどこかで開催され、発展してきたものです。

私はひょんなご縁で第3回から講師として参加し、毎回成果をご披露して来ました。

欧米の友人たちとはまた違う、何か親戚のような親しみをアジアの友人たちに覚え、アジアの中で日本ができる貢献を考える場としても有難く、参加して来ました。

今回の第7回シンポはあの世界遺産・アンコールワットを擁するカンボジアで開催されました。以前からカンボジアを推薦して来た私にとっては一段とうれしい会になりました。私がアンコールワットの存在を知ったのは中学時代だったと思いますが、心に強く残るものがありました。栄華を極めたクメール王朝の文化、滅び行く美しいものに是非残って欲しいなどと思ったものです。あの激しかったベトナム戦争がカンボジアに飛び火し人命が失われることのつぎにこのアンコールワットの破壊を心配したものです。

ともあれシンポジウムではアジアや欧米の仲間とともに真面目に勉強にいそしみました。

始めにこのシンポのルーツであるロッキーマウンテンシンポの立役者、Carlos Duran先生の後継者であるMatt Maxwell先生が弁膜症のパイオニアの話をされました。

Duran先生や大御所Carpenter先生はもちろんその土台を創られた先生方を紹介し、偉大な先駆者に共通した点を挙げられました。とくに若い先生方の参考になれば幸いです。

1. Generous teacher & good students 優しい指導者かつ態度の良い学生であれ

2. Strict, skeptical scientists 厳密で懐疑的(何でも疑う)な科学者であれ

3. collaboration with engineers and technitians 技師や技術者と協力せよ

4. longitudital follow-up; clinical & structual 臨床と弁構造のフォローアップを

5. Impassioned & dedicated あふれる情熱と没頭を

これだけそろえば偉くならないほうが不思議です。幾多の困難を乗り越えて来られた先人たちの想いと努力を今一度思いだす機会になりました。

ついで人工弁や僧帽弁形成術用のリングの使い分けを数名の先生方が解説されました。インド・ムンバイ(旧ボンベイ)のPandy先生は僧帽弁形成術の今日的意義と、僧帽弁置換術では将来の再手術を念頭におかねばならないということを、ハノイのSon先生は機械弁の話をされましたが、それ以上に旧北ベトナムも発展していることを知りうれしく思いました。香港の友人Song先生は僧帽弁形成術リングの使い分けをきれいに整理され、参考になりました。

IMG_0043b夜の歓迎パーティでは州知事さんが参加され(写真右)、アジアでは相変わらず心臓外科が社会から大切にされていることを感じました。

弁膜症シンポジウムの2日目は僧帽弁形成術を論じました。

マレーシアIJNのChian先生はエコーの最近の成果と実際を解説され、よいまとめになりました。負荷エコーの有用性をとくに機能性MRなどで示されました。

畏友Calafiore先生(イタリア、現在はサウジアラビア)は僧帽弁形成術の新しい工夫を発表され、私も共感するところがありました。あとで一緒に共同研究しようということで前向きに検討することになりました。お互いいくつになっても新しい優れたものを追求できるというのは幸せなことと思いました。

オーストラリア・ブリスベンのFayers先生はARでの機能性MRや、それへの僧帽弁形成術の際に機能性MSが起こること、さらにMクリップなどの解説をされました。あとで私が同じ領域の現況をお話ししたときに、そんな方法があるとは知らなかった、やってみたいと言って下さり、うれしいことでした。

ベトナムの畏友Phan先生はCarpentier先生の弟子で、すでに世界一のリウマチ性僧帽弁膜症の弁形成の経験をお持ちです。今回はリウマチ性僧帽弁膜症のうちどういうケースがより難しいか、どういうケースが確実に形成できるか、をきれいに整理して話されました。

IMG_0058b不肖私はゴアテックスをもちいる僧帽弁形成術というテーマで、1.ポートアクセス法での複雑僧帽弁形成術でゴアテックス人工腱索を多数立てる方法をご披露し、さらに2.機能性MRで重症例を低い侵襲で救う工夫を発表しました。

シンポジウムの時も、そのあともいろんな方々から、そんな方法があったんですか、私もやってみたい、とか細かいテクニカルな点をご質問いただき、関心を持っていただきうれしく思いました。(右写真、左からGersak先生、私、Maxwell先生、Saw先生です)

