ローカーボダイエットの実際は

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この低炭水化物・高脂肪ダイエット(糖質制限食)のポイントは、

 

1.もちろん炭水化物つまりご飯、うどん、パン、甘いものなどを減らす。

たとえば朝食と夕食うどんは美味しいですがうまく食べないと太るもとです でご飯・うどん・パンなどを食べない。

軽くやりたい方には夕食だけとか朝食と昼食で。

目標体重になればある程度緩めることができるでしょう。

炭水化物が多く含まれる食品にご注意を!

たとえばバナナ、イモ類、かぼちゃ、にんじん、豆、レンコン、牛乳などは炭水化物が多く含まれ、やや太りやすくなることを知って下さい

ただ牛乳やニンジンなどでわかるように、からだに良い優れた食べ物も多いため、ある程度の量は食べるべきです。量を過ごさないように、そしてその分どこかで炭水化物を節約する必要がある、ことを知って頂きたいのです。

 

2.炭水化物を食べないときは脂肪はしっかり食べて良い。

それによって空腹感が取れて苦痛が少なく長続きします。

これが従来のカロリー計算主体のダイエットとの違いです。

すると夕食でステーキや焼き肉をたべても、ご飯やパンやイモ類を食べなければそう太らないわけです。

あるいはハンバーグの大盛りやてんぷらを食べてもおなじ注意をすれば太らないのです。なおてんぷらは衣の部分に炭水化物が少し含まれるため、その分、ご飯や甘いものを食べないようにすればよいのです。

 

天丼などのように油と炭水化物を同時に食べるのは不利です 3.しかし炭水化物と脂肪は同時にはあまり摂ってはいけないのです。

これが盲点でこれを克服できればあとは楽です。

 

4.タンパク質はこれまで通りの摂取でOKです。

野菜は積極的にたくさん食べましょう。お豆腐やあげなどの植物性の食品もしっかり食べてください。

赤肉つまり牛肉や豚肉は、ある程度食べるのは良いのですが、食べ過ぎるとがんその他の問題が発生します。

その反対に、チキンや魚の肉はがんを増やさず健康食たんぱくとなります。

 

5.おやつにはナッツ類(植物性!)を勧めます。

アーモンド、ピーナッツ、くるみなどですね。今話題のω3脂肪酸をたっぷり含み、それ自体が健康に良いのですが、満腹感が得られるため余計なつまみぐいをしなくて済むという大きなメリットがあります。

植物性でファイバーやポリフェノールも含まれて良い食べ物です。

それ以外では砂糖抜きのヨーグルト、たとえばダノンやLG黒ラベル、時にはチーズなども良いでしょう。

 

6.御心配な方には定期的に血液検査(血糖値や中性脂肪、善玉HDL、悪玉LDL、肝臓、腎臓など)で体が良くなることを確認されることを勧めます。

私の外来では定期健診のなかに血液検査を含めています。

炭水化物を減らし、脂肪を増やしても、血液の中のあぶら、つまり中性脂肪や悪玉は増えません。

ともあれ検査を定期的に受ければ安全安心です。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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ローカーボダイエット(糖質制限食)

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1. 糖質制限食が必要になった背景

現代は飽食の時代のためか、さまざまなダイエット法が行われ紹介されています。

メタボリック症候群、肥満は糖尿病を誘発したり悪化させますし、高脂血症のようにコレステ ロールや中性脂肪を増やし、高血圧を悪くします。

それらのために腎臓や狭心症などの心臓病を引き起こしたり脳血管障害から脳梗塞などに至ることも少なくありません。
肥満は現代人の大きな問題です。

肥満対策として食事と運動が大切なことにはどなたも異存はないと思います。
ただし運動は少々頑張っても消費カロリーは少なく、すでに肥満になっている方が普通の運動だけで痩せるというのは無理があります。

もっとも運動は筋肉を増やし基礎代謝率をあげる、つまり休憩や睡眠中でもカロリーを消費してくれるため、運動そのものは意味があります。

ただ運動で脂肪をすぐ消すほどのパワーはないのです。
つまりやせるためには食事療法、ダイエットが必要なわけです。

2. そこで糖質制限食の誕生

ダイエットブームの中で10年ほど前から、糖質制限食、別名ローカーボダイエットが話題となり普及していきました。

1. ローカーボダイエット(糖質制限食)とは?その内容・特徴を解説します。

糖質制限食とは単に糖分や炭水化物を減らすだけではありません
それではお腹がすいて、長続きしないのです
脂肪をうまく食べて糖質の代わりをさせる、これがポイントなのです

ローカーボダイエット(糖質制限食)とは?

2. ローカーボダイエットの実際は

意外に簡単なような、しかし盲点もあり、やはりきちんとした知識を得てからやるのが良さそうですね。

何しろ、「私はこんなに真面目にローカーボやってるのにほとんど痩せない!」という方から、「4か月で12kgも痩せました(#^.^#)」と言う方まで、実にさまざまです。
そういう差がでるのにはわけがあります。これを実際の食事のなかで考えましょう

ローカーボダイエットの実際

3. 患者さんから学ぶ糖質制限食の盲点

メタボや肥満で苦しんでおられる患者さんこそ最高の師匠です。
患者さんの声に耳を傾けると、どうすれば良いか、おのずと見えてくるのです。

患者さんから学ぶ糖質制限食の盲点

  • 市民公開講座から、糖質制限食の解説です

    なぜ苦痛なく痩せられるか、そのコツは、盲点や注意点とともにお話します

  • 市民公開講座から、栄養士さんのお話です

    より身近なところから解説してくれます

3. 日本ローカーボダイエット(糖質制限食)研究会:

灰本元先生のご指導のもと、安井先生、中村先生、加藤先生はじめ実力派の先生方のお力で誕生したNPO法人研究会です。私も僭越ながら理事として立ち上げから参加させて頂いています。

巷によくある民間療法的なものではなく、科学的な、EBMにもとづいた、医学としての科学的ダイエットを極める研究会です。民間療法のダイエットではがんや動脈硬化を増やし長期死亡率を上げることが報告されているのです。

1. 第1回日本ローカーボダイエット研究会にて

ついに研究会を立ち上げました!