オーストラリア・ブリスベンの大先輩Gardner先生は僧帽弁形成術の際におこり得るSAM (僧帽弁前尖が前方にめくれあがること)のメカニズムや対処法をお話しされました。

マレーシアのChian先生は話題のMクリップ(カテーテルでアルフィエリ型の僧帽弁形成術を行う)を報告されました。最近の一部の報告で機能性僧帽弁閉鎖不全症にこのMクリップが良いというのがありましたが、クアラルンプールのIJNという有力施設の経験ではテント化が11mmを超える症例や逸脱が強い症例にもこのクリップは不適ということでした。正直な発表でさすがと感心しました。

引き続いて三尖弁閉鎖不全症のセッションがありました。Calafiore先生は左室駆出率が40%を割る症例では右室拡張が起こりやすくそうなると三尖弁形成術の効果が落ちる、そうなるまでに手術するのが良いとのことで、重要なメッセージと思いました。

私などはそうしたタイミングを逃した患者さんの三尖弁手術をけっこう多数やっており、いざとなれば将来のTAVI(カテーテルで入れる生体弁です)を意識した三尖弁置換術を行うことがありますが、そのTAVIでのvalve-in-valveを三尖弁でうまくやれるということをCalafiore先生から直接聞き、うれしく思いました。今後多数の患者さんたちがこの恩恵を受けることでしょう。

神戸の岡田先生は日本弁膜症学会の重鎮で三尖弁形成術をまとめられました。心房細動、肺高血圧症、右室不全のケースでは小さ目のリングをというメッセージは役に立つと思いました。

IMG_0025b午後の心房細動のセッションでも活発な議論が交わされました。心房細動の期間の長さと左房サイズ(60mm以上)が重要であるということが大分認識されるようになり、かつ心房細動を治すことが患者さんの寿命を延ばすために大切であることが浸透するようになりました。10年近くまえから心房縮小メイズ手術でこの課題を克服して来た私たちとしてはより多くのひとたちにこの方法を知って頂けたらと思いました。

翌日は恒例の「遠足」で、参加者の親睦のため全員でアンコールワットに行ってきました。

ベトナム戦争のときのカンボジア内紛で人命とともにアンコールワットが破壊されることを懸念されたものですが、何とか無事に残っていて、よくぞ生き延びてくれたという気持ちになりました。もちろん世界遺産であり、アジア人の英知や文化を示すもので、皆さんこれからも機会をみつけて訪れて下さいとFacebookでお願いしてしまいました。

IMG_9468bというのはあちこちで破損がひどく、とくにこの地域の特徴でしょうか、木の根っこが建物の隙間に入り込み、そのまま木が成長して建物を根底から破壊するという現象が見られ、大掛かりな保存策が必要な状態と知ったからです(右写真)。

なおこの遠足のときに会場では若い先生らがウェットラボで手術練習をしておられました。これまで何回かその指導を楽しくやらせて戴きましたが、今回はアンコールワットに執着があり、ウェットラボはパスさせて戴きました。

シンポジウムの最終日も充実していました。

大動脈弁手術のセッションではサウジのAlShahid先生が手術の最適タイミングを論じられました。とくに大動脈弁置換術は現代の心臓手術の中では一番簡単な手術という位置づけにありますが、そのタイミングが遅れすぎた患者さんのリスクは高く、まだまだ内科も含めた検討や啓蒙活動が必要と感じました。やはり治せる病気でいのちを失ってはいけないと思いました。

同じくサウジアラビアのAl Halees先生は大動脈弁形成術の解説をされました。この大動脈弁形成術はまだ進歩しつつある領域で、その分未知のこともあり、力が入ったと思います。大動脈弁尖を心膜や特殊な材料で延長するcusp extension弁尖延長の成果を示されました。これと尾崎先生の弁尖置換の両方をやっている私としてはそれらの使い分け、どの場合にどちらが良いか、とくに長期的な安定はどうか、などに関心があり、議論させて戴きました。