詳細はこちら

2. 第2回日本ローカーボダイエット研究会にて

ハートセンターの栄養士さんも発表してくれました。

詳細はこちら

3. 第3回日本ローカーボダイエット研究会にて

活発な討論内容の印象記です。畏友新井先生も素晴らしい内容を発表して下さいました

詳細はこちら

4. 第4回日本ローカーボダイエット研究会にて

下記の新・教科書の発刊を記念する学術集会を兼ねて多数のご参加のもと、内容ある発表と議論がなされました

詳細はこちら

5. 第八回日本ローカーボダイエット研究会にて

健やかに老いるための高齢者の生活管理というテーマで開催されました。

詳細はこちら

<お知らせ>

平成25年11月についに上記NPO法人日本ローカーボダイエット研究会から教科書を発刊いたしました。
この画期的な糖質制限食の教科書のご説明はこちらをご覧ください。
正しく、科学的で安全な、本物のローカーボダイエット(糖質制限食)の真髄に迫ります。
医療関係者、糖尿病やメタボの患者さん、健康にスリムになりたい方々などにお役に立てれば幸いです。
ぜひご笑覧ください。もよりの書店やアマゾン、あるいは仁泉会病院受付でも販売しています。また御意見やご質問などをお寄せ頂ければと思います。

6. 第30回 奈良市民公開健康講座で「最新の心臓手術と科学的ダイエット」というテーマで講演しました。

その内容を平成26年3月10日付奈良新聞に掲載して戴きました。
参考になればうれしいことです。

5. NHK文化センター京都教室で講演

「このままでは危ない!心臓病と科学的ダイエット」 2014/4/13(日) 13:00-15:00 案内から:心臓外科名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。
突然訪れる心臓病について、有名人の心臓手術を例にとりながら、予防・治療・手術などの観点から、ためになるお話をして頂きます。また、予防のための正しいダイエット指導もございます。
(講演は盛況の中、終わりました。皆さん、ありがとうございました)

5. NHK文化センター梅田教室で講演

「糖質制限食ダイエットを心臓病の治療にも活かす」 2014/5/11(日) 13:00-15:00 案内から:心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。
話題の糖質制限食が心臓病の予防や治療にも役立つことがわかりました。心臓病や心臓手術を通して正しいダイエットを考えます。
(おしゃれな建物で、講演はにぎやかに終了しました。皆さんに感謝しております。)

メモ
お茶と科学的ダイエットは切っても切れないご縁があります。
どちらも役立てて行きたいものですね。

<お茶の効用1>

煎茶の会での講演内容、お茶がどう健康によいかを考えました。科学の眼で調べてみました。

詳細はこちら

<お茶の効用2>

全国お茶サミット2012での講演内容をまとめました。

詳細はこちら

心臓手術のお問い合わせはこちら患者さんの声はこちら

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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かんさいハートセンター

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御礼とご報告

 

多くの方々のご支援とご指導によりましてかんさいハートセンターは立ち上192146942げ当初から実績を上げ、全国からの重症の患者さんや専門診療・先端治療を必要とする方、あるいは地元の患者さんたちのニーズにお答えすべく努力して参りました。

 

このたび米田正始はこのセンターを退職し、より良い医療を目指して大阪に異動することになりました。

 

その詳細はこちらをご参照ください。(心臓や血管の手術などでお困りの際にはいつでもご連絡ください。)

 

大変お世話になりました高の原中央病院の斎藤会長、理事長、専務、循環器内科(とりわけ太田剛弘先生)や心臓麻酔科、関係各科、手術室・ICU・病棟・リハビリ・外来・薬剤部・放射線・検査・栄養科・事務はじめ多数の職員の皆様、地元奈良の医師会の先生方はじめご指導くださった皆様、そして何よりも遠近や国内外を問わずご支援くださった患者さんたちにこの場をお借りして心から御礼申し上げます。

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ハートセンターの考え方に共鳴し、集まって下さった循環器内科、心臓外科、ナースやMEなどのコメディカルの皆様にはせっかく参入いただいたのに施設が空白状態となり、誠に申し訳なく思っています。

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こうした経験から、現代の厳しい医療情勢の中で、患者さんとくに重症の方々をお守りするのは並大抵の努力ではできないと実感するこのごろです。ただ個人がベストを尽くすだけでなく今日的な多角的工夫・組織的努力がもっと必要です。ここでの貴重な経験をもとに、より強力な足腰をもった本格的急性期病院で、より多くの仲間を得ながら、初志を貫徹する努力を続けるつもりです。

 

今後も変わらぬご指導とご鞭撻を頂けましたら幸いです。高の原の関係の皆様、ほんとうにありがとうございました。 (2015年6月28日記)

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追記: 当初の心臓外科メンバーは全員、新天地で元気に仕事に精出しています。お世話になった皆様に感謝申し上げます。

 

1.かんさいハートセンター開設のご挨 203651752拶です。

これから患者さんや地域医療に貢献すべく全力を尽くします

 

2.かんさいハートセンターでは熱い循環器内科の先生を募集しています。詳細はこちらをどうぞ。


3.内覧会のお知らせ。平成25年9月28日(土)、29日(日)です。

(多数お越しいただきありがとうございました。これから地域や患者さんのお役に立つようがんばります)


4.講演のお知らせ。高の原中央病院健康フォーラムで「心臓手術と科学的ダイエット」のお話しを致します。平成25年9月18日水曜日です。

(盛会裏に終わりました。御礼申し上げます。ご報告も記載しました)

5.NHK文化センター 名古屋 IMG_1967b教室での講演 ご案内です。

心臓手術や健康に関心ある一般の方々が対象です。奮ってご参加ください。

(満員御礼でした。ありがとうございました)

 

6.地域連携のための講演会(高の原会)で「心臓手術がお役に立てるとき—プライマリケアの立場から」をお話ししました。奈良新聞でも紹介されました。

(多数のご参加と貴重な御意見ご質問をありがとうございました)

その講演をYou Tubeで掲載して戴きました。ご覧下さい。なおこれらは医療者向けの解説です。一般の方向けのものはこのページの少し後ろのほうにございます。

210974194◆医療者の方々向けのビデオ講座

狭心症、冠動脈バイパス、PCIなどこちら

弁膜症、ミックス手術、ポートアクセスなどはこちら

大動脈瘤や大動脈解離、腹部大動脈瘤などはこちら

心筋症心不全はこちら

まとめと下肢虚血の再生医療はこちら


7.平成2 Ilm01_aa04006-s5年11月12日に米田正始が荒井正吾 奈良県知事を表敬訪問しました。そのときの様子をメディアが紹介してくれまし
た。

高の原中央病院かんさいハートセンターがめざす、断らない医療、患者目線の医療が荒井知事にも評価され、うれしく思いました。

これから地域医療のお役に立てれば最高です。


8.平成25年12月18日に奈良市西部会館で開催されました市民健康公開講座で「心臓手術と科学的ダイエット」というテーマでお話しいたしました。

これを奈良新聞が報道してくれました。当日は200名のご参加を戴き、大きなホールが満員に近い状態でした。

皆さんの健康増進と心臓病の克服にお役に立てれば幸いです。IMG_0208b

その後この講演内容がもっと詳しく紙面紹介(奈良新聞 平成26年3月10日)されました。ぜひ皆様の健康管理や早期診断・早期治療にお役立てください。心臓病は的確なタイミングで治療すれば治ることが多いのです。

 

❤ビデオで見ることができます。皆さんの健康増進にお役立て下さい(一般の方々向けです)。


188836877市民公開講座
02 心臓外科・狭心症

バイパス手術なども


市民公開講座
03 弁膜症の総論

僧帽弁や大動脈弁の病気を治すために


市民公開講座
04 ポートアクセス

小さい創で痛み少なく早く仕事復帰を

市民公開講座 05 弁形成術

健康生活にもどるために


市民公開講座
06 大動脈疾患

安全性が高くなりました。マルファン症候群の方々にも


市民公開講座
07 大動脈弁狭窄症

これは最近増えている病気です 178472147


市民公開講座
08 心臓外科とローカーボダイエット

食生活から病気を治し、予防する


市民公開講座
09 エンディング

まとめのメッセージ


市民公開講座
10 心臓外科とダイエットー栄養士から

より身近な食生活視点からのお話です

 

1911515249.奈良市とそのエリアにおける心臓手術につきまして。かんさいハートセンター開設2か月での印象とお願いです。

 

10.さわやか高の原 2014冬号に米田正始のエッセイが掲載されました。

これから奈良あるいは関西にて地域医療や専門医療で皆さまのお役に立てればうれしいことです。


11.NHK文化センター京都教室で講演 「このま A330_032までは危ない!心臓病と科学的ダイエット」 2014/4/13(日) 13:00-15:00
案内冊子から:
心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。

突然訪れる心臓病について、有名人の心臓手術を例にとりながら、予防・治療・手術などの観点から、ためになるお話をして頂きます。また、予防のための正しいダイエット指導もございます。


12.NHK文化センター梅田教室で講演 「糖質制限食ダイエットを心臓病の治療にも活かす」 2014/5/11(日)  13:00-15:00 案内冊子から:
心臓外科の名医として数多くのマスコミに取り上げられてきたスーパードクターの講演会。話題の糖質制限食が心臓病の予防や治療にも役立つことがわかりました。心臓病や心臓手術を通して正しいダイエットを考えます。

なお京都教室では心臓に重きをおき、梅田教室ではダイエットを主力にして重A309_095複が少なくなるようにいたします。

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13.奈良市エリアでの病診連携につきまして: 

患者さんと開業医の先生方へのお願いです。

地域医療はもっと便利に、もっと安全になるでしょう。

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14.市立奈良病院の新病棟お披露目会に行ってまいりました。:

良きパートナーになれるよう頑張りたく思いました。

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Tavr15.大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法であるTAVI(タビ)につきまして、

現在施設の認可のための準備中です。

その間にも患者さんのおやくに十分立てるよう、経験豊富なトップレベルの施設へご紹介するなどして安全を確保しています。

こちらこちらのページをご参照ください

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16.祝、奈良県総合医療センターのご発足。

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県立奈良病院が独立行政法人化され、奈良県立病院機構のもと新たな出発をされました。

私たちもパートナーとしてお役に立てれば幸いですIMG_0573b2

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17.東京スポーツ、大阪スポーツの名医の診察室に米田 正始が紹介されました。(2014/9/11)

循環器内科と心臓外科のハートチームはもちろん、ハートセンター職員全員で頑張ります。

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18.東京スポーツ、大阪スポーツの名医の診察室に太田剛弘・副センター長が紹介されました。(2014/9/18)

もつべきものは友、そして循環器内科が活発になってこそハートチームです。これからもっと皆様のお役に立ちたく思います。

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Ilm09_ak02020-s19.NHK文化センター名古屋教室での講演: 2014年11月16日日曜日13:30から、「心臓手術と科学的ダイエット」です。ふるってご参加ください。

盛況の中、終了いたしました。かつて名古屋で手術させていただいた患者さんたちも多数参加され、心に響きました。わたしの方こそ感謝しています。また来年もお越し下さい。

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20.おかたに病院の「なら健康まつり」に行ってま 164438012いりました。地域医療の良さを実感させてくれる集まりでした。

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21.かんさいハートセンターの設立から1年が経ちました。

おかげ様でゼロスクエアからの立ち上げとは思えない実績を残せました。皆様のご恩に報いるべく、さらに頑張ります。

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22.市立ひらかた病院で講演させていただきました

新しい見事な病院に感嘆いたしました。あたたかい歓迎ありがとうございました。

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23.奈良医大付属病院: 研究や教育のみならず地域医療の拠点です。大変お世話になっております。 197575994

 

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24.第五回 Heart Valve Conference の当番世話人(会長)を務めさせて頂きます。2015年4月11日土曜日、大阪ナレッジキャピトルにお越しください。弁膜症に関心のある医師とコメディカルの皆さまにぜひお楽しみ頂きたい

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おかげさまで満員御礼状態にて充実したプログラムを完了できました。ご参加くださった皆様に深謝申し上げます。来年もまた皆で楽しめる会にしたく存じます。よろしくお願い申し上げます

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25.e-MATCH でお役に立ちたく思います。

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これは奈良県の救急ネットワークで、心臓関係では奈良市の指定3施設のひとつとして貢献したく思います。よろしくお願い申し上げます。

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15928341226.近畿大学医学部奈良病院: すでに病々連携でお世話になっております。今後も奈良の地域医療発展のためよろしくお願い申し上げます。

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27.京都きづ川病院: 開設当初から想い出のある病院です。病々連携でこれからお役に立てればうれしいことです。

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28.京都山城総合医療センター: もとの公立山城病院が新しくなりました。京都府南部ー奈良県北部の地域医療や連携のなかで私たちもお役に立ちたいものです。

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29.土庫病院: 地に足つけた地179036312域医療、住民から支えられた病院の手本のようなところです。貢献できるよう、頑張ります。

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30.大和高田市立病院: 学生時代から現在に至るまで長年お世話になっております。これから大きな貢献ができればうれしいことです。

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31.西ノ京病院: 地域医療のパートナーとしてこれから交流がさらに増えれば私たちにとって光栄なことです。

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32. 国立循環器病研究センター: 移植や植込み型補助循環(人工心臓)その他でお世話になっております。

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33.西奈良中央病院: 奈良市西部地域の中核病院です。病々連携でお世話になっております。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り90: 肝機能障害のある三尖弁閉鎖不全症にミックス手術を

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患者さんは80歳男性で三尖弁閉鎖不全症のため心不全を合併し、近くの大学病院で手術が必要と言われてから米田正始の外来へ来られました。やや遠方の大阪からお越しになりました。


A335_010心不全で労作時の呼吸困難と肝うっ血のため肝機能障害も発生していました。夜間も苦しいため在宅酸素治療も受けておられました。

検査の結果、高度の三尖弁閉鎖不全症と高度の肺高血圧症が認められました。肺高血圧の原因は左室の拡張機能障害つまり左室が硬くなって広がりにくいためと判断されました。

そのままでは三尖弁だけ治すと肺高血圧に打ち勝って血液を送り出すちからが右室にない場合、いのちにかかわる事態になります。そこでまず入院していただき、肺高血圧や肝臓を含めた全身の治療を行い、幸い肺動脈圧が改善したため、そのタイミングで手術を行いました。

手術はポートアクセス法のミックス(小切開手術)で、三尖弁形成術と心房細動へのメイズを行いました。

幸い、術後経過は良好で、術後まもなく元気に退院されました。

 