中国武漢(ウーハン)心臓病院のLiang先生は心膜で大動脈弁再建を多数やっておられ、二尖弁や4尖弁の形成も努力しておられ、参考になりました。ここでも自己心膜よりウシ心膜が良いとの意見で、これから何が本当にベストかをしっかり検証したく思いました。

ひきつづいて行われたTAVIのセッションでは最近聞き飽きた感のある話もありましたが、オランダのAmrane先生は経上行大動脈のTAVIを報告されました。外科医が腕を振るえる治療のひとつで、うまくやれば患者さんにとって大きな光になるものと思いました。何しろ、動脈硬化の強い大腿動脈や弓部大動脈などを回避し、かつ心尖部のやや弱い組織も使わずにすむわけですから、これからが楽しみです。

それからMICSのセッションがありました。ポートアクセスで手術をやっている心臓外科医はこの熱心な参加者の中でも半分ぐらいで、まだ課題があることを窺わせました。

シンガポールのKofidis先生は視野を良くする工夫を含めた経験を紹介されました。スロベニアの畏友Gersak先生はより進んだポートアクセス手術を紹介され、私などはやってみたいと思いましたが、大方の印象はおたく過ぎて真似できないという感じでした。

しかし最近話題のsutureless valveつまりTAVIの良さを導入して、全部を糸で縫い付けるのではなく、大半は弁を広げて圧着固定する方法とポートアクセス法との組み合わせでの手術は今後の展開が期待できると思いました。

マレーシアの畏友Dillon先生はクアラルンプールでの多数の経験を紹介されました。以前に名古屋ハートセンターでポートアクセスを立ち上げたときに大いに参考にさせて頂いた方法で、じつはスタンフォードでハートポートを初めて成功したチームにYakub先生(マレーシアIJNのチーフ)がおられ、そこからの流れで、いわば昔からの同門みたいな親近感があり、楽しく聴くことができました。

Muluシンポジウムのオーラスの講演はCalafiore先生がされました。

Chr1006-s大変重要な講演でした。というのは最近話題のM Clipの研究発表が非常におかしい、という刺激的内容だったからです。世界のトップジャーナルのひとつであるNew England Journal of Medicineに掲載されたM clipの論文で、2単位以上の輸血が大きな合併症と位置付けられ、予後に影響する多量の遺残逆流を小さい合併症と位置付けられたこの研究はおかしいというわけで、一同なるほどと思いました。輸血はゼロが望ましく、私たちもできるだけゼロへの努力をしていますが、実際に2単位で肝炎になる確率は5万分の1もなく、患者さんへの迷惑はないといっても過言ではありません。それよりは僧帽弁閉鎖不全症を残すことのほうが大きな問題でしょう。

しかしそうした理不尽な論文が新しいデバイスを用いた研究ではちょくちょく見られるのです。これは企業の経済的圧力に屈したと言われてもしかたがないことです。

近年、そうしたことが看過できなくなったのでしょう、企業などから謝礼や寄付金を受けている研究者は、そのつどそれを公表することが義務付けられていますが、これをもっと強化する必要があると思いました。

それと結果やデータと、論文の結論に差があるという現象も大問題です。これは日本のPCIつまりカテーテルでの冠動脈ステント治療の研究でも指摘されたことですが、外科の冠動脈バイパス手術の患者さんのほうが長生きできている、そうした結果がでているのに、論文の結論にはそれが書いてない、ステントもまあまあ良いというお茶を濁した記載になっている論文があるのです。これからもっと正しい記載、正しい論文を皆でチェックし創り上げる必要があると感じました。

それやこれやで大いに学び、楽しんだ4日間でした。夜はGersak先生らと一緒に空港まで行き、再会を誓って(ちょっと大げさ)それぞれ帰途につきました。

この機会を戴いたSaw先生と支援し留守を守って下さった高の原中央病院の斉藤先生、増山先生、小澤先生ほかスタッフの諸君に感謝申し上げます。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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ポートアクセス法のMICSにかかる費用は?【2022年最新版】

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最終更新日 2022年2月4日

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ズバリ!追加出費はありません。

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◾️ポートアクセス法などのMICSはIMG_1901b

ポートアクセス法に代表されるミックス(MICS)は創が小さく目立たず、社会復帰・仕事復帰も早いため喜ばれています。

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よく戴くご質問のなかに、ポートアクセス法(写真左は正面から見たものです、創はあまり見えません)やミックス手術では費用が余分にかかるのでは?というのがあります。