以下はその患者さんのご家族からのお便りです。

 

*********** お便り ***********

 

名古屋ハートセンター
米田正始先生

昨年十月、父、****の手術では大変お世話になりありがとうございました。
 


辻野信雄さん十一月七日に無事退院させて頂きましたが、退院後胃の拡張血管からの出血でひどい貧血のため、近隣の**病院で緊急入院いたしましたが、十二月末に退院いたしました。

今年に入り、少しずつ体力回復し、杖なしでも軽く散歩が出来、入院で細くなっていた足が、ふと気づくと筋肉がしっかりとつき出し、嬉しくなりました。


三月になると急に大変元気になり、積極的に外出も仕事も、車の運転も依然と変わらず出来る様になりました。

 

入院前、父が酸素をつけていた姿を見ている近所の友人が、酸素も杖も不要になった父の歩く姿を見てとても驚いています。
 

二月六日には、八十歳を迎えることが出来、これもひとえに米田先生はじめ、皆様のおかげと毎日感謝しております。
 

もちろん減塩食をしっかりやっております。やっとそちらの外来に行く事が出来そうです。

近々予約をとらせて頂きます。

米田先生に助けて頂いた貴重な命を毎日感謝しながら家族と共に楽しく有意義に大切に使っております。

日頃の失礼をお詫びしつつ、此の機会に改めて心よりお礼申し上げます。

遅ればせながらお礼と直近の報告をさせて頂きました。

深谷先生、北村先生にもよろしくお伝えください。

本当にありがとうございました。

 

平成二十五年 四月二十五日
**** ***

 

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お便り89: 先天性僧帽弁閉鎖不全症と心房中隔欠損症のエホバ信者さん

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僧帽弁閉鎖不全症なかでも先天性僧帽弁閉鎖不全症にはさまざまなタイプがあります。

他の心疾患を合併したり、病気ではなくても構造が通常とはちがうこともあります。

患者さんは40代女性で心房中隔欠損症(ASD)と先天性僧帽弁閉鎖不全症のため来院されました。


こどもの時から内蔵逆位つまりお腹の内A335_001蔵が左右反対に位置していると言われていました。

半年前から息切れや疲れなど心不全症状が強くなり、近くの総合病院では修正大血管転位症とまで言われて不安になり、米田正始の外来へ来られました。

幸いその病気はありませんでしたが、下大静脈(IVC)が欠損しており、手術にも工夫が必要な状態でした。

しかもエホバの証人の敬虔な信者さんで、絶対無輸血をご希望のため、血液を一滴も無駄にできない条件下での心臓手術でした。

いつものように先天性心疾患の専門家も含めたハートチームで検討し手術に臨みました。

手術は安全とお若い患者さんであることも考慮し、MICS法(ミックス)で小さい創で行いました。

いつもと違うばしょに脱血管を入れて人工心肺を回し、安全確保ののち心臓を止めて、中にはいりました。

心房中隔欠損症を一時的に広げて、そこから僧帽弁形成術を行いました。

心房中隔欠損症はSinus Venosusタイプというやや複雑なタイプでこれをパッチで修復しました。Sinus Venosusタイプでは上大静脈(SVC)のルート確保も大事ですが、これも問題なくクリアーしました。

手術は無輸血でゆうゆうと完了しました。

術後経過良好で、小さい不整脈はあったものの落ち着いたため術後8日目に元気に退院されました。

以下はその患者さんのご家族からの礼状です。

 

*********患者さんからのお便り**********

 

米田正始先生

拝啓


木村由紀さまメール新緑の鮮やかな緑が目に眩しく感じられる季節になっておりますが、米田先生のますますの御活躍を心よりお喜び申し上げます。

先月4月8日に米田先生に妻の手術していただきました、****と申します。
先月末に退院致しましたが、米田先生に直接感謝やお礼の言葉をお伝えできずにおりましたので、失礼ながらまずはメールをと思いお送りしております。

昨年末に妻の心臓の疾患が見つかりましたが、私たち夫婦にとってはまさに「寝耳に水」の状態で、一時は目の前が真っ暗になったことを思い出します。
 

妻が幼少期に検査を受けていたことは知っておりましたが、その後検診でひっかかったことや活動の制限なども無かったため、すっかり安心しておりました。
 

昨年の夏ごろから体調が悪くなっておりましたが、まさか心臓だとは思わず、しかも手術が必要なほどだとは夢にも考えませんでした。


ちょうどその時期、私たちはエホバの証人の聖書教育活動を増し加えるために、生活拠点などを変える予定で動き出しておりました。

 

ですので、今からという時に病気が見つかり、目標を見失ったようで、特に妻の落胆ぶりは本当に大変なものでした。

しかも無輸血での手術が必要になりますので、どんな病院で治療を受けることができるのか、という不安も同時に押し寄せておりました。

しかし米田先生のホームページを拝見し、メールをさし上げたところ、すぐに返信を頂いて診察の予定を整えていただきました。

そして診察で先生のお話をお聞きした時点で、すでに治ったかのような安心感を抱くことができました。

私たちの宗教信条をご理解していただき、「神様が応援してくださるように頑張ります」とおっしゃって頂いた時には、先生にお願いして本当に良かったと心から感じました。
そして手術も無事に成功に導いていただきました。

術後の先生からのご説明では、妻の心臓の血管の状態が非常にまれな配置になっていたようで、様々なご苦労をお掛けした中で素晴らしい手術を施していただいたことに重ねて感謝致します。

術後、一時期体調が安定せず、様々な面で皆様にご苦労を致しました。
北村先生、深谷先生、木村先生の治療や、看護師の方々の献身的で温かく優しい看護にも心より感謝しております。

なんとなくバタバタした状態での退院になってしまいましたので、きちんとお礼ができず本当に申し訳ございません。

妻は体調の回復に合わせて、改めて皆様への感謝をお伝えしたいと申しておりますので、甚だ失礼ではございますが今しばらくお待ちいただければ幸いでございます。

ただ今回不正脈が取れないまま退院になってしまいましたので、どのくらい動いていいものかまだ不安も残っております。
入院中は心電図で先生方や看護師の皆様に見守って頂いていたので安心だったのですが、今は目安になるものがありませんので、何となく不安感が取れずにおります。
また術後血圧が急激に下がったりして調子を崩した時期がありましたので、そのトラウマのようなものが少し残り、「またあんな風になったら」、という怖れも残っております。

不整脈に関しては、以前の米田先生の診察の際に、「時間があったらメイズ手術もできるかもしれない」とお聞きしておりました。
インフォームド・コンセントは、米田先生が緊急手術のため木村先生に行なっていただきましたが、その際にお聞きしたところ、「この程度の不正脈ならメイズ手術は必要ないと思います。」とおっしゃっていただきました。
退院前には木村先生からは、もし収まらない場合は「カテーテルアブレーション」という治療が今後必要になるかもしれないともお聞きしました。

入院中電気ショックも2度も行なって頂きましたが不整脈が収まりませんでしたので、今後自然と不整脈が収まる可能性はあるものなのでしょうか?
もしかしますと、今後メイズ手術を受ける必要はありますでしょうか?
また現時点で、どの程度動いてもいいのでしょうか?

妻も入院中は先生たちがいらっしゃるので何も聞かなくてもお任せしておけば大丈夫とばかり安心しきっていておりましたが、いざ退院してみますともっと先生方に教えていただく必要があったと反省しております。

1ヶ月後の検診が予定されておりますが、その時までよくわからずにいて、運動過多あるいは運動不足になってはいけないとも感じております。
このようなメールでご相談して本当に申し訳ありませんが、もし宜しければ教えていただければ本当に嬉しく思います。

せっかく米田先生の素晴らしい手術で健康な心臓にしていただきましたので、当初考えていた計画をまた再開できれば、とも願っております。

そのような目標を再び頭に思い浮かべることができるようにしてくださった米田先生に本当に感謝しております。

今後の米田先生の引き続きのご活躍を心よりお祈りしております。

敬具

平成25年5月5日

 

******************************

 

そう心配するような状態ではなかったのですが、患者さんがかなり神経質になっておられるようなので早速お返事をお書きしました。

すでにかなり落ち着いており、まもなく薬も切って行けるでしょうとお伝えしました。

それから次のお返事を頂きました。やはりコミュニケーションは大切ですね。

 

**********患者さんからのお便り続編***********

 

米田正始先生

早過ぎるご返信に驚くと共に、本当に恐縮しております。
先生のお言葉を頂いて、不安が全く無くなりました。

妻も心配が一気に吹き飛び、今朝から意欲的に動き始めております。

深夜3時ごろにご返信を頂いているようですが、先生を寝不足にさせてしまったのではないでしょうか。

入院中にしっかりお聞きしなかったこちらの不手際で、米田先生にお手数をおかけして本当に申し訳ございません。

これほどまでに患者を気遣ってくださる先生のような方に巡り合うことができて、私たち夫婦は本当に幸せ者です。

妻からの感謝は、また改めてお伝えさせていただきます。

本当にありがとうございました。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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新しいポートアクセス法・MICSによる大動脈弁置換術—さらに快適に、きれいに

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◾️ポートアクセス法のミックス

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ミックス手術(MICS手術、低侵襲小切開手術)が心臓外科の領域でも注目を集めています。なかでもポートアクセス法による心臓手術は小さな創で骨も切らないため、苦痛が少なく、社会復帰も早く、患者さんに喜ばれています。

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これまでポートアクセスMICSといえば僧帽弁形成術僧帽弁置換術三尖弁形成術心房中隔欠損症ASD、さらに左房粘液腫MICS3右房粘液腫などに用いて参りました。

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図の左図の赤い点線が通常の胸骨正中切開での創で、右図の赤い点線がMICSでの創です。

患者さんにかなりやさしい手術になったことがお分かり頂けるかと思います。

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◾️ポートアクセス法のミックス、大動脈弁置換術でも

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一方、大動脈弁置換術については、これまでの右前胸を小さく切るタイプのポートアクセス法MICSが一部の施設で試みられているだけで、それほど普及していません。

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右下図の真ん中の図でお示しします。

これまでの大動脈弁ミックスそれは視野が限られ、熟練した心臓外科医でないと手術が安全にこなせないからです。

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個人的には右の前の創は比較的目立ち、それも乳腺より上のため僧帽弁形成術のときのポートアクセスMICSほどきれいな仕上がりとは思えないからです。

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そこでこれまでは胸骨の下半分を切って行うミックス手術を大動脈弁手術には主に使ってきました。右上図の右端でお示しする方法です。胸骨下部部分切開(英語でLower Hemisternotomy)と呼ぶこの方法は「夏服が着れる」つまり夏服でも創が目立たないこと、そして通常の胸骨正中切開より痛みが軽く仕事復帰もやや早いため喜ばれて来ました。

しかしこの方法では胸骨を部分的とはいえ、切開しますので、やはりポートアクセス法MICSの良さには及びません。

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◾️腋窩下部アプローチのミックス大動脈弁置換

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新しいポートアクセス法そこで登場したのが右側の腋窩(えきか、つまりわきの下です)で小さく切開する新型ポートアクセスMICSです。

左図の赤い点線が創を示します。ちょうど筋肉(大胸筋)の後ろ側で、筋肉をうまく避ける形で、陰に隠れるような位置に創があります。右腕をまっすぐ下せば腕で隠れるほどの位置です。女性では乳腺を避けることができ、乳腺の下・外側になります。

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これによって骨をまったく切らず、痛みも少なく、かつ仕事復帰も早い心臓手術が大動脈弁にもできるようになりました

小さい「窓」(ポート)越しに手術しますので、視野が限られます。そこでいっそう、熟練した心臓外科医が行うことが重要です。

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右写真はこの新しいポートアクセス法 高橋徹さん2bMICS
で大動脈弁置換術を受けられた患者さんの創部を示します。術後1か月ですが、正面からはあまり創が見えませんし、痛みも少なく、心臓リハビリも進み合併症の予防にも役立っています。

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現在のところ、安全優先のため、おもに時間的に余裕のある大動脈弁置換術をこの方法で行っています。

患者さんの体型や太り具合、大動脈弁の位置や方向によってはこの腋窩アプローチは不利なこともあり、その場合は上図真ん中の右前小開胸を行うこともあります。

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◾️今後の展開

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大動脈弁形成術や自己心膜による大動脈弁再建術(形成術)はかつては上記の夏服が着れるMICSで行ってきましたが、熟練度がさらに上がりこの4年ほどは時間的に余裕が見込める大動脈弁形成術をポートアクセスMICSとくに副次創が少ないLSH法にて行い、ルーチン手術になりつつあります。

日々進化する心臓手術の恩恵が、安全に、患者さんに届くよう、これからも努力を続けます。

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患者さんの想い出はこちら:

 

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参考ページのIndex:

MICS(ミックス手術)とは 

  とくにポートアクセス手術とは
  
  ハートポートとは
  
  位置づけ
  
  前向きに安全な場合
  
  美しいLSH法とは
  
  かかる費用は?
  
  ミックスは危険なの
  
  術後の痛み軽減について
  
  社会復帰が早いわけは?
  