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幸いなことにポートアクセス法MICSでの僧帽弁形成術大動脈弁形成術、あるいは僧帽弁置換術大動脈弁置換術はいずれも完全に保険適応で、通常の心臓手術とくらべて患者さんの負担が増えることは一切ありません。

IMG_1902b

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都道府県によって多少の差はありますが、通常7万5千円+食費などの負担だけで、実質300-500万円の医療費のほとんどは保険から支払われます。今後も守るべき、世界に誇る日本の保険制度の良き一面です。

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心房中隔欠損症左房粘液腫などの心臓手術も同様で、負担はまったく増えません。

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◾️正中で切開するタイプのMICSでも?

ポートアクセス法MICSが適応にならない、つまり心臓の真ん中から左側などを治す手術では胸骨部分切開のミックス手術や皮膚を小さく切るミックス手術を行いますが、この場合も 患者さんの負担はまったく増えません。

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たとえば2弁手術、3弁手術、デービッド手術、ベントール手術、さまざまな成人先天性心疾患の手術たとえば心室中隔欠損症、右室二腔症、バルサルバ洞破裂、動脈管開存症その他の手術でもミックス手術を行っていますが、通常の保険診療と負担は変わりません。

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ミックス手術やポートアクセス法(右写真は斜め方向から見たものです)で創がきれいだからといって患者さんの負担が増えることはありません。

ロボットとLSH_3.

◾️ロボット手術との違いは

ロボット手術は200万円ー300万円の自己負担が必要でしたが、現在は保険適応となりました。しかしロボットの腕の部分などの高価な部品は定期交換が必要なのに保険は効かず、結局は部屋代その他の形で患者さんの負担になっていると言われています。

ミックスは仕上がりではどちらが上かわからないほどきれいです。ロボット手術では副次創と呼ばれる小さい穴がいくつもでき、創の面積では大きくなるからです。
私たちが行っているMICSはスピードが高いため安全性でもそん色ありません。

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ということで、患者さんにおかれましてはお金の負担増の心配なく、安全にきれいに病気を治すことに専念して戴ければ幸いです。

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参考ページのIndex:

MICS(ミックス手術)とは

とくにポートアクセス手術とは
ハートポートとは
ポートアクセスの位置づけ
それが前向きに安全な場合
美しいLSH法とは
ミックスは危険なの
術後の痛み軽減について
社会復帰が早いわけは?
美容について
胸骨「下部」部分切開法とは
ビデオ ポートアクセス法による僧帽弁形成術
ビデオ 連合弁膜症のご高齢患者さんへのミックス法・3弁手術

僧帽弁

ミックスによる弁形成

  同、弁置換

ポートアクセスによる弁形成術

メイズ手術

大動脈弁

ミックスによる弁置換

ポートアクセス法による弁置換術

ミックスによる弁形成

ミックスでのデービッド手術

三尖弁

ミックス法による弁形成術
患者さんやご家族からのお便り

お便り43 がんの手術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん

お便り46 遠方からご自分の信念で来院下さった患者さん

お便り48: ミックスですみやかに社会復帰された患者さん
お便り50: 大動脈二尖弁と上行大動脈瘤の患者さん

お便り54: ポートアクセス法で弁形成術を受けた若者患者さん

お便り59: 被災地支援へ!同法の弁形成術を受けられた患者さん

お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん

お便り62: 同、弁形成術と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん

お便り63: ポートアクセスの複雑弁形成術を受けられた患者さん

お便り65: 同法による弁形成術で元気になられた患者さん

お便り66: バルサルバ洞破裂と心室中隔欠損症などを克服した患者さん

お便り67: ミックスで右室二腔症の手術を受けられた患者さん

お便り68: ポートアクセス法の弁形成術を受けたバーロー症候群患者さん

お便り70: 自己心膜で大動脈弁形成術(再建術)をミックス法で受けた患者さん

お便り71: ミックス手術で大動脈二尖弁形成を受けた15歳の患者さん

お便り72: 二弁置換とメイズ手術をミックス法で受けた患者さん

お便り73: リウマチ性連合弁膜症と心房細動をミックス法手術で克服

お便り74: ポートアクセス法で僧帽弁形成術とメイズ手術を受けた患者さん

お便り78: ベントール手術をミックスで受けられた患者さん

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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【第五十二号】科学的ダイエットの本を出しました