  美容について
  
  胸骨「下部」部分切開法とは
  
ビデオ ポートアクセス法による僧帽弁形成術
  
ビデオ 連合弁膜症のご高齢患者さんへのミックス法・3弁手術
  

大動脈弁

  ミックスによる弁置換

  ミックスによる弁形成

  ミックスでのデービッド手術

患者さんやご家族からのお便り

お便り43 がんの手術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん

お便り46 遠方からご自分の信念で来院下さった患者さん

お便り48: ミックス手術ですみやかに社会復帰された患者さん

お便り50: 大動脈二尖弁と上行大動脈瘤の患者さん

お便り54: ポートアクセス法で弁形成術を受けた若者患者さん

お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん

お便り66: バルサルバ洞破裂と心室中隔欠損症などを克服した患者さん

お便り70: 自己心膜で大動脈弁形成術(再建術)をミックス法で受けた患者さん

お便り71: 同法で大動脈二尖弁形成を受けた15歳の患者さん

お便り72: 二弁置換とメイズ手術を同法で受けた患者さん

お便り73: リウマチ性連合弁膜症と心房細動を同法で克服

お便り78: ベントール手術をミックスで受けられた患者さん

 

 

 

 

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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お便り88: 冠動脈バイパス手術後、北欧から

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冠動脈バイパス手術とくにオフポンプバイパス手術は狭心症・心筋梗塞の治療のなかで大切な位置をしめています。

もちろん中心は予防つまり食生活や運動、ストレス軽減、リスクファクターの軽減などが本質的ですが、忙しい現代人にはなかなか予防しきれないという現実があります。


A335_016そこでお薬による治療、それでだめならカテーテルによるPCI治療が威力を発揮します。いわゆるステントという金属製の筒のようなものを冠動脈の中に植え込んで冠動脈を広げるわけですね。

しかしそのステントも、いれるべき冠動脈がひどく壊れて血管の本来のちから、たとえば油分をみずからきれいに掃除して血管が詰まらなくなるなどの作用はありません。なので血管が悪い重症患者さんではステントの効果は長持ちせず、患者さんも長生きできなくなります。

ここで長持ちする治療法としての冠動脈バイパス手術が見直されることになるのです。

その象徴的な出来事が天皇陛下の冠動脈バイパス手術でした。

そして多くの実際のデータをもとにして、ガイドラインが改訂され、EBM(証拠にもとづく医学医療)重症の冠動脈病変のほとんどは冠動脈バイパス手術が第一選択となりました。


A310_065かつてのように、カテーテルPCIできる場合は何でもPCIやれば良いという考えはこうして時代遅れとなって行きました。とくに若い先生方の間に、EBMを順守しようという考えが広がり、ガイドラインを無視するのを男の心意気のように感じていた古い世代とのギャップがはっきりして来ました。

このお手紙(絵葉書)の患者さんもこうしたEBMの時代に、冠動脈バイパス手術をハートセンターで受けられた患者さんです。

もともと大学病院に通院しておられ、右冠動脈100%閉塞、回旋枝付け根に90%、左前下降枝近位部にも90%の狭窄がありました。

私たちのところでの手術を希望され、来院されました。

冠動脈バイパス手術後の経過は良好で、まもなく退院されました。

あれから1年半が経ち、以前から行きたいとおっしゃっていた北欧の旅行が実現しました。

美しいお葉書をいただき、うれしく思います。

元気で長持ち長生き、これが冠動脈バイパス手術の良さです。今後も楽しく元気にお暮しください。

 

*********患者さんからの絵葉書********


IMG_1763お陰さまにて、元気で北欧三ヶ国の旅を楽しんでおります。

スウェーデン、ノルウェー、デンマークをまわります。


うつみさん絵葉書爽やかな空気のもと、素晴らしい歴史の重さに感じ入っております。

体調も万全です。

有難く幸せをかみしめております。

ストックホルムより 感謝を込めて ****

 

PS. 米田先生、文芸春秋5月号の記事拝読させて戴きました

 

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【第四十七号】 アメリカ胸部外科学会の印象記

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 【第四十七号】 
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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いつのまにか梅雨に入ってしまいましたが、皆さんお元気でしょうか

さて今月の第1週にアメリカの学会2つに行って参りました。

その印象記を2回にわけてUpしました。

学会印象記はどうしても医療者向けになってしまうのですが、医療とくに心臓

外科に関心のある方々にも多少は参考になるかも知れません。

ひとつはMitral Conclaveという僧帽弁の学会で、これは後述のアメリカ胸部外

科学会の僧帽弁分化会という位置づけで大変レベルの高い学会です。
こちらをご覧ください
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/05/cvdiary2ndmconclave.html

これはニューヨークで開催されました。飛行機がニューヨークに近づいたとき

、あの世界貿易センタービルの再建がかなりできてきているのを見てアメリカ

の回復を感じました。

ついでながらニューヨークの街は昔の犯罪の巣窟とはすっかり違う安全な街に

なっており、夜遅い時間でもタイムズスクエアなどは若者でにぎわい、楽しい

雰囲気に満ちていました。

いまひとつはアメリカ胸部外科学会AATSで、心臓血管外科では世界の最高峰に

ある学会です。
こちらを見て下さい
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/05/cvdiary93aats.html

このAATSはミネアポリスで開かれました。日本ではそれほどなじみのない街か

と思いますが、心臓血管外科の世界では歴史のある街です。ニューヨークのあ

とだけに静かな、気持ちのよい中部の田舎町という印象はありました。

学会にもさまざまなものがありますが、こうしたアメリカのトップ学会は世界

の動向を知る一番の場ですし、そこで発表できるということは大変光栄で励み

にもなり勉強にもなることです。

ということで世界中からアクティブな心臓血管外科医が参加し、その語らいや

出会いの場という意味も大きく、会の意義をさらに大きくします。

こうした会のもうひとつの凄さは、心臓血管外科の歴史の実際に触れることが

できることです。

たとえば今回のAATSでは Albert Starrスター先生の講演がありました。骨子は

ブログをご参照戴くとして、こうした歴史を変えた、あるいはすでに大きな歴

史の一部とも言える先生の話をまとめて聴けたというのは貴重な経験です。

また心臓病学の歴史の一部ともいえるEugene Brownwald先生の受賞を自分の眼

で見れたというのも日本国内ではなかなか経験できないことでした。

ついでながら、若い先生方にはこうした偉大な指導者の生き様の一端に触れて

高い志を新たにして努力して頂ければと思いました。

学会の後ろの部分は割愛して帰国しました。手術を待ってくれている患者さん

がいてくれるのをうれしく思いながら。

敬具

平成25年5月17日

米田正始 拝

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第93回米国胸部外科学会(AATS)に参加して

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前述のMitral Conclave(僧帽弁手術の学会)に引き続いて、ミネアポリスで開かれた米国胸部外科学会に参加して来ました。

5月4日から8日までの5日間の学会でしたが、私は手術予定の患者さんが待ってくれているため5月7日に帰国の途につきました。主要な部分は参加できたため、ここに印象記をお書きします。

心臓血管外科では世界の最高峰ともいえる学会ですので、世界中から主だった心臓外科医が集まり、しっかり勉強や意見交換ができました。

学会の一日目、正確には本会の2日前にSkill And Decision Makingつまり技術と方針決定のためのセミナーがありました。今年からの新しい企画で、よりしっかりとちからをつけようというわけで、米国胸部外科学会も昔より親しみやすく、親切になったものだと思いました。

この1日コースではさまざまなトピックスが論じられました。

たとえば大動脈弁置換術のミックス手術や縫わずに入れ込むSutureless Valve、カテーテルによるTAVR(TAVI)、大動脈経由の弁の植え込み、バルブインバルブなどのホットトピックス、二尖弁や大動脈基部再建を含むさまざまな大動脈弁形成術、ハイブリッドのステントグラフトなどが論じられました。

さらに虚血性僧帽弁閉鎖不全症やロボットによる僧帽弁形成術、ミックスによる心房細動へのメイズ手術、最後にLVADと動脈グラフトを中心とした冠動脈バイパス手術などが解説されました。ロボット心臓手術は徐々に完成度を上げて安全に使えるレベルになっていますが、メイン創の大きさも小さくなく周囲に副次創がたくさんでき、かつ患者さんの経済負担が大きいため否定的意見も多いのですが、こうした技術を地道に磨き、いずれ優れた新型ロボットが出て来た時点で大きく花が開くものと期待しています。かつてロボットを愛用していた権威筋の先生ら数名に聞いてみても、ばかばかしくなって今は使っていないという声が多く、医学の進歩は思うようには行かないというのが実感です。

実に多くの内容を一日のセミナーに盛り込んだため、皆さんお疲れの様子でしたが、意欲的な企画でした。

とくに最近はどの学会でもカテーテルで植え込む大動脈弁(TAVR)の話が多いため、ちょっと食傷気味でしたので、より外科的な(要するに外科医の出番がある)上行大動脈経由のTAVIは興味を引きました。さらにミックスの小さい切開で行うSuturelessバルブつまりあまり縫わずに中で展開するTAVIのようなAVRは今後大いに期待されるものと思いました。うまく行けば、TAVRの良さと、従来型のAVRの良さを併せ持つ存在になるかも知れません。

IMG_1724b一日目の夜はソウル・アサン病院のLee先生が米国胸部外科学会の会員になられたので、そのお祝いのパーティが街中のステーキハウスでありました。彼と私の共通の恩師であるTirone E. David(デービッド)とRichard D. Weisel(ワイゼル)先生も参加され、ソウル・延世大学のチェン先生や慶応大学の四津良平先生も来られて賑やかなパーティとなりました。アメリカの巨大なステーキと巨大なエビを食べながら最初は医学談義をやっていましたが、次第に話が散乱するほど盛り上がり遅くなってしまいました。写真はロブスターで遊ぶDavid先生です。

二日目は恒例の卒後教育セッションで、引き続き実用的、教育的な講演が続きました。

Adams先生の僧帽弁形成術まとめはよくまとまっており参考になりました。とくにMACと呼ばれる石灰化の処理のサマリーは良かったと思います。僧帽弁形成術にミックス法と通常の胸骨正中切開のどちらが良いかというディベート(Galloway先生とMcCarthy先生)も興味深いものでした。ただ創が小さければ良いというものではない、やはり弁をしっかり治してこその低侵襲手術だという議論は当を得たものと思いました。Galloway先生が「僧帽弁形成術を年間30例以上やっていない外科医はミックスをやるべきでない」というのはまったく同感でした。私自身の経験では、ミックス法の完成度が日々上がり、熟練によって従来の方法より質的にも高いと思いました。

ついでIE(感染性心内膜炎)のセッションで、大動脈弁と基部の手術を恩師Dr. Davidが、レビューしました。大動脈基部膿瘍の手術は今なお大きな手術で、そのキモは使う人工弁の種類よりも感染組織を完全に取り去ることで、まったく同感でした。それにはそのあと完全に心臓を再建できる技術があってのことで、ここにDavid先生のすごいところがあります。こうしたことを学ばせて戴いたあのころを想い出し懐かしく光栄に思いました。

それに関連してPettersson先生の線維骨格つまり大動脈弁と僧帽弁をつなぐ組織の再建手術の解説がありました。Invasive IEつまり組織を破壊する悪性のIEという考えを示され、たしかにこの種のIEは要注意で、有益なお話しでした。

Reardon先生のTAVR(TAVIつまりカテーテルで植え込む大動脈人工弁)のお話しは、その領域の最近の展開をまとめる有用なものでした。これまでの大腿動脈経由や心尖部経由に加えて、上行大動脈経由や鎖骨下動脈経由なども加わり、動脈などが悪い患者さんにも有効な治療ができる選択肢が増えて何よりです。とくに右小開胸で上行大動脈から直接TAVRを入れる方法は欧米で急速に増えつつあり、下半身の血管が悪いケースなどで安全かつ効果的なようです。これから徐々にこうした選択肢が使えるようになると、ハートチームとしてさらに充実するでしょう。

starr190ランチオンの講演はあの有名なAlbert Starr先生(写真左)のThe Price of Innovationつまり技術革新の対価というもので、大きなテーマでした。Starr先生といえば、人類で初めての人工弁であるStarr-Edwardsボール弁の発明者で、若くして(おそらく20代)で心臓外科の世界の頂点に立ち、半世紀以上、トップの位置に君臨した、まさに心臓外科Innovationの象徴のような先生です。

私個人もお世話になったことがあり、スタンフォード大学での研究を終えたころ、Starr先生の病院と研究所で研究所副所長という教授待遇の内定まで頂いていました。ご縁があって、オーストラリアはメルボルンのBuxton先生のオースチン病院で助教授+コンサルタントとして手術をたくさん執刀できる方の選択肢を選びましたが、Starr先生にはおおらかにチャンスを頂き、今なお感謝しています。

そのStarr先生が技術革新の経験から、必要なものとして、Money(予算)とBrain Power(頭脳力、人材)、そしてCollaboration(コラボ、英知の結集)を挙げられました。世界中の頭脳を集めて国を発展させてきたアメリカの真髄を見た思いがしました。また隠れた優秀頭脳に光をあて、活躍させる、ひとつのアメリカンドリームがここにもあることを感じました。

世界に誇れる技術を持ちながらなかなか国力にまで進化させられない日本、あるいは優秀な人材をもちながら、医療制度の不備のために実力ほど世界に発信できない日本の医療、これらを考えるときにStarr先生のお話しされた視点はまさに的を得たもので、政府官僚に聴かせたい内容でした。

政府がこの調子では日本の制度、とくに大学はまだまだというより、ますます世界に後れを取っていくのは確実、と寂しく思いました。まあそうした弊害がすくない民間病院で頑張ろうという自分の考えが確認できてほっとしたとも言えますが。大学の教官の給与が東北大震災の余波でかなり減額になっている今日、民間からコラボレーションのお礼として経済支援するのも一法と思っています。

午後は「やらない場合」という面白い企画、セッションでした。

Bavaria先生のDavid手術をやらない場合というのは、私たちのように平素David手術をやる心臓外科医にとってはうなづけるところが多いお話しでした。同じ大動脈基部再建術でも人工弁をもちいるベントール手術の長期成績が秀逸であることを考えると、David手術では完全な仕上がりが求められます。この点で弁がある程度以上壊れている場合の判断はしっかりすることが大切です。マルファン症候群の患者さんでは通常以上に注意深く手術し、弁尖のFenestration(小穴)が3つ以上では慎重にとか、弁尖にゴアテックス補強もすべきでないというのは同感で、良い勉強になるセッションでした。