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 【第五十二号】
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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すっかり寒い季節になりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。

郷里の奈良に「かんさいハートセンター」を立ち上げて1か月半が経ちました

が、お陰さまで大変忙しくさせて頂いております。関東、九州、沖縄はじめ遠

方からも、近郊からも患者さんがお越しくださり、ひとつでも二つでも多くお

役に立ちたいと頑張っています。

高の原中央病院かんさいハートセンターのご案内はこちらです
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/08/khcopen.html

この件はちかぢかのメールマガジンでご報告させて戴きます。

今日のお話しは、待望の科学的ダイエットの本をようやく出版いたしました、

そのご案内です。

「正しく知る、糖質制限食」
~科学でひも解くゆるやかな糖質制限~

NPO法人日本ローカーボ食研究会 
技術評論社 刊

以前からローカーボダイエットつまり糖質制限食を自分の趣味として、さらに

心臓手術後の患者さんの健康増進のために勉強して参りました。

とくに心臓手術の患者さんについては、手術後に心臓が良くなると、ご飯がお

いしい、体調が良くなったということでふっくらとなる方が少なくありません

。それ自体はうれしいことなのですが、そのままにしておくと、メタボになり

かねません。そこで心臓が良くなったのを受けて、食生活や運動などもリセッ

トしましょうという啓蒙活動をしているわけです。

とくに食事は大切です。というのは人間のからだは省エネ設計になっており、

多少運動してもそれだけで痩せることは難しく、やはりダイエットとセットで

行ってこそ効果があるからです。

さらに、これまでのダイエットはどうしてもお腹が空く、つまり根性に支えら

れる傾向が強く、結局長続きしませんでした。

何事も、楽しく面白くやれることが大切と思っています。

そこでこのローカーボダイエット、糖質制限食なのです。

ただしすでに同様のタイトルの本は多数世に出ています。一種のブームになっ

ているのです。ところがそのほとんどが非科学的、民間療法的で、そこに書か

れた内容をそのまま実行したらがんや動脈硬化つまり脳卒中や心臓病さえ増え

る懸念があるのです。

それではせっかくの糖質制限食が消えてしまうため、私たち臨床経験の豊富な

医師が集まってNPO法人日本ローカーボ食研究会を立ち上げ、その事業の一

つとして上記の本を企画したのです。

そのご案内は次のページをご参照ください。
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/11/cardtextbook.html

私のHPのメディアのページにもその概説が載せてあります
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2008/01/post-0f92.html

じっさいこの糖質制限食のおかげで、心臓手術を受けられない状態の患者さん

の状態が良くなり、それからゆうゆうと手術を受けて元気になられたという方

がすでに10名を超えています。この本ではそうしたケースも一部ご紹介して

います。

これらをご参照のうえ、健康生活を楽しんで頂ければと思います。

判りにくい点や込み入ったご質問などは私(一般内科外来は米田医院でやって

おります)や名古屋エリアでは灰本先生、安井先生、小早川先生、中村先生は

じめ著者の先生方の外来で聞かれるのも一法かと思います。

民間療法ではなく、健康管理のひとつとして行うのが理想的ですので、医療と

いいますか、ある意味、予防医療としてきちんと行うと安全安心で効果も大き

いからです。

ともあれ皆さんの御意見を楽しみにしております。

蛇足で恐縮ですが、インフルエンザワクチンがそろそろ役立つ季節になりまし

た。多少のお金がかかるのが弱点ですが、それをはるかに上回るメリットがあ

ると思います。とくに心臓病や糖尿病、肺疾患、がんその他をおもちの方々に

は命を救う結果になるほどの効果があります。

その記事はこちらにあります
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2008/11/post-b85d.html

ぜひご検討下さい

それではみなさん、お元気にお過ごしください。

敬具

平成25年11月20日

米田正始 拝

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           http://www.masashikomeda.com
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