さらにセントルイスのDamiano先生がオフポンプバイパス手術(OPCAB)をやらない場合ということで、OPCABがOn-pumpのバイパス手術よりも優れていない場合を話されました。というより、欧米のデータではOPCABの優位性を示すデータが少なく、結論として無理にOPCABをする意味はないということでした。これは平素からこのHPで解説している事情があってOPCABの優位性を示す研究が組みにくいため、OPCABの優位性が証明できていないだけのことと思いました。こうした証明が将来できればとも思います。

やらない場合セッションはさらに続き、Ball先生のポートアクセス法僧帽弁形成術のお話しでした。こうした手術では常に謙虚に反省と改良を重ね、安全性確保を十二分にして進めることが大切で、そこで得るものは大きいと感じました。私たちはポートアクセス法で安全に僧帽弁形成術ができているので、反省とともに自信をつけることもできました。

スタンフォードのMitchell先生はA型急性解離で手術すべきでないケースについて論じられました。当然のように手術すべき病気がA型解離ですが、それでもここだけは慎重にという状況たとえば術前昏睡状態などですね、これらを話されました。こうしたものを克服すればすごい展開になるとも思いました。急性解離に対するEVARつまりステントグラフトがこれから治療成績を上げるかも知れないというのも楽しみな話です。

統合した心臓外科診療というテーマでクリーブランドのLytle先生(アインシュタインのような風貌で、内容ぎっしりなのに自然児のようなかざらない先生です)がアカデミック施設として話をされました。クリーブランドクリニックではスタッフといえども一年契約で、毎年評価ののち報酬も決める、医療スタッフが経営をする、全部の部門が一体となって動ける(multidiciplinary clinical integration)、それも高いモチベーションをもって、という素晴らしい組織を紹介されました。実力主義の厳しさと高いインセンティブややりがいがセットになった、日本の公務員制度や労働組合の下では考えられないことです。日本では民間でこうしたしくみを導入し、高いモチベーションで面白い仕事をめざせば良いと思います。

内容一杯の2日間が終わり、その翌日からAATS本体が始まりました。

朝一番のAATS会員総会に参加したあと、新会員の紹介がありました。畏友・天野篤先生とこれまた畏友・高梨秀一郎先生が今年会員となられました。また日本人で海外で活躍しておられる若手中堅からも会員になる方が増えつつあり、大変良いことと思います。野球で大リーグに日本人選手が活躍するのが普通のことになったような展開になると面白いと思います。

それからプレナリーセッションでオリジナルな優れた研究が何題か発表されました。

そのあと恒例の基礎医学講義ではメイヨクリニックのEdwards先生が外科病理の立場から心臓弁膜症を概説されました。たまにこうした深く掘り下げた考察をするのも頭の体操になって良いと感じました。たとえば同じ僧帽弁閉鎖不全症でもFEDでは遺伝子異常はありませんがバーロー症候群ではあるとか、大動脈弁狭窄症では炎症機転が重要などの考察ですね。心臓外科医は目の前の患者さんを元気にするのに没頭しすぎて、元気になればそれで良い、という形になることがあります。しかしそれだけでは長足の進歩がない、そういうことを感じさせてくれたセッションでした。

そしてメイヨのSchaff先生の会長講演がありました。Schaff先生は静かでいつも考えている学究肌とういより達観した哲学者のような雰囲気がありますが、大変親切で私も若いころに何度もお世話になった思い出があります。しかしいやな顔ひとつせず、まじめに話を聴いて下さった、そういう謙虚なスタンスのまま、AATSの会長になられたことが素晴らしいと思います。リーダシップとスカラーシップについて講演されましたが、彼にふさわしいテーマだったと思います。私だけでなく、多数の若手がお世話になったことから彼の教育への姿勢は実感あふれる良さがありました。講演のあと、皆総立ちで拍手を送り続けたことも当然と思いました。AATSの会長を終えて、来年からまた粛々と素晴らしい手術と研究、教育を推進されると思います。雑務からある程度解放されたSchaff先生の今後の展開が楽しみです。

そのあとも優れた発表が続きましたがそれは省略します。恩師David先生とMiller先生ともそれぞれ優れた発表があり、いつまでも走り続けて欲しく思いました。というよりそうお願いしてしまいました。

あと1日半を残して私はミネアポリスを後にして日本にもどりました。翌日、ポートアクセス手術の患者さんたちが待っていてくれていたからです。

Mitral ConclaveとAATSの合計約1週間、ひごろ不勉強な私としては考えられないほど勉強させて頂きました。メモが分厚い冊子のようになり整理するのも大変です。それ以上に大勢の先生方と旧交を温め、とくに恩師たちにお礼を述べることができ、また若い先生らに多少でもお役に立てたのであれば、こんなにうれしいことはありません。

平成25年5月12日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
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元・京都大学医学部教授
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【第四十六号】 天海祐希さんの心筋梗塞

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 【第四十六号】 
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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夏のおとずれが近いことを感じさせるこの頃です。

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私は連休中にアメリカの学会で発表や勉強、なにより馬鹿でかいステーキなど

を旧友たちと共に楽しみ、パワーを頂いてかえって参りました。

恩師や昔の仲間といると若いころにもどって、何でも感動して頑張れた気持ち

がよみがえります。

さて連休が明けて、帰国し、仕事にもどってまたにぎやかな毎日を送らせてい

ただいていますが、ふとネットを見ていると女優の天海祐希さんが急性心筋梗

塞で入院されたというニュースがありました。

まだお若い天海さんが突然心筋梗塞になるなんて、、、という意見を周囲の方

からお聞きし、また質問も受けました。そこでオールアバウトにこの件をもと

にした解説を載せました。

http://allabout.co.jp/gm/gc/417124/

ご参考になれば幸いです。

天海さんの場合、どういう原因で急性心筋梗塞になられたかまではわかりませ

ん。伝えられるところではヘビースモーカーだったという話もありますが、あ

くまでも噂です。私としてはそれよりも、ストレスが多い毎日が続いていたこ

とが原因ではないかと思っています。

実際、患者さんの治療の中で、糖尿病もコレステロールも問題なく、たばこも

やらない、家族歴もない。ストレス以外に考えられないといった心筋梗塞の患

者さんは少なからずおられます。また40代、さらには30代の患者さんもち

ょくちょく見かけます。心筋梗塞はかつてのように比較的高齢の方に多い病気

とは限らなくなってきているようです。

ともあれ、心筋梗塞は早期に診断し、きちんと治療すればほぼ治せる病気です

。天海さんも当分は仕事をキャンセルして入院治療に専念されるそうで、それ

が一番と思います。いずれお元気に職場復帰して頂ければと思います。

読者の皆様には、平素の健康管理をきちんとされ、そしてこころの健康を意識

して、何か楽しみや発散もして頂ければと思います。

敬具

平成25年5月13日

米田正始 拝

